本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本開示の実施の形態に係るエネルギーマネジメントシステムの概略的な構成を示す図である。図1を参照して、この実施の形態に係るエネルギーマネジメントシステムは、電力系統PGのエネルギーマネジメントを実行する。このエネルギーマネジメントシステムは、車群1と、EVSE群2と、サーバ300,700とを含む。EVSEは、車両用給電設備(Electric Vehicle Supply Equipment)を意味する。
電力系統PGは、送配電設備によって構築される電力網である。電力系統PGには、複数の発電所が接続されている。電力系統PGは、それらの発電所から電力の供給を受けている。車群1は、電力系統PGの調整力として動作可能な複数の電動車(xEV)を含む。EVSE群2は、電力系統PGから電力の供給を受ける複数のEVSEを含む。EVSE群2に含まれる各EVSEは、例えば通信線を介して通信ネットワークNWと接続されている。通信ネットワークNWは、例えばインターネットと無線基地局とによって構築される広域ネットワークである。
サーバ700は、電力系統PGのTSO(系統運用者)に帰属するコンピュータに相当する。サーバ300は、アグリゲータに帰属するコンピュータに相当する。サーバ300とサーバ700との各々は、例えば通信線を介して通信ネットワークNWと接続されている。サーバ300とサーバ700とは相互に通信可能に構成される。
サーバ300としては、プロセッサ310、RAM(Random Access Memory)320、および記憶装置330を備えるコンピュータを採用できる。サーバ300は時計機能を有する。サーバ300は、図示しないHMI(Human Machine Interface)をさらに備えてもよい。HMIは、タッチパネルディスプレイであってもよい。プロセッサ310としては、例えばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。記憶装置330は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置330は書き換え可能な不揮発性メモリを含んでもよい。サーバ300において、記憶装置330に記憶されているプログラムをプロセッサ310が実行することで、各種の処理(例えば、後述する図3~図8参照)が実行される。ただし、これらの各種処理は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
車群1に含まれる各車両(以下、区別しない場合は「車両100」と称する)の識別情報(車両ID)が、予めサーバ300に登録されている。サーバ300の記憶装置330は、車両100に関する情報(以下、単に「車両情報」とも称する)を、車両IDで区別して記憶している。車両情報には、車両100の仕様(例えば、定格充電電力)と、車両100が電力系統PGと電気的に接続された状態(プラグイン状態)になっているか否かを示す情報と、プラグイン状態の車両100に関する情報(例えば、蓄電残量、出発予定時刻、および充電目標値)とが含まれる。
この実施の形態では、サーバ300が、EVSE200を介して、EVSE200に接続された車両100(プラグイン状態の車両100)と通信することにより、その車両100に関する情報を取得する。ユーザは、後述する図3に示すユーザ端末500を通じて、車両100に出発予定時刻および充電目標値を設定することができる。出発予定時刻は、車両100が次回走行を開始する予定の時刻(すなわち、車両100が駐車状態から走行状態に移行する予定の時刻)に相当する。この実施の形態における充電目標値は、出発予定時刻における蓄電残量の目標値に相当し、SOC値で表すことができる。以下、充電目標値を示すSOC値を、「目標SOC」と称する。なお、SOC(State Of Charge)は、蓄電残量を示し、例えば満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。
EVSE群2に含まれる各EVSE(以下、区別しない場合は「EVSE200」と称する)の識別情報(EVSE-ID)が、予めサーバ300に登録されている。サーバ300の記憶装置330は、EVSE200に関する情報(以下、単に「EVSE情報」とも称する)を、EVSE-IDで区別して記憶している。EVSE情報には、EVSE200の仕様(例えば、定格給電電力)と、EVSE200の通信アドレスと、EVSE200の位置(例えば、緯度および経度)とが含まれる。
サーバ300は、複数の分散型エネルギーリソース(以下、「DER(Distributed Energy Resources)」とも称する)を束ねてVPP(仮想発電所)を実現するように構成される。VPPは、複数のDERを遠隔・統合制御することによってあたかも1つの発電所のように機能させる仕組みである。例えば、EVSE200と電気的に接続された車両100は、VPPのためのDERとして機能し得る。このため、サーバ300は、例えばサーバ700(TSO)からの要求に応じて、EVSE200と電気的に接続された車両100に電力系統PGのエネルギーマネジメントを実行させる。サーバ300は、電力市場において、TSOが要求する調整力を落札してもよい。
サーバ300は、ユーザによって予め定められた条件(例えば、入札条件)に従って電力市場で取引き(例えば、入札および約定)を自動的に行い、電力取引きに関する帳簿(取引き記録)を管理するように構成される。サーバ300は、電力取引きに関する決済を行ってもよい。以下では、電力市場で落札される調整力の一例として、三次調整力-2について説明する。
図2は、三次調整力-2の概要について説明するための図である。図1とともに図2を参照して、三次調整力-2は、FIT(Feed-in Tariff)特例制度のための調整力であり、需給調整市場で取引きされる。需給調整市場では、電力を商品とした取引きが行われる。各商品は、例えば入札方式によって売買される。三次調整力-2は、「RR-FIT」(Replacement Reserve for Feed-in Tariff)に相当し、応動時間は45分以内、継続時間は3時間(6コマ)である。需給調整市場では、1日を3時間単位で区切った8ブロックの各々について、三次調整力-2の取引きが行われる。
FIT特例制度では、TSOが発電計画に対するインバランスの責任を負う。TSOは、対象ブロックの前々日に再エネ出力を予測して発電計画値を決定する。そして、TSOは、対象ブロックの前日に、再エネ予測誤差(前々日からの予測誤差)を解消するための三次調整力-2を調達する。なお、再エネは、再生可能エネルギー(RE:Renewable Energy)を意味する。
サーバ300は、対象ブロックの前日の12時から14時までの期間内に、需給調整市場で入札を行う。具体的には、サーバ300は、商品(例えば、三次調整力-2)、ブロック(8ブロックのいずれか)、および入札量(ΔkW)を含む入札情報(すなわち、入札条件を示す情報)を、需給調整市場システムへ送信する。その後、入札日の15時に結果がサーバ300に通知される。入札した商品が落札されると、約定に至る。ΔkW約定量は、落札量に相当する。
需給調整市場で三次調整力-2を落札した者(落札者)は、基準値(kW)に対して設定された落札量の範囲(以下、「落札範囲」とも称する)内で電力を調整する義務(契約義務)を負う。この実施の形態では、サーバ300が三次調整力-2に入札する。そして、入札した商品が落札されると、サーバ300は、所定の時刻t0(例えば、落札された対象ブロックの開始時刻1時間前)までに基準値を需給調整市場システムに登録する。時刻t0は、基準値の提出期限に相当する。図2に示す例は、充電側の調整力が落札された例である。この例では、充電側の基準値が登録される。サーバ300は、落札された対象ブロック(例えば、図2に示す約定期間t1~t2)において、落札範囲内でサーバ700が任意に要求する目標値(例えば、図2に示す目標値L1)を、サーバ700から逐次受信する。
この実施の形態では、サーバ300が、車群1から、約定期間t1~t2に割り当てる複数の車両(例えば、後述する車両100A~100C)を選ぶ。選ばれた各車両は、約定期間t1~t2においてプラグイン状態を維持する。そして、サーバ300は、約定期間t1~t2において、それらプラグイン状態の車両の中から1台以上の車両を、対象リソース(制御対象)として選びつつ、選ばれた対象リソースが電力系統PGのエネルギーマネジメントを実行するように、対象リソースを制御する。具体的には、サーバ300は、約定期間t1~t2において、対象リソースによる実績充電電力(実績値L2)が、サーバ700からの目標充電電力(目標値L1)に追従するように、対象リソースの充電制御を実行する。基準値(kW)と実績値L2(kW)との差が、対象リソースが提供する電力系統PGの調整力(ΔkW)に相当する。
サーバ300は、目標値L1に従って対象リソースに指令値を送信する。約定期間t1~t2内において目標値L1が変更された場合、サーバ300は、商品要件の応動時間内に実績値L2をその値(変更後の目標値L1)に変化させる。約定期間t1~t2内において目標値L1が同じ値で継続する場合、サーバ300は、少なくとも商品要件の継続時間は実績値L2を目標値L1に維持する。約定期間t1~t2の終了後、サーバ300は、約定期間t1~t2における実績データ(実績値L2)をサーバ700(TSOのサーバ)へ送信する。TSOは、約定期間t1~t2において、ΔkW約定量(落札量)の供出が可能な状態を落札者が維持していることと、落札範囲内で目標値L1に従って落札者が調整していること(応動実績)とを確認する。ΔkW約定量の供出可否の評価(アセスメントI)と応動実績の評価(アセスメントII)との少なくとも一方において、商品要件の不適合が判明した場合には、落札者に所定のペナルティ料金が科される。
図3は、電力市場で落札した電力系統PGの調整力として車群1を動作させるためにサーバ300が実行する処理について説明するための図である。
まず、車群1に含まれる車両100とEVSE群2に含まれるEVSE200との各々の構成について説明する。図3を参照して、車両100は、バッテリ110と、電子制御装置(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と表記する)150とを備える。ECU150は、例えばプロセッサおよび記憶装置を備えるコンピュータである。車両100は、バッテリ110に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される電動車(xEV)である。車両100は、内燃機関を備えないBEVであってもよいし、内燃機関を備えるPHEVであってもよい。バッテリ110としては、公知の車両用蓄電装置(例えば、液式二次電池、全固体二次電池、または組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。
EVSE200の本体は、制御部210および回路部220を内蔵する。EVSE200は、EVSE200の本体から外側に向かって延びる充電ケーブル230をさらに備える。充電ケーブル230は回路部220と電気的につながっている。制御部210は、プロセッサおよび記憶装置を含み、サーバ300からの指令に従って回路部220を制御する。回路部220は、車両100に対する給電(バッテリ110の充電)のための回路を含む。充電ケーブル230は、先端にコネクタ240(プラグ)を有する。
車両100は、コネクタ240が着脱可能なインレット120をさらに備える。EVSE200の本体につながる充電ケーブル230のコネクタ240が駐車状態の車両100のインレット120に接続されることで、車両100はEVSE200と電気的に接続された状態(以下、「プラグイン状態」とも称する)になる。一方、例えば車両100の走行中においては、車両100がEVSE200と電気的に接続されていない状態(以下、「プラグアウト状態」とも称する)になる。
EVSE200は、コネクタ240の状態(プラグイン状態/プラグアウト状態)を検出する接続検出回路(図示せず)を備える。接続検出回路は、コネクタ240の状態を制御部210へ出力する。また、制御部210は、回路部220に含まれるセンサ(図示せず)から、EVSE200の稼働状況(例えば、電力系統PGからの入力電力、および車両100への出力電力)を示す情報を取得する。EVSE200の稼働期間においては、EVSE200に関する情報がEVSE200からサーバ300へ逐次送信される。
EVSE200と電力系統PGとは電気的に接続されている。このため、プラグイン状態の車両100は電力系統PGと電気的に接続される。プラグイン状態においてバッテリ110の充電を行う場合には、電力系統PGからEVSE200に電力が供給され、EVSE200の回路部220が、供給される電力を、車両100への給電に適した電力に変換して、変換後の電力を充電ケーブル230のコネクタ240に出力する。この場合、コネクタ240からインレット120に入力される電力によってバッテリ110が充電される。
車両100は、バッテリ110の温度調整を行う温度調整装置130をさらに備える。温度調整装置130は、例えば、バッテリ110を加熱するヒータを含む。ただしこれに限られず、温度調整装置130は、ヒータに代えてまたは加えて、バッテリ110を冷却する送風機(例えば、ファンまたはブロワ)を含んでもよい。温度調整装置130は、ECU150によって制御される。ECU150は、バッテリ110の充電前に、温度調整装置130によってバッテリ110の温度を所定温度範囲内に調整する。この実施の形態では、バッテリ110が本来の充電性能を十分に発揮できる温度範囲(以下、「充電レンジ」とも称する)を、所定温度範囲とする。バッテリ110の温度が充電レンジから外れると、バッテリ110の充電電力が低下することがある。
ユーザ端末500は、車両100のユーザによって所持される携帯端末である。ユーザ端末500は、車両100と通信可能に構成される。この実施の形態では、ユーザ端末500として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。スマートフォンはコンピュータを内蔵する。ただしこれに限られず、ユーザ端末500としては、任意の端末を採用可能である。例えば、ラップトップ、タブレット端末、携帯型ゲーム機、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートグラス、スマートグローブなど)、電子キーなども、ユーザ端末500として採用可能である。
次に、サーバ300が実行するエネルギーマネジメントに係る処理について説明する。この実施の形態では、サーバ300が、エネルギーマネジメントのためのリソースを、車群1から選ぶ。サーバ300は、例えば、エネルギーマネジメントを要請する信号(以下、「VPP信号」とも称する)を、車両のユーザ端末500に送り、承諾/拒否のいずれかの返信をユーザ端末500に要求する。VPP信号は、DR(デマンドレスポンス)を実施するための信号に相当する。
VPP信号は、車両の拘束期間(すなわち、エネルギーマネジメントのために車両が拘束される期間)を含む。拘束期間は、エネルギーマネジメントが実行される期間に相当し、例えば図2に示した約定期間(落札した商品の調整期間)である。この実施の形態では、上記拘束期間が、本開示に係る「対象期間」の一例に相当する。以下では、上記拘束期間を「VPP期間」と称する。
VPP信号は、VPP期間の開始時刻における蓄電残量の上限値を示す情報(以下、「開始SOC上限値」と表記する)をさらに含む。ユーザ端末500は、VPP信号を受信すると、VPP期間および開始SOC上限値を表示する。車両ユーザは、ユーザ端末500を操作することによって承諾/拒否のいずれかを選択できる。サーバ300は、ユーザ端末500から承諾の返信を受けた場合には、その車両をリソースとして決定する。ユーザが上記承諾の返信を行うことは、VPP信号が示す要請(例えば、VPP期間および開始SOC上限値)に従うことをユーザがアグリゲータに約束することを意味する。このため、リソースとして決定された車両100のユーザは、VPP期間の開始時刻までにバッテリ110のSOCが開始SOC上限値以下になった状態の車両100をプラグイン状態にして、VPP期間内において車両100をプラグイン状態に維持する。すなわち、リソースとして決定された車両100の出発予定時刻は、VPP期間よりも後に設定されている。VPP信号はインセンティブ情報をさらに含み、ユーザ端末500はそのインセンティブ情報をさらに表示してもよい。サーバ300は、アグリゲータとの約束(契約)を履行した車両ユーザに、VPP信号が示すインセンティブ(例えば、換金可能なポイント)を付与してもよい。他方、サーバ300がユーザ端末500から拒否の返信を受けた場合には、サーバ300は、その車両をリソースとして選ばない。
サーバ300は、上記のようにして、車群1から、エネルギーマネジメントのために必要な台数の車両100を選ぶ。サーバ300は、例えば落札量(図2)と車両情報(図1)とEVSE情報(図1)とに基づいて、エネルギーマネジメントのために必要な車両100の台数を求める。以下では、図3に示す3台の車両100A~100Cが、エネルギーマネジメントのためのリソースとして選ばれた例について説明する。
車両100A~100Cの各々は、前述した構成(バッテリ110、インレット120、温度調整装置130、およびECU150)を有する。以下、車両100A、車両100B、車両100Cが備える蓄電装置(バッテリ110)を、それぞれ「バッテリ110A」、「バッテリ110B」、「バッテリ110C」と称する。また、電力系統PGのエネルギーマネジメントが実行されるときに、車両100A、車両100B、車両100Cと電気的に接続されるEVSE200を、それぞれ「EVSE200A」、「EVSE200B」、「EVSE200C」と称する。EVSE200A~200Cの各々は、前述した構成(制御部210、回路部220、充電ケーブル230、およびコネクタ240)を有する。
サーバ300は、車両100A~100C(エネルギーマネジメントのためのリソース)から選ばれた1台以上の車両100である対象リソース(制御対象)を制御してVPP期間内においてエネルギーマネジメントを実行する。具体的には、サーバ300は、VPP期間内においてエネルギーマネジメントが行われるように、対象リソースが備える蓄電装置(バッテリ110)の充電制御を実行する。
この実施の形態では、サーバ300が、EVSE200A、200B、200Cを介して、それぞれ車両100A、100B、100Cを制御する。サーバ300は、車両に対する指令値を、対応するEVSE(当該車両に接続されたEVSE)へ送信する。指令値は、充電電力を示す。サーバ300は、実績値(バッテリ110A~110Cの総充電電力)を目標値(サーバ700からの要求値)に近づけるように指令値を決定してもよい。
プラグイン状態においては、EVSE200の制御部210と車両100のECU150とが、充電ケーブル230内の通信線を介して有線通信を行う。EVSE200においては、回路部220が、制御部210からの指令に従ってバッテリ110の充電を実行する。制御部210は、バッテリ110の充電中において、ECU150からバッテリ110の状態(例えば、温度、電流、電圧、およびSOC)を受信しつつ、充電電力を目標値(サーバ300からの指令値)に近づけるように回路部220を制御する。
図4は、この実施の形態に係るエネルギーマネジメント方法を示すフローチャートである。フローチャート中の「S」は、ステップを意味する。このフローチャートに示される処理は、例えば、サーバ300が電力市場でエネルギーマネジメントに関する商品(例えば、調整力)を落札した後、その商品の約定期間(VPP期間)の開始時刻から所定時間(例えば、30分)さかのぼった時刻になると、サーバ300によって開始される。
図1~図3とともに図4を参照して、S11では、現在時刻がVPP期間内か否かを、サーバ300が判断する。VPP期間の前においては、S11でNOと判断されるとともに、後述するS16およびS17でもNOと判断される。これにより、S11の判断が繰り返される。そして、VPP期間の開始時刻が到来すると、S11においてYESと判断され、処理がS12に進む。
この実施の形態では、車両100A~100Cの各々において、ECU150が、VPP期間の前に温度調整装置130によってバッテリ110の温度を所定温度範囲(例えば、充電レンジ)内に調整し、VPP期間内においてバッテリ110の温度が所定温度範囲内に維持されるように温度調整装置130を制御する。
S12では、サーバ300が、サーバ700からの要求値(目標充電電力)に基づいて、エネルギーマネジメント(VPP)のための対象リソースに含まれる車両の台数(蓄電装置の数)が適切か否かを判断する。目標充電電力に対して過不足のない台数の車両が対象リソースとして選ばれている場合には、S12においてYESと判断され、処理がS13に進む。他方、対象リソースとして選ばれた車両の台数が目標充電電力に対して不足または過多である場合には、S12においてNOと判断され、処理がS14に進む。なお、初回処理ルーチンでは、対象リソースがまだ選ばれていないため、S12においてNOと判断され、処理がS14に進む。
S14では、サーバ300が、車両100A~100Cから、目標充電電力を賄うために必要な台数の車両を、対象リソースとして選択する。より具体的には、車両100A~100Cのうち対象リソースではない車両を選定候補とし、サーバ300は、選定候補から対象リソースを選ぶ。初回処理ルーチンでは、車両100A~100Cはいずれも対象リソースではないため、車両100A~100Cの全てが選定候補となる。図5は、S14の詳細を示すフローチャートである。
図1~図3とともに図5を参照して、S21では、サーバ300が、選定候補の中に、バッテリ110のSOCが所定の基準値(以下、「Th1」と表記する)未満である車両100が存在するか否かを判断する。以下では、バッテリ110のSOCがTh1未満である車両100を、「低SOC車」と称する。Th1は、低SOC領域(例えば、0%超50%未満の範囲)に予め設定される。Th1は、5%以上45%以下であってもよく、15%以上35%以下であってもよい。Th1は、本開示に係る「第1基準値」の一例に相当する。
この実施の形態では、車両100A~100Cの全てについて同一のTh1が設定される。しかしこれに限られず、Th1は、車両ごと(蓄電装置ごと)に異なる値であってもよい。各車両のユーザが、ユーザ端末500を通じて、車両100にTh1を設定してもよい。
選定候補の中に低SOC車が存在する場合には(S21にてYES)、サーバ300が、S22において、低SOC車を対象リソースとして選ぶ。選定候補の中に複数の低SOC車が存在する場合には、サーバ300は、バッテリ110のSOCが最も低い低SOC車を、対象リソースとして選んでもよい。複数の車両(リソース)をまとめて対象リソースとして選ぶ場合には、サーバ300は、バッテリ110のSOCが低い順に車両(リソース)を選んでもよい。
続くS23では、サーバ300が、S22で選んだ対象リソース(低SOC車)について再選択条件を設定する。この実施の形態では、その対象リソース(低SOC車)に搭載されたバッテリ110のSOCが所定の基準値(以下、「Th2」と表記する)以上になった場合に成立する再選択条件を、サーバ300が設定する。対象リソースのバッテリ110が充電されることによってバッテリ110のSOCがTh2に到達すると、再選択条件が成立する。他方、対象リソースのバッテリ110のSOCがTh2未満である間は、再選択条件は成立しない。Th2は、本開示に係る「第2基準値」の一例に相当する。
Th2は、低SOC領域(例えば、0%超50%未満の範囲)に予め設定される。ただし、Th2は、Th1以上の値である。この実施の形態では、Th2をTh1と同じ値にする。しかしこれに限られず、Th2はTh1よりも高い値であってもよい。Th2は、車両ごと(蓄電装置ごと)に異なる値であってもよい。各車両のユーザが、ユーザ端末500を通じて、車両100にTh2を設定してもよい。
S22およびS23の処理によって対象リソースおよびその再選択条件が決定されると、図5に示す一連の処理は終了し、処理は図4のS15に進む。
他方、選定候補の中に低SOC車が存在しない場合には(S21にてNO)、サーバ300が、S24において、選定候補から、バッテリ110の充電期限が最も早い車両100を対象リソースとして選ぶ。複数の車両(リソース)をまとめて対象リソースとして選ぶ場合には、サーバ300は、バッテリ110の充電期限が早い順に車両(リソース)を選んでもよい。
バッテリ110の充電期限は、車両100の出発予定時刻からバッテリ110の残充電時間さかのぼった時刻である。バッテリ110の残充電時間は、バッテリ110のSOCを目標SOCまで上昇させるために要する時間である。すなわち、バッテリ110のSOCが目標SOCに近づくほど残充電時間は短くなる。車両100の出発予定時刻が一定であれば、バッテリ110の残充電時間が長くなるほどバッテリ110の充電期限は早くなる。バッテリ110の残充電時間が一定であれば、車両100の出発予定時刻が早くなるほどバッテリ110の充電期限は早くなる。
以下では、バッテリ110A,110B,110Cの目標SOCを、それぞれ「Th4」,「Th5」,「Th6」と表記する。Th4~Th6の各々は、高SOC領域(例えば、70%以上100%以下の範囲)に予め設定される。この実施の形態では、Th4~Th6の各々を、満充電状態を示すSOC値(100%)とする。しかしこれに限られず、Th4~Th6は互いに異なる値であってもよい。
続くS25では、サーバ300が、S24で選んだ対象リソースの充電期限が過ぎているか否かを判断する。S24で選んだ対象リソースの充電期限が到来していない場合には(S25にてNO)、処理がS26に進む。S26では、サーバ300が、S24で選んだ対象リソースについて再選択条件を設定する。この実施の形態では、対象リソースの残充電時間が所定時間(以下、「Th3」と表記する)以下になること(第1要件)と、車両100A~100Cのいずれかの充電期限が到来すること(第2要件)とのいずれかの要件を満たす場合に成立し、いずれの要件も満たさない場合には成立しない再選択条件を、サーバ300が設定する。S26で設定される再選択条件は、対象リソースの残充電時間がTh3以下になると成立するため、対象リソースのバッテリ110が満充電状態になる前に成立する。Th3が長いほど、対象リソースの残充電時間がTh3以下になったときの対象リソースの充電余力(例えば、蓄電装置が満充電になるまでに充電可能な時間)が大きくなる。Th3は、15分以上1時間以下であってもよく、約30分であってもよい。
この実施の形態では、車両100A~100Cの全てについて同一のTh3が設定される。しかしこれに限られず、Th3は、車両ごと(蓄電装置ごと)に異なる値であってもよい。例えば、サーバ300は、車両の出発予定時刻に基づいてその車両のTh3を決定してもよい。
上記S26の処理が実行されると、図5に示す一連の処理は終了し、処理は図4のS15に進む。他方、S24で選んだ対象リソースの充電期限が過ぎている場合には(S25にてYES)、S26の処理が行われることなく、図5に示す一連の処理は終了し、処理は図4のS15に進む。充電期限が過ぎた対象リソースについては、再選択条件が設定されないため、以下に説明するS15の処理により、VPP期間が終了するまで充電が継続される。
再び図1~図3とともに図4を参照して、サーバ300は、S14の処理によって対象リソースを選んだ後、S15において、サーバ700からの要求値(目標充電電力)に従うエネルギーマネジメントが行われるように対象リソースのバッテリ110を充電する。具体的には、サーバ300は、対象リソースによる実績充電電力を、サーバ700からの目標充電電力に近づけるように、対象リソース(車両100A~100Cの少なくとも1つ)に対応するEVSEへ充電指令を送信する。このように、サーバ300は、前述のリモート制御(図3参照)により、対象リソースに含まれる1台以上の車両の蓄電装置(バッテリ110A~110Cの少なくとも1つ)を充電する。
S15の処理が実行されると、処理は最初のステップ(S11)に戻る。VPP期間内においては、S11~S15の処理が繰り返される。2回目以降の処理ルーチンでは、サーバ300が、S12において、対象リソースの最大充電電力(対象リソースが充電可能な上限電力)が目標充電電力以上であるか否かに基づいて、対象リソースに含まれる車両の台数が十分か否かを判断する。対象リソースとして選ばれた車両の台数が増えるほど対象リソースの最大充電電力は大きくなる。車両100A~100Cの全てが対象リソースとして選ばれた場合には、バッテリ110A~110Cの定格充電電力の合計値が、対象リソースの最大充電電力に相当する。
対象リソースの最大充電電力が目標充電電力未満であることは、対象リソースとして選ばれた車両の台数が不足していることを意味する。この場合、S12においてNOと判断され、前述したS14の処理(図5参照)により、対象リソースが追加される。具体的には、サーバ300は、車両100A~100Cのうち、対象リソースではない車両から、目標充電電力を賄うために必要な台数の車両を、対象リソースとして選択する。車両100A~100Cの全てを対象リソースとして選ばなければ目標充電電力を賄うことができない場合には、サーバ300は、車両100A~100Cの全てを対象リソースとして選択する。
また、サーバ300は、S12において、対象リソースに含まれる車両の台数を減らしても対象リソースの最大充電電力が目標充電電力以上になるか否かに基づいて、対象リソースに含まれる車両の台数が多すぎるか否かを判断する。対象リソースに含まれる車両の台数が多すぎる場合、S12においてNOと判断され、前述したS14の処理(図5参照)により、対象リソースの選び直しが実行される。具体的には、車両100A~100Cの全てが対象リソースではなくなり、サーバ300は、改めて前述したS14の処理(図5参照)により、車両100A~100Cから、目標充電電力を賄うために必要な台数の車両を、対象リソースとして選択する。
対象リソースに含まれる車両の台数が過不足ない場合には(S12にてYES)、サーバ300は、S13において、対象リソースの再選択条件が成立するか否かを判断する。再選択条件は、前述した図5の処理により、対象リソースとして選ばれた車両ごとに設定される。このため、対象リソースが複数の車両を含む場合には、サーバ300は、車両ごとに再選択条件が成立するか否かを判断する。
対象リソースの再選択条件が成立する場合には(S12,S13の両方でYES)、対象リソースとして選ばれた車両の台数(ひいては、対象リソースによる充電電力)が適切であるにもかかわらず、S14において対象リソースの選び直しが実行される。具体的には、再選択条件が成立した車両は、対象リソースではなくなる。そして、サーバ300は、前述したS14の処理(図5参照)により、車両100A~100Cのうち、対象リソースではない車両(再選択条件が成立した車両を含む)から、改めて対象リソースを選択する。
この実施の形態では、車両100A~100Cの中に蓄電残量が少ない車両が存在する段階(エネルギーマネジメントを開始したばかりの頃)では、蓄電残量が少ない車両が優先的に対象リソースとして選択される(図5のS21~S23)。その後、対象リソースの蓄電装置(バッテリ110A~110Cの少なくとも1つ)が充電されることによって、バッテリ110A~110Cの少なくとも1つの残充電時間がTh3以下になると、対象リソースの選び直しが実行される。この実施の形態では、バッテリ110A~110Cの各々が満充電状態になる前に再選択条件が成立し、対象リソースの選び直しが実行される。これにより、バッテリ110A~110Cの各々が目標の充電量に到達した状態(例えば、満充電状態)になることが抑制される。対象リソースの選び直しにおいては、充電期限の早い車両(蓄電装置)が優先的に対象リソースとして選択される(図5のS24)。これにより、車両100A~100Cの各々について、出発予定時刻までにバッテリ110のSOCが目標値(目標SOC)まで上昇しやすくなる。
さらに、対象リソースに含まれるいずれかの車両の充電期限が到来すると、対象リソースの選び直しによって、その車両(充電期限が到来した車両)が対象リソースとして選ばれる(図5のS24)。充電期限で開始したバッテリ110の充電がVPP期間の終了時刻まで継続されても、VPP期間の終了時刻においてバッテリ110は満充電状態にはならない。そして、後述するS31の処理によりVPP期間の後においても充電は継続され、VPP期間経過後の出発予定時刻においてバッテリ110のSOCが目標SOCに到達する。このように、図4および図5に示す処理によれば、車両100A~100Cの各々について、目標SOCに従う充電制御が実行されやすくなる。
VPP期間が経過した場合には(S11にてNO)、サーバ300が、S16において、バッテリ110A~110Cの全てのSOCが目標SOCに到達しているか否かを判断する。以下、目標SOC未満のSOCを有するバッテリ110を、「充電未完バッテリ」と称する。
バッテリ110A~110Cの中に充電未完バッテリが存在する場合には(S16にてNO)、サーバ300が、S17において、充電未完バッテリの充電期限が過ぎたか否かを判断する。充電未完バッテリの充電期限が到来していない場合には(S17にてNO)、処理がS11に戻り、S16において再びNOと判断される。このため、充電未完バッテリの充電期限が到来するまでS17の判断が繰り返される。充電未完バッテリが複数存在する場合には、充電未完バッテリごとにS17の判断が実行される。
充電未完バッテリの充電期限が到来すると(S17にてYES)、サーバ300は、S18において、充電未完バッテリのSOCを目標SOCまで上昇させる充電制御の開始を指示する信号(以下、「充電開始指令」と称する)を、当該充電未完バッテリを備える車両(車両100A~100Cのいずれか)へ送信する。
充電開始指令を受信した車両のECU150は、上記充電制御に係る処理(S31~S33の一連の処理)を開始する。ECU150は、S31においてバッテリ110(充電未完バッテリ)の充電を実行する。続けて、ECU150は、S32において、バッテリ110のSOCが目標SOC以上になったか否かを判断する。バッテリ110のSOCが目標SOCに到達していない間は(S32にてNO)、ECU150は、S31においてバッテリ110の充電を実行する。そして、バッテリ110のSOCが目標SOCに到達すると(S32にてYES)、ECU150は、S33において、バッテリ110の充電が完了したことを示す信号(以下、「充電完了通知」と称する)を、サーバ300へ送信する。S33の処理が実行されると、充電開始指令を受信した車両による充電制御(S31~S33の一連の処理)は終了する。サーバ300は、上記車両から充電完了通知を受信すると、当該車両が備える充電未完バッテリの充電が完了したと判断する。
サーバ300が充電開始指令(S18)を送信した後、処理はS16に戻る。全ての充電未完バッテリについて上記充電制御に係る処理(S31~S33の一連の処理)が実行されることによってバッテリ110A~110Cの全てのSOCが目標SOCに到達すると、S16においてYESと判断され、図4に示す一連の処理は終了する。
図6は、図4および図5に示した方法によってエネルギーマネジメントが実行されたときの各リソースのSOC推移の第1の例を示すタイムチャートである。図6において、線L1A、L1B、L1Cは、それぞれバッテリ110A、110B、110CのSOC推移を示す。図6に示す例では、サーバ700からの要求値(目標充電電力)が、線L11で示されるように、VPP期間(約定期間t1~t2)内で一定である。この目標充電電力は、1台の車両100(1つのバッテリ110)で賄うことができる。
図6を参照して、この例では、VPP期間が始まると、t21(=t1)で、車両100Bが対象リソースとして選択され(図5のS22)、バッテリ110Bの充電が実行される(図4のS15)。t1においては、車両100A,100Bが低SOC車に該当し、バッテリ110AのSOCよりもバッテリ110BのSOCのほうが低い。
その後、t11で、バッテリ110BのSOCがTh2(=Th1)に到達すると、車両100Bの再選択条件(図5のS23)が成立し、対象リソースの選び直し(図5)が実行される。これにより、t11で、車両100Aが対象リソースとして選択され(図5のS22)、バッテリ110Bに代えてバッテリ110Aの充電が実行される。t11においては、車両100Aのみが低SOC車に該当する。t12で、バッテリ110AのSOCがTh2に到達すると、車両100Aの再選択条件(図5のS23)が成立し、対象リソースの選び直し(図5)が実行される。しかし、再び車両100Aが対象リソースとして選択されることにより(図5のS24)、バッテリ110Aの充電は継続される。t12における車両100A,100B,100Cの充電期限および残充電時間は、それぞれtc1,tc2,tc3およびΔT11,ΔT21,ΔT31である。tc1~tc3の中では、tc1(車両100Aの充電期限)が最も早い。
その後、t22で、バッテリ110Aの残充電時間(ΔT12)がTh3以下になると、車両100Aの再選択条件(図5のS26)が成立し、対象リソースの選び直し(図5)が実行される。これにより、t22で、車両100Bが対象リソースとして選択され(図5のS24)、バッテリ110Aに代えてバッテリ110Bの充電が実行される。t22における車両100A,100B,100Cの充電期限は、それぞれtc4,tc2,tc3である。tc2~tc4の中ではtc2(車両100Bの充電期限)が最も早い。
その後、t31で、バッテリ110Bの残充電時間(ΔT22)がTh3以下になると、車両100Bの再選択条件(図5のS26)が成立し、対象リソースの選び直し(図5)が実行される。これにより、t31で、車両100Cが対象リソースとして選択され(図5のS24)、バッテリ110Bに代えてバッテリ110Cの充電が実行される。t31における車両100A,100B,100Cの充電期限は、それぞれtc4,tc5,tc3である。tc3~tc5の中ではtc3(車両100Cの充電期限)が最も早い。
その後、車両100Aの充電期限(tc4)が到来すると、車両100Cの再選択条件(図5のS26)が成立し、対象リソースの選び直し(図5)が実行される。これにより、tc4で、車両100Aが対象リソースとして選択され(図5のS24)、バッテリ110Cに代えてバッテリ110Aの充電が実行される。バッテリ110Aの充電は、バッテリ110AのSOCが目標SOC(Th4)になるまで(すなわち、車両100Aの出発予定時刻t4になるまで)継続される(図4のS15およびS31)。tc4における車両100A,100B,100Cの充電期限は、それぞれtc4,tc5,tc6である。tc4~tc6の中ではtc4(車両100Aの充電期限)が最も早い。
VPP期間の経過後(t2後)、車両100Bの充電期限(tc5)が到来すると、バッテリ110Aの充電と並行してバッテリ110Bの充電が実行される。バッテリ110Bの充電は、バッテリ110BのSOCが目標SOC(Th5)になるまで(すなわち、車両100Bの出発予定時刻t5になるまで)継続される(図4のS31)。また、車両100Cの充電期限(tc6)が到来すると、バッテリ110Cの充電がさらに実行される。バッテリ110Cの充電は、バッテリ110CのSOCが目標SOC(Th6)になるまで(すなわち、車両100Cの出発予定時刻t6になるまで)継続される(図4のS31)。このように、図6に示す例では、車両100A,100B,100Cの出発予定時刻までにバッテリ110A,110B,110Cの蓄電残量がそれぞれ目標値(Th4,Th5,Th6)まで上昇する。
上述した図6に示す例では、VPP期間内において、バッテリ110A,110B,110Cが、いずれも満充電状態にならず、いずれも充電可能な状態になっている。このため、VPP期間内においては、線L12で示されるように、バッテリ110A~110Cの最大充電電力は、バッテリ110A~110Cの定格充電電力の合計値に相当する。
図7は、図4および図5に示した方法によってエネルギーマネジメントが実行されたときの各リソースのSOC推移の第2の例を示すタイムチャートである。図7において、線L2A、L2B、L2Cは、それぞれバッテリ110A、110B、110CのSOC推移を示す。図7に示す例では、サーバ700からの要求値(目標充電電力)が、線L21で示されるように、VPP期間(約定期間t1~t2)内で変化する。期間t1~t41および期間t43~t2の各々の目標充電電力は、1台の車両100(1つのバッテリ110)で賄うことができるが、期間t42~t43の目標充電電力は、3台以上の車両100(3つ以上のバッテリ110)でなければ賄うことができない。
図7を参照して、この例でも、t1(t21)からt12までは、図6に示した例と同じである。そして、t12で、車両100Aが対象リソースとして再び選択され、バッテリ110Aの充電は継続される。ただし、図7に示す例では、t41からt42まで目標充電電力が0になる(線L21)。このため、t41からt42までの期間においては、バッテリ110A~110Cのいずれの充電も実行されない。そして、t42で、目標充電電力が3つのバッテリ110の充電を要求する値になると、対象リソースの数が不足していると判断され(図4のS12にてNO)、車両100Aに加えて車両100Bおよび100Cが対象リソースとして選択される(図4のS14)。
その後、t43で目標充電電力が低下すると(線L21)、対象リソースの数が多すぎると判断され(図4のS12にてNO)、対象リソースの選び直し(図5)が実行される。これにより、t43で、車両100Bが対象リソースとして選択され(図5のS24)、バッテリ110A~110Cの充電に代えてバッテリ110Bのみの充電が実行される。t43における車両100A,100B,100Cの充電期限は、それぞれtd1,td2,td3である。td1~td3の中ではtd2(車両100Bの充電期限)が最も早い。
その後、t32で、バッテリ110Bの残充電時間(ΔT23)がTh3以下になると、車両100Bの再選択条件(図5のS26)が成立し、対象リソースの選び直し(図5)が実行される。しかし、車両100Bが対象リソースとして再び選択され、バッテリ110Bの充電は継続される。t32における車両100A,100B,100Cの充電期限は、それぞれtd1,td4,td3である。td1,td3,td4の中ではtd4(車両100Bの充電期限)が最も早い。そして、バッテリ110Bが充電されることによってバッテリ110Bの残充電時間が短くなり、車両100Bの充電期限がtd3よりも遅くなったタイミング(t33)で、車両100Cが対象リソースとして選択され(図5のS24)、バッテリ110Bに代えてバッテリ110Cの充電が実行される。
その後、VPP期間の終了時刻(t2)が到来すると、バッテリ110Cの充電はいったん停止する。そして、車両100A,100B,100Cの充電期限(td1,td4,td5)が到来すると、それぞれバッテリ110A,110B,110Cの充電が実行される(図4のS31)。上述したように、図7に示す例では、VPP期間内において、バッテリ110A,110B,110Cが、いずれも満充電状態にならず、いずれも充電可能な状態になっている(線L22)。このため、VPP期間の後期(t42)において、目標充電電力が大きくなった場合にも、バッテリ110A~110Cは、その目標充電電力に応じた充電を実行することができる。
図8は、図4および図5に示した方法によってエネルギーマネジメントが実行されたときの各リソースのSOC推移の第3の例を示すタイムチャートである。図8において、線L3A、L3B、L3Cは、それぞれバッテリ110A、110B、110CのSOC推移を示す。図8に示す例では、線L31で示されるように、サーバ700からの要求値(目標充電電力)が、VPP期間(約定期間t1~t2)の最初の部分(期間t1~t50)においてのみ、充電を要求する。
図8を参照して、この例でも、t1(t21)からt12までは、図6に示した例と同じである。そして、t12で、車両100Aが対象リソースとして再び選択され、バッテリ110Aの充電は継続される。ただし、図8に示す例では、t50以降は目標充電電力が0になる(線L31)。このため、t50からt2までの期間においては、バッテリ110A~110Cのいずれの充電も実行されない。その後、VPP期間の終了時刻(t2)が到来すると、バッテリ110A,110B,110Cの各々の充電が同時に開始される(図4のS31)。t2における車両100A,100B,100Cの充電期限は、それぞれte1,te2,te3であり、いずれの充電期限もt2の時点ですでに過ぎている。図8に示す例では、車両100A,100B,100Cの出発予定時刻までにバッテリ110A,110B,110Cの蓄電残量がそれぞれ目標値(Th4,Th5,Th6)まで上昇しない。しかし、VPP期間内において、蓄電残量がTh1以下のバッテリ110(図5のS22)と、充電期限が早いバッテリ110(図5のS24)とが、優先的に対象リソースとして選ばれることで、VPP期間内においてバッテリ110A,110B,110Cの各々が目標の充電量に到達した状態になることが抑制され、かつ、バッテリ110A,110B,110Cの各々に関して出発予定時刻(t4,t5,t6)における蓄電残量が目標値(Th4,Th5,Th6)に近くなる。図8に示す例でも、VPP期間内において、バッテリ110A,110B,110Cは、いずれも満充電状態にならず、いずれも充電可能な状態になっている(線L32)。
以上説明したように、この実施の形態に係るエネルギーマネジメント方法は、図4および図5に示した処理を含む。具体的には、エネルギーマネジメント方法は、対象期間(VPP期間)内か否かを判断すること(図4のS11)と、複数の蓄電装置(バッテリ110A,110B,110C)から選ばれた対象リソースによって対象期間内においてエネルギーマネジメントを実行すること(図4のS12~S15)とを含む。エネルギーマネジメントを実行することは、対象期間内においてエネルギーマネジメントが行われるように対象リソースを充電すること(図4のS15)と、対象期間内において複数の蓄電装置の各々が目標の充電量に到達した状態になることを抑制するように対象リソースを複数の蓄電装置から選び直すこと(図4のS14および図5)とを含む。
対象リソースを選び直すことは、複数の蓄電装置から蓄電残量が所定の第1基準値(Th1)未満の蓄電装置を優先的に対象リソースとして選ぶこと(図5のS22)と、蓄電残量に従って選ばれた対象リソースについて蓄電残量が第1基準値(Th1)以上に予め設定された第2基準値(Th2)以上になったか否かを判断すること(図4のS13,図5のS23)と、蓄電残量が第2基準値(Th2)以上になったと判断された場合に(図4のS13にてYES)複数の蓄電装置から対象リソースを選び直すこと(図4のS14)と、複数の蓄電装置から充電期限が早い蓄電装置を優先的に対象リソースとして選ぶこと(図5のS24)と、充電期限に従って選ばれた対象リソースについて残充電時間が所定時間(Th3)以下になったか否かを判断すること(図4のS13,図5のS26)と、残充電時間が所定時間(Th3)以下になったと判断された場合に(図4のS13にてYES)複数の蓄電装置から対象リソースを選び直すこと(図4のS14)とを含む。
上記方法によれば、複数の蓄電装置を用いたエネルギーマネジメントにおいて、それら蓄電装置の最大充電電力の低下を抑制することが可能になる。例えば、約定期間において落札量を確保しやすくなる(図2参照)。
図4および図5に示した処理は適宜変更可能である。例えば、S21~S23は省略されてもよい。また、充電期限が早い順ではなく、出発予定時刻が早い順に対象リソースが選択されるように、S24の処理が変更されてもよい。また、再選択条件も適宜変更可能である。例えば、前述した第1要件に代えて、対象リソースの蓄電残量が所定量増えたことを要件とする再選択条件が設定されるように、S26の処理が変更されてもよい。また、第2要件が省略されてもよい。
図5に示した処理に代えて、図9に示す処理が採用されてもよい。図9は、図5に示した処理の変形例を示すフローチャートである。図9に示す処理では、図5に示した処理のS25とS26の間にS25Aが追加されている。
S25Aでは、所定の解除条件が成立するか否かを、サーバ300が判断する。解除条件は、VPP期間で車群が出力可能な充放電量から、VPP期間で必要な車群の充放電量を減算した値(両者の差)が、所定値以上の場合に成立し、そうでない場合に成立しなくてもよい。あるいは、解除条件は、VPP期間で車群が出力可能な充放電量を、VPP期間で必要な車群の充放電量で割った値が、所定値以上の場合に成立し、そうでない場合に成立しなくてもよい。あるいは、解除条件は、VPP期間で車群が出力可能な充放電出力から、VPP期間で必要な車群の充放電出力を減算した値(両者の差)が、所定値以上の場合に成立し、そうでない場合に成立しなくてもよい。あるいは、解除条件は、VPP期間で車群が出力可能な充放電出力を、VPP期間で必要な車群の充放電出力で割った値が、所定値以上の場合に成立し、そうでない場合に成立しなくてもよい。車群は、例えば車両100A,100B,100Cである。VPP期間で必要な車群の充放電量および充放電出力の各々は、約定量(落札量)であってもよい。この変形例でも、VPP期間が、本開示に係る「対象期間」の一例に相当する。
解除条件が成立しない場合には(S25AにてNO)、S26において再選択条件が設定された後、図9に示す一連の処理が終了する。他方、解除条件が成立する場合には(S25AにてYES)、再選択条件の設定(S26)が行われることなく、図9に示す一連の処理が終了する。これにより、蓄電装置(例えば、バッテリ110A,110B,110C)が目標の充電量に到達することを抑制するための再選択が行われなくなる(図4参照)。解除条件が成立することは、蓄電装置が目標の充電量に到達した状態になることの抑制処理が解除されることを意味する。抑制処理を解除することで、充電のON/OFF回数を低減することができる。
上記実施の形態では、サーバ300がEVSE200を制御することによってバッテリ110の充電制御を行う例を示したが、サーバ300は、EVSE200を介さずに車両100に直接的に指令を送信しながら(例えば、車両100と無線通信しながら)、車両100に搭載された充電器を遠隔的に制御してもよい。サーバ300は、各車両に搭載された充電器に対して、充電電力を目標値に追従させる制御ではなく、充電の実行(ON)/停止(OFF)を切り替える制御を行うことにより、エネルギーマネジメントを実行してもよい。サーバ300と車両100とが無線通信を行う形態では、サーバ300は、車両100の位置および状態を示す情報をリアルタイムで車両100から逐次受信し、車両情報を逐次更新してもよい。サーバ300は、車両100から受信した情報を用いて、車両100の出発予定時刻を予測してもよい。
上記実施の形態では、オンプレミスサーバ(サーバ300)が、電力系統PG(外部電源)のエネルギーマネジメントを実行するコンピュータとして機能する。しかしこれに限られず、クラウドコンピューティングによってクラウド上にサーバ300の機能(特に、エネルギーマネジメントに係る機能)が実装されてもよい。
電力系統PG(外部電源)は、大規模な交流グリッドに限られず、マイクログリッドであってもよいし、DC(直流)グリッドであってもよい。車群1に含まれる車両の数は任意であり、3台以上30台未満であってもよいし、30台以上100台未満であってもよいし、100台以上であってもよい。また、EVSE群2に含まれるEVSEの数も任意である。EVSE群2は、複数種のEVSE(例えば、普通充電器および急速充電器)を含んでもよい。EVSE群2は、公共EVSE(例えば、商業施設、自動車販売店、または高速道路のパーキングエリアに設置されたEVSE)と非公共EVSE(例えば、家庭用EVSE)との少なくとも一方を含んでもよい。
電力調整(エネルギーマネジメント)に使用される車両の構成は、前述した構成(図3参照)に限られない。車両は、充電による電力調整と放電による電力調整(例えば、逆潮流)との両方を行うように構成されてもよい。車両は、水素エンジンまたはバイオ燃料エンジンを備えるPHEVであってもよい。車両は、ソーラーパネルを備えてもよいし、飛行機能を備えてもよいし、非接触充電可能に構成されてもよい。非接触充電を行う車両は、給電設備側の送電部(例えば、送電コイル)と車両側の受電部(例えば、受電コイル)との位置合わせが完了したときに、前述した「プラグイン状態」に準ずる状態になったとみなされてもよい。車両は、4輪の乗用車に限られず、バスまたはトラックであってもよいし、3輪のBEVであってもよい。
エネルギーマネジメントのために使用される蓄電装置の数は、3つに限られず、適宜変更可能である。エネルギーマネジメントのための蓄電装置を備えるリソースは、自動車に限られず、自動車以外の乗り物(鉄道車両、船、飛行機等)、無人の移動体(無人搬送車、農業機械、歩行ロボット、ドローン、ロボットクリーナ、宇宙探査機等)、または定置式の蓄電システムであってもよい。リソースは、蓄電装置の入出力に対して電力変換を行う電力変換回路(例えば、AC/DC変換を行うインバータ)を含んでもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。