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JP7680704B2 - 積層コアならびにその製造装置および製造方法 - Google Patents
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JP7680704B2 - 積層コアならびにその製造装置および製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層コアならびにその製造装置および製造方法に関する。
従来、回転電機等のコアとして、複数の電磁鋼板を積層した構成を有する積層コアが利用されている。積層コアの製造方法の一つとして、接着剤が塗布された鋼帯から所定の形状のコアシートを打ち抜き、得られた複数のコアシートを互いに接着することによって積層コアを製造する方法が知られている。
例えば、特許文献1に開示された積層鉄心の製造方法では、外形打抜きパンチによって帯状鋼板から打ち抜かれた鉄心薄板が外形打抜きダイに押し込まれる。外形打抜きダイ内に押し込まれた鉄心薄板は、先に打抜かれた鉄心薄板上に積層され、外形打抜きダイの下部のスクイズリング内へと順次押し込まれる。スクイズリング内に押し込まれた鉄心薄板は、スクイズリングの内周面に圧接しながら移動することで互いに密着する。このとき、加熱ヒータの加熱により各鉄心薄板間の接着剤が硬化し、所定枚数の鉄心薄板が互いに固定された積層鉄心が形成される。
特開2009-297758号公報
特許文献1に開示された方法では、打ち抜きダイによる鉄心薄板の打ち抜きならびにスクイズリング内における複数の鉄心薄板の加圧および加熱を連続的に行うことができる。これにより、効率よく積層鉄心を製造することができる。
しかしながら、本発明者による研究の結果、上記のように複数の鉄心薄板の加圧および加熱を同時に行う場合には、得られた積層鉄心に圧縮残留応力が発生し、鉄損が増加する場合があることが分かった。
そこで、本発明は、低鉄損の積層コア、ならびにその製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る積層コアは、
複数の電磁鋼板が接着剤層を介して積層された積層コアであって、
当該積層コアから分離した二層の電磁鋼板に対する当該積層コアの鉄損劣化率が、10%以下である、ことを特徴とする。
前記積層コアの積層方向における一端の前記電磁鋼板には、前記積層方向において外側に突出する複数の凸部が形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る積層コアの製造方法は、
パンチ、前記パンチの下方に配置される打ち抜きダイ、前記打ち抜きダイの下方に配置される第1保持部、前記第1保持部の下方に配置される第2保持部、および前記第2保持部の周囲に配置される加熱部を備えた製造装置において、
前記パンチおよび前記打ち抜きダイによって表面に熱硬化性の接着剤層を有する鋼帯から複数のコアシートを打ち抜き、
打ち抜いた前記複数のコアシートの外周部を前記第1保持部によって側方から加圧しつつ、前記複数のコアシートを前記パンチによって下方に加圧し、
前記パンチによって下方に加圧された前記複数のコアシートを、前記第2保持部内に保持しつつ前記加熱部によって加熱し、
前記第1保持部では、前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度未満の温度で保持し、
前記加熱部は、前記第2保持部内に保持された前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度以上の温度に加熱する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施形態に係る積層コアの製造装置は、
表面に接着剤層を有する鋼帯から複数のコアシートを打ち抜き、得られた複数のコアシートを互いに接着することによって積層コアを製造する装置であって、
パンチ、
前記パンチの下方に配置される打ち抜きダイ、
前記打ち抜きダイの下方に配置される第1保持部、
前記第1保持部の下方に配置される第2保持部、および
前記第2保持部の周囲に配置される加熱部、
を備え、
前記パンチおよび前記打ち抜きダイによって鋼帯から複数のコアシートを打ち抜き、
打ち抜いた前記複数のコアシートの外周部を前記第1保持部によって側方から加圧しつつ、前記複数のコアシートを前記パンチによって下方に加圧し、
前記パンチによって下方に加圧された前記複数のコアシートを、前記第2保持部内に保持しつつ前記加熱部によって加熱し、
前記第1保持部では、前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度未満の温度で保持し、
前記加熱部は、前記第2保持部内に保持された前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度以上の温度に加熱する、ことを特徴とする。
前記第1保持部において前記コアシートに接触する部分の上下方向の長さは、5mm以上であってもよい。
前記パンチは、2.0MPa以下の加圧力で、前記複数のコアシートを加圧してもよい。
前記加熱部は、赤外線加熱装置を含んでもよい。
本発明によれば、低鉄損の積層コアが得られる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コアの製造装置を示す概略断面図である。 図2は、鋼帯の表面近傍を示す拡大断面図である。 図3は、鉄損の測定方法を説明するための図である。 図4は、本発明の第1実施形態に係る積層コアの製造方法を説明するための図である。 図5は、本発明の第1実施形態に係る積層コアの製造方法を説明するための図である。 図6は、本発明の第1実施形態に係る積層コアの製造方法を説明するための図である。 図7は、製造装置の変形例を示す図である。 図8は、製造装置の他の変形例を示す図である。 図9は、製造装置のその他の変形例を示す図である。 図10は、積層コアの変形例を示す図である。 図11は、本発明の第2実施形態に係る積層コアの製造装置を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る積層コアならびにその製造装置および製造方法について図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積層コアの製造装置を示す概略断面図である。製造装置100は、所定方向に搬送される鋼帯1から複数のコアシート1aを打ち抜き、得られた複数のコアシート1aを互いに接着することによって積層コア2を製造する装置である。本実施形態では、積層コア2は、円筒形状を有し、回転電機においてステータコアとして用いられる。なお、積層コア2は、回転電機においてロータコアとして用いられる積層コアであってもよい。また、積層コア2がステータコアを構成する複数の分割コアの一つであってもよい。また、積層コア2が、回転電機以外の装置のコアであってもよい。
以下、鋼帯1について簡単に説明した後、積層コア2および製造装置100について詳細な説明を行う。図2は、鋼帯1の表面近傍を示す拡大断面図である。
図2に示すように、鋼帯1は、母材鋼板11aと、接着剤層11bとを備える。本実施形態では、母材鋼板11aとして無方向性電磁鋼板が用いられるが、母材鋼板11aとして方向性電磁鋼板が用いられてもよい。なお、本明細書において、電磁鋼板とは、絶縁被膜等を除く母材部分(母材鋼板)を意味する。接着剤層11bは、母材鋼板11aの表面に形成されている。本実施形態では、接着剤層11bは、母材鋼板11aの両面に形成されるが、接着剤層11bは、母材鋼板11aの一方の表面のみに形成されてもよい。
母材鋼板11aの化学組成は、基本元素を含有し、必要に応じて任意元素を含有し、残部がFeおよび不純物である。本実施形態では、母材鋼板11aの化学組成は、例えば、基本元素として、質量%で、Si:1.0~4.5%、Al:0.1~1.5%、およびMn:0.2~4.0%を含有する。
接着剤層11bは、母材鋼板11aの表面を全面にわたって覆うように形成されている。接着剤層11bとしては、熱硬化性樹脂が用いられる。本実施形態では、接着剤層11bは、接着能に加えて、絶縁性能を有している。本実施形態では、接着剤層11bは、例えば、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを含有する絶縁被膜である。
エポキシ樹脂としては、例えば、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)、リン含有エポキシ樹脂、ならびにこれらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂等)または水素添加物等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、芳香族ポリアミン、酸無水物、フェノール系硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素-アミン錯体、有機酸ヒドラジッド等が挙げられる。芳香族ポリアミンとしては、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、フェノールレゾール樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤としては、フェノール系硬化剤が好ましく、フェノールレゾール樹脂がより好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、詳細な説明は省略するが、接着剤層11bは、例えば、アクリル樹脂と、アクリル樹脂硬化剤とを含有する絶縁被膜であってもよい。
また、詳細な説明は省略するが、母材鋼板11aと接着剤層11bとの間に、さらに別の絶縁被膜が形成されていてもよい。絶縁被膜を構成する物質としては、例えば、(1)無機化合物、(2)有機樹脂、(3)無機化合物と有機樹脂との混合物、等が適用できる。無機化合物としては、例えば、(1)重クロム酸塩とホウ酸の複合物、(2)リン酸塩とコロイダルシリカの複合物、(3)リン酸塩、(4)Zr化合物、(5)Ti化合物等が挙げられる。有機樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
(積層コアの構成)
上述したように、積層コア2は、鋼帯1から打ち抜かれた複数のコアシート1aを積層した構成を有する。より具体的には、積層コア2は、所定形状に打ち抜かれた複数の母材鋼板(電磁鋼板)11aを、接着剤層11bによって互いに接着して積層した構成を有している。積層コアは、例えば、表面に接着剤層11bが形成された複数のコアシート1aを積層して加圧および加熱等を行い、コアシート1a同士を接着剤層11bを介して接着固定することにより得られる。
(鉄損劣化率の測定方法)
本実施形態では、積層コア2から取り出した二層(本実施形態では、二枚)の母材鋼板11a(コアシート1a)に対する積層コア2の鉄損劣化率が10%以下となるように、積層コア2が製造される。積層コア2および二層の母材鋼板11aの鉄損は以下のようにして測定される。
まず、積層コア2の鉄損を測定する。測定に用いる積層コア2は、上述の通り、所定形状に打ち抜かれた複数(2枚以上)の母材鋼板(電磁鋼板)11aを、接着剤層11bによって互いに接着して積層した構成を有するものであればよい。積層コア2は、例えば上述の方法により得られたものであり、所定の熱処理(歪取焼鈍など)を施されたものであってもよい。測定に用いる積層コアの寸法は特に限定されない。積層コアを構成する電磁鋼板の積層数も特に限定されないが、例えば2枚の電磁鋼板からなる積層コアとしてもよい。本実施形態では、BROCKHAUS社製の磁気特性測定装置(BST-L)によって、積層コア2の鉄損W15/50(W/kg)を測定する。
次に、積層コア2から、鉄損の測定対象となる二層のコアシート1aを取り出す。測定対象となる二層のコアシート1aは、後述される手法により、積層コア2から分離され、接着剤層を除去された二枚のコアシートである。上述したように、本実施形態では積層コア2は円筒形状を有しており、各コアシート1aは、円環形状を有している。したがって、本実施形態では、積層コア2の表面側の二枚のコアシート1aが、鉄損の測定対象となる二層のコアシート1aとなる。なお、鉄損の測定対象となる二層(本実施形態では、二枚)のコアシート1aは、積層コア2の厚み方向における一方側の二層のコアシート1a、または、積層コア2の厚み方向における他方側の二層のコアシート1aとすることが好ましい。ただし、後述する図10に示すように、複数の積層コア2を分離するための凸部3が形成されている場合には、凸部3が形成されていない側の二層のコアシート1aを鉄損の測定対象とする。なお、鉄損の測定対象となる二層のコアシート1aの寸法は特に限定されないが、後述する手法により積層コア2から取り出したコアシート1aを、そのまま用いればよい。
本実施形態では、加熱炉において、積層コア2を400℃で12時間加熱することによって接着剤層11bを炭化させて、積層コア2の表面側の二枚のコアシート1aを分離する。そして、積層コア2から分離した二枚のコアシート1aの表面をアセトンで洗浄して、各コアシート1aの表面から接着剤層11bを完全に取り除く。その後、接着剤層11bが取り除かれた二枚のコアシート1a(母材鋼板11a)を重ね合わせて、BROCKHAUS社製の磁気特性測定装置(BST-L)によって、鉄損W15/50(W/kg)を測定する。なお、上記のようにして二枚のコアシート1aを積層コア2から分離しかつ接着剤層11bを除去する場合には、コアシート1aの分離時および接着剤層11bの除去時に、母材鋼板11a(コアシート1a)の鉄損が増加することを防止しつつ、積層コア製造時の加圧および加熱処理により、また、接着時に接着剤層11bによりコアシート1aに付与された圧縮残留応力を除去することができる。したがって、上記のようにして積層コア2から分離および接着剤層11bを除去した二枚の母材鋼板11aの鉄損は、互いに接着される前の二枚のコアシート1a(母材鋼板11a)の鉄損と同等であると考えられる。この二枚のコアシート1a(母材鋼板11a)を基準として積層コア2の鉄損劣化率を算出することにより、積層コア2を製造する際の加圧および加熱処理、また、接着剤層11bに起因する鉄損劣化の影響を適切に評価することができる。
なお、上記の加熱条件によっては接着剤層11bを除去できない場合には、積層コア2を溶剤に浸漬することによって接着剤層11bを溶解して、積層コア2の表面側の二枚のコアシート1aを分離する。この場合も、母材鋼板11aの鉄損が増加することを防止しつつ、積層コア製造時(接着時)に母材鋼板11aに生じた圧縮残留応力を除去することができる。使用する溶剤は、接着剤層11bの成分に応じて決定すればよい。例えば、接着剤層11bとしてエポキシ系の樹脂が用いられている場合には、ケトン系の溶剤(アノン、メチルエチルケトン等)を用いることができる。なお、接着剤層11bの成分は、公知の方法によって検査することができる。また、接着剤層11bを溶解するための溶剤も、公知の溶剤を用いることができる。
本実施形態に係る積層コア2では、上記のようにして測定した二層(本実施形態では、二枚)の母材鋼板11aの鉄損に対する積層コア2の鉄損劣化率が10%以下となる。具体的には、下記式(a)によって算出される鉄損劣化率が10%以下となる。
鉄損劣化率(%)=((積層コアの鉄損-二層の母材鋼板の鉄損)/二層の母材鋼板の鉄損)×100 ・・・(a)
なお、積層コアが、ステータを構成するための複数の分割コアの一つである場合には、以下のようにして積層コアの鉄損を測定する。図3(a)に示すように、一つの分割コア2aと磁気特性測定装置のU字状の測定ヘッド5とによって閉磁路を形成できる場合には、分割コア2a単体で測定した鉄損を積層コアの鉄損とする。この場合、分割コア2aから分離した表面側の二枚のコアシートの鉄損を、二層の母材鋼板の鉄損とする。
一方、図3(b)に示すように、一つの分割コア2bと測定ヘッド5とによって閉磁路を形成できない場合には、閉磁路が形成できるように複数の分割コア2bを接続する。そして、複数の分割コア2bを接続した状態で測定した鉄損を、積層コアの鉄損とする。この場合、各分割コア2bから表面側の二枚のコアシートを分離し、分離した複数(本例では、六枚。)のコアシートを図3(b)と同様に接続して測定した鉄損を、二層の母材鋼板の鉄損とする。
なお、分割コアが、回転電機のステータコアとして組み込まれた状態である場合には、まず、回転電機から取り出したステータコアを、複数の分割コアに分解する。その後、図3(a)または図3(b)を用いて説明した上記の方法によって鉄損を測定する。
(製造装置の構成)
次に、製造装置100について詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る製造装置100は、ベース部10と、パンチ12と、打ち抜きダイ14と、第1保持部16と、第2保持部18と、加熱部20とを備えている。なお、図示は省略するが、製造装置100では、鋼帯1の搬送方向においてパンチ12および打ち抜きダイ14の上流側においても、他のパンチおよびダイ等によって、鋼帯1に所定の加工(スロットの形成等)が行われる。例えば、後述する図10に示すように、積層コア2の最上部のコアシート1a(母材鋼板11a)に複数の凸部3が形成される場合には、鋼帯1のうち凸部3を有するコアシート1aとして打ち抜かれる領域に対して、凸部を形成するためのプレス加工が行われる。
パンチ12は、上下方向に進退可能に、ベース部10の上方に配置されている。打ち抜きダイ14は、パンチ12の下方に配置されている。打ち抜きダイ14は、積層コア2の外形に対応した筒形状を有している。本実施形態では、打ち抜きダイ14の上端側の開口縁14aが切断刃として機能する。本実施形態では、開口縁14aは、円形状を有している。本実施形態では、所定方向に搬送される鋼帯1に対して、パンチ12および打ち抜きダイ14によって外形抜き加工が繰り返し行われ、鋼帯1から複数のコアシート1aが打ち抜かれる。
図1には、打ち抜きダイ14の開口縁14aの中心を通って上下方向に延びる仮想線Aが一点鎖線で示されている。以下において、径方向とは、仮想線Aに直交する方向を意味する。また、以下において周方向とは、上方から見て、開口縁14aの中心を中心とする仮想円の円周方向を意味する。
第1保持部16は、打ち抜きダイ14の下方に配置されている。本実施形態では、第1保持部16は、図示しない取り付け部材を用いて、ベース部10に固定されている。本実施形態では、第1保持部16は、複数の保持部材16aと、複数の押圧装置16bとを備えている。
複数の保持部材16aは、周方向に並ぶように配置されている。各保持部材16aは、径方向に移動可能に設けられている。各保持部材16aに対して、押圧装置16bが設けられている。押圧装置16bは、保持部材16aを径方向に移動させる装置である。本実施形態では、押圧装置16bは、例えば油圧装置を含み、油圧によって押圧装置16bを径方向に移動させる。
なお、第1保持部16は、パンチ12および打ち抜きダイ14によって打ち抜かれた複数のコアシート1aを側方(径方向外側)から加圧できるように構成されていればよい。したがって、例えば、複数の保持部材16aのうちのいずれかの保持部材16aが、径方向に移動しないように固定されていてもよい。この場合、その固定された保持部材16aに対しては、押圧装置16bを接続しなくてよい。なお、第1保持部の構成は上述の例に限定されず、公知の種々のスクイズリングの構成を利用して第1保持部を構成することができる。
第2保持部18は、第1保持部16の下方に配置されている。本実施形態では、第2保持部18は、第1保持部16とは別部材によって構成されている。本実施形態では、第2保持部18は、第1保持部16と同軸上に設けられている。本実施形態では、第2保持部18は、径方向に移動可能に設けられた複数の保持部材18aを有している。図示は省略するが、各保持部材18aに対して、付勢装置が設けられている。本実施形態では、付勢装置は、例えば、ばね等の弾性部材を含み、保持部材18aを径方向内側(仮想線A側)に向かって付勢している。なお、第2保持部の構成は上述の例に限定されず、公知の種々のスクイズリングの構成を利用して第2保持部を構成することができる。例えば、各保持部材18aが、上下方向に積み重ねられかつ互いに連結された複数の部材によって構成されてもよい。
加熱部20は、第2保持部18の周囲に配置されている。本実施形態では、加熱部20は、第1保持部16よりも下方に設けられている。本実施形態では、加熱部20は、複数の加熱装置20aを含む。加熱装置20aとしては、例えば、赤外線加熱装置が用いられる。本実施形態では、各保持部材18aに対して、加熱装置20aが設けられている。なお、加熱部20の構成は上述の例に限定されず、第2保持部18(保持部材18a)または第2保持部18に保持されたコアシート1aを加熱することができる種々の加熱装置を加熱部として用いることができる。例えば、加熱部として、第2保持部18を囲むように設けられた高周波誘導加熱装置を用いてもよい。
(積層コアの製造方法)
次に、上述の製造装置100を用いた積層コア2の製造方法について説明する。本実施形態では、図示しない送り出し機構(ローラ等)によって、図示しないコイル(フープ材)から鋼帯1を所定方向に送り出しつつ、パンチ12および打ち抜きダイ14(開口縁14a)によって鋼帯1から複数のコアシート1aが打ち抜かれる。
図4に示すように、打ち抜かれた複数のコアシート1aは、打ち抜きダイ14内に順次積層される。なお、鋼帯1から打ち抜かれたコアシート1aの外周部は打ち抜きダイ14の内周面に接触するが、本実施形態では、打ち抜きダイ14からコアシート1aに対して大きな圧力は加えられない。このため、パンチ12および打ち抜きダイ14(開口縁14a)によって鋼帯1から打ち抜かれたコアシート1aは、打ち抜きダイ14の内周面に保持されることなく、打ち抜きダイ14内を下方へ移動する。
図5に示すように、鋼帯1からさらにコアシート1aが打ち抜かれることによって、複数のコアシート1aが第1保持部16内へ順次押し込まれる。本実施形態では、パンチ12および打ち抜きダイ14によって新たなコアシート1aが打ち抜かれるごとに、打ち抜きダイ14内から第1保持部16内へ、コアシート1aが1枚ずつ押し込まれる。
上述したように、第1保持部16は、コアシート1aを側方(径方向外側)から加圧できるように構成されている。本実施形態では、第1保持部16内において、複数のコアシート1aが側方から加圧された状態が維持される。このため、パンチ12が複数のコアシート1aを下方へ加圧することによって上下方向に隣り合うコアシート1a間に生じた圧力を第1保持部16内において維持することができる。これにより、複数のコアシート1aが上下方向に加圧され、第1保持部16内において、上下方向に隣り合う母材鋼板11aが、接着剤層11bを介して圧着される。本実施形態では、複数のコアシート1aの自重によって上下方向に隣り合うコアシート1a間に生じる圧力よりも大きい圧力を、第1保持部16内において上下方向に隣り合うコアシート1a間に生じさせ、かつ維持することができる。なお、第1保持部16内で加圧された上下方向に隣り合うコアシート1a同士は、後述する第2保持部18内において加熱および加圧された後のコアシート1aよりも弱い力(接着力)で固定されている。すなわち、第1保持部16内において、上下方向に隣り合うコアシート1a同士が接着(仮接着)される。なお、パンチ12から複数のコアシート1aへの加圧力は、2.0MPa以下に設定することが好ましく、コアシート1aを打ち抜くために必要となる圧力(打ち抜き圧力:例えば、0.1MPa程度)に近付けることがより好ましい。前記の加圧力は、例えば1.8MPa以下に設定してもよく、1.0MPa以下に設定してもよい。また、0.1MPa以上に設定してもよい。また、第1保持部16(本実施形態では、保持部材16a)からコアシート1aの外周部への加圧力は、例えば、コアシート1aの落下を防止できる大きさに設定される。本実施形態では、コアシート1aと第1保持部16との間に生じる静止摩擦力が、コアシート1aの重量よりも大きくなるように、上記加圧力が設定される。
なお、上述したように、打ち抜きダイ14の内周面からコアシート1aに対して大きな圧力は加えられない。このため、パンチ12が複数のコアシート1aを下方へ加圧することによって打ち抜きダイ14内において上下方向に隣り合うコアシート1a間に圧力が発生しても、その状態は維持されない。このため、打ち抜きダイ14内においては、複数のコアシート1aは互いに圧着されない。
本実施形態では、第1保持部16は、複数のコアシート1aを接着剤層11bの軟化温度未満の温度で保持する。これにより、第1保持部16内において、上下方向に隣り合う一対の母材鋼板11a同士が圧着される前に当該一対の母材鋼板11aの間の接着剤層11bが軟化することが防止される。第1保持部16において複数のコアシート1aを接着剤層11bの軟化温度未満の温度で保持する場合は、複数のコアシート1aの加圧および加熱を同時に行う場合でも、得られる積層コアに生じる圧縮残留応力を低減し、鉄損の増加を抑制することができる。また、第1保持部16における複数のコアシート1aの保持温度は接着剤層11bの軟化温度未満であれば限定されないが、例えば、接着剤層11bの軟化温度よりも10℃以上低い温度とすることができ、接着剤層11bの軟化温度よりも30℃以上低い温度としてもよい。第1保持部16における上記保持温度の下限は特に限定されないが、例えば0℃以上、もしくは、室温程度(20℃)以上としてもよく、40℃以上としてもよい。なお、第1保持部16内における複数のコアシート1aの保持温度(接着剤層11bの温度)は、第1保持部16に熱電対温度計または放射温度計を埋め込むことによって測定することができる。本実施形態では、上記のようにして測定される保持温度(接着剤層11bの温度)に基づいて、第1保持部16内におけるコアシート1a(接着剤層11b)の温度が軟化温度未満となるように、加熱部20の出力制御を行う他、第1保持部16の上下方向の長さを調整すること、もしくは、第1保持部16と第2保持部18との境界部に断熱部を設けることなどを行ってもよい。また、事前に加熱部20の加熱試験を行って、加熱部20の加熱による接着剤層11bの温度上昇挙動についてシミュレーションを行ってもよい。そして、シミュレーションによって得られた接着剤層11bの温度上昇挙動に基づいて、加熱部20の出力制御を行ってもよい。なお、第1保持部16内の温度は、第1保持部16と連続して設けられる第2保持部内の温度の影響を受けて上昇する場合があるが、上述の方法により、第1保持部16内の温度を接着剤層11bの軟化温度未満に制御することができる。なお、本実施形態では、第1保持部16における保持温度が接着剤層11bの軟化温度未満であればよく、本実施形態の作用効果は、第1保持部16における加熱部の有無、および、コアシート1aの意図的加熱の有無には影響を受けない。一方で、コアシート1aに生じる圧縮残留応力をより低減する観点より、第1保持部16では、複数のコアシート1aが加熱されることを抑制することが好ましい。例えば、装置の簡略化およびコアシート1aに生じる圧縮残留応力をより低減するため、第1保持部16には、加熱部20を設けないことが好ましい。このため、本実施形態では、加熱部20は、第1保持部16の下端部よりも下方に位置付けられている。
なお、上下方向に隣り合う一対のコアシート1a(母材鋼板11a)同士が圧着される前に当該一対の母材鋼板11aの間の接着剤層11bが軟化することを防止する観点から、第1保持部16のうちコアシート1aに接触する部分の上下方向の長さ(本実施形態では、保持部材16aの長さ。)は、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることが好ましい。第1保持部16のうちコアシート1aに接触する部分の上下方向の長さの上限は特に限定されないが、例えば160mm以下であればよく、20mm以下としてもよい。この場合、第1保持部16においてコアシート1a同士を圧着するための時間を十分に確保できるので、接着剤層11bが軟化する前に、コアシート1a同士をより適切に圧着することができる。
接着剤層11bの軟化温度は、TMA(熱機械分析)によって測定することができる。具体的には、鋼帯1から、7mm×7mm以下の切板を採取し、採取した切板を用いて、針入モードで接着剤層11bの軟化温度を測定する。針荷重は、0.5kgf~2.0kgfに設定し、加熱速度は15℃/minに設定する。なお、針荷重は、針の侵入深さに基づいて適宜調整する。具体的には、まず、0.5kgfの針荷重で測定を実施し、針の侵入深さが接着剤層11bの厚みと一致しない場合には、針の侵入深さと接着剤層11bの厚みとが一致するように針荷重を大きくして再度測定を実施する。例えば、針荷重を1.5kgfに設定して再度測定を実施する。針の侵入深さを接着剤層11bの厚みに一致させるための針荷重は、接着剤層11bの硬さによっても変化する。
図6に示すように、鋼帯1からさらにコアシート1aが打ち抜かれることによって、複数のコアシート1aは、第2保持部18内へ順次押し込まれる。本実施形態では、パンチ12および打ち抜きダイ14によって新たなコアシート1aが打ち抜かれるごとに、第1保持部16から第2保持部18内へ、コアシート1aが1枚ずつ押し込まれる。
第2保持部18内へ押し込まれたコアシート1aは、第2保持部18(複数の保持部材18a)によって側方(径方向外側)から保持されつつ、加熱部20によって加熱され、且つパンチ12により加圧される。本実施形態では、加熱部20は、第2保持部18内に保持された複数のコアシート1aを、接着剤層11bの軟化温度以上の温度に加熱する。これにより、第2保持部18内において各コアシート1aの接着剤層11bが軟化および硬化し、複数のコアシート1aが互いに固定される。また、複数のコアシート1aは、下方側から1枚ずつ第2保持部18内へ押し込まれ、第2保持部18内へ押し込まれたものから順に加熱される。そのため、積層された複数のコアシート1aは、下方側に位置するものから上方側に位置するものへと順次加熱されていき、下方側から徐々に加熱される。なお、本実施形態では、加熱部20は、第2保持部18内において接着剤層11bの温度が軟化温度以上の温度まで上昇するように、第2保持部18を加熱する。また、本実施形態では、第2保持部18から積層コア2への側方からの加圧力は、積層コア2の落下を防止できる大きさに設定される。本実施形態では、積層コア2と第2保持部18との間に生じる静止摩擦力が、積層コア2の重量よりも大きくなるように、上記加圧力が設定される。なお、第2保持部18における加熱温度は接着剤層11bの軟化温度以上の温度であればよいが、例えば、接着剤層11bの軟化温度よりも10℃以上高い温度としてもよく、接着剤層11bの軟化温度よりも40℃以上高い温度としてよい。第2保持部18における加熱温度の上限は特に限定されないが、例えば、200℃以下としてもよい。また、接着剤層11bを形成する接着剤が熱硬化性樹脂である場合、加熱部20は、第2保持部18に保持された複数のコアシート1aを、接着剤層11bの硬化温度以上の温度に加熱する。
なお、加熱部20として赤外線加熱装置を用いる場合には、各コアシート1aを、外周部から中心部に向かって徐々に昇温させることができる。これにより、各コアシート1aの接着剤層11bを、外周部から中心部に向かって徐々に硬化させることができる。この場合、第2保持部18内において上下に隣り合う母材鋼板11aの間から接着剤が漏れ出すことを防止できる。このような観点から、加熱部20としては、赤外線加熱装置を用いることが好ましい。本実施形態では、例えば、波長が750~1000nmの近赤外線を放射する赤外線加熱装置が用いられる。
最後に、図1に示すように、第2保持部18内において互いに固定された複数のコアシート1aが、積層コア2として第2保持部18から排出される。このようにして、積層コア2が得られる。なお、本実施形態では、コアシート1a(鋼帯1)の厚みは、例えば、0.1mm~0.5mmであり、積層コア2の質量は、例えば、0.1kg~6.0kgである。より大型の積層コア2、例えば、質量が6.0kgを超える積層コア2を製造する場合には、第2保持部18に設けられた付勢装置による力だけでは、積層コア2を保持することが難しい場合がある。このような場合には、後述の図9に示すように、支持装置26によって積層コア2を下方から支持することが好ましい。
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る製造装置100においては、第1保持部16は、複数のコアシート1aを接着剤層11bの軟化温度未満の温度で保持する。これにより、第1保持部16内において上下方向に隣り合うコアシート1a同士が加圧される前に接着剤層11bが軟化することを防止することができ、複数のコアシート1aの加圧および加熱によりコアシート1aに生じる圧縮残留応力を低減することができる。
ここで、本発明者が詳細な検討を行った結果、複数のコアシート1aに対して、接着剤層11bの軟化温度以上の温度での加熱および加圧を同時に開始する場合には、コアシート1aに圧縮方向の残留応力(径方向内側への残留応力)が発生する場合があることが分かった。具体的には、複数のコアシート1aを、接着剤層11bの軟化温度以上の温度に加熱しつつ加圧した場合、上下方向に隣り合う一対のコアシート1aが加圧される前に当該一対のコアシート1a間の接着剤層11bの軟化が進行する。この場合、接着剤層11bとその上方または下方の母材鋼板11aとの熱膨張量の差、および当該接着剤層11bの収縮に起因して、母材鋼板11aに圧縮方向の残留応力が発生しやすくなる。
一方で、予め上下に隣り合うコアシート1a同士を接着剤層11bの軟化温度未満の温度で保持しつつ加圧した後に、接着剤層11bの軟化温度以上の温度で上下に隣り合うコアシート1a同士を加熱および加圧して接着した場合は、加圧および加熱によりコアシート1aに生じる圧縮残留応力を低減することができることが分かった。また、上下方向に加圧された複数のコアシート1aを、下方側のコアシート1aから順に加熱する場合には、接着剤層11bとその上下の母材鋼板11aとは、互いに追従するように膨張および収縮する。この場合、さらに母材鋼板11aに圧縮方向の残留応力が発生することが抑制される。そこで、本実施形態に係る製造装置100では、上記のように、第1保持部16では、複数のコアシート1aを接着剤層11bの軟化温度未満の温度で保持しつつ加圧している。その後、第2保持部18において、複数のコアシート1aを接着剤層11bの軟化温度以上の温度で加熱および加圧することにより、複数のコアシート1a同士を接着固定する。これにより、第1保持部16内において上下方向に隣り合うコアシート1a同士が加圧される前に接着剤層11bが軟化することを防止することができる。その結果、第1保持部16において各母材鋼板11aに圧縮方向の残留応力が発生することを抑制でき、積層コア2の鉄損を小さくすることができる。また、本実施形態に係る製造装置100では、打ち抜きダイ14、第1保持部16、および第2保持部18が上下方向に連続的に配置されている。このような構成において、パンチ12によって下方側に押し込まれた複数のコアシート1aは、第2保持部18内において下方側から1枚ずつ順に接着剤層11bの軟化温度以上の温度に加熱される。第2保持部18において、複数のコアシート1aが下方側から徐々に接着剤層11bの軟化温度以上の温度に加熱されることにより、各母材鋼板11aに生じる圧縮残留応力を低減することでき、積層コア2の鉄損をより小さくすることができる。
なお、通常、適切な形状の積層コアを得るためには、パンチから複数のコアシートに対して、2.0MPaを超える大きな圧力を加えつつ接着剤層を硬化させる必要がある。しかし、この場合には、接着剤層と母材鋼板との間の摩擦力が大きくなり、母材鋼板に圧縮残留応力が発生するため、鉄損が増加する。これに対して、本実施形態では、第2保持部18において複数のコアシート1aの外周部が側方から保持(本実施形態では、加圧)されつつ、複数のコアシート1aが加熱される。これにより、複数のコアシート1aに対して積層方向に大きな圧力を加えることなく、複数のコアシート1a(母材鋼板11a)間の接着剤層11bを硬化することができる。この場合、接着剤層11bと母材鋼板11aとの間の摩擦力が大きくなることを防止でき、母材鋼板11aに圧縮残留応力が発生することを十分に抑制できる。これにより、パンチ12から複数のコアシート1aへの加圧力が2.0MPa以下と低い場合でも、複数のコアシート1aを適切に接着して、適切な形状の積層コア2を得ることができる。
なお、本実施形態に係る製造装置100では、第1保持部16と第2保持部18とが別部材によって構成されている。より具体的には、第1保持部16のうちコアシート1aに接触する部分(本実施形態では、保持部材16a)と、第2保持部18のうちコアシート1aに接触する部分(本実施形態では、保持部材18a)とが別部材によって構成されている。これにより、第2保持部18から第1保持部16への熱伝達が抑制され、第1保持部16の温度上昇を抑制される。その結果、保持部材16a内における複数のコアシート1aの温度上昇を容易に抑制することができる。
(変形例)
上述の実施形態では、母材鋼板11aの表面に1層の接着剤層11bが設けられる場合について説明したが、母材鋼板の表面に複数層(複数種)の接着剤層が設けられてもよい。この場合、第1保持部では、全ての接着剤層が軟化温度未満の温度となるように複数のコアシートが保持される。また、加熱部は、第2保持部内に保持された複数のコアシートを、全ての接着剤層が軟化温度以上の温度となるように加熱する。後述の実施形態においても同様である。
上述の実施形態では、第1保持部16と第2保持部18とが互いに独立して設けられているが、図7に示すように、第1保持部16と第2保持部18とが、複数の連結部22によって互いに連結されていてもよい。この場合、第1保持部16および第2保持部18を連動させることができるので、第1保持部16および第2保持部18の構成(保持部材16aおよび保持部材18aを押圧するための構成)を簡略化することができる。なお、連結部22は、保持部材16aおよび保持部材18aに形成された凹部および凸部であってもよい。この場合、例えば、凹部と凸部とをかしめることによって、保持部材16aと保持部材18aとを固定することができる。また、連結部22は、ボルトおよびナット等の締結部材であってもよい。
上述の実施形態では、第1保持部16の直下に第2保持部18が配置されているが、図8に示すように、第1保持部16と第2保持部18とが、保持部材18a(第2保持部18のうちコアシート1aに接触する部分)よりも熱伝導率が低い断熱部材24を介して連結されてもよい。この場合、第2保持部18から第1保持部16に熱が伝達されることを十分に抑制でき、第1保持部16の温度上昇を十分に防止することができる。なお、本実施形態では、断熱部材24が第1保持部16および第2保持部18を連結する連結部を構成する。
上述の実施形態では、第1保持部16および第2保持部18において側方から複数のコアシート1aを加圧することによって複数のコアシート1aを支持しているが、図9に示すように、さらに支持装置26によって複数のコアシート1aを下方から支持してもよい。これにより、複数のコアシート1aをより安定して支持することができる。なお、支持装置26は、例えば、油圧またはばね等の弾性部材の弾性力によって複数のコアシート1aを下方から支持する装置である。
上述の実施形態では、積層コア2を構成するすべてのコアシート1a(母材鋼板11a)が同様の形状を有しているが、積層コア2の形状は上述の例に限定されず、積層コア2の一部のコアシート1aの形状が他のコアシート1aの形状と異なっていてもよい。例えば、図10に示す積層コア2のように、積層方向における一端(本実施形態では上端)のコアシート1a(母材鋼板11a)に、積層方向において外側に突出する複数の凸部3が形成されていてもよい。複数の積層コア2を連続的に製造する際に、各積層コア2の上端のコアシート1aに上記のように複数の凸部3を形成することによって、複数の積層コア2を容易に分離することができる。その結果、複数の積層コア2を効率よく製造することができる。
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る積層コアの製造装置を示す概略断面図である。本実施形態に係る製造装置100aが図1に示した製造装置100と異なるのは、第1保持部16の代わりに第1保持部60が設けられ、第2保持部18の代わりに第2保持部80が設けられている点である。
本実施形態においても、第1保持部60は、上述の第1保持部16と同様に複数の保持部材16aおよび複数の押圧装置16bを有し、第2保持部80は、上述の第2保持部18と同様に複数の保持部材18aを有している。ただし、本実施形態では、第1保持部60においてコアシート1aに接触する部分と、第2保持部80においてコアシート1aに接触する部分とが同一の部材によって構成されている。具体的には、各保持部材16aと、その下方に位置する保持部材18aとが同一の部材によって構成されている。なお、本実施形態において保持部材16aとは、複数のコアシート1aを接着剤層11bの軟化温度未満の温度で保持している部分である。また、本実施形態では、保持部材18aの上端部は、コアシート1aの温度が接着剤層11bの軟化温度に達したときに当該コアシート1aに接触している部分である。
本実施形態においても、第1保持部60のうちコアシート1aに接触する部分の上下方向の長さ(本実施形態では、保持部材16aの長さ。)は、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることが好ましい。また、第1保持部60のうちコアシート1aに接触する部分の上端(本実施形態では、保持部材16aの上端。)と加熱部20の上端との上下方向の距離は、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることが好ましい。また、本実施形態においても、パンチ12から複数のコアシート1aへの加圧力は、2.0MPa以下に設定することが好ましく、1.8MPa以下に設定してもよく、コアシート1aを打ち抜くために必要となる圧力(打ち抜き圧力:例えば、0.1MPa程度)に近付けることがより好ましい。よって、パンチ12から複数のコアシート1aへの加圧力は、例えば、0.1MPa以上としてもよい。また、第1保持部60(本実施形態では、保持部材16a)からコアシート1aの外周部への加圧力は、例えば、コアシート1aの落下を防止できる大きさに設定される。本実施形態では、コアシート1aと第1保持部60との間に生じる静止摩擦力が、コアシート1aの重量よりも大きくなるように、上記加圧力が設定される。
本実施形態に係る製造装置100aにおいても、上述の第1実施形態に係る製造装置100と同様に、パンチ12および打ち抜きダイ14によって鋼帯1から複数のコアシート1aが打ち抜かれる。打ち抜かれた複数のコアシート1aの外周部を第1保持部60において側方から加圧しつつ、複数のコアシート1aをパンチ12によって下方に加圧することによって、複数のコアシート1aが圧着される。第1保持部60において圧着された複数のコアシート1aは、第2保持部80内において、加熱部20によって接着剤層11bの軟化温度以上の温度に加熱される。これにより、第2保持部80内において各コアシート1aの接着剤層11bが軟化および硬化し、複数のコアシート1aが互いに固定される。その後、互いに固定された複数のコアシート1aが第2保持部80から積層コア2として排出される。
本実施形態に係る製造装置100aにおいても、第1保持部60では、複数のコアシート1aが接着剤層11bの軟化温度未満の温度で保持される。これにより、第1保持部60内において上下方向に隣り合うコアシート1a同士が加圧される前に接着剤層11bが軟化することを防止することができる。その結果、各母材鋼板11aに圧縮方向の残留応力が発生することを抑制でき、積層コア2の鉄損を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る製造装置100aでは、第1保持部60および第2保持部80を連動させることができるので、第1保持部60および第2保持部80の構成(保持部材16aおよび保持部材18aを押圧するための構成)を簡略化することができる。図11に示した製造装置100aでは、押圧装置16bが保持部材16aに取り付けられているが、押圧装置16bが保持部材18aに取り付けられていてもよい。この場合、押圧装置16bは、保持部材18aを介して保持部材16aを径方向に移動させることができる。
本実施形態においても、第2保持部80において複数のコアシート1aの外周部が側方から保持(本実施形態では、加圧)されつつ、複数のコアシート1aが加熱される。これにより、複数のコアシート1aに対して積層方向に大きな圧力を加えることなく、複数のコアシート1a(母材鋼板11a)間の接着剤層11bを硬化することができる。この場合、接着剤層11bと母材鋼板11aとの間の摩擦力が大きくなることを防止でき、母材鋼板11aに圧縮残留応力が発生することを十分に抑制できる。これにより、パンチ12から複数のコアシート1aへの加圧力が2.0MPa以下と低い場合でも、複数のコアシート1aを適切に接着して、適切な形状の積層コア2を得ることができる。
なお、詳細な説明は省略するが、第2保持部80の下方にさらに他の保持部(例えば、公知のスクイズリング)が設けられてもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1に示した製造装置100と同様の構成を有する製造装置を用いて、実施例1~7および比較例1~4の積層コアを製造した。なお、加熱部20の位置は、適宜調整した。また、第1保持部16を備えていない点を除いて図1に示した製造装置100と同様の構成を有する製造装置を用いて、比較例5,6の積層コアを製造した。実施例および比較例のいずれにおいても、積層コアは、2枚の環状のコアシートによって構成した。なお、第1保持部16における保持温度は、隣接する第2保持部18の加熱温度の影響を受けて上昇した温度となっている。母材鋼板としては、無方向性電磁鋼板を用いた。実施例1~3,6および比較例1,2,5の積層コアの接着剤層は、エポキシ系の樹脂およびアミン系の硬化剤によって形成し、実施例4,5,7および比較例3,4,6の積層コアの接着剤層は、アクリル系の樹脂およびアミン系の硬化剤によって形成した。
製造した実施例1~7および比較例1~6の積層コアについて、上述した方法によって鉄損劣化率を測定した。具体的には、まず、実施例1~7および比較例1~6の積層コアの鉄損W15/50(W/kg)を、BROCKHAUS社製の磁気特性測定装置(BST-L)によって測定した。次に、加熱炉において、積層コアを400℃で12時間加熱することによって接着剤層を炭化させて、積層コアの二枚のコアシートを分離した。そして、分離した二枚コアシートの表面をアセトンで洗浄して、各コアシートの表面から接着剤層を完全に取り除いた後、二枚のコアシート(母材鋼板)を重ね合わせて、BROCKHAUS社製の磁気特性測定装置(BST-L)によって、鉄損W15/50(W/kg)を測定した。また、上述の(a)式によって、実施例および比較例の各積層コアの鉄損劣化率を算出した。なお、同一の条件で製造された3層以上の積層コアの鉄損と2層の積層コアの鉄損とを比較した場合、通常、2層の積層コアの鉄損の方が大きくなる。このため、実施例および比較例では、2層の積層コアの鉄損劣化率を評価した。上述の(a)式によって求めた2層の積層コアの鉄損劣化率が10%以下である場合には、その積層コアと同一条件で製造された3層以上の積層コアの鉄損劣化率も10%以下になると考えられる。なお、鉄損測定時の磁束密度は、1.5Tに設定し、周波数は50Hzに設定した。接着剤層の樹脂のタイプ、接着剤層の軟化温度、積層コアの製造条件、鉄損の測定結果および鉄損劣化率の算出結果を下記の表1に示す。
Figure 0007680704000001
なお、表1における接着剤層の軟化温度は、コアシートの素材となる鋼帯から切板を採取し、TMA(熱機械分析)によって測定した。また、表1における第1保持部の保持温度は、第1保持部16内におけるコアシートの最高温度を意味する。また、表1における第2保持部の加熱温度は、第2保持部18内におけるコアシートの最高温度を意味する。ただし、比較例5および6については、第2保持部の加熱温度は、第2保持部18内の上端部におけるコアシートの温度を意味する。なお、比較例1~4では、第1保持部16内におけるコアシートの最低温度は、いずれも軟化温度以上であった。第1保持部16内のコアシートの温度は、第1保持部16に、上下方向に並ぶように複数の熱電対温度計を配置して測定した。同様に、第2保持部18に、上下方向に並ぶように複数の熱電対温度計を配置して、第2保持部18内におけるコアシートの温度を測定した。
表1に示すように、第1保持部16内においてコアシートを接着剤層の軟化温度未満の温度で保持した実施例1~7では、積層コアの鉄損劣化率が10%以下となり、鉄損劣化を抑制できた。特に、パンチ12からコアシートへの加圧力を2.0MPa以下に設定した実施例1~5では、積層コアの鉄損劣化率が7%以下となり、鉄損劣化を十分に抑制することができた。
一方、第1保持部16内においてコアシートを接着剤層の軟化温度以上の温度で保持した比較例1~4では、積層コアの鉄損劣化率は14%以上となった。また、第1保持部16を設けずに、第2保持部18内の上端部でコアシートを接着剤層の軟化温度以上の温度で保持した比較例5,6では、積層コアの鉄損劣化率が18%以上となった。このように、比較例1~6では、実施例1~7に比べて積層コアの鉄損劣化が大きくなった。
本発明によれば、鉄損の小さい積層コアを製造することができる。
1 鋼帯
2 積層コア
3 凸部
10 ベース部
12 パンチ
14 打ち抜きダイ
16,60 第1保持部
18,80 第2保持部
20 加熱部
22 連結部
24 断熱部材
26 支持装置
100,100a 製造装置

Claims (10)

  1. 複数の電磁鋼板が接着剤層を介して積層された積層コアであって、
    当該積層コアから分離した二層の電磁鋼板に対する当該積層コアの鉄損劣化率が、10%以下である、積層コア。
  2. 積層方向における一端の前記電磁鋼板には、前記積層方向において外側に突出する複数の凸部が形成されている、請求項1に記載の積層コア。
  3. パンチ、前記パンチの下方に配置される打ち抜きダイ、前記打ち抜きダイの下方に配置される第1保持部、前記第1保持部の下方に配置される第2保持部、および前記第2保持部の周囲に配置される加熱部を備えた製造装置において、
    前記パンチおよび前記打ち抜きダイによって表面に熱硬化性の接着剤層を有する鋼帯から複数のコアシートを打ち抜き、
    打ち抜いた前記複数のコアシートの外周部を前記第1保持部によって側方から加圧しつつ、前記複数のコアシートを前記パンチによって下方に加圧し、
    前記パンチによって下方に加圧された前記複数のコアシートを、前記第2保持部内において側方から保持しつつ前記加熱部によって加熱し、
    前記第1保持部では、前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度未満の温度で保持し、
    前記加熱部は、前記第2保持部内に保持された前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度以上の温度に加熱する、積層コアの製造方法。
  4. 前記第1保持部において前記コアシートに接触する部分の上下方向の長さは、5mm以上である、請求項3に記載の積層コアの製造方法。
  5. 前記パンチは、2.0MPa以下の加圧力で、前記複数のコアシートを加圧する、請求項3または4に記載の積層コアの製造方法。
  6. 前記加熱部は、赤外線加熱装置を含む、請求項3または4に記載の積層コアの製造方法。
  7. 表面に接着剤層を有する鋼帯から複数のコアシートを打ち抜き、得られた複数のコアシートを互いに接着することによって積層コアを製造する装置であって、
    パンチ、
    前記パンチの下方に配置される打ち抜きダイ、
    前記打ち抜きダイの下方に配置される第1保持部、
    前記第1保持部の下方に配置される第2保持部、および
    前記第2保持部の周囲に配置される加熱部、
    を備え、
    前記パンチおよび前記打ち抜きダイによって鋼帯から複数のコアシートを打ち抜き、
    打ち抜いた前記複数のコアシートの外周部を前記第1保持部によって側方から加圧しつつ、前記複数のコアシートを前記パンチによって下方に加圧し、
    前記パンチによって下方に加圧された前記複数のコアシートを、前記第2保持部内において側方から保持しつつ前記加熱部によって加熱し、
    前記第1保持部では、前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度未満の温度で保持し、
    前記加熱部は、前記第2保持部内に保持された前記複数のコアシートを前記接着剤層の軟化温度以上の温度に加熱する、積層コアの製造装置。
  8. 前記第1保持部において前記コアシートに接触する部分の上下方向の長さは、5mm以上である、請求項7に記載の積層コアの製造装置。
  9. 前記パンチは、2.0MPa以下の加圧力で、前記複数のコアシートを加圧する、請求項7または8に記載の積層コアの製造装置。
  10. 前記加熱部は、赤外線加熱装置を含む、請求項7または8に記載の積層コアの製造装置。
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