以下、図面を参照しながら、X線画像処理装置、X線診断装置及びX線画像処理方法の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るX線画像処理装置は、X線診断装置により生成されたX線画像を処理するコンピュータである。X線画像処理装置は、X線診断装置に含まれるコンピュータでもよいし、X線診断装置とは別体のコンピュータでもよい。以下、医用画像処理装置は、X線診断装置に含まれるコンピュータであるとする。
図1は、本実施形態に係るX線診断装置1の構成を示す図である。図1に示すように、X線診断装置1は、X線撮影部3とX線画像処理装置5とを有する。X線撮影部3とX線画像処理装置5とは通信可能に有線又は無線で接続されている。
なお、X線診断装置1は、一般X線撮影装置やX線透視撮影装置、循環器撮影装置、マンモグラフィ装置等の何れの種類にも適用可能であるが、以下の説明を具体的に行うためX線診断装置1はX線透視撮影装置であることを前提とする。X線透視撮影装置は、デジタルX線TVシステムとも呼ばれる。
図1に示すように、X線撮影部3は、X線撮影を行う機械システムである。X線撮影部3は、X線管11、高電圧発生器12、絞り装置13、X線検出器14、保持装置15、駆動装置17、天板31、保持装置33及び駆動装置35を有する。X線管11は、高圧ケーブルを介して高電圧発生器12に接続されている。高電圧発生器12は、X線画像処理装置5のシステム制御回路56からの制御信号に応じて、X線に印加する高電圧を発生する。X線管11は、高電圧発生器12からの高電圧の印加を受けてX線を発生する。X線管11には絞り装置13が設けられる。絞り装置13は、X線を遮蔽する複数の絞り羽根の位置を調整して照射野を形成する。絞り装置13は、システム制御回路56からの制御信号に従い絞り羽根の位置を調整する。
X線検出器14は、X線管11から発生されたX線を検出する。具体的には、X線検出器14は、2次元平面状に配列された複数の検出器画素と読出回路とA/D変換回路とを有するFPD(Flat Panel Detector)であるとする。各検出器画素は、X線管11から発生されたX線を検出し、検出されたX線の強度に応じた電気信号(検出信号)を生成する。読出回路は、複数の検出器画素から所定のタイミングで検出信号をフレーム単位で読み出す。A/D変換回路は、複数の検出器画素から読み出された検出信号をA/D変換し、被検体に関するデジタルのX線画像データを生成する。生成されたX線画像データは、X線画像処理装置5の記憶装置52に伝送される。
保持装置15は、X線管11とX線検出器14とを保持する機械装置である。保持装置15は、X線管11とX線検出器14とを移動自在に支持する。保持装置15は、駆動装置17からの駆動信号の供給を受けて駆動する。駆動装置17は、システム制御回路56からの制御信号に応じた駆動装置を保持装置15に供給する。制御信号の供給により、X線管11、X線検出器14及び保持装置15の位置決めが行われる。
天板31は、被検体が載置される板状構造体である。保持装置33は、天板31を移動自在に支持する支持構造体である。保持装置33は、天板31を水平方向に対して+90度から-90度までの間で起倒可能に支持する。保持装置33は、駆動装置35からの駆動信号の供給を受けて駆動する。駆動装置35は、システム制御回路56からの制御信号に応じた駆動装置を保持装置33に供給する。制御信号の供給により、天板31の位置決めが行われる。
本実施形態に係るX線撮影部3は、オーバーテーブル方式、アンダーテーブル方式、Cアーム方式等の何れの方式にも適用可能である。例えば、Cアーム方式である場合、天板を支持する保持装置33と、X線管11及びX線検出器14を支持する保持装置15とは、一個の機械装置により実現される。Cアーム方式の場合、X線管11とX線検出器14とはCアームに設けられる。Cアームは保持体により回転軸回りに回転可能に支持される。Cアームの保持体は、長軸形状のガイドにスライド可能に設けられる。ガイドは、床置きの基台に回転軸回りに回転可能に支持される。また、ガイドには、Cアームの移動空間を形成する隙間を空けて、天板アームを介して天板31を支持している。
上記構造により、当該基台は、個別的又は一体的に、Cアームを保持体の回転軸回りに回転可能、Cアームをガイドの長軸に沿ってスライド可能、天板31を基台の回転軸回りに起倒可能にCアーム、保持体、ガイド、天板アーム及び天板31を支持する。これにより、基台は、天板31を自在に起倒しつつ、Cアームを天板31上の任意の方向から任意の位置に位置決めすることが可能である。
図1に示すように、X線画像処理装置5は、X線診断装置を統括するコンピュータである。X線画像処理装置5は、システム制御回路56を中枢として、処理回路51、記憶装置52、入力機器53、通信機器54及び表示機器55を有する。処理回路51、記憶装置52、入力機器53、通信機器54及び表示機器55及びシステム制御回路56は互いにバス(bus)を介して通信可能に接続されている。
処理回路51は、ハードウェア資源としてプロセッサを有する。処理回路51は、本実施形態に係る処理プログラムを実行し、取得機能511、パラメータ設定機能512、判定機能513、画像ベース抽出機能514、絞り領域調整機能515及び表示制御機能516を実現する。なお、各機能511~516は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能511~516を実現するものとしても構わない。
取得機能511の実現により、処理回路51は、X線検出器14により生成されたX線画像を取得する。
パラメータ設定機能512の実現により、処理回路51は、各種のパラメータの設定を行う。設定されるパラメータとしては、撮影条件やシステム制御情報がある。撮影条件は、検査プロトコル、手技、X線条件及び分割設定等を含む。システム制御情報は、X線画像の撮影に係る制御情報であり、例えば、機械的又は電子的なX線絞りに関する制御情報を含む。機械的なX線絞りは絞り装置13を意味する。電子的なX線絞りはX線画像に含まれる絞り領域に施すマスク、すなわち、電子シャッターを意味する。システム制御情報は、機械的なX線絞りに関する制御情報として、絞り制御情報を含む。絞り制御情報は、X線画像に描画される絞り領域の位置に影響を与える、X線診断装置の機械装置の制御情報である。絞り制御情報は、例えば、絞り装置13の絞り羽根の位置決めのための制御情報、Cアームの位置決めのための制御情報、天板31の位置決めのための制御情報等を含む。システム制御情報は、電子的なX線絞りに関する制御情報として、X線画像に含まれる絞り領域に付されるマスク(電子シャッター)の位置に関するパラメータを含む。当該パラメータとしては、絞り領域調整機能515による調整処理に用いる調整パラメータ、表示制御機能516によるマスク(電子シャッター)に用いる調整パラメータを含む。
判定機能513の実現により、処理回路51は、X線画像に対応する撮影条件に基づいて、X線画像に対する画像ベースの絞り領域の抽出処理の抽出結果を使用するか否かを判定する。画像ベースの絞り領域の抽出処理の抽出結果を第1の絞り位置情報と呼ぶ。
画像ベース抽出機能514の実現により、処理回路51は、X線画像に対して画像ベースの絞り領域の抽出処理を行い、第1の絞り位置情報を得る。画像ベースの絞り領域の抽出処理は、X線画像を画像処理して、絞り装置13の絞り羽根によりX線が遮蔽された画像領域である絞り領域を抽出する処理である。後述のシステム制御情報ベースの抽出処理とは区別される。
絞り領域調整機能515の実現により、処理回路51は、X線画像に含まれる絞り領域の最終的な絞り位置情報を算出する。例えば、処理回路51は、判定機能513により画像ベースの絞り領域の抽出処理の抽出結果(第1の絞り位置情報)を使用すると判定された場合、第1の絞り位置情報を、システム制御情報に基づいて調整して、X線画像に含まれる絞り領域の最終的な絞り位置情報を算出する。より詳細には、処理回路51は、システム制御情報に基づいて絞り領域の位置情報(第2の絞り位置情報)を算出し、第2の絞り位置情報に基づいて第1の絞り位置情報を調整する。第1の絞り位置情報を使用しないと判定された場合、処理回路51は、システム制御情報に基づいて得られた第2の絞り位置情報を最終的な絞り位置情報として設定する。
表示制御機能516の実現により、処理回路51は、種々のデータを表示機器55を介して表示する。処理回路51は、X線画像に種々の画像処理を施して画像処理後のX線画像を表示することも可能である。画像処理は、ネガポジ反転(白黒反転)やマスキング(電子シャッター)の他、階調処理や画像フィルタ処理、ノイズ低減処理等の種々の画像処理を含む。例えば、処理回路51は、X線画像にネガポジ反転を施してネガポジ反転画像を生成し、最終的な絞り位置情報に基づいて、ネガポジ反転画像に含まれる絞り領域にマスクを施してマスク画像を生成し、マスク画像を表示する。
記憶装置52は、種々のデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置等の記憶装置である。例えば、記憶装置52は、X線検出器14から伝送されたX線画像、パラメータ設定機能512により設定された撮影条件及びシステム制御情報を記憶する。
入力機器53は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して出力する。入力機器53としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜使用可能である。入力機器53は、物理的な機器だけでなく、通信機器54を介して接続されたコンピュータ端末や無線通信可能なタブレット端末等でもよい。
通信機器54は、図示しない有線又は無線を介して、他のコンピュータとの間でデータ通信を行う。
表示機器55は、処理回路51の表示制御機能516の実現により、種々のデータを表示する。表示機器55としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。また、表示機器55は、プロジェクタであってもよい。
システム制御回路56は、ハードウェア資源としてプロセッサを有する。システム制御回路56は、制御プログラムの実行によりX線診断装置1の全体を制御する。具体的には、システム制御回路56は、X線条件に応じたX線曝射を行うように高電圧発生器12に制御信号を供給する。制御信号の供給を受けた高電圧発生器12は、当該制御信号に応じた高電圧をX線管11に印加し、高電圧の印加を受けてX線管11はX線を発生する。システム制御回路56は、絞り制御情報に応じた制御信号を絞り装置13に供給する。制御信号の供給を受けた絞り装置13は、当該制御信号に応じて絞り羽根を移動して照射野を調整する。また、システム制御回路56は、処理回路51に機能511~516を実現させる。
なお、上記のX線診断装置1の構成は一例であり、これに限定されず、種々の変形が可能である。例えば、システム制御回路56と処理回路51とは別個の回路ではなく、単一の回路により構成されてもよい。また、処理回路51、記憶装置52、入力機器53、通信機器54及び表示機器55及びシステム制御回路56の全てが単一のコンピュータに搭載されている必要はなく、複数のコンピュータに分散して搭載されても良い。
次に、本実施形態に係るX線診断装置1の動作例について詳細に説明する。
本実施形態に係るX線診断装置1は、電子シャッターの自動処理であるオートシャッターを安定的に高精度に行う。X線診断装置1では、X線画像をネガポジ反転して読影することが行われている。ネガポジ反転画像の絞り領域は白色で表示されるので読影対象である照射野領域内の読影がし辛くなってしまう。電子シャッターは、ネガポジ反転画像等のX線画像に含まれる絞り領域をマスキングする技術であり、オートシャッターは、自動的にX線画像から絞り領域を判別する電子シャッターの応用である。電子シャッターにより絞り領域が黒塗りされて表示されるので、照射野領域内の読影が容易になる。
電子シャッターの入力情報である最終的な絞り位置情報として、絞り制御情報に基づいて算出された第2の絞り領域の位置情報を用いる方法がある。絞り羽根の位置精度不良がない理想的な場合、第2の絞り領域の位置情報は、X線画像に含まれる絞り領域の位置情報を正確に表していることになる。
図2は、X線管11の配置角度が0度のときのX線画像61における絞り領域62、照射野領域63、電子シャッターの枠線64の位置関係の一例を示す図である。図2は、絞り羽根の位置精度不良がない理想的な場合を例示している。図2の(a)に示すように、X線画像61に電子シャッターの枠線64が設定され、枠線64よりも外側にマスクが施され、枠線64よりも内側にはマスクが施されない。枠線64よりも内側に絞り領域62が映り込まないので、高品質な読影画像を提供することができる。
例えば、経時変化や重力、据え付け不良等による機械的要因に起因する位置精度不良により、絞り羽根が絞り制御情報に従い正確に移動したとしても意図通りの位置に絞り羽根が移動せず、これにより、意図通りの位置に照射野が形成されない場合がある。例えば、図3の(b)に示すように、X線管11が0度から傾いたために重力等により絞り羽根の位置精度不良が生じてしまう場合がある。この場合、X線画像61における照射野領域63の位置がずれ、枠線64の内側に絞り領域62が映り込んでしまう。これでは、枠線64の内側に位置する絞り領域62部分にマスクが施されず、また、枠線64の外側に位置する照射野領域63部分にマスクが施されてしまう。
電子シャッターの入力情報である最終的な絞り位置情報として、画像ベースの抽出処理により得られた第1の絞り位置情報を用いる方法がある。画像ベースの抽出処理としては、AIを用いた絞り領域の画像認識処理が高精度であるが、例えば、照射野領域が小さい場合などは正しく絞り領域を認識できないなど、X線画像に含まれる各種画像領域の形態に応じて精度が変動してしまう。
処理回路51は、画像ベースの抽出処理により得た第1の絞り位置情報を、絞り位置情報を含むシステム制御情報に基づいて調整して、電子シャッターの入力情報である最終的な絞り位置情報を安定的に高精度に求める。本実施形態によれば、例えば、図4の(b)に示すように、重力等により絞り羽根の位置精度不良が生じてしまう場合であっても、X線画像61に含まれる絞り領域62の位置に応じて正確に照射野領域63の内側に枠線64を設定することが可能になる。
図5は、本実施形態に係る処理回路5による処理の概要を示す図である。図5に示すように、処理回路は、X線画像取得部、システム制御情報取得部及び対象領域取得部を有する。X線画像取得部は、X線画像を取得する。システム制御情報取得部は、X線画像の撮影に係るシステム制御情報を取得する。対象領域取得部は、X線画像と、システム制御情報とに基づいて、当該X線画像における絞り領域及び照射野領域の少なくとも一方を表す対象領域を取得する。対象領域取得部は、第1の抽出部、第2の抽出部及び算出部を含む。第1の抽出部は、X線画像に含まれる第1の候補領域を画像処理によって抽出する。第2の抽出部は、当該X線画像に含まれる第2の候補領域をシステム制御情報に基づいて抽出する。算出部は、第1の候補領域と第2の候補領域とに基づいて、対象領域を求める。第1の抽出部は、画像ベース抽出機能514に対応する。第2の抽出部及び算出部は絞り領域機能515に対応する。第1の抽出部、第2の抽出部及び算出部は、対象領域の調整処理を実行する。
図6は、処理回路による調整処理の概要を示す図である。図6に示すように、処理回路5は、画像ベース抽出処理により得た第1の絞り位置情報と、システム制御情報ベース抽出処理により得た第2の絞り位置情報とを得る。第1の絞り位置情報は、画像ベース抽出機能514により、X線画像に画像処理を施すことにより得られる、当該X線画像に含まれる絞り領域の位置情報である。第2の絞り位置情報は、調整機能515により、X線絞りに係るシステム制御情報、一例として、絞り制御情報に基づいて算出される、当該X線画像に含まれる絞り領域の位置情報である。そして処理回路5は、第1の絞り位置情報と第2の絞り位置情報とに基づいて、上記の最終的な絞り位置情報である第3の絞り位置情報を得る。なお、第1の絞り位置情報、第2の絞り位置情報及び第3の絞り位置情報は、絞り領域の位置情報であるが、絞り領域と照射野領域とは図2~図4等に示すように表裏一体の関係にあるので、絞り領域の位置情報を得ることにより必然的に照射野領域の位置情報を得ることができ、逆に、照射野領域の位置情報を得ることにより必然的に絞り領域の位置情報を得ることができ、すなわち、絞り領域の位置情報と照射野領域の位置情報とを同視することができる。よって、絞り領域の位置情報を得ることは照射野領域の位置情報を得ることに等しく、照射野領域の位置情報を得ることは絞り領域の位置情報を得ることに等しいものとする。以下の説明においては、絞り領域の位置情報を得ることのみを記載する。しかし、以下の実施形態は、絞り領域の位置情報を、照射野領域の位置情報、又は絞り領域の位置情報及び照射野領域の位置情報に置き換えて実施することが可能である。
次に、X線診断装置1によるX線検査の処理例について説明する。X線検査の流れは2つの方法に大別される。
(第1のX線検査)
図7は、X線診断装置1による第1のX線検査の処理例を示す図である。図7に示すように、処理回路51は、パラメータ設定機能512の実現により、撮影条件等のパラメータを設定する(ステップSA1)。ステップSA1において設定される撮影条件は、検査プロコトル、手技、X線条件及び分割設定を含む。X線条件としては、管電流値、管電圧値、管電流時間積、X線曝射時間の他、照射野情報を含む。照射野情報は、絞り装置13の複数の絞り羽根により形成される照射野に関する情報である。具体的には、照射野情報は、照射野サイズと照射野位置とを含む。照射野サイズは照射野の横幅及び縦幅により規定される。照射野位置は、X線画像における照射野の位置に規定される。なお、照射野情報は、ステップSA1において操作者により設定されてもよいし、照射野がX線透視時においてカテ-テルやガイドワイヤ等に追従して処理回路51等により自動的に決定される場合等、処理回路51等により自動的に決定されてもよい。撮影条件は、上記のみに限定されず、X線管11及び天板31の位置及び角度、FOVサイズ、画像サイズ等の種々のパラメータを設定することが可能である。
ステップSA1において設定される他のパラメータとしては、システム制御情報に含まれる絞り制御情報のパラメータが設定される。
絞り制御情報は、照射野情報に基づいて算出される。具体的には、絞り制御情報は、照射野領域の基準点のX座標Xsys、Y座標Ysys、照射野領域の横幅Wsys及び照射野領域の縦幅Hsysにより規定される。当該座標系の原点は、例えば、X線画像の左上隅点に設定され、照射野領域の基準点は、X線画像における照射野領域の左上隅点に設定される。すなわち、XsysはX線画像における左上隅点から照射野領域の左上隅点までのX方向距離に等しく、YsysはX線画像における左上隅点から照射野領域の左上隅点までのY方向距離に等しい。Xsys、Ysys、Wsys及びHsysに基づいて左側の絞り羽根(以下、左羽根)、右側の絞り羽根(以下、右羽根)、上側の絞り羽根(以下、上羽根)及び下側の絞り羽根(以下、下羽根)の位置が表現される。例えば、左羽根の位置=Xsys、右羽根の位置=Xsys+Wsys、上羽根の位置=Ysys、下羽根の位置=Ysys+Hsysにより表される。
本実施形態に係るパラメータとしては、上記の通り、絞り制御情報のパラメータの他、電子的なX線絞りに関する制御情報として、X線画像に含まれる絞り領域に付されるマスク(電子シャッター)の位置に関するパラメータを含む。当該パラメータとしては、絞り領域調整機能515による調整処理に用いる調整パラメータ、表示制御機能516によるマスク(電子シャッター)に用いる調整パラメータを含む。
図8は、調整パラメータの設定画面71の一例を示す図である。図8に示すように、設定画面71は、設定領域72、SYSボタン73及びAIボタン74を含むGUI(Graphical User Interface)画面である。SYSボタン73は、設定領域72の入力欄を、ステップSA6の調整パラメータの入力欄からステップSA7の調整パラメータの入力欄に切り替えるためのGUIボタンである。AIボタン74は、設定領域72の入力欄を、ステップSA7の調整パラメータの入力欄からステップSA6の調整パラメータの入力欄に切り替えるためのGUIボタンである。図8は、AIボタン74が押下されている例を図示している。
図8に示すように、設定領域72は、調整パラメータの設定領域である。設定領域72には、X線画像における絞り領域と照射野領域との模式図が表示され、模式図には各種調整パラメータの入力欄が表示される。「共通」の入力欄は、ステップSA6及びSA7に共通の調整パラメータの入力欄である。すなわち、「共通」の入力欄は、シャッター制御情報のパラメータの入力欄である。「AI」の入力欄は、ステップSA6において使用される調整パラメータの入力欄である。例えば、設定領域72における上側の「共通」の入力欄には、上羽根の絞り領域に対する電子シャッターの調整パラメータの値が入力され、「AI」の入力欄には、上羽根の第1の絞り位置情報に対する調整パラメータの値が入力される。なお、SYSボタン73が押下された場合、「AI」の入力欄の代わりに、「システム」の入力欄が表示される。これにより、設定領域72において、各羽根に対するシステムベースの調整パラメータの値が入力される。
ステップSA1において設定された全てのパラメータの値はXML(Extensible Markup Language)ファイル等の電子ファイルに記録され、当該電子ファイルは記憶装置52に記憶される。電子ファイルに記憶されたパラメータの値は、入力機器53等を介して操作者により編集することが可能である。また、パラメータの種類に応じて編集の制限が付加されてもよい。
ステップSA1が行われるとシステム制御回路56は、撮影条件に従いX線撮影を行い、処理回路51は、取得機能511の実現により、X線画像を取得する(ステップSA2)。ステップSA2においては、絞り制御情報に従い絞り装置13の絞り羽根の位置が調整される。X線撮影は、ワンショット撮影により行われてもよいし、シーケンス撮影により行われてもよい。ワンショット撮影では、比較的高い管電圧を用いて1枚のX線画像が得られる。シーケンス撮影では、比較的低い管電圧を用いて時系列のX線画像が得られる。シーケンス撮影はX線透視とも呼ばれる。本実施例においてステップSA3以降は、X線画像毎に繰り返されるものとする。
ステップSA2が行われると処理回路51は、判定機能513の実現により、画像ベースの絞り領域の抽出処理を実行するか否かを判定する(ステップSA3)。ステップSA3において処理回路51は、ステップSA1において設定された撮影条件に基づいて判定処理を行う。ステップSA3は、画像ベース抽出機能514により得られる第1の絞り位置情報を、最終的な絞り位置情報の算出のために使用するか否かを判定していることと同義である。判定処理の詳細は後述する。
ステップSA3において画像ベースの絞り領域の抽出処理を実行すると判定された場合(ステップSA3:YES)、処理回路51は、画像ベース抽出機能514の実現により、画像ベースの絞り領域の抽出処理(画像ベース抽出処理)を実行する(ステップSA4)。ステップSA4において処理回路51は、ステップSA2において生成されたX線画像に画像ベース抽出処理を行い、X線画像に含まれる絞り領域の位置情報である第1の絞り位置情報を得る。画像ベース抽出処理は、ハフ変換等の画像解析が用いられてもよいし、AIを用いた画像認識が用いられてもよい。AIを用いた画像認識において処理回路51は、機械学習モデルを利用してX線画像に含まれる絞り領域を認識する。以下、画像ベース抽出処理はAIを用いた画像認識であるとする。
図9は、AIを用いた画像認識に用いる学習済みモデルの入出力関係を模式的に示す図である。図9に示すように、学習済みモデルは、X線画像を入力として第1の絞り位置情報を出力するように学習される。学習済みモデルは、ニューラルネットワークが用いられればよい。入力X線画像は、X線検出器14から取得したオリジナルのX線画像でもよいし、ノイズ除去等の前処理が施されたX線画像でもよい。また、入力X線画像は、ダウンサンプリングされた、オリジナルのX線画像に比して小さい画像サイズのX線画像でもよい。なお、学習済みモデルから出力される絞り位置情報がそのまま第1の絞り位置情報として利用されてもよいし、学習済みモデルから出力される絞り位置情報をシステム制御情報等により任意に調整した後の絞り位置情報が第1の絞り位置情報として利用されてもよい。
ステップSA4が行われると処理回路51は、絞り領域調整機能515の実現により、絞り制御情報に基づいて絞り領域の位置情報(第2の絞り位置情報)を算出する(ステップSA5)。ステップSA5が行われると処理回路51は、第2の絞り位置情報とシステム制御情報とに基づいて第1の絞り位置情報を調整する(ステップSA6)。ステップSA6において処理回路51は、第1の絞り位置情報と第2の絞り位置情報とを比較し、第1の絞り位置情報が第2の絞り位置情報に対して閾値よりも乖離している場合、第2の絞り位置情報とシステム制御情報とに基づいて第1の絞り位置情報を調整する。ステップSA6における調整処理は、絞り領域の電子的な成形処理と表現することも可能である。
一方、ステップSA3において画像ベースの絞り領域の抽出処理を実行しないと判定された場合(ステップSA3:NO)、処理回路51は、絞り領域調整機能515の実現により、絞り制御情報に基づいて絞り領域の位置情報を算出する(ステップSA7)。
ステップSA6又はステップSA7が行われると処理回路51は、表示制御機能516の実現により、X線画像をネガポジ反転する(ステップSA8)。ネガポジ反転後のX線画像をネガポジ画像と呼ぶ。ステップSA8が行われると処理回路51は、表示制御機能516の実現により、ステップSA6又はステップSA7において得られた最終的な絞り位置情報に基づいて、ステップSA8において生成されたネガポジ画像の絞り領域にマスク(電子シャッター)を施す(ステップSA9)。マスク(電子シャッター)が施されたネガポジ反転画像をマスク画像と呼ぶ。ステップSA9が行われると処理回路51は、表示制御機能516の実現により、ステップSA9において生成されたマスク画像を表示する(ステップSA10)。
図10は、ステップSA8~SA9の処理の流れを模式的に示す図である。図10に示すように、ネガポジ反転SA8が行われる前のX線画像61においては、入力画素値(投影値)と出力画素値(濃淡値)との対応関係を示す階調カーブは、入力画素値が高いほど出力画素値が高くなるように設定される。なお、出力画素値が低いほど白色に対応する低い濃淡値が割り当てられ、出力画素値が高いほど黒色に対応する高い濃淡値が割り当てられる。ネガポジ反転SA8が行われる前のX線画像61においては、具体的には、絞り領域62に比較的濃い濃淡値が割り当てられ、照射野領域63には比較的淡い濃淡値が割り当てられる。
次に、処理回路51は、図10に示すように、X線画像61にネガポジ反転SA8を行い、ネガポジ画像61Bを生成する。ネガポジ反転SA8では、階調カーブが反転される。すなわち、階調カーブは、入力画素値が低いほど出力画素値が高くなるように設定される。ネガポジ画像61Bにおいては、絞り領域62に比較的淡い濃淡値が割り当てられ、照射野領域63には比較的濃い濃淡値が割り当てられる。
次に、処理回路51は、図10に示すように、ネガポジ画像とステップSA6又はSA7において得られた最終的な絞り位置情報とに基づいてマスキング(電子シャッター)SA9を実行し、マスク画像61Cを生成する。ステップSA9において処理回路51は、まず、最終的な絞り位置情報に基づいてネガポジ画像に電子シャッターの枠線64を設定する。枠線64は、絞り領域62の位置、換言すれば、絞り領域62と照射野領域63との境界に設定される。なお、枠線64は、最終的な絞り位置情報に一致する位置に設定されてもよいし、最終的な絞り位置情報に一致する位置よりも所定距離だけ内側の位置に設定されてもよい。次に処理回路51は、枠線64よりも外側の画像領域、すなわち、絞り領域62に、特定の濃淡値が割り当てられたマスクを施す。特定の濃淡値は、黒色に対応する濃淡値に設定される。
本実施形態によれば、第1の絞り位置情報と第2の絞り位置情報とに基づき高精度に得られた位置情報に基づいて枠線64が設定されるので、枠線64内に絞り領域62が映り込むこと又は照射野領域63がマスクに重畳することを低減することができる。これにより、高品質な読影画像を提供することが可能になる。
なお、電子シャッターは、ネガポジ画像に施されることに限定されず、ネガポジ反転前のX線画像など、絞り領域が描出されている如何なるX線画像に施されてもよい。
ステップSA10が行われると第1のX線検査が終了する。
次に、ステップSA3において実行される判定機能513による判定処理の詳細について説明する。
図11は、ステップSA3において実行される判定機能513による判定処理例を示す図である。図11に示すように、処理回路51は、撮影条件に含まれる検査プロコトル、手技、X線条件及び分割設定に基づいて、第1の絞り位置情報を使用するか否かを判定する。
図11に示すように、まず、処理回路51は、検査プロトコルの確認を行う(ステップSB1)。ステップSB1においては、今回検査の検査プロトコルが、画像ベース抽出処理に適しているか否かが確認される。例えば、ステップSA1において検査プロトコルに「画像ベース抽出処理に適している」旨のOKフラグ又は「画像ベース抽出処理に適していない」旨のNGフラグが、パラメータとして設定される。例えば、上部消化管検査についてはNGフラグ、骨単純検査についてはOKフラグが設定されるとよい。検査プロトコルにOKフラグが設定されている場合、当該検査プロトコルが画像ベース抽出処理に不適でないと判断され、検査プロトコルにNGフラグが設定されている場合、当該検査プロトコルが画像ベース抽出処理に不適であると判断される。
ステップSB1において検査プロトコルが、画像ベース抽出処理に不適であることが確認されなかった場合(ステップSB1:OK)、処理回路51は、手技の確認を行う(ステップSB2)。ステップSB2においては、今回検査の手技が、非スポットビュー(Spot View)であり且つ、ワンショット撮影、シーケンス撮影(動画撮影)及びDA撮影(血管造影撮影)の何れであるかが確認される。例えば、ステップSA1において手技として、スポットビューが設定された場合、ステップSB2においては、今回検査の手技が、画像ベース抽出処理に不適であると判断される。例えば、ステップSA1において手技として、スポットビューが設定されず、且つワンショット撮影、シーケンス撮影及びDA撮影の何れかが設定された場合、ステップSB2においては、今回検査の手技が、画像ベース抽出処理に不適でないと判断される。例えば、ステップSA1において手技として、スポットビューが設定されず、且つワンショット撮影、シーケンス撮影及びDA撮影の何れも設定されていない場合、ステップSB2においては、今回検査の手技が、画像ベース抽出処理に不適であると判断される。なお、DSA撮影、トモシンセシス撮影及び長尺撮影の場合も、画像ベース抽出処理に不適であると判断されるとよい。
ステップSB2において手技が、画像ベース抽出処理に不適であることが確認されなかった場合(ステップSB2:OK)、処理回路51は、X線条件の確認を行う(ステップSB3)。ステップSB3においては、今回検査のX線条件が、ABC(Auto Brightness Control)又はATR(Auto Tube Voltage Regulation)がONに設定されているかが確認される。例えば、ステップSA1において、ABC又はATRがONに設定された場合、ステップSB3においては、今回検査のX線条件が、画像ベース抽出処理に不適でないと判断される。ステップSA1において、ABC及びATRの双方がOFFに設定された場合、ステップSB3においては、今回検査のX線条件が、画像ベース抽出処理に不適であると判断される。
ステップSB3において処理回路51は、X線条件である照射野サイズが画像ベース抽出処理に不適であるか否かを判断してもよい。照射野サイズが第1の閾値に比して小さい場合、画像ベース抽出処理に不適であると判断されるとよい。X線画像における絞り領域が大きく且つ照射野領域がほとんどない小照射野領域撮影の場合、AIによる画像認識では絞り領域の認識精度が高くないためである。逆に、照射野サイズが第2の閾値に比して大きい場合、画像ベース抽出処理に不適であると判断されてもよい。X線画像における絞り領域が小さい場合も、AIによる画像認識では絞り領域の認識精度が高くないためである。
ステップSB3においてX線条件が、画像ベース抽出処理に不適であることが確認されなかった場合(ステップSB3:OK)、処理回路51は、分割設定の確認を行う(ステップSB4)。ステップSB4においては、今回検査の撮影方式が非分割撮影であるが確認される。例えば、ステップSA1において、撮影方式が分割撮影に設定されていない場合、ステップSB4においては、今回検査の分割設定が、画像ベース抽出処理に不適でないと判断される。ステップSA1において、撮影方式が分割撮影に設定されている場合、ステップSB4においては、今回検査の分割設定が、画像ベース抽出処理に不適であると判断される。
ステップSB4において分割設定が、画像ベース抽出処理に不適であることが確認されなかった場合(ステップSB4:OK)、処理回路51は、画像ベース抽出処理を実行すると判定する(ステップSA3:YES)。
一方、ステップSB1において検査プロトコルが、画像ベース抽出処理に不適であることが確認された場合(ステップSB1:NG)、ステップSB2において手技が、画像ベース抽出処理に不適であることが確認された場合(ステップSB2:NG)、ステップSB3においてX線条件が、画像ベース抽出処理に不適であることが確認された場合(ステップSB3:NG)、ステップSB4において分割設定が、画像ベース抽出処理に不適であることが確認された場合(ステップSB4:NG)、処理回路51は、画像ベース抽出処理を実行しないと判定する(ステップSA3:NO)。
以上により、ステップSA3において実行される判定機能513による判定処理が終了する。
なお、上記判定処理の順番は、ステップSB1→SB2→SB3→SB4の順番に限定されず、如何なる順番で行われてもよい。また、上記ステップSB1~SB4に代えて又は追加して種々の判定が行うことが可能である。
例えば、処理回路51は、天板31や天板支持構造物、天板付属物等の天板構造物が照射野に入り込む場合、画像ベース抽出処理を実行しないと判定してもよい。天板構造物は、高X線吸収体であり且つ直線的な構造物であるので、AIによる画像認識では、絞り羽根と混同する可能性があるためである。なお、天板支持構造物としては、天板31を支持するアームや天板31を補強するフレームが挙げられ、天板付属物としては、例えば、天板31に設けられた、被検体が把持するためのハンドルが挙げられる。Cアーム方式のX線透視撮影装置においては、X線管11及び天板31の位置及び角度(以下、構造配置パラメータ値と呼ぶ)と、FOVとの組合せにより照射野に天板構造物が入り込むか否かが決まる。例えば、AP/PA角度、RAO角度、LAO角度、天板高さ及びFOVの組合せにより天板の左右端等が照射野に入るか否かが決まる。なお、オーバーテーブル方式やアンダーテーブル方式の場合、天板左右位置及びFOVの組合せにより天板の左右端等の天板構造物が照射野に入るか否かが決まる。
処理回路51は、天板構造物が照射野に入る構造配置パラメータ値及びFOVの組合せを記録したテーブルを保持する。そして処理回路51は、処理対象のX線画像に関連付けられた構造配置パラメータ値及びFOVの組合せがテーブルに記録されている場合、画像ベース抽出処理を実行しないと判定し、記録されていない場合、画像ベース抽出処理を実行すると判定する。
次に、ステップSA6において実行される絞り領域調整機能515による調整処理の詳細について説明する。処理回路51は、最終的な絞り位置情報の定義の仕方に応じて調整アルゴリズムを選択する。定義の仕方としては、照射野領域が矩形のときの定義と四角形のときの定義とがある。照射野領域が矩形のときの調整処理を第1の調整処理と呼び、照射野領域が四角形のときの調整処理を第2の調整処理と呼ぶ。
図12は、ステップSA6において実行される絞り領域調整機能515による第1の調整処理例を示す図である。図13は、第1の調整処理例における絞り領域の位置情報の定義を示す図である。図13に示すように、照射野領域が矩形である場合、絞り領域の位置情報は、基準点P1のX座標、基準点P1のY座標、照射野領域の横幅W及び照射野領域の縦幅Hを用いて定義される。基準点P1は、例えば、照射野領域の四隅のうちの左上隅点に設定される。この場合、基準点P1の座標は(X,Y)により表される。左下隅点P2の座標は(X,Y+H)、右下隅点P3の座標は(X+W,Y+H)、右上隅点P4の座標は(X+W,Y)に規定される。すなわち、左羽根の位置はXに対応し、右羽根の位置はX+Wに対応し、上羽根の位置はYに対応し、下羽根の位置はY+Hに対応する。
図12に示すように、処理回路51は、最終的な絞り位置情報が基準点のX座標、基準点のY座標、照射野領域の横幅及び前記照射野領域の縦幅により定義される場合、第1の絞り位置情報に対して、微調整と、最大FOVによる調整と、絞り制御情報に基づく絞り領域の位置情報との比較調整と、最小FOV及び/又は信頼フラグによる棄却と、シーケンス撮影時の絞り操作の確認とを順番に実行する。以下、詳細に説明する。
図12に示すように、処理回路51は、画像ベース抽出処理の抽出結果(第1の絞り位置情報)の微調整を行う(ステップSC1)。ステップSC1において処理回路51は、ステップSA4において得られた第1の絞り位置情報の出力値(以下、第1の絞り位置情報の今回出力値と呼ぶ)Xai,Yai,Wai,Haiを、ステップSA1において設定された調整パラメータに基づいて調整する。ステップSC1における微調整は、AIを用いた画像認識では例えば第1の絞り位置情報が左上に片寄る性質があり、このようなAIを用いた画像認識に特有の性質を補正するために行われる。第1の絞り位置情報の調整後の値(以下、調整値と呼ぶ)をXt,Yt,Wt,Htと表記する。
ステップSC1が行われると処理回路51は、最大FOVによる調整を行う(ステップSC2)。ステップSC2において処理回路51は、ステップSC1において得られた調整値Xt,Yt,Wt,Htを、最大FOVに対する絞り映り込み最小量の比率に基づいて調整する。より詳細には、調整値Xt,Yt,Wt,Htに基づいて、X線画像における左羽根、右羽根、上羽根及び下羽根の映り込み量を算出し、各映り込み量を最大FOVに対する絞り映り込み最小量の比率に対して比較する。比率に比して映り込み量が小さい場合、調整値Xt,Yt,Wt,Htを第2の絞り位置情報の出力値(以下、第2の絞り位置情報の今回出力値と呼ぶ)Xsys,Ysys,Wsys,Hsysに基づいて調整する。ステップSC2における調整は、左羽根、右羽根、上羽根及び下羽根の順番に行われるとよい。ステップSC2の処理により、絞りの全開が指示されたが撮影時には全開になっていない場合であっても、電子シャッターにおいては全開になる。
ステップSC2が行われると処理回路51は、絞り制御情報に基づく絞り位置情報(第2の絞り位置情報)との比較調整を行う(ステップSC3)。ステップSC3において処理回路51は、各絞り羽根の第1の絞り位置情報と第2の絞り位置情報との差分値を算出し、各絞り羽根の差分値を、予め定められた差分閾値に対して比較する。差分閾値は、絞り羽根毎に設けられる。差分閾値より大きい羽根は、第2の絞り位置情報に基づいて調整する。差分値が差分閾値より大きい場合、当該羽根の位置が、第2の絞り位置情報に基づく値に置き換えられる。なお、差分値が差分閾値より大きい場合、当該羽根の位置が、第1の絞り位置情報と第2の絞り位置情報とに基づく値、例えば、中間値等に置き換えられてもよい。
差分閾値に対して比較される差分値は、例えば、羽根の第1の絞り位置情報から第2の絞り位置情報の減算値の絶対値により規定される。差分値は、減算値そのもの、すなわち、+又は-が付された値でもよい。この場合、据え付け方針として、システム制御情報に対して、必ず実照射野が外側にある場合は、第1の絞り位置情報が第2の絞り位置情報よりも画像中心側に来た場合は、確実に異常と判断することができる。ステップSC3における調整は、左羽根、右羽根、上羽根及び下羽根の順番に行われるとよい。また、差分閾値は、天板31及びX線管11の位置及び角度に応じて設定されてもよい。例えば、左羽根、右羽根、上羽根及び下羽根各々について、天板31及びX線管11の位置及び角度の組合せ毎に差分閾値を記録したテーブルが作成されるとよい。処理回路51は、当該テーブルを参照して、今回検査の組合せに適した差分閾値を読み出すことができる。なお、テーブルに限定されず、計算式や機械学習モデルにより差分閾値を決定してもよいし、
ステップSC3が行われると処理回路51は、最小FOV及び信頼フラグによる棄却を行う(ステップSC4)。ステップSC4において処理回路51は、第2の絞り位置情報の今回出力値WsysがFOVの最小横幅より小さい場合又は今回出力値HsysがFOVの最小縦幅よりも小さい場合、調整値Xt,Yt,Wt,Htをそれぞれ第2の絞り位置情報の今回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysに置き換える。なお、処理回路51は、信頼フラグがゼロの場合、調整値Xt,Yt,Wt,Htをそれぞれ今回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysに置き換えてもよい。
ステップSC4が行われると処理回路51は、シーケンス撮影時の絞り操作を確認する(ステップSC5)。ステップSC5において処理回路51は、第2の絞り位置情報の今回出力値Xsysが前回出力値(一回前の処理対象のX線画像について、ステップSA5において算出された第2の絞り位置情報の出力値)Xsyslに一致し、且つ今回出力値Ysysが前回出力値Ysyslに一致し、且つ今回出力値Wsysが前回出力値Wsyslに一致し、且つ今回出力値Hsysが前回出力値Hsyslに一致する場合、調整値Xt,Yt,Wt,Htをそれぞれ前回出力値Xsysl,Ysysl,Wsysl,Hsyslに置き換える。
ステップSC5が行われると処理回路51は、前回値を保存する(ステップSC6)。ステップSC6において処理回路51は、今回出力値Xt,Yt,Wt,Htをそれぞれ最終的な絞り位置情報の前回出力値(一回前の処理対象のX線画像について、ステップSA6において算出された最終的な位置情報の出力値)Xoutl,Youtl,Woutl,Houtlとして保存する。また、処理回路51は、第2の絞り位置情報の今回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysをそれぞれ第2の絞り位置情報の前回出力値Xsysl,Ysysl,Wsysl,Hsyslとして保存する。
ステップSC6が行われると処理回路51は、最終的な絞り位置情報を出力する(ステップSC7)。ステップSC7において処理回路51は、今回出力値Xt,Yt,Wt,Htを最終的な絞り位置情報の今回出力値Xout,Yout,Wout,Houtに置き換えて出力する。
以上により、第1の調整処理が終了する。
図14は、ステップSA6において実行される絞り領域調整機能515による第2の調整処理例を示す図である。図15は、第2の調整処理例における絞り領域の位置情報の定義を示す図である。図15に示すように、照射野領域が四角形である場合、絞り領域の位置情報は、照射野領域の4隅の各点のX座標及びY座標を用いて定義される。この場合、左上隅点P1(X1,Y1)、左下隅点(X2,Y2)、右下隅点(X3,Y3)、右上隅点(X4,Y4)に規定される。すなわち、左羽根の位置はX1,Y1,X2及びY2により規定され、右羽根の位置はX3,Y3,X4及びY4により規定され、上羽根の位置はX1,Y1,X4及びY4により規定され、下羽根の位置はX2,Y2,X3及びY3により規定される。
なお、第2の調整処理例においても、第2の絞り位置情報として、Xsys,Ysys,Wsys,Hsysが用いられる。このため、照射野領域の左辺を例にすると、MIN(X1,X2)やMAX(X1,X2)、AVERAGE(X1,X2)として、X,Y,W,Hと並行な直線を生成してもよいし、直線と点P1,P2に対する距離を求めて、MINやMAX、AVERAGE、領域値判定の論理積や論理和等を得てもよい。
図14に示すように、処理回路51は、最終的な絞り位置情報が四隅の各点のX座標及びY座標により定義される場合、第1の絞り位置情報に対して、最大FOVによる調整と、絞り制御情報に基づく絞り領域の位置情報との比較調整と、最小FOV及び/又は信頼フラグによる棄却と、シーケンス撮影時の絞り操作の確認とを順番に実行する。以下、詳細に説明する。
図14に示すように、処理回路51は、画像ベース抽出処理の抽出結果(第1の絞り位置情報)の微調整を行う(ステップSD1)。例えば、処理回路51は、ステップSA1において設定された調整パラメータに基づいて第1の絞り位置情報の今回出力値X1ai,・・・,X4ai,Y1ai,・・・,Y4aiをする。なお、ステップSD1において処理回路51は、ステップSA4において得られた第1の絞り位置情報の今回出力値X1ai,・・・,X4ai,Y1ai,・・・,Y4aiを第1の絞り位置情報の調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tに置き換えてもよい。すなわち、第2の調整処理においては、第1の絞り位置情報の微調整は行わなくてもよい。
ステップSD1が行われると処理回路51は、非対称性の調整を行う(ステップSD2)。なお、ステップSD2において処理回路51は、非対称性の調整を行わなくてもよい。
ステップSD2が行われると処理回路51は、最大FOVによる調整を行う(ステップSD3)。ステップSD3において処理回路51は、ステップSD1において得られた調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tを、最大FOVに対する絞り映り込み最小量の比率に基づいて調整する。より詳細には、調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tに基づいて、X線画像における左羽根、右羽根、上羽根及び下羽根の映り込み量を算出し、各映り込み量を最大FOVに対する絞り映り込み最小量の比率に対して比較する。比率に比して映り込み量が小さい場合、調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tを第2の絞り位置情報の今回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysに基づいて調整する。ステップSC2における調整は、左羽根、右羽根、上羽根及び下羽根の順番に行われるとよい。ステップSD3の処理により、絞りの全開が指示されたが撮影時には全開になっていない場合であっても、電子シャッターにおいては全開になる。
ステップSD3が行われると処理回路51は、絞り制御情報に基づく絞り位置情報(第2の絞り位置情報)との比較調整を行う(ステップSD4)。ステップSD4において処理回路51は、各羽根の第1の絞り位置情報と第2の絞り位置情報との差分を算出し、各羽根の差分を、予め定められた差分閾値に対して比較する。差分閾値より大きい羽根は、第2の絞り位置情報に基づいて調整する。ステップSD4における調整は、左羽根、右羽根、上羽根及び下羽根の順番に行われるとよい。
ステップSD4が行われると処理回路51は、最小FOV及び信頼フラグによる棄却を行う(ステップSD5)。ステップSD5において処理回路51は、第2の絞り位置情報の今回出力値WsysがFOVの最小横幅より小さい場合又は今回出力値HsysがFOVの最小縦幅よりも小さい場合、調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tを、第2の絞り位置情報の今回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysに基づく値に置き換える。すなわち、X1tがXsysに、Y1tがYsysに、X2tがXsysに、Y2tがYsys+Hsysに、X3tがXsys+Wsysに、Y3tがYsys+Hsysに、X4tがXsys+Wsysに、Y4tがYsysに置き換えられる。なお、処理回路51は、信頼フラグがゼロの場合、調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tを、第2の絞り位置情報の今回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysに基づく値に置き換えてもよい。
ステップSD5が行われると処理回路51は、シーケンス撮影時の絞り操作を確認する(ステップSD6)。ステップSD6において処理回路51は、第2の絞り位置情報の今回出力値Xsysが前回出力値Xsyslに一致し、且つ今回出力値Ysysが前回出力値Ysyslに一致し、且つ今回出力値Wsysが前回出力値Wsyslに一致し、且つ今回出力値Hsysが前回出力値Hsyslに一致する場合、調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tをそれぞれ最終的な絞り位置情報の前回出力値X1outl,・・・,X4outl,Y1outl,・・・,Y4outlに置き換える。
ステップSD6が行われると処理回路51は、前回値を保存する(ステップSD7)。ステップSD7において処理回路51は、調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tをそれぞれ最終的な絞り位置情報の前回出力値X1outl,・・・,X4outl,Y1outl,・・・,Y4outlとして保存する。また、処理回路51は、第2の絞り位置情報の今回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysをそれぞれ第2の絞り位置情報の前回出力値Xsysl,Ysysl,Wsysl,Hsyslとして保存する。
ステップSD7が行われると処理回路51は、最終的な絞り位置情報を出力する(ステップSD8)。ステップSD8において処理回路51は、調整値X1t,・・・,X4t,Y1t,・・・,Y4tを最終的な絞り位置情報の今回出力値X1out,・・・,X4out,Y1out,・・・,Y4outに置き換えて出力する。
以上により、第2の調整処理が終了する。
なお、第1及び第2の調整処理において各工程の上記条件が成立し、調整値の調整が行われた場合、調整が行われた工程と調整量とをログとして記憶装置52に記憶されるとよい。この場合、処理回路51は、入力機器53等を介した要求に応答して、調整が行われた工程と調整量とを表示機器55に表示することが可能である。システム試験や臨床FTでの安定性評価に利用することが可能である。
上記の通り、第1及び第2の調整処理によれば、第1の絞り位置情報は、第2の絞り位置情報及びシステム制御情報に基づいて調整される。なお、必ずしも、図12又は図14に示す全工程を実施する必要はない。例えば、ステップSC3又はステップSD4における、第1の絞り位置情報と第2の絞り位置情報との比較調整のみが行われてもよい。すなわち、第1の絞り位置情報は、第2の絞り位置情報に基づいて調整されてもよい。
(第2のX線検査)
図16は、X線診断装置1による第2のX線検査の処理例を示す図である。図16に示すように、第2のX線検査において処理回路51は、画像ベース抽出処理の実行後、第1の絞り位置情報を使用するか否かを判定する。以下、第2のX線検査について詳細に説明する。
図16に示すように、処理回路51は、まず、パラメータ設定機能512の実現により、撮影条件等のパラメータを設定する(ステップSE1)。ステップSE1の処理はステップSA1の処理と同様である。
ステップSE1が行われるとシステム制御回路56は、撮影条件に従いX線撮影を行い、処理回路51は、取得機能511の実現により、X線画像を取得する(ステップSE2)。ステップSE2の処理はステップSA2の処理と同様である。
ステップSE2が行われると処理回路51は、画像ベース抽出機能514の実現により、画像ベースの絞り領域の抽出処理(画像ベース抽出処理)を実行する(ステップSE3)。ステップSE3の処理はステップSA4の処理と同様である。
ステップSE3が行われると処理回路51は、絞り領域調整機能515の実現により、絞り制御情報に基づいて絞り領域の位置情報(第2の絞り位置情報)を算出する(ステップSE4)。ステップSE4の処理はステップSA5の処理と同様である。
ステップSE4が行われると処理回路51は、判定機能513の実現により、ステップSE3において得られた第1の絞り位置情報を使用するか否かを判定する(ステップSE5)。ステップSE5の処理はステップSA3の処理と同様である。
ステップSE5において第1の絞り位置情報を使用すると判定された場合(ステップSE:YES)、処理回路51は、第2の絞り位置情報とシステム制御情報とに基づいて第1の絞り位置情報を調整する(ステップSE6)。ステップSE6の処理はステップSA6の処理と同様である。
一方、ステップSE5において画像ベースの絞り領域の抽出処理を使用しないと判定された場合(ステップSE5:NO)、処理回路51は、絞り領域調整機能515の実現により、第2の絞り位置情報を最終的な絞り位置情報に設定する(ステップSE7)。
ステップSE6又はステップSE7が行われると処理回路51は、表示制御機能516の実現により、X線画像をネガポジ反転し(ステップSE8)、ステップSE6又はステップSE7において得られた最終的な絞り位置情報に基づいて、ステップSE8において生成されたネガポジ画像の絞り領域にマスク(電子シャッター)を施し(ステップSE9)、ステップSE9において生成されたマスク画像を表示する(ステップSE10)。ステップSE8~SE10の処理はそれぞれステップSA8~SA10の処理と同様である。
ステップSE10が行われると第2のX線検査が終了する。
(変形例1)
変形例1に係る処理回路51は、ステップSA4において、絞り制御方式に応じて画像ベース抽出処理を実行するか否かを判定する。絞り制御方式としては、対称制御と非対称制御とがある。対称制御は、上羽根及び下羽根を連動して、左羽根及び右羽根を連動して制御する方式である。一対の上羽根及び下羽根が、並びに一対の左羽根及び右羽根が、画像中心を挟んで対称の位置に配置される。対称制御のときの照射野領域は矩形状であり、X,Y,W,Hにより絞り位置情報が定義される。非対称制御は、上羽根、下羽根、左羽根及び右羽根を個別に制御する方式である。非対称制御は、スポットビューのような矩形の照射野領域をX線画像上で移動させるようなものでもよいし、照射野を任意の形状に成形するものでもよい。非対称制御のときの照射野領域は四角形状であり、X,Yにより絞り位置情報が定義される。
処理回路51は、絞り制御方式が対称制御である場合、X線画像の画像中心に対する対の絞り羽根の非対称性を評価する。処理回路51は、非対称性であると評価した場合、画像ベース抽出処理を実行しないと判定し、非対称性でないと評価した場合、画像ベース抽出処理を実行すると判定する。例えば、上羽根及び下羽根の対については、画像中心から照射野領域の上辺までの距離、画像中心から照射野領域の下辺までの距離を算出し、両者の距離の差が閾値以上の場合、上羽根及び下羽根が非対称であると評価する。この場合、上羽根及び下羽根の絞り位置情報については、ステップSA7の実行により最終的な絞り位置情報を得るとよい。なお、左羽根及び右羽根についても同様に非対称性が評価される。左羽根及び右羽根が非対称でないと評価された場合、左羽根及び右羽根の絞り位置情報については、ステップSA4~SA6の実行により最終的な絞り位置情報を得るとよい。
上記の変形例1は、ステップSE5における、第1の絞り位置情報を使用するか否かの判定にも適用することが可能である。
上記の通り、変形例1によれば、絞り制御方式に応じた絞り領域の幾何学的特徴を利用して、最終的な絞り位置情報の精度を高めることができる。
(変形例2)
スポットビュー不実施且つ斜入の場合、処理回路51は、照射野形状に関する下記条件を満たさない場合、第1の絞り位置情報を棄却してもよい。なお、斜入は、X線検出器14に対して斜めにX線を入射される方式である。照射野形状に関する第1の条件は、上辺及び下辺が水平であり、左辺及び右辺が位置及び角度共に画像中心に対して左右対称の斜線である場合である。第2の条件は、上辺長及び下辺長の比がSID/斜入角に基づき計算される値である。斜入角は、撮影軸とX線検出器14のX線検出面との間の角度である。斜入の場合、X線画像における照射野領域は台形形状を有するので、照射野領域が台形形状であることを判定するための条件として、第1の条件及び第2の条件が設定される。
処理回路51は、画像ベース抽出処理により画像認識された絞り領域に基づいて、第1の条件として、照射野形状の上辺及び下辺が水平であるか否か、左辺及び右辺が位置及び角度共に画像中心に対して左右対称であるか否かを判定する。第1の条件が満たされた場合、処理回路51は、第2の条件として、照射野領域の上辺長及び下辺長の比と、今回検査のSID/斜入角とを算出し、上辺長及び下辺長の比がSID/斜入角に基づき計算される値であるか否かを判定する。第2の条件を満たす場合、処理回路51は、ステップSA6において、図12又は図14に示す調整処理を実行する。第1の条件又は第2の条件を満たさない場合、処理回路51は、ステップSA6の代わりにステップSA7を実行する。
なお、スポットビュー実施且つ斜入の場合、上記の第1の条件及び第2の条件とは異なる条件が課せられる。スポットビューが実施される場合、X線画像における照射野領域の位置に応じて当該照射野領域の位置が異なるので、上記の第1の条件及び第2の条件よりも複雑な条件が課せられる。例えば、照射野領域がX線画像の右側に寄っている場合は、上辺及び下辺は水平、左辺は垂直、右辺は斜線であるが、右辺の斜線の角度は照射野領域の位置に応じて異なる。
上記の通り、変形例2によれば、斜入撮影における絞り領域の幾何学的特徴を利用して、最終的な絞り位置情報の精度を高めることができる。
(変形例3)
上記実施例においては、シーケンス撮影の場合であっても時系列のX線画像各々についてステップSA3~SA10が行われるとものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。時系列のX線画像のうちの、先頭のX線画像等の指定したX線画像についてのみステップSA3~SA10が行われてもよい。また、所定時間間隔毎にステップSA3~SA10が行われてもよいし、絞り装置13が操作される毎にステップSA3~SA10が行われてもよい。ステップSA3~SA10を行わないX線画像については、最終的な絞り位置情報の前回値(前回画像の最終的な絞り位置情報)を用いることにより、処理を省略することが可能である。AIによる画像認識では、量子ノイズに起因するX線画像輝度値の時間的空間的ばらつきにより、第1の絞り位置情報の精度が安定しないおそれがある。最終的な絞り位置情報の前回値(前回画像の最終的な絞り位置情報)を用いることにより、このような第1の絞り位置情報の精度の不安定性を低減することが可能になる。
単一のX線検査において複数のシーケンス撮影が行われる場合がある。この場合、処理回路51は、今回の画像縦幅及び画像横幅が前回の画像縦幅及び画像横幅に一致する場合、前回出力値Xsys,Ysys,Wsys,Hsysを前回出力値Xsysl,Ysysl,Wsysl,Hsyslとして利用し、前回出力値Xout,Yout,Wout,Houtを前回出力値Xoutl,Youtl,Woutl,Houtlとして利用するとよい。このように前回シリーズの絞り位置情報を利用することにより、処理負荷を低減することが可能になる。
(変形例4)
上記の実施例においてX線画像処理装置5はX線診断装置1に搭載されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。X線画像処理装置5はX線診断装置とは別体のコンピュータ、例えば、読影専用のコンピュータであってもよい。この場合、X線画像処理装置5は、X線診断装置又はPACS等の画像保管装置からX線画像を取得し、取得されたX線画像に対してステップSA3~SA10又はステップSE3~SE10を実行する。シーケンス撮影により生成された時系列のX線画像を取得した場合、X線画像処理装置5は、X線画像毎にステップSA3~SA10又はステップSE3~SE10を実行する。
(総括)
実施形態に係るX線画像処理装置は、処理回路51を有する。処理回路51は、X線画像に対応する撮影条件に基づいて、X線画像に対する画像ベースの絞り領域の抽出処理の抽出結果(第1の絞り位置情報)を使用するか否かを判定する。処理回路51は、第1の絞り位置情報を使用すると判定された場合、第1の絞り位置情報を、X線絞りに係るシステム制御情報に基づいて調整して、X線画像に含まれる最終的な絞り領域の位置情報を算出する。
上記の構成によれば、撮影条件に基づいて第1の絞り位置情報を使用するか否かを判定し、使用すると判定された場合に限定して、電子シャッターに使用する最終的な絞り領域の位置情報を、第1の絞り位置情報をシステム制御情報に基づいて調整して得ることができる。このように、第1の絞り位置情報を使用するのに適した状況においてのみ第1の絞り位置情報を使用することができ、また、第1の絞り位置情報を使用する場合においてもシステム制御情報に基づいて第1の絞り位置情報を調整するので、X線画像に描出されている絞り領域の形態や機械的要因、据付要因等に依らず、最終的な絞り位置情報の精度を高めることが可能になる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線画像の絞り領域の位置情報を高精度且つ安定的に得ることができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現しても良い。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。