JP7660447B2 - 医療機器および医療機器の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態に係る医療機器の模式断面図を図1に示す。
図1に示すように、本実施形態に係る医療機器1は、基材11と、基材11上に設けられた架橋ゲル層12と、当該架橋ゲル層12における上記基材11とは反対側に設けられた潤滑層13とを備えている。上記架橋ゲル層12は、カルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールの架橋物からなり、上記潤滑層13は、エポキシ基含有親水性ポリマーからなる。
(1)医療機器
本実施形態に係る医療機器1の種類としては、生体組織に対して潤滑性が必要とされるものであれば特に限定されないが、通常は、生体内に挿入または配置される医療機器であることが好ましい。
(a)線状のコアワイヤと、該コアワイヤの外周の少なくとも一部に設けられた被覆層と、該被覆層の表面に形成された上記架橋ゲル層及び潤滑層と、を備えるガイドワイヤ。
(b)線状のコアワイヤと、該コアワイヤの外周の少なくとも一部に線材が螺旋状に巻回されたコイル層と、該コイル層の表面に形成された上記架橋ゲル層及び潤滑層と、を備えるガイドワイヤ。
(c)線状のコアワイヤと、該コアワイヤの外周の少なくとも一部に線材が螺旋状に巻回されたコイル層と、該コイル層の外周に設けられた被覆層と、該被覆層の表面に形成された上記架橋ゲル層及び潤滑層と、を備えるガイドワイヤ。
(d)管状部材と、該管状部材の表面に形成された上記架橋ゲル層及び潤滑層と、を備えるカテーテル。
(e)管状部材と、該管状部材の片端に配置されたバルーンと、該バルーンの表面に形成された上記架橋ゲル層及び潤滑層と、を備えるカテーテル。
本実施形態における基材11の構造や形状は、医療機器1の種類に応じて適宜選択される。基材11を構成する材料も、医療機器1の種類に応じて適宜選択され、金属材料、高分子材料、セラミックス材料などが挙げられ、複数の種類の材料が組み合わされてもよい。
本実施形態における架橋ゲル層12は、前述した通り、カルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールの架橋物からなる。カルボキシ基の塩(カルボン酸塩)としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましく、中でもアルカリ金属塩が特に好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
本実施形態における潤滑層13は、前述した通り、エポキシ基含有親水性ポリマーからなる。
本実施形態に係る医療機器1の好ましい一製造方法について説明する。
最初に、基材11上に、カルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールの塗膜を形成する。この塗膜は、例えば、カルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールの水溶液に基材を浸漬させ、一定の速度で引き抜く方法により基材11上に塗布するか、カルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールの水溶液に基材11を浸漬し、その後乾燥させることにより形成することができる。一定の速度で引き抜く塗布方法の場合、引き抜き速度を変えることで塗布膜厚を制御可能である。引き抜き速度を早くすれば膜厚は厚くなり、遅くすれば薄くなるため、各層毎に最適な引き抜き速度を設定することで任意の膜厚を塗布することができる。
1.ポリビニルアルコール塗膜の形成
カルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールとして、-COONa基を約4モル%、-OH基を約95モル%、-OCOCH3基を約1モル%含有するポリビニルアルコール(ケン化度:約99モル%,数平均分子量(Mn):100,000)と、ポリビニルアルコール(ケン化度:約98%,数平均分子量(Mn):260,000,カルボキシ基およびその塩のいずれも有しない)とを重量比4:1の割合で混合して溶解させた水溶液(濃度:5質量%)を用意した。基材としてのSUS304で構成された金属製ガイドワイヤを、上記水溶液に浸漬させ、5mm/secの一定速度で引き抜くことにより、上記基材の表面に上記水溶液を塗布した。その後、70℃で60分間加熱して乾燥させ、ポリビニルアルコールの塗膜を形成した。
上記工程1で得られたポリビニルアルコール塗膜を有する基材を、濃度12.5質量%のグルタルアルデヒド水溶液(さらに、濃度1質量%のクエン酸を含む)に60分間浸漬した。その後、ポリビニルアルコール塗膜を有する基材を取り出して、70℃で60分間加熱して乾燥させ、上記ポリビニルアルコールを化学架橋してなる架橋ゲル層を形成した。この架橋ゲル層の厚さは、約1μmであった。
エポキシ基含有親水性ポリマーとして、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4-HBAGE)とジメチルアクリルアミドとのランダム共重合体(4-HBAGEに由来するエポキシ基を有する,エポキシ基含有量:10モル%,数平均分子量(Mn):100,000)の水溶液(濃度:10質量%)を用意した。上記工程2で得た架橋ゲル層形成後の基材を、上記エポキシ基含有親水性ポリマーの水溶液を浸漬させ、10mm/secの一定速度で引き抜くことにより架橋ゲル層の露出面に上記水溶液を塗布した。その後、120℃で60分間加熱して乾燥させ、厚さ3.00μmの潤滑層を形成した。なお、この潤滑層の形成により、架橋ゲル層と潤滑層との界面において、架橋ゲル層中のポリビニルアルコールの-COONa基と、上記潤滑層中のエポキシ基含有親水性ポリマーのエポキシ基とが反応したと考えられる。このようにして、基材/架橋ゲル層/潤滑層の層構成からなる積層体を得た。
ポリビニルアルコール(ケン化度:約98%,数平均分子量(Mn):260,000,カルボキシ基およびその塩のいずれも有しない)を溶解させた水溶液(濃度:5質量%)を用いて、厚さ2.95μmの潤滑層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る、基材/架橋ゲル層/潤滑層の層構成からなる積層体を得た。なお、この比較例1に係る積層体では、架橋ゲル層を構成するポリビニルアルコールが、カルボキシ基およびその塩のいずれも有しないものであることにより、当該ポリビニルアルコールが化学架橋していないものとなっている。
工程2を省略するとともに、潤滑層の厚さを2.25μmとした以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る、基材/架橋ゲル層/潤滑層の層構成からなる積層体を得た。なお、この比較例2に係る積層体では、工程2を省略したことにより、架橋ゲル層中のポリビニルアルコールが化学架橋していないものとなっている。
実施例および比較例で製造した積層体を、生理食塩水に20秒浸漬させた。そして、生理食塩水から取り出した後、潤滑層の膨潤による膜厚変化をレーザー顕微鏡により観測した
実施例および比較例で製造した積層体について、滑り耐久性試験を行った。具体的には、水中環境下において、積層体を、ウレタンローラ(ミスミ社製,製品名「AXFM-D25-L15-V8-N」)とステンレス鋼板(SUS304板、30×30mm)とで挟み、0.981Nの荷重をかけた状態で、積層体の一端を引き抜き、その際の抵抗値(gf)を、積層体に接続したロードセルを用いて測定した。そして、この一連の測定を、同一の積層体を使用して50回繰り返した。
11…基材
12…架橋ゲル層
13…潤滑層
Claims (8)
- 基材と、
前記基材上に設けられた架橋ゲル層と、
前記架橋ゲル層における前記基材とは反対側に設けられた潤滑層と
を備えており、
前記架橋ゲル層が、カルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールの架橋物からなり、
前記潤滑層が、エポキシ基含有親水性ポリマーからなる
ことを特徴とする医療機器。 - 前記ポリビニルアルコールの架橋物が、前記ポリビニルアルコールを化学架橋したものであることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
- 前記ポリビニルアルコール同士がアセタール結合していることを特徴とする請求項2に記載の医療機器。
- 前記エポキシ基含有親水性ポリマーは、アクリルアミド系モノマー、ベタイン系モノマー、アルコキシ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、及びビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに基づく重合単位を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
- 生体内に挿入または配置される医療機器であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の医療機器。
- 基材上にカルボキシ基またはその塩を有するポリビニルアルコールの塗膜を形成し、
前記カルボキシ基またはその塩を残存させつつ、前記ポリビニルアルコールを架橋して架橋ゲル層とし、
前記架橋ゲル層上にエポキシ基含有親水性ポリマーからなる潤滑層を形成して、前記ポリビニルアルコールのカルボキシ基またはその塩と、前記エポキシ基含有親水性ポリマーのエポキシ基とを反応させる
ことを特徴とする医療機器の製造方法。 - 前記ポリビニルアルコールを化学架橋して前記架橋ゲル層とすることを特徴とする請求項6に記載の医療機器の製造方法。
- 前記化学架橋は、多官能アルデヒド化合物によって前記ポリビニルアルコールをアセタール結合させるものであることを特徴とする請求項7に記載の医療機器の製造方法。
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