JP7666982B2 - 電解質組成物、電解質シート及び二次電池 - Google Patents
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Description
本発明は電解質組成物、電解質シート及び二次電池に関する。
Li,La及びZrを含むガーネット型構造の酸化物、電解質塩、イオン液体、バインダー及び溶媒を含む電解質組成物は知られている(特許文献1)。
先行技術においてLi,La及びZrを含むガーネット型構造の酸化物は塩基性なので、酸化物および有機化合物が分散した電解質組成物がゲル化(非流動化)することがある。電解質組成物がゲル化すると、電解質組成物の構成成分の分散状態にばらつきが生じたりシートが成形できなくなったりする。
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、ゲル化を低減できる電解質組成物、電解質シート及び二次電池を提供することを目的とする。
この目的を達成するために本発明の電解質組成物は、Li,La及びZrを含むガーネット型構造の酸化物、電解質塩、イオン液体、バインダー及び溶媒を含む。酸化物は、X線回折により2θが37.5°-38.5°の範囲に現れる回折線の半値幅が0.30°未満であり、イオン液体は、イミダゾリウムカチオン及びスルホニルイミドアニオンを含み、溶媒は非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒であり、バインダーは-CH2CF2-を含む。
本発明の電解質シートは電解質組成物からなる。本発明の二次電池は、順に正極層、電解質層および負極層を含み、正極層、電解質層および負極層の少なくとも1つに電解質組成物が含まれる。
本発明の電解質組成物によれば、酸化物の塩基性が弱まり、構成成分の相互作用が起こり難くなるのでゲル化を低減できる。電解質組成物を含む電解質シート及び二次電池によれば構成成分の分散状態のばらつきを低減できる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は一実施の形態における二次電池10の模式的な断面図である。本実施形態における二次電池10は、発電要素が固体で構成されたリチウムイオン固体電池である。発電要素が固体で構成されているとは、発電要素の骨格が固体で構成されていることを意味し、例えば骨格中に液体が含浸した形態を排除するものではない。
図1に示すように二次電池10は、順に正極層11、電解質層14及び負極層15を含む。正極層11、電解質層14及び負極層15はケース(図示せず)に収容されている。
正極層11は集電層12と複合層13とが重ね合わされている。集電層12は導電性を有する部材である。集電層12の材料はNi,Ti,Fe及びAlから選ばれる金属、これらの2種以上の元素を含む合金やステンレス鋼、炭素材料が例示される。
複合層13は、活物質19及び電解質組成物(後述する)を含む。電解質組成物はイオン伝導性を有する酸化物18を含む。複合層13の抵抗を低くするために、複合層13に導電助剤が含まれていても良い。導電助剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、Ni、Pt及びAgが例示される。
活物質19は、遷移金属を有する金属酸化物、硫黄系活物質、有機系活物質が例示される。遷移金属を有する金属酸化物は、Mn,Co,Ni,Fe,Cr及びVの中から選択される1種以上の元素とLiとを含む金属酸化物が例示される。遷移金属を有する金属酸化物は、LiCoO2,LiNi0.8Co0.15Al0.05O2,LiMn2O4,LiNiVO4,LiNi0.5Mn1.5O4,LiNi1/3Mn1/3Co1/3O4及びLiFePO4が例示される。
活物質19と酸化物18との反応の抑制を目的として、活物質19の表面に被覆層を設けることができる。被覆層は、Al2O3,ZrO2,LiNbO3,Li4Ti5O12,LiTaO3,LiNbO3,LiAlO2,Li2ZrO3,Li2WO4,Li2TiO3,Li2B4O7,Li3PO4及びLi2MoO4が例示される。
硫黄系活物質は、S,TiS2,NiS,FeS2,Li2S,MoS3及び硫黄-カーボンコンポジットが例示される。有機系活物質は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジノキシル-4-イルメタクリレートやポリテトラメチルピペリジノキシルビニルエーテルに代表されるラジカル化合物、キノン化合物、ラジアレン化合物、テトラシアキノジメタン、及び、フェナジンオキシドが例示される。
電解質層14は電解質組成物からなる。電解質組成物は酸化物18、電解液およびバインダーを含む。酸化物18は、Li,La,Zr及びOを含むガーネット型構造のリチウムイオン伝導性を有する固体電解質である。ガーネット型構造の酸化物の基本組成はLi5La3M2O12(M=Nb,Ta)である。酸化物18は、基本組成の5価のMカチオンを4価のカチオンに置換したLi7La3Zr2O12が例示される。
酸化物18は、Li,La及びZr以外に、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Ga,Sr,Y,Nb,Sn,Sb,Ba,Hf,Ta,W,Bi,Rb及びランタノイド(Laは除く)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことができる。例えばLi6La3Zr1.5W0.5O12,Li6.15La3Zr1.75Ta0.25Al0.2O12,Li6.15La3Zr1.75Ta0.25Ga0.2O12,Li6.25La3Zr2Ga0.25O12,Li6.4La3Zr1.4Ta0.6O12,Li6.5La3Zr1.75Te0.25O12,Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12,Li6.9La3Zr1.675Ta0.289Bi0.036O12,Li6.46Ga0.23La3Zr1.85Y0.15O12,Li6.8La2.95Ca0.05Zr1.75Nb0.25O12,Li7.05La3.00Zr1.95Gd0.05O12,Li6.20Ba0.30La2.95Rb0.05Zr2O12が挙げられる。
酸化物18は、特にMg及び元素A(AはCa,Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の元素)の少なくとも一方を含み、各元素のモル比が以下の(1)から(3)を全て満たすもの、又は、Mg及び元素Aの両方を含み、各元素のモル比が以下の(4)から(6)を全て満たすものが好適である。元素Aは、酸化物18のイオン伝導率を高くするため、Srが好ましい。
(1)1.33≦Li/(La+A)≦3
(2)0≦Mg/(La+A)≦0.5
(3)0≦A/(La+A)≦0.67
(4)2.0≦Li/(La+A)≦2.5
(5)0.01≦Mg/(La+A)≦0.14
(6)0.04≦A/(La+A)≦0.17。
(1)1.33≦Li/(La+A)≦3
(2)0≦Mg/(La+A)≦0.5
(3)0≦A/(La+A)≦0.67
(4)2.0≦Li/(La+A)≦2.5
(5)0.01≦Mg/(La+A)≦0.14
(6)0.04≦A/(La+A)≦0.17。
図2は粉末X線回折装置(図示せず)を用いて測定された酸化物18の回折図形の一例である。粉末X線回折装置は、X線源、光学系、ゴニオメータ及び検出器を備える。回折線21を得るX線回折の条件は、X線:KβフィルタでKβ線を取り除いたCuKα線、X線源の加速電圧(管電圧):50kV、X線源の放電電流(管電流):300mA、光学系:平行法、ゴニオメータ:水平型、走査軸:θ-2θ型、検出器:シンチレーションカウンタ、発散スリット:1.0mm、発散縦制限スリット:10mm、散乱スリット:解放、受光スリット:解放、連続走査、走査速度:0.3-0.7°/分、サンプリング幅:0.02°である。
X線回折に使用する酸化物18の粒子(試料)は、特定の配向状態をとらずに試料ホルダーに固定されるように適度な粒度に粉砕される。強度が最も大きい回折ピークのカウント値が2000-8000になるように試料の粒度や走査速度を調整する。図2に示す回折線21によれば、酸化物18は立方晶系(空間群Ia-3d(-は回反操作を意味するオーバーラインを示す)、JCPDS:84-1753)の結晶構造をとる。
図3は、2θが37.5°-38.5°の範囲に現れる回折線21である。酸化物18は、この範囲に現れる回折線21の半値幅26が0.30°未満である。半値幅26は、回折ピーク22の頂点23からベースライン24へ下した垂線25の中点を通りベースライン24に平行な直線が、回折ピーク22で切り取られてできる線分の長さである。ベースライン24は、2θが37.5°のときの回折線21上の点と、2θが38.5°のときの回折線21上の点と、を結ぶ線分である。
酸化物18の1個の粒子は、複数の結晶子によって構成されている。結晶子は、単結晶とみなせる最大の集まりである。結晶子の大きさが大きくなると、1個の粒子当たりの結晶子の数は少なくなり、結晶子1つ当たりの回折格子の数は多くなる。これに伴い、半値幅26は小さくなる。2θが30°以上の高角度の領域の回折ピーク22から半値幅26を測定するので、回折格子の値の検出誤差が小さくなり、半値幅26の値の精度を向上できる。
Li,La及びZrを含むガーネット型構造の固体電解質(酸化物)は強塩基性だが、酸化物の結晶子1つ当たりの回折格子の数が多くなると、酸化物の粒子の化学的安定性が増し、塩基性が弱まる。2θが37.5°-38.5°の範囲に現れる回折線21の半値幅26が0.30°未満の酸化物18は、特にその傾向が強い。
半値幅26が0.30°未満となる酸化物18の製造方法の一例を説明する。例えば酸化物18の製造方法は、原料を配合して配合材料を得る配合工程と、配合材料を焼成する焼成工程と、得られた合成粉末を加熱する熱処理工程と、を含む。
配合工程では、酸化物18を構成する元素を含む材料を配合して配合材料を得る。材料は、例えばLi,La,Zr,Mg,及びA(AはCa,Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の元素)の各元素を含む、酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが挙げられる。材料を粉砕混合して配合材料を得る。
配合工程と焼成工程との間に、配合材料を仮焼成する仮焼工程を含むのが好ましい。この工程では、配合材料を例えば900-1100℃で2-15時間焼成し、仮焼材料を得る。仮焼工程を経ることにより、焼成工程の後にガーネット型の結晶構造が得られ易くなる。
仮焼工程と焼成工程との間に、仮焼材料を粉砕混合する工程を含むのが好ましい。この工程では、仮焼材料を粉砕混合して混合材料を得る。仮焼材料を粉砕混合する工程を経ることにより、焼成工程の後に均一な結晶相が得られ易くなる。バインダーを加えた仮焼材料を粉砕混合しても良い。バインダーは、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールが例示される。
焼成工程では、配合材料、仮焼材料または混合材料を成形した後、その成形体を例えば1000-1250℃で3-36時間に亘って焼成して焼結体が得られる。不活性ガス雰囲気下で焼結体を粉砕して合成粉末が得られる。
熱処理工程では、ガスが流入しガスが流出する炉に合成粉末を入れ、合成粉末の周囲でガスが流動する雰囲気下で合成粉末を加熱する。合成粉末が大気中のCO2と反応して合成粉末の表面にできたLi2CO3の膜から、熱処理によってCO2を脱離させ、合成粉末の組織を変成することによって酸化物18が得られる。熱処理の温度および時間は、640℃以上の温度域で10時間以上の保持、670℃以上の温度域で2時間以上の保持が例示される。
ガスは、不活性ガス及び酸素ガスから選択される少なくとも1種である。不活性ガスは、合成粉末と化学反応を起こさない気体であれば、特に限定されない。不活性ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンが例示される。特に窒素、ヘリウム及びアルゴンから選択される少なくとも1種が好適である。
ガスの流入および流出は、連続式でも間欠式でも良い。連続的または間欠的に炉に導入するガスの流量や、間欠的に導入するガスの周期は、炉の体積や合成粉末の質量に応じて適宜設定される。炉に導入するガスのCO2濃度は、熱処理の温度にもよるが、大気中のCO2濃度(380ppm)よりも低い濃度、例えば100ppm(体積)以下が好適である。炉に導入するガスの露点は-40℃以下、特に-50℃以下が好適である。合成粉末からCO2の脱離を促進するためである。熱処理後の酸化物18は、直ちに有機化合物などと混合してシート化され、複合層13,17や電解質層14が得られる。
電解質層14の断面に現出する酸化物18の円相当径のメジアン径は4-10μmが好ましく、より好ましくは4-6μmである。酸化物18の表面積を適度な大きさにし、酸化物18の表面に介在する電解液と酸化物18との間のリチウムイオンの移動量を確保するためである。
酸化物18のメジアン径を求めるには、まず電解質層14の断面(研磨面や集束イオンビーム(FIB)を照射して得られた面、イオンミリングによって得られた面)に現出する酸化物18の走査型電子顕微鏡(SEM)による画像を解析して、酸化物18の粒子ごとの面積から円相当径を算出し、体積基準の粒度分布を求める。メジアン径は、粒度分布における頻度の積算値が50%となる円相当径である。粒度分布を求める画像は、精度を確保するため、電解質層14のうち400μm2以上の面積とする。
電解質層14に含まれる電解液は、電解質塩が溶解したイオン液体を含む。イオン液体は、カチオン及びアニオンからなる化合物であり、常温常圧で液体である。イオン液体が電解液を構成するので、電解液の難燃性を向上できる。電解液の各種物性および機能は、電解質塩およびイオン液体の種類、塩濃度により決定される。
電解質塩は、正極層11と負極層15との間のカチオンの授受のために用いられる化合物である。電解質塩は例えばリチウム塩である。電解質塩のアニオンは、ハロゲン化物イオン(I-,Cl-,Br-等),SCN-,BF4
-,BF3(CF3)-,BF3(C2F5)-,PF6
-,ClO4
-,SbF6
-,N(SO2F)2
-,N(SO2CF3)2
-,N(SO2C2F5)2
-,B(C6H5)4
-,B(O2C2H4)2
-,C(SO2F)3
-,C(SO2CF3)3
-,CF3COO-,CF3SO2O-,C6F5SO2O-,B(O2C2O2)2
-,RCOO-(Rは炭素数1-4のアルキル基、フェニル基またはナフチル基)等が例示される。
電解質塩のアニオンは、スルホニル基-S(=O)2-を有するN(SO2F)2
-,N(SO2CF3)2
-,N(SO2C2F5)2
-等のスルホニルイミドが好ましい。スルホニルイミドアニオンは、塩濃度が高くなっても電解液の粘度上昇およびイオン伝導率低下の影響が小さく、さらに安定性が高く抵抗が低い不働態被膜(SEI)の形成により、電解液の還元分解を低減し、還元側電位窓を拡張できるからである。N(SO2F)2
-を略称で[FSI]-:ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンと呼び、N(SO2CF3)2
-を略称で[TFSI]-:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンと呼ぶ場合がある。
イオン液体はイミダゾリウムをカチオン種とするものが好適である。イミダゾリウムカチオンは、例えば式(1)で表される化合物である。
式(1)中、R1-R5は、それぞれ独立に、水素基またはアルキル基を示す。アルキル基は、置換基を有していても良い。R1-R5で表されるアルキル基(置換基を含む)の炭素数は、好ましくは1-10、より好ましくは1-5、さらに好ましくは1-4である。電解液のイオン伝導度を確保するためである。
置換基は特に制限がない。置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、アミド基、カルバモイル基、エステル基、カルボニルオキシ基、シアノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホンアミド基などが例示される。
イオン液体のアニオン種はスルホニルイミドが好適である。スルホニルイミドアニオンは、N(SO2F)2
-,N(SO2CF3)2
-,N(SO2C2F5)2
-,N(SO2C4F9)2
-等が例示される。イオン液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)が例示される。イミダゾリウムカチオン及びスルホニルイミドアニオンを含むイオン液体であって電解質塩が溶解したイオン液体(電解液)は、高いイオン伝導性を確保できるので好ましい。
電解質層14に含まれるバインダーは酸化物18を結着する。バインダーは-CH2CF2-を含むフッ化ビニリデン系ポリマーを含む。フッ化ビニリデン系ポリマーは機械的強度が高いからである。フッ化ビニリデン系ポリマーは-CH2CF2-を含む限り、特に制限がない。フッ化ビニリデン系ポリマーは、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデンと共重合性モノマーとの共重合体が例示される。
共重合性モノマーは、ハロゲン含有モノマー(フッ化ビニリデンを除く)、非ハロゲン系の共重合性モノマーが挙げられる。ハロゲン含有モノマーは、塩化ビニル等の塩素含有モノマー;トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等のフッ素含有モノマーが例示される。非ハロゲン系の共重合性モノマーは、エチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステル又は塩等のアクリルモノマー;アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマーが例示される。共重合性モノマーの1種または2種以上がフッ化ビニリデンに重合して共重合体を構成する。
バインダーは、フッ化ビニリデン系ポリマー以外の他のポリマーを含んでも良い。バインダー中のフッ化ビニリデン系ポリマーの含有量は、例えば80-100質量%である。他のポリマーは、フッ素化樹脂(フッ化ビニリデン系ポリマーを除く)、ポリオレフィン、スチレンブタジエンゴムなどのゴム状重合体、ポリイミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロースエーテルが例示される。フッ素化樹脂は、完全フッ素化樹脂、部分フッ素化樹脂、フッ素化樹脂共重合体が挙げられる。完全フッ素化樹脂はポリテトラフルオロエチレンが例示される。部分フッ素化樹脂は、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニルが例示される。フッ素化樹脂共重合体は、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体、エチレン4フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体が例示される。
電解質組成物はバインダーを溶かす溶媒を含む。電解質塩も溶媒に溶ける。溶媒は、非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒である。溶媒の分類(非プロトン性や疎プロトン性)は、I.M. Kolthoff, Anal. Chem. 46,1992(1974)に従う。Kolthoffの分類では、溶媒は、酸性と塩基性を共に有しプロトンを授受できる「両性」と、水素結合が可能な水素原子をもたない「非プロトン性」と、に大別され、後者は、塩基性が強く陽イオンに溶媒和し易い「親プロトン性」と、塩基性が弱く陽イオンに溶媒和し難い「疎プロトン性」と、に細分される。
非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒の中では、プロトンや水素結合が反応にほとんど寄与せず、さらに酸化物18が分散され易い。非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒は、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、スルホラン、アセトニトリル、アセトン、イソブチルメチルケトン、ニトロメタン、メチルエチルケトン、テトラメチルシランが例示される。電解質組成物には、これらの極性溶媒の1種または2種以上が含まれる。
溶媒やイオン液体に含まれる水分は、それぞれ200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、特に10ppm以下が好適である。溶媒やイオン液体に含まれる水分と酸化物18との反応を低減するためである。
電解質層14は、酸化物18、電解質塩、イオン液体、バインダー及び溶媒を含む電解質組成物をシート状に成形して得られる。電解質組成物に含まれる溶媒の少なくとも一部は、電解質層14を得るためのシート成形後の減圧乾燥などによって気化し、電解質層14から消失している。電解質層14に残留する溶媒の種類および量は、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)によって求められる。
有機化合物が分散した電解質組成物がゲル化(非流動化)する推定メカニズムは、以下のとおりである。まず、電解質組成物に含まれる僅かな水分と、Li,La及びZrを含むガーネット型構造の塩基性の酸化物と、が反応し、酸化物の表面にLiOHやLi2O3が生じる。これにより系内のOH-が増加し、塩基性が強まる。
イオン液体のイミダゾリウムカチオンの2位の炭素に水素が結合している場合、塩基によって2位のプロトンが脱離すると、電解液のイオン伝導性は低下する。イミダゾリウムカチオンから脱離したプロトンはOH-と反応して水を発生する。発生した水は、前述のとおり酸化物と反応してさらに塩基性が強まる。
塩基性条件下では、バインダーのフッ化ビニリデン系ポリマーは、HFの脱離によりポリエン構造が形成され易い。フッ化ビニリデン系ポリマーのポリエン化により電解質組成物はゲル化する。さらに脱離したHF由来の電気化学反応により、意図しないSEIが形成され、SEIの抵抗は上昇する。
これに対し、2θが37.5°-38.5°の範囲に現れる回折線21の半値幅26が0.30°未満の酸化物18は塩基性が弱いので、電解質組成物に含まれる水分と酸化物18との反応を低減できる。系内の塩基性が強くなり難いので、イミダゾリウムカチオンの2位のプロトンが脱離し難くなり、プロトンの脱離に起因する電解液のイオン伝導率の低下が低減する。また、電解質組成物に含まれる極性溶媒はプロトンや水素結合が反応にほとんど寄与せず、フッ化ビニリデン系ポリマーはHFの脱離によるポリエン化が起こり難いので、電解質組成物のゲル化が低減する。さらにHF由来の電気化学反応が起こり難いので、SEIの抵抗を低く保つことができる。
電解質層14(電解質組成物)において、酸化物18とイオン液体の合計量に対するイオン液体の含有量(体積%)は、50体積%以下(但し0体積%は除く)が好適である。即ち酸化物:イオン液体=(100-X):X、0<X≦50である。酸化物18と酸化物18との間に介在するイオン液体によってイオン伝導性を確保しつつイオン液体の染み出しの発生を低減するためである。
イオン液体の含有量(体積%)は、電解質層14を凍結させ、又は、4官能性のエポキシ系樹脂などに電解質層14を埋め込み固めた後、電解質層14の断面から無作為に選択した5000倍の視野を対象に、エネルギー分散型X線分光器(EDS)が搭載されたSEMを用いて分析し、求める。分析は、La,Zr,Sの分布を特定したり反射電子像のコントラストを画像解析したりして、酸化物18の面積およびイオン液体の面積を特定し、電解質層14の断面における面積の割合を電解質層14における体積の割合とみなしてイオン液体の含有量(体積%)を得る。
電解質組成物のリチウムイオン伝導率は、酸化物18、電解質塩およびイオン液体の種類や塩濃度等により決定される。電解質組成物の25℃におけるリチウムイオン伝導率は4.0×10-5S/cm以上であるのが好ましい。電解質組成物を含む二次電池10の出力密度を確保するためである。
電解質組成物は電解液由来のアニオンを含むため、電解質組成物のリチウムイオン伝導率は、シート状に成形した電解質組成物の両面に集電体を密着させた対称セルの、交流インピーダンス法によって算出した全イオン伝導率にリチウムイオンの輸率を乗じて算出される。リチウムイオンの輸率は交流インピーダンス法と定常状態直流法によって求める。
輸率は以下のようにして算出する。まず、交流インピーダンス測定によってセルの抵抗値RS0を解析する。交流インピーダンス測定の条件は、温度25℃、電圧10mV、周波数7MHz-100mHzとする。
次に、セルに定電圧Vを印加した直後の初期電流値I0を測定し、以下の式Aに従い、セルの初期抵抗値R0を算出する。R0=V/I0・・・A
初期電流値の測定条件は、電圧10mV、トータル時間6秒、測定間隔0.0002秒とする。
初期電流値の測定条件は、電圧10mV、トータル時間6秒、測定間隔0.0002秒とする。
抵抗値RS0及び初期抵抗値R0を以下の式Bに代入して界面抵抗RINTを算出する。RINT=R0-RS0・・・B
次に、セルに定電圧Vを印加して定常状態となった後の電流値Iを測定し、以下の式Cに従い、セルの定常状態における抵抗値RPを算出する。RP=V/I・・・C
定常状態における電流値の測定条件は、電圧10mV、トータル時間10時間、測定間隔60秒とする。
次に、セルに定電圧Vを印加して定常状態となった後の電流値Iを測定し、以下の式Cに従い、セルの定常状態における抵抗値RPを算出する。RP=V/I・・・C
定常状態における電流値の測定条件は、電圧10mV、トータル時間10時間、測定間隔60秒とする。
セルが定常状態となった後に、前述の条件で、交流インピーダンス測定によってセルの抵抗値RSを解析する。抵抗値RS、抵抗値RP及び界面抵抗RINTを以下の式Dに代入して輸率tLiを算出する。tLi=RS/(RP-RINT)・・・D
電解質層14(電解質組成物)において、酸化物18とイオン液体とを合わせた量に対するバインダーの量(体積%)は、10体積%以下(但し0体積%は除く)が好適である。即ち酸化物とイオン液体とを合わせた量:バインダーの量=(100-Y):Y、0<Y≦10である。バインダーによって電解質層14の成形性を確保すると共に電解質層14のイオン伝導性の低下を低減するためである。バインダーの含有量(体積%)は、上記と同様にSEM-EDSによる分析によって求めた電解質層14の断面の面積%から特定できる。
電解質層14(電解質組成物)において、酸化物18とイオン液体とを合わせた量に対するバインダーの量(体積%)は、10体積%以下(但し0体積%は除く)が好適である。即ち酸化物とイオン液体とを合わせた量:バインダーの量=(100-Y):Y、0<Y≦10である。バインダーによって電解質層14の成形性を確保すると共に電解質層14のイオン伝導性の低下を低減するためである。バインダーの含有量(体積%)は、上記と同様にSEM-EDSによる分析によって求めた電解質層14の断面の面積%から特定できる。
負極層15は集電層16と複合層17とが重ね合わされている。集電層16は導電性を有する部材である。集電層16の材料はNi,Ti,Fe,Cu及びSiから選ばれる金属、これらの元素の2種以上を含む合金やステンレス鋼、炭素材料が例示される。
複合層17は、活物質20及び電解質組成物を含む。電解質組成物は酸化物18を含む。複合層17の抵抗を低くするために、複合層17に導電助剤が含まれていても良い。導電助剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、Ni、Pt及びAgが例示される。活物質20は、Li、Li-Al合金、Li4Ti5O12、黒鉛、In、Si、Si-Li合金、及び、SiOが例示される。電解質層14と同様に、複合層13,17にバインダーが含まれていても良い。
二次電池10は、例えば以下のように製造される。電解質塩を溶解したイオン液体と酸化物18とを混合したものに、バインダーを溶解した溶媒を混合し、スラリーを作る。テープ成形後、乾燥して電解質層14のためのグリーンシート(電解質シート)を得る。
電解質塩を溶解したイオン液体と酸化物18とを混合したものに活物質19を混合し、さらにバインダーを溶解した溶媒を混合し、スラリーを作る。集電層12の上にテープ成形後、乾燥して正極層11のためのグリーンシート(正極シート)を得る。
電解質塩を溶解したイオン液体と酸化物18とを混合したものに活物質20を混合し、さらにバインダーを溶解した溶媒を混合し、スラリーを作る。集電層16の上にテープ成形後、乾燥して負極層15のためのグリーンシート(負極シート)を得る。
電解質シート、正極シート及び負極シートをそれぞれ所定の形に裁断した後、正極シート、電解質シート、負極シートの順に重ね、互いに圧着して一体化する。集電層12,16にそれぞれ端子(図示せず)を接続しケース(図示せず)に封入して、順に正極層11、電解質層14及び負極層15を含む二次電池10が得られる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(酸化物の調製)
Li6.95Mg0.15La2.75Sr0.25Zr2.0O12となるように、Li2CO3,MgO,La(OH)3,SrCO3,ZrO2を秤量した。Li2CO3は、焼成時のLiの揮発を考慮し、元素換算で15mol%程度過剰にした。秤量した原料およびエタノールをジルコニア製ボールと共にナイロン製ポットに投入し、ボールミルで15時間粉砕混合した。ポットから取り出したスラリーを乾燥後、MgO製の板の上で仮焼成(900℃で1時間)した。仮焼成後の粉末およびエタノールをナイロン製ポットに投入し、ボールミルで15時間粉砕混合した。
Li6.95Mg0.15La2.75Sr0.25Zr2.0O12となるように、Li2CO3,MgO,La(OH)3,SrCO3,ZrO2を秤量した。Li2CO3は、焼成時のLiの揮発を考慮し、元素換算で15mol%程度過剰にした。秤量した原料およびエタノールをジルコニア製ボールと共にナイロン製ポットに投入し、ボールミルで15時間粉砕混合した。ポットから取り出したスラリーを乾燥後、MgO製の板の上で仮焼成(900℃で1時間)した。仮焼成後の粉末およびエタノールをナイロン製ポットに投入し、ボールミルで15時間粉砕混合した。
ポットから取り出したスラリーを乾燥後、直径12mmの金型に投入し、プレス成形により厚さが1.5mm程度の成形体を得た。冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて1.5t/cm2の静水圧をさらに成形体に加えた。成形体と同じ組成の仮焼粉末で成形体を覆い、還元雰囲気において焼成(1100℃で4時間)し、酸化物の焼結体を得た。交流インピーダンス法によって求めた焼結体のリチウムイオン伝導率は1.0×10-3S/cmであった。リチウムイオン伝導率の測定条件は、温度25℃、電圧10mV、周波数7MHz-100mHzとした。Ar雰囲気において、焼結体を粉砕し、目開き250μmの篩にかけ、篩を通過した酸化物の粉末を採取した。
篩を通過した粉末100g、直径4mmのボール536g及びフッ素系不活性液体250mLをポットに入れ、遊星型ボールミル(回転数200rpm)で粉末を6時間粉砕した。ポットから取り出したスラリーを乾燥して、酸化物の粗粉末を得た。
同様に篩を通過した粉末50g、直径4mmのボール536g及びフッ素系不活性液体100mLをポットに入れ、遊星型ボールミル(回転数300rpm)で粉末を4時間粉砕した。ポットから取り出したスラリーを乾燥して、酸化物の微粉末を得た。
(粗粉末および微粉末の熱処理)
チューブ炉(体積1875cm3)に収容した酸化物の粗粉末(40g以下)を、チューブ炉の片方の端から窒素ガスを導入し(流量10L/min)、炉のもう片方の端から排気した状態で、670℃で2時間加熱した。炉内の温度が50℃になった後、熱処理後の粗粉末を直ちに炉から取り出し、大気暴露を防ぐため密閉容器に収容した。酸化物の微粉末も同じ条件で熱処理し、密閉容器に収容した。
チューブ炉(体積1875cm3)に収容した酸化物の粗粉末(40g以下)を、チューブ炉の片方の端から窒素ガスを導入し(流量10L/min)、炉のもう片方の端から排気した状態で、670℃で2時間加熱した。炉内の温度が50℃になった後、熱処理後の粗粉末を直ちに炉から取り出し、大気暴露を防ぐため密閉容器に収容した。酸化物の微粉末も同じ条件で熱処理し、密閉容器に収容した。
(X線回折)
粉末X線回折装置を用い、X線:CuKα線、管電圧:50kV、管電流:300mA、光学系:平行法、ゴニオメータ:水平型、走査軸:θ-2θ型、検出器:シンチレーションカウンタ、発散スリット:1.0mm、発散縦制限スリット:10mm、散乱スリット:解放、受光スリット:解放、連続走査、走査速度:0.3-0.7°/分、サンプリング幅:0.02°の条件で、熱処理した粗粉末、熱処理した微粉末、熱処理していない粗粉末の回折図形をそれぞれ取得した。強度が最も大きい回折ピークのカウント値が2000-8000になるように走査速度を0.3-0.7°/分の範囲で調整した。
粉末X線回折装置を用い、X線:CuKα線、管電圧:50kV、管電流:300mA、光学系:平行法、ゴニオメータ:水平型、走査軸:θ-2θ型、検出器:シンチレーションカウンタ、発散スリット:1.0mm、発散縦制限スリット:10mm、散乱スリット:解放、受光スリット:解放、連続走査、走査速度:0.3-0.7°/分、サンプリング幅:0.02°の条件で、熱処理した粗粉末、熱処理した微粉末、熱処理していない粗粉末の回折図形をそれぞれ取得した。強度が最も大きい回折ピークのカウント値が2000-8000になるように走査速度を0.3-0.7°/分の範囲で調整した。
取得した回折図形から、2θが37.5°-38.5°の範囲に現れる回折線の半値幅を測定した。熱処理した粗粉末(以下「粉末A」と称す)、熱処理した微粉末(以下「粉末B」と称す)、熱処理していない粗粉末(以下「粉末C」と称す)の半値幅は、順に0.26°,0.29°,0.31°であった。
(電解液の調製)
イオン液体1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)に、電解質塩LiN(SO2F)2を3mol/dm3複合し、電解液を得た。
イオン液体1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)に、電解質塩LiN(SO2F)2を3mol/dm3複合し、電解液を得た。
(実施例1)
酸化物:電解液=61:39(体積比)となるように、粉末Aと電解液とをAr雰囲気において乳鉢で混合し、複合粉末を得た。Ar雰囲気において複合粉末18g、フッ化ビニリデン(PVDF)0.864g及びプロピレンカーボネート(PC)7.776gを混合し、実施例1におけるスラリーを得た。
酸化物:電解液=61:39(体積比)となるように、粉末Aと電解液とをAr雰囲気において乳鉢で混合し、複合粉末を得た。Ar雰囲気において複合粉末18g、フッ化ビニリデン(PVDF)0.864g及びプロピレンカーボネート(PC)7.776gを混合し、実施例1におけるスラリーを得た。
(実施例2)
プロピレンカーボネートをジメチルカーボネート(DMC)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2におけるスラリーを得た。
プロピレンカーボネートをジメチルカーボネート(DMC)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2におけるスラリーを得た。
(実施例3)
粉末Aを粉末Bに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3におけるスラリーを得た。
粉末Aを粉末Bに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3におけるスラリーを得た。
(実施例4)
プロピレンカーボネートをジメチルカーボネートに代えた以外は、実施例3と同様にして、実施例4におけるスラリーを得た。
プロピレンカーボネートをジメチルカーボネートに代えた以外は、実施例3と同様にして、実施例4におけるスラリーを得た。
(比較例1)
粉末Aを粉末Cに代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1におけるスラリーを得た。
粉末Aを粉末Cに代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1におけるスラリーを得た。
(比較例2)
プロピレンカーボネートをジメチルカーボネートに代えた以外は、比較例1と同様にして、比較例2におけるスラリーを得た。
プロピレンカーボネートをジメチルカーボネートに代えた以外は、比較例1と同様にして、比較例2におけるスラリーを得た。
(比較例3)
プロピレンカーボネートをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3におけるスラリーを得た。
プロピレンカーボネートをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3におけるスラリーを得た。
(試験方法および結果)
実施例および比較例におけるスラリーをそれぞれビーカーに入れ、25℃のAr雰囲気の容器内に12時間放置した。12時間経過後、スラリーがゲル化(非流動化)しているか否かを目視により確認した。結果は表1に記した。スラリーの少なくとも一部がゲル化したものを+、スラリーが全くゲル化していないものを-と表記した。
実施例および比較例におけるスラリーをそれぞれビーカーに入れ、25℃のAr雰囲気の容器内に12時間放置した。12時間経過後、スラリーがゲル化(非流動化)しているか否かを目視により確認した。結果は表1に記した。スラリーの少なくとも一部がゲル化したものを+、スラリーが全くゲル化していないものを-と表記した。
表1に示すように、実施例1-4におけるスラリーは全くゲル化しなかったが、比較例1-3におけるスラリーはゲル化した。比較例1-3におけるスラリーは褐色に変色していた。
実施例1-4及び比較例1,2のスラリーには、非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒であるPC,DMCが含まれていた。PC又はDMCがスラリーに含まれる実施例1-4と比較例1-2とを対比すると、半値幅が0.30°未満の酸化物が含まれる実施例1-4のスラリーはゲル化が起こらず、半値幅が0.31°の酸化物が含まれる比較例1,2のスラリーはゲル化した。スラリーの変色およびゲル化は、HFの脱離によるフッ化ビニリデンのポリエン化に起因すると推察される。半値幅が0.30°未満の酸化物は塩基性が弱まり、スラリーの構成成分の相互作用が起こり難くなるのでゲル化が起こらなかったと推察される。
比較例3のスラリーには、親プロトン性の極性溶媒であるNMPが含まれていた。半値幅が0.26°の酸化物がスラリーに含まれる実施例1,2と比較例3とを対比すると、非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒(PC,DMC)が含まれる実施例1,2のスラリーはゲル化が起こらず、親プロトン性の極性溶媒(NMP)が含まれる比較例3のスラリーはゲル化した。非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒は、親プロトン性の極性溶媒に比べて塩基性が弱いので、スラリーの構成成分の相互作用が起こり難くなり、ゲル化が起こらなかったと推察される。
この実施例によれば、Li,La及びZrを含むガーネット型構造の酸化物であってX線回折により2θが37.5°-38.5°の範囲に現れる回折線の半値幅が0.30°未満の酸化物、イミダゾリウムカチオン及びスルホニルイミドアニオンを含むイオン液体、電解質塩、フッ化ビニリデン系ポリマーを含むバインダー、及び、非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒を含む電解質組成物は、ゲル化を低減できることが明らかになった。この電解質組成物を含む電解質シート及び二次電池は、構成成分の分散状態のばらつきを低減できるので、性能のばらつきを小さくできる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
実施形態では、二次電池10として、集電層12の片面に複合層13が設けられた正極層11、及び、集電層16の片面に複合層17が設けられた負極層15を備えるものを説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば集電層12の両面に複合層13と複合層17とをそれぞれ設けた電極層(いわゆるバイポーラ電極)を備える二次電池に、実施形態における各要素を適用することは当然可能である。バイポーラ電極と電解質層14とを交互に積層しケース(図示せず)に収容すれば、いわゆるバイポーラ構造の二次電池が得られる。
実施形態では、複合層13,17及び電解質層14が全て電解質組成物を含む場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。二次電池は、複合層13,17及び電解質層14の少なくとも1つが電解質組成物を含んでいれば良い。
実施形態では、電解質組成物を含むリチウムイオン電池(二次電池)を例示して電極層(正極層11及び負極層15)及び電解質層14を備える二次電池10を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他の二次電池としては、リチウム硫黄電池、リチウム酸素電池、リチウム空気電池などが挙げられる。
10 二次電池
11 正極層
14 電解質層(電解質シート)
15 負極層
18 酸化物
21 回折線
26 半値幅
11 正極層
14 電解質層(電解質シート)
15 負極層
18 酸化物
21 回折線
26 半値幅
Claims (3)
- Li,La及びZrを含むガーネット型構造の酸化物、電解質塩、イオン液体、バインダー及び溶媒を含む電解質組成物であって、
前記酸化物は、X線回折により2θが37.5°-38.5°の範囲に現れる回折線の半値幅が0.30°未満であり、
前記イオン液体は、イミダゾリウムカチオン及びスルホニルイミドアニオンを含み、
前記溶媒は、非プロトン性かつ疎プロトン性の極性溶媒であり、
前記バインダーは、-CH2CF2-を含む電解質組成物。 - 請求項1記載の電解質組成物からなる電解質シート。
- 順に正極層、電解質層および負極層を含み、
前記正極層、前記電解質層および前記負極層の少なくとも1つに、請求項1記載の電解質組成物が含まれる二次電池。
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