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JP7683151B2 - トンネルの施工管理方法と施工管理システム - Google Patents
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JP7683151B2 - トンネルの施工管理方法と施工管理システム - Google Patents

トンネルの施工管理方法と施工管理システム Download PDF

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Description

本発明は、トンネルの施工管理方法と施工管理システムに関する。
山岳トンネルの施工においては、地山の性状(もしくは状態、挙動等)を把握するべく、切羽を目視観察したり、支保工や地山の変形もしくは応力状態を測定する坑内計測が一般に行われている。
坑内変位(もしくは支保工変位)に関する管理基準値を予め設定しておき、計測値と管理基準値を比較しながら、現状の支保工の剛性や強度の妥当性の有無、追加対策の要否等が検討される。
ここで、従来の管理基準値の設定方法としては、直接ひずみ法(もしくは限界ひずみ法)を用いた設定方法が一般的である。この手法は、地山の変形係数や一軸圧縮強度をもとに限界ひずみを求め、この限界ひずみに基づいて管理基準値を定める方法である。限界ひずみは、岩石コアの一軸圧縮強度試験から得られる応力-ひずみ曲線の初期弾性係数の傾きと一軸圧縮強度に対応するひずみである。そのため、限界ひずみは、地山の破壊応力に相当するひずみ、すなわち、地山が安定状態から不安定状態へ転じるときのひずみと定義されている。しかしながら、直接ひずみ法を用いた管理基準値の設定方法には、様々な課題がある。
まず、岩石コアの一軸圧縮強度(変形係数)と限界ひずみの関係が回帰式により求められているが、岩石コアと実際の地山の性状は必ずしも同じではなく、実際の地山には亀裂や割れ目等の不連続面が少なからず含まれることから、岩石コアの性状とは大きく異なり、「岩石コアの限界ひずみ」と「地山の限界ひずみ」がイコールではないことが挙げられる。
次に、地山の一軸圧縮強度や変形係数は、必ずしも現場において適切に評価できないことが挙げられる。現状は、事前の地質調査結果等に記載される一軸圧縮強度(変形係数)をもとに限界ひずみを求めているため、仮定した一軸圧縮強度(変形係数)が実際の地山と異なる可能性が高く、設定されている管理基準値の信頼性の低下に繋がり得る。
次に、直接ひずみ法による管理基準値の設定は、限界ひずみに基づいて地山の安定性確保を目的としたものであるため、トンネルを支持する支保工の健全性を評価するものでないことが挙げられる。
次に、管理基準値は一般に、管理レベルI乃至IIIの3段階にて設定され、管理レベルIIIの管理基準値を限界ひずみに相当する変位(FEM(Finite Element Method)解析等の予測値とする場合もある)とし、レベルI及びIIの管理基準値をそれぞれレベルIIIの50%及び75%とする方法が多く採用されているが、この管理体制では、変位が管理基準値を超えた場合に各管理レベルに応じた対応策が行われ、応急処置的な対応が余儀なくされることが挙げられる。従って、変位増加の様子を見ながら施工を進め、管理レベルIIIを超えた段階で緊急の対策を講じているのが実情であり、施工安全性が十分に担保された施工管理方法とは言い難い。
以上のことから、直接ひずみ法により設定された管理基準値に基づく施工管理方法に代わり、支保工の健全性を評価できる管理基準値に基づく施工管理方法が望まれる。
ここで、特許文献1には、トンネル切羽の掘削方向前方の穿孔探査を行うことにより、支保を施工する範囲の地山評価を行い、穿孔探査した探査区間に適した支保構造を設定し、好適な支保を施工する、トンネル施工管理方法が提案されている。具体的には、トンネル切羽の掘削方向前方の地山の穿孔探査を行って計測された穿孔エネルギーに対応する地山弾性係数と、トンネル切羽の後方に施工された支保の施工後の変位とに基づく地山初期応力に応じた支保構造を設定する支保構造設定工程と、穿孔探査を行った探査区間の地山を掘進した掘削壁面に、支保構造設定工程により設定された支保構造の支保を施工する支保施工工程と、支保施工工程により施工された支保の変位を計測し、その計測結果に基づいて支保の経時的な変位量を予測して、支保の支保構造が適正であったか否か判断する判断工程と、判断工程により、支保構造が適正でなかったと判断された場合に、支保構造設定工程における穿孔エネルギーと地山弾性係数との対応を見直す支保構造修正工程とを備える方法である。
特開2011-52373号公報
特許文献1に記載のトンネル施工管理方法は、支保工の変状の有無を指標とした管理基準値に基づく施工管理方法でなく、地山の穿孔探査結果等に基づいて支保構造を設定することから、上記する直接ひずみ法を用いて設定した管理基準値に基づく従来の施工管理方法と大きく異なるものでない。
本発明は、支保工の健全性を評価できる管理基準値に基づいた、トンネルの施工管理方法と施工管理システムを提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるトンネルの施工管理方法の一態様は、
トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理方法であって、
支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例から、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、A工程と、
前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、B工程と、
トンネルの掘進に伴って前記変位量に関する計測値を計測する、C工程と、
前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定する、D工程とを有することを特徴とする。
本態様によれば、支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例から支保工の損傷時の許容ひずみを設定し、当該許容ひずみに対して管理対象のトンネルの掘削半径を乗じて支保工の管理基準値を設定することにより、支保工の損傷時のひずみと管理対象のトンネルの規模(掘削半径)が反映された、支保工の健全性を評価できる管理基準値を設定することができる。
そして、この管理基準値と、トンネルの掘進に伴う支保工の変位量に関する計測値とを比較して支保工の適否を判定することにより、支保工の健全性を適正に評価することができる。
ここで、「複数のトンネル施工事例」とは、建設会社の保有する過去のトンネル施工実績の他にも、日本トンネル技術協会や土木学会等から公表されている、支保工の損傷が確認されているトンネル施工事例を含んでいる。
また、「支保工」には、吹付けコンクリートと鋼製支保工、ロックボルト等が含まれ、「支保工の損傷」には、吹付けコンクリートのクラックや剥落、鋼製支保工の変形や座屈、ロックボルトの座金の変形やロックボルトの破断等が挙げられる。
また、本発明によるトンネルの施工管理方法の他の態様において、
前記A工程では、前記支保工の損傷時の変位量を前記トンネルの掘削半径で除し、さらに、所定の安全率で補正して前記許容ひずみとすることを特徴とする。
本態様によれば、管理基準値の基準となる許容ひずみの設定に際して、支保工の損傷時の変位量を管理対象のトンネルの掘削半径で除し、さらに、所定の安全率で補正して許容ひずみとすることにより、安全側の管理基準値を設定することができる。
また、本発明によるトンネルの施工管理方法の他の態様において、
前記A工程では、前記支保工の損傷時のひずみを2%以下とすることを特徴とする。
本態様によれば、支保工の損傷時のひずみ(支保工(もしくはトンネル壁面)の変位量/トンネルの掘削半径)を2%以下とすることにより、トンネル施工事例に基づいた精度の高い管理基準値を設定することができる。本発明者等によれば、過去の多数のトンネル施工事例を検証した結果、支保工に変状が発生する際のひずみが1乃至2%程度であることが特定されている。
そこで、この検証結果に基づき、許容ひずみを2%とすることでトンネル施工事例に基づく危険側の管理基準値を設定でき、許容ひずみを1%とすることでトンネル施工事例に基づく安全側の管理基準値を設定でき、例えばひずみ1%に対してさらに安全率を見込むことで、より安全側の管理基準値を設定できる。ここで、安全率としては、1.1乃至1.5程度を設定でき、例えばひずみ1%に対して安全率を1.25を見込んだ場合は、許容ひずみは0.8%に設定される。
また、本発明によるトンネルの施工管理方法の他の態様において、
前記A工程では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量を前記変位量として設定し、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数を設定し、
前記B工程では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径を乗じ、さらに、前記関係係数にて補正することにより、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値を設定し、
前記C工程では、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値を計測し、
前記D工程では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定することを特徴とする。
本態様によれば、トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとの初期変位量と基準位置における最終変位量との関係係数を設定し、掘削段階ごとに、許容ひずみにトンネルの掘削半径を乗じた値を関係係数にて補正して、複数の掘削段階ごとの管理基準値を設定し、この管理基準値に基づいて掘削段階ごとの施工管理を行うことにより、より一層施工安全性の高い施工管理を実現することができる。
ここで、「関係係数による補正」には、関係係数を乗じることにより補正する形態と、関係係数にて除すことにより補正する形態が含まれる。
また、「複数の掘削段階」とは、掘削径(掘削直径)をDとした際に、最初の1m程度の掘進(1掘進)、0.5D掘進、1D掘進、2D掘進等が挙げられる。一般には、基準位置から2D掘進程度で、基準位置におけるトンネル壁面の変位(もしくは支保工の変位)が収斂することが特定されていることから、2D掘進程度までの間で複数の掘削段階(掘進段階)を設定するのがよい。尚、より詳細には、基準位置に切羽が施工された段階で、基準位置においては全応力の40%程度が応力解放されることが特定されており、従って、基準位置から2D程度掘進した段階で全応力の60%に相当する変位が生じることになる。
また、本発明によるトンネルの施工管理方法の他の態様において、
前記A工程では、前記関係係数を回帰分析により求めることを特徴とする。
本態様によれば、関係係数を回帰分析によって求めることにより、複数のトンネル施工事例に基づいた関係係数とこれに基づく掘削段階ごとの管理基準値を、高精度に設定することができる。
また、本発明によるトンネルの施工管理システムの一態様は、
トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理システムであって、
設定評価装置と、
トンネルの掘進に伴って前記変位量を計測して計測値を取得する、計測装置とを有し、
前記設定評価装置は、
支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例と、複数の前記支保工を剛性ごとにクラス分けした支保工テーブルを少なくとも格納する、格納部と、
前記格納部における複数の前記トンネル施工事例に基づいて、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、許容ひずみ設定部と、
前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、管理基準値設定部と、
前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工テーブルから現在設定されている前記支保工を抽出し、該支保工の適否を判定する、支保工評価部と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、許容ひずみ設定部において、複数のトンネル施工事例に基づいて支保工の損傷時の許容ひずみを設定し、管理基準値設定部において、許容ひずみに対して管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることで支保工の管理基準値を設定することにより、支保工の損傷時のひずみと管理対象のトンネルの規模が反映された、支保工の健全性を評価できる管理基準値を設定することができる。そして、この管理基準値と、トンネルの掘進に伴う支保工の変位量に関する計測値とを比較して現在設定されている支保工の適否を判定することにより、支保工の健全性を適正に評価することができる。
ここで、「複数の支保工を剛性ごとにクラス分けした支保工テーブル」には、支保パターンとして、例えば地山等級に対応したB、CI、CII、DI、DII等のパターンが設定され、支保パターンごとに、吹付けコンクリートの厚み、鋼製支保工の仕様や建て込み間隔、ロックボルトの長さや本数、周方向間隔、延長方向間隔等が設定される。
また、本発明によるトンネルの施工管理システムの他の態様において、
前記許容ひずみ設定部では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量が前記変位量として設定され、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数が設定され、
前記管理基準値設定部では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径が乗じられた値が前記関係係数にて補正されることにより、前記管理基準値が設定され、
前記格納部には、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値が格納され、
前記支保工評価部では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値が比較されて、前記支保工の適否が判定されることを特徴とする。
本態様によれば、許容ひずみ設定部において、トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとの初期変位量と基準位置における最終変位量との関係係数を設定し、管理基準値設定部において、掘削段階ごとに、許容ひずみにトンネルの掘削半径を乗じた値を関係係数にて補正して、複数の掘削段階ごとの管理基準値を設定し、支保工評価部において、掘削段階ごとの管理基準値に基づいて掘削段階ごとの施工管理を行うことにより、より一層施工安全性の高い施工管理を実現できる。
本発明のトンネルの施工管理方法と施工管理システムによれば、支保工の健全性を評価できる管理基準値に基づき、支保工の健全性を適正に評価することができる。
実施形態に係るトンネルの施工管理システムの一例を示す全体構成図である。 施工管理システムを構成するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。 施工管理システムを構成する設定評価装置の機能構成の一例を示す図である。 トンネル施工事例の一例であって、過去の施工実績に基づく施工事例をまとめたテーブルである。 トンネル施工事例の他の例であって、公知文献に記載の施工事例をまとめたテーブルである。 トンネル施工事例に基づく、トンネルの天端沈下量に関するひずみの度数分布図である。 トンネル施工事例に基づく、トンネルの内空変位量×1/2に関するひずみの度数分布図である。 図6Aと図6Bの平均値の度数分布図である。 トンネル施工事例に基づく、周方向ひずみとトンネル半径の関係を示す分布図である。 トンネル施工事例に基づく、周方向ひずみと吹付けコンクリート厚さの関係を示す分布図である。 図7Aと図7Bに基づき、周方向ひずみと、トンネル半径5mを基準とした吹付けコンクリートの換算厚さの関係を示す分布図である。 トンネル施工事例に基づく、周方向ひずみと土被りの関係を示す分布図である。 円孔理論解を用いた地山特性曲線と、変状発生時の支保仕様をもとにした支保特性曲線に基づいて、支保降伏応力を特定する方法を説明するグラフである。 図4のテーブルのNo.1 Aトンネルに関して、図8に示すグラフを適用した例を示す図である。 基準位置における、初期変位と最終変位の関係を説明するグラフである。 複数の掘削段階ごとの、初期ひずみと最終ひずみの関係から単回帰分析により特定された回帰直線を示す図である。 複数の掘削段階ごとに設定されている管理基準値と計測値をプロットした管理グラフの一例であって、全ての計測値が管理基準値未満であるケースを示す図である。 複数の掘削段階ごとに設定されている管理基準値と計測値をプロットした管理グラフの一例であって、計測値が管理基準値を超えるケースを示す図である。 実施形態に係るトンネルの施工管理方法の一例のフローチャートである。
以下、実施形態に係るトンネルの施工管理システムと施工管理方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態]
<トンネルの施工管理システム>
はじめに、図1乃至図12を参照して、実施形態に係るトンネルの施工管理システムの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るトンネルの施工管理システムの一例を示す全体構成図である。また、図2は、施工管理システムを構成するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図であり、図3は、施工管理システムを構成する設定評価装置の機能構成の一例を示す図である。
トンネルの施工管理システム100は、トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、支保工の変位量に基づいて施工管理を行う施工管理システムである。
施工管理システム100は、トンネルの掘進に伴って支保工の変位量を計測して計測値を取得する、計測装置10と、設定評価装置20とを有する。図示例の施工管理システム100は、計測装置10と設定評価装置20がネットワーク30を介して計測データを送受信可能に接続されている形態である。ここで、計測装置10と設定評価装置20がネットワーク30にて接続されず、有線にてデータの送受信を行う形態であってもよい。
計測装置10としては、三次元レーザー測定器やトータルステーション等の計測器の他、ストロボ付きのデジタルカメラ等が挙げられる。デジタルカメラを使用する場合は、支保工の側面等にリフレクター等を取り付け、撮像データに基づいて変位計測を行う、デジタル写真計測法が適用される。
設定評価装置20は、図3に示すように各種の機能を備えているが、その内容は以下で詳説する。計測装置10と設定評価装置20はいずれも、コンピュータにより構成されているが、図2を参照する以下の説明では、設定評価装置20を取り上げて説明する。
設定評価装置20を構成するパーソナルコンピュータは、接続バス26により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信IF24、及び入出力IF(interface)25を備えている。主記憶装置22と補助記憶装置23は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
CPU21は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU21は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU21は、設定評価装置20の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU21は、例えば、補助記憶装置23に記憶されたプログラムを主記憶装置22の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
主記憶装置22は、CPU21が実行するコンピュータプログラムや、CPU21が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置22は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置23は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置23には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF24を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。設定評価装置20に対する外部装置等には、計測装置10、計測員の所属する部署にあるホストコンピュータ、他の計測員等の携帯するスマートフォンやタブレット等が含まれる。
補助記憶装置23は、例えば、主記憶装置22を補助する記憶領域として使用され、CPU21が実行するコンピュータプログラムや、CPU21が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置23は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置23として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示され、着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
入出力IF25は、設定評価装置20に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF25には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。設定評価装置20は、入出力IF25を介して、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
また、入出力IF25には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続される。設定評価装置20では、複数の掘削段階ごとの管理基準値と、支保工の変位量に関する計測値が随時表示されるようになっている。
通信IF24は、設定評価装置20が接続するネットワークとのインターフェイスである。通信IF24は、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等、様々なネットワークを介して、計測装置10による計測値を受信し、管理基準値と計測値を表示する管理データ等をホストコンピュータ等に送信する。ここで、通信IF24には、LPWA無線通信モジュールと通信アンテナ等が接続されてもよい。LPWA無線通信モジュールはLPWA無線通信(無線送信)を実現する機器であり、例えば無線チップと周辺回路を小型基板に実装した電子部品である。LPWAの主な通信方式(通信プロトコル)には、Sigfox、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)、NB-IoT等があるが、例えばライセンスを必要とせず、携帯電話通信の波が届き難い山岳地帯でも坑内に自営の基地局を設置することができ、低コストの通信システムを構築可能なLoRaWANを適用するのが好ましい。LoRaWANは、920MHz帯のISMバンドを使用し、13dBm以下の低い出力でも遠距離通信を可能とする、LoRa変調を採用した通信方式である。
図3に示すように、設定評価装置20は、CPU21によるプログラムの実行により、少なくとも、通信部202、許容ひずみ設定部204、管理基準値設定部206,支保工評価部208,表示部210、及び格納部212の各種機能を提供する。ここで、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
通信部202では、計測装置10から送信された支保工の変位計測データ(計測値)が随時受信され、格納部212に随時格納される。
格納部212には、支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例が格納されている。格納部212にはさらに、複数の支保工を剛性ごとにクラス分けした支保工テーブルが格納されている。
ここで、図4と図5には、トンネル施工事例の一例を示しており、より詳細には、図4は、過去の施工実績に基づく施工事例をまとめたテーブルであり、図5は、公知文献に記載の施工事例をまとめたテーブルである。
図4には、Aトンネル乃至Zトンネルまでの26例に関する、土被り、地質、支保部材(支保工)の変状位置、切羽離れ、トンネル換算半径(例えば、馬蹄形のトンネルを円形に模擬した際の半径等)、変状発生時の支保パターン(支保工パターン)、計測変位量を示しており、右欄の「周方向ひずみ」は、トンネルの換算半径と計測変位量から算定している。尚、本明細書において「周方向ひずみ」とは、トンネルの周方向の複数箇所(天端、内空、壁面)における、径方向のひずみのことである。また、本発明者等によりまとめられている施工実績に基づく施工事例は、図4に示す例の他にも存在するが、図4には、その一例を示している。
ここで、周方向ひずみ:εt(%)の算定方法は、トンネルの計測変位量(半径方向変位量):Ur(m)をトンネル掘削半径(もしくは換算半径で、単位はm):Rで除し、100を乗じる方法である。
一方、図5は、文献として、日本トンネル技術協会;トンネルと地下、2000年1月号~2017年12月号(全216巻)を取り上げ、その中の15例を示しており、原則的には図4と同様の情報を示している(周方向ひずみ以外の情報)。ここで、本発明者等によりまとめられている公知文献に記載の施工事例は、図5に示す例の他にも、土木学会:トンネル工学研究発表会 論文・報告集、1991年~2020年(全20巻)、日本トンネル技術協会:施工体験発表会、2000年~2019年(全20巻)等に記載の施工事例が存在する。
本発明者等は、図4,5に示す施工事例と、図示していないその他の施工事例を含め、トンネルの支保工の変位量に関するひずみの度数分布を求めており、その内容を図6A乃至図6Cに示す。ここで、図6Aは、トンネル施工事例に基づく、トンネルの天端沈下量に関するひずみの度数分布図であり、図6Bは、トンネルの内空変位量×1/2に関するひずみの度数分布図であり、図6Cは、図6Aと図6Bの平均値の度数分布図である。
各図に記載しているパーセンテージは、全調査数に対する各ひずみ域の度数の割合を示している。図6Aと図6Bに示す通り、天端沈下量または内空変位量×1/2によるひずみは2.0%以下の範囲に多く分布しており、前者では全調査数の87.5%、後者では91.1%を示す。従って、天端沈下量が卓越する場合や内空変位量が卓越する場合等の変形モードの違いに関わらず、2%以下のひずみレベルにて支保工に変状が発生していたものと推察される。また、図6A乃至図6Cで2%以下の範囲のひずみの平均値は、それぞれ0.81%、1.02%、0.97%であることから、概ね1%前後のひずみにて支保工に変状が発生するものと評価できる。
次に、支保変状発生時のひずみと、(1)トンネル半径、(2)吹付けコンクリート厚さ、(3)土被り、の3項目との関係についての分析結果を図7A乃至図7Dに示す。ここで、図7Aは、トンネル施工事例に基づく、周方向ひずみとトンネル半径の関係を示す分布図であり、図7Bは、周方向ひずみと吹付けコンクリート厚さの関係を示す分布図であり、図7Cは、図7Aと図7Bに基づき、周方向ひずみと、トンネル半径5mを基準とした吹付けコンクリートの換算厚さの関係を示す分布図である。また、図7Dは、トンネル施工事例に基づく、周方向ひずみと土被りの関係を示す分布図である。
図7Aより、いずれのトンネル半径においても、支保変状時のひずみは1%前後乃至2%程度の範囲に多く分布することが分かる。
また、図7Bより、吹付けコンクリート厚さは100mm乃至300mmの範囲にて施工されており、支保変状時のひずみは吹付けコンクリート厚さに関わらず、1%前後乃至2%程度の範囲に多く分布することが分かる。
ここで、図7Bの結果には、トンネル半径による影響も含まれているため、以下の方法によりこの影響を除去し、吹付けコンクリート厚さとひずみとの関係を再整理する。具体的には、全変状事例の吹付けコンクリート厚さを、トンネル半径5mを基準とした換算厚さとして求める。吹付けコンクリートのリング剛性Kc(MPa)は、理論的には、Kc=Ectc/(1-νc)/R(Ec:吹付けコンクリートの弾性係数(MPa)、tc:吹付けコンクリート厚さ(m)、νc:吹付けコンクリートのポアソン比、R:トンネル掘削半径(m))で表すことができ、Kcは吹付けコンクリート厚さに比例し、またトンネル半径に反比例する。全変状事例の吹付けコンクリート厚さtcをトンネル半径Rで除し、さらに半径5mを乗じることで、トンネル半径5mを基準とした換算厚さを求める。図7Cは、ひずみとこの換算厚さの関係を示している。
図7Cより、支保変状時のひずみは換算厚さ100mm乃至250mmの範囲に多く分布し、換算厚さに関わらず1%前後乃至2%程度であることが分かる。吹付けコンクリート厚さ100mm乃至250mmは、一般的に標準支保パターンとして設定されている厚さに相当するため、標準支保パターンのランク(または吹付けコンクリート厚さの大小)に関わらず、ひずみが1%前後乃至2%程度発生する場合では、支保部材に何らかの変状が発生することが推察される。従って、支保構造の安定性を評価する上で、ひずみ1%前後乃至2%の値を、好適な指標範囲として用いることができる。
最後に、図7Dより、支保変状時のひずみは、1%前後乃至2%程度の範囲に多く分布しており、土被りの大小による分布の偏りは見られない。従って、土被りの大小に関わらず、ひずみが1%前後乃至2%程度で発生する場合は、支保部材に何らかの変状が発生することが推察される。
ここで、図8を参照して、理論計算により支保変状事例を検証する。図8は、円孔理論解を用いた地山特性曲線と、変状発生時の支保仕様をもとにした支保特性曲線に基づいて、支保降伏応力を特定する方法を説明するグラフである。
トンネルが変形する影響因子として、土被り(初期地圧)、地質・地山性状に関連する地山の物性値(変形係数、強度定数等)が挙げられるが、図7Dを参照して考察した通り、施工実績では、土被りの大小に関わらず支保部材に変状が見られる。そこで、地山の物性値の中の変形係数に着目し、支保変状事例を調査したトンネルを対象に、トンネル掘削を表現した円孔理論解に基づき支保に発生した応力を推定する。
地山の変形係数を任意の値に設定し、円孔理論解を用いて地山特性曲線を描く。ここで、地山特性曲線は下記のパラメーターより定まる。すなわち、このパラメーターには、トンネル掘削半径、土被り、地山の単位体積重量、変形係数、ポアソン比が含まれる。
次に、変状発生時の支保部材の仕様をもとに支保特性曲線を描く。支保特性曲線の傾き、降伏時の応力値は、下記パラメーターより定まる。すなわち、このパラメーターには、吹付けコンクリート:トンネル掘削半径、弾性係数、厚さ、設計基準強度、鋼製支保工:トンネル掘削半径、弾性係数、断面積、ピッチ、降伏強度であり、ロックボルトは、吹付けコンクリート、鋼製支保工以上の変形抑制に寄与しないことから考慮しないものとする。
次に、支保特性曲線を描いてから地山特性曲線と交わる(「地山と支保」の「応力と変位」が釣り合う点)までに生じた変位量が、計測変位量に相当するため、当該変位量が変状発生時の変位量と等しくなるまで、地山の変形係数(地山特性曲線)を繰り返し変化させることにより、地山の変形係数を推定する。
次に、地山特性曲線と支保特性曲線の交点(応力と変位の釣合点)を求め、釣合点における支保に発生する応力と、支保構造の有する強度との比較を行う。
図9は、図4のテーブルのNo.1 Aトンネルに関して、理論計算により支保変状事例を検証した結果を示す図である。
図9より、吹付けコンクリートと鋼製支保工に発生する応力はそれぞれ、設計基準強度もしくは降伏強度を超えており、支保工に変状が発生する相当の応力、あるいはそれ以上の応力が生じていたことが確認できる。そして、図示を省略するが、本発明者等は、図4に示す他のトンネルにおいても同様の検証を行い、同様の結果を得ている。従って、理論解による事後検証により、調査事例の通り、支保工に変状が生じたことに対する裏付けが得られている。また、推定した地山の変形係数には各トンネルにてばらつきがあることが確認された。このことより、変形係数の大小に関わらず、ひずみが1%前後乃至2%程度発生する場合では、支保部材に何らかの変状が発生することが推察される。
図3に戻り、以上で説明した種々の考察に基づき、許容ひずみ設定部204では、支保工の損傷時の許容ひずみを、1%乃至2%の範囲で設定する。ここで、許容ひずみを2%とすることでトンネル施工事例に基づく危険側の管理基準値を設定でき、許容ひずみを1%とすることでトンネル施工事例に基づく安全側の管理基準値を設定できる。許容ひずみ設定部204は、1%乃至2%程度の範囲で、管理対象のトンネルに対して好適な許容ひずみを自動的に設定してもよいし、施工管理者等が1%乃至2%程度の範囲で設定した許容ひずみが、許容ひずみ設定部204に入力されるようになっていてもよい。
また、例えばひずみ1%に対してさらに安全率を見込んでもよく、安全率を見込むことでより安全側の管理基準値を設定できる。ここで、安全率としては、1.1乃至1.5程度を設定でき、例えばひずみ1%に対して安全率1.25を見込んだ場合は、許容ひずみは0.8%に設定される。
管理基準値設定部206は、許容ひずみ設定部204にて設定されている許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、支保工の管理基準値を設定する。
ここで、支保工の管理基準値の設定に関しては、複数の掘削段階ごとの管理基準値を設定することにより、より一層信頼性の高い支保工の健全性評価に繋げることができる。ここで、図10と図11を参照して、掘削段階に応じた支保工(もしくはトンネル壁面)の地盤の変位に関して考察する。図10は、基準位置における、初期変位と最終変位の関係を説明するグラフであり、トンネルの掘進過程における変位発生状況を概念的に示した図である。また、図11は、複数の掘削段階ごとの、初期ひずみと最終ひずみの関係から単回帰分析により特定された回帰直線を示す図である。
トンネルの掘進に応じた任意の基準位置における、初期変位(量)から最終変位(量)を予測するに当たり、初期変位と最終変位の関係性を回帰分析により推定する。ここで、「初期変位(量)」とは、計測初期値を取得してから切羽が2D(Dはトンネルの掘削直径)程度まで進行する間に生じた変位(量)と定義し、「最終変位(量)」とは、トンネル変形が収斂(収束)した時点の変位(量)と定義する。
切羽にて計測初期値取得後から1掘進(1m程度の掘進)後、0.5D掘進後、1D掘進後、2D掘進後までの変位を初期変位とし、以降、計測データの整理と最終変位との関係性について回帰分析を実施する。ここで、初期変位に基づくひずみを初期ひずみと称し、最終変位に基づくひずみを最終ひずみと称する。
本発明者等が回帰分析の対象としたトンネルは、過去の施工実績(施工事例)の950例としている。初期ひずみと最終ひずみの関係として、最終ひずみ/初期ひずみ(=関係係数A)を、単回帰分析より求める。この結果の一例を図11に示す。
図11より、初期ひずみの取得時期が遅いほど(切羽離れが長いほど)、関係係数Aは1に漸近し、また初期ひずみと最終ひずみの相関性(関係係数Aの信頼性)は高くなる傾向にある。また、図11より、最終ひずみは総じて、計測初期値取得後から1掘進時、0.5D掘進時、1D掘進時、2D掘進時の各初期ひずみの、それぞれ3乃至3.4倍、1.5乃至1.7倍、1.2乃至1.4倍、1.1乃至1.2倍程度である。
一例として、許容ひずみを0.8%とし、掘削段階ごとの管理基準値を以下の表1のように設定する。
Figure 0007683151000001
表示部210には、掘削段階ごとの管理基準値と、掘削段階における支保工の変位量に関する計測値を表示する。ここで、図12Aと図12Bには、複数の掘削段階ごとに設定されている管理基準値と計測値をプロットした管理グラフの一例を示しており、より詳細には、図12Aは、全ての計測値が管理基準値未満であるケースを示す図であり、図12Bは、計測値が管理基準値を超えるケースを示す図である。
図3に戻り、支保工評価部208では、掘削段階ごとの管理基準値と計測値を比較する。そして、格納部212に格納されている支保工テーブルから、現在設定されている支保工を抽出し、当該支保工の適否を判定する。
ここで、支保工テーブルの図示は省略するが、支保パターンとして、例えば地山等級に対応したB、CI、CII、DI、DII等のパターンが設定され、支保パターンごとに、吹付けコンクリートの厚み、鋼製支保工の仕様や建て込み間隔、ロックボルトの長さや本数、周方向間隔、延長方向間隔等が設定されている。
図12Bでは、0.5D掘進時に計測値が管理基準値を上回り、以後の計測値も同様に管理基準値を超過し、最終的には支保工に変状が発生している。図示例は、0.5D掘進時に何らかの対策工を早期に実施する必要があることを示しているが、掘削段階ごとの管理基準値に基づいて施工管理を行うことにより、早期の対策工を計画及び実施することができ、施工安全性の高いトンネル施工を実現できる。
施工管理システム100によれば、許容ひずみ設定部204において、複数のトンネル施工事例に基づいて支保工の損傷時の許容ひずみを設定し、管理基準値設定部206において、許容ひずみに対して管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることで支保工の管理基準値を設定することにより、支保工の損傷時のひずみと管理対象のトンネルの規模が反映された、支保工の健全性を評価できる管理基準値を設定することができる。
そして、この管理基準値と、トンネルの掘進に伴う支保工の変位量に関する計測値とを比較して現在設定されている支保工の適否を判定することにより、支保工の健全性を適正に評価することができる。
さらに、掘削段階ごとの管理基準値に基づいて施工管理を行うことにより、早期の対策工を計画及び実施することができ、施工安全性の高いトンネル施工を実現できる。
<トンネルの施工管理方法>
次に、図13を参照して、実施形態に係るトンネルの施工管理方法の一例について説明する。ここで、図13は、実施形態に係るトンネルの施工管理方法の一例のフローチャートである。
この施工管理方法は、トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、支保工の変位量に基づいて施工管理を行う施工管理方法である。
まず、支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例から、支保工の損傷時の許容ひずみを設定する。ここで、複数のトンネル施工事例の一例は、図4及び図5を参照して説明している。
許容ひずみは、1%乃至2%程度の範囲で設定するのがよく、安全率をさらに見込む場合は、より安全側の許容ひずみが設定される(ステップS10,A工程)。
次に、許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、支保工の管理基準値を設定する。
この管理基準値の設定においては、複数の掘削段階ごとに管理基準値を設定することで、早期の対策工の計画及び実施に繋がり、施工安全性の高いトンネル施工の実現に繋がる(ステップS12,B工程)。
次に、トンネルの掘進に伴い、支保工の変位量に関する計測値を計測する。
複数の掘削段階ごとの管理基準値に基づく施工管理では、掘削段階ごとの計測値を計測する(ステップS14,C工程)。
次に、管理基準値と計測値を比較して、支保工の適否を判定する。
複数の掘削段階ごとの管理基準値に基づく施工管理では、掘削段階ごとに支保工の適否を判定する(ステップS16,D工程)。
この適否判定において、支保工が不適と判定された場合は、対策工の検討及び実施を行う(ステップS18)。
実施形態に係るトンネルの施工管理方法によれば、支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例から支保工の損傷時の許容ひずみを設定し、当該許容ひずみに対して管理対象のトンネルの掘削半径を乗じて支保工の管理基準値を設定することにより、支保工の損傷時のひずみと管理対象のトンネルの規模が反映された、支保工の健全性を評価できる管理基準値を設定することができる。そして、この管理基準値と、トンネルの掘進に伴う支保工の変位量に関する計測値とを比較して支保工の適否を判定することにより、支保工の健全性を適正に評価することができる。さらに、掘削段階ごとの管理基準値に基づいて施工管理を行うことにより、早期の対策工を計画及び実施することができ、施工安全性の高いトンネル施工を実現できる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:計測装置
20:設定評価装置
30:ネットワーク
100:トンネルの施工管理システム(施工管理システム)
202:通信部
204:許容ひずみ設定部
206:管理基準値設定部
208:支保工評価部
210:表示部
212:格納部

Claims (7)

  1. トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理方法であって、
    支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例から、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、A工程と、
    前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、B工程と、
    トンネルの掘進に伴って前記変位量に関する計測値を計測する、C工程と、
    前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定する、D工程とを有することを特徴とする、トンネルの施工管理方法。
  2. 前記A工程では、前記支保工の損傷時の変位量を前記トンネルの掘削半径で除し、さらに、所定の安全率で補正して前記許容ひずみとすることを特徴とする、請求項1に記載のトンネルの施工管理方法。
  3. 前記A工程では、前記支保工の損傷時のひずみを2%以下とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネルの施工管理方法。
  4. 前記A工程では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量を前記変位量として設定し、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数を設定し、
    前記B工程では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径を乗じ、さらに、前記関係係数にて補正することにより、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値を設定し、
    前記C工程では、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値を計測し、
    前記D工程では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトンネルの施工管理方法。
  5. 前記A工程では、前記関係係数を回帰分析により求めることを特徴とする、請求項4に記載のトンネルの施工管理方法。
  6. トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理システムであって、
    設定評価装置と、
    トンネルの掘進に伴って前記変位量を計測して計測値を取得する、計測装置とを有し、
    前記設定評価装置は、
    支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例と、複数の前記支保工を剛性ごとにクラス分けした支保工テーブルを少なくとも格納する、格納部と、
    前記格納部における複数の前記トンネル施工事例に基づいて、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、許容ひずみ設定部と、
    前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、管理基準値設定部と、
    前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工テーブルから現在設定されている前記支保工を抽出し、該支保工の適否を判定する、支保工評価部と、を有することを特徴とする、トンネルの施工管理システム。
  7. 前記許容ひずみ設定部では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量が前記変位量として設定され、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数が設定され、
    前記管理基準値設定部では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径が乗じられた値が、前記関係係数にて補正されることにより、前記管理基準値が設定され、
    前記格納部には、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値が格納され、
    前記支保工評価部では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値が比較されて、前記支保工の適否が判定されることを特徴とする、請求項6に記載のトンネルの施工管理システム。
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