{実施形態}
以下、実施形態に係る鞍乗型乗物における排水構造について説明する。排水構造の適用対象例である乗物の一例は、自動二輪車である。自動二輪車は、動力機関を搭載する二輪車である。以下の実施形態では、乗物が自動二輪車である例が説明される。乗物は、他の地上走行車両、例えば、ユーザである運転者がシートに跨った状態で運転する鞍乗型車両(自動三輪車、ATV(All Terrain Vehicle)等)であってもよい。
<自動二輪車について>
説明の便宜上、自動二輪車10について説明しておく。図1は排水構造31が適用される自動二輪車10を示す平面図である。図2は同自動二輪車10を示す側面図である。図1では自動二輪車10の前部が示されている。図2では主として自動二輪車10のうち前側カバー及び燃料タンク22が示される。なお、以下の説明において、上下、前後及び左右について言及する場合、各方向は、次のように定義される。まず、自動二輪車10の前輪14が路面に接地する側が下であり、下の反対側が上である。また、自動二輪車10が走行する際の走行方向が前であり、前の反対側が後ろである。さらに、ユーザが運転者として自動二輪車10に搭乗した状態で、当該ユーザを基準とする左右が自動二輪車10の左右である。幅方向は、左右の車幅方向である。
自動二輪車10では、フロントフォーク12の下端部に前輪14が回転可能に支持される。自動二輪車10の走行時に前輪14がフロントフォーク12の下端部で回転する。フロントフォーク12の上端部に上下一対のブラケット16が取付けられている。図1では上側のブラケット16が図示される。一対のブラケット16にはステアリングシャフト18が支持されている。ステアリングシャフト18は、車体フレームの前部に位置するヘッドパイプに挿通されて回動可能に支持されている。上側のブラケット16には、ハンドル24が支持されている。ハンドル24が操作されると、ステアリングシャフト18、ブラケット16及びフロントフォーク12がヘッドパイプの軸周りに回動する。この回動によって、前輪14がヘッドパイプの軸周りに回動して、自動二輪車10が走行方向を変えることができる。
ハンドル24の後方に燃料タンク22、乗員用シート23等が位置する。燃料タンク22及び乗員用シート23よりも下側に動力機関としてエンジンが位置する。なお、自動二輪車10の動力機関は、電動モータであってもよい。動力機関によって、車体フレームの後部に設けられた後輪が回転駆動される。
自動二輪車10にカバー30が設けられる。カバー30は、自動二輪車10の構成部品の少なくとも一部を覆う。カバー30は、外表面と内表面とを有している。外表面は自動二輪車10の外側に露出している。内表面は、カバー30の厚み方向において外表面とは反対側に位置する。内表面は、自動二輪車10の構成部品側を向いている。カバー30は、自動二輪車10の構成部品のうちのどの部分を覆ってもよい。
本実施形態では、ハンドル24に対して前方及び両側方を囲うようにカバー30が設けられる。上記カバー30は、車体フレームに直接又は間接的に支持されており、ハンドル24の回動にあわせて動くことはない。カバー30は、樹脂等により形成されている。本実施形態では、カバー30は、フロントカウル26と、サイドカバー40と、上側サイドカウル50と、下側サイドカウル60とを備える。サイドカバー40、上側サイドカウル50及び下側サイドカウル60は、自動二輪車10の車幅方向両側に設けられる。フロントカウル26は、ハンドル24の前方外側を覆うように車体フレームに直接又は間接的に取付けられる。フロントカウル26の幅方向中央における後部にウインドシールド25が支持される。サイドカバー40は、平面視において自動二輪車10の車幅方向外側を覆う。本実施形態では、サイドカバー40は、ハンドル24に対して車幅方向外側でかつ前後方向に延びる領域を覆っている。サイドカバー40は、車体フレームに直接又は間接的に取付けられる。上側サイドカウル50及び下側サイドカウル60は、フロントカウル26よりも後方、かつ、サイドカバー40よりも下方に位置で、自動二輪車10を車幅方向外側から覆うように、車体フレームに直接又は間接的に取付けられる。上側サイドカウル50は、下側サイドカウル60よりも上方の領域を覆う。
カバー30のうちどの領域を一体化し、どの部分を分割するかは任意である。例えば、上記カバー30の全体が同じ樹脂によって一体的に型成形されてもよい。また、フロントカウル26と、サイドカバー40と、上側サイドカウル50と、下側サイドカウル60のうちの一部である複数が同じ樹脂によって一体的に型成形されてもよい。また、フロントカウル26と、サイドカバー40と、上側サイドカウル50と、下側サイドカウル60とのうちの任意の部分が、より細かく分割されてもよい。カバー30の各部は、例えば、ネジSによる固定、嵌込構造等によって車体フレームに直接又は間接的に固定される。
フロントカウル26の後方であってウインドシールド25の内側に計器27が位置する。計器27は、速度、エンジンの回転数等の車両情報を表示する表示部である。計器27は、車両情報をアナログ方式で表示してもよいし、デジタル方式で表示してもよいし、アナログとデジタルとの複合方式で表示してもよい。
<排水構造>
上記自動二輪車10における排水構造31について説明する。本実施形態では、サイドカバー40が排水孔46を有する例が説明される。図3は自動二輪車10を示す部分的な平面図である。図3では主としてサイドカバー40、上側サイドカウル50及び下側サイドカウル60が示される。以下では、自動二輪車10の左側部分に着目して、左側のサイドカバー40、上側サイドカウル50及び下側サイドカウル60に関する説明がなされる。排水構造は、自動二輪車10の左右の一方に組込まれてもよいし、左右両方に組込まれてもよい。
図1から図3に示すように、サイドカバー40は、第1上カバー部42と、第2上カバー部44と、谷部43とを含む。サイドカバー40は、同じ樹脂によって一体に型成形されている部材であってもよい。第1上カバー部42の後縁は前縁よりも低い。第2上カバー部44は、第1上カバー部42よりも後方に位置する。第2上カバー部44の後縁は、前縁よりも高い。谷部43は、第1上カバー部42の後縁と第2上カバー部44の前縁とを繋いでいる。このため、谷部43は、第1上カバー部42と第2上カバー部44との境界に沿って延びる谷をなしている。
より具体的には、第1上カバー部42は、フロントカウル26の後縁のうち車幅方向外側部分に対して後方に位置する。前後方向において、第1上カバー部42は、計器27と同じ位置又は計器27よりも後方に位置する。第1上カバー部42は、乗員用シート23より前方に位置する。第1上カバー部42は、燃料タンク22よりも前方に位置してもよく、ハンドル24よりも前方に位置してもよい。第1上カバー部42は、ハンドル24よりも下方に位置してもよい。第1上カバー部42は、乗員用シート23と同じ高さ位置に位置してもよく、乗員用シート23よりも高い位置に位置してもよい。第1上カバー部42は平たい形状に形成されている。第1上カバー部42の前縁は、フロントカウル26の後縁のうち車幅方向外側部分に接している。第1上カバー部42の車幅方向外側縁は、上側サイドカウル50の上側縁に接している。第1上カバー部42の車幅方向内側縁は、フロントフォーク12が配置される開口を囲む縁の一部をなしている。第1上カバー部42の後縁は、下向きに凸となるV字状である。
第1上カバー部42にインターフェース機器が支持されている。インターフェース機器は、自動二輪車10と、外部機器若しくは乗員との間で情報、信号又は電力を伝送するための接続機器である。インターフェース機器は、例えば、スイッチ、充電コネクタ、表示装置であることが考えられる。図3では、インターフェース機器としてスイッチ48a、48bが例示される。スイッチ48aは丸い形状のスイッチであり、スイッチ48bは四角い形状のスイッチである。スイッチ48a、48bは、第1上カバー部42の前側で車体フレームに直接又は間接的に支持されている。第1上カバー部42にスイッチ48a、48bを配置するための孔42h1、42h2が形成されている。スイッチ48a、48bが孔42h1、42h2内に配置されることにより、第1上カバー部42が延在する方向において、スイッチ48a、48bが一定位置に支持される。なお、図1において右側の第2上カバー部44にはインターフェース機器として充電コネクタ48cが支持されている。充電コネクタ48cはカバー48dによって覆われていてもよい。
第1上カバー部42は、乗員用シート23に着座する乗員の顔よりも前方かつ下方に位置し、斜め上方向を向いている。この第1上カバー部42にインターフェース機器を支持することによって、乗員がインターフェース機器を容易に操作したり、容易に視認したりすることができる。高度情報化された自動二輪車10において、インターフェース機器の搭載数、搭載面積が増加しつつある。このため、ハンドル24の中央前方にある計器27の設置スペース、ハンドルグリップ周りにあるスイッチ設置スペースだけでは、インターフェース機器を搭載するための面積が不足する可能性がある。上記第1上カバー部42は、増加するインターフェース機器を搭載するスペースとして利用され得る。
第2上カバー部44は、第1上カバー部42に対して後方に位置する。第1上カバー部42は、ハンドル24に対して車幅方向外側を通り、燃料タンク22の前後方向中央の側部に向って延びる。第2上カバー部44の前縁は下向きに凸となるV字状をなしており、第1上カバー部42の後縁に一体的に連なっている。第2上カバー部44は、前縁から後方に向って延びるV字溝部分44aを含む。V字溝部分44aは、第2上カバー部44の前縁から後方に向って徐々に浅い。V字溝部分44aの最深部における前端部は後端部よりも低い。第2上カバー部44は、V字溝部分44aの後部に連なる山状部44bを含む。山状部44bは、幅方向中央部が最も高い逆V字状をなしている。山状部44bは、V字溝部分44aの後部から後方に向けて車幅方向中央に向うように湾曲し、燃料タンク22に達する。第2上カバー部44の車幅方向外側縁は、上側サイドカウル50の上側縁に接している。第2上カバー部44の車幅方向内側縁は、フロントフォーク12が配置される開口を囲む縁の一部をなしている。
上記第1上カバー部42は、乗員に向けてインターフェース機器を設置するための部分であり、第2上カバー部44は、当該第1上カバー部42の下縁から後方に延在し、走行風を円滑に後方に流すための面を形成する部分であると考えてもよい。このように、乗員に向けた面を作るためのカバー部分と、走行風を円滑に後方に流すための面を形成するカバー部分との間には、自動二輪車10を側面視してV字状となる谷部43が形成されてしまうことが考えられる。
谷部43は、第1上カバー部42の後縁と第2上カバー部44の前縁との境界に沿って延びる。このため、谷部43は、第1上カバー部42の後縁近傍部分と第2上カバー部44の前縁近傍部分とがなすV字状の溝を形成する。また、谷部43は、第1上カバー部42の後縁のうち車幅方向内側部分から車幅方向外側に向けて徐々に下がって、最も下方に位置する最深部43Dに達し、当該最深部から車幅方向外側に向って徐々に上方に向うように延在する。なお、本実施形態では、谷部43のうち車幅方向内側の端縁は、車幅方向外側の端縁よりも低い。
本自動二輪車10が雨水等に曝されるとする。この場合、第1上カバー部42上に落下した水は谷部43に向い、第2上カバー部44のうちV字溝部分44aに落下した水も谷部43に向う。谷部43に水が溜ると、水は谷部43を伝って当該谷部43の車幅方向内側の端縁から溢れ落ちることが考えられる。
ここで、サイドカバー40よりも低い位置には、自動二輪車10の各種部品が位置することが想定される。例えば、サイドカバー40よりも低い位置であって、車幅方向中央寄りの位置にエアクリーナ49cが位置することが考えられる。エアクリーナ49cの吸気口49dは、走行中に空気を取入れ易いように前方を向いていることが考えられる。前後方向において、吸気口49dが谷部43と同じ位置又は谷部43よりも後方に位置することが考えられる。このため、谷部43から滴り落ちた水が、走行風等の影響によって吸気口49d内に進入することが考えられる。また、例えば、サイドカバー40の真下には、チャコールキャニスタ49a、パージバルブ49bが位置することが考えられる。この場合、谷部43から溢れ出た水が、チャコールキャニスタ49a、パージバルブ49bにかかってしまうことが考えられる。
本実施形態において、サイドカバー40の外表面40f1による水の排水路とは異なる排水路を形成するため、本実施形態では、サイドカバー40に排水孔46が形成されると共に、排水孔46の下方に排水ガイド70が位置する。排水孔46は、サイドカバー40の外表面40f1と内表面40f2との間を貫通する。よって、サイドカバー40の外表面40f1を伝う水がサイドカバー40を貫通して内表面40f2側に案内される。排水ガイド70は、排水孔46を通過した水を、平面視において排水孔46とは異なる排水位置Pに向けて案内する。
本実施形態では、谷部43に排水孔46が形成される。より具体的には、谷部43のうち最深部43Dに排水孔46が形成される。排水孔46は、谷部43のうち最深部43D以外の箇所に形成されてもよい。サイドカバー40のうち排水孔46の上側開口の周囲に当該排水孔46に向けて徐々に狭まる漏斗状のガイド面46aが形成されてもよい。当該ガイド面46aによって水をより確実に排水孔46に向けて案内することができる。サイドカバー40のうち排水孔46の下側開口の周囲に下方に向けて突出する環状凸部46bが形成されてもよい。なお、環状凸部46bは図6に示されている。環状凸部46bによって、排水孔46を通った水が環状凸部46bの最下端部から下方に滴り落ちやすくなり、サイドカバー40の内表面40f2を伝って流れ難い。
本実施形態では、サイドカバー40が、排水孔46を有するカバーであると把握されてもよい。または、サイドカバー40と上側サイドカウル50との複合物が、排水孔46を有するカバーであると把握されてもよい。
図4は排水ガイド70を示す平面図である。図4ではサイドカバー40及び下側サイドカウル60が省略されている。図5は排水ガイド70、サイドカバー40及び下側サイドカウル60の分解斜視図である。
図2、図4及び図5に示すように、排水ガイド70は、排水孔46から排出される水を受ける位置に位置する。例えば、平面視において、排水ガイド70の少なくとも一部が排水孔46の直下に位置する。平面視において、排水ガイド70の少なくとも一部が、電装品及び配線の少なくとも一方と重なっていてもよい。排水ガイド70によって電装品及び配線の少なくとも一方に対する防水効果が高められる。例えば、平面視において、排水ガイド70のうち排水孔46の直下に位置する部分が、電装品及び配線の少なくとも一方と重なっていてもよい。これにより、排水孔46を通った水がそのまま電装品及び配線の少なくとも一方に落下することが抑制され、電装品及び配線の少なくとも一方に対する防水効果が高められる。
排水ガイド70は、上下方向において、排水孔46と吸気口49dとの間に位置してもよい。これにより、排水孔46を通った水が吸気口49dに達し難い。排水ガイド70は、排水孔46と吸気口49dとを結ぶ直線において、排水孔46と吸気口49dとの間に位置することが好ましいが、これは必須ではない。上記したように、上下の位置関係で、排水ガイド70が、排水孔46と吸気口49dとの間に位置していればよい。
排水ガイド70は、底部71と周壁部72とを有する。底部71は、排水孔46の下方に位置しており、底部71の一部が排水孔46の真下に位置している。周壁部72は、底部71の周囲、本実施形態では、底部71の前縁、後縁及び車幅方向内側の縁に沿って延在している。
より具体的には、底部71は、第1底部71aと、第2底部71bとを含む。第1底部71aは、排水孔46の下方に広がる方形状部分と当該方形状部分の後ろ寄りの部分から車幅方向外側に延びる延長部分とを含む。第2底部71bは、第1底部71aの方形状部分に対して車幅方向外側、かつ、延長部分に対して前側に位置している。第2底部71bは、第1底部71aよりも低い位置に位置している。第1底部71aと第2底部71bとは、段差壁73を介して連なっている。
周壁部72は、第1底部71aの前縁、車幅方向内側縁、後縁を囲んでいる。周壁部72のうち第1底部71aの車幅方向内側縁の一部が凹んでいる。当該凹みは谷部43の形状に応じた凹みである。排水孔46は、平面視において、当該凹みの車幅方向外側に位置する。このため、排水孔46を通った水は、第1底部71a上に落下する。
第1底部71aの車幅方向外側縁は、車幅方向内側縁よりも低く、第2底部71bの車幅方向外側縁は、車幅方向内側縁よりも低くてもよい。つまり、第1底部71aと第2底部71bとは、車幅方向外側に向けて下向き傾斜していてもよい。この場合、第1底部71a上に落下した水は、第1底部71aに沿って車幅方向外側に流れ出るか、第1底部71aと第2底部71bを経て車幅方向外側に流れ出る。
第1底部71aと段差壁と第2底部71bとの車幅方向外側の縁に沿って排水延長部74が位置する。排水延長部74は、車幅方向外側に向けて突出する細長い薄板状部分である。排水延長部74も車幅方向外側に向けて下向き傾斜している。排水延長部74による延長寸法分、第1底部71aと第2底部71bとを伝う水が、当該第1底部71aと第2底部71bとよりも外側にガイドされる。本実施形態では、排水延長部74の車幅方向外側縁の位置が、排水位置Pである。排水位置Pは、上記排水孔46に対して車幅方向外側に位置している。上記排水延長部74は省略されてもよい。この場合、第1底部71aと第2底部71bとの車幅方向外側の縁を排水位置として水が排水されてもよい。
第1底部71aと第2底部71bとは、後方に向けて下向き傾斜していることが好ましい。これにより、水が前方に流れず、段差壁又は後側の周壁部72に沿って外向きに流れ出易い。
なお、周壁部72のうち第1底部71aの前縁の部分に配線挿通凹部が形成されている。第2底部71bのうち前寄りの部分に配線挿通孔71bhが形成されている。配線部材75が配線挿通凹部を通り、第1底部71aと第2底部71bとの上方を経由して、配線挿通孔71bh内を通るように取回される。なお、配線挿通孔71bhは排水位置Pよりも重力方向において高い位置する。これにより、水が配線挿通孔71bhに入り込み難い。上記のように配線部材75が取回されることによって、排水ガイド70の上方空間を、配線部材75を配置するための空間として利用することができる。配線部材75が当該経路を通ることは必須ではない。
上記排水構造31と、上側サイドカウル50と、下側サイドカウル60との関係について説明する。図6は図2のVI-VI線断面図である。
図2から図6に示すように、下側サイドカウル60は、下カバー本体62を有する。下カバー本体62は、サイドカバー40の外表面40f1の下方に広がる下表面62fを有する。下表面62fは、サイドカバー40よりも車幅方向外側でかつ下方位置において、車幅方向外向きに面している。当該下カバー本体62に、上記排水ガイド70が一体形成されている。
本実施形態では、下カバー本体62は、フロントカウル26の後縁から燃料タンク22の下方位置まで広がっている。下カバー本体62の上縁のうち前寄りの部分から車幅方向内側に向うように排水ガイド70が延出している。下カバー本体62と排水ガイド70とは、例えば、同じ樹脂によって一体に型成形されることが考えられる。排水延長部74は、下カバー本体62の下表面を62fよりも車幅方向外側に延出している。
下カバー本体62の上下方向中間部に、前後方向に沿って延びる稜線部分62aが延びている。下カバー本体62のうち稜線部分62aは、稜線部分62aの上下領域よりも車幅方向外側に突出している。
上側サイドカウル50は、フロントカウル26の後縁のうちの上寄りの部分から燃料タンク22の下方を通って乗員用シート23に下方に向って延出している。上側サイドカウル50は、サイドカバー40のうち車幅方向外側の縁から下方に延び、上記下カバー本体62のうちの上部領域を車幅方向外側から覆っている。つまり、上側サイドカウル50は、サイドカバー40と排水ガイド70との間の空間を、車幅方向外側から覆っている。また、上側サイドカウル50は、排水ガイド70と、当該排水ガイド70と下カバー本体62とが連なる部分とを車幅方向外側から覆っている。
上記排水延長部74は、上側サイドカウル50によって覆われている。排水延長部74の先端縁と上側サイドカウル50の内表面との間には、水が通過可能な程度の隙間が形成されている。排水延長部74は、上側サイドカウル50と下カバー本体62との隙間を塞ぐ。これにより、上側サイドカウル50と下カバー本体62とを下方から観察した場合に、排水延長部74が当該隙間の奥を隠す。
上側サイドカウル50の下縁は、下カバー本体62の稜線部分62aに沿う位置又は稜線部分62a近くの位置に延出してもよい。例えば、上側サイドカウル50の下縁は、下カバー本体62の稜線部分62aに対して3cm、好ましくは、2cm、より好ましくは、1cm以内に位置してもよい。
上側サイドカウル50は、内側に凹むと共に運転者の膝Kが配置されるニーグリップ部58を有してもよい。本実施形態では、燃料タンク22の側部のうち後寄りかつ下寄りの部分に内側に凹む凹部22gが形成されている。上側サイドカウル50のうちの後ろ寄りの部分に、凹部22gから斜め下前方に連続してニーグリップ部58が形成される。運転者は、膝Kを凹部22g及びニーグリップ部58に配置して、燃料タンク22及び左右の上側サイドカウル50を安定して挟むことができる。
上記排水位置Pは、ニーグリップ部58よりも前方に位置している。排水位置Pは、ニーグリップ部58の底部よりも車幅方向外側に位置してもよい。なお、ニーグリップ部の下方に足を載せるステップが位置する。このため、運転者の足は、ニーグリップ部58から下方に向けて位置する。排水位置Pは、運転者の足から前方に離れた位置に位置する。
本実施形態では、サイドカバー40と上側サイドカウル50とは別体である。サイドカバー40と上側サイドカウル50とは、同じ樹脂によって一体的に型成形された部品であってもよい。つまり、排水位置Pは、運転者から離れた前方位置に存在している。
排水動作について説明する。
雨天環境等において、雨水がサイドカバー40上にかかったとする。雨水は、矢印F1に示すように、第1上カバー部42及び第2上カバー部44の外表面に沿って、重力に従って流れ落ちる。雨水の流れは、走行風の影響を受ける場合もある。雨水は、谷部43に向い、最深部43Dに達すると、矢印F2に示すように、排水孔46内を通って、サイドカバー40の下方に落下する。落下した水は、排水ガイド70の底部71上に達し、矢印F3に示すように、底部71の傾斜に従って、車幅方向外側に流れ出る。水が底部71のうち車幅方向外側の縁に達すると、さらに、矢印F4に示すように、排水延長部74に沿って車幅方向外側に向い、矢印F5に示すように、排水延長部74の先端部から落下する。さらに、水は、矢印F6に示すように、上側サイドカウル50と、下側サイドカウル60の下カバー本体62との間を通り、上側サイドカウル50の下側縁と稜線部分62aとの間で、自動二輪車10から外側に放出される。例えば、水が自然落下する場合には、稜線部分62aから下方に落下することが考えられる。自動二輪車10の走行中においては、水が、上側サイドカウル50の下側縁と稜線部分62aとの間で走行風によって吹飛ばされることが考えられる。いずれにせよ、水は、下側サイドカウル60の外表面よりも外側に放出され、チャコールキャニスタ49a、パージバルブ49b、エアクリーナ49cの吸気口49dには流れ込み難い。
以上のように構成された排水構造31によると、サイドカバー40の外表面40f1を伝う水が、排水孔46を通ってサイドカバー40の内表面40f2側に流れ、排水ガイド70を経て排水位置Pから排出される。このため、水は、サイドカバー40内の各種部品に落下する位置を避けて、排水位置Pから排出される。これにより、自動二輪車10の各種部品に対する防水性を高めることができる。
つまり、水は、サイドカバー40等のカバーの外表面40f1に伝って流れず、当該外表面40f1の途中にある排水孔46を通ってカバーの内表面40f2側に案内される。さらに、排水孔46から排水ガイド70によって、水は、自動二輪車10の各種部品に対する被水が生じ難い排水位置Pに向けて案内される。このため、自動二輪車10における各種部品に対する防水性を高めることができる。なお、下記の各構成が無くても、本効果を奏することができる。
また、サイドカバー40が谷部43を含み、排水孔46が当該谷部43に形成されている。これにより、第1上カバー部42と第2上カバー部44との上に存在する水を、谷部43で集めて、排水孔46から排水することができる。このため、サイドカバー40上の水が排水孔46以外の箇所から落下し難くなり、自動二輪車10における各種部品に対する防水性をより高めることができる。
また、上下方向において、排水孔46と、エアクリーナ49cの吸気口49dとの間に排水ガイド70が位置している。このため、排水孔46を通って落下する水が、排水ガイド70によって遮られ、吸気口49dに向い難い。これにより、排水孔46空の水がエアクリーナ49cに入ることが抑制される。
また、第1上カバー部42にインターフェース機器が支持されている。このため、第1上カバー部42によって運転者に向けてインターフェース機器を支持することができる。かかる第1上カバー部42は、後方から斜め上方を向いていることが適する。この場合、第1上カバー部42の後縁に水が溜りやすい谷部43が形成されることが考えられる。当該谷部43に排水孔46を形成することで、インターフェース機器を支持する第1上カバー部42を設けることによって生じ易くなった水溜りの水を、効果的に各種部品にかかり難い位置に排出することができる。
また、排水位置Pが排水孔46に対して車幅方向外側に位置しているため、自動二輪車10における内部の部品に水がかかり難い。
また、排水位置Pがニーグリップ部58よりも前方に位置している。運転者の膝Kは内側に凹むニーグリップ部58に配置されるため、排水位置Pから排水される水が運転者の膝Kにかかり難い。
また、下カバー本体62に排水ガイド70が一体形成されているため、排水ガイド70のために追加部品を設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。
また、上側サイドカウル50が排水ガイド70と、排水ガイド70と下カバー本体62とが連なる部分とを覆っているため、排水位置Pが上側サイドカウル50と下カバー本体62との間に隠され、排水ガイド70及び排水位置Pが目立に難い。
{変形例}
上記実施形態では、排水孔46は、サイドカバー40に形成された。排水孔が形成されるカバーは、サイドカバーでなくてもよい。例えば、フロントカウル26、下側サイドカウル60又は自動二輪車10における後方のカバーに排水孔が形成されてもよい。
排水孔46が谷部43に形成されることは必須ではない。例えば、サイドカバーにおいて谷部43以外の位置に排水孔が形成されてもよい。例えば、排水孔が、第1上カバー部42又は第2上カバー部44の中間部に形成されてもよい。排水孔は、水の流路となり易い位置、又は、水が溜り易い位置に形成されてもよい。例えば、排水孔は、溝又は凹みの底部に形成されてもよい。
排水ガイド70の形状例は上記実施形態で説明した形状に限られない。例えば、排水ガイドは、半筒状の形状又は皿状の形状であってもよい。排水ガイドは、半筒状の溝が曲りつつ延在して、排水に適した位置に達してもよい。また、排水ガイドによる排水位置は、上記例に限られない。排水ガイドは、排水孔を通った水を、排水孔の位置から後方又は前方にガイドしてもよい。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
本開示は、以下の各態様を開示する。
第1の態様は、鞍乗型乗物における排水構造であって、前記鞍乗型乗物の外側に露出する外表面と、前記外表面とは反対側の内表面と、前記外表面と前記内表面との間を貫通する排水孔とを有するカバーと、前記外表面から前記排水孔を通過した水を、平面視において前記排水孔とは異なる排水位置に向けて案内する排水ガイドと、を備える鞍乗型乗物における排水構造である。
この排水構造によると、カバーの外表面を伝う水が、各種部品に落下する位置を避けて、排水孔から排水ガイドを経て排出される。このため、鞍乗型乗物の各種部品に対する防水性を高めることができる。
第2の態様は、第1の態様に係る鞍乗型乗物における排水構造であって、前記カバーは、前記鞍乗型乗物の幅方向外側を覆うサイドカバーを有し、前記サイドカバーが、前縁よりも後縁が低くなるように配置された第1上カバー部と、前縁よりも後縁が高くなるように配置された第2上カバー部と、前記第1上カバー部の後縁と前記第2上カバー部の前縁とを繋ぐ谷部とを含み、前記排水孔が前記谷部に形成されている、鞍乗型乗物における排水構造である。この場合、第1上カバー部と第2上カバー部との上の水を、谷部で集めて排水することができる。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る鞍乗型乗物における排水構造であって、吸気口を有するエアクリーナをさらに備え、上下方向において、前記排水孔と前記吸気口との間に、前記排水ガイドが位置する、鞍乗型乗物における排水構造である。この場合、排水ガイドにより、排水孔からの水がエアクリーナに入ることを抑制できる。
第4の態様は、第2の態様に係る鞍乗型乗物における排水構造であって、前記第1上カバー部に支持されたインターフェース機器をさらに備える、鞍乗型乗物における排水構造である。この場合、第1上カバー部によって運転者に向けたインターフェース機器を支持することができる。
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る鞍乗型乗物における排水構造であって、前記排水位置が、前記排水孔に対して前記鞍乗型乗物の車幅方向外側に位置している、鞍乗型乗物における排水構造である。この場合、水が鞍乗型乗物の車幅方向外側に排出されるため、鞍乗型乗物における内部の部品に水がかかり難い。
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る鞍乗型乗物における排水構造であって、前記カバーが、内側に凹むと共に運転者の膝が配置されるニーグリップ部を有し、前記排水位置が前記ニーグリップ部よりも前方に位置している、鞍乗型乗物における排水構造である。この場合、運転者の膝は内側に凹むニーグリップ部に配置されるため、排水位置から排水される水が運転者にかかり難い。
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る鞍乗型乗物における排水構造であって、前記外表面の下方に広がる下表面を有する下カバー本体をさらに備え、前記下カバー本体に前記排水ガイドが一体形成されている、鞍乗型乗物における排水構造である。この場合、下カバー本体に排水ガイドが一体形成されるため、排水ガイドを単独部品として準備する場合と比較して、部品点数を削減できる。
第8の態様は、第7の態様に係る鞍乗型乗物における排水構造であって、前記カバーが、前記排水ガイドと、前記排水ガイドと前記下カバー本体とが連なる部分とを覆っている、鞍乗型乗物における排水構造である。この場合、排水位置が、カバーと下カバー本体との間に隠され、排水ガイド及び排水位置が目立に難い。
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。