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JP7672682B2 - ウラン吸着材、その製造方法、それを用いた被験水溶液からウランを抽出する方法、および、ウラン含有鉱物からウランを回収する方法 - Google Patents
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JP7672682B2 - ウラン吸着材、その製造方法、それを用いた被験水溶液からウランを抽出する方法、および、ウラン含有鉱物からウランを回収する方法 - Google Patents

ウラン吸着材、その製造方法、それを用いた被験水溶液からウランを抽出する方法、および、ウラン含有鉱物からウランを回収する方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポーラスシリカを用いたウラン吸着材、その製造方法、それを用いた被験水溶液からウランを抽出する方法、および、ウラン含有鉱物からウランを回収する方法に関する。
原子炉は、地球温暖化の原因となり得る二次ガスを出さずに発電できるクリーンエネルギーの1つであり、多くの国において電力源として原子炉を採用する動きがある。このような原子炉は主にウランに依存している。これに伴い、ウランの需要が増加しており、ウランを効率的に抽出する方法が求められている。
ウランは放射能性を有しており、人体に影響を与える得る。そのため、世界保健機関(WHO)では、飲料水に含まれるウランの最大値は2μg/Lと定められている。自然界に存在する原料の多くには、種々のレベルのウランが含まれている。そのため、原料からウランを抽出し、人体への影響を抑制することが望まれる。
一方、メソポーラスシリカを使ってストロンチウムイオン、セシウムイオンを吸着する技術が開発されている(例えば、特許文献1および2を参照)。しかしながら、これらのメソポーラスシリカは、ウランを選択的に吸着できない。
特開2013-17919号公報 特開2013-40852号公報
本発明の課題は、ポーラスシリカを用いたウランを選択的に吸着するウラン吸着材、その製造方法、それを用いた被験水溶液からウランを抽出する方法、および、ウラン含有鉱物からウランを回収する方法を提供することである。
本発明によるウラン吸着材は、六方晶構造を有するポーラスシリカからなる粒子の凝集体を備え、前記凝集体は、ミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を備えた階層構造を有し、前記凝集体は、250m/g以上300m/g以下の範囲のBET法比表面積を有し、0.3cm/g以上0.5cm/g以下の範囲の細孔容積を有し、前記凝集体の表面は前記粒子間に複数の溝を有し、
ウランを選択的に吸着または遊離し、これにより上記課題を解決する。
前記ポーラスシリカの表面および細孔は、式1または式2で表されるキレート化合物で修飾されていてもよい。

ここで、Lは、2価の基であり、「・」はラジカルを表し、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、ハロゲン原子、および、シアノ基からなる群から選択され、R2およびR3は、同一または別異の炭素数1~5のアルキル基であり、R4は、炭素数1~5のアルキル基であり、nは1以上3以下の自然数であり、*は前記ポーラスシリカとの結合部位を表す。
前記Lは、炭素数2~4のアルキレン基であり、前記R1~R4は、同一または別異の炭素数1~3のアルキル基であり、前記nは、2または3であってもよい。
前記ポーラスシリカに対する前記キレート化合物の質量比は、0.1以上0.5以下の範囲であってもよい。
前記ポーラスシリカに対する前記キレート化合物の質量比は、0.15以上0.25以下の範囲であってもよい。
前記ポーラスシリカは、少なくとも、ケイ素(Si)、酸素(O)、炭素(C)およびリン(P)を含有し、合計を100質量%としたとき、それぞれの元素の質量パーセント濃度は、
45≦Si≦55
40≦O≦45
3≦C≦7、および、
1≦P≦3
を満たしてもよい。
前記粒子は、0.5μm以上2.5μm以下の範囲のメジアン径(d50)を有してもよい。
本発明による上記ウラン吸着材を製造する方法は、もみ殻から得られた植物由来シリカ源をアルカリ溶液に添加し、植物由来シリカ溶液を調製することと、前記植物由来シリカ溶液に臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を添加し、原料混合溶液を得ることと、前記原料混合溶液を水熱合成し、前記植物由来シリカ源からのシリカと前記臭化セチルトリメチルアンモニウムとからなる反応物を析出させることと、前記反応物を焼成し、前記臭化セチルトリメチルアンモニウムを除去することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記植物由来シリカ溶液を調製することは、前記植物由来シリカ源が添加されたアルカリ溶液を65℃以上75℃以下の温度範囲で還流することを包含してもよい。
前記原料混合溶液を得ることは、前記植物由来シリカ溶液中の前記植物由来シリカに対する前記臭化セチルトリメチルアンモニウムの質量比が0.1以上0.4以下の範囲となるよう、前記臭化セチルトリメチルアンモニウムを添加してもよい。
前記水熱合成することは、前記反応物に酸を添加し、洗浄、乾燥させることを包含してもよい。
前記反応物を焼成することは、前記反応物を、200℃以上800℃以下の温度範囲で2時間以上24時間以下の時間、焼成してもよい。
前記反応物を焼成することによって得られた焼成物と、式3または式4で表されるキレート化合物とを混合することをさらに包含してもよい。

ここで、Lは、2価の基であり、R1およびRは、同一または別異の、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、ハロゲン原子、および、シアノ基からなる群から選択され、R2およびR3は、同一または別異の炭素数1~5のアルキル基であり、R4は、炭素数1~5のアルキル基であり、nは1以上3以下の自然数である。
前記混合することは、前記焼成物に対する前記キレート化合物の質量比が0.1以上0.5以下となるよう、前記キレート化合物を混合してもよい。
前記混合することに続いて、前記混合後の生成物を洗浄し、乾燥することをさらに包含してもよい。
植物由来シリカ溶液を調製することに先立って、前記植物由来シリカ源を調製することをさらに包含し、前記調製することは、前記もみ殻を洗浄し、乾燥することと、前記乾燥したもみ殻を0.5Mより大きく1.5M以下の範囲の濃度の酸で処理し、75℃以上85℃以下の温度範囲で1時間以上10時間以下の時間還流することと、前記酸を洗浄し、5時間以上10時間以下の時間、80℃以上110℃以下の温度範囲で乾燥することと、前記乾燥されたもみ殻を、600℃以上800℃以下の温度範囲で、5時間以上12時間以下の時間焼成し、脱炭酸することとをさらに包含してもよい。
本発明による被験水溶液からウランを抽出する方法は、上記ウラン吸着材と、前記被験水溶液とを接触させ、前記被験水溶液中のウランを吸着させることを包含し、これにより上記課題を解決する。
本発明によるウラン含有鉱石からウランを回収する方法は、前記ウラン含有鉱石を塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される酸溶液に添加し、前記ウラン含有溶液を調製することと、上記ウラン吸着材と前記ウラン含有溶液とを接触させ、前記ウラン吸着材に前記ウラン含有溶液中のウランを吸着させることと、前記ウラン含有溶液からウランが抽出された処理水を排出することと、前記ウランが吸着したウラン吸着材を硫酸、塩酸および硝酸からなる群から選択される酸と接触させ、吸着したウランを遊離することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記ウラン含有溶液のpHは、3以上6.5以下の範囲であってもよい。
前記酸溶液に加えて、過酸化水素をさらに添加してもよい。
本発明のウラン吸着材は、六方晶構造を有するポーラスシリカからなる粒子の凝集体を備える。ポーラスシリカは、ミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を備えた階層構造を有し、250m/g以上300m/g以下の範囲のBET法比表面積を有し、0.3cm/g以上0.5cm/g以下の範囲の細孔容積を有する。これにより、本発明のウラン吸着材は、ウランを選択的に吸着または遊離できるので、人体の健康維持や環境の浄化に有利である。本発明のウラン吸着材はカラムの充填材として適用できる。
本発明のウラン吸着材を示す模式図 本発明の別のウラン吸着材を示す模式図 キレート化合物が修飾した本発明のウラン吸着材を用いた吸着メカニズムを示す模式図 キレート化合物が修飾した本発明のウラン吸着材を用いた吸着メカニズムを示す模式図 本発明の別のウラン吸着材を製造する工程を示すフローチャート 本発明のウラン吸着材を用いたウラン吸着カラムを示す模式図 本発明のウラン吸着材を用い被験水溶液からウランを吸着する工程を示すフローチャート 本発明のウラン吸着材を用い、ウラン含有鉱石からウランを抽出し、回収する工程を示すフローチャート AGRからのウラン浸出の各種条件依存性を示す図 例1および例2の試料のSEM像を示す図 例2の試料のHRTEM像を示す図 例1および例2の試料のXRDパターンおよび窒素吸脱着等温線を示す図 例1および例2の試料のTG-DTA曲線を示す図 例1および例2の試料のFTIRスペクトルを示す図 ウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験後の例2の試料のXRDパターン(A)および窒素吸脱着等温線(B)を示す図 ウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験後の例2の試料のFTIRスペクトルを示す図 例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図 例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図 バッチ方式によってウランが吸着した例1および例2の試料を用いた遊離(脱離)試験の結果を示す図 例1および例2の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図 例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着脱着繰り返し試験の結果を示す図 例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたカラム方式ウラン吸着試験の結果を示す図 カラム方式によってウランが吸着した例1および例2の試料を用いた遊離(脱離)試験の結果を示す図 例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたカラム方式ウラン吸着脱着繰り返し試験の結果を示す図 例2の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図 例1および例2の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式およびカラム方式のウラン吸着脱着試験の結果を示す図 例1~例6の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式のウラン吸着試験の結果を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の符号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明のウラン吸着材を示す模式図である。
本発明のウラン吸着材は、六方晶構造を有するポーラスシリカ110からなる粒子の凝集体100を備える。凝集体100は、ミクロ細孔(細孔径:0.5nm以上2nm未満)、メソ細孔(細孔径:2nm以上50nm未満)およびマクロ細孔(細孔径:50nm以上10μm以下)を備えた階層構造を有する。このような種々のサイズの細孔を有することにより、階層的な構造となり、ウランの取り込み、拡散、吸着を促進できる。本願発明者らは、特に、凝集体100が、250m/g以上300m/g以下の範囲のBET法比表面積を有し、0.3cm/g以上0.5cm/g以下の範囲の細孔容積を有しており、メソ細孔やチャネルにウランを選択的に吸着または遊離し、ウラン吸着材として機能することを見出した。さらに、本発明のウラン吸着材を構成する凝集体100の表面は、粒子間に複数の溝120を有しており、溝を介してメソ細孔やチャネルにウランを選択的に吸着・遊離できる。
本発明において対象とするウラン(U)は、天然に存在するものの他に、炉内で核反応により生成するものいずれであってもよい。天然に存在するウランは、3つの主要な同位体からなる。238U(99.28%天然存在比)、235U(0.71%)、234U(0.0054%)である。同位体はいずれも放射性であり、娘核種もまた放射性同位体である。ウランは、核燃料および重大事故で発生する溶融デブリの中では最も重要で支配的な核種である。すなわち、その半減期が長く、α線放出核種で放射能毒性も高く、さらに長期的な廃棄物処分の安全性評価では、放射能とともに発熱も問題視される核種である。
また、被処理対象(例えば被験液とも呼ぶ)中で、ウラン種は、U(III)、U(IV)、U(V)、U(VI)の4種類の酸化状態をとる。それぞれU3+、U4+、UO 、UO 2+として通常は水和物の形で存在し、これらのいずれであってもよい。以降では、同位体および各種酸化状態のイオンを含めて、簡単のため、単にウランと称する。
ポーラスシリカの粒子が六方晶構造を有することは、粉末X線回折測定による回折パターンから分かる。
凝集体100が、ミクロ細孔(0.5nm以上2nm未満の径)、メソ細孔(2nm以上50nm未満の径)およびマクロ細孔(50nm以上10μm以下の径)を有することは、窒素吸脱着等温線に基づくNLDFT法(Non-Local Density Functional Theory ;非局在密度汎関数法)によって判定できる。簡易的には、吸脱着等温線がIUPACのI型と、II型またはIII型と、IV型またはV型との混合状態であればよい。本願明細書では、凝集体がミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を有することを、階層構造を有するという。
凝集体100において、2nm以上50nm未満のメソ細孔は、主にウランを吸着し、保持する空間として機能するが、好ましくは、メソ細孔の細孔容積が、0.4383cm/g以上0.358cm/g以下の範囲を有する。メソ細孔は、ウランに対する活性サイトとなり、ウランの補足を促進し得、ウランを効率的に吸着できる。
粒子は好ましくは風船状の球体であり、内部が空洞であり得る。粒子は、好ましくは、0.5μm以上2.5μm以下の範囲のメジアン径(d50)を有し、集合体100は、1μm以上200μm以下の直径を有し得る。粒子は、さらに好ましくは、粒子は、1.5μm以上2.5μm以下の範囲の大きさを有する。
図2は、本発明の別のウラン吸着材を示す模式図である。
図3は、キレート化合物が修飾した本発明のウラン吸着材を用いた吸着メカニズムを示す模式図である。
本発明のウラン吸着材は、好ましくは、ポーラスシリカの表面および細孔が1式または2式で表されるキレート化合物210で修飾された粒子の凝集体200を備えてよい。
ここで、Lは、2価の基であり、「・」はラジカルを表し、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、ハロゲン原子、および、シアノ基からなる群から選択され、R2およびR3は、同一または別異の炭素数1~5のアルキル基であり、R4は、炭素数1~5のアルキル基であり、nは1以上3以下の自然数であり、*はポーラスシリカとの結合部位を表す。
図3に示すように、このようなキレート化合物210におけるホスホリル基の有するR2およびR3、あるいは、カルボキシル基が有するR4が、ウランを選択的に吸着・遊離できる。詳細には、R2~R4が、ウランを取り囲むようにして保持する。この結果、図2に示すウラン吸着材は、図1に示すウラン吸着材に比べてより多くウランを吸着できる。
なお、図3(A)は、本発明のウラン吸着材をバッチ方式に採用した際のウランの吸着の模式的な様子を示し、図3(B)は、本発明のウラン吸着材をカラム方式に採用した際のウランの吸着の模式的な様子を示す。
Lは、2価の基としては特に制限されないが、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基(炭素数1~10個が好ましい)、シクロアルキレン基(炭素数3~10個が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~10個が好ましい)、アルキニレン基(炭素数2~10個が好ましい)、及び、これらの組み合わせ、並びに、上記と-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、および、-NR-(Rは水素原子又は1価の有機基を表す)との組み合わせ等が挙げられる。
中でも、Lは、好ましくは、炭素数1~10のアルキレン基である。これにより、ポーラスシリカへのキレート化合物210の修飾が促進する。さらに好ましくは、炭素数1~5のアルキレン基である。これにより、ポーラスシリカにより多くのキレート化合物210を修飾させることができるので、より多くのウランを吸着できる。なおさらに好ましくは、炭素数2~4のアルキレン基である。
nは、1~3の自然数であれば特に制限はないが、好ましくは、nは2または3である。これにより、ポーラスシリカに化合物210を強固に修飾させることができる。
R1は、好ましくは、炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。これにより、ポーラスシリカへの化合物210の修飾が促進する。
R2およびR3は、同一であっても異なっていてもよいが、製造効率の観点からは同一が好ましい。R2およびR3は、好ましくは、炭素数1~3のアルキル基である。アルキル鎖を短くすることにより、ウランを選択的に取り込みやすくなる。R2およびR3は、実験的には、メチル基またはエチル基の場合に特にウランを選択的に吸着することが確認されている。
R4は、好ましくは、炭素数1~3のアルキル基である。アルキル鎖を短くすることにより、ウランを選択的に取り込みやすくなる。R4は、実験的には、メチル基またはエチル基の場合に特にウランを選択的に吸着することが確認されている。
L、R1~R4の組み合わせ、および、nについては、上記から任意に設定できるが、好ましくは、Lは炭素数2~4のアルキレン基であり、R1~R4は、同一または別異の炭素数1~3のアルキル基であり、nは2または3である。
このようなキレート化合物210としては例示的には以下のものが挙げられる。これらはポーラスシリカへの修飾が容易であり、ウランを選択的に吸着できる。
キレート化合物210が修飾されている場合、凝集体200は、好ましくは、250m/g以上270m/g以下の範囲のBET法比表面積を有し、0.3cm/g以上0.4cm/g以下の範囲の細孔容積を有する。キレート化合物210が修飾されることによって、比表面積および細孔容積はわずかながら減少するが、キレート化合物210それ自身によるウランの吸着能により、ウランの吸着効率は向上し得る。
本発明のウラン吸着材は、好ましくは、ポーラスシリカに対するキレート化合物の質量比が0.1以上0.5以下の範囲を満たす。これにより、上記比表面積および細孔容積を維持しつつ、ウランを効率的に吸着できる。
本発明のウラン吸着材は、より好ましくは、ポーラスシリカに対するキレート化合物の質量比が0.15以上0.25以下の範囲を満たす。これにより、上記比表面積および細孔容積を維持しつつ、ウランをより効率的に吸着できる。
キレート化合物210で修飾された本発明のウラン吸着材において、好ましくは、ポーラスシリカは、少なくとも、ケイ素(Si)、酸素(O)、炭素(C)およびリン(P)を含有し、合計を100質量%としたとき、それぞれの元素の質量パーセント濃度は、
45≦Si≦55
40≦O≦45
3≦C≦7、および、
1≦P≦3
を満たす。これにより、ウランをより効率的に吸着できる。
キレート化合物210で修飾された本発明のウラン吸着材において、より好ましくは、それぞれの元素の質量パーセント濃度が、
47≦Si≦50
42≦O≦45
3≦C≦5、および、
1≦P≦2
を満たす。これにより、ウランをより効率的に吸着できる。
キレート化合物210で修飾された本発明のウラン吸着材において、ポーラスシリカは、上記元素に加えて第1族元素または第2族元素をさらに含有してもよい。この場合も、合計を100質量%としたときの含有量は、2.5質量%以上5質量%以下を満たせばよい。第1族元素または第2族元素の中でも、ナトリウムおよびカリウムが好ましい。これらの元素であれば、ウランの吸着効率を低減させない。
次に図1に示す本発明のウラン吸着材を製造する方法について説明する。
図4は、本発明のウラン吸着材を製造する工程を示すフローチャートである。
本発明の製造方法はゾルゲル法を用いる。各工程について説明する。
ステップS410:もみ殻から得られた植物由来シリカ源をアルカリ溶液に添加し、植物由来シリカ溶液を調製する。植物由来シリカ溶液はゾルゲル溶液と呼んでもよい。これにより植物由来シリカ源は、加水分解され、シラノールが形成される。本発明ではもみ殻から得られた植物由来シリカ源を使用することにより、特異な構造、性状および特性を有するウラン吸着材を製造できるため、低コストであり、環境にやさしい。
アルカリ溶液は、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等)の水酸化物やテトラアルキルアンモニウムの水酸化物、あるいは、アルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ユーロピウム等)の水酸化物の強アルカリであってよい。溶媒には、水、エタノール、メタノール等のアルコールを用いてよい。
ステップS410の植物由来シリカ溶液を調製するステップに先立って、植物由来シリカ源をもみ殻から調製してもよい。詳細には、もみ殻を洗浄し、乾燥(例えば、100℃)する。乾燥したもみ殻を酸(例えば、0.5Mより大きく1.5M以下の塩酸)で処理し、75℃以上85℃以下の温度範囲で1時間以上10時間以下の時間還流する。冷却後、酸を洗浄し、5時間以上10時間以下の時間、乾燥(例えば、80℃以上110℃以下)する。その後、焼成(例えば、600℃以上800℃以下の時間、5時間以上12時間以下)によって、脱炭酸され、植物由来シリカ源が得られる。
ステップS410において、植物由来シリカ溶液を調製することは、植物由来シリカ源が添加されたアルカリ溶液を65℃以上75℃以下の温度範囲で還流してよい。これにより、加水分解が促進する。
ステップS420:植物由来シリカ溶液に臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を添加し、原料混合溶液を得る。原料混合溶液は、植物由来シリカ溶液と比較して十分粘度が高く、湿潤ゾルと呼んでもよい。これにより、形成されたシラノールが縮重合によってシロキサン結合が形成される。さらに、シロキサン結合は、CTABの界面活性剤によって秩序的な階層構造を有した球形に再構築される。CTABを用いることにより、最終的に得られるポーラスシリカは六方晶構造を有する。
ステップS420において、好ましくは、植物由来シリカ溶液中の植物由来シリカに対するCTABの質量比が0.1以上0.4以下の範囲を満たす。これにより、階層構造を有する球形への再構築が促進する。
ステップS430:原料混合溶液を水熱合成する。これにより植物由来シリカ源からのシリカとCTABとからなる反応物が析出する。水熱合成は、オートクレーブ等の密閉容器中で原料混合溶液を高温高圧の熱水の存在下で行われる反応である。例示的には、水熱合成は、100℃以上150℃以下の温度範囲で1時間以上24時間以下の範囲で行われる。
ステップS430の水熱合成は、好ましくは、水熱合成後の反応溶液に酸を添加し、中性にしてよい。酸には、塩酸、硫酸、硝酸等を用いてよい。また、得られた反応物を洗浄し、乾燥させてよい。
ステップS440:ステップS430で得られた反応物を焼成し、CTABを除去する。これにより、CTABが除去され、秩序的な階層構造を維持した球状のシリカが得られる。焼成は、CTABが除去される条件であれば、特に制限はないが、好ましくは、200℃以上800℃以下の温度範囲で2時間以上24時間以下の時間、焼成する。これにより、CTABが除去される。さらに好ましくは、焼成は、450℃以上650℃以下の温度範囲で6時間以上10時間以下の時間、焼成する。このようにして、図1に示すポーラスシリカからなる粒子が凝集した、ミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を備えた階層構造を有する凝集体からなるウラン吸着材が得られる。
次に図2に示す本発明の別のウラン吸着材を製造する方法について説明する。
図5は、本発明の別のウラン吸着材を製造する工程を示すフローチャートである。
別のウラン吸着材は、図4のステップS440に続いて行われる。
ステップS510:ステップS440で得られた焼成物と、式3または式4で表されるキレート化合物とを混合する。これによりポーラスシリカの表面や細孔にシラノール基を形成し、キレート化合物が修飾される。
Lは、2価の基であり、R1およびRは、同一または別異の、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、ハロゲン原子、および、シアノ基からなる群から選択され、R2およびR3は、同一または別異の炭素数1~5のアルキル基であり、R4は、炭素数1~5のアルキル基であり、nは1以上3以下の自然数である。Rは、好ましくは、炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。これにより、ポーラスシリカへの化合物210の修飾が促進する。L、R1~R4、nについては上述した通りであるため説明を省略する。
L、RおよびR1~R4の組み合わせ、および、nについては、上記から任意に設定できるが、好ましくは、Lは炭素数2~4のアルキレン基であり、RおよびR1~R4は、同一または別異の炭素数1~3のアルキル基であり、nは2または3である。
このようなキレート化合物としては例示的には以下のものが挙げられる。これらはポーラスシリカへの修飾が容易であり、ウランを選択的に吸着できる。
ステップS510において、焼成物(すなわち、図1で示すポーラスシリカ)に対するキレート化合物の質量比は、好ましくは、0.1以上0.5以下満たす。これにより、キレート化合物は、焼成物の比表面積および細孔容積を維持しつつ、表面や細孔へ修飾し得る。
ステップS510において、キレート化合物を直接添加してもよいが、例えば、トルエンやヘキサン等の非プロトン性提供性溶媒と混合し、溶解させてもよい。また、混合は、室温(20~30℃)以上50℃以下の温度範囲で1時間以上24時間の間攪拌すればよい。
ステップS520:混合後の生成物を洗浄、乾燥する。洗浄は、エタノール等のアルコールと水とを用いて複数回行ってよい。これにより、未反応のキレート化合物を除去できる。乾燥は、50℃以上100℃以下の温度範囲で1時間以上24時間以下の間行えばよい。このようにして、図2に示す表面や細孔が修飾されたポーラスシリカからなるウラン吸着材が得られる。
次に、本発明のウラン吸着剤を用いた用途について説明する。本発明のウラン吸着材は、バッチ方式、カラム方式のいずれにも採用できる。ここでは、カラム方式に採用した場合を説明する。
図6は、本発明のウラン吸着材を用いたウラン吸着カラムを示す模式図である。
本発明のウラン吸着カラム600は、吸着材610を有する。吸着材610は、図1および図2を参照して説明した本発明のウラン吸着材100、200である。吸着材610は、容器(図示せず)に充填されている。
また、ウラン吸着カラム600は、図6に示すように、トップフィルター620、ボトムフィルター630、および、カラム接続部640、650をさらに有していてもよい。ウラン吸着カラム600は、トップフィルター620側とボトムフィルター630側にそれぞれ開口を有しており、一方の開口から他方の開口へとウランを含有する溶液(ウラン含有溶液)を通液することで、ウラン含有溶液がウラン吸着材610に接触する。これにより、ウラン含有溶液中のウランが吸着される。なお、吸着カラムを吸着塔と呼んでもよい。
トップフィルター620は、ウラン吸着材610が通液の際に液中で飛散することを防ぐ。また、ボトムフィルター630は、ウラン吸着材610が容器(図示せず)から流出することを防ぐ。カラム接続部640、650は、浄化システムの配管など、ウラン吸着カラム600に通液する液体を供給または排出するための配管と接続する機能をもつ。
次に、図6のウラン吸着カラム600を用い、被験水溶液からウランを抽出する方法を説明する。
図7は、本発明のウラン吸着材を用い被験水溶液からウランを吸着する工程を示すフローチャートである。
ステップS710:ウラン吸着材と被験水溶液とを接触させる。例えば、図6のウラン吸着カラム600において、被験水溶液を、カラム接続部640、650およびトップフィルター620を介して通液する。被験水溶液がウランを含有していれば、被験水溶液中のウランがウラン吸着材に選択的に吸着される。
好ましくは、被験水溶液のpHを3以上6.5以下となるように調整するとよい。pHの調整には、公知の酸や塩基を使用してよい。pHの調整により、ウランの吸着が促進する。より好ましくは、被験水溶液のpHを3以上5以下となるように調整するとよい。これにより、[(UO(OH)+2や[(UO(OH)+2等の不溶で安定な水酸化物の生成が抑制され、ウラン吸着材の活性サイトの減少が低減する。
好ましくは、ステップS710における接触時間は、30分以上である。これにより、ウランの吸着が促進する。上限は特にないが、60分であってよい。これ以上接触させても、吸着量に変化は見られない。また、攪拌しながら接触させるとよい。
図示しないが、ステップS710に続いて、被験水溶液からウランが抽出された処理水を排出する。例えば、図6のウラン吸着カラム600において、処理水を、ボトムフィルター630を介して排出すればよい。
ウランが吸着したウラン吸着材は、硫酸、塩酸、硝酸等の酸と接触させることにより、吸着したウランを遊離させることができる。これにより、ウラン吸着材は再利用可能となる。遊離効率の観点から硫酸が好ましい。
好ましくは、ウランが吸着したウラン吸着材に濃度0.005M以上0.5M以下の硫酸等の酸を20分以上120分以下接触させればよい。これにより、吸着したウランを遊離させることができる。さらに好ましくは、ウランが吸着したウラン吸着材に濃度0.1M以上0.3M以下の硫酸等の酸を45分以上60分以下接触させればよい。これにより、吸着したウランを効率的に遊離させることができる。
図8は、本発明のウラン吸着材を用い、ウラン含有鉱石からウランを抽出し、回収する工程を示すフローチャートである。
ステップS810:ウラン含有鉱石を塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される酸溶液に添加し、ウラン含有溶液(ウランを含有する溶液)を調製する。これにより、ウラン含有量が低い鉱石であっても、ウラン含有鉱石中のウランを水和物の形で存在させることができる(ウランの浸出とも呼ぶ)。酸溶液中の酸の濃度(M)は、好ましくは、0.25M以上0.75M以下の範囲を満たす。この範囲であれば、ウランを効果的に浸出させることができる。
好ましくは、選択された酸溶液に加えて過酸化水素を添加する。これにより、ウラン含有鉱石中の、特に内部に存在するウランをより効率的に水和物にできる。過酸化水素は、酸溶液に対して4v/v%以上8v/v%以下添加するとよい。4v/v%以上であれば、ウランの浸出を促進し、8v/v%を超えても効果に大きな変化はない。
ウラン含有溶液の調製において、ウラン含有鉱石と酸とを混合し、攪拌すればよいが、好ましくは、40分以上120分以下の時間攪拌するとよい。これにより浸出効率が増大する。さらに好ましくは、攪拌において、加熱すると浸出効率が増大し、加熱温度は50℃以上70℃以下の温度範囲が好ましい。
ステップS820:ウラン吸着材とウラン含有溶液とを接触させる。例えば、図6のウラン吸着カラム600において、ウラン含有溶液を、カラム接続部640、650およびトップフィルター620を介して通液する。
好ましくは、ウラン含有溶液のpHを3以上6.5以下となるように調整するとよい。pHの調整には、公知の酸や塩基を使用してよい。pHの調整により、ウランの吸着が促進する。より好ましくは、ウラン含有溶液のpHを3以上5以下となるように調整するとよい。これにより、[(UO(OH)+2や[(UO(OH)+2等の不溶で安定な水酸化物の生成が抑制され、ウラン吸着材の活性サイトの減少が低減する。
好ましくは、ステップS820における接触時間は、30分以上である。これにより、ウランの吸着が促進する。上限は特にないが、60分であってよい。これ以上接触させても、吸着量に変化は見られない。また、攪拌しながら接触させるとよい。このようにして、本発明のウラン吸着材を用いれば、ウラン含有鉱石から抽出したウランを吸着できる。
ステップS830:ウラン含有溶液からウランが抽出された処理水を排出する。例えば、図6のウラン吸着カラム600において、処理水を、ボトムフィルター630を介して排出すればよい。
ステップS840:ウランが吸着したウラン吸着材を硫酸、塩酸および硝酸からなる群から選択される酸と接触させ、吸着したウランを遊離する。これにより、ウラン吸着材は再利用可能となる。遊離効率の観点から硫酸が好ましい。
好ましくは、ウランが吸着したウラン吸着材に濃度0.005M以上0.5M以下の硫酸等の酸を20分以上120分以下接触させればよい。これにより、吸着したウランを遊離させることができる。さらに好ましくは、ウランが吸着したウラン吸着材に濃度0.1M以上0.3M以下の硫酸等の酸を45分以上60分以下接触させればよい。これにより、吸着したウランを効率的に遊離させることができる。
次に、具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[植物由来シリカ源の調製]
もみ殻(エジプトのアルシャルキヤで収集)を水道水で洗浄し、不純物を除去した後、100℃で乾燥させた。次いで、乾燥させたもみ殻を1Mの塩酸(HCl)中、80℃で5時間還流させた。冷却後、塩酸処理したもみ殻をろ過し、残渣をミリQ水で洗浄し、酸を除去した。その後、残渣を100℃で一昼夜乾燥させた。乾燥体を700℃で8時間焼成し、白色の植物由来シリカ源を得た。
[評価に使用した装置等]
試料のモルフォロジをエネルギー分散型X線分析装置(EDX、日本電子株式会社製、JED-2300)を備えた電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM、日本電子株式会社製、JSM-6500F)を用いて観察し、元素分析をした。観察時の加速電圧は20kVであった。電子顕微鏡(日本電子株式会社製、2000EX II)を用いて、試料の高解像度透過型電子顕微鏡像(HRTEM)を撮影した。観察時の加速電圧は200kVであった。
18-kW回折計を用いて小角および広角X線回折(Bruker製、D8 Advance)を測定し、試料を同定した。全自動ガス吸着装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、BELSORP36)を用いて試料の窒素吸脱着等温線(77K)を測定した。等温線から細孔径、細孔容積およびBET法による比表面積を求めた。示差熱・熱重量同時測定装置(株式会社島津製作所製、TG-60)を用いて熱重量示差熱分析(TG-DTA)を行った。フーリエ変換赤外分光高度計(FTIR、株式会社島津製作所製、FTIR Prestage-21)を用いて、赤外領域の吸収スペクトルを調べた。
Perkin Elmer lambda 3bダブルビームUV可視プログラム可能分光光度計を備えた誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS、Perkin Elmer製、Elan-6000)を用いて、ウラン吸着前後のウラン量を測定した。高純度ゲルマニウム(HPGe) EG&G オルテックモデル装置(GMX60P4)を用いて放射能危険値を評価した。
[ウラン吸着脱離試験]
ウラン吸脱着試験は、カラム式およびバッチ式で行った。
使用するガラスを5%硝酸およびミリQ水で洗浄した。すべての試験は3回行った。
カラム式は次のように行った。固定垂直ガラスカラム(長さ12.5cm、直径1.0cm)にプラスチックネットとポリエチレンウールとを置き、その上にウラン吸着材を配置させた。カラムを用いて、被験液の流量の影響、ウラン吸着材の用量、ウラン濃度について調べた。吸着前後のウラン量をICP-MSにより測定した。
吸着量(q、mg/g)と吸着効率(Ads.%)とは以下の式から算出した。
=(C-C)(V/w) (1)
Ads.%={(C-C)/C}×100 (2)
ここで、CおよびCは初期および平衡時の濃度[U(VI)、mg/L]であり、Vは被験液の体積(L)であり、wはウラン吸着材の質量(g)でありる。
次いで、ウランが吸着したウラン吸着材が充填されたカラムに硫酸を流し、ウランの脱離(遊離)を行った。遊離効率(E.%)は、E.%=(C/C)×100の式を用いて算出した。ここで、CおよびCは、遊離したウラン濃度および吸着したウラン濃度である。
バッチ式は次のように行った。被験液(後述するウラン標準溶液)20mLとウラン吸着材20mgとを攪拌しながら混合した。ウラン標準溶液中のウラン濃度およびpH、混合時間、ならびに、混合温度を変化させ、ウラン吸着量および吸着効率を調べた。カラム式と同様に、ウランが吸着したウラン吸着材に硫酸を流し、ウランの脱離を行った。ウラン吸着量、吸着効率および遊離効率の算出は、上述したとおりであるため説明を省略する。
[被験液]
ウラン吸脱着試験に用いる被験液として種々の濃度のウラン標準溶液を用いた。
さらに、ウラン吸脱着試験に用いる被験液としてウラン含有鉱石からウランが浸出したウラン含有溶液を次のようにして調製した。
花崗岩(AGR)をエジプトの南東砂漠に位置するGabal El-Selaから採取し、200メッシュ(約0.075mm)まで粉砕した。AGRの元素分析および酸化物量を測定した。結果を表1に示す。表1中の“REE”は希土類元素を示す。さらに、HPGe分光計を用いた測定によれば、AGRは、3445.5Bq/Kgの238U同位体を含有することが分かった。
粉砕したAGR1gを、種々の温度、種々の時間、硫酸、塩酸および硝酸それぞれの酸溶液(0.1M~2M)に添加・攪拌し、ウランを浸出させた。酸溶液には、必要に応じて、酸化剤として0~15v/v%過酸化水素も添加した。酸溶液の違いによる浸出効率(L%)を次の式から算出した。これらの結果を図9に示す。
L%=(C/C)×100 (3)
ここで、C(Bq/Kg)およびC(Bq/Kg)は、平衡状態と初期状態とにおける酸溶液中のウラン濃度である。
図9は、AGRからのウラン浸出の各種条件依存性を示す図である。
図9(A)は、浸出効率の酸の種類依存性を示す。いずれも、AGR1gを各種酸(0.5M)に添加し、室温(25℃±2)で30分間攪拌させた結果である。図9(A)によれば、いずれの酸を用いてもウランの浸出を確認できたが、塩酸、硝酸、硫酸の順で浸出効率は増大した。このことからウラン含有鉱石からウランを浸出させる際に用いる酸として、硫酸の使用が有効であることが示された。
図9(B)は、浸出効率の酸濃度依存性を示す。いずれも、AGR1gを種々の濃度の硫酸(0.1M~2.0M)に添加し、室温(25℃±2)で30分間攪拌させた結果である。図9(B)によれば、酸濃度に関わらず、60%以上の高い浸出効率を示したが、特に、0.25M以上0.75M以下の範囲であれば65%以上の高い浸出効率となることが分かった。
図9(B)の挿入図は、浸出効率の過酸化水素量依存性を示す図である。いずれも、AGR1gを硫酸(0.5M)に添加し、これに種々の体積の過酸化水素をさらに添加し、室温(25℃±2)で30分間攪拌させた結果である。
挿入図によれば、4v/v%以上過酸化水素を添加することによって、浸出効率が増大することが示された。上限は特にないと言えるが、8v/v%以下であれば、十分であった。
図9(C)は、浸出効率の時間依存性を示す。いずれも、AGR1gを硫酸(0.5M)に添加し、室温(25℃±2)で30分間攪拌させた結果である。図9(C)によれば、時間に関わらず、50%以上の浸出効率を示したが、特に、40分以上120分以下の範囲であれば、75%以上の高い浸出効率となることが分かった。
図9(C)の挿入図は、酸溶液(mL)に対するウラン含有鉱石(g)の比依存性を示す。挿入図によれば、比(g/mL)が1/6以上1/3以下の範囲において、75%を超える高い侵出効率となることが分かった。
図9(D)は、浸出効率の温度依存性を示す。いずれも、AGR1gを硫酸(0.5M)に添加し、種々の温度(25℃~70℃)で30分間攪拌させた結果である。図9(D)によれば、温度に関わらず、80%以上の高い浸出効率を示したが、特に、50℃以上70℃以下の範囲であれば、95%以上の高い浸出効率となることが分かった。
以上の結果を踏まえて、例1および例2で使用するAGR含有鉱石を用いたウラン含有溶液は、AGR1gを4mLの硫酸(0.5M)および過酸化水素(5v/v%)に添加し、70℃±2に加熱し、120分攪拌させることによって調製した。このとき、ウラン含有鉱石から99.5%のウラン(3428Bq/Kg)が抽出された。
[例1]
例1では、植物由来シリカ源と界面活性剤として臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB、シグマアルドリッチ製)とを用い、ポーラスシリカからなるウラン吸着材を表2に示す条件で製造した。
植物由来シリカ源(5g)をアルカリ溶液として2.5Mの水酸化ナトリウム(50mL)に添加し、70℃で還流させ、溶解させ、植物由来シリカ溶液を調製した(図4のステップS410)。植物由来シリカ溶液をろ過し、沸騰させたミリQ水(10mL)で洗浄し、冷却した。これに臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB、1g、10mL)を添加し、原料混合溶液を得た(図4のステップS420)。原料混合溶液は、植物由来シリカ溶液と比べて粘度が高いゾルであった。
原料混合溶液を2時間攪拌し、テフロン(登録商標)製のオートクレーブに移し、水熱合成し、シリカとCTABとからなる反応物を析出させた(図4のステップS430)。水熱合成の条件は、昇温速度10℃/分で130℃まで昇温し、10時間保持であった。得られた反応溶液に50%硫酸を攪拌しながら滴下し、反応溶液のpHを8にした。得られた反応物を沸騰させたミリQ水で洗浄し、アルカリを除去し、70℃で12時間乾燥させた。
乾燥させた反応物を550℃で8時間焼成し、CTABを除去した(図4のステップS440)。このようにしてポーラスシリカを得た。このようにして得られた試料を例1の試料またはHOMと呼ぶ。
得られた例1の試料のSEM像、HRTEM像、元素分析、XRD回折、TG-DTA曲線、FTIRスペクトル、BET法比表面積および細孔容積の結果を、図10~図14および表4~表5に示す。
得られた例1の試料について、バッチ方式およびカラム方式を適宜採用し、ウランの吸着効率および遊離効率を測定した。また、ウラン吸着後の例1の試料のXRDパターンおよびFTIRスペクトルを測定した。これらの結果を図15~図27に示す。
[例2]
例2では、例1で得たポーラスシリカの表面および細孔に、表3で示すキレート化合物(2-ジエチルフォスフェートエチルトリエトキシシラン(DEPETS、Gelest Inc.製))を修飾した。
具体的には、ドライトルエンにDEPETS2gを溶解させ、これに例1のHOM1gを添加し、室温(25℃)で5時間攪拌した(図5のステップS510)。次いで、混合物をろ過し、無水エタノールおよびミリQ水で3回洗浄し、未反応のDETPETSを除去した。生成物をオーブンで70℃、12時間乾燥し、脱水させた(図5のステップS520)。このようにして得られた試料を例2の試料またはHOM-Mと呼ぶ。
例1の試料と同様に、例2の試料のSEM像、HRTEM像、元素分析、XRD回折、TG-DTA曲線、FTIRスペクトル、BET法比表面積および細孔容積の結果を、図10~図14および表4~表5に示す。
例1の試料と同様に、例2の試料について、バッチ方式およびカラム方式を適宜採用しウランの吸着効率および遊離効率を測定した。また、ウラン吸着後の例2の試料のXRDパターンおよびFTIRスペクトルを測定した。これらの結果を図15~図27に示す。
[例3~例6]
例3~例6では、例2と同様にして、例1で得たポーラスシリカの表面および細孔に、表3で示すキレート化合物を修飾し、ウランの吸着および遊離を確認した。このようにして得られた試料を例3~例6の試料またはHOM-M-3~HOM-M-6と呼ぶ。
以上の例1~例6の試料の合成条件を、簡単のため、表2および表3にまとめて示す。結果をまとめて説明する。
図10は、例1および例2の試料のSEM像を示す図である。
図10(A)のa、bおよびcは、それぞれ、もみ殻、例1および例2の試料のSEM像である。図10(B)のaは、例1の試料の別のSEM像であり、cおよびdは、例2の試料の別のSEM像である。
図10(A)のbおよびcによれば、例1および例2の試料は、マイクロメートルサイズの粒子の凝集体からなることが分かった。凝集体は、1μm以上200μm以下の大きさを有した。図10(B)によれば、粒子は、1.5μm以上2.5μm以下の範囲の大きさを有した。また、凝集体は、粒子間に複数の溝(グルーブ)を有した。例3~例6の試料も同様の様態を示した。
表4は、例1および例2の試料の元素分析の結果を示す。
表4によれば、キレート化合物で修飾した例2の試料は、ケイ素(Si)、酸素(O)、炭素(C)およびリン(P)を含有し、質量パーセント濃度で、
45≦Si≦55
40≦O≦45
3≦C≦7、および、
1≦P≦3
を満たすことが分かった。例3~例6の試料も同様の組成を有した。
図11は、例2の試料のHRTEM像を示す図である。
図11によれば、例2の試料は、風船のような球体からなる凝集体であり、球体間には溝を有した。例1、例3~例6の試料も同様の様態であった。
図12は、例1および例2の試料のXRDパターンおよび窒素吸脱着等温線を示す図である。
図12(A)によれば、例1および例2の試料は、1.8<2θ<3.0の範囲にブロードなピークを有し、それぞれ、4.02nmおよび3.94nmの面間隔d100を有した。図示しないが、広角XRDパターンによれば、2θ=30°に明瞭なピークを有し、六方晶構造を示した。図示しないが、例3~例6の試料も同様のXRDパターンを有した。
図12(B)によれば、窒素吸脱着等温線は、IUPACのI型、II型およびIV型の混合を示し、ミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を有することがわかった。メソ細孔の細孔容積がもっとも大きかった。これらの特徴は、例1および例2の試料がミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を備えた秩序的な階層構造を有していることを示唆する。図示しないが、例3~例6の試料も同様の窒素吸脱着等温線を示した。
表5は、例1および例2の試料のBET法比表面積および細孔容積を示す。
表5に示すように、表面にキレート化合物を修飾することによって、BET法比表面積および細孔容積のいずれも小さくなった。例2~例6の試料も、250m/g以上270m/g以下の範囲のBET法比表面積を有し、0.3cm/g以上0.4cm/g以下の範囲の細孔容積を有することを確認した。
図13は、例1および例2の試料のTG-DTA曲線を示す図である。
図13によれば、例1の試料は、90℃~320℃の間で1.03質量%の質量損失を示した。これは、残留する溶媒、水分子の蒸発、ならびに、CTAB界面活性剤に基づく。一方、例2の試料は、27℃~600℃の間で2段階にわたり合計5.54質量%の質量損失を示した。27℃~200℃の間の2.11質量%の第1の質量損失は、物理的に吸着した水やエタノール等の蒸発に基づく。200℃~600℃の間の3.43質量%の第2の質量損失は、CTAB、キレート化合物、シラノール等の有機基の分解に基づく。
例1および例2の試料の質量損失が小さいことから、例1および例2の試料は、高温の厳しい環境下における耐久性に優れていることが分かった。
図14は、例1および例2の試料のFTIRスペクトルを示す図である。
いずれのスペクトルにおいても、次に述べる特徴を示した。3470cm-1および1640cm-1におけるブロードなバンドは、シラノール基(Si-OH)および表面に物理的に吸着した水分子(H-O-H)による伸縮、逆対称伸縮、変角するOH基に基づく。2960cm-1近傍のバンドは、脂肪族C-Hに基づく。1096cm-1および799cm-1は、O-Si-Oの伸縮運動に基づき、1101cm-1のバンドは、Si-O-Siの対称および逆対称伸縮振動に基づく。
一方、例2の試料のFTIRスペクトルは、例1の試料のそれと異なり、1600cm-1および960cm-1に小さなバンドを有した。これらは、それぞれ、表面および細孔に修飾させたキレート化合物による変角HO-P=Oおよび伸縮P-Oに基づく。図示しないが、例3~例6の試料も同様のFTIRスペクトルを示した。
以上の結果から、例1~例6の試料は、六方晶構造を有するポーラスシリカからなる粒子の凝集体を備え、250m/g以上300m/g以下の範囲のBET法比表面積を有し、0.3cm/g以上0.5cm/g以下の範囲の細孔容積を有し、表面には粒子間に複数の溝を有することが示された。さらに、凝集体は、ミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を備えた階層構造を有することが示された。例2~例6の試料の表面および細孔は、特定のキレート化合物で修飾されていることが示された。
図15は、ウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験後の例2の試料のXRDパターン(A)および窒素吸脱着等温線(B)を示す図である。
図15には、吸着試験前の例1および例2の試料のXRDパターンおよび窒素吸脱着等温線を併せて示す。図15(A)によれば、吸着試験後の例2の試料も、吸着試験前の試料と同様のXRDパターンを示し、1.8<2θ<3.0の範囲にブロードなピークを有し、3.85nmの面間隔d100を有した。
図15(B)によれば、吸着試験後の例2の試料も、吸着試験前の試料と同様の窒素吸脱着等温線を示し、ウランを吸着後も構造上の特徴は壊れることなく安定であることが分かった。
吸着試験後の例2の試料のBET法比表面積および細孔容積は、それぞれ、264.1m/gおよび0.352cm/gであり、吸着試験前のそれに比べると、いずれもわずかに小さくなった。吸着試験前後の例2の試料の細孔径は、2.35nmおよび2.34nmであり、ウラン吸着によりわずかに減少した。
図16は、ウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験後の例2の試料のFTIRスペクトルを示す。
図16には、吸着試験前の例1および例2の試料のXFTIRスペクトルを併せて示す。図16によれば、吸着試験後の例2の試料のFTIRスペクトルは、図14を参照して説明したバンドに加えて、920cm-1にU=O伸縮結合および455cm-1にU-O結合のバンドを示した。
以上の結果より、例2の試料は、ウラン吸着材として機能することが分かり、吸着によっても化学的にも物理的にも安定していることが分かった。
図17は、例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図である。
図18は、例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図である。
図17(A)は、100ppmのウラン標準溶液20mLと例1および例2の試料20mgとを、25±2℃で30分間混合した際のウラン吸着量(吸着効率)のpH依存性を示す。pHの調整には、HClおよびNaOHを用いた。
図17(A)によれば、例1および例2の試料は、pH1以上でウランを吸着することが分かった。特に、いずれの試料も、pH3以上5以下の範囲で80%を超える高い吸着量を示した。ウランイオンは、UO 2+の形態で吸着されている。
図17(B)は、100ppm、pH3のウラン標準溶液20mLと例1および例2の試料20mgとを、25±2℃で混合した際のウラン吸着量の混合時間依存性を示す。図17(B)によれば、接触時間が30分以上において、いずれの試料も80%を超える高い吸着量を示した。
図17(C)は、100ppm、pH3のウラン標準溶液20mLと例1および例2の試料5mg~100mgとを、25±2℃で、30分間混合した際のウラン吸着量のドーズ量依存性を示す。
図17(C)によれば、試料の質量増加に伴いウラン吸着量の増加を示したが、20mgを超える試料を用いても、ウラン吸着量はそれ以上変化しなかった。これは、試料中の活性サイトが、[(UO(OH)+2や[(UO(OH)+2等の不溶で安定な水酸化物によって干渉されるためと考える。
図18(A)は、100ppm、pH3のウラン標準溶液20mLと例1および例2の試料20mgとを、種々の温度で30分間混合した際のウラン吸着量の温度依存性を示す。図18(A)によれば、例1の試料は、温度の上昇に伴いウラン吸着量の増大を示すが、いずれの試料も室温において85%を超える高いウラン吸着量を示した。
図18(B)は、吸着量qとウラン含有溶液中のウラン濃度Cとの関係を示す図である。図18(B)によれば、ウラン含有溶液中のウラン濃度が所定濃度を超えると、吸着量が飽和することが分かった。
さらに、図17および図18によれば、表面および細孔にキレート化合物を修飾させた例2の試料は、表面修飾のない例1の試料に比べて、高い吸着量および高い吸着効率を示し、優れたウラン吸着材料であることが分かった。
図19は、バッチ方式によってウランが吸着した例1および例2の試料を用いた遊離(脱離)試験の結果を示す図である。
図19(A)および図19(A-a)は、ウラン吸着試験後の例1および例2の試料0.1gを種々の濃度の硫酸20mLに添加し、25±2℃で30分間の間で接触させた結果である。
図19(A-a)によれば、0.005M以上の濃度を有する硫酸を用いれば、ウランを遊離させることができるが、図19(A)によれば、0.1M以上0.3M以下の濃度を有する硫酸を用いれば、効率的にウランを遊離させることができることが分かった。
図19(B)および図19(B-a)は、ウラン吸着試験後の例1および例2の試料0.1gを0.1Mの硫酸20mLに添加し、25±2℃で5分~150分間の間で接触させた結果である。
図19(B-a)によれば、20分以上の時間接触させれば、75%を超えるウランを遊離させることができるが、図19(B)によれば、45分以上60分以下の時間を用いれば、より効率的にウランを遊離させることができることが分かった。
この結果から、例1および例2の試料は、再利用可能なウラン吸着材であることが示された。
図20は、例1および例2の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図である。
図20によれば、例1および例2の試料は、Baイオン(Ba2+)やPbイオン(Pb2+)もわずかながら吸着するものの、ウランイオン(U4+)を選択的に吸着することが分かった。
図21は、例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着脱着繰り返し試験の結果を示す図である。
吸着条件は、100ppm、pH3のウラン標準溶液20mLと例1および例2の試料20mgとを、25±2℃で30分間混合させた。脱着条件は、0.1Mの硫酸20mLと例1および例2の試料0.1gとを、25±2℃で45分間混合させた。
図21によれば、例1および例2の試料のウラン吸着効率およびウラン遊離効率は、繰り返し回数の増大に伴い、わずかながら低下するものの、10回を超えてもなお高い効率を示した。
図22は、例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたカラム方式ウラン吸着試験の結果を示す図である。
図22(A)および(B)は、それぞれ、例1および例2の試料(1g)に100ppm、pH3のウラン標準溶液を種々の速度で通液した際のCeff/Cの通液量依存性を示す。Cは、ウラン標準溶液中の初期ウラン濃度であり、Ceffは、ウラン標準溶液から除去されたウラン濃度である。
図22(C)および(D)は、それぞれ、種々の用量の例1および例2の試料に100ppm、pH3のウラン標準溶液を2.5mL/分で通液した際のCeff/Cの通液量依存性を示す。図22(E)および(D)は、それぞれ、例1および例2の試料(1g)に、種々の濃度、pH3のウラン標準溶液を2.5mL/分で通液した際のCeff/Cの通液量依存性を示す。
図22によれば、例1および例2の試料をウラン吸着材のカラムに用いれば、被験液の通液量、被験液の通液速度、被験液中のウラン濃度、および、カラムに充填するドーズ量の調整によって、被験液中のウランをすべて吸着させることができることが示された。
図23は、カラム方式によってウランが吸着した例1および例2の試料を用いた遊離(脱離)試験の結果を示す図である。
図23は、ウラン吸着試験後の例1および例2の試料1gに種々の濃度の硫酸を0.5mL/分の通液速度で通液した際のウラン遊離濃度の通液量依存性を示す。図23によれば、0.1M以上0.3M以下の濃度を有する硫酸を用いれば、効率的にウランを遊離させることができることが分かった。
図24は、例1および例2の試料についてウラン標準溶液を用いたカラム方式ウラン吸着脱着繰り返し試験の結果を示す図である。
吸着条件は、例1および例2の試料(1g)に100ppm、pH3のウラン標準溶液1500mLを2.5mL/分の通液速度で通液させた。脱着条件は、例1および例2の試料(1g)に0.1Mの硫酸40mLを2.5mL/分の通液速度で通液させた。
図24によれば、例1および例2の試料のウラン吸着効率およびウラン遊離効率は、繰り返し回数の増大に伴い、わずかながら低下するものの、10回を超えてもなお高い効率を示した。
以上より、例1および例2の試料は、繰り返し利用可能なウランを選択的に吸着するウラン吸着材として機能することが示された。特に、キレート化合物で修飾することによって、より優れたウラン吸着材となることが示された。本発明によるウラン吸着材は、バッチ方式およびカラム方式のいずれにも適用できることが示された。
図25は、例2の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式ウラン吸着試験の結果を示す図である。
図25には、吸着試験後の例2の試料のγ線スペクトルが示される。図25によれば、例2の試料は、AGR含有鉱石から浸出した238Uの同位体種や他の放射性物質を吸着したことが分かる。また、カウント数は、ウラン吸着・除去の分野で使用するに匹敵する値であった。
図26は、例1および例2の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式およびカラム方式のウラン吸着脱着試験の結果を示す図である。
バッチ方式の吸着条件は、pH3のウラン含有溶液20mLと例1および例2の試料20mgとを、25±2℃で30分間混合させた。バッチ方式の脱着条件は、0.1Mの硫酸20mLと例1および例2の試料0.1gとを、25±2℃で45分間混合させた。カラム方式の吸着条件は、例1および例2の試料(1g)にpH3のウラン含有溶液1000mLを2.5mL/分の通液速度で通液させた。カラム方式の脱着条件は、例1および例2の試料(1g)に0.1Mの硫酸40mLを2.5mL/分の通液速度で通液させた。吸着試験後の例1および例2の試料をICP-MS分析した。
図26に示すように、本発明のウラン吸着材を使用すれば、カラム方式であってもバッチ方式であっても、実際の鉱物から浸出した238U同位体を、70%を超える高い吸着効率で吸着できることが示された。
図27は、例1~例6の試料についてAGR含有鉱石によるウラン含有溶液を用いたバッチ方式のウラン吸着試験の結果を示す図である。
バッチ方式の吸着条件は、pH3のウラン含有溶液20mLと例1~例6の試料20mgとを、25±2℃で30分間混合させた。図27には、図26に示した例1および例2の試料の結果も併せて示す。
図27によれば、いずれの試料もウランを吸着するウラン吸着材として機能することが分かった。特に、キレート化合物で修飾することによって、より優れたウラン吸着材となることが示された。上述した1式または2式で修飾するキレート化合物が有効であることが示された。
本発明のウラン吸着材は、ウランを選択的に吸着し、遊離できるため、ウランを除去・回収する各種装置、方法に適用される。
100、200 凝集体
110 ポーラスシリカ
120 溝
210 キレート化合物
600 ウラン吸着カラム
610 吸着材
620 トップフィルター
630 ボトムフィルター
640、650 カラム接続部

Claims (15)

  1. 六方晶構造を有するポーラスシリカからなる粒子の凝集体を備え、
    前記凝集体は、ミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ細孔を備えた階層構造を有し、
    前記凝集体は、250m/g以上300m/g以下の範囲のBET法比表面積を有し、0.3cm/g以上0.5cm/g以下の範囲の細孔容積を有し、
    前記凝集体の表面は前記粒子間に複数の溝を有し、
    ウランを選択的に吸着または遊離する、ウラン吸着材であって、
    前記ポーラスシリカの表面および細孔は、ホスホン酸2-トリエトキシシリル)エチルジメチルエステル(Phosphonic acid, [2-(triethoxysilyl) ethyl], dimethyl ester)、2-ジメトキシホスホリルエチルトリエトキシシラン(2-dimethoxy phosphorylethyl(triethoxy) silane)、ジメチル{2-[ジエトキシ(メチル)シリル]ホスホネート(Dimethyl{2-[diethoxy(methyl)silyl]phosphonate) 、および3-ジエトキシホスホリルプロピル(トリメチル)シラン(3-diethoxyphosphorylpropyl(trimethy)silane) からなる群から選ばれるキレート化合物で修飾されている、ウラン吸着材。
  2. 前記ポーラスシリカに対する前記キレート化合物の質量比は、0.1以上0.5以下の範囲である、請求項に記載のウラン吸着材。
  3. 前記ポーラスシリカに対する前記キレート化合物の質量比は、0.15以上0.25以下の範囲である、請求項に記載のウラン吸着材。
  4. 前記ポーラスシリカは、少なくとも、ケイ素(Si)、酸素(O)、炭素(C)およびリン(P)を含有し、合計を100質量%としたとき、それぞれの元素の質量パーセント濃度は、
    45≦Si≦55
    40≦O≦45
    3≦C≦7、および、
    1≦P≦3
    を満たす、請求項1~のいずれかに記載のウラン吸着材。
  5. 前記粒子は、0.5μm以上2.5μm以下の範囲のメジアン径(d50)を有する、
    請求項1~のいずれかに記載のウラン吸着材。
  6. もみ殻から得られた植物由来シリカ源をアルカリ溶液に添加し、植物由来シリカ溶液を調製することと、
    前記植物由来シリカ溶液に臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を添加し、原料混合溶液を得ることと、
    前記原料混合溶液を水熱合成し、前記植物由来シリカ源からのシリカと前記臭化セチルトリメチルアンモニウムとからなる反応物を析出させることと、
    前記反応物を焼成し、前記臭化セチルトリメチルアンモニウムを除去することによって得られた焼成物と、ホスホン酸2-トリエトキシシリル)エチルジメチルエステル(Phosphonic acid, [2-(triethoxysilyl) ethyl], dimethyl ester)、2-ジメトキシホスホリルエチルトリエトキシシラン(2-dimethoxy phosphorylethyl(triethoxy) silane)、ジメチル{2-[ジエトキシ(メチル)シリル]ホスホネート(Dimethyl{2-[diethoxy(methyl)silyl]phosphonate) 、および3-ジエトキシホスホリルプロピル(トリメチル)シラン(3-diethoxyphosphorylpropyl(trimethy)silane) からなる群から選ばれるキレート化合物とを混合すること、
    を包含する、請求項1~のいずれかに記載のウラン吸着材を製造する方法。
  7. 前記植物由来シリカ溶液を調製することは、前記植物由来シリカ源が添加されたアルカリ溶液を65℃以上75℃以下の温度範囲で還流することを包含する、請求項に記載の方法。
  8. 前記原料混合溶液を得ることは、前記植物由来シリカ溶液中の前記植物由来シリカに対する前記臭化セチルトリメチルアンモニウムの質量比が0.1以上0.4以下の範囲となるよう、前記臭化セチルトリメチルアンモニウムを添加する、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記水熱合成することは、前記反応物に酸を添加し、洗浄、乾燥させることを包含する、請求項6~8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記反応物を焼成することは、前記反応物を、200℃以上800℃以下の温度範囲で2時間以上24時間以下の時間、焼成する、請求項6~9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記混合することは、前記焼成物に対する前記キレート化合物の質量比が0.1以上0.5以下となるよう、前記キレート化合物を混合する、請求項6~10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記混合することに続いて、前記混合後の生成物を洗浄し、乾燥することをさらに包含する、請求項6~11のいずれかに記載の方法。
  13. 植物由来シリカ溶液を調製することに先立って、前記植物由来シリカ源を調製することをさらに包含し、前記調製することは、
    前記もみ殻を洗浄し、乾燥することと、
    前記乾燥したもみ殻を0.5Mより大きく1.5M以下の範囲の濃度の酸で処理し、75℃以上85℃以下の温度範囲で1時間以上10時間以下の時間還流することと、
    前記酸を洗浄し、5時間以上10時間以下の時間、80℃以上110℃以下の温度範囲で乾燥することと、
    前記乾燥されたもみ殻を、600℃以上800℃以下の温度範囲で、5時間以上12時間以下の時間焼成し、脱炭酸することと
    をさらに包含する、請求項6~12のいずれかに記載の方法。
  14. ウラン含有鉱石からウランを回収する方法であって、
    前記ウラン含有鉱石を塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される酸溶液に添加し、前記ウラン含有溶液を調製することと、
    請求項1~のいずれかに記載のウラン吸着材と前記ウラン含有溶液とを接触させ、前記ウラン吸着材に前記ウラン含有溶液中のウランを吸着させることと、
    前記ウラン含有溶液からウランが抽出された処理水を排出することと、
    前記ウランが吸着したウラン吸着材を硫酸、塩酸および硝酸からなる群から選択される酸と接触させ、吸着したウランを遊離すること共に、
    前記ウラン含有溶液のpHは、3以上6.5以下の範囲であり、
    前記酸溶液に加えて、過酸化水素をさらに添加すると共に、
    前記過酸化水素を前記酸溶液に添加した前記ウラン含有溶液の加熱温度は50℃以上70℃以下の温度範囲である、
    方法。
  15. 前記過酸化水素は前記酸溶液に対して4v/v%以上8v/v%以下添加される、
    請求項14に記載の方法。
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