本開示の一形態に係る情報処理装置は、プロセッサと、メモリと、を備え、前記プロセッサは、前記メモリを用いて、建物を構成する構造物、前記建物に配置される換気設備及び前記建物に設置される建具を含む前記建物のオブジェクトに関する情報と、前記建物のオブジェクトに関する情報を用いて生成された前記建物のモデルとを含む建築データを格納する第1データベースから、前記モデルにおける第1空間を構成する前記建物の第1オブジェクトに関する情報を取得し、前記第1データベースと異なる第2データベースであって前記第1データベースに含まれない情報かつシミュレーションを行うための情報である補填情報を格納する第2データベースから、前記第1空間における前記補填情報として前記第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を取得し、取得した前記空気の流出入に関する情報を用いてシミュレーションを行うことにより、前記第1空間における空質を示す空質情報を算出する。
これにより、第1データベースから、BIMデータに含まれる建物のモデルにおける第1空間を構成する建物の第1オブジェクトに関する情報を取得するとともに、第2データベースから、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を取得できる。この結果、空気の流出入に関する情報を用いてシミュレーションを行って、空気齢分布など第1空間における空質を示す空質情報を算出することができる。
ここで、例えば、前記第1オブジェクトに関する情報は、前記モデルにおける前記第1空間を構成する前記構造物の開口部に設置される建具オブジェクトに関する情報を含み、前記建具オブジェクトに関する情報は、前記建具オブジェクトの識別子、大きさ及び配置情報を少なくとも含んでもよい。また、前記第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、前記建具オブジェクトに示される建具が実際に前記第1空間を構成する前記構造物の開口部に設置される場合における、前記開口部と前記建具との間の隙間空間に関する情報を含み、前記隙間空間に関する情報は、前記隙間空間の位置、大きさ、流出入量及び流出入の向きの情報を少なくとも含んでもよい。
これらにより、建物の設計段階において、第1空間の流体等の解析を、シミュレーションを用いて高精度に行うことができるので、高精度に空質情報を算出できる。
また、例えば、前記建具オブジェクトは、扉オブジェクトまたは窓オブジェクトであり、前記第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、さらに、前記建具オブジェクトの開閉状態を含んでもよい。
これにより、窓オブジェクトまたは扉オブジェクトの状態が開状態または閉状態であることに応じて変化する第1空間の空質情報を算出できる。さらに、変化する空質情報を用いることで、空質が変化しても所定の空質条件を満たすように、換気設備を含む建物のオブジェクトの配置、製品を最適化できる。この結果、所定の空質条件を満たしつつも、換気設備が費やすエネルギーを最小限とすることが可能となる。
また、例えば、前記第1オブジェクトに関する情報は、前記モデルにおける前記第1空間を構成する前記構造物の開口部に設置される換気設備オブジェクトに関する情報を含んでもよい。また、前記第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、前記換気設備オブジェクトに示される換気設備が実際に前記第1空間を構成する前記構造物の開口部に設置される場合における、前記換気設備が有する空気が流出入する通気孔に関する情報を含み、前記通気孔に関する情報は、前記通気孔の位置、大きさ、流出入量及び流出入の向きの情報を少なくとも含んでもよい。
これらにより、建物の設計段階において、第1空間の流体等の解析を、シミュレーションを用いて高精度に行うことができるので、高精度に空質情報を算出できる。
また、例えば、前記第1オブジェクトに関する情報は、さらに、前記換気設備オブジェクトに適用される換気設備の製品シリーズのそれぞれに関する情報を含み、前記製品シリーズのそれぞれに関する情報には、前記製品シリーズのそれぞれの識別子、大きさ、能力が含まれ、前記プロセッサは、さらに、前記空質情報を算出する際、前記換気設備オブジェクトに前記製品シリーズのそれぞれが適用される場合の前記シミュレーションを行うことで、前記製品シリーズのそれぞれにおける空質を算出し、算出した前記空質のうち最もよい空質を示す前記製品シリーズのうちの製品を適用した前記換気設備オブジェクトに前記モデルを更新してもよい。
これにより、換気設備オブジェクトに適用される換気設備の製品シリーズのそれぞれに応じて変化する第1空間の空質情報を算出できる。さらに、算出した空質情報に基づき、製品シリーズの製品のうち、所定の空質条件を満たす製品を、換気設備オブジェクトに適用することで、換気設備オブジェクトを最適化することができる。この結果、所定の空質条件を満たしつつも、換気設備が費やすエネルギーを最小限とすることが可能となる。
また、例えば、前記プロセッサは、さらに、前記空質情報を算出する際、前記換気設備の前記第1空間内の配置を異ならせた場合の前記シミュレーションを行うことで、前記配置を異ならせた場合における空質を算出し、前記異ならせた配置のうち、算出した前記空質のうち最もよい空質を示す配置となるように前記換気設備の配置を修正した前記モデルに更新してもよい。
これにより、算出した空質情報に基づき、換気設備オブジェクトの配置を最適化することができる。
ここで、例えば、前記モデルと前記建物のオブジェクトに関する情報とは、BIM(Building Information Modeling)データに含まれる。
また、本開示の一形態に係る情報処理方法は、コンピュータが行う情報処理方法であって、建物を構成する構造物、前記建物に配置される換気設備及び前記建物に設置される建具を含む前記建物のオブジェクトに関する情報と、前記建物のオブジェクトに関する情報を用いて生成された前記建物のモデルとを含む建築データを格納する第1データベースから、前記モデルにおける第1空間を構成する前記建物の第1オブジェクトに関する情報を取得し、前記第1データベースと異なる第2データベースであって前記第1データベースに含まれない情報かつシミュレーションを行うための情報である補填情報を格納する第2データベースから、前記第1空間における前記補填情報として前記第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を取得し、取得した前記空気の流出入に関する情報を用いてシミュレーションを行うことにより、前記第1空間における空質を示す空質情報を算出する。
また、本開示の一形態に係るプログラムは、建物を構成する構造物、前記建物に配置される換気設備及び前記建物に設置される建具を含む前記建物のオブジェクトに関する情報と、前記建物のオブジェクトに関する情報を用いて生成された前記建物のモデルとを含む建築データを格納する第1データベースから、前記モデルにおける第1空間を構成する前記建物の第1オブジェクトに関する情報を取得し、前記第1データベースと異なる第2データベースであって前記第1データベースに含まれない情報かつシミュレーションを行うための情報である補填情報を格納する第2データベースから、前記第1空間における前記補填情報として前記第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を取得し、取得した前記空気の流出入に関する情報を用いてシミュレーションを行うことにより、前記第1空間における空質を示す空質情報を算出する、ことをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
(実施の形態1)
[ハードウェア構成]
図1は、本実施の形態における情報処理装置1の一例を示す図である。
情報処理装置1は、パーソナルコンピュータなどから構成され、BIMデータを生成する。情報処理装置1は、第1データベースから、オブジェクトデータ及び配置情報を取得し、取得したオブジェクトデータ及び配置情報等に基づいて、BIMで生成されるモデルを生成する。情報処理装置1は、生成したモデルをBIMデータに含めて第1データベースに保存する。
また、情報処理装置1は、建物の設計段階において、第1データベースに保存されているBIMデータと、第1データベースと異なる第2データベースに保存されているBIMデータに不足しているデータ(以下、補填データと称する)を用いて、空間の流体等の解析を高精度に行う。情報処理装置1は、空間の流体等の解析をシミュレーションを用いて高精度に行うことで、建物の空間の空気齢分布、温度分布など建物の空間の空質を算出する。
図2は、本実施の形態における情報処理装置1の構成を示す図である。
情報処理装置1は、入力部10、演算回路11、メモリ12、出力部13、記憶部14、通信部15、建築設計DB16、及び、解析設計DB17を備える。
入力部10は、ユーザによる入力操作を受け付けるHMI(Human Machine Interface)としての機能を有し、例えばキーボード、マウス、タッチセンサ、タッチパッドなどを備える。
演算回路11は、メモリ12に展開されたプログラム104aを実行する回路であって、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。演算回路11は、プログラム104aを実行するときには、記憶部14に格納されている各テンポラリーデータ104bを用いてもよい。
メモリ12には、演算回路11によって読み出されて展開されたプログラム104aが一時的に保存される。このようなメモリ12は、例えば揮発性のRAM(Random Access Memory)である。
出力部13は、画像または文字などを表示するディスプレイを有し、そのディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。なお、出力部13は、画像または文字などを印刷するプリンタを有していてもよく、演算回路11から出力されるデータを記憶部14に格納する機能を有していてもよい。また、出力部13は、ヘッドマウントディスプレイなどであってもよく、演算回路11から出力されるデータを、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)MR(Mixed Reality)などのXRとして出力してもよい。
記憶部14は、演算回路11への各命令が記述されたプログラム(すなわちコンピュータプログラム)104aを格納している。また、記憶部14には、その演算回路11の処理によって一時的に生成される各テンポラリーデータ104bが格納されてもよい。なお、このような記憶部14は、不揮発性の記録媒体であって、例えば、ハードディスクなどの磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリなどである。なお、プログラム104aは、例えば、リムーバブルメディアまたはネットワークを介して、情報処理装置1に提供され、記憶部14に格納される。リムーバブルメディアは、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリなどである。このため、通信部15は、リムーバブルメディアのプログラム104aを読み込むインターフェースを備えていてもよい。
通信部15は、情報処理装置1の外部にある機器と通信する。その通信は、無線通信であっても、有線通信であってもよい。無線通信の方式は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、またはZigBeeであってもよく、その他の方式であってもよい。例えば、通信部15は、外部にある機器と通信し、その機器が有するデータセットを受信する。
建築設計DB16は、記憶部14と同様に、不揮発性の記録媒体であって、例えば、ハードディスクなどの磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリなどである。建築設計DB16は、第1データベースの一例である。建築設計DB16は、建築データ162を含む演算必要データ161及び秘匿データ163を格納する。例えば、演算回路11は、外部の機器からネットワーク及び通信部15を介して建築データ162と秘匿データ163を取得して、取得した建築データ162及び秘匿データ163を建築設計DB16に格納する。建築データ162には、例えば、建物を構成する構造物、建物に配置される換気設備及び建物に設置される建具を含む建物のオブジェクトに関する情報が含まれる。つまり、建築データ162は、建物の設計に必要なデータであり、例えばBIMデータを含む。演算回路11は、建物のオブジェクトに関する情報を用いて建物の3Dモデルが生成した場合、生成した建物の3Dモデルを、BIMデータに格納する。
秘匿データ163は、当該建物のユーザに関するデータであり、例えばお客様情報など建築設計者が秘匿したいデータである。
なお、本実施の形態では、記憶部14と建築設計DB16とは互に異なる記録媒体であるが、記憶部14及び建築設計DB16は、それらを含む1つの記録媒体として構成されていてもよい。
解析設計DB17は、記憶部14と同様に、不揮発性の記録媒体であって、例えば、ハードディスクなどの磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリなどである。解析設計DB17は、第1データベースと異なる第2データベースの一例であり、外部に存在していてもよい。解析設計DB17は、建築設計DB16に含まれない情報かつシミュレーションを行うための情報を含む補填データを格納する。図2に示す例では、補填データ(補填情報)は、材料物性補填データ171とギャップ補填データ172とを含む。
なお、図2では、第1データベースの一例として、1つの建築設計DB16が示され、第1データベースの一例として、1つの解析設計DB17が示されているが、これに限らない。建築設計DB16は、建築データ162が分散して記憶されている複数のデータベースからなっていてもよい。同様に、解析設計DB17は、材料物性補填データ171とギャップ補填データ172とが分散して記憶されている複数のデータベースからなっていてもよい。つまり、演算回路11が利用できるデータベースは、3つ以上であってもよい。
[BIMデータ]
図3は、本実施の形態に係るBIMデータの構成の一例を示す図である。
本実施の形態に係るBIMデータは、図2に示す建築データ162に含まれる外部にある機器から取得できる。BIMデータは、オブジェクトデータ、配置情報、及び建物の3Dモデルを含む。また、BIMデータは、建物のオブジェクトに関する情報が含まれていてもよい。
BIMは、オブジェクトデータ及びオブジェクトデータに対応付けられた配置情報等に基づいて、建物をコンピュータ上の仮想3次元空間(3D空間)で構築し、建物の3Dモデルをコンピュータ上に作成する。BIMでは、企画、設計、施工、及び、維持管理に関する情報が一元化して活用される。このため、BIMを利用することで、設計時の図面の整合性を向上させることができ、さらに修正の手間及び時間を削減することができる。
BIMで作成される建物の3Dモデルは、例えば、建材パーツ、建具といったオブジェクトを含む。オブジェクトは、建材パーツ及び建具等の基礎構造オブジェクト、空調機器の室内機及び換気扇等の換気設備オブジェクト、並びに、扉及び窓等の建具オブジェクトを含む。
基礎構造オブジェクトは、壁、柱、建具などの建物の構造を構成するオブジェクトである。建物の設計段階では、初めに、例えば建物の構想を図面化するために建築物の構造に関する基本設計図を作成する。基本設計において基礎構造オブジェクトの配置は決定される。BIMデータに含まれる配置情報は、建物内のオブジェクトの位置を示す情報を含んでおり、基礎構造オブジェクトデータと対応づけられている。基礎構造オブジェクトデータ及び基礎構造オブジェクトデータに対応付けられた配置情報に基づいて、建物の3Dモデルが生成される。
換気設備オブジェクトは、給気口、排気口、空調機器、空調機器の室内機、及び、換気扇などの建物の換気に関するオブジェクトである。換気設備オブジェクトのオブジェクトデータは、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)データとも称する。HVACとは、暖房、換気、及び空調を含む空調システムを示す。換気設備オブジェクトは、基礎構造オブジェクトに固定される換気設備のオブジェクトである。換気設備オブジェクトの配置は、実施設計において、決定される。実施設計では、基本設計図に基づいて、換気設備オブジェクト及び建具オブジェクトの具体的な仕様を決定し、決定した仕様を反映した詳細設計図(3Dモデル)を作成する。なお、基本設計時に換気設備オブジェクトの位置が決定されてもよい。
建具オブジェクトは、障子、襖、戸、扉(ドア)及び窓などの建物に配置される建具に関するオブジェクトである。建具オブジェクトの配置は、基本設計時に、換気設備オブジェクトの配置が決定される前に決定される。
オブジェクトは、情報処理装置1で処理の対象となる何らかの実体を示し、オブジェクトデータは、そのオブジェクトを符号と数値とで構成されるまとまりとして表現したものである。オブジェクトデータは、オブジェクトの3D情報、並びに、寸法、素材、性能、材料単価等の属性情報を含む。属性情報は、属性を示す情報であり、オブジェクトに関する固有の情報、特性を示す情報である。オブジェクトデータには、複数のオブジェクトデータが含まれる。
なお、本実施の形態では、建具オブジェクト及び換気設備オブジェクトなどのBIMで生成される建物の3Dモデルを構成するオブジェクトには、固有IDが付与されて、BIMデータに格納されている。そして、オブジェクトの固有IDは、オブジェクトに適用される製品にユニークに割り当てられる。以降、3Dモデルをモデルと称する。
[機能構成]
図4は、図2に示す演算回路11の機能構成を示すブロック図である。
演算回路11は、プログラム104aを実行することによって、建物のモデルを生成するための複数の機能を実現する。具体的には、演算回路11は、取得部112、演算部113、及び結果出力部114を備える。これらの構成要素は、演算回路11によるプログラム104aの実行によって実現される。
演算回路11は、プログラム104aを実行することによって、建物を構成する構造物に関する情報、並びに、建物に配置される換気設備及び建物に設置される建具を含む建物のオブジェクトに関する情報を用いて、BIMで建物のモデル(3Dモデル)を生成するための複数の機能を実現する。
また、演算回路11は、プログラム104aを実行することによって、建物のモデルにおける第1空間の補填データ(補填情報)を用いてシミュレーションを行い、第1空間における空質を示す空質情報を算出する複数の機能を実現する。
[取得部112]
取得部112は、オブジェクトデータを取得する。より具体的には、取得部112は、BIMで建物のモデルを生成するためのデータを取得する。取得部112は、BIMで建物のモデルを生成するためのデータとして、例えば、建物を構成する構造物に関する情報、並びに、建物に配置される換気設備及び建物に設置される建具を含む建物のオブジェクトに関する情報を取得する。
また、取得部112は、建築設計DB16からBIMデータを取得し、解析設計DB17から、BIMデータでは不足している空間の流体、熱等の解析(シミュレーション)を行うためのデータを取得する。本実施の形態では、取得部112は、空間の流体、熱等の解析を行うためのデータとして、例えば、BIMで生成された建物のモデルにおける空間を構成する建物のオブジェクトの空気の流出入に関する情報を、解析設計DB17から取得する。例えば、取得部112は、建築設計DB16から、BIMで生成された建物モデルにおける第1空間を構成する建物の第1オブジェクトに関する情報を取得し、解析設計DB17から、第1空間における補填情報として第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を取得する。
ここで、建物の第1オブジェクトに関する情報は、例えばBIMで生成された建物のモデルにおける第1空間を構成する構造物の開口部に設置される建具オブジェクトに関する情報であってもよい。この場合、建具オブジェクトに関する情報には、建具オブジェクトの識別子、大きさ及び配置情報が少なくとも含まれる。そして、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、建具オブジェクトに示される建具が実際に第1空間を構成する構造物の開口部に設置される場合における、開口部と建具との間の隙間空間に関する情報となる。隙間空間に関する情報には、隙間空間の位置、大きさ、流出入量及び流出入の向きの情報が少なくとも含まれる。
また、建物の第1オブジェクトに関する情報は、例えばBIMで生成された建物のモデルにおける第1空間を構成する構造物の開口部に設置される換気設備オブジェクトに関する情報であってもよい。この場合、換気設備オブジェクトに関する情報には、換気設備オブジェクトの識別子、大きさ及び配置情報が少なくとも含まれる。そして、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、換気設備オブジェクトに示される換気設備が実際に第1空間を構成する構造物の開口部に設置される場合における、換気設備が有する空気が流出入する通気孔に関する情報となる。通気孔に関する情報には、通気孔の位置、大きさ、流出入量及び流出入の向きの情報が少なくとも含まれる。
[演算部113]
演算部113は、BIMで建物のモデルを生成する演算を行う。より具体的には、演算部113は、取得部112が取得したBIMを生成するためのデータを用いて、当該モデルの生成を行う。なお、演算部113は、当該モデルの生成を、クラウド上で行ってもよい。
また、演算部113は、BIMデータと、BIMデータを補填する補填データとを用いて、空間の流体等の解析のシミュレーションを行い、建物の空間における空質を示す空質情報を算出する演算を行う。例えば、演算部113は、モデルにおける第1空間を構成する建物の第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を用いてシミュレーションを行うことにより、第1空間における空質を示す空質情報を算出する。具体的な態様は後述する動作例で説明する。
[結果出力部114]
結果出力部114は、演算部113により得たモデルを出力する。また、結果出力部114は、例えば演算部113により算出された建物の空間の空質を示す空質情報を出力する。
[情報処理装置1の動作]
上記のように構成された情報処理装置1の動作について以下説明する。
図5は、本実施の形態に係る情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、情報処理装置1は、建築データを格納する建築設計DBから、BIMで生成した建物のモデルにおける第1空間を構成する建物の第1オブジェクトに関する情報を取得する(S1)。ここで、建築データには、建物を構成する構造物、建物に配置される換気設備及び建物に設置される建具を含む建物のオブジェクトに関する情報と、建物のオブジェクトに関する情報を用いて生成された建物のモデルとが含まれている。本実施の形態では、建物の第1オブジェクトは、建物のモデルにおける第1空間を構成する構造物の開口部に設置される建具オブジェクトであってもよいし、建物のモデルにおける第1空間を構成する構造物の開口部に設置される換気設備オブジェクトであってもよい。
次に、情報処理装置1は、補填情報を格納する解析設計DBから、第1空間における補填情報として第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を取得する(S2)。ここで、補填情報は、建築設計DB16に含まれない情報かつシミュレーションを行うための情報である。第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、建物のモデルにおける第1空間を構成する構造物の開口部と建具との間の隙間空間の位置、大きさ、流出入量及び流出入の向きの情報を少なくとも含む情報であってもよい。また、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、建物のモデルにおける第1空間を構成する構造物の開口部に設置される換気設備の通気孔の位置、大きさ、流出入量及び流出入の向きの情報であってもよい。
次に、情報処理装置1は、ステップS2で取得した空気の流出入に関する情報を用いてシミュレーションを行うことにより、第1空間における空質を示す空質情報を算出する(S3)。本実施の形態では、第1空間における空質は、例えば第1空間における空気齢分布、または、第1空間における温度分布であるとして説明するが、これに限らない。空質は第1空間における空気質を表せるものであれば空気齢分布および温度分布以外であってもよい。
以下、情報処理装置1の動作例について具体例を挙げて説明する。
図6は、本実施の形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。図7は、本実施の形態の動作例に係る建物のモデルの一例を示す図である。図8は、本実施の形態の動作例に係る建築情報の一例を示す図である。図9は、本実施の形態の動作例に係る材料物性補填情報の一例を示す図である。図10は、本実施の形態の動作例に係るギャップ補填情報の一例を示す図である。
図6に示される動作例は、基本設計時に行われるが、建物の建築物の構造に関する基本設計図の作成は終了している。すなわち、基礎構造オブジェクトの配置情報は決定されており、基礎構造オブジェクトのデータ及びこれらに対応付けられた配置情報から建物のモデルが生成されている。
本動作例では、平面図または立面図により部屋及び廊下などで区画される建物の部屋の形状が決定されており、例えば図7に示す部屋立面図200を含む建物のモデルが生成されている。図7に示す例では、部屋の形状が決定されており、当該部屋の空間を示す空間201に、扉のオブジェクトを示す扉オブジェクト251と、空調機器の室内機のオブジェクトを示す室内機オブジェクト252と、換気扇のオブジェクトを示す換気扇オブジェクト253とが配置されている。なお、室内機オブジェクト252の配置及び換気扇オブジェクト253の配置は、モデル生成のために一旦決定されているが、モデル生成後に配置を変更することも可能である。
まず、情報処理装置1は、図6に示すように、建築設計DB16から、建築情報を取得する(S10)。具体的には、情報処理装置1の取得部112は、建築設計DB16の建築データ162に含まれるBIMデータから、建物のモデルにおける対象空間(第1空間)を構成する建物のオブジェクトに関する情報として建築情報を取得する。
本動作例では、対象空間(第1空間)は、空質情報の算出対象となる部屋(空間)である。情報処理装置1の取得部112は、基本設計時に生成した図7に示す部屋立面図200を含む建物のモデルを構成する建物のオブジェクトに関する情報を、例えば図8に示すように、当該オブジェクトの空間的な配置に関する情報と材料に関する情報とオブジェクト固有IDを含む建築情報として取得する。より具体的には、情報処理装置1の取得部112は、図8に示す例のように、建物ID、部屋ID、空間ID、オブジェクト固有ID、材料物性、配置座標及び大きさなどの情報を含む建築情報を取得する。図8に示す建築情報の例では、B01の建物IDの建物モデルに含まれるR01の空間IDの空間201に紐づくF01の部屋IDの部屋を構成する空間201に含まれる建物のオブジェクトに関する情報が示されている。図8に示す建物のオブジェクトの例として、ABCDのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251、EFGHのオブジェクト固有IDで示される室内機オブジェクト252、及び、IJKHのオブジェクト固有IDで示される換気扇オブジェクト253が示されている。図8に示す配置座標と大きさは、R01の空間IDの空間201に存在する要素である建物のオブジェクトの配置基点と、配置基点を原点としたときのX,Y,Z方向の大きさとして表されている。
なお、図8の例では起点となる配置座標とX,Y,Z方向の大きさとで建物のオブジェクトの配置情報を表しているが、これに限らない。空間の流体等の解析を行うシミュレーションが有するツールにて読み込み可能であるジオメトリを表現するファイルフォーマットであれば、例えばASCIIフォーマットまたはバイナリフォーマットなどのファイルフォーマットを用いて配置情報を表してもよい。
また、情報処理装置1は、建物のモデルから、図7に示すような部屋立面図200を取得しているが、これに限られず、建物のモデルから当該部屋の平面図を取得してもよい。
以下、図6に戻って動作例の続きを説明する。
次に、情報処理装置1は、解析設計DB17から、材料物性補填情報を取得する(S11)。具体的には、情報処理装置1の取得部112は、建築設計DB16と異なるデータベースである解析設計DB17から、建築設計DB16に含まれていない情報かつ空間の流体等の解析を行うシミュレーションに必要な材料物性を示す情報である材料物性補填情報を取得する。
本動作例では、材料物性補填情報は、図8に示す材料物性の詳細情報に該当し、建築設計DB16に含まれていない情報である。情報処理装置1の取得部112は、図8に示す建築情報に含まれるオブジェクト固有IDを用いて、解析設計DB17から、例えば図9に示す材料物性補填情報を取得する。より具体的には、情報処理装置1の取得部112は、図9に示す例のように、図8に示す建築情報に含まれるオブジェクト固有IDにおける材料物性、熱伝導率、比熱、及び密度などの材料物性情報を含む材料物性補填情報を取得する。
図9に示す材料物性補填情報の例では、ABCD、EFGH、IJKHのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251、室内機オブジェクト252、換気扇オブジェクト253における材料物性、熱伝導率、比熱、及び密度などの材料物性情報が示されている。なお、図8に示す材料物性の項目と比較してわかるように、図9に示す材料物性補填情報では、材料物性の項目に加えて、熱伝導率、比熱、及び密度の項目に関する情報が含まれている。
また、情報処理装置1は、オブジェクト固有IDにおける材料物性、熱伝導率、比熱、及び密度などの情報を含む図9に示す材料物性補填情報を取得する場合に限らない。情報処理装置1は、建築設計DB16に含まれていない情報かつ空間の流体等の解析を行うシミュレーションに必要な材料物性を示す情報であれば、材料物性補填情報として取得してもよい。
また、情報処理装置1は、図8に示す建築情報に含まれるオブジェクト固有IDすべてについての材料物性補填情報を取得しなくてもよい。この場合、情報処理装置1は、空間の流体等の解析にとって影響度の高い空気の流出入に関連する建物のオブジェクトのオブジェクト固有IDを示すリストを事前に用意し、ステップS10で取得した建築情報に含まれるオブジェクト固有IDがリストに含まれるかどうかを判定すればよい。そして、情報処理装置1は、当該リスト及び建築情報に含まれるオブジェクト固有IDを用いて、解析設計DB17から、材料物性補填情報を取得すればよい。なお、空気の流出入に関連する建物のオブジェクトは、例えば扉、窓、コンセントなど部屋の内外に空気の流出入を生じさせる隙間空間を有する建具などのオブジェクトである。また、空気の流出入に関連する建物のオブジェクトは、例えば換気扇、空調機器の室内機など動作することで部屋の内外に空気の流出入を生じさせる機能を有する換気設備などのオブジェクトである。
また、建築設計DB16にも、マテリアル情報として建物のオブジェクトそれぞれの材料物性として熱伝導率、比熱、及び、密度の情報が格納されている場合もある。しかしながら、建築設計DB16に格納される材料物性としての情報は、BIMデータを利用する設計者により変更が可能であり、設計者が誤って修正するなど正しい情報が格納されていない可能性もある。これを鑑みて、本実施の形態では、解析設計DB17より空間の流体等の解析を行うシミュレーションに必要な材料物性を示す情報を材料物性補填情報として取得する。
以下、図6に戻って動作例の続きを説明する。
次に、情報処理装置1は、解析設計DB17から、ギャップ補填情報を取得する(S12)。具体的には、情報処理装置1の取得部112は、解析設計DB17から、建築設計DB16に含まれていない情報かつ空間の流体等の解析を行うシミュレーションに必要な空気の流出入に関連する建物のオブジェクトのギャップ補填情報を取得する。ギャップ補填情報は、空気の流出入に関連する建物のオブジェクトの空気の流出入に関する情報に該当し、建築設計DB16に含まれていない情報である。
ここで、空気の流出入は、例えば,空調機器、換気扇、熱交換器などの機器のオブジェクトが動作することによって生じる。また、空気の流出入は、扉の開閉、窓の開閉、開閉式の換気口の開閉などの建物のオブジェクトの状態変化によっても生じる。
空気の流出入に関する情報は、扉の隙間空間または室内機の通気孔などの建物のオブジェクトが有する通気部であって部屋の内外に自然に空気の流出入を生じさせる通気部の情報、または、扉、窓または開閉式の換気口などの建物のオブジェクトの状態変化の情報を含む。
このように、通気部は、隙間空間と通気孔とを含む概念である。隙間空間は、建具オブジェクトに示される建具が実際に空間を構成する構造物の開口部に設置される場合に生じる開口部と建具との間の隙間空間である。換言すると、隙間空間は、3Dモデルで表現された部屋を構成する壁、床または天井といった構造物のオブジェクトの開口部に設置されている建具などのオブジェクトとその開口部との間の隙間の空間である。通気孔は、換気設備を含む機器そのものが持っている空気を流出入させるための孔または空間である。換気設備を含む機器としては、例えば、天井の開口に配置される火災報知機、防災スピーカーの防災機器、ダウンライトなどの照明機器、壁または天井開口に配置されるコンセントなどの機器、並びに、空調機器の室内機などの換気設備がある。
なお、情報処理装置1は、図8に示す建築情報に含まれるオブジェクト固有IDすべてについてのギャップ補填データを取得しなくてもよい。この場合、情報処理装置1は、空間の流体等の解析にとって影響度の高い空気の流出入に関連する建物のオブジェクトのオブジェクト固有IDを示すリストを事前に用意し、ステップS10で取得した建築情報に含まれるオブジェクト固有IDがリストに含まれるかどうかを判定すればよい。そして、情報処理装置1は、当該リスト及び建築情報に含まれるオブジェクト固有IDを用いて、解析設計DB17から、ギャップ補填情報を取得すればよい。
本動作例では、情報処理装置1の取得部112は、図8に示す建築情報に含まれるオブジェクト固有IDを用いて、解析設計DB17から、例えば図10に示すギャップ補填情報を取得する。
より具体的には、情報処理装置1の取得部112は、図10に示す例のように、図8に示す建築情報に含まれるオブジェクト固有IDで示されるオブジェクトのギャップ情報、配置座標、大きさ、風量及び風向きを含むギャップ補填情報を取得する。ギャップ情報には、オブジェクト固有IDで示されるオブジェクトが有する通気部がどのようなものかが示される。配置座標及び大きさには、ギャップ情報で示される通気部のモデル内での配置位置と大きさとが示される。なお、配置座標としてはギャップ情報で示される通気部のモデル内での配置位置(絶対座標)ではなく、解析設計DB17に格納されているX、Y、Z座標のいずれかを0とした配置位置(相対座標)であってもよい。風量及び風向きには、オブジェクト固有IDで示されるオブジェクトが換気設備オブジェクトであれば、ギャップ情報で示される通気部の風量及び風向きが示される。一方で、風量及び風向きには、オブジェクト固有IDで示されるオブジェクトが建具オブジェクトであれば、風量及び風向きは一定値で規定できないため、自然流出入と示される。
図10に示すギャップ補填情報の例では、ABCDのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251、EFGHのオブジェクト固有IDで示される室内機オブジェクト252、及び、IJKHのオブジェクト固有IDで示される換気扇オブジェクト253が示されている。
ここで、ABCDのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251について、建築設計DB16から取得されるBIMデータと解析設計DB17から取得されるギャップ補填データとの差について説明する。
図11Aは、本実施の形態の動作例に係る建築設計DB16から取得される扉オブジェクト251のBIMデータの一例を示す図である。図11Bは、本実施の形態の動作例に係る解析設計DB17から取得される扉オブジェクト251のギャップ補填データの一例を示す図である。
図11Aに示す扉オブジェクト251のBIMデータでは、扉オブジェクト251は、奥行36mm(不図示)で、2000mm×800mmの大きさであることが含まれており、図8に示す建築情報として取得される。しかしながら、扉オブジェクト251で示される扉には、実際、24時間換気に対応するために、10mm程度切り欠いた部分であるアンダーカットが施されているが、アンダーカットのような隙間空間の情報は、扉オブジェクト251のBIMデータには含まれない。アンダーカットのような隙間空間の情報は、空間の流体、熱等の解析を行うためには必要な情報であるものの、建物のモデルを生成するためには必要な情報でないからである。
一方、図11Bに示す扉オブジェクト251のギャップ補填データでは、10mm×780mmの大きさで扉オブジェクト251の下端の位置にあるアンダーカットのような隙間空間251aの情報が含まれる。このため、ABCDのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251のギャップ情報として扉オブジェクト251が有する通気部が隙間空間であること、10mm×780mmの大きさで扉オブジェクト251の下端の位置にあることを示すギャップ補填情報が取得される。
続いて、EFGHのオブジェクト固有IDで示される室内機オブジェクト252について、建築設計DB16から取得されるBIMデータと解析設計DB17から取得されるギャップ補填データとの差について説明する。
図12Aは、本実施の形態の動作例に係る建築設計DB16から取得される室内機オブジェクト252のBIMデータの一例を示す図である。図12Bは、本実施の形態の動作例に係る解析設計DB17から取得される室内機オブジェクト252のギャップ補填データの一例を示す図である。図12Cは、本実施の形態の動作例に係る室内機オブジェクト252で示される室内機が動作することで通気孔が空気を流出入させる様子を示す図である。
図12Aに示す室内機オブジェクト252のBIMデータでは、室内機オブジェクト252は、奥行10mmで、400mm×400mmの大きさであることが含まれており、図8に示す建築情報として取得される。しかしながら、室内機オブジェクト252で示される室内機には、実際、室内機そのものが持っている空気を流出入させるための通気孔252a~252dがある。図12Bに示す通気孔252aは、図12Cに示すように、空気を部屋の外へ排気するための空気の吸い込み口となる通気孔である。図12Bに示す通気孔252b~252dは、図12Cに示すように、空気を部屋の中に給気するための空気の吹き出し口となる通気孔である。そして、空気の吸い込み口または吹き出し口となる通気孔の情報は、室内機オブジェクト252のBIMデータには含まれない。空気の吸い込み口または吹き出し口となる通気孔の情報は、空間の流体、熱等の解析を行うためには必要な情報であるものの、建物のモデルを生成するためには必要な情報でないからである。
一方、室内機オブジェクト252のギャップ補填データでは、吹き出し口となる通気孔252b~252dと吸い込み口となる通気孔252aとの情報が含まれる。図10に示すEFGHのオブジェクト固有IDで示される室内機オブジェクト252のギャップ補填データでは、ギャップ情報として、「通気孔、流入(給気)」及び「通気孔、流入(排気)」が示され、それらの配置座標、大きさ、風量及び風向きが示されている。つまり、ギャップ情報では、室内機オブジェクト252が有する通気部が通気孔であることと、通気孔が給気または排気のいずれかを行うかが示されている。なお、図10に示す例では、説明を簡単にするため、室内機オブジェクト252の吹き出し口となる通気孔252cと吸い込み口となる通気孔252aのギャップ情報等のみが示されている。
図13は、本実施の形態の動作例に係るギャップ補填情報の別の一例を示す図である。
図10に示すギャップ補填情報の例では、ギャップ情報により示される通気部の位置と形状を表す情報として配置場所及び大きさが示されていたが、これに限らない。
例えば、図13に示すギャップ補填情報のように、ギャップ情報により示される通気部の頂点座標を基に、それらを接続したポリゴンで表現される通気部の位置と形状を表す情報が示されるとしてもよい。
図14は、本実施の形態の動作例に係るギャップ補填情報のさらに別の一例を示す図である。
図10には、ギャップ補填情報として、ABCD、EFGH、IJKLのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251、室内機オブジェクト252、換気扇オブジェクト253のギャップ補填情報が示されているが、これに限らない。図14に示すように、MNOP、QRST、UVWXのオブジェクト固有IDで示される火災報知機、ダウンライト、コンセントのオブジェクトのギャップ補填情報が示されてもよい。火災報知機、ダウンライト、コンセントのオブジェクトが有する通気部は、ファンなど強制的に空気を流出入する力が発生しないため、図14に示すギャップ補填情報の風向情報は空になっている。
なお、ギャップ補填情報は、製品ごとにあらかじめ解析設計DB17のギャップ補填データに格納されるが、ギャップ補填情報が、建築設計DB16に格納されない理由は次の通りである。ギャップ補填情報は、設計段階で建物のモデルを生成する際には使用されない情報である。このため、ギャップ補填情報が建築設計DB16に格納されてしまうと、建築データが大きくなり、建築設計DB16を読み込み、所望のBIMデータを取得するための時間が増大してしまうので設計段階での作業効率の低下を招いてしまうからである。
以下、図6に戻って動作例の続きを説明する。
次に、情報処理装置1は、空質等の建物に関するシミュレーションを行う対象となる建物のモデルにおける空間のメッシュを作成する(S13)。なお、情報処理装置1は、対象となる建物のモデルの空間において連続した要素を比較的小さく単純な形状の有限要素に分割することで、当該空間のメッシュを作成する。
次に、情報処理装置1は、ステップS10~ステップS12で取得した情報を用いて、解析等のシミュレーションを行うことで、当該空間における空質を示す空質情報を算出して、出力する(S14)。
図15は、本実施の形態の動作例に係る空気齢分布のシミュレーション結果の一例を示す図である。図16は、本実施の形態の動作例に係る温度分布のシミュレーション結果の一例を示す図である。
本動作例では、当該空間における空質は、空気齢または温度である。空質情報は、図15に示すような当該空間全体の空気齢分布、または、図16に示すような当該空間全体の熱負荷に対する温度分布である。ここで、空気齢とは、給気口(部屋の外部)から入った新鮮な空気(新鮮外気)が、部屋内のある点に至るまでの時間を示し、換気効率の指標となる。換言すると、空気齢とは、部屋のある地点について新鮮外気の供給効率を示すものであり、一般に、空気齢が長いほど換気効率が低い。
[効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、オブジェクト固有IDを用いて、建築設計DB16に格納されるBIMデータと、解析設計DB17に格納される補填データとを紐づけすることができる。このため、情報処理装置1は、オブジェクト固有IDに示されるオブジェクトに関する補填データを解析設計DB17から取得できるので、精度の高い空気齢分布等の空質情報を算出して出力することができる。つまり、情報処理装置1は、建物の設計段階において、BIMデータを用いて、空間の流体等の解析を高精度に行うことができる。
より具体的には、BIMデータは、建物の設計に必要なデータであり、空間の流体、熱等の解析を行うためのデータではないため、BIMデータには空間の流体、熱等の解析を高精度に行うためのデータは不足している。このため、BIMデータを用いて、空間の流体等の解析を高精度に行うことができず、建物の空間の空気齢分布、温度分布など建物の空間の空質を精度よく算出できない。一方で、空間の流体、熱等の解析を高精度に行うためのデータをBIMデータに含めるとした場合、建物の設計段階において、BIMによる建物のモデルを生成する際に使用するBIMデータのデータ量が増大し、設計段階での作業効率を低下させることになる。
それに対して、本実施の形態では、BIMデータには含まれないデータであって空間の流体、熱等の解析を行うための補填データを予め格納した解析設計DB17を、BIMデータが含まれる建築データを格納する建築設計DB16とは別に、準備しておく。これにより、情報処理装置1は、建築設計DB16から、BIMデータに含まれる建物のモデルにおける第1空間を構成する建物の第1オブジェクトに関する情報を取得するとともに、解析設計DB17から、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報を取得できる。この結果、情報処理装置1は、空気の流出入に関する情報を用いて空間の流体等の解析のシミュレーションを行うことで、空気齢分布、温度分布など第1空間における空質を示す空質情報を算出することができる。
このように、本実施の形態では、情報処理装置1は、BIMデータと補填データとを連携させて空間の流体等の解析に必要なデータを取得することができるので、建物の設計段階において、BIMデータを用いて、空間の流体等の解析をシミュレーションで高精度に行うことができる。そして、空気齢分布、温度分布など第1空間における空質を示す空質情報を算出して出力することができる。
さらに、情報処理装置1の使用者は、空気齢分布、温度分布を算出して出力することで、第1空間として示される部屋において長期間滞留する空気を可視化することができるだけでなく部屋内の温度を均一化し局所的な温めすぎや冷やしすぎといったロスをなくすことができる。よって、空調等の換気設備が費やすエネルギーを最小限とすることが可能となる。
ここで、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、建物のオブジェクトが有する通気部であって部屋の内外に自然に空気の流出入を生じさせる通気部の情報である。第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、BIMデータに第1オブジェクトには定義されておらず解析設計DB17から取得する情報であり、本実施の形態ではギャップ補填情報と称している。
また、第1オブジェクトは、例えば、BIMによる建物のモデルにおける第1空間を構成する構造物の開口部に設置される建具オブジェクトまたは換気設備オブジェクトであってもよい。建具オブジェクトは、例えば扉オブジェクト、窓オブジェクトなどである。また、換気設備オブジェクトは、例えば室内機オブジェクト、換気扇オブジェクトなどである。
第1オブジェクトが建具オブジェクトである場合、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、建具オブジェクトに示される建具が実際に第1空間を構成する構造物の開口部に設置される場合における、開口部と建具との間の隙間空間に関するギャップ補填情報である。第1オブジェクトが換気設備オブジェクトである場合、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、換気設備オブジェクトに示される換気設備が実際に第1空間を構成する構造物の開口部に設置される場合における、換気設備が有する空気が流出入する通気孔に関するギャップ補填情報である。このように、第1オブジェクトの空気の流出入に関する情報は、隙間空間または通気孔である通気部に関するギャップ補填情報である。
これらのギャップ補填情報を用いることにより、情報処理装置1は、建物の設計段階において、第1空間の流体等の解析を高精度に行うことができるので、高精度に空質情報を算出できる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、BIMデータに含まれるBIMによる建物のモデルは予め生成されており、建物のモデルにおける換気設備オブジェクトの配置位置及び能力は決定されているとして説明したが、これに限らない。本実施の形態では、高精度に算出した空質情報を利用して、建物のモデルにおける換気設備オブジェクトの配置位置及び能力を最適化することについて説明する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
[ハードウェア構成]
図17は、本実施の形態に係る建築設計DB16Aの構成の一例を示す図である。図17に示す建築設計DB16Aは、実施の形態1に係る図2に示す建築設計DB16に対して、建築データ162Aに、さらに同一製品シリーズデータが格納されている点で構成が異なる。
同一製品シリーズデータは、換気設備オブジェクトに適用可能な換気設備の製品シリーズの能力違いを示すデータすなわち、同一製品の製品シリーズにおけるそれぞれの製品の能力を示すデータを含んでいる。
[動作例]
続いて、本実施の形態に係る情報処理装置1の動作例について具体例を挙げて説明する。
図18は、本実施の形態に係る情報処理装置1の動作例を示すフローチャートである。
図18に示される動作例は、基本設計時に行われるが、基礎構造オブジェクトの配置情報は決定されており、基礎構造オブジェクトのデータ及びこれらに対応付けられた配置情報から建物のモデルが生成されている。室内機オブジェクト252及び換気扇オブジェクト253などの換気設備オブジェクトの換気設備の製品とその位置は、モデル生成のために一旦決定されているが、モデル生成後に変更することも可能である。
まず、情報処理装置1は、建築設計DB16Aから、建物のオブジェクトに関する情報として、建築情報と製品シリーズ情報とを取得する(S20)。具体的には、情報処理装置1の取得部112は、建築設計DB16Aの建築データ162Aに含まれるBIMデータから、建物のモデルにおける第1空間を構成する建物のオブジェクトに関する情報として建築情報を取得する。また、情報処理装置1の取得部112は、建築設計DB16Aの建築データ162Aに含まれる同一製品シリーズデータから、第1空間を構成する換気設備オブジェクトに適用される換気設備の製品シリーズのそれぞれに関する情報を示す製品シリーズ情報を、取得する。換気設備の製品シリーズのそれぞれに関する情報には、製品シリーズのそれぞれの識別子、大きさ、能力が含まれている。
本動作例でも、情報処理装置1の取得部112は、基本設計時に生成した図7に示す部屋立面図200を含む建物のモデルを構成する建物のオブジェクトの建築情報を取得する。本動作例では、さらに、情報処理装置1の取得部112は、当該建物のオブジェクトのうち換気設備オブジェクトに適用される換気設備の製品シリーズのそれぞれに関する情報である同一製品シリーズ情報を、取得する。
図19は、本実施の形態の動作例に係る同一製品シリーズ情報の一例を示す図である。
情報処理装置1の取得部112は、図19に示す例では、IJKHのオブジェクト固有IDで示される換気扇オブジェクト253に適用される換気扇の同一製品シリーズ情報を取得する。図19に示す換気扇の同一製品シリーズ情報には、グループID、カテゴリ、換気扇の同一製品シリーズそれぞれに対応するオブジェクト固有IDが含まれている。グループIDは、グループ化された同一製品シリーズに対して与えられた識別子である。G-IJKのグループIDは、能力として換気量[m3/h]が異なる換気扇の同一製品シリーズを示している。例えば、図19に示す換気扇の同一製品シリーズ情報には、建物のモデルから特定できる基本となる換気扇オブジェクト253を示すIJKHのオブジェクト固有IDが含まれている。また、図19に示す換気扇の同一製品シリーズ情報には、換気量(能力)の異なる比較用の換気扇に対応するIJK1、IJK2及びIJK3のオブジェクト固有IDが含まれている。IJK1、IJK2及びIJK3のオブジェクト固有IDに対応する換気扇は、例えば、換気扇の同一製品シリーズのうち最大能力、最小能力、中間能力の風量を有する換気扇に紐づけられている。
また、図19に示す例では、情報処理装置1の取得部112は、EFGHのオブジェクト固有IDで示される空調機器(エアコン)の室内機オブジェクト252に適用される室内機の同一製品シリーズ情報を取得する。同様に、G-EFGのグループIDは、能力として換気量[m3/h]が異なる室内機の同一製品シリーズを示している。例えば、図19に示す室内機の同一製品シリーズ情報には、建物のモデルから特定できる基本となる室内機オブジェクト252を示すEFGHのオブジェクト固有IDが含まれている。また、図19に示す同一製品シリーズ情報には、換気量の異なる比較用の室内機に対応するEFG1、EFG2及びEFG3のオブジェクト固有IDが含まれている。EFG1、EFG2及びEFG3のオブジェクト固有IDに対応する室内機は、例えば、室内機の同一製品シリーズのうち最大能力、最小能力、中間能力の風量を有する室内機に紐づけられている。
以下、図18に戻って動作例の続きを説明するが、ステップS21、ステップS23については、実施の形態1の図6を用いて説明したステップS11、ステップS13と同様のため説明を省略する。
ステップS22において、本実施の形態に係る情報処理装置1は、解析設計DB17から、ギャップ補填情報を取得する。具体的には、情報処理装置1の取得部112は、解析設計DB17から、建築設計DB16Aに含まれていない情報かつ空間の流体等の解析を行うシミュレーションに必要な空気の流出入に関連する建物のオブジェクトのギャップ補填情報を取得する。
図20は、本実施の形態の動作例に係るギャップ補填情報の一例を示す図である。
図20に示すギャップ補填情報は、実施の形態1に係る図10に示すギャップ補填情報に対して、同一製品シリーズ情報のオブジェクト固有IDにより取得された最大能力、最小能力、中間能力の風量が含まれている。その他の項目については、図10を用いて説明した通りであるので、説明を省略する。
次に、ステップS24において、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ステップS20~ステップS22で取得した情報を用いてシミュレーションを行うことで、当該空間における基本となる換気扇オブジェクト253を用いた空質を示す基本の空質情報を算出する。具体的な動作については、実施の形態1の図6を用いて説明したステップS14と同様のため説明を省略する。
次に、ステップS25において、本実施の形態に係る情報処理装置1は、取得した当該情報を用いて解析等のシミュレーションを行うことで、能力の異なる換気扇を適用した換気扇オブジェクト253を用いた当該空間における空質を示す比較用の空質情報を算出する。つまり、本実施の形態に係る情報処理装置1は、換気設備オブジェクトに製品シリーズのそれぞれが適用される場合のシミュレーションを行うことで、製品シリーズのそれぞれにおける空質を算出する。
次に、ステップS26において、本実施の形態に係る情報処理装置1は、換気扇オブジェクト253が最適化されているかを判断する。
図21は、本実施の形態の動作例に係る比較用の空質情報の一例を示す図である。図21に示すように、能力の異なる換気扇それぞれを適用した換気扇オブジェクト253を用いた当該空間における空質を算出することで、換気扇の能力としての風量に応じて当該空間内の最長空気齢の関係を比較用の空質情報として示すことができる。
ここで、厚生労働省が推奨しているビル管理法の基準では、1時間あたりの必要換気量を30m3/hとしている。30m3/hは、換気回数に換算すると、1時間あたり3回となる(人容積を10m3としている)。したがって、換算した換気回数である空気齢20分以下(=60分/3回)を満たす風量の能力を有する換気扇が換気扇オブジェクト253に適用可能となる。なお、必要換気量は、公的機関の基準に限られず、例えば、ユーザが設定した値であってもよい。
本動作例では、本実施の形態に係る情報処理装置1の演算部113は、図21を用いて空気齢20分以下を満たす風量の能力を有する換気扇を検索して、換気扇オブジェクト253に適用する最適な換気扇を決定する。なお、本実施の形態に係る情報処理装置1の演算部113は、空気齢20分以下を満たす風量の能力を有する換気扇が複数ある場合には、コストが最小となる換気扇を換気扇オブジェクト253に適用する最適な換気扇として決定する。図21に示す例では、A、B、Cで示される能力の異なる換気扇における空気齢のうち、20分以下を満たすCで示される能力の換気扇が、換気扇オブジェクト253に適用する最適な換気扇として決定される。
また、本動作例では、本実施の形態に係る情報処理装置1の演算部113は、さらに、Cで示される能力の換気扇が、基本の空質情報を算出した際の換気扇オブジェクト253に適用されている換気扇と一致しているか否かを判定する。一致している場合には、本実施の形態に係る情報処理装置1の演算部113は、換気設備オブジェクトすなわち換気扇オブジェクト253は最適化されているとして(ステップS26でYes)、ステップS26の処理を終了する。一方、一致していない場合には、本実施の形態に係る情報処理装置1の演算部113は、換気設備オブジェクトすなわち換気扇オブジェクト253は最適化されていないとして(ステップS26でNo)、ステップS27に進む。
次に、ステップS27において、本実施の形態に係る情報処理装置1は、換気設備オブジェクトを最適化したモデルに更新する。つまり、本実施の形態に係る情報処理装置1は、算出した空質のうち最もよい空質を示す製品シリーズのうちの製品を適用した換気設備オブジェクトにモデルを更新する。
本動作例では、本実施の形態に係る情報処理装置1の演算部113は、現在のモデルにおける換気扇オブジェクト253に適用される換気扇が、決定した最適な換気扇でない場合、最適な換気扇を適用した換気扇オブジェクト253に更新する。
[効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、情報処理装置1は、オブジェクト固有IDに示されるオブジェクトに関する補填データを解析設計DB17から取得することで、換気設備オブジェクトに適用される換気設備の製品シリーズのそれぞれに応じて変化する空気齢分布等の空質情報を算出できる。さらに、情報処理装置1は、算出した空質情報に基づき、製品シリーズの製品のうち、最もよい空質を示すなど所定の空質条件を満たす製品を、換気設備オブジェクトに適用することで、換気設備オブジェクトを最適化することができる。これにより、所定の空質条件を満たしつつも、換気設備が費やすエネルギーを最小限とすることが可能となる。
なお、上記実施の形態では、空質情報として空気齢分布を算出する場合を例に挙げたが、空質情報として温度分布を算出してもよい。この場合、室温が17度以上28度以下になるように努めるという労働安全衛生法を基準とすればよい。すなわち、算出した空質としての温度分布が17度以上28度以下の範囲に収まる、製品シリーズのうちの製品を、換気設備オブジェクトに適用することで、換気設備オブジェクトを最適化すればよい。
また、上記実施の形態では、同一製品シリーズデータが建築設計DB16Aに格納されており、同一製品シリーズデータが、建築のモデルのオブジェクト(形状情報)に基づいて建築設計DB16から取得されるとして説明したが、これに限らない。同一製品シリーズデータは、解析設計DB17に格納されているとしてもよい。この場合、情報処理装置1が、ステップS21で取得した建築情報に基づき、ステップS22において解析設計DB17からギャップ補填情報とともに同一製品シリーズ情報を取得すればよい。そして、情報処理装置1は、建築情報を取得することで得た、換気設備オブジェクトに関する情報と、解析設計DB17から取得した同一製品シリーズ情報に示される製品シリーズと能力とを用いて、ステップS25において比較用の空質情報を算出すればよい。
(変形例1)
空調機器には、人感センサを備えるなどにより空調機器の風が人に直接当たらないように制御できるものもある。
このような場合、机オブジェクトまたは椅子オブジェクトなど人が滞在する可能性の高いオブジェクトのギャップ補填情報に、人が滞在する可能性の高いことを示す人属性情報を含めればよい。また、情報処理装置1は、換気設備の製品シリーズ情報として、空調機器の製品シリーズ情報を取得すればよい。そして、情報処理装置1は、人属性情報が付与されたオブジェクトに対して風向が向けられる場合と向けられない場合との両方にて、熱負荷に対する温度分布を空質情報として算出すればよい。
より具体的には、情報処理装置1は、図18のステップS22で取得したギャップ補填情報から、人属性情報が付与されたオブジェクトの有無を判定する。情報処理装置1は、人属性情報が付与されたオブジェクトがある場合、当該オブジェクトに空調機器オブジェクトの風向が向いた場合と、向かない場合とにおける空調機器の製品シリーズごとの温度分布を空質情報として算出する。そして、情報処理装置1は、算出した空質としての温度分布が17度以上28度以下の範囲に収まる、空調機器の製品シリーズのうちの製品を、空調機器オブジェクトに適用することで、換気設備オブジェクトを最適化すればよい。
なお、人属性情報が付与されたオブジェクトが複数ある場合、情報処理装置1は、それらのオブジェクトすべてに対して空調機器オブジェクトの風向が人に向いた場合と向かない場合との2つの条件での温度分布を算出すればよい。
[効果等]
一般的には、空間内に人が滞在した場合、空調機器の風向を直接人に向けて運転することが空間の温度制御を行う上で最適制御になると考えられる。しかし、空調機器の風向を直接人に向けることにより空調機器の暖房運転であれば人周辺の温度が暑いとされる状態、冷房運転であれば人周辺の温度が寒いとされる状態となる。このため、空調機器の風向を直接人に向けない状態でも空間の温度制御を一定温度以内に収められるように設計することが必要となる。
そこで、本変形例では、空調機器の風向を直接人に向けない状態での空質としての温度分布が17度以上28度以下の範囲に収まる製品を、空調機器オブジェクトに適用することで、換気設備オブジェクトを最適化する。
これにより、所定の空質条件を満たしつつも、換気設備が費やすエネルギーを最小限とすることが可能となる。
(変形例2)
上記の実施の形態では、比較用の空質情報として、換気能力が異なる換気設備の同一製品シリーズそれぞれを適用した場合の空質を算出し、比較用の空質情報を用いて所定の空質条件を満たす換気設備の製品を、換気設備オブジェクトに適用することを説明したが、これに限らない。
比較用の空質情報として、換気設備オブジェクトに異なる配置位置を適用した場合の空質を算出し、所定の空質条件を満たす配置位置を、換気設備オブジェクトの最適な配置位置として適用してもよい。この場合の例を変形例2として説明する。
本変形例に係る情報処理装置1は、ステップS20において、製品シリーズ情報を取得せず、ステップS25において、比較用の空質情報として、換気設備オブジェクトに異なる配置位置を適用した場合の空質を算出する。
本変形例に係る情報処理装置1は、例えば、ステップS25において、換気扇オブジェクト253を配置する空間を何個かに分割し、分割した空間のそれぞれに1つ換気扇オブジェクト253を配置した場合の空気齢分布を示す空質を算出すればよい。
図22A~図22Cは、本変形例の動作例に係る比較用の空質情報を作成するための換気扇オブジェクト253の配置位置の一例を示す図である。図22Aは、本変形例の動作例に係る比較用の空質情報を作成するために配置された換気扇オブジェクト253aの配置位置を示す図である。図22Aでは、O01のIDで示される換気扇オブジェクト253aは、R01の空間IDの平面であるR02の平面201aを4つに分割した領域のうちの右下の領域に配置されている。I01のIDで示される給気口オブジェクト262は、部屋の内に給気できれば、給気口に限らず室内機の吹き出し口であってもよい。図22Bでは、O02のIDで示される換気扇オブジェクト253bは、R02の平面201aを4つに分割した領域のうちの右上の領域に配置されている。図22Cでは、O03のIDで示される換気扇オブジェクト253cは、R02の平面201aを4つに分割した領域のうちの左下の領域に配置されている。
次に、図18に示すステップS25において、本変形例に係る情報処理装置1は、シミュレーションを行うことで、比較用となる、配置位置の異なる換気扇を適用した換気扇オブジェクト253を用いた当該空間における比較用の空質情報を算出する。
次に、図18に示すステップS26において、本変形例に係る情報処理装置1は、換気扇オブジェクト253が最適化されているかを判断する。本変形例では、情報処理装置1の演算部113は、比較用の空質情報として算出した空気齢分布のうち最も短い空気齢となる配置位置の換気扇オブジェクト253を、最適な配置位置の換気扇オブジェクト253であるとして決定する。
また、本変形例に係る情報処理装置1の演算部113は、さらに、決定した最適な配置位置が、基本の空質情報を算出した際の換気扇オブジェクト253の配置位置と一致しているか否かを判定する。一致している場合には、本変形例に係る情報処理装置1の演算部113は、換気設備オブジェクトすなわち換気扇オブジェクト253は最適化されているとして(ステップS26でYes)、ステップS26の処理を終了する。一方、一致していない場合には、本変形例に係る情報処理装置1の演算部113は、換気設備オブジェクトすなわち換気扇オブジェクト253は最適化されていないとして(ステップS26でNo)、ステップS27に進む。ステップS27については、実施の形態2で説明した通りであるので、説明を省略する。
[効果等]
以上のように、本変形例によれば、情報処理装置1は、オブジェクト固有IDに示されるオブジェクトに関する補填データを解析設計DB17から取得することで算出できる空気齢分布等の空質情報を用いて、換気設備オブジェクトを最適化することができる。本変形例では、情報処理装置1は、例えば、算出した空質のうち最もよい空質を示す配置位置に換気設備オブジェクトを配置することで、換気設備オブジェクトの配置を最適化する。
これにより、所定の空質条件を満たしつつも、換気設備が費やすエネルギーを最小限とすることが可能となる。
(変形例3)
変形例2では、図22A~図22Cに示されるように扉オブジェクト251は閉状態であることを前提に、算出した空質のうち最もよい空質を示す配置位置に換気設備オブジェクトを配置することについて説明した。
しかしながら、例えば部屋の窓または扉が開いている場合と閉じている場合で部屋の空気の流れは異なる。つまり、空質情報の算出対象の空間(第1空間)を構成する窓オブジェクト及び扉オブジェクトの状態が開状態または閉状態により第1空間の空質情報が変化する。
図23Aは、本変形例に係る扉オブジェクト251が閉状態である場合の、空気の流れを示す図である。図23Bは、本変形例に係る扉オブジェクト251が開状態である場合の、空気の流れを示す図である。
ここで、図23Aは、図22Aに示すR02の平面201aに対して空気の流れが追加された図に該当する。図23Aに示すように、扉オブジェクト251が閉状態の場合、I01のIDで示される給気口オブジェクト262から、R02の平面201aで示される空間に給気された空気は、O01のIDで示される換気扇オブジェクト253aから排気される。
一方、図23Bに示すように、扉オブジェクト251が開状態の場合、開状態の扉オブジェクト251から、R02の平面201aで示される空間に空気が給気され、O01のIDで示される換気扇オブジェクト253aから排気される可能性がある。
そこで、本変形例に係る情報処理装置1は、図18に示すステップS25において、比較用の空質情報として、開状態と閉状態の扉オブジェクトの両方で、換気設備オブジェクトに異なる配置位置を適用した場合における空質を算出する。
この場合、本変形例に係る情報処理装置1は、図18に示すステップS22において、解析設計DB17から、さらに扉オブジェクト251の開閉状態を含むギャップ補填情報を取得すればよい。
図24は、本変形例に係る扉オブジェクト251の開閉状態を含むギャップ補填情報の一例を示す図である。図24には、説明を簡単にするため、ABCDのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251の開閉状態を示すギャップ補填情報のみが示されている。
図24に示すABCDのオブジェクト固有IDで示される扉オブジェクト251のギャップ補填情報は、図10に示すギャップ補填情報と比較して、扉オブジェクト251の開閉状態を示す項目が追加されている。開状態の扉オブジェクト251は、扉オブジェクト251が設置される開口部の大きさすなわち扉オブジェクト251の大きさそのものが、空気の流出入させる部屋の内外に自然に空気の流出入を生じさせる通気部となる。このため、開状態の扉オブジェクト251のギャップ補填情報では、ギャップ情報が開口部となり、大きさが、開口部の大きさとなっている。
そして、本変形例に係る情報処理装置1は、例えば図22A~図22Cに示すように配置位置の異なる換気扇を適用した換気扇オブジェクト253における、開状態と閉状態の扉オブジェクト251の両方での空質を、比較用の空質情報として算出すればよい。
その後、本変形例に係る情報処理装置1は、図18に示すステップS26において、換気扇オブジェクト253が最適化されているかを判断すればよい。本変形例では、情報処理装置1の演算部113は、比較用の空質情報として算出した開状態と閉状態の扉オブジェクト251の両方での空気齢分布が20分以下の条件を満たす空気齢となる配置位置の換気扇オブジェクト253を、最適な配置位置の換気扇オブジェクト253であるとして決定すればよい。
なお、本変形例では、状態が変化する建物のオブジェクトの例として、扉オブジェクト251を例に挙げて説明したが、これに限らない。窓オブジェクトであっても同様に、窓が閉じられている閉状態と窓が開けられている開状態とがある。このため、配置位置の異なる換気扇を適用した換気扇オブジェクト253における、開状態と閉状態の窓オブジェクトの両方での空質を、比較用の空質情報として算出すればよい。
さらに、窓は、扉とは異なり、窓が閉じられている閉状態において、窓も閉まってはいるが鍵も閉まっている状態(閉状態かつ施錠状態)、窓が閉まってはいるが鍵は開いている状態(閉状態かつ開錠状態)がある。閉状態かつ開錠状態の窓は、閉状態かつ施錠状態の窓と比較すると、隙間空間が若干広くなっており、空気が流出入できる量が増えることになるので、ギャップ補填情報に鍵の開閉状態も含めてもよい。
図25は、本変形例に係る窓オブジェクトの開閉状態を含むギャップ補填情報の一例を示す図である。図25には、説明を簡単にするため、YZABのオブジェクト固有IDで示される窓オブジェクトの開閉状態を示すギャップ補填情報のみが示されている。
開状態の窓オブジェクトでは、窓が開けられることで生じる開口部の大きさが、空気の流出入させる部屋の内外に自然に空気の流出入を生じさせる通気部となる。このため、図25に示されるように、開状態の窓オブジェクトのギャップ補填情報では、ギャップ情報が開口部となり、大きさが、その開口部の大きさとなっている。
一方、閉状態の窓オブジェクトは、上述したように、閉状態かつ開錠状態であるか、閉状態かつ施錠状態であるかに区別できる。このため、図25に示されるように、閉状態の窓オブジェクトのギャップ補填情報では、大きさがないとして表現される隙間空間と、1mmの隙間があるとして表現される隙間空間とがある。
[効果等]
以上のように、本変形例によれば、情報処理装置1は、窓オブジェクトまたは扉オブジェクトの状態が開状態または閉状態であることに応じて変化する第1空間の空質情報を算出できる。さらに、情報処理装置1は、変化する空質情報を用いることで、空質が変化しても所定の空質条件を満たすように、換気設備を含む建物のオブジェクトの配置、製品を最適化できる。これにより、所定の空質条件を満たしつつも、換気設備が費やすエネルギーを最小限とすることが可能となる。
なお、本開示は、上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
また、本開示は、さらに、以下のような場合も含まれる。
(1)BIMオブジェクトの詳細度(LOD:Level Of DetailまたはLevel Of Development)のレベルは様々あり、提供されるメーカまたは設計フェーズなどに依存する。
図26A~図26Cは、BIMオブジェクトの異なる詳細度の一例を示す図である。図26Aには、BIMオブジェクトの最も低い詳細度を示すLOD100の例が示されており、図26Bには、図26Aに示すBIMオブジェクトの詳細度よりも高い詳細度を示すLOD200の例が示されている。図26Cには、図26Bに示すBIMオブジェクトの詳細度よりもさらに高い詳細度を示すLOD300の例が示されている。
一方、対象空間における空質情報を算出する場合、BIMオブジェクトの詳細度が高すぎると、シミュレーションによる解析時間が膨大となり、BIMオブジェクトの詳細度が低すぎる(簡易すぎる)とシミュレーションにより正しく解析できない。
そこで、詳細度を調整したBIMオブジェクトデータをあらかじめ準備し、解析設計DB17に格納すればよい。なお、解析設計DB17に格納されるBIMオブジェクトデータのすべてに対して、詳細度の調整だけでなく外形情報も置換されたものであるとよい。
この場合、情報処理装置1は、建築設計DB16から取得したBIMによる建物モデルに含まれる各オブジェクトの詳細度が所定条件を満たすか否か判定する。情報処理装置1は、詳細度の条件を満たさないオブジェクトについて、解析設計DB17から、オブジェクト固有IDを用いて、調整済みのオブジェクトデータを取得する。なお、情報処理装置1は、判定の結果少なくとも1つのオブジェクトの詳細度が所定条件を満たさない場合、BIMモデルに含まれるすべてのオブジェクトについて、解析設計DB17から、調整済みのオブジェクトデータを取得してもよい。
(2)本開示では、換気扇オブジェクト及び空調機器オブジェクトなどの換気設備オブジェクトについての材料物性補填情報及びギャップ補填情報を、解析設計DB17からの取得を行ったが、これに限らない。例えば熱源となるような電気機器オブジェクト及びガス機器オブジェクトが建物のモデルに配置された場合、電気機器オブジェクト及びガス機器オブジェクトについての熱源の情報を、解析設計DB17に格納されるギャップ補填データ172から取得してもよい。また、加湿機能を持つオブジェクトが建物のモデルに配置された場合も同様に、加湿機能を持つオブジェクトについての加湿の情報を、解析設計DB17に格納されるギャップ補填データ172から取得してもよい。
さらに、Well認証等で必要なタバコなどの有害物質の拡散についてその発生源となるオブジェクトについての情報を、解析設計DB17に格納される材料物性補填データ171及びギャップ補填データ172から取得してもよい。これにより快適性評価(PMV:Predicted Mean Vote)のうち、外的な要素である温度、湿度、放射及び気流に関して算出が可能となる。
(3)上記の装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(4)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(5)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(6)また、本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
(7)また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。