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JP7682033B2 - 回転電機 - Google Patents
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JP7682033B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、高トルク密度化、高効率化が可能な回転子およびこれを用いた回転電機に関する。
電動化の進展に伴う小型・軽量ニーズに対応するため、回転電機のトルク密度向上が求められている。回転電機のトルク密度は、回転電機のトルクと回転電機の質量の商で表されることから、回転電機の高トルク化と回転電機の軽量化が重要である。
一般に、回転電機の高トルク化の方法として、永久磁石の利用やリラクタンストルクの利用によってトルクを向上する方法が知られている。このため、高トルク化可能な回転子の構成として、回転子コアに永久磁石を埋め込んだ、いわゆる埋込磁石型が知られている。また、回転電機の軽量化の方法としては、回転電機の極数を増やし、固定子および回転子を径方向に薄肉化することで軽量化する方法が知られている。
埋込磁石型の回転子コアは、磁石を機械的に支持するためのブリッジ部を有するが、ブリッジ部から磁石磁束が漏洩し、高トルク化のための限界設計の妨げとなっている。このため、ブリッジ部は十分な機械強度を有する範囲で極力その厚さを狭めることが望ましい。特に、軽量化を図るために多極にした回転電機の1極当たりの磁石重量は軽いため、ブリッジ部の厚さは、例えば回転子コアを構成するコアの板厚より狭めても、十分な機械強度を得ることができる。
これに対して、従来の回転子コアの加工技術には課題が存在していた。すなわち、回転電機の固定子コアおよび回転子コアの加工方法として、従来から打ち抜き加工が用いられている。打ち抜き加工は1つの打ち抜き型を用いて多数のコアを生産できることから量産性に優れる一方で、打ち抜き可能な最狭部の厚さには限界があり、最狭部の厚さは、一般に、打ち抜くコアの板厚程度である。例えば、コアの板厚が0.5mmであれば、打ち抜き可能な厚さの最小値も0.5mmである。したがってブリッジ部の厚さは、たとえ板厚より狭めても十分な機械強度を保証できるとしても、加工技術の限界のために板厚同等の厚さとする必要がある。このため、従来の打ち抜き加工技術では、加工可能な最小厚さの制約により、ブリッジ部の厚さを十分狭めることができず、漏洩磁束を増加させ、これが回転電機の高トルク化の妨げとなっていた。
ブリッジ厚をコアの板厚以下にできる技術として、例えば、特許文献1がある。特許文献1では、回転子コアとなるコアを打ち抜き後に研削加工することで、ブリッジ部の厚さ寸法を強度的に必要最小限の厚さにする方法が提案されている。これにより、ブリッジ部の厚みをコアの厚み以下にすることを図っている。
特開2010-148161号公報
特許文献1では、回転子コア全体を研削加工することでブリッジ厚を狭める方法が提案されている。しかしながら、このような機械加工は以下のような課題を生じさせる。
まず、回転子コアを積層した後に表面を研削加工すると、互いに電気的絶縁状態にあったコアどうしが局所的な変形により加工面で導通するようになる。そのため、回転子コア全体を研削加工すると、回転子コア表面は全周にわたり導通する。このような回転子表面に磁束が通ると、導通した機械加工面に渦電流が発生し、回転子表面に熱、すなわち損失を発生させる。特に、回転子コア表面は全周に渡った導通面には多くの磁束が通り、かつ導通面の電気抵抗も小さいため大きな渦電流が流れ、大きな損失を発生させる。このため、特許文献1の提案方法では、ブリッジ部の厚さを狭めて漏洩磁束を低減するのと引き換えに、回転子表面に渦電流損失を発生させており、高トルク密度化と高効率化がトレードオフの関係にあった。特に、渦電流が大きくなると、これ自身がブレーキトルクを生じさせるため、高トルク化を阻害する要因にもなり得る。また、回転子に永久磁石を使用する場合、永久磁石に近い回転子表面での発熱により、磁石が不可逆減磁される恐れがあった。
本発明は上記事情を鑑み、回転子表面に生じる渦電流損失を最小にし、かつブリッジ部の厚さを最小にすることが可能な加工法により、高トルク化と高効率化が可能な回転電機を提供することを目的とする。
本発明は、その一例を挙げるならば、複数の磁石を収納する複数の磁石孔が形成される回転子コアを備える回転子と、回転子に所定の空隙を介して対向する固定子を備える回転電機であって、回転子コアは、回転子の磁極境界であるq軸近傍に磁石孔と固定子と対向する面との間の距離が最短となるブリッジ部を備え、ブリッジ部の固定子と対向する面の表面粗さをR1とし、回転子の磁極中心であるd軸近傍の固定子と対向する面の表面粗さをR2とすると、R1とR2が異なる構成とする。
本発明によれば、高トルク化と高効率化が可能な回転電機を提供することができる。
実施例1における研削加工前の回転子の構成を説明する図である。 図1の回転子の一部分を拡大した図である。 実施例1における研削加工後の回転子の構成を説明する図である。 図3の回転子の一部分を拡大した図である。 従来手法の研削加工後の回転子の構成を説明する図である。 実施例1における研削部と打ち抜き加工部の表面粗さを説明する図である。 実施例1における回転子の回転子コアと端板との展開図である。 実施例2における研削加工前の回転子の構成を説明する図である。 実施例2における研削加工後の回転子の構成を説明する図である。 実施例3における研削加工前の回転子の構成を説明する図である。 実施例3における研削加工後の回転子の構成を説明する図である。 実施例4におけるアウターロータ型の電動ホイールの構造図である。 実施例4におけるインナーロータ型の電動ホイールの構造図である。 実施例4における鉄道車両の概略構造図である。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の対象となる回転電機は、固定子と、固定子に回転可能に支持された回転子を備えている。なお、固定子と回転子との間には空隙が設けられ、固定子と回転子が互いに接触しないように配置されている。また、回転電機は、回転子が固定子の内周側に回転可能に支持されるインナーロータ型でもよく、回転子が固定子の外周側に回転可能に支持されるアウターロータ型でもよい。本実施例では、インナーロータ型を例にして説明する。
図1は、本実施例における研削加工前の回転子の構成を説明する図である。図1において、(a)は回転子11の平面図であり、(b)は回転子11の側面図を示している。
図1において、回転子11は、回転軸心Cを中心に回転する。回転子にはシャフトが固定されていてもよく、回転電機は固定子及び回転子を覆うフレームを備えていてもよい。回転子は直接、またはシャフトやフレーム等の構造部材を介して負荷と接続され、回転子が回転することで負荷に回転とトルクを伝達する。
回転子11は、回転子コア12と磁極部とを備えている。回転子コア12は、コアシートを複数枚積層して構成される。回転子コア12は、一体成形されたソリッド部材で構成しても良い。また、圧粉磁心などの粉末磁性体を圧縮成型した構成でも良いし、アモルファス金属やナノ結晶材で構成しても良い。
磁極部は、回転子コア12の突極性を利用した構造、例えば、スイッチトリラクタンスモータやシンクロナスリラクタンスモータの磁極部であっても良い。また、磁極部に少なくとも1つ以上の永久磁石を配置した、埋込磁石型モータの磁極部であっても良い。本実施例は多極(4極以上)に適用できる。
なお、回転子11と対向する固定子は、図示していないが、回転子11と同一の回転軸心Cを有し、コアシートを複数枚積層して構成された固定子コアとコイルから構成される。固定子コアは円環状の固定子バックヨークと、バックヨークと接続され、かつ径方向の空隙側に複数設けられたティースと、ティース間に設けられたスロットから構成される。コイルはティースとスロットを取り巻くように巻装されている。コアは、一体成形されたソリッド部材で構成しても良い。また、圧粉磁心などの粉末磁性体を圧縮成型した構成でも良いし、アモルファス金属やナノ結晶材で構成しても良い。
コイルは、スロットの中に挿入されたスロット内コイルと、位置が異なるスロット間を渡るコイルエンドと、外部回路から電流を入力して、位置が異なるコイルどうしを接続するための引出線から成る。コイルは空隙に回転磁界を発生させるために、例えば、U相、V相、W相の3つの相の異なるコイルが配置されている。各相のコイルどうしは、入力される電流基本波成分の位相が互いに120°づつ異なっており、これにより、空隙に回転磁界を発生させ、回転子を回転させることを可能にしている。
図1において、d軸は、回転子の磁極中心を通る軸である。回転子がスキューされる場合は、それぞれの磁極中心軸方向ごとにd軸が定義される。q軸は、回転子の磁極境界を通る軸である。回転子がスキューされる場合は、それぞれの磁極中心軸方向断面ごとにq軸が定義される。
磁石孔13、14は、回転子コア12に設けられた永久磁石を挿入するための空孔である。磁石孔の回転子コア内でのレイアウトには自由度があり、図1ではd軸上の磁石孔14とq軸上の磁石孔13が交互に並んだ配置となっているが、どちらか一方の磁石孔だけでもよい。また、例えば、磁石孔13をさらに周方向に分割した、いわゆるU字型の磁石孔配置にしてもよいし、V字型の磁石孔配置にしてもよい。
図2は、図1の回転子11の一部分を拡大した図である。図2において、ブリッジ部17は、磁石孔13と回転子コア12の径方向空隙側の表面に挟まれた回転子コア12の狭小部であり、q軸近傍に位置している。なお、ブリッジ部は、q軸を中心とした電気角±45°の範囲に位置している。ここで、電気角とは、1極対(=2極)を360°と定義した角度であり、極対数をpとすると、機械的な角度(機械角)の p倍が電気角になる。すなわち、1つの磁極中心軸方向におけるq軸とd軸は電気角90°をなす。
ブリッジ部17は、永久磁石の磁束を短絡させる漏洩磁束の経路になるため、狭めることが望ましい。一方で、ブリッジ部は狭小部のため、回転子にはたらく遠心力や電磁力の荷重によって大きな応力が発生する部分でもある。このため、ブリッジ部の厚さの設計は、トルクなどの磁気特性と、機械強度とのバランスで決定される。
回転子の極数が多極になるに従い、1極当たりの遠心力や電磁力荷重は小さくなる。このため、多極であるほどブリッジ部の厚さは薄くすることが可能になる。一方でコアの加工技術にはそれぞれ加工可能な狭小部の厚さに限界が存在するため、ブリッジ部の厚さの設計では、加工技術の限界についても配慮する必要がある。従来の打ち抜き加工では、一般に加工可能な厚さはコアシート板厚同等以上であるため、従来工法では、コアシート板厚より薄い厚さのブリッジ部の加工は難しい。
突出部15は、回転子コア12の径方向空隙側の表面のq軸近傍に設けられたコア領域である。突出部15は、d軸上の回転子コア12の径方向空隙側の表面よりも空隙側に径方向に突き出している。突出部15は、ブリッジ部17と径方向にオーバーラップしており、これによりブリッジ部17の厚さは突出部15の突き出し量だけ広くなる。突出部15は、研削加工前の回転子コア12に存在する領域である。突出部15によりブリッジ部17の厚さは厚くなるため、一般的な打ち抜き加工により回転子コア12を製作できる。
図1(b)に示すように、回転子11の側面は、突出部15と磁極中心部16が交互に配置されている。
図3は、本実施例における研削加工後の回転子の構成を説明する図である。また、図4は、図3の回転子11の一部分を拡大した図である。図3、図4において、図1、図2と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図3、図4においては、q軸近傍の突出部15のみを局所的に研削加工する。局所研削後の回転子コア12は、ブリッジ部17の厚さは研削加工により、コア板厚以下となり、漏洩磁束を低減することができ、トルク密度向上が図られる。また、切削による回転子コア導通部は局所的となり、回転子コア表面に発生する渦電流損失を最小化できる。なお、突出部15のみを局所的に研削加工するので、図3(b)に示すように、突出部15の研削部と磁極中心部16の非研削部とで表面粗さの違いが生じる。すなわち、突出部15の研削部の表面粗さをR1とし、磁極中心部16の非研削部の表面粗さをR2とすると、R1とR2が異なる。
図5は、従来手法の研削加工後の回転子の構成を説明する図である。図5において、図3と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。図5において、従来は、前述したように、回転子コア12全体を研削加工することでブリッジ厚を狭める方法である。そのため、図5(b)に示すように、磁極間部18や磁極中心部16はともに研削部の面の表面粗さR1となる。
図3、図4において、突出部15の研削部は、研削加工により突出部15を除去した後に残る領域である。研削部の少なくとも一部の領域は、ブリッジ部17の回転子コア12の径方向空隙側となる。研削加工、すなわち研磨や切削等の機械加工は、一般に打ち抜き加工よりも高精度な加工が可能である。このため、突出部15を研削加工で後加工することで、ブリッジ部17の厚さをコアシート板厚以上に薄くできる。
突出部15の研削部の面の表面粗さR1は、ブリッジ部17の固定子と対向する面の表面粗さであり、回転子コア12の研削部の表面粗さともいえる。この面は研削加工面であるため、表面粗さは研削加工精度に依存する。
なお、突出部15を研削加工する際に旋盤を利用すると、研削部はd軸上の回転子コア12の表面よりもわずかに空隙側に突出させる必要がある。すなわち、突出しないように加工するには全周切削が必要であるためである。旋盤加工による研削により、短時間に研削加工が可能になり、生産性の向上、製造コストの削減に寄与する。
磁極中心部16の非研削部の面の表面粗さR2は、回転子の磁極中心であるd軸の固定子と対向する面の表面粗さであり、d軸を中心とした電気角±45°の範囲に位置する。また、非研削部の面の表面粗さR2は、打ち抜き加工後のコアシートの積層面であり、表面粗さは打ち抜き加工によるコアシート1枚1枚の断面変形量と、コアシート積層による積誤差に依存する。また、磁石孔13,14の内面も非研削部であり、その表面粗さをR3とすると、R3はR2と同様である。
表面粗さR1、R2、R3は、加工法の違いによりそれぞれ異なる。逆に言えば、R1とR2、R3が異なるということは、R1とR2、R3で加工方法が異なることを示しており、突出部を後加工で研削部としていることを示す。なお、一般的に、打ち抜き加工よりも研削加工の方が加工精度は高く、R1<R2、R3の関係になる。
また、d軸を中心とした電気角±45°の範囲が、全て非研削部の面の表面粗さR2でなくてもよく、d軸近傍のどこか一部に非研削部の領域があればよい。これにより、各ブリッジ部の研削面は、互いにd軸上のどこかで離間しており、研削面の導通部どうしが互いに短絡することはなく、高トルク密度化と高効率化の両立が可能である。すなわち、d軸を中心とした電気角±45°の範囲には、固定子と対向する面において、表面粗さがR2aとR2b(<R2a)の領域を有し、R2aは非研削部の面の表面粗さR2であって、R1とR2aが異なっていればよい。
また、回転子組み立て後に表面コーティングをすると、回転子表面の全周に渡り均一な表面粗さになるが、この場合も、表面コーティングをはがした後の軟磁性材料部の表面粗さが、研削部と非研削部とでR1とR2となり、それぞれが異なる。すなわち、ブリッジ部の研削加工の有無はコアシートの軟磁性材料部の表面粗さで判断できる。なお、軟磁性材料部は、コアシートの鉄を主体とした材料部分であり、コアシート間のラミネーションや接着剤、回転子表面のコーティングなどはこれに含まれない。
なお、表面粗さR1、R2、R3は、局所な欠損部等の影響を受けにくい算術平均粗さRaで定義する。算術平均粗さRaは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向Y軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次の式(1)によって求められる値をマイクロメートル(um)で表したものをいう。
Figure 0007682033000001
一般的な軟磁性材料における、打ち抜き加工部の算術平均粗さRaは、10~50であり、これに加えて、積誤差も影響する。一方、研削加工部の算術平均粗さRaは5未満であり、後加工のため積誤差はない。
図6は、本実施例における研削部と打ち抜き加工部(非研削部)の表面粗さを説明する図である。図6において、図3と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図6において、研削部である突出部15の部分拡大断面図を(b)に示し、非研削部であり打ち抜き加工部である磁極中心部16の部分拡大断面図を(c)に示す。(c)に示すように、回転子コア12は、コアシート19を複数枚積層して構成されているので、打ち抜き加工により、コアシート19のダレや破断面による凹部と、せん断面による凸部が積層方向に規則的に表れる。すなわち、打ち抜き面の白抜き矢印で示す軸方向(積層方向)に周期的な凹凸が現れる。これは積層の打ち抜き工法に現れる特有の表面状態であり、凹凸の周期はコアシート19の板厚と一致し、その表面粗さはR2となる。一方、(b)に示すように、研削部では、(c)で示した打ち抜き面を研削するので、研削面は周期的な凹凸はなく、その表面粗さはR1(<R2)となる。
なお、前記した算術平均粗さの測定範囲は、回転軸方向はコアシート19の板厚以上の幅とし、これと直交する周方向もコアシート19板厚以上の幅とすることで、表面粗さR1、R2、R3は、nm~umオーダの局所的な表面粗さの影響を受けずに評価できる。
図7は、本実施例における回転子の回転子コアと端板との展開図である。図7において、図3と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。図7において、端板20は、回転子コア12を両端から挟むための押さえ板である。端板20は、積層したコアシートが剥がれることを防ぎ、磁石孔から永久磁石が脱落することを防ぐ。材質は金属、樹脂など特に限定は無いが、端板20に漏洩した磁束の変動量が大きい場合は、非磁性部材を利用することが望ましい。また電気抵抗率の高い絶縁材料を使用することで、端板20での渦電流損失を低減する意味で望ましい。
なお、研削部は個々には導通しており、端板20と電気的に接続した場合は、研削部どうしが電気的短絡状態になる。この場合、短絡回路の電気抵抗は小さく、回路を貫く磁束量が大幅に増えるため、回転子11に発生する渦電流損失が増加する。一方で、研削部と少なくとも一方の端板20とを絶縁することで、上記の短絡回路は形成されない。このため、回転子11に発生する渦電流損失は小さく、高トルク密度化と高効率化の両立が可能となる。なお、絶縁の方法としては、回転子コア12と端板20の間に電気絶縁部材を挟んでもよく、空間をあけてもよく、端板20を電気絶縁体で製作してもよい。また、空間をあける方法としては、端板20の少なくとも一方の回転子コア12に面する面の径を、回転子コア12の空隙に面する面の径よりも小さくする。これにより、端板20の端部が表面粗さR1の領域に接触しないため、端板20と表面粗さR1の領域をつなぐ短絡回路が形成されず、回転子11に発生する渦電流損失を抑制できる。
このように、本実施例によれば、回転電機は、積層後の回転子コアのブリッジ部近傍の表面のみを後加工により研削することで、それ以外の表面とは異なる表面粗さを有している。そして、研削加工により、打ち抜き加工よりもブリッジ部の厚さを狭めることができるため、ブリッジ部からの漏洩磁束を低減し、高トルク密度化が可能である。さらに、研削加工範囲をブリッジ部近傍のみに限定することで、研削後のコア表面の導通領域を最小にすることができ、回転子表面に発生する渦電流損失を最小化でき高効率化が可能である。
図8は、本実施例における研削加工前の回転子の構成を説明する図である。図8において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図8において、q軸上の磁石孔21は、回転子コア12の径方向空隙側に凸部を有しており、そのために、ブリッジ部17も、径方向の磁石孔21側の面が径方向空隙側に凸となる形状を有している。なお、突出部15は、実施例1と同様に、ブリッジ部17と径方向にオーバーラップした領域である。
図9は、本実施例における研削加工後の回転子の構成を説明する図である。図9において、図8と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図9において、q軸近傍の突出部15のみを局所的に研削加工する。局所研削後のブリッジ部17は途中で途切れた開口部22を有する。開口部22は、ブリッジ部17の周方向の一部が途切れている領域を意味する。ここでの「ブリッジ部」は端と端をつなぐ「ブリッジ」というよりは、磁石を保持するための「張り出し部」や「爪」のような意味合いである。ブリッジ部の一部を途切れさせることで、ブリッジ部からの漏洩磁束をさらに低減できる。
なお、突出部15のみを局所的に研削加工するので、図9(b)に示すように、研削部であるブリッジ部17と非研削部である磁極中心部16とで表面粗さの違いが生じる。
このように、本実施例によれば、回転電機は、積層後の回転子コアのブリッジ部近傍の表面のみを後加工により研削することで、それ以外の表面とは異なる表面粗さを有している。そして、研削加工により、ブリッジ部の一部を途切れさせることで、ブリッジ部からの漏洩磁束をさらに低減できる。さらに、実施例1と同様に、研削加工範囲をブリッジ部近傍のみに限定することで、研削後のコア表面の導通領域を最小にすることができ、回転子表面に発生する渦電流損失を最小化でき高効率化が可能である。
図10は、本実施例における研削加工前の回転子の構成を説明する図である。図10において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図10において、回転子コア12は、複数の磁気バリア23を有する。磁気バリア23は、回転子の磁束を制御し、回転子に突極性を持たせるために回転子コア12に設けられた空孔部である。磁気バリア23を設けることで、回転子コア12はリラクタンストルクを生じさせることが可能になる。
磁気バリアの形状は任意で、図10ではU字型の磁気バリア23を2段設けているが、例えばV字型やスポーク型、I字型などでもよく、段数も1段でも2段以上でもよい。主磁束の通るd軸と磁極間のq軸とでインダクタンスの差が得られれば、磁気バリアの形状は問わない。また、磁気バリアは空気で満たされていてもよく、その他の非磁性流体で満たされていてもよい。また樹脂などの非磁性固体で満たされていてもよい。さらに、一部に磁石を挿入した磁石アシストシンクロナンスリラクタンスモータの回転子であってもよい。
また、回転子コア12は、磁気バリア23と径方向空隙側の表面との間の距離が最短となるブリッジ部17を備え、ブリッジ部17と径方向にオーバーラップした領域の突出部15を備える。
図11は、本実施例における研削加工後の回転子の構成を説明する図である。図11において、図10と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図11において、突出部15のみを局所的に研削加工する。局所研削後の回転子コア12は、ブリッジ部17の厚さは研削加工により、コア板厚以下となり、漏洩磁束を低減することができ、トルク密度向上が図られる。また、切削による回転子コア導通部は局所的となり、回転子コア表面に発生する渦電流損失を最小化できる。なお、突出部15のみを局所的に研削加工するので、図11(b)に示すように、突出部15の研削部と磁極中心部16の非研削部とで表面粗さの違いが生じる。すなわち、突出部15の研削部の表面粗さをR1とし、磁極中心部16の非研削部の表面粗さをR2とすると、R1とR2が異なる。
また、回転子コアを打ち抜き、積層で製作する場合、磁気バリア23も打ち抜き加工となる。このため、磁気バリア23の内面も非研削部であり、その表面粗さをR3とすると、R3はR2と同様である。なお、磁気バリア23の内面の表面粗さは打ち抜き加工によるコアシート1枚1枚の断面変形量と、コアシート積層による積誤差に依存する。また、一般的に、打ち抜き加工よりも研削加工の方が加工精度が高く、R1<R2、R3の関係になる。
このように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果に加え、リラクタンストルクモータにおいても狭ブリッジ化が可能であり、これにより、リラクタンストルクを向上させ、トルク密度向上と高効率化の両立が可能である。
本実施例では、実施例1乃至3で説明した回転子を有する回転電機を用いた応用例について説明する。
図12は、本実施例におけるアウターロータ型の電動ホイールの構造図である。図12において、(a)は展開図、(b)は完成図を示している。図12において、電動ホイール50は、固定子51、回転子52、回転子カバー53、ホイール54を主な構成要件としている。
また、図13は、本実施例におけるインナーロータ型の電動ホイールの構造図である。図13において、(a)は展開図、(b)は完成図を示している。図13において、電動ホイール60は、固定子61、回転子62、固定子カバー63、ホイール64を主な構成要件としている。
図12、図13において、電動ホイール50、60には、アウターロータ型またはインナーロータ型の回転電機が使用される。回転電機の回転子52、62は回転子フレームに接続されている。回転子フレームは、接続部材によって、ホイール54、64と接続されている。ホイール54、64にはタイヤが嵌め合わされている。ホイール54、64および回転子52、62が固定子フレームに対して回転自在に支持されるようにするために、ホイール54、64もしくは回転子フレームは固定子フレームに軸受で接続されている。一方、回転電機の固定子51、61は、固定子フレームに固定支持されており、固定子フレームには電気回路も搭載されている。電気回路は電力を固定子に供給し、回転子52、62を回転させる。回転子52、62の回転は回転子フレーム、および接続部材を介してホイール54、64に伝達され、ホイール54、64を回転させる。
実施例1乃至3で説明した回転子を採用すると、回転電機のトルク密度が高いため、回転電機はホイール54、64の内周側に収容できるだけでなく、ギアレス化、すなわちホイールのダイレクトドライブが可能となる。従来の電動ホイールはギアを利用しており、ギアの摩耗、騒音や、ギアを支持する必要があるため軸受の使用数が増加するなど課題が発生していた。これに対して、本実施例のトルク密度が高い回転電機を使用した電動ホイール50、60は、ギアを必要としないため、ギアの摩耗を配慮したメンテナンスが不要になる上に、ギアから発生する騒音が無くなる。また、軸受の使用量は最低限となり、軸受の摩耗リスクが低減する上に、軸受のグリス交換等でのメンテ作業量は削減できる。また回転電機の体積が小さいため、電気回路もホイール54、64の内部に搭載することができ、ギアレス化との相乗効果により、電動ホイール50、60を小型軽量にすることが可能となる。
図14は、本実施例における鉄道車両の概略構造図である。図14において、鉄道車両70には、インナーロータ型の回転電機71が使用される。回転電機71は支持部材72より台車73に固定支持されている。回転電機71の回転子は車軸74と直結し、回転電機71は車軸74を介して車輪75を駆動する。
回転電機71のトルク密度が高いため、鉄道車両70は本実施例の形態を採用することが可能になり、ギアレス化、すなわち車輪のダイレクトドライブが可能となる。従来の鉄道車両はギアを利用しており、ギアの摩耗、騒音や、ギアを支持する必要があるため軸受の使用数が増加するなど課題が発生していた。これに対して、本実施例のトルク密度が高い回転電機71を使用した鉄道車両70は、ギアを必要としないため、ギアの摩耗を配慮したメンテナンスが不要になる上に、ギアから発生する騒音が無くなる。また、軸受の使用量は最低限となり、軸受の摩耗リスクが低減する上に、軸受のグリス交換等でのメンテ作業量は削減できる。また回転電機71の体積が小さいため、ギアレス化との相乗効果により鉄道車両を小型軽量にすることが可能となる。さらに、台車73の軽量化はレールや車輪75の機械的な損傷を軽減するため、レールおよび車輪75の長寿命化にも貢献する。
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
11、52、62:回転子、12:回転子コア、13、14、21:磁石孔、15:突出部、16:磁極中心部、17:ブリッジ部、18:磁極間部、19:コアシート、20:端板、22:開口部、23:磁気バリア、50、60:電動ホイール、51、61:固定子、53:回転子カバー、54、64:ホイール、63:固定子カバー、70:鉄道車両、71:回転電機、72:支持部材、73:台車、74:車軸、75:車輪。

Claims (20)

  1. 複数の磁石を収納する複数の磁石孔が形成される回転子コアを備える回転子と、該回転子に所定の空隙を介して対向する固定子を備える回転電機であって、
    前記回転子コアは、前記回転子の磁極境界であるq軸近傍に前記磁石孔と前記固定子と対向する面との間の距離が最短となるブリッジ部を備え、
    前記ブリッジ部の前記固定子と対向する面の表面粗さをR1とし、前記回転子の磁極中心であるd軸近傍の前記固定子と対向する面の表面粗さをR2とすると、R1とR2が異なることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記ブリッジ部は、前記q軸を中心とした電気角±45°の範囲に位置し、
    前記表面粗さR2は、前記d軸を中心とした電気角±45°の範囲の前記回転子の前記固定子と対向する面の粗さであることを特徴とする回転電機。
  3. 請求項2に記載の回転電機であって、
    前記d軸を中心とした電気角±45°の範囲には、前記固定子と対向する面において、表面粗さがR2aとR2b(<R2a)の領域を有し、
    前記R2=R2aであって、
    前記R1とR2aが異なることを特徴とする回転電機。
  4. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記R1およびR2は、前記回転子コアの軟磁性材料部の表面粗さであることを特徴とする回転電機。
  5. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記R1およびR2は、R1<R2であることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記磁石孔の表面粗さをR3とすると、前記R1とR3が異なることを特徴とする回転電機。
  7. 請求項6に記載の回転電機であって、
    前記R1およびR3は、R1<R3であることを特徴とする回転電機。
  8. 請求項6に記載の回転電機であって、
    前記表面粗さは算術平均粗さで定義される値であることを特徴とする回転電機。
  9. 請求項6に記載の回転電機であって、
    前記R1は算術平均粗さが5未満であり、前記R2およびR3は算術平均粗さが5以上であることを特徴とする回転電機。
  10. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記回転子の磁極中心であるd軸近傍の前記固定子と対向する面は、前記回転子の回転軸方向に周期的な凹凸を有していることを特徴とする回転電機。
  11. 請求項10に記載の回転電機であって、
    前記凹凸は、前記回転子の積層された前記回転子コアの板厚同等の厚さを1周期とした周期性を有することを特徴とする回転電機。
  12. 請求項8に記載の回転電機であって、
    前記回転子コアはコアシートの積層によって構成され、
    前記算術平均粗さの測定範囲は、回転軸方向は前記コアシートの板厚以上の幅とし、これと直交する周方向も前記コアシートの板厚以上の幅とし、
    前記測定範囲で測定された前記表面粗さを有することを特徴とする回転電機。
  13. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記q軸近傍の前記回転子コアの表面が、前記d軸近傍の前記回転子コアの表面よりも前記空隙側に突出していることを特徴とする回転電機。
  14. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記回転子コアの回転軸方向両端にはそれぞれ端板が配置され、
    前記端板の少なくとも一方と前記回転子コアの前記R1の領域とは互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする回転電機。
  15. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記ブリッジ部は、前記回転子コアの周方向の一部で途切れており、前記磁石孔は開口部を有することを特徴とする回転電機。
  16. 複数の磁気バリアが形成される回転子コアを備える回転子と、該回転子に所定の空隙を介して対向する固定子を備える回転電機であって、
    前記回転子コアは、前記磁気バリアと前記固定子と対向する面との間の距離が最短となるブリッジ部を備え、
    前記ブリッジ部の前記固定子と対向する面の粗さをR1とし、前記回転子の磁極中心であるd軸の前記固定子と対向する面の粗さをR2とすると、R1とR2が異なることを特徴とする回転電機。
  17. 請求項16に記載の回転電機であって、
    前記磁気バリアの表面粗さをR3とすると、前記R1とR3が異なることを特徴とする回転電機。
  18. 請求項17に記載の回転電機であって、
    前記R1およびR3は、R1<R3であることを特徴とする回転電機。
  19. 請求項1または16に記載の回転電機を用いた電動ホイールであって、
    前記回転電機がギアを介さずホイールと直結していることを特徴とする電動ホイール。
  20. 請求項1または16に記載の回転電機を備えた鉄道車両であって、
    前記回転電機がギアを介さず車輪と直結していることを特徴とする鉄道車両。
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