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JP7660808B2 - 全固体塩化物イオン電池およびその製造方法 - Google Patents
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JP7660808B2 - 全固体塩化物イオン電池およびその製造方法 - Google Patents

全固体塩化物イオン電池およびその製造方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、第61回電池討論会公園予稿集、発明者による全固体塩化物イオン電池及びその製造方法の公開(令和2年11月11日)
特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、第61回電池討論会(オンライン討論会)、発明者による全固体塩化物イオン電池及びその製造方法の公開(令和2年11月20日)
本発明は、全固体塩化物イオン電池およびその製造方法に関する。
リチウムイオン電池は、Liをキャリアとして用いる電池であり、高電圧が特徴である。一方で、F等のハロゲン化物イオンをキャリアとして用いるハロゲン化物イオン電池は、理論的には、現行のリチウムイオン電池よりも1.5~3倍のエネルギー密度を持つと言われており、ポストリチウムイオン電池の有力な候補として期待されている。その中でも、資源量豊富な塩化物を用いた塩化物イオン電池は、コストパフォーマンスに優れるという利点も兼ね備えている。
例えば、非特許文献1には、室温付近で10-4S/cm以上の高いClイオン伝導度を示す固体電解質として、立方晶ペロブスカイト型CsSnClが報告されている。
K. Yamada Y. Kuranaga, K. Ueda, S. Goto, T. Okuda, and Y. Furukawa, "Phase Transition and Electric Conductivity of ASnCl3 (A = Cs and CH3NH3)", Bull. Chem. Soc. Jpn., 1998, 71, pp.127-134.
塩化物は低いヤング率を有し可塑性に優れるため、全固体電池にすることで優れた電池特性とサイクル安定性を両立できる可能性がある。しかしながら、室温付近で高い塩化物イオン伝導性を示す固体電解質はほとんど知られていない。また、非特許文献1に記載されたCsSnClは、120℃付近にまで昇温させることで単斜晶から高Clイオン伝導度を有する立方晶ペロブスカイト型構造に相転移する。その後、降温させると40℃までは立方晶ペロブスカイト型構造を維持するものの、さらに降温させると元の単斜晶に戻ってしてしまい、室温では高いClイオン伝導度を維持できないという構造安定性上の欠点を持ち、電池の室温動作が不安定になるという問題がある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、室温付近での動作が安定で、かつ高い塩化物イオン伝導性を示し、室温付近において充放電可能な全固体塩化物イオン電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、その一態様として、正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間に配置された固体電解質層とを備える全固体塩化物イオン電池であって、前記固体電解質層は、CsSn1-XMnCl(式中、Xは、0<X<1を満たす数である)で表される化合物を含むものである。
また、本発明は、別の態様として、全固体塩化物イオン電池の製造方法であって、CsClとSnClとMnClとを含有する混合物にメカニカルミリング処理を施して、固体電解質を得る工程と、正極材料と、負極材料との間に、前記固体電解質を配置した状態で押圧する工程であって、正極層と負極層と前記正極層と前記負極層との間に配置された固体電解質層とを備える全固体塩化物イオン電池を得る、工程とを含む。
このように本発明によれば、CsSnClのSn2+サイトの一部にMn2+が置換ドープされたCsSn1-XMnClで表される化合物を、固体電解質に採用し、全固体塩化物イオン電池として構成することで、室温付近での動作が安定で、かつ高い塩化物イオン伝導性を示し、室温付近において充放電可能な全固体塩化物イオン電池およびその製造方法を提供することができる。
本発明に係る全固体塩化物イオン電池の一実施の形態を模式的に示す断面である。 本発明に係る全固体塩化物イオン電池の製造方法の一実施の形態の一部を示すフロー図である。 本発明に係る全固体塩化物イオン電池に用いる固体電解質の化合物と参考化合物のXRDパターンである。 本発明に係る全固体塩化物イオン電池に用いる固体電解質の化合物と参考化合物を示差走査熱量計(DSC)で結晶構造を調べた結果を示すチャートである。 交流インピーダンス試験で使用したHSセルを模式的に示す分解斜視図である。 図5のHSセルに挿入した試料を模式的に示す断面図である。 交流インピーダンス試験の結果を示すグラフである。 充放電試験に用いたPEEKセルを模式的に示す分解斜視図である。 実施例の全固体塩化物イオン電池の30℃における充放電プロファイルを示すグラフである。 実施例の全固体塩化物イオン電池の100℃における充放電プロファイルを示すグラフである。
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る全固体塩化物イオン電池およびその製造方法の一実施の形態について、詳細に説明する。
本実施の形態の全固体塩化物イオン電池10は、図1に示すように、正極層13と、負極層11と、正極層と負極層との間に配置された固体電解質層12とを備える。固体電解質層12は、CsSn1-XMnCl(式中、Xは、0<X<1を満たす数である)で表される化合物を含む。また、任意に、正極層の外側、すなわち、固体電解質層とは反対側に、保護層14を更に備えてもよい。各層について、詳細に説明する。
固体電解質層12は、固体電解質としてCsSn1-XMnClで表される化合物を含み、これはCsSnClのSn2+サイトの一部にMn2+が置換ドープされたものである。立方晶ペロブスカイト型構造CsSnClは、高いClイオン伝導度を示すことが知られているが、約120℃以上の温度から降温させると、単斜晶に相転移してしまい、室温付近で高いClイオン伝導度を維持できないという構造安定性上の欠点を持つ。一方、CsSnClのSn2+サイトの一部にMn2+を置換ドープしたCsSn1-XMnClで表される化合物は、室温以上の温度域においては昇温、降温のいずれの過程でも相転移はなく、室温付近でも安定して立方晶ペロブスカイト型構造を維持し、立方晶ペロブスカイト型構造CsSnClと同等の10-4S/cmオーダーの高いClイオン伝導度を維持することができる。
Mnの置換ドープ量を表す上記式中のXは、例えば、0<X≦0.2を満たす数が好ましく、0<X≦0.1を満たす数がより好ましく、0.01≦X≦0.1を満たす数がより好ましい。
固体電解質層12は、固体電解質粒子を加圧成形することにより得られる圧粉体であることが好ましい。固体電解質粒子は、焼結されたものではなく、また塩化物であることから可塑性に優れた柔らかい材料であり、加圧成形することにより粒子間が互いに密着するとともに、隣接する正極層13及び負極層11とも密着することができる。
固体電解質層12の厚さは1μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。一方、固体電解質層12の厚さは、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
正極層13は、少なくとも正極活物質を含有する電極合材を含む。正極活物質としては、金属塩化物が好ましく、例えば、塩化ビスマス(BiCl)、塩化ガリウム(GaCl)、塩化インジウム(InCl)などの貧金属の塩化物、塩化銅(CuCl)、塩化銀(AgCl)などの貴金属の塩化物、塩化ニッケル(NiCl)、塩化コバルト(CoCl)、塩化鉄(FeCl)の鉄族元素の塩化物、その他、塩化バナジウム(VCl)が挙げられる。
正極層13の電極合材は、一般的にイオン伝導性が低いため、固体電解質を含んでもよい。正極層13の電極合材に用いる固体電解質としては、固体電解質層12と同様に、CsSn1-XMnCl(式中、Xは、0<X<1を満たす数である)で表される化合物が好ましい。
正極層13の電極合材における固体電解質の割合は、正極活物質100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、100質量部以上がより好ましい。一方、電極合材における固体電解質の割合は、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。
正極層13の電極合材は、一般に電子伝導性を有さないため、導電剤を含んでもよい。導電剤としては、例えば、炭素材料や金属化合物などを用いてもよい。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック(例えばアセチレンブラックや、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなど)や、グラファイト粉末、繊維状炭素材料などが挙げられる。金属化合物としては、例えば、電子伝導性を有する金属、金属合金、金属酸化物が挙げられる。
正極層13の電極合材における導電剤の割合は、炭素材料の場合、正極活物質100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。一方、電極合材における導電剤の割合は、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
正極層13は、電極合材粒子を加圧成形することにより得られる圧粉体であることが好ましい。電極合材粒子は、焼結されたものではなく、また、塩化物を含むことから可塑性に優れた柔らかい材料であり、加圧成形することにより粒子間が互いに密着するとともに、隣接する固体電解質層12とも密着することができる。
正極層13の厚さは、1μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。一方、正極層13の厚さは、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
負極層11は、少なくとも負極活物質を含む。負極活物質としては、正極活物質よりも低い電位を有する活物質が用いられる。このような活物質としては、例えば、鉛(Pb)やスズ(Sn)などの金属単体、合金、その酸化物、およびその塩化物が挙げられる。
負極層11は、負極活物質粒子を加圧成形することにより得られる圧粉体であってもよいし、負極活物質の箔または板であってもよい。負極層11の厚さは、1μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。一方、負極層11の厚さは、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
保護層14は、任意に設けることができる層であり、保護層14によって集電体と電極合材の接触を防ぎ、両者の反応を抑制するため、サイクル特性を更に向上させることができる。保護層14は、固体電解質と導電剤とを含有する保護材料を含むことが好ましい。保護材料に用いる固体電解質としては、固体電解質層12と同様に、CsSn1-XMnCl(式中、Xは、0<X<1を満たす数である)で表される化合物が好ましい。また、保護材料に用いる導電剤としては、正極層13の電極合材と同様の炭素材料および金属化合物を用いてもよい。
保護層14は、保護材料粒子を加圧成形することにより得られる圧粉体であることが好ましい。保護層14は電池の充放電容量に関与しないため、その厚さは薄い方が好ましく、500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。厚さの下限は、特に限定されないが、例えば、1μm以上が好ましい。
このような構成の全固体塩化物イオン電池10によれば、固体電解質層12の固体電解質に、CsSn1-XMnClで表される化合物を用いたことから、室温付近でも安定して立方晶ペロブスカイト型構造を維持し、10-4S/cmオーダーの高いClイオン伝導度を発揮することができる。
次に、本実施の形態の全固体塩化物イオン電池の製造方法について説明する。本方法は、図2に示すように、固体電解質の3つの原料21a、21b、21cとして、CsClとSnClとMnClとを混合し、この混合物にメカニカルミリング処理を施して固体電解質23を得る第1のメカニカルミリング工程22と、正極材料と、負極材料との間に、固体電解質23を配置した状態で押圧して全固体塩化物イオン電池を得る押圧工程(図示省略)とを含む。
本方法は、任意に、固体電解質23と導電剤24とを混合し、この混合物にメカニカルミリング処理を施して、固体電解質が導電剤でコートされた導電性コート材26を得る第2のメカニカルミリング工程25を更に含んでもよい。導電性コート材26は、保護層を形成するための保護材料として使用でき、押圧工程において、保護材料、正極材料、固体電解質、および負極材料の順に配置した状態で押圧することで、全固体塩化物イオン電池を得る。
また、本方法は、任意に、導電性コート材26と正極活物質27とを混合し、この混合物にメカニカルミリング処理を施して電極合材29を得る第3のメカニカルミリング工程28を更に含んでもよい。電極合材29は、押圧工程において、正極材料として用いる。上記の各工程について、詳細に説明する。
第1のメカニカルミリング工程22では、先ず、固体電解質としてCsSn1-XMnClで表される化合物を得るために、その原料となるCsClとSnClとMnClを、所望する組成となるように混合する。すなわち、mol比で、CsCl:SnCl:MnClが1:1-X:Xとなるように混合する。そして、CsClとSnClとMnClの各粉末の混合物にメカニカルミリング処理を施すことで、CsSn1-XMnClで表される化合物の粉末を得ることができる。Xは、0<X<1を満たす数であり、例えば、図2に示すように、X=0.05とする場合、CsClとSnClとMnClを1:0.95:0.05のmol比で混合することで、CsSn0.95Mn0.05Clの固体電解質23を得ることができる。
メカニカルミリング処理としては、例えば、ボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を用いることができる。メカニカルミリング処理の回転数および処理時間は、原料のCsClとSnClとMnClの各粉末が、CsSn1-XMnClで表される化合物の粉末となるまで行えばよく、例えば、回転数は400~600rpmで、処理時間は3~12時間である。
第2のメカニカルミリング工程25では、先ず、固体電解質23と導電剤24とを混合する。固体電解質23は、図2に示すように、第1のメカニカルミリング工程22で得られた固体電解質23が好ましい。導電剤24の具体例、および固体電解質23と導電剤24の配合割合は、上記の正極層の説明において記載していることから、ここでの説明は省略する。
そして、固体電解質23と導電剤24を含有する混合物にメカニカルミリング処理を施して、導電性コート材26を得る。導電性コート材26は、固体電解質粒子の表面が導電剤でコートされた粒子の集まりである。例えば、図2に示すように、固体電解質23としてCsSn0.95Mn0.05Cl、導電剤24としてカーボンブラック(C)を用いた場合、導電性コート材26として、CsSn0.95Mn0.05Cl粒子の表面がカーボンコートされた粒子の集まりを得ることができ、本明細書ではCsSn0.95Mn0.05Cl/Cと表す。
メカニカルミリング処理に用いる装置は、第1のメカニカルミリング工程と同様である。メカニカルミリング処理の回転数および処理時間は、固体電解質粒子の表面が導電剤で覆われるまで行えばよく、例えば、回転数は400~600rpmで、処理時間は3~12時間である。
第3のメカニカルミリング工程28では、先ず、導電性コート材26と正極活物質27とを混合する。導電性コート材26は、図2に示すように、第2のメカニカルミリング工程25で得られた導電性コート材26が好ましいが、本発明はこれに限定されず、その他の固体電解質の粒子にその他の導電剤をコートされた粒子の集まりを用いてもよい。導電性コート材26と正極活物質27の配合割合は、導電性コート材26中の固体電解質の質量と正極活物質との質量との割合で決まる。固体電解質と正極活物質との割合、および正極活物質の具体例は、上記の正極層の説明において記載していることから、ここでの説明は省略する。
そして、導電性コート材26と正極活物質27を含有する混合物にメカニカルミリング処理を施して、電極合材29を得る。電極合材29は、導電性コート材と正極活物質との混合物である。例えば、図2に示すように、導電性コート材26としてCsSn0.95Mn0.05Cl/C、正極活物質27として塩化ビスマス(BiCl)を用いた場合、得られる電極合材29は、本明細書ではBiCl/CsSn0.95Mn0.05Cl/Cと表す。
メカニカルミリング処理に用いる装置は、第1のメカニカルミリング工程と同様である。メカニカルミリング処理の回転数および処理時間は、導電性コート材と正極活物質との混合物が得られるまで行えばよく、例えば、回転数は100~400rpmで、処理時間は3~12時間である。メカニカルミリング処理は、乾式で行ってもよいし、湿式で行ってもよい。
押圧工程(図示省略)では、上記により得られた正極合材29および固体電解質23、並びに負極材料の順に配置した状態で押圧することで、正極層、固体電解質層、および負極層を順に備えた全固体塩化物イオン電池を形成することができる。負極材料としては、負極活物質を用いることができる。負極活物質については、上記の負極層の説明において記載していることから、ここでの説明は省略する。また、保護層を更に備えた全固体塩化物イオン電池を形成するためには、上記により得られた導電性コート材26、正極合材29および固体電解質23、並びに負極材料の順に配置した状態で押圧すればよい。
押圧時の圧力は、上記により得られた固体電解質23の粒子が塑性変形を起こし、緻密な固体電解質層を形成することができる圧力であればよく、例えば、255~510MPaが好ましい。押圧時の温度は、常温でよい。焼成などの加熱処理は不要である。
このような工程の全固体塩化物イオン電池の製造方法によれば、電池を構成する固体電解質層、正極層、および任意の保護層の各材料である固体電解質23、電極合材29、および導電性コート材を効率的に得ることができるとともに、電池の構成材料を加圧成形するという容易な製造工程で、可逆的な充放電が可能な全固体塩化物イオン電池を得ることができる。また、焼成の必要がないことから、副反応による高抵抗化を回避することもできる。
[1.固体電解質]
Ar雰囲気のグローブボックス中のポットにCsClとSnClとMnClを、それぞれ1:0.95:0.05と1:0.90:0.10のmol比で封入、混合し、これら混合物に遊星型ボールミル(Fritch社製、Premium line P-7)で600rpm、12時間のメカニカルミリング処理を行った。得られた各サンプルについて、X線回折(XRD)測定装置(Rigaku社製、品番:Miniflex600)を用いて、XRDパターンを得た。また、比較のために各構造のCsSnClのXRDパターンも得た。その結果を図3に示す。
図3に示すXRDパターンにより、上記により得られたCsSn0.95Mn0.05ClもCsSn0.9Mn0.1Clも立方晶ペロブスカイト型構造を有することを確認した。
また、上記により得られたCsSn0.95Mn0.05Clおよび比較例としてCsSnClを、室温付近から200℃まで昇温させ、その後、-150℃まで降温させた後、再び室温付近まで昇温させるとともに、その間の上記2つの化合物を示差走査熱量計(DSC)にて結晶構造を調べた。その結果を図4に示す。
図4に示すように、CsSnClは、昇温時に120℃を超えると単斜晶から立方晶ペロブスカイト型構造に相転移したが、降温時に18℃付近で立方晶ペロブスカイト型構造が維持されなくなった。一方、CsSn0.95Mn0.05Clは、昇温時でも降温時でも。-14℃以上では、立方晶ペロブスカイト型構造を有していた。
また、得られたCsSn0.95Mn0.05Clのサンプルついて、図5に示すHSセル(宝泉社製)を用いて、交流インピーダンス試験を行った。HSセル50は、図5に示すように、フランジ付きセル容器51、試料セル60、シリンダ状ガイド52、フランジ付きセル蓋53、および押圧部材54を順に重ね合わせて、4組のボルト56とナット57でフランジ付きセル容器51とフランジ付きセル蓋53とを固定して電池評価試験用のセルとするものである。試料セル60は、図6に示すように、先ず、上記サンプルを510MPaで一軸加圧成型することにより直径10mmのペレット62に調製し、このペレット62の両面にPtスパッタを施してPt層61a、61bを形成したものを用いた。そして、25~150℃の温度範囲で、交流インピーダンス試験を行った。また、比較のため、CsSnClについても同様に試料セルを作製して試験を行った。その結果を図7に示す。
図7に示すCsSnClとCsSn0.95Mn0.05Clの昇温および降温過程におけるアレニウスプロットからも、CsSnClは昇温過程において120℃付近で10-4S/cmオーダーの高いClイオン伝導度を示し、降温過程では40℃まではこの高いClイオン伝導度を維持したものの、25℃ではClイオン伝導度が急激に低下した。一方、CsSn0.95Mn0.05Clは昇温、降温に関わらず、どちらの過程でも25℃において10-4S/cmオーダーの高いClイオン伝導度を示した。このことから、CsSn0.95Mn0.05Clは昇温、降温に関わらず、室温において安定して立方晶ペロブスカイト型構造を有し、高いClイオン伝導度を維持できることが明らかになった。
[2.全固体塩化物イオン電池]
上記により得られたサンプルを固体電解質として使用して全固体塩化物イオン電池を作製するとともに、充放電試験を行った。
先ず、CsSn0.95Mn0.05Clのサンプルにアセチレンブラックを5:1の質量比で混合した。そして、この混合物に遊星型ボールミルで600rpm、12時間のメカニカルミリング処理を施し、カーボンコート材(CsSn0.95Mn0.05Cl/C)を得た。更に、これにBiClを2:1の質量比で混合した。そして、この混合物に遊星型ボールミルで150rpm、12時間のメカニカルミリング処理を行い、電極合材(BiCl/CsSn0.95Mn0.05Cl/C)を作製した。
固体電解質に上記のCsSn0.95Mn0.05Clのサンプルを200mg用い、保護材料に、上記のカーボンコート材を30mg用い、正極材料に上記の電極合材を30mg用い、負極材料にSn板を用いた。なお、負極のSnは正極である電極合材の質量に対して過剰量仕込んだ。そして、保護材料、正極材料、固体電解質、および負極材料の順に配置し、常温、510MPaの圧力で押圧して、保護層、正極層、固体電解質層および負極層が順に積層された直径10mmのコイン状の全固体セルを得た。
このようにして得られた全固体セルを、図8示すPEEKセル(MTI Japan社製)を用いて、充放電試験を行った。PEEKセル80は、図8に示すように、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の負極側プレート81、全固体セル10’、シリンダ状ガイド82、およびPEEK製の正極側プレート83を順に重ね合わせて電池評価試験用のセルとするものである。全固体セル10’は、図1に示すように、保護層14、正極層13、固体電解質層12および負極層11が順に積層されたものである。そして、グローブボックス内で、30℃、0.1mA/cmと100℃、0.1mA/cmの2つの条件で充放電試験を行った。その結果を図9、図10に示す。
図9に示す充放電プロファイルによれば、全固体セルの正極重量当たりの初回放電容量は66mAh/gを示した。これは以下の反応式に基づくBiClの3電子反応の理論容量である255mAh/gの26%に相当し、室温での全固体塩化物イオン電池の動作を実証した。
また、図9に示す充放電プロファイルによれば、全固体セルの正極重量当たりの初回放電容量は240mAh/gを示した。これは上記の理論容量の約95%に相当する。
10 全固体塩化物イオン電池
11 負極層
12 固体電解質層
13 正極層
14 保護層
22 第1のメカニカルミリング工程
25 第2のメカニカルミリング工程
28 第3のメカニカルミリング工程
50 HSセル
60 試料セル
80 PEEKセル

Claims (7)

  1. 正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間に配置された固体電解質層とを備える全固体塩化物イオン電池であって、
    前記固体電解質層が、CsSn1-XMnCl(式中、Xは、0<X≦0.2を満たす数である)で表される化合物を含む全固体塩化物イオン電池。
  2. 前記式中のXが0<X≦0.1を満たす数である請求項1に記載の全固体塩化物イオン電池。
  3. 前記固体電解質層が室温(25℃)において立方晶ペロブスカイト型結晶を有する請求項1又は2に記載の全固体塩化物イオン電池。
  4. 前記正極層の前記固体電解質層とは反対側に、保護層を更に備え、この保護層が、CsSn1-XMnCl(式中、Xは、0<X<1を満たす数である)で表される化合物と、導電剤とを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の全固体塩化物イオン電池。
  5. CsClとSnClとMnClとをmol比で1:1-X:X(=CsCl:SnCl :MnCl )(Xは、0<X≦0.2を満たす数である)で含有する混合物にメカニカルミリング処理を施して、固体電解質を得る工程と、
    正極材料と、負極材料との間に、前記固体電解質を配置した状態で押圧する工程であって、正極層と負極層と前記正極層と前記負極層との間に配置された固体電解質層とを備える全固体塩化物イオン電池を得る、工程と
    を含む全固体塩化物イオン電池の製造方法。
  6. 前記固体電解質の一部と金属塩化物を含む正極活物質とを含有する混合物にメカニカルミリング処理を施して、前記正極材料として電極合材を得る工程を更に含む、請求項5に記載の全固体塩化物イオン電池の製造方法。
  7. 前記固体電解質の別の一部と導電剤とを含有する混合物にメカニカルミリング処理を施して、保護材料を得る工程を更に含み、
    前記押圧する工程において、前記保護材料、前記正極材料、前記固体電解質、および前記負極材料の順に配置した状態で押圧して、保護層、前記正極層、前記固体電解質層、および前記負極層の順に積層された全固体塩化物イオン電池を得る、請求項5又は6に記載の全固体塩化物イオン電池の製造方法。
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