JP7659375B2 - 導電性組成物およびそれを用いた導電体、積層構造体並びに電子部品 - Google Patents
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Description
[2] 前記(A)水溶性熱可塑性樹脂と前記(B)エラストマーとの割合が、質量基準において15:85~95:5の範囲である、[1]に記載の導電性組成物。
[3] 前記(B)エラストマーが、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリ酢酸ビニル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であって、SP値が9(J/cm3)1/2以上、12(J/cm3)1/2未満である、[1]または[2]に記載の導電性組成物。
[4] 前記(A)水溶性熱可塑性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリオキサゾリン、およびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であって、SP値が12(J/cm3)1/2以上、15(J/cm3)1/2以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の導電性組成物。
[5] 導電体の形成に使用される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の導電性組成物。
[6] [1]~[5]のいずれか一項に記載の導電性組成物を固化させてなる、導電体。
[7] 基材上に、[6]に記載の導電体からなる層を設けてなる、積層構造体。
[8] [6]に記載の導電体からなる層、または[7]に記載の積層構造体を備えてなる、電子部品。
本発明の導電性組成物は、(A)水溶性熱可塑性樹脂、(B)エラストマー、(C)導電性粒子を含む導電性組成物であり、水の含有量が1質量%以下であることに特徴を有するものである。バインダーとして(B)エラストマーと(A)水溶性熱可塑性樹脂とを併用することにより導電性や伸縮性を兼ね備えた導電体等を得ることができる。また、導電性組成物を固化させて導電体とした場合であってもバインダーが水に溶解し、水洗浄により導電体を下地基材から容易に剥離することができる。さらに、組成物中の水の含有量を1質量%以下とすることで、導電性組成物中の成分同士の相溶性が良好で、プロセス中に水が乾燥することで導電性組成物の流動性が悪化することがなく、特に印刷性や加工性に優れた導電性組成物を得ることができる。この理由は必ずしも定かではないが、各成分の相溶性が向上したことによるものと推測される。
本発明による導電性組成物に含まれる水溶性熱可塑性樹脂は、室温において水溶性と熱可塑性を有する材料であれば特に制限なく使用することができ、例えば熱可塑性水溶性樹脂、水溶性タンパク質、水溶性ブロック共重合体等を好適に使用することができる。
SP値=(△H/V)1/2
(式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。)
本発明による導電性組成物に含まれる(B)エラストマーは、25℃以下のガラス転移温度(以下、Tgと略す。)を有する材料であれば特に制限なく使用することができ、例えばゴム、熱可塑性エラストマー、官能基含有エラストマー、ブロック共重合体等を好適に使用することができる。
但し、昇温速度や温度については、40℃以上で観測されるTgは、具体的には、示差走査熱量計(DSC-6100、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを25℃から毎分10℃の昇温速度で200℃まで昇温を複数回繰り返すことで安定させたDSC曲線から得られる。なお、リファレンスにはα-アルミナを用いる。
また、40℃未満で観測されるTgは、示差走査熱量計(DSC-6100、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを-100℃から毎分20℃の昇温速度で100℃まで昇温を複数回繰り返すことで安定させたDSC曲線から得られる。なお、リファレンスは上記と同様にα-アルミナを用いる。
引っ張り破断伸び率(%)=(破断点伸び(mm)-初期寸法mm)/(初期寸法mm)×100
本発明の導電性組成物に使用される(C)導電性粒子としては、導電性組成物に使用される従来公知の材料を使用することができ、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等の炭素粒子、銅粒子、ニッケル粒子、銀粒子等の金属粒子、WC、B4C、ZrC、NbC、MoC、TiC、TaC等の金属炭化物、TiN、ZrN、TaN等の金属窒化物、WSi2、MoSi2等の金属ケイ化物などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記した(C)導電性粒子のなかでも、銀粒子やケッチェンブラックを好適に使用することができる。
すなわち、
銀の密度をρ0(g/cm3)とし、
質量M(g)の銀粉に、1kg重の荷重をかけたときの銀粉体積をV(cm3)とした場合に、みかけ密度ρ(g/cm3)は、
ρ=M/V
と定義され、みかけ密度から、下記式によりみかけ空隙率(P)を算出することができる。
P=(1-ρ/ρ0)×100
なお、銀の密度ρ0は10.49g/cm3であり、1kg重荷重時の銀粉体積Vは、荷重を付加してから1時間経過した後の銀粉体積とする。
本発明の導電性組成物は、組成物の調整のため、または基板に塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
上述した導電性組成物は、固化させて導電体とすることができる。例えば、導電性組成物からなる塗布膜を形成し、乾燥、固化させることにより導電体の層とすることができる。導電性組成物の固化は、導電性組成物を乾燥または熱処理することで行われる。熱処理の例は、熱風乾燥または熱硬化である。熱処理に先立ち、成形を行ってもよい。例えば、導電体の層は、基材上に上記の導電性組成物を所望の形状となるように塗布した後、固化させることにより導電体の層を得ることができる。導電体の層は、使用される用途に応じた種々の形状であってよい。例えば、導体回路および配線などに好適に適用できる。
上述した導電体は、複数の層を形成することで積層構造体とすることができる。積層構造体の形成方法に特に制限はないが、例えば導電性組成物を固化して得られる導電体を熱や圧力またはその両方によって張り合わせても良いし、導電体の上に導電性組成物を塗布したのち固化させても良い。積層構造体は金属層、絶縁層、保護層、接着層、粘着層、空隙層など上述した導電体以外の層を備えても良い。
上述した導電体や積層構造体を構成要素として電子部品を形成することができる。上述した導電体や積層構造体を構成要素とする電子部品であれば構造、形成方法、用途などに特に制限はないが、あえて用途を例示するとすればセンサー、アクチュエータ、コンデンサー、インダクター、トランジスタ、コンバータ、サーミスタ、コネクター、トランス、キャパシタ、ダイオード、レギュレーター、モーター、アンテナ、スイッチ等であり、これら複数の用途を併せ持つものでも良い。
人間を含めた動植物から発生する活動電位/生体情報を取得/伝達する為に身に着けるウェアラブル生体センサー用配線材料として、本発明の導電体を適用することができる。センサーの装着箇所は、人間を含めた動植物の表層組織に密着ないしは近接する場所であることが必須となるが、表層組織は伸び縮みが発生する。従来の硬質基板やフレキシブル基板では、伸び縮みする装着箇所への追従性が無く、センサーの装着箇所も限定的となり、結果として得られる生体情報も限られていた。本発明の導電体によれば、人間を含めた動植物の表層組織にもセンサー用配線材料を適用できるため、伸び縮みが発生する箇所にも装着可能なウェアラブル生体センサーとすることができる。
近年、布帛生地をセンサーとして用いるいわゆる「スマートテキスタイル」という分野広がりを見せつつある。本発明の導電体を用いて伸縮性があり熱圧着等が可能な基材上に配線形成を行なった配線板ないしセンサーは、伸縮時での電気抵抗の安定性に優れているため、伸縮性を持つ布帛生地の表面に貼りつけることで、エレクトロニクス・デバイスの機能を持った布帛生地、すなわちスマートテキスタイルの開発が可能となる。スマートテキスタイルとしては、感圧センサーやタッチセンサー、アンテナ配線等の機能を布帛生地に付与することができる。
従来のFIM(フィルム・インサート・モールド成型)工法による電子機器の筐体等向けのプラスチック成型品では、ポリカーボネート等のプラスチックフィルムをベース基材とし、意匠印刷の後、熱プレス加工したものが採用されている。本発明の導電体を伸縮性の基材上に設けた積層構造体からなる導体配線は伸長時の断線が無く、抵抗値変化が抑制されている特性を持つため、プラスチック成型品の意匠印刷時に導体配線を形成し、その後の熱プレス(部分的に伸びが発生)による成型加工を行なうことで3D形状の配線を内蔵したエレクトロニクス・デバイスを実現することができる。
本発明の導電体の層を伸縮性の基材上に設けた積層構造体からなる導体配線は、伸縮変形可能な配線板シートとして利用することができる。例えば、このような導体配線を成型加工品などの立体的形状を持つ対象物の表面へ、配線の断線を発生させること無く、伸張ないし変形させながら対象物に貼りつけることが可能となる。したがって、本発明の導電体の層を伸縮性の基材上に設けた積層構造体は、感圧センサーやタッチセンサー、またはアンテナ配線用として好適に利用することができる。
従来の導電性ペーストを使ったフレキシブル配線シートないし配線基板では、爪折りという極端な折り曲げを行なった際、配線の断線が発生するという事象が発生する。この点本発明の導電体を使用した場合、伸び特性を持たせた導電材料であることから、これまでの導電ペーストでは対応仕切れなかった領域の折り曲げ性にも対応することができ、爪折り時でも、配線の断線は発生しないフレキシブル配線シートないし配線基板を実現することができる。
導電性組成物を調製するための(A)水溶性熱可塑性樹脂として、以下の2種を準備した。
・樹脂A:ポリビニルピロリドン(株式会社日本触媒製 ポリビニルピロリドンK-30、SP値13(J/cm3)1/2、重量平均分子量100,000)
・樹脂B:ポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社製 PEO-1、SP値13(J/cm3)1/2、重量平均分子量200,000)
各樹脂を日本テルペン株式会社製テルピネオールCまたは水に溶解させて、固形分33質量%となるように樹脂溶液を調製した。なお、各樹脂の重量平均分子量は、GPC法(ポリスチレン標準)により測定した。
また、比較のため水溶性熱硬化性樹脂(アイカ工業株式会社製 ショーノールBRL-149、SP値12(J/cm3)1/2)を準備した。
導電性組成物を調製するための(B)エラストマーとして、以下の2種のエラストマーを準備した。
エラストマーA:アクリルブロック共重合体(アルケマ社製 M52、SP値10(J/cm3)1/2、重量平均分子量50,000)
エラストマーB:EPDMゴム(三井化学株式会社製 EPT3045、SP値8(J/cm3)1/2、重量平均分子量300,000)
エラストマーAをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解させて、固形分50質量%となるように樹脂溶液を調製した。また、エラストマーBをメチルナフタレンに溶解させて、固形分30質量%となるように樹脂溶液を調製した。なお、各エラストマーの重量平均分子量は、GPC法(ポリスチレン標準)により測定した。
上記した樹脂A、B、水溶性熱硬化性樹脂、およびエラストマーA、Bの各SP値は、Polymer Engineeringand Science,Feburuary,1974,Vol.14,No.2,147~154Pに記載のFedors法によって計算される値であり、次式により算出した。
SP値=(△H/V)1/2
(式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。)
導電性組成物を調製するための(C)導電性粒子として、以下の2種の導電性粒子を準備した。
導電性粒子A:銀粉(福田金属箔粉工業株式会社製 シルベストAgC-G、平均一次粒子径0.5μm、みかけ空隙率83%、DBP吸油量90ml/100g)
導電性粒子B:カーボンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 EC300J、平均一次粒子径39.5μm、みかけ空隙率91%、DBP吸油量360ml/100g)
なお、導電性粒子AおよびBの各平均一次粒子径は、を走査型電子顕微鏡にて10,000倍の倍率で観察し、ランダムに10個の一次粒子を抽出し、その粒子径を測定して得られた平均値を算出することにより求めた。また、みかけ空隙率は、導電性粒子Aの密度ρ0を10.49g/cm3、導電性粒子Bの密度を2.2g/cm3として、上記の式:P=(1-ρ/ρ0)×100から算出した。さらに、DBP吸油量は、JIS K 6217-4:2017に準拠して測定した。
上記した(C)導電性粒子と各樹脂溶液とを、下記表1に示した組成に従って配合し、攪拌機にて予備撹拌混合した後、3本ロールミル(EXAKT社製、EXAKT50)を用いて、3本ロールミルの混練回数、回転速度、ロール間隔等の条件を変えて混練することで、実施形態に係る導電性組成物を得た。なお、表1中の配合量の数値は、固形分換算での質量部を表す。
導電性組成物中の水分量は、試料1gを測定用石英セルに乗せ25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、京都電子工業株式会社製カールフィッシャー水分計MKC-710Mを用いて、併設した水分気化装置にて試料を200℃で加熱し気化した水分を送り込み測定した。
(1)連続印刷性の測定
各導電性組成物を、PETフィルム基材(東レ株式会社製ルミラー)にスクリーン印刷で塗布した際、連続で印刷可能であった枚数を測定した。以下の評価基準に基づいて連続印刷性の評価を行った。
◎:100枚以上の連続印刷が可能
○:10枚以上、100枚未満の連続印刷が可能
×:樹脂成分の分離、版詰まり、導電性組成物はじきなどが起きて印刷不可
評価結果は表1に示されるとおりであった。
各導電性組成物を、基材にスクリーン印刷で塗布し、80℃で30分間熱処理して導電体を得た。基材としては、PETフィルム(東レ株式会社製ルミラー)を使用した。得られた導電体の両端の抵抗値を4端子法で測定し、さらに線幅、線長および厚さを測定し、比抵抗(体積抵抗率)を求めた。測定結果は表1に示されるとおりであった。なお、導電性組成物がスクリーン版に弾かれる、印刷中に導電性組成物が乾燥スクリーン版の目詰まりを起こすなどの理由で導電体を形成できず測定できなかった場合は、※と記入した。
各導電性組成物を、基材にスクリーン印刷で塗布し、80℃で30分間熱処理して、線幅1mm、厚さ20μm、長さ40mmの導電体を基材上に形成した。基材としては、弾性率が30MPaのウレタン基材(大倉工業株式会社製、ES85、厚さ100μm)を使用した。
導電体を形成した基材を5mm/秒の速度で20%の伸張度となるまで伸張した後、その状態で15秒保持し導電体の比抵抗(体積抵抗率)を測定し、以下の評価基準に基づいて、導電体の伸張時の導電性を評価した。
◎:20%伸張時の比抵抗が、初期値(非伸張時)に対して10倍以下
○:20%伸張時の比抵抗が、初期値(非伸張時)に対して10倍超100倍以下
×:20%伸張時の比抵抗が、初期値(非伸張時)に対して100倍超(断線を含む)
評価結果は表1に示されるとおりであった。なお、導電性組成物がスクリーン版に弾かれる、印刷中に導電性組成物が乾燥スクリーン版の目詰まりを起こすなどの理由で導電体を形成できず測定できなかった場合は、※と記入した。
各導電性組成物を、基材にスクリーン印刷で塗布し、80℃で30分間熱処理して導電体を得た。基材としては、PETフィルム(東レ株式会社製ルミラー)を使用した。得られた導電体を40℃水に30秒間浸漬し、変化の様子を目視にて観察した。以下の評価基準に基づいて、導電体の水への溶解性を評価した。
◎:導電体が自然に崩壊
○:試験後、指で触れると導電体が崩壊
×:試験後、指で触れても導電体保持
評価結果は表1に示されるとおりであった。なお、導電性組成物がスクリーン版に弾かれる、印刷中に導電性組成物が乾燥スクリーン版の目詰まりを起こすなどの理由で導電体を形成できず測定できなかった場合は、※と記入した。
Claims (7)
- (A)水溶性熱可塑性樹脂、(B)エラストマー、および(C)導電性粒子を少なくとも含んでなり、水の含有量が1質量%以下であり、
前記(A)水溶性熱可塑性樹脂と前記(B)エラストマーとの割合が、質量基準において15:85~95:5の範囲であり、
前記(C)導電性粒子の配合量が、導電性組成物の不揮発成分を基準として5~90質量%の範囲である、ことを特徴とする、導電性組成物。 - 前記(B)エラストマーが、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリ酢酸ビニル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であって、SP値が9(J/cm3)1/2以上、12(J/cm3)1/2未満である、請求項1に記載の導電性組成物。
- 前記(A)水溶性熱可塑性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリオキサゾリン、およびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であって、SP値が12(J/cm3)1/2以上、15(J/cm3)1/2以下である、請求項1または2に記載の導電性組成物。
- 導電体の形成に使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性組成物を固化させてなる、導電体。
- 基材上に、請求項5に記載の導電体からなる層を設けてなる、積層構造体。
- 請求項5に記載の導電体からなる層、または請求項6に記載の積層構造体を備えてなる、電子部品。
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