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JP7674201B2 - コンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法 - Google Patents
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Description

本発明は、コンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法に関する。
近年、通信販売事業の拡大に伴って、大型物流倉庫においては短時間で多くの荷物を移動させる必要がある。自動搬送機(以下、AGV:Automatic Guided Vehicle)による荷物の搬送が不可欠となっている。例えば、ある物流倉庫では、1万mを超える規模の倉庫内を、数百台のAGVがほぼ1日中、年間を通して走り回っている。AGVにできるだけ多くの荷物を積載して、できるだけ速い速度で運搬することが求められている。そのため、AGVの走行頻度が多い箇所では、AGVの車輪の走行跡が短期間で見られるようになり、時間の経過とともに表面が摩耗して、深さが2mm~5mm程の轍となる。
AGVの走行時の振動や衝撃がこのような轍によって大きくなるため、轍がAGVの破損や搭載機器類の故障、誤作動につながっている。
コンクリートスラブの轍を発生しにくくするには、AGVの車輪表面の素材を柔らかくしたり、表面が容易に摩耗しないような硬質な素材(例えば、鉄やステンレスのような金属板)を選定したりすることも対策として考えられる。ただし、AGVの改良は建築側からは基本的に難しい。一方で、広い面積の物流倉庫では、高額な床材へ変更は大幅なコスト増となるため、現状ではコンクリートスラブに表面強化材を塗布するなどの比較的安価な仕様がベースとなっている。現段階では、どの様なスラブ仕様が、AGVの繰返し走行にどの程度の期間、耐えられるかが明確になっていない。
下記の特許文献1には、コンクリートの劣化の診断または予測方法が提案されている。この方法は、診断の対象となるコンクリートに発生している劣化の種類(例えば、アルカリ骨材反応(ASR)、エトリンガイトの遅延生成(DEF)、凍害、火害、塩害、または中性化による鉄筋腐食等を原因とする劣化)や、コンクリートの劣化の程度(劣化の大きさ)を診断または予測することを目的としている。また、診断の対象となるコンクリートに複数の種類の劣化が生じている場合には、各劣化の種類、各劣化の程度、及び各劣化の程度からコンクリートの劣化における主な原因(要因)を診断することを目的としている。
特開2021-18233号公報
しかしながら、特許文献1の記載の方法は、コンクリート表面にAGVの車輪が繰返し走行することによって発生するひび割れを対象としていない。
本発明は、上記事情に鑑み、コンクリート表面に発生する初期の微細なクラックを測定することで、その後に表面が破壊して轍として成長するまでの期間を予測することができるコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法は、コンクリートの条件を異ならせた複数の試験体に、条件を異ならせた車両を走行させて、前記コンクリートの表面が健全な状態が維持される前記車両の走行回数、及び前記コンクリートの表面に微細なクラックが発生する前記車両の走行回数を測定し、前記コンクリートの条件と前記車両の条件とを組合せて、複数の組合せモデルを準備し、前記車両が走行するコンクリートスラブにおいて、適切な前記組合せモデルを選択して、前記組合せモデルの結果に基づいて、前記コンクリートスラブの表面における轍の発生時期を予測する。
このように構成されたコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法では、複数の試験体で条件を異ならせた車両を走行させて、複数の組合せモデルを事前に準備しておく。適切な組合せモデルを選択して、組合せモデルの結果に基づいて、実際に車両が走行するコンクリートスラブの表面における轍の発生時期を予測することができる。よって、コンクリート表面に発生する初期の微細なクラックを測定することで、その後に表面が破壊して轍として成長するまでの期間を予測することができる。
また、本発明に係るコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法では、前記コンクリートの条件は、コンクリート配合、骨材の種類、仕上げ方法、表面強化材の種類及び前記表面強化材の塗布量のうちの一つまたは複数の組合せであってもよい。
このように構成されたコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法では、コンクリート配合、骨材の種類、仕上げ方法、表面強化材の種類及び表面強化材の塗布量のうちの一つまたは複数の組合せをコンクリートの条件として、組合せモデルを準備する。具体的なコンクリートの条件に基づいて、轍の発生時期をより正確に予測することができる。
また、本発明に係るコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法では、前記車両の条件は、車輪の形状、前記車輪の素材及び載荷重量のうちの一つまたは複数の組合せであってもよい。
このように構成されたコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法では、車輪の形状、車輪の素材及び載荷重量のうちの一つまたは複数の組合せを車両の条件として、組合せモデルを準備する。具体的な車両の条件に基づいて、轍の発生時期をより正確に予測することができる。
本発明に係るコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法によれば、コンクリート表面に発生する初期の微細なクラックを測定することで、その後に表面が破壊して轍として成長するまでの期間を予測することができる。
AGVの車輪の繰返し走行回数とコンクリート表面の摩耗量(轍深さ)との関係を示すグラフである。 コンクリート表面の(1)健全の状態を示す写真である。 コンクリート表面の(2)微細クラックが発生の状態を示す写真である。 コンクリート表面の(3)轍が発生の状態を示す写真である。 コンクリート表面の(4)轍深さが拡大の状態を示す写真である。 組合せによる繰返し走行回数(1)健全、(2)微細なクラックが発生及び載荷重量の関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法について説明する。例えば、AGV(車両)が走行する大形物流倉庫等の建物の床スラブの表面に発生する轍を対象として、轍の発生時期の予測方法を説明する。
AGVの車輪が繰返し走行することで、コンクリート表面は徐々にダメージを受けて、初めに微細なクラックが発生する。この微細なクラックが、深さ方向に破壊が進むことで轍に成長することになる。なお、微細なクラックとは、0.1mm以下(拡大鏡で視認できる幅)~0.5mm程度である。
図1は、AGVの車輪の繰返し走行回数とコンクリート表面の摩耗量(轍深さ)との関係を示すグラフである。なお、図1に示す(1)健全、(2)微細なクラックが発生、(3)轍が発生及び(4)轍深さが拡大の領域は、積載重量400kgfのグラフに基づくものである。
図2に、(1)健全の一例写真を示す。図3に、(2)微細クラックが発生の一例写真を示す。図4に、(3)轍が発生の一例写真を示す(写真中央に写っているのは定規である)。図5に、(4)轍深さが拡大の一例写真を示す(写真中央に写っているのは定規であり、この写真では轍の幅は約5cmである)。
図1に示すように、車輪が走行する前は、表面はクラックがない健全な状態である(「(1)健全」参照)。車輪が繰返し走行することでコンクリート表面には、微細なクラックが発生する(「(2)微細クラックが発生」参照)。微細なクラックは、徐々にクラックの数や幅が拡大していくが、しばらくは深さ方向には進行しない。その後、コンクリート表面が破壊し始めて、少しずつ深さ方向に轍が発生し(「(3)轍が発生」参照)、その後轍深さが拡大する(「(4)轍深さが拡大」参照)。
物流倉庫では、(3)轍が発生の状態から(4)轍深さが拡大の状態になると、補修が必要な範囲を区切って、AGVが侵入しないようにプログラムを変更し、補修材が十分に硬化するまで1週間程度の期間を確保する必要がある。この作業は、物流倉庫の可動量減少につながることが懸念されている。一方、補修する際は、ある程度の面積を確保することになるため、同時に補修する多くの箇所が(4)轍深さが拡大の状態になるまで放置することになるという悪循環になっている。したがって、物流倉庫のスラブは、(2)微細クラックが発生の状態の間にチェックし、部分的に短時間で補修することが理想である。
(1)健全と(2)微細クラックが発生との関係は、例として図6に示すイメージとなる。図6の横軸は、(1)健全な状態が維持されるAGVの繰返し走行回数を示している。換言すると、図6の横軸は、(1)健全な状態から(2)微細クラックが発生し始めるまでのAGVの繰返し走行回数を示している。図6の縦軸は、(2)微細クラックが発生し始めてから(3)轍が発生し始めるまでのAGVの繰返し走行回数を示している。(1)健全から(2)微細クラックが発生するまでの繰返し走行回数は、コンクリート条件及びAGV条件(車両条件)を変化させるため、組合せモデルごとのデータを取得する。コンクリート条件は、コンクリートの配合、骨材の種類、研磨等の仕上げ方法、表面強化材の種類及び表面強化材の塗布量である。AGV条件は、車輪の形状(扁平やタイコ型)、車輪表面の素材(硬さ)及び載荷重量(AGVの重量)である。(1)健全の長さと(2)微細クラックが発生の長さとの関係は、コンクリート表面が極めて硬く、比較して車輪の負荷が極めて小さい場合は、(1)健全の長さから(2)微細クラックに変化しないため、永久的に轍が発生しないことになる。また、(1)健全な状態(コンクリートスラブ表面に全くひび割れのない綺麗な状態)から、(2)微細クラックが発生するまでの繰返し走行回数が多いほど、(2)微細クラックが発生の状態から、このクラックが徐々に大きくなり、コンクリートスラブの表面が崩壊し始めて(3)轍が発生し始めるまでの繰返し走行回数が多くなる。
このように、複数の試験体での組合せモデルの試験で(1)健全~(3)轍が発生に至るまでの繰り返し回数データを取得しておくことで、実案件におけるAGVの仕様や運用条件に合ったスラブの仕様選定、メンテナンス計画に反映することができる。また、(2)微細クラックの時期に実案件でAGVの走行路を調査し、実用に応じて部分的な補強を施すことが可能となる。
以上より手順を示す。
(手順1)
・コンクリート条件とAGV条件を組合せた試験体における、車輪の繰返し走行試験を実施する。
(手順2)
・(1)健全の繰返し走行回数と(2)微細クラックが発生の繰返し走行回数との関係を組合せモデルごとに把握する(図6参照)。
(手順3)
・AGVの仕様や走行条件に合わせたスラブ仕様と車輪素材の組合せを提示する。
・実際に走行するAGV及びコンクリートスラブの条件に合った(近い)組合せモデルを選択する。当該組合せモデルの試験結果に基づいて、轍の発生時期を予測する。
・轍が発生する前段階の(2)微細クラックが発生の段階において、繰返し走行回数に合わせたスラブ表面チェック時期を提示する。
・早期メンテナンス時期を提示する。
(手順4)
・(2)微細クラックが発生の状態での部分補修を実施する。轍に至るまでの時期を延命する。
このように構成されたコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法では、複数の試験体で条件を異ならせたAGVを走行させて、複数の組合せモデルを事前に準備しておく。適切な組合せモデルを選択して、組合せモデルの結果に基づいて、実際にAGVが走行するコンクリートスラブの表面における轍の発生時期を予測することができる。よって、コンクリート表面に発生する初期の微細なクラックを測定することで、その後に表面が破壊して轍として成長するまでの期間を予測することができる。
また、コンクリート配合、骨材の種類、仕上げ方法、表面強化材の種類及び表面強化材の塗布量のうちの一つまたは複数の組合せをコンクリートの条件として、組合せモデルを準備する。具体的なコンクリートの条件に基づいて、轍の発生時期をより正確に予測することができる。
また、車輪の形状、車輪の素材及び載荷重量のうちの一つまたは複数の組合せをAGVの条件として、組合せモデルを準備する。具体的なAGVの条件に基づいて、轍の発生時期をより正確に予測することができる。
また、設計段階において、AGVの仕様や走行条件に合わせたスラブ仕様を選定できる。スラブ仕様に合った車輪の素材を選択できる。
また、(2)微細クラックが発生の繰返し走行回数に合わせて、スラブ表面チェック時期が分かる。
また、轍に至る前のメンテナンス時期が把握でき、簡易で安価な部分補修が選定できる。物流倉庫の稼働率を極力下げない補修作業が可能となる。
以上、本発明に係る外装材の風荷重評価方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記に示す実施形態では、コンクリート配合、骨材の種類、仕上げ方法、表面強化材の種類及び表面強化材の塗布量をコンクリートの条件として組合せモデルを準備したが、本発明はこれに限られない。コンクリート配合、骨材の種類、仕上げ方法、表面強化材の種類及び前記表面強化材の塗布量のうちの一つまたは複数の組合せをコンクリートの条件とすればよい。
また、上記に示す実施形態では、車輪の形状、車輪の素材及び載荷重量をAGVの条件として組合せモデルを準備したが、本発明はこれに限られない。車輪の形状、車輪の素材及び載荷重量のうちの一つまたは複数の組合せをAGVの条件とすればよい。
また、上記に示す実施形態では、車両としてAGVを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。車両の種類は適宜設定可能である。

Claims (2)

  1. コンクリートの条件を異ならせた複数の試験体に、条件を異ならせた車両を走行させて、
    前記コンクリートの表面が健全な状態が維持される前記車両の走行回数、及び前記コンクリートの表面に微細なクラックが発生する前記車両の走行回数を測定し、前記コンクリートの条件と前記車両の条件と前記車両の走行回数とを組合せて、複数の組合せモデルを準備し、
    前記車両が走行するコンクリートスラブにおいて、適切な前記組合せモデルを選択して、前記組合せモデルの結果に基づいて、前記コンクリートスラブの表面における轍の発生時期を予測し、
    前記コンクリートの条件は、コンクリート配合、骨材の種類、仕上げ方法、表面強化材の種類及び前記表面強化材の塗布量のうちの一つまたは複数の組合せであるコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法。
  2. 前記車両の条件は、車輪の形状、前記車輪の素材及び載荷重量のうちの一つまたは複数の組合せである請求項1に記載のコンクリートスラブ表面における轍の発生時期の予測方法。
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