JP7664685B2 - 厚膜抵抗体組成物及びそれを含む厚膜抵抗ペースト - Google Patents
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Description
チップ抵抗器の抵抗値の調整はレーザー光によって厚膜抵抗体の一部を切除するレーザートリミングによる方法が一般的である。しかし、レーザートリミングによる抵抗値の調整では、厚膜抵抗体の表面に切除跡が残る。そこで、切除跡を残さない厚膜抵抗体の抵抗値の調整方法として、レーザー光を照射し厚膜抵抗体の特性変化を起こさせることにより抵抗値を下げる方法や、パルス電圧を厚膜抵抗体に加えて抵抗値を下げる方法などがある。
その中で、高電圧パルスを厚膜抵抗体に加えて抵抗値を下げる方法は、パルストリミング法として知られている。特許文献1および2には、パルストリミング法に関する技術が開示されている。
今後更なる部品の小型化などによりこのような物理的な破壊を伴わない抵抗値の調整方法が今以上に必要になると考えられている。
このような状況に鑑み、本実施形態の課題は、厚膜抵抗体の抵抗値をパルストリミング法で効率的に調整できる厚膜抵抗体組成物を提供することである。
この得られた厚膜抵抗ペーストを、アルミナ基板等のセラミックス基板の表面に印刷するなどして厚膜抵抗体組成物を含有する印刷膜を形成し焼成して厚膜抵抗体を得ることができる。
以下、各構成要素について説明する。
ガラスフリットは、その組成や製造方法について特に限定されるものではない。
厚膜抵抗体用組成物に用いるガラスフリットは、鉛を含有するアルミノホウケイ酸鉛が多く用いられているが、その他ホウケイ酸亜鉛系、ホウケイ酸カルシウム系、ホウケイ酸バリウム系などの鉛を含有しない組成系も用いられている。近年では環境保護の観点から鉛を含有しないガラスを用いることが望まれている。
その溶融温度は特に限定されるものではないが、例えば1400℃前後で行われている。また、急冷は溶融物を冷水中に入れるか冷ベルト上に流すことにより行われることが多い。
ガラスの粉砕はボールミル、振動ミル、遊星ミル、あるいはビーズミルなどで目的とする粒度まで行われる。
このように、ガラスフリットの粒度が大き過ぎると、焼成された厚膜抵抗体の面積抵抗値は低くなるが、面積抵抗値のバラツキが大きくなり歩留まりが低下する。さらに負荷特性が低下するなどの不具合が生じる可能性が高くなる。このため、歩留まりを十分に高め、負荷特性を向上させる観点から、用いるガラス粒子の50%体積累計粒度は5μm以下であることが好ましい。
なお、ガラスフリットの粒度を過度に小さくすると、生産性が低くなり、不純物等の混入も増える恐れがあることから、ガラスフリットの50%体積累計粒度は0.5μm以上が好ましい。
このように、厚膜抵抗体を製造する際の厚膜抵抗体用組成物の焼成温度が800℃以上900℃以下の場合、本実施形態の厚膜抵抗体用組成物に用いるガラスの軟化点は、600℃以上、900℃以下が好ましい。
また、軟化点が600℃以上、800℃以下のガラスフリットと、より高い軟化点のガラスフリットを混合することもできる。
ここで、軟化点は、ガラスを示差熱分析法(TG-DTA)にて大気中で、10℃/minで昇温、加熱し、得られた示差熱曲線の最も低温側の示差熱曲線の減少が発現する温度よりも高温側の次の示差熱曲線が減少するピークの温度である。
厚膜抵抗体組成物におけるルテニウム化合物粉末は、導電性成分として機能する。
このルテニウム化合物粉末には、二酸化ルテニウム粉末、ルテニウム酸鉛粉末やルテニウム酸ストロンチウム粉末のようなルテニウム複合酸化物粉末を用いることができる。
本実施形態では、ルテニウム化合物粉末を構成する各粒子が針状粒子であるため、各ルテニウム化合物粉末では長径方向の導電ネットワークと、短径方向の導電ネットワークが形成される。
そのような構造の厚膜抵抗体に、パルストリミングの際の通電により、導電ネットワークの周囲のガラスマトリックスが加熱されて再溶融することで、長径方向の導電ネットワークを構成する各ルテニウム化合物粉末を構成する各粒子の配置にズレが生じて導電ネットワークの再構築が行われる。この導電ネットワークの再構築により抵抗値が変化する。
この二酸化ルテニウムは、ルテニウム酸鉛などのルテニウム複合酸化物よりも比抵抗が小さく、低抵抗域の厚膜抵抗体の抵抗値50Ω~3000Ωの領域を実現するのに適しているからである。
厚膜抵抗体で発熱抵抗とする場合は、パルストリミング性や得られる厚膜抵抗体の消費電力を考慮して厚膜抵抗体の抵抗値を50Ω~100kΩとすることが望ましい。
針状粒子の二酸化ルテニウム粉末の製造方法の一例は、ビスマス化合物の存在下、粒状の二酸化ルテニウム粉末を熱処理することで、針状の二酸化ルテニウム粉末を形成する針状化熱処理工程の後、ビスマス化合物を溶媒に溶解して得られた溶液中から、針状の二酸化ルテニウム粉末を固液分離する分離工程を経ることができる。
ビスマス化合物は、例えば、塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化ビスマス、これらの混合物などを用いることができる。中でも、塩化ビスマス及びオキシ塩化ビスマスのうち少なくとも一つを用いることが好ましく、オキシ塩化ビスマスを用いることがより好ましい。
この熱処理の諸条件は、原料となる粒状の二酸化ルテニウム粉末及びビスマス化合物の種類や形状、混合割合などに応じて、針状の二酸化ルテニウム粉末が得られる範囲で適宜調整することができる。
例えば、熱処理の雰囲気は、酸化性雰囲気下とすることができ、大気雰囲気で行うことができる。なお、酸化性雰囲気とは、酸素を10容積%以上含む気体をいい、例えば、空気を使用することができる。また、熱処理時間は、特に限定されず、例えば、1時間以上4時間以下程度とすることができ、1時間以上3時間未満とすることが好ましい。
ビスマス化合物の溶解に用いられる溶剤は、二酸化ルテニウム粉末を溶解せずにビスマス化合物のみを溶解するものであれば、特に限定されず、例えば、無機化合物の酸(鉱酸)や有機酸などが使用できる。ビスマス化合物を溶剤に溶解させる際の条件は、特に限定されず、ビスマス化合物が溶剤に十分溶ければよい。例えば、溶解時の液温は、30~60℃程度とすることができる。
本実施形態に係る厚膜抵抗体組成物は、ガラスフリットとルテニウム化合物粉末を含有する。また、厚膜抵抗体組成物には、厚膜抵抗体の電気特性の一つである抵抗温度係数を調整するなどの効果がある公知のTiO2粉末等を添加することもできる。
本実施形態で使用する有機ビヒクルは特定のものである必要はなく、厚膜抵抗ペーストを製造するのに一般に使用されるもので良い。乾燥及び焼成時の脱バインダーの際に揮発、分解して消失してしまうものが望ましい。下記の有機溶媒、たとえばエチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を用いることができる。
また、厚膜抵抗体組成物をビヒクルに分散させる為に、分散剤として、カルボキシル基やアミノ基を備えた高分子分散剤、ステアリン酸等の脂肪酸、レシチン等のリン脂質類を添加してもよい。
ルテニウム化合物粉末、ガラスフリット、有機ビヒクル、有機溶媒は均一に分散させることが望ましい。方法についての限定はないが、公知の3本ロールによる分散方法が好適である。
得られた厚膜抵抗ペーストを、スクリーン印刷によりアルミナなどのセラミックス基板上に厚膜抵抗体のパターンを印刷し、乾燥と焼成を経て厚膜抵抗体を形成することができる。
ピーク温度800℃から900℃で焼成された厚膜抵抗体は、膜厚5μm~20μmに調整されており、より好ましい膜厚は8μm~15μmである。
なお、厚膜抵抗体の形成に先立ち、セラミックス基板の表面に厚膜抵抗体の端子となる電極を公知の厚膜技術で形成してもよい。
焼成して得られた厚膜抵抗体の抵抗値をパルストリミング法で調整する。
具体的には、パルス電圧を厚膜抵抗体に印加し、所定の抵抗値となるまで、パルス電圧を印加する。印加電圧は、厚膜抵抗体の抵抗値により適宜選択すればよい。パルス電圧を逐次印加して印加前の抵抗値に対して印加後の抵抗値の変化率が小さいと、効率的な抵抗値の調整が困難となる。
有機ビヒクルは、ターピネオール85質量%とエチルセルロース15質量%を混合し80℃で溶解して調製した。
予め、アルミナ基板上に形成された0.3mm間隔の5対の厚膜Au電極間に、作製した厚膜抵抗ペーストを幅0.3mmで印刷し、ピーク温度150℃×5分のベルト炉で乾燥処理して溶剤成分のターピネオールを除去した。その後、ピーク温度810℃×9分のベルト炉で焼成した。同様の処理をした試料をアルミナ基板単位で5枚作製した。膜厚は、触針式の表面粗さ計(株式会社東京精密製 型番:サーフコム480B)を用いて、評価用試料の中からアルミナ基板単位で任意の1枚を選択し、5個の厚膜抵抗体の膜厚をそれぞれ測定したところ、5個の厚膜抵抗体の平均値は13μmであった。
評価試料の厚膜抵抗体に対し、電圧印加前の抵抗値Rsを測定した。そして、評価試料の厚膜抵抗体に「ESS-6008(株式会社ノイズ研究所製)」を用いて、200pFの電気容量、内部抵抗0Ωとして電圧を1500Vに設定して各電圧のパルスを印加した後、1秒の間隔をあけて、電圧1500Vのパルスを再度印加する条件で電圧印加を行い、電圧印加後の抵抗値Reを測定した。その抵抗値変化率を下記式(1)にて算出した。印加電圧とその時の算出した抵抗値変化率を表1に示す。
なお、抵抗値は、デジタルマルチメーター(KEITHLEY社製、2001番)で測定した。
略球状の粒状粒子の二酸化ルテニウム粉末Cを11質量%、粒状のルテニウム酸鉛粉末Dを2質量%、アルミナホウケイ酸鉛ガラスフリットEを45質量%、残部が実施例1と同じ有機ビヒクルからなる厚膜抵抗体組成物を3本ロールミルにより、組成物を構成する各種無機材料が有機ビヒクル中に分散する様に混錬し、比較例1の厚膜抵抗ペーストを作製した。なお、粒状の二酸化ルテニウム粉末Cは、その粒子長の方向に垂直な断面の最大幅(φ1)が20nmであり、アスペクト比が1.1のものを使用した。二酸化ルテニウム粉末の粒子長(L)と最大幅(φ1)は、実施例1と同様に、TEM像で観測した。
ガラスフリットEは、50%体積累計粒度が1.4μmで、軟化点が660℃であった。
L 粒子長
φ1 断面の最大幅
Claims (3)
- ガラスフリットとルテニウム化合物粉末を含み、
前記ルテニウム化合物粉末が針状粒子で、粒子長方向に対して垂直な断面の最大幅が100nm以下で、且つ前記粒子長と、前記最大幅から求められる「粒子長(L)/最大幅(φ1)」の式で表されるアスペクト比が1.5以上、5.0以下であって、
前記ガラスフリットが、示差熱分析法(TG-DTA)により大気中で、10℃/minで昇温、加熱し、得られた示差熱曲線の最も低温側の示差熱曲線の減少が発現する温度よりも高温側の次の示差熱曲線が減少するピークの温度である軟化点が600℃以上、900℃以下であることを特徴とする厚膜抵抗体組成物。 - 前記ルテニウム化合物粉末が、二酸化ルテニウム粉末であることを特徴とする請求項1に記載の厚膜抵抗体組成物。
- 請求項1又は2に記載の厚膜抵抗体組成物と、有機溶剤に樹脂を溶解したビヒクルを含むことを特徴とする厚膜抵抗ペースト。
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