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JP7659239B2 - 把持力計測装置及び把持力計測システム - Google Patents
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JP7659239B2 - 把持力計測装置及び把持力計測システム - Google Patents

把持力計測装置及び把持力計測システム Download PDF

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Description

本開示は、把持力計測装置に関する。
把持力計測装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この把持力計測装置は、被験者が片手で把持力計測装置を把持した際に、各指から把持力計測装置に作用する押圧力の大きさや比率を計測でき、各指の動作タイミング等を検出することもできる。したがって、このような把持力計測装置での計測結果に基づいて、被検者の指の巧緻性を評価することができる。
例えば、被検者が定期的又は不定期に把持力計測装置での計測を実施することにより、被検者の指の巧緻性が経年的に低下していないか否かを検証することができる。また、リハビリ中の被検者であれば、リハビリによって被検者の指の巧緻性が回復しているかどうかを検証することができる。あるいは、被検者の測定結果と他者の測定結果の平均値とを比較することにより、被検者の指の巧緻性が他者の平均よりも高いか否かを検証することができる。このような検証を行えば、例えば、認知症の兆候を把握したり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行具合を確認したりすることができる。
特開2021-056033号公報
被検者が上述の把持力計測装置を把持する際、把持力計測装置が傾いた状態になっていると、その傾き具合によっては、把持力計測装置の自重が一部の指にかかり、計測結果に影響を及ぼすことがある。
しかし、上述の把持力計測装置での計測結果を見ても、その計測結果が得られた際に把持力計測装置が傾いた状態になっていたか否かを、事後的に判別することはできない。そのため、例えば、以前とは異なる計測結果が得られた場合に、その原因が被検者の指の巧緻性の変化にあるのか、把持力計測装置の傾きにあるのかを、測定結果から推定することは困難である。
本開示の一局面においては、測定時における把持力計測装置の傾きを判別可能な把持力計測装置を提供することが望ましい。
本開示の一態様は、把持力計測装置であって、本体部と、複数の被押圧部と、押圧力検出部と、傾き検出部と、を備える。複数の被押圧部は、本体部の外側に配置され、各被押圧部が被験者の五指のいずれかに対応しており、被験者が把持力計測装置を片手で把持する際に、各被押圧部に対応する指で各被押圧部を押圧可能に構成される。押圧力検出部は、複数の被押圧部が押圧される際に各被押圧部に作用する押圧力を検出可能に構成される。傾き検出部は、把持力計測装置の傾きを検出可能に構成される。
このように構成された把持力計測装置によれば、被験者が把持力計測装置を片手で把持して、複数の被押圧部それぞれに対応する指で各被押圧部を押圧すると、押圧力検出部が、各被押圧部に作用する押圧力を検出する。その際、傾き検出部は、把持力計測装置の傾きを検出する。
傾き検出部において検出される把持力計測装置の傾きは、把持力計測装置が処理を実行する際に、その処理の中で利用することができる。あるいは、傾き検出部において検出される把持力計測装置の傾きは、把持力計測装置から利用者に対して提供される情報として、把持力計測装置から出力することができる。
把持力計測装置が処理を実行する際に、その処理の中で把持力計測装置の傾きを利用すれば、例えば、把持力計測装置の傾きに応じて、把持力計測装置の動作態様を変更することができる。
より具体的な例を挙げれば、例えば、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にある場合には、押圧力検出部による押圧力の検出を実行するように構成する。一方、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にない場合には、エラーを出力するように構成する。このような構成を採用すれば、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にない状態で把持力の測定が行われるのを抑制することができる。
また、例えば、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にある場合には、押圧力の検出結果を把持力計測装置とは別の外部装置へ伝送するように構成する。一方、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にない場合には、押圧力の検出結果を外部装置へ伝送しないように構成する。このような構成を採用すれば、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にない状態で把持力の測定が行われた場合に、そのような測定データが無駄に外部装置へ伝送されるのを抑制し、把持力計測装置及び外部装置のそれぞれにかかる負荷を軽減することができる。
また、把持力計測装置の傾きが把持力計測装置から出力されて利用者に提供されれば、利用者は把持力計測装置の傾きと各被押圧部に作用する押圧力との双方に基づいて、測定結果についての検討及び考察を行うことができる。より具体的な例を挙げれば、例えば、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にある場合には、利用者は相対的に信頼性の高い計測結果であると判断することができる。一方、把持力計測装置の傾きが所定の範囲内にない場合には、利用者は相対的に信頼性の低い計測結果であると判断することができる。この場合、計測のやり直しを行う、あるいは信頼性の低いデータは無視する等の対応を取ることができる。
なお、本開示の別の一態様では、更に以下のような構成を備えていてもよい。
(A)傾き検出部は、加速度センサによって構成されてもよい。
(B)押圧力検出部によって検出される押圧力を示す押圧力データと、傾き検出部によって検出される把持力計測装置の傾きを示す傾きデータとを対応づけて出力可能に構成されるデータ出力部、を備えてもよい。
(C)傾き検出部によって検出される把持力計測装置の傾きが、所定のしきい値以下であるか否かを判定可能に構成される判定部、を備えてもよい。
(D)データ出力部は、判定部によって傾きがしきい値以下であると判定された場合に、押圧力データ及び傾きデータを出力し、判定部によって傾きがしきい値以下ではないと判定された場合に、押圧力データ及び傾きデータを出力しないように構成されてもよい。
図1Aは図中に示す前右上方から見た把持力計測装置の斜視図である。図1Bは図中に示す後左下方から見た把持力計測装置の斜視図である。 図2は把持力計測装置の電気的な構成を示すブロック図である。 図3Aはロール角φが-30°にされた把持力計測装置を示す説明図である。図3Bはロール角φが0°にされた把持力計測装置を示す説明図である。図3Cはロール角φが30°にされた把持力計測装置を示す説明図である。 図4Aはピッチ角θが-30°にされた把持力計測装置を示す説明図である。図4Bはピッチ角θが0°にされた把持力計測装置を示す説明図である。図4Cはピッチ角θが30°にされた把持力計測装置を示す説明図である。 図5は治具が取り付けられた把持力計測装置を示す説明図である。 図6Aは二指で把持力計測装置を把持してロール角φを0°から90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。図6Bは五指で把持力計測装置を把持してロール角φを0°から90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。 図7Aは二指で把持力計測装置を把持してロール角φを0°から-90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。図7Bは五指で把持力計測装置を把持してロール角φを0°から-90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。 図8Aは二指で把持力計測装置を把持してピッチ角θを0°から90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。図8Bは五指で把持力計測装置を把持してピッチ角θを0°から90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。 図9Aは二指で把持力計測装置を把持してピッチ角θを0°から-90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。図9Bは五指で把持力計測装置を把持してピッチ角θを0°から-90°まで変更した場合に各指にかかる荷重比を示すグラフである。 図10Aは二指で把持力計測装置を把持してロール角φを0°にした場合に把持力計測装置にかかる荷重の位置及び向きを示す模式図である。図10Aは二指で把持力計測装置を把持してロール角φをφ1°にした場合に把持力計測装置にかかる荷重の位置及び向きを示す模式図である。 二指で把持力計測装置を把持してピッチ角θを0°から90°まで変更した場合に各指にかかる荷重の理論値と実測値の違いを示すグラフである。 把持力計測装置において実行される計測処理のフローチャートである。
次に、上述の把持力計測装置について、例示的な実施形態を挙げて説明する。
[把持力計測装置の構成]
把持力計測装置1は、図1A及び図1Bに示すように、本体部2、5つのボタン3A,3B,3C,3D,3E及び電源スイッチ4等を備える。本体部2は、本実施形態においては概ね円柱状に構成されている。5つのボタン3A~3Eは、本体部2の外側に配置されている。5つのボタン3A~3Eは、被験者の五指に対応し、被験者が把持力計測装置1を片手で把持する際に、各ボタン3A~3Eに対応する指が各ボタン3A~3Eに掛かるように構成されている。
以下の説明では、把持力計測装置1の向きや各部の相対的な位置を簡潔に説明するため、図1A及び図1Bに併記した前後左右上下の各方向を利用する。例えば、上述のボタン3Aは把持力計測装置1の右側に配置されている。また、上述のボタン3B~3Eは把持力計測装置1の左側に配置されるとともに、上下方向に一列に並べて配置されている。また、電源スイッチ4は把持力計測装置1の下側に配置されている。
また、把持力計測装置1の前後方向に平行な軸をx軸、把持力計測装置1の左右方向に平行な軸をy軸、把持力計測装置1の上下方向に平行な軸をz軸と規定する。x軸は、前方がx軸正方向となり、後方がx軸負方向となる。y軸は、右方がy軸正方向となり、左方がy軸負方向となる。z軸は、上方がz軸正方向となり、下方がz軸負方向となる。
さらに、x軸を回転中心とする回転をロール、y軸を回転中心とする回転をピッチ、z軸を回転中心とする回転角をヨーと規定する。ロールは、x軸正方向から見て反時計回り方向がロール正方向、時計回り方向がロール負方向となる。ピッチは、y軸正方向から見て反時計回り方向がピッチ正方向、時計回り方向がピッチ負方向となる。ヨーは、z軸正方向から見て反時計回り方向がヨー正方向、時計回り方向がヨー負方向となる。ロール方向への回転角度をロール角φ、ピッチ方向への回転角度をピッチ角θ、ヨー方向への回転角をヨー角ψと称する。把持力計測装置1は、z軸と鉛直軸(すなわち、重力方向。)とが一致する状態を基準姿勢とし、把持力計測装置1が基準姿勢にある場合に、ロール角φ=0°、ピッチ角θ=0°となる。
把持力計測装置1は、図2に示すように、ロードセル5A,5B,5C,5D,5E及び制御基板6等を備える。制御基板6には、制御・通信部7、加速度センサ8及びアンプ9A,9B,9C,9D,9E等が実装されている。
ロードセル5A~5Eは、起歪体と歪みゲージとを有する。被験者がボタン3A~3Eを押圧すると、ロードセル5A~5Eの起歪体には、押圧力の大きさに比例する歪みが生じ、起歪体の歪みに応じて歪みゲージの抵抗値が変化する。押圧力の大きさと歪みゲージの抵抗値とは既知の比例関係にあるため、歪みゲージの抵抗値に基づいて、押圧力の大きさを検出することができる。
制御・通信部7は、マイクロプロセッサ、メモリ及び通信モジュール等を備える。制御・通信部7には、加速度センサ8及びアンプ9A~9E等が接続されている。アンプ9A~9Eには、ロードセル5A~5Eが接続されている。ロードセル5A~5Eにおいて押圧力を検出した際、ロードセル5A~5Eからアンプ9A~9Eへと伝達されるアナログ信号は、アンプ9A~9Eで増幅されて制御・通信部7へと伝達される。加速度センサ8は、把持力計測装置1のロール角φ、ピッチ角θ及びヨー角ψを検出し、それらの検出値をデジタル信号化して、制御・通信部7へと伝達可能に構成されている。
制御・通信部7は、ロードセル5A~5Eからアンプ9A~9E経由で入力したアナログ信号をデジタルデータに変換する。制御・通信部7は、ロードセル5A~5Eにおいて検出された押圧力と、その押圧力を検出した時の把持力計測装置1の傾き(すなわち、加速度センサ8において検出された回転角。)を対にして、把持力計測装置1とは別の外部装置(図示略。)へ無線伝送する。
[予備実験]
次に、上記把持力計測装置1を用いて実施した予備実験について説明する。まず、予備実験として、把持力計測装置1の傾きが押圧力の測定値に及ぼす影響を検証した。具体的には、図3A、図3B及び図3Cに例示するように、把持力計測装置1のロール角φを変更して、把持力計測装置1から出力される押圧力の測定値が、どのように変化するのかを検証した。また、図4A、図4B及び図4Cに例示するように、把持力計測装置1のピッチ角θを変更して、把持力計測装置1から出力される押圧力の測定値が、どのように変化するのかを検証した。
具体的には、図3Bに示すロール角φ=0°を基準にして、図3Cに示すロール正方向(図3Cにはロール角φ=30°の場合を例示。)へ、ロール角φを0°から90°までの範囲で10°ずつ変更し、把持力計測装置1による押圧力の測定を実施した。また、図3Bに示すロール角φ=0°を基準にして、図3Aに示すロール負方向(図3Aにはロール角φ=-30°の場合を例示。)へ、ロール角φを0°から-90°までの範囲で10°ずつ変更し、把持力計測装置1による押圧力の測定を実施した。
また、図4Bに示すピッチ角θ=0°を基準にして、図4Cに示すピッチ正方向(図4Cにはピッチ角φ=30°の場合を例示。)へ、ピッチ角θを0°から90°までの範囲で10°ずつ変更し、把持力計測装置1による押圧力の測定を実施した。さらに、図4Aに示すピッチ負方向(図4Aにはピッチ角φ=-30°の場合を例示。)へ、ピッチ角θを0°から-90°までの範囲で10°ずつ変更し、把持力計測装置1による押圧力の測定を実施した。
なお、図3A~図3C及び図4A~図4Cには、手で把持力計測装置1を把持している状態を図示してあるが、被検者が五指の相対位置を厳密に維持したままロール角又はピッチ角だけを正確に変更することは難しい。そこで、上記検証の際には、図5に示すような治具11を使用して測定を行った。
治具11は、フレーム12と、フレーム12に取り付けられた5つの押圧子13A,13B,13C,13D,13Eとを備える。フレーム12は、金属材料によって構成され、治具11の使用時に想定される荷重がフレーム12に作用した程度では、フレーム12が実質的に変形しない程度の剛性を備えている。押圧子13A~13Eは、本実施形態においてはボルトによって構成されている。各押圧子13A~13Eは、フレーム12に穿設されたねじ孔に螺合している。
そのため、各押圧子13A~13Eの軸方向(図中でいうy軸方向。)を回転中心にして各押圧子13A~13Eを回転させれば、各押圧子13A~13Eのフレーム12に対する相対位置をy軸正方向又はy軸負方向へ変更することができる。また、各押圧子13A~13Eのフレーム12に対する相対位置を変更した後は、各押圧子13A~13Eを回転させない限り、各押圧子13A~13Eの変更後の相対位置を維持することができる。
測定の際には、把持力計測装置1をロール角φ=0°かつピッチ角θ=0°の状態にし、各押圧子13A~13Eのフレーム12に対する相対位置を変更することにより、各押圧子13A~13Eをボタン3A~3Eに押し当てた。各押圧子13A~13Eは、変更後の相対位置を維持可能なので、治具11のフレーム12を持って治具11とともに把持力計測装置1を傾ければ、五指相当部分(すなわち、押圧子13A~13E。)の相対位置を厳密に維持したまま、把持力計測装置1を傾けることができる。また、測定の際には、把持力計測装置1を二指(親指及び人差し指)で把持した場合と、把持力計測装置1を五指で把持した場合、それぞれの場合について押圧力の測定を実施した。
把持力計測装置1を二指で把持して、ロール角φをロール正方向に変更した場合の測定結果を、表1に示す。また、把持力計測装置1を五指で把持して、ロール角φをロール正方向に変更した場合の測定結果を、表2に示す。
Figure 0007659239000001
Figure 0007659239000002
さらに、表1及び表2に示す測定結果に基づいて、把持力計測装置1を二指又は五指で把持する際に、各指が負担する荷重の割合を算出した。具体的には、表1及び表2には、二指又は五指から作用した押圧力が示されているので、二指又は五指から作用した押圧力の合計値を100として、各指から作用した押圧力が合計値中に占める割合を算出した。その算出結果を図6A及び図6Bに示す。
図6A及び図6Bに示す算出結果からは、把持力計測装置1を二指で把持した場合、把持力計測装置1がロール正方向に傾きを増すほど、親指からの押圧力の割合は減少する傾向にあり、人差し指からの押圧力の割合は増大する傾向にあることがわかる。把持力計測装置1を五指で把持した場合も、把持力計測装置1がロール正方向に傾きを増すほど、親指からの押圧力の割合は減少する傾向にあることがわかる。親指以外の四指には、押圧力の割合が増加傾向にある指と減少傾向にある指が含まれるが、四指全体での押圧力の割合は増加する傾向にあることがわかる。
次に、把持力計測装置1を二指で把持して、ロール角φをロール負方向に変更した場合の測定結果を、表3に示す。また、把持力計測装置1を五指で把持して、ロール角φをロール負方向に変更した場合の測定結果を、表4に示す。
Figure 0007659239000003
Figure 0007659239000004
さらに、表3及び表4に示す測定結果に基づいて、把持力計測装置1を二指又は五指で把持する際に、各指が負担する荷重の割合を算出した。具体的な算出方法は、ロール角φをロール正方向に変更した場合と同様である。算出結果を図7A及び図7Bに示す。
図7A及び図7Bに示す算出結果からは、把持力計測装置1を二指で把持した場合、把持力計測装置1がロール負方向に傾きを増すほど、親指からの押圧力の割合は増大する傾向にあり、人差し指からの押圧力の割合は減少する傾向にあることがわかる。把持力計測装置1を五指で把持した場合、-70°までは把持力計測装置1がロール負方向に傾きを増すほど、親指からの押圧力の割合は減少する傾向にある。親指以外の四指には、押圧力の割合が増加傾向にある指と減少傾向にある指が含まれるが、-70°までは四指全体での押圧力の割合は増加する傾向にあることがわかる。
次に、把持力計測装置1を二指で把持して、ピッチ角θをピッチ正方向に変更した場合の測定結果を、表5に示す。また、把持力計測装置1を五指で把持して、ピッチ角θをピッチ正方向に変更した場合の測定結果を、表6に示す。
Figure 0007659239000005
Figure 0007659239000006
さらに、表5及び表6に示す測定結果に基づいて、把持力計測装置1を二指又は五指で把持する際に、各指が負担する荷重の割合を算出した。具体的な算出方法は、ロール角φをロール正方向に変更した場合と同様である。算出結果を図8A及び図8Bに示す。
図8A及び図8Bに示す算出結果からは、把持力計測装置1を二指で把持した場合であっても五指で把持した場合であっても、把持力計測装置1のピッチ角θがピッチ正方向に変更された際には、各指からの押圧力の割合はあまり変化しないことがわかる。
次に、把持力計測装置1を二指で把持して、ピッチ角θをピッチ負方向に変更した場合の測定結果を、表7に示す。また、把持力計測装置1を五指で把持して、ピッチ角θをピッチ負方向に変更した場合の測定結果を、表8に示す。
Figure 0007659239000007
Figure 0007659239000008
さらに、表7及び表8に示す測定結果に基づいて、把持力計測装置1を二指又は五指で把持する際に、各指が負担する荷重の割合を算出した。具体的な算出方法は、ロール角φをロール正方向に変更した場合と同様である。算出結果を図9A及び図9Bに示す。
上記測定結果からは、把持力計測装置1を二指で把持した場合であっても五指で把持した場合であっても、把持力計測装置1のピッチ角θがピッチ負方向に変更された際には、各指からの押圧力の割合はあまり変化しないことがわかる。
上記実験結果から、把持力計測装置1のロール角φが変化すると把持力の測定結果に影響することが示唆された。また、把持力計測装置1のピッチ角θが変化しても把持力の測定結果には大きな影響はないことが示唆された。このような差異が生じる原因について検討した結果、一因として、以下のような要因があるのではないかと考えられた。
把持力計測装置1の質量をM(g)、重力加速度をg(m/s)とすると、把持力計測装置1には重力Mgが作用する。図10Aに示すように、把持力計測装置1のロール角φがφ=0(°)の場合、把持力計測装置1に重力Mgが作用しても、その重力Mgに起因するy軸に平行な分力が生じることはない。そのため、1つのボタン3Aに作用する押圧力Fa(0)と、1つのボタン3B(又は4つのボタン3B~3E。)に作用する押圧力Fb(0)は、Fa(0)=Fb(0)となって釣り合うことになる。
一方、図10Bに示すように、把持力計測装置1のロール角φがφ=φ1(°)で、把持力計測装置1に重力Mgが作用する場合、その重力Mgはy軸に平行な分力Fm1(φ1)とz軸に平行な分力Fm2(φ1)との合力と見なすことができる。すなわち、この場合は、重力Mgに起因してy軸に平行な分力Fm1(φ1)が生じる。この場合、1つのボタン3Aに作用する押圧力Fa(φ1)と上記分力Fm1(φ1)の双方と、1つのボタン3B(又は4つのボタン3B~3E。)に作用する押圧力Fb(φ1)が釣り合うので、Fa(φ1)+Fm1(φ1)=Fb(φ1)となる。
よって、押圧力Fa(φ1)と押圧力Fb(φ1)の差の絶対値は、|Fa(φ1)-Fb(φ1)|=Fm1(φ1)と表すことができる。分力Fm1(φ1)は重力Mgとロール角φを用いて、Fm1(φ1)=Mg・sinφ1と表すことができる。したがって、|Fa(φ1)-Fb(φ1)|=Mg・sinφ1となる。以上のことから、数式|Fa(φ)-Fb(φ)|=Mg・sinφを用いれば、把持力計測装置1の質量Mとロール角φを特定することにより、その場合に、押圧力Fa(φ)と押圧力Fb(φ)の差がどのような値(理論値)になるのかを算出可能と考えられる。
そこで、把持力計測装置1の質量をM=350(g)、重力加速度をg=9.8(m/s)とし、ロール角φを0°から90°まで変更して、押圧力Fa(φ)と押圧力Fb(φ)の差がどのような値(理論値)になるのかを、上記数式を用いて算出した。また、実際に把持力計測装置1を使用して、押圧力Fa(φ)と押圧力Fb(φ)の差がどのような値(実測値)になるのかを測定した。これらの結果を図11に示す。
この測定結果からは、ロール角φが0°から30°までの範囲では、実測値と理論値との間にほぼ差がないことがわかる。一方、ロール角φが40°以上になると、実測値と理論値との間の差が大きくなった。この結果からは、ロール角φが0°から30°までの範囲であれば、実測値の信頼性が高いことが示唆される。一方、ロール角φが40°以上になると、例えば装置の構造上の問題等、何らかの要因で実測値と理論値との間の誤差が大きくなることが示唆される。なお、ロール負方向についても同様の検証を行ったところ、ロール角φが0°から-30°までの範囲であれば、実測値の信頼性が高いことが示唆された。
[計測処理]
次に、把持力計測装置1の制御・通信部7において実行される計測処理について、図12に基づいて説明する。この計測処理は、把持力計測装置1の電源スイッチ4がオンにされると、制御・通信部7において繰り返し実行される処理である。この計測処理では、上述の予備実験の結果を踏まえ、ロール角φの絶対値が0°から30°までの範囲(すなわち、ロール角が-30°から30°の範囲。)にあれば、把持力計測装置1による計測結果を出力するようにした。以下、具体的な処理手順を説明する。
計測処理を開始すると、制御・通信部7は、装置の傾きを検出する(S10)。S10において、制御・通信部7は、加速度センサ8からロール角φ、ピッチ角θ及びヨー角ψを取得する。続いて、制御・通信部7は、装置の傾きが所定の傾き範囲内か否かを判断する(S20)。S20において、制御・通信部7は、ロール角φの絶対値が0°から30°までの範囲を有効範囲として、加速度センサ8から取得したロール角φが有効範囲内にあるか否かを判断する。
S20において、ロール角φが有効範囲内にある場合(S20:YES)、制御・通信部7は、バッファに装置の傾きデータを保存する(S30)。S30では、加速度センサ8から取得したロール角φ、ピッチ角θ及びヨー角ψが、傾きデータとしてバッファに保存される。傾きデータが保存されるバッファは、制御・通信部7が備えるメモリ内に確保されている。
続いて、制御・通信部7は、圧力を検出する(S40)。S40では、ボタン3A~3Eに作用する圧力の値が、アンプ9A~9E経由でロードセル5A~5Eから取得される。続いて、制御・通信部7は、バッファに圧力のデータを保存する(S50)。S50では、ロードセル5A~5Eから取得した圧力値がバッファに保存される。この圧力値が保存されるバッファは、制御・通信部7が備えるメモリ内に確保されている。
続いて、制御・通信部7は、傾きと圧力のデータを連結して(S60)、そのデータを送信する(S70)。S60では、ロードセル5A~5Eによって検出される押圧力を示す押圧力データと、加速度センサ8によって検出される把持力計測装置1の傾きを示す傾きデータとを対応づけて、それらのデータを送信バッファに格納する。S70では、S60で作成されて送信バッファに格納されたデータが、把持力計測装置1とは別の外部装置(図示略。)へ無線伝送される。S70を終えたら計測処理を終了する。
なお、S20において、ロール角φが有効範囲内にない場合(S20:NO)、制御・通信部7は、エラーを出力する(S80)。本実施形態の場合、制御・通信部7は、S80において、警告灯10を点灯させる。ただし、エラーの出力手段は、警告灯10以外であってもよい。例えばブザー等で警告音を出力してもよい。あるいは、エラー情報を外部装置へ無線伝送し、外部装置で警告表示や警告音の出力を行ってもよい。これらのエラー出力手段は、2つ以上を採用してもよい。S80を終えたらS10へ戻る。これにより、ロール角φが有効範囲内にない間は、S80によるエラーの出力が継続し、その後ロール角φが有効範囲内になれば、S30以降の処理へと進むことになる。
なお、上記実施形態で例示したボタン3A~3Eは、本開示でいう被押圧部の一例に相当する。上記実施形態で例示したロードセル5A~5Eは、本開示でいう押圧力検出部の一例に相当する。上記実施形態で例示した加速度センサ8は、本開示でいう傾き検出部の一例に相当する。上記実施形態で例示したS60及びS70を実行する制御・通信部7は、本開示でいうデータ出力部の一例に相当する。上記実施形態で例示したS20を実行する制御・通信部7は、本開示でいう判定部の一例に相当する。
[効果]
上記把持力計測装置1によれば、被験者が把持力計測装置1を片手で把持して、複数のボタン3A~3Eそれぞれに対応する指で各ボタン3A~3Eを押圧すると、ロードセル5A~5Eが、各ボタン3A~3Eに作用する押圧力を検出する。その際、加速度センサ8は、把持力計測装置1の傾きを検出する。
加速度センサ8において検出される把持力計測装置1の傾きは、把持力計測装置1が処理を実行する際に、その処理の中で利用することができる。あるいは、加速度センサ8において検出される把持力計測装置1の傾きは、把持力計測装置1から利用者に対して提供される情報として、把持力計測装置1から出力することができる。
把持力計測装置1が処理を実行する際に、その処理の中で把持力計測装置1の傾きを利用すれば、例えば、把持力計測装置1の傾きに応じて、把持力計測装置1の動作態様を変更することができる。
より具体的な例を挙げれば、例えば、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にある場合には、ロードセル5A~5Eによる押圧力の検出を実行するように構成する。一方、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にない場合には、エラーを出力するように構成する。このような構成を採用すれば、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にない状態で把持力の測定が行われるのを抑制することができる。
また、例えば、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にある場合には、押圧力の検出結果を把持力計測装置1とは別の外部装置へ伝送するように構成する。一方、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にない場合には、押圧力の検出結果を外部装置へ伝送しないように構成する。このような構成を採用すれば、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にない状態で把持力の測定が行われた場合に、そのような測定データが無駄に外部装置へ伝送されるのを抑制し、把持力計測装置1及び外部装置のそれぞれにかかる負荷を軽減することができる。
また、把持力計測装置1の傾きが把持力計測装置1から出力されて利用者に提供されれば、利用者は、利用者は把持力計測装置1の傾きと各ボタン3A~3Eに作用する押圧力との双方に基づいて、測定結果についての検討及び考察を行うことができる。
より具体的な例を挙げれば、例えば、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にある場合には、利用者は相対的に信頼性の高い計測結果であると判断することができる。一方、把持力計測装置1の傾きが所定の範囲内にない場合には、利用者は相対的に信頼性の低い計測結果であると判断することができる。この場合、計測のやり直しを行う、あるいは信頼性の低いデータは無視する等の対応を取ることができる。
[他の実施形態]
以上、把持力計測装置について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本開示の一態様として例示されるものにすぎない。すなわち、本開示は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、傾き検出部の一例として加速度センサ8を例示したが、加速度センサとは異なる傾斜センサで傾き検出部を構成してもよい。加速度センサとは異なる傾斜センサの例としては、例えば、電解液式(静電容量方式)傾斜センサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)式傾斜センサ、水晶式傾斜センサ等を利用することができる。
また、上記実施形態では、ロール角φが-30°≦φ≦30°となる場合を有効範囲として、把持力計測装置1が適正な傾きで使用されているか否かを判断するように構成してあったが、有効範囲とすべき数値範囲は、上述の例に限定されない。例えば、ロードセル5A~5Eの構造や寸法の違いに起因する特性の違いに応じて、更に有効範囲が拡がる場合、更に有効範囲が狭まる場合、どちらもあり得るので、そのような特性の違いを考慮して有効範囲を設定すればよい。
また、本実施形態の場合は、ピッチ角θが変化しても測定結果に影響がなかったため、ロール角φについて有効範囲を設定したが、有効範囲の設定対象はロール角φに限定されない。例えば、把持力計測装置1の構造等の違いに起因して、ピッチ角θが測定結果に影響するのであれば、ピッチ角θについて有効範囲を設定してもよい。
また、上記実施形態では、押圧力データと傾きデータとを対応づけて外部装置へ出力していたが、傾きデータが外部装置側で不要であれば押圧力データだけを出力してもよい。なお、この場合でも、加速度センサ8で把持力計測装置1の傾きを検出して、傾きが有効範囲内になければエラーを出力することはできるので、加速度センサ8を有効に利用することができる。
あるいは、押圧力データと傾きデータとを対応づけて外部装置へ出力するのであれば、把持力計測装置1の傾きが有効範囲内にあるか否かを判断する構成を省略してもよい。この場合、把持力計測装置1の傾きが有効範囲内になくても、把持力計測装置1がエラーを出力することはできなくなるが、外部装置へは傾きデータが出力されるので、把持力計測装置1の傾きに問題があるか否かを、外部装置側で事後的に判断できる。換言すれば、把持力計測装置1の傾きに問題があるか否かを、把持力計測装置1がリアルタイムで判断してエラーを出力してもよいが、外部装置へ傾きデータを出力しておけば、同様の判断を外部装置で実施できる。よって、本開示でいう判定部を採用するか否かは任意である。
さらに、傾き検出部としては、把持力計測装置1が所定以上に傾いたときにオン/オフが切り替わるように構成されたチルトスイッチを用いてもよい。把持力計測装置1が所定以上に傾い際にチルトスイッチがオフに切り替われば、これ契機として、把持力計測装置1の動作を完全に停止させることができる。
なお、上記実施形態で例示した1つの構成要素によって実現される複数の機能を、複数の構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した1つの構成要素によって実現される1つの機能を、複数の構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した複数の構成要素によって実現される複数の機能を、1つの構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現してもよい。上記実施形態で例示した構成の一部を省略してもよい。
1…把持力計測装置、2…本体部、3A~3E…ボタン、4…電源スイッチ、5A~5E…ロードセル、6…制御基板、7…制御・通信部、8…加速度センサ、9A~9E…アンプ、10…警告灯、11…治具、12…フレーム、13A~13E…押圧子。

Claims (5)

  1. 把持力計測装置であって、
    本体部と、複数の被押圧部と、押圧力検出部と、傾き検出部と、を備え、
    前記複数の被押圧部は、前記本体部の外側に配置され、各被押圧部が被験者の五指のいずれかに対応しており、被験者が前記把持力計測装置を片手で把持する際に、各被押圧部に対応する指で各被押圧部を押圧可能に構成され、
    前記押圧力検出部は、前記複数の被押圧部が押圧される際に各被押圧部に作用する押圧力を検出可能に構成され、
    前記傾き検出部は、前記把持力計測装置の傾きを検出可能に構成され
    前記押圧力検出部によって検出される前記押圧力を示す押圧力データと、前記傾き検出部によって検出される前記把持力計測装置の傾きを示す傾きデータとを対応づけて出力可能に構成されるデータ出力部、
    を備え、
    前記傾き検出部によって検出される前記把持力計測装置の傾きが、所定のしきい値以下であるか否かを判定可能に構成される判定部、
    を備える、
    把持力計測装置。
  2. 請求項1に記載の把持力計測装置であって、
    前記データ出力部は、前記判定部によって前記傾きが前記しきい値以下であると判定された場合に、前記押圧力データ及び前記傾きデータを出力し、前記判定部によって前記傾きが前記しきい値以下ではないと判定された場合に、前記押圧力データ及び前記傾きデータを出力しないように構成される、
    把持力計測装置。
  3. 把持力計測装置であって、
    本体部と、複数の被押圧部と、押圧力検出部と、傾き検出部と、を備え、
    前記複数の被押圧部は、前記本体部の外側に配置され、各被押圧部が被験者の五指のいずれかに対応しており、被験者が前記把持力計測装置を片手で把持する際に、各被押圧部に対応する指で各被押圧部を押圧可能に構成され、
    前記押圧力検出部は、前記複数の被押圧部が押圧される際に各被押圧部に作用する押圧力を検出可能に構成され、
    前記傾き検出部は、前記把持力計測装置の傾きを検出可能に構成され、
    前記傾き検出部によって検出される前記把持力計測装置の傾きが、所定のしきい値以下であるか否かを判定可能に構成される判定部、
    を備え、
    前記押圧力検出部によって検出される前記押圧力を示す押圧力データを、出力可能に構成されるデータ出力部、
    を備え
    前記データ出力部は、前記判定部によって前記傾きが前記しきい値以下であると判定された場合に、前記押圧力検出部によって検出される前記押圧力を示す押圧力データを出力し、前記判定部によって前記傾きが前記しきい値以下ではないと判定された場合に、前記押圧力データを出力しないように構成される、
    把持力計測装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の把持力計測装置であって、
    前記傾き検出部は、加速度センサによって構成される、
    把持力計測装置。
  5. 把持力計測装置と外部装置とを備える把持力計測システムであって、
    前記把持力計測装置は、
    本体部と、複数の被押圧部と、押圧力検出部と、傾き検出部と、を備え、
    前記複数の被押圧部は、前記本体部の外側に配置され、各被押圧部が被験者の五指のいずれかに対応しており、被験者が前記把持力計測装置を片手で把持する際に、各被押圧部に対応する指で各被押圧部を押圧可能に構成され、
    前記押圧力検出部は、前記複数の被押圧部が押圧される際に各被押圧部に作用する押圧力を検出可能に構成され、
    前記傾き検出部は、前記把持力計測装置の傾きを検出可能に構成され、
    前記押圧力検出部によって検出される前記押圧力を示す押圧力データと、前記傾き検出部によって検出される前記把持力計測装置の傾きを示す傾きデータとを対応づけて出力可能に構成されるデータ出力部、
    を備えており、
    前記外部装置は、
    前記傾き検出部によって検出される前記把持力計測装置の傾きが、所定のしきい値以下であるか否かを判定可能に構成される判定部、
    を備えている
    把持力計測システム。
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