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JP7664566B2 - 車載部品用ヒーターフィルム及びインサート成形品の製造方法 - Google Patents
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JP7664566B2 - 車載部品用ヒーターフィルム及びインサート成形品の製造方法 - Google Patents

車載部品用ヒーターフィルム及びインサート成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、車載部品用ヒーターフィルム及びインサート成形品の製造方法に関し、詳しくは、基材層と、ヒーター用回路と、保護回路層とを備える車載部品用ヒーターフィルム、及びこの車載部品用ヒーターフィルムを用いるインサート成形品の製造方法に関する。
車載部品用ヒーターフィルムは、自動車等における部品の湾曲した外面へ、折り曲げたり伸長させたりしながら取り付けることができるヒーターであり、例えば融雪ヒーター等として使用されている。かかるヒーターフィルムは、基材層の上に、銅箔等を用いて形成したヒーター用回路を積層したものであり、このヒーター用回路を熱可塑性樹脂などで被覆することにより、モジュールを作製して用いられる。このモジュールの作製は、通常、ヒーターフィルムのヒーター用回路側の面に熱可塑性樹脂を射出するインサート成形により行われるが、インサート成形では、高温かつ高圧力の樹脂がヒーター用回路の上に直接射出されるため、金型形状、射出される熱可塑性樹脂の温度、圧力等、成形条件によっては、ヒーター用回路の線が曲がったり、千切れたり、回路が露出したりして、ヒーター用回路が破壊されてしまうことがあった。
このようなインサート成形において起こる破壊を抑制する方法として、表面保護層を形成する方法が考えられる。特許文献1には、低艶絵柄インキ層と、これを被覆する表面保護層とを有する加飾シートに関し、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を75:25~25:75の比率(質量比)で含む樹脂組成物を架橋硬化したものであり、この熱可塑性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量が9万~12万の範囲であり、表面保護層の厚さが1~1000μmであることが開示されている。
特開2009-132145号公報
しかし、車載部品用ヒーターフィルムのモジュールの作製においては、ヒーター用回路の強度がより小さく、また、射出する樹脂の温度及び圧力がより高いため、前述のような従来の表面保護層の材料を用いたのでは、ヒーター用回路の破壊を抑制することはできておらず、ヒーターフィルムの射出成形耐性を向上させることはできていない。
本開示の課題は、射出成形耐性に優れる車載部品用ヒーターフィルム、及びこれを用いるインサート成形品の製造方法を提供することにある。
本開示の一態様に係る車載部品用ヒーターフィルムは、基材層と、ヒーター用回路と、回路保護層とを備える。前記ヒーター用回路は、前記基材層に積層されている。前記回路保護層は、前記ヒーター用回路の周囲を取り囲むように敷設されている。前記回路保護層の熱重量示差熱分析における5%重量減少温度は300℃以上である。前記回路保護層の引張弾性率は25℃で1GPa以上300GPa以下であり、且つ300℃で10MPa以上である。
本開示の一態様に係るインサート成形品の製造方法は、前記車載部品用ヒーターフィルムを金型に配置するステップと、前記金型に溶融した樹脂を射出するステップと、前記樹脂を固化するステップとを備える。
本開示によれば、射出成形耐性に優れる車載部品用ヒーターフィルム、及びこれを用いるインサート成形品の製造方法を提供することができる。
図1Aは、本開示の一実施形態に係る車載部品用ヒーターフィルムの概略の断面図である。図1Bは、本開示の別の実施形態に係る車載部品用ヒーターフィルムの概略の断面図である。 図2は、本開示の一実施形態に係るインサート成形品の概略の断面図である。 図3A及び図3Bは、基材層と回路保護層とのダイシェアテストにおける界面密着強度の測定方法を示す概略図である。 図4は、車載部品用ヒーターフィルムの射出成形耐性の評価方法を示す概略図である。
1.概要
本実施形態に係る車載部品用ヒーターフィルムは、基材層と、ヒーター用回路と、回路保護層とを備える。ヒーター用回路は、基材層に積層されている。回路保護層は、ヒーター用回路の周囲を取り囲むように敷設されている。回路保護層の熱重量示差熱分析における5%重量減少温度は300℃以上である。回路保護層の引張弾性率は25℃で1GPa以上300GPa以下であり、且つ300℃で10MPa以上である。
発明者らは、ヒーター用回路と、ヒーター用回路の周囲を取り囲むように敷設された回路保護層とを備える車載部品用ヒーターフィルムから、高温かつ高圧力の樹脂を射出してインサート成形を行うことによりモジュールを作製する場合において、ヒーターフィルムの射出成形耐性と、回路保護層の耐熱性及び引張弾性率の間に以下に示す関連があることを見出した。すなわち、回路保護層の5%重量減少温度を300℃以上とすることにより、射出成形における高温溶融樹脂による回路保護層の分解が抑制される。また、回路保護層の25℃における引張弾性率を1GPa以上300GPa以下とすることで、回路保護層13におけるヒーター用回路12にかかる応力をより小さくすることができ、それにより、射出成形の際のヒーター用回路12の破壊が抑制される。さらに、回路保護層13の300℃における引張弾性率を10MPa以上とすることにより、高温溶融樹脂により回路保護層13が変形することや、ヒーター用回路12が露出することが抑制される。これらにより、インサート成形時に、高温かつ高圧力の樹脂の射出によっても、ヒーター用回路12や回路保護層13の破壊を抑制することができ、ヒーターフィルムの射出成形耐性を優れたものとすることができると考えられる。
2.詳細
<車載部品用ヒーターフィルム>
本実施形態に係る車載部品用ヒーターフィルム(以下単に、ヒーターフィルムともいう)は、車載部品を加温又は加熱するために用いられる面状のヒーターである。ヒーターフィルムは、例えば自動車等の乗物に搭載する融雪ヒーターなどとして好適に用いられる。ヒーターフィルムは、車載部品の湾曲した外面等に取り付けることができるよう、可撓性を有することが好ましい。
本実施形態に係るヒーターフィルムは、基材層と、ヒーター用回路と、回路保護層とを備える。ヒーター用回路が例えば銅箔等の金属箔から形成される場合、ヒーターフィルムの基材層は、金属箔に接着する接着部21を有することが好ましい。
図1Aのヒーターフィルム1は、基材層11と、ヒーター用回路12と、回路保護層13とを備える。図1Bのヒーターフィルム1は、基材層11と、ヒーター用回路12と、回路保護層13とを備え、基材層11は接着部21を有している。図1A及び図1Bでは、ヒーター用回路12は、断面図で2つの部位のみを有するように記載しているが、実際には、ヒーター用回路12の断面形状は、特に限定されない。
以下、各構成について説明する。
[基材層]
図1A及び図1Bに示すように、基材層11は、ヒーターフィルム1において、ヒーター用回路12を積層するための部材である。
基材層11の形状は、例えばフィルム状、シート状、板状等である。
基材層11の平面視の寸法は、特に限定されない。基材層11の厚さは、目的とするヒーターフィルム1の可撓性等により適宜選択されるが、1μm以上5000μm以下であることが好ましい。この場合、ヒーターフィルム1の可撓性をより向上させることができる。基材層11の厚さは、10μm以上1000μm以下であることがより好ましく、50μm以上800μm以下であることがさらに好ましく、100μm以上500μm以下であることが特に好ましい。
基材層11の材質は、例えば樹脂であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。基材層11が熱可塑性樹脂製であると、車体等の対象に熱融着させることができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、液晶ポリマーなどが挙げられる。これらの中で、割れ難さ及び透明性の観点から、ポリカーボネートが好ましい。基材層11は、樹脂以外の材料、例えば無機フィラー等を含有していてもよい。
基材層11の材質には、後述するインサート成形において射出する樹脂と同種の樹脂を用いることが好ましい。この場合、作製されるモジュールの強度をより向上させることができる。
(接着部)
図1Bに示すように、接着部21は、基材層11の一部であり、ヒーター用回路12が例えば銅箔等の金属箔から形成される場合、金属箔に接着することができる部分である。ヒーターフィルム1は、基材層11が接着部21を有することで、ヒーター用回路12が金属箔から形成されたものである場合でも、ヒーター用回路12の基材層11からの剥離等をより抑制することができ、それにより、ヒーターフィルム1の射出成形耐性をより向上させることができる。
接着部21の形成には、公知の接着剤を用いることができ、基材への塗布の容易性の観点から、溶剤系接着剤が好ましく、主剤と硬化剤とを混合して使用する接着剤が好ましい。接着剤としては、例えばポリエステル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)系接着剤などが挙げられる。これらの中で、金属との接着性により優れる観点から、ポリエステル系接着剤及びアクリル系接着剤の少なくとも一方が好ましく、ポリエステル系接着剤がより好ましい。
接着部21の形成は、例えばまず、溶剤系接着剤の主剤と硬化剤とを混合して、基材の表面上に塗布し、乾燥して接着剤の塗膜を形成する。乾燥温度は、例えば50℃以上200℃以下であり、100℃以上140℃以下であることが好ましい。乾燥時間は、例えば5秒以上1時間以下であり、10秒以上3分以下であることが好ましい。次に、この接着剤の塗膜に、例えば銅箔等の金属箔を貼り付けてから、加熱し、硬化させる。加熱温度は、例えば30℃以上100℃以下であり、40℃以上60℃以下であることが好ましい。加熱時間は、例えば1時間以上1000時間以下であり、50時間以上300時間以下であることが好ましい。加熱は、1つの温度で行ってもよく、2つ以上の温度で段階的に昇温して行ってもよい。加熱硬化により、ヒーター用回路12としての金属箔が接着した接着部21が形成される。
接着部21の平面視の寸法は、通常接着部21を形成する基材の平面視の寸法以下であり、基材と同じ寸法であることが好ましい。接着部21の厚さは、例えば0.1μm以上100μm以下であり、1μm以上60μm以下であることが好ましく、3μm以上20μm以下であることがより好ましい。
[ヒーター用回路]
図1A及び図1Bに示すように、ヒーター用回路12は、基材層11に積層されている。ヒーター用回路12の平面視形状は、特に限定されず、例えば格子状、網目状、扇状、渦巻状、ミアンダ状等の任意の配線パターン形状などが挙げられる。
ヒーター用回路12の材質としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば金、銀、銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウム等の金属、これらの2種以上の合金などが挙げられる。これらの中で、銅が好ましい。
ヒーター用回路12を形成する方法としては、金属箔のエッチングにより形成する方法、金属の蒸着により形成する方法、金属のめっきにより形成する方法などが挙げられる。ヒーター用回路12をエッチングにより形成する場合、ヒーター用回路12の形成は、例えば基材に塗布した接着剤の膜上に銅箔等の金属箔を貼り合わせた後、接着剤を硬化させて、金属箔付き基材層を得、この金属箔付き基材層に対して、フォトエッチング法等により、金属箔の不要部分を除去して、任意の配線パターンを形成することにより行う。
ヒーター用回路12が平面形状である場合、ヒーター用回路12の厚さは、通常1μm以上100μm以下であり、5μm以上70μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
[回路保護層]
図1A及び図1Bに示すように、回路保護層13は、ヒーター用回路12の周囲を取り囲むように敷設されている。
本実施形態に係るヒーターフィルム1において、回路保護層13の熱重量示差熱分析(TG-DTA)における5%重量減少温度は300℃以上である。この5%重量減少温度は、320℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、370℃以上であることがさらに好ましい。5%重量減少温度を前記値以上とすることで、射出成形における高温溶融樹脂による回路保護層13の分解をより抑制することができ、それにより、ヒーターフィルム1の射出成形耐性をより向上させることができる。この5%重量減少温度の上限は特に限定されないが、例えば500℃未満であり、400℃以下であることが好ましい。「5%重量減少温度」とは、TG-DTA装置により、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で測定される、回路保護層材料の重量減少が5質量%となる温度である。
本実施形態に係るヒーターフィルム1において、回路保護層13の引張弾性率は、25℃で1GPa以上300GPa以下である。また、回路保護層13の引張弾性率は、300℃で、10MPa以上である。
回路保護層13の25℃における引張弾性率は、1.1GPa以上であることが好ましく、1.2GPa以上であることがより好ましく、1.3GPa以上であることがさらに好ましく、1.4GPa以上であることが特に好ましい。25℃における引張弾性率は、100GPa以下であることが好ましく、30GPa以下であることがより好ましく、10GPa以下であることがさらに好ましく、2GPa以下であることが特に好ましい。25℃における引張弾性率を前記範囲とすることで、回路保護層13におけるヒーター用回路12にかかる応力をより小さくすることができ、それにより、ヒーターフィルム1の射出成形耐性をより向上させることができる。
回路保護層13の300℃における引張弾性率は、11MPa以上であることが好ましく、12MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることがさらに好ましく、30MPa以上であることが特に好ましい。300℃における引張弾性率を前記値以上とすることで、高温溶融樹脂による回路保護層13の変形やヒーター用回路12の露出をより抑制することができ、それにより、ヒーターフィルム1の射出成形耐性をより向上させることができる。300℃における引張弾性率の上限は、特に限定されないが、100MPaもあれば十分である。
回路保護層13を形成する材料としては、形成された回路保護層13の5%重量減少温度、並びに25℃及び300℃における引張弾性率が前記範囲になるものであれば用いることができ、例えば種々の熱硬化性樹脂などが挙げられ、主成分としてエポキシ樹脂を含有するものが好ましい。すなわち、回路保護層13は、エポキシ樹脂を主成分として含有する組成物(以下、組成物(X)ともいう)の硬化物を含むことが好ましい。「主成分」とは、最も質量割合が大きい成分をいい、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上の成分をいう。回路保護層13を形成する材料として、エポキシ樹脂を主成分として含有する組成物(X)を用いることにより、5%重量減少温度並びに25℃及び300℃における引張弾性率をより適度な値に調整することができ、ヒーターフィルム1の射出成形耐性をより向上させることができる。
エポキシ樹脂は、一分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジル基含有シリコーン樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
組成物(X)におけるエポキシ樹脂の割合は、例えば50質量%以上100質量%以下であり、60質量%以上95質量%以下であることが好ましく、65質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
組成物(X)は、通常エポキシ樹脂の硬化剤、硬化促進剤などを含有する。硬化剤としては、例えばフェノール系硬化剤、酸無水物類、アミン類、イミダゾール類、ヒドラジド類、ポリメルカプタン類、ルイス酸-アミン錯体等が挙げられる。エポキシ樹脂1当量に対する硬化剤の当量は、例えば0.6以上1.4以下である。組成物(X)に対する硬化剤の割合は、例えば1質量%以上50質量%以下であり、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
硬化促進剤としては、例えば2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン類;2-(ジメルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンとパラベンゾキノンの付加反応物、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;ボレート以外の対アニオンを持つ4級ホスホニウム塩;2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。組成物(X)に対する硬化促進剤の割合は、例えば0.1質量%以上2質量%以下である。
組成物(X)の市販品としては、例えばパナソニック社製のCV5340E、スリーボンド社製のTB2082Cなどが挙げられる。
回路保護層13の平面視の寸法は、ヒーター用回路12の周囲を取り囲むことができる大きさであれば、特に限定されない。回路保護層13の厚さは、ヒーター用回路12の厚さより大きければ特に限定されない。回路保護層13の厚さは、例えばヒーター用回路12の厚さの1.1倍以上であり、1.2倍以上であることが好ましい。回路保護層13の厚さは、例えばヒーター用回路12の厚さより5μm以上大きく、10μm以上大きいことが好ましい。回路保護層13の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下であり、50μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上200μm以下であることがより好ましい。
基材層11と回路保護層13とのダイシェアテストにおける界面密着強度は、インサート成形における金型温度において、1MPa以上であることが好ましい。この場合、インサート成形における射出成形耐性をより向上させることができる。インサート成形における金型温度は、通常80℃以上150℃以下である。
基材層11と回路保護層13とのダイシェアテストにおける界面密着強度は、120℃において、1MPa以上であることが好ましい。インサート成形における代表的な金型温度である120℃における界面密着強度が前記値以上である場合、ヒーターフィルム1の射出成形耐性をより向上させることができる。120℃における界面密着強度は、1.1MPa以上であることがより好ましく、1.2MPa以上であることがさらに好ましい。120℃における界面密着強度の上限値は特に限定されないが、3MPaもあれば十分である。
基材層11と回路保護層13とのダイシェアテストにおける界面密着強度の測定方法は、後掲の実施例の欄で説明する。基材層11が接着部21を有する場合、基材層11と回路保護層13との界面密着強度は、接着部21と回路保護層13との界面密着強度を意味する。
ヒーターフィルム1における基材層11と回路保護層13とは共に透明性を有することが好ましい。この場合、ヒーターフィルム1におけるヒーター用回路12を視認することが可能になる。
回路保護層13は、例えばヒーター用回路12が積層された基材層11の上に、回路保護層13を形成する材料を塗布した後、材料を硬化させることにより形成することができる。
<インサート成形品>
本実施形態に係るインサート成形品は、前述の車載部品用ヒーターフィルムと、インサート成形によって形成され、車載部品用ヒーターフィルムに接着された樹脂とを備える。本実施形態に係るインサート成形品は、前述の射出成形耐性に優れるヒーターフィルム1を用いて作製されるので、インサート成形品において、ヒーター用回路は破壊が抑制され、形状を保持している。そのため、本実施形態に係るインサート成形品は、優れたヒーター性能を発揮することができる。
図2に、本実施形態のインサート成形品の一例の断面図を示す。インサート成形品2は、図1Bに示すヒーターフィルム1と、樹脂31とを備える。樹脂31は、インサート成形によって形成されたものであり、ヒーターフィルム1に接着されている。
インサート成形品2の形状は、例えばフィルム状、シート状、板状などである。
インサート成形品2の平面視の寸法は、特に限定されない。インサート成形品2の厚さは、例えば10μm以上100mm以下であり、100μm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。このような厚さとすることで、インサート成形品2の可撓性等をより向上させることができる。
インサート成形品2における基材層11、回路保護層13及び樹脂31はいずれも透明性を有することが好ましい。この場合、インサート成形品2におけるヒーター用回路12を視認することが可能になる。
<インサート成形品の製造方法>
インサート成形品2は、公知の方法により製造することができる。インサート成形品2は、例えばヒーターフィルム1を金型に配置するステップ(ステップ1)と、金型に、溶融した樹脂を射出するステップ(ステップ2)と、溶融した樹脂を固化するステップ(ステップ3)とを備える製造方法により、簡便かつ確実に製造することができる。
ステップ1では、ヒーターフィルム1を金型に配置する。ステップ1において、ヒーターフィルム1は、例えば金型内の一方の壁に、基材層11のヒーター用回路12とは反対側の面を付けて配置する。
ステップ2では、金型に溶融した樹脂を射出する。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂が用いられる。樹脂としては、基材層11の材料と同じものを用いることが好ましい。この場合、インサート成形品2の強度をより向上させることができる。樹脂としては、割れ難さ及び透明性の観点から、ポリカーボネートが好ましい。ステップ2における金型温度としては、例えば80℃以上150℃以下であり、100℃以上140℃以下であることが好ましい。溶融した樹脂の温度としては、例えば200℃以上400℃以下であり、250℃以上350℃以下であることが好ましい。ステップ2における保圧としては、例えば10Pa以上100Pa以下であり、20Pa以上60Pa以下であることが好ましい。ステップ2における射出速度としては、例えば10mm/s以上200mm/s以下であり、50mm/s以上150mm/sであることが好ましい。
ステップ3では、溶融した樹脂を固化する。ステップ3は、例えば金型温度を徐々に下げることにより行う。これにより、ヒーターフィルム1を含むインサート成形品2を得ることができる。
以下、本開示を実施例によってさらに詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<ヒーターフィルムの作製>
[回路付き基材の作製]
基材として、厚さ300μmの透明なポリカーボネートフィルムを用いた。
基材の表面に塗布する溶剤系接着剤は、主剤である「ダイナレオVA-3020」(東洋インキ製造社製)と、硬化剤である「ダイナレオHD-701」(東洋インキ製造社製)とを、主剤/硬化剤(質量比率)=100/7となるように混合することによって調製した。そして、この溶剤系接着剤を3g/mの塗布量で基材の表面に塗布し、120℃で1分間乾燥させることによって、厚さ12μmの透明な接着剤の膜を設けた。
次に、形成した接着剤の膜の表面に銅箔を貼り合わせて設けた後、40℃で48時間、60℃で96時間加熱して、接着剤を硬化させることで、銅箔付き基材層を得た。銅箔としては、厚さ35μmの銅箔を用いた。
銅箔付き基材層に対して、フォトエッチング法により銅箔の不要部分を除去して基材層に任意の配線パターンを設けることによって、ヒーター用回路付き基材層を作製した。
[回路保護層の形成]
回路保護層の材料として、以下のものを用いた。
実施例1:パナソニック社製のCV5340E
実施例2:スリーボンド社製のTB2082C
比較例1:スリーボンド社製のTB3732
比較例2:ヘンケル社製のLQM014
比較例3:パナソニック社製のストレッチャブルフィルム
比較例4:パナソニック社製のCV5390
作製したヒーター用回路付き基材層上の回路が形成されていない部分に、耐熱性ポリイミドテープ(スリーエム社製の7413D)を二枚重ねて、ヒーター用回路付き基材層上の端部に貼ることで、厚さ135μmの枠を形成した。続いて、各種回路保護層材料をヒーター用回路付き基材層上に乗せて、直径3mmのアルミ棒を貼り付けたポリイミドテープに棒の両端が掛かる形で配置し、アルミ棒をポリイミドテープの表面に沿って動かすことにより、回路保護層材料をヒーター用回路付き基材層上に塗り広げ、所定の硬化条件を経ることで、回路保護層を備えるヒーターフィルムを形成した。
<評価>
[5%重量減少温度]
回路保護層材料を離型フィルム上に塗布し、所定の条件で硬化させた後、離型フィルムを剥がすことで、回路保護層材料のバルク膜を得た。回路保護層材料のバルク膜から所定の重量を切り出し、セイコーインスツル社製のTG/DTA6300によって、回路保護層材料の重量減少が5%となる温度を測定した。なお、測定は、大気雰囲気下(流量200mL/分)、昇温速度10℃/分の条件で実施した。
[引張弾性率]
回路保護層材料を離型フィルム上に塗布し、所定の条件で硬化させた後、離型フィルムを剥がすことで、回路保護層材料のバルク膜を得た。得られた回路保護層材料のバルク膜を5mm幅に切断したものを用いて、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル社製のDMS6100)で、25℃及び300℃における引張弾性率を測定した。このとき、引張モードで周波数を10Hzとし、昇温速度10℃/分の条件で室温から300℃まで昇温して測定を行った。
[界面密着強度]
図3Aに示すように、15×15mmの大きさの銅箔付き基材から、銅箔をエッチングして接着剤付き基材42を形成し、この接着剤付き基材42に、各種回路保護層材料を用いた膜43を形成した後、アルミリベット44を貼り付けて、所定の時間硬化させることにより、接着剤付き基材42の表面に回路保護層材料43を介してアルミリベット44が貼付された試験片41を作製した。作製した試験片41を用い、図3Bに示すように、ボンドテスター(Dega社製の4000型)にてダイシェア試験を行い、接着部(基材層)と回路保護層との間の界面密着強度を測定した。アルミリベット44の底面は直径6mmの円形である。なお、測定に使用したツールAの幅は9mm、ツールAの高さ(接着剤付き基材42と、ツールAの下端との距離)は100μm、ツールAの速度は100μm/秒で、試験片41を設置したステージを120℃に加熱して測定を実施した。
[射出成形耐性]
まず、射出成形機(東洋機械金属社製のSi-80)により、回路保護層を備えるヒーターフィルムを作製した。作製した回路保護層を備えるヒーターフィルムを30mm×30mmのサイズに切り出し、金型のゲート直下になる位置に貼り付けた。射出成形耐性評価用の試験片の作製条件は、使用樹脂:ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製のユーピロンS-3000)、樹脂温度320℃、金型温度80℃、射出速度80mm/s、保圧40Pa、ゲート幅7mmとした。このようにして、図4に示すように、回路保護層を備えるヒーターフィルム52を含む100mm角、厚さ2mmの平板の試験片51を作製した。
得られた試験片51について、ゲートに対応する部分53に隣接し、ゲートから射出される樹脂によって回路保護層が破壊された部分Bについて、試験片に1mmマス目の方眼を重ねることで面積を算出した。
射出成形耐性は、回路保護層が破壊された部分Bの面積により以下の基準で評価した。
◎:10mm以下
〇:88mm以下
×:88mm
Figure 0007664566000001
表1の結果から、実施例のヒーターフィルムは、回路保護層の5%重量減少温度並びに25℃及び300℃の引張弾性率が特定範囲であることにより、射出成形耐性に優れたものになることが示された。比較例のヒーターフィルムは、回路保護層の5%重量減少温度並びに25℃及び300℃の引張弾性率の少なくとも1つが特定範囲外となることにより、射出成形耐性が不良となることも示された。
1 車載部品用ヒーターフィルム
2 インサート成形品
11 基材層
12 ヒーター用回路
13 回路保護層
21 接着部

Claims (4)

  1. 射出成形によるインサート成形品の製造に用いられる車載部品用ヒーターフィルムであって、
    基材層と、
    前記基材層に積層されたヒーター用回路と、
    前記ヒーター用回路の周囲を取り囲むように敷設された回路保護層と
    を備え、
    前記回路保護層が、前記ヒーター用回路に直接接触しており、
    前記回路保護層の熱重量示差熱分析における5%重量減少温度が300℃以上500℃未満であり、前記回路保護層の引張弾性率が25℃で1GPa以上300GPa以下であり、且つ300℃で10MPa以上100MPa以下である車載部品用ヒーターフィルム。
  2. 前記回路保護層が、エポキシ樹脂を主成分として含有する組成物の硬化物を含む請求項1に記載の車載部品用ヒーターフィルム。
  3. 前記基材層と前記回路保護層とのダイシェアテストにおける界面密着強度が、120℃において、1MPa以上である請求項1又は2に記載の車載部品用ヒーターフィルム。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の車載部品用ヒーターフィルムを金型に配置するステップと、
    前記金型に溶融した樹脂を射出するステップと、
    前記溶融した樹脂を固化するステップと
    を備えるインサート成形品の製造方法。
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