JP7683151B2 - トンネルの施工管理方法と施工管理システム - Google Patents
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Description
坑内変位(もしくは支保工変位)に関する管理基準値を予め設定しておき、計測値と管理基準値を比較しながら、現状の支保工の剛性や強度の妥当性の有無、追加対策の要否等が検討される。
ここで、従来の管理基準値の設定方法としては、直接ひずみ法(もしくは限界ひずみ法)を用いた設定方法が一般的である。この手法は、地山の変形係数や一軸圧縮強度をもとに限界ひずみを求め、この限界ひずみに基づいて管理基準値を定める方法である。限界ひずみは、岩石コアの一軸圧縮強度試験から得られる応力-ひずみ曲線の初期弾性係数の傾きと一軸圧縮強度に対応するひずみである。そのため、限界ひずみは、地山の破壊応力に相当するひずみ、すなわち、地山が安定状態から不安定状態へ転じるときのひずみと定義されている。しかしながら、直接ひずみ法を用いた管理基準値の設定方法には、様々な課題がある。
次に、地山の一軸圧縮強度や変形係数は、必ずしも現場において適切に評価できないことが挙げられる。現状は、事前の地質調査結果等に記載される一軸圧縮強度(変形係数)をもとに限界ひずみを求めているため、仮定した一軸圧縮強度(変形係数)が実際の地山と異なる可能性が高く、設定されている管理基準値の信頼性の低下に繋がり得る。
次に、直接ひずみ法による管理基準値の設定は、限界ひずみに基づいて地山の安定性確保を目的としたものであるため、トンネルを支持する支保工の健全性を評価するものでないことが挙げられる。
次に、管理基準値は一般に、管理レベルI乃至IIIの3段階にて設定され、管理レベルIIIの管理基準値を限界ひずみに相当する変位(FEM(Finite Element Method)解析等の予測値とする場合もある)とし、レベルI及びIIの管理基準値をそれぞれレベルIIIの50%及び75%とする方法が多く採用されているが、この管理体制では、変位が管理基準値を超えた場合に各管理レベルに応じた対応策が行われ、応急処置的な対応が余儀なくされることが挙げられる。従って、変位増加の様子を見ながら施工を進め、管理レベルIIIを超えた段階で緊急の対策を講じているのが実情であり、施工安全性が十分に担保された施工管理方法とは言い難い。
トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理方法であって、
支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例から、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、A工程と、
前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、B工程と、
トンネルの掘進に伴って前記変位量に関する計測値を計測する、C工程と、
前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定する、D工程とを有することを特徴とする。
そして、この管理基準値と、トンネルの掘進に伴う支保工の変位量に関する計測値とを比較して支保工の適否を判定することにより、支保工の健全性を適正に評価することができる。
また、「支保工」には、吹付けコンクリートと鋼製支保工、ロックボルト等が含まれ、「支保工の損傷」には、吹付けコンクリートのクラックや剥落、鋼製支保工の変形や座屈、ロックボルトの座金の変形やロックボルトの破断等が挙げられる。
前記A工程では、前記支保工の損傷時の変位量を前記トンネルの掘削半径で除し、さらに、所定の安全率で補正して前記許容ひずみとすることを特徴とする。
前記A工程では、前記支保工の損傷時のひずみを2%以下とすることを特徴とする。
そこで、この検証結果に基づき、許容ひずみを2%とすることでトンネル施工事例に基づく危険側の管理基準値を設定でき、許容ひずみを1%とすることでトンネル施工事例に基づく安全側の管理基準値を設定でき、例えばひずみ1%に対してさらに安全率を見込むことで、より安全側の管理基準値を設定できる。ここで、安全率としては、1.1乃至1.5程度を設定でき、例えばひずみ1%に対して安全率を1.25を見込んだ場合は、許容ひずみは0.8%に設定される。
前記A工程では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量を前記変位量として設定し、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数を設定し、
前記B工程では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径を乗じ、さらに、前記関係係数にて補正することにより、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値を設定し、
前記C工程では、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値を計測し、
前記D工程では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定することを特徴とする。
ここで、「関係係数による補正」には、関係係数を乗じることにより補正する形態と、関係係数にて除すことにより補正する形態が含まれる。
また、「複数の掘削段階」とは、掘削径(掘削直径)をDとした際に、最初の1m程度の掘進(1掘進)、0.5D掘進、1D掘進、2D掘進等が挙げられる。一般には、基準位置から2D掘進程度で、基準位置におけるトンネル壁面の変位(もしくは支保工の変位)が収斂することが特定されていることから、2D掘進程度までの間で複数の掘削段階(掘進段階)を設定するのがよい。尚、より詳細には、基準位置に切羽が施工された段階で、基準位置においては全応力の40%程度が応力解放されることが特定されており、従って、基準位置から2D程度掘進した段階で全応力の60%に相当する変位が生じることになる。
前記A工程では、前記関係係数を回帰分析により求めることを特徴とする。
トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理システムであって、
設定評価装置と、
トンネルの掘進に伴って前記変位量を計測して計測値を取得する、計測装置とを有し、
前記設定評価装置は、
支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例と、複数の前記支保工を剛性ごとにクラス分けした支保工テーブルを少なくとも格納する、格納部と、
前記格納部における複数の前記トンネル施工事例に基づいて、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、許容ひずみ設定部と、
前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、管理基準値設定部と、
前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工テーブルから現在設定されている前記支保工を抽出し、該支保工の適否を判定する、支保工評価部と、を有することを特徴とする。
ここで、「複数の支保工を剛性ごとにクラス分けした支保工テーブル」には、支保パターンとして、例えば地山等級に対応したB、CI、CII、DI、DII等のパターンが設定され、支保パターンごとに、吹付けコンクリートの厚み、鋼製支保工の仕様や建て込み間隔、ロックボルトの長さや本数、周方向間隔、延長方向間隔等が設定される。
前記許容ひずみ設定部では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量が前記変位量として設定され、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数が設定され、
前記管理基準値設定部では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径が乗じられた値が前記関係係数にて補正されることにより、前記管理基準値が設定され、
前記格納部には、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値が格納され、
前記支保工評価部では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値が比較されて、前記支保工の適否が判定されることを特徴とする。
<トンネルの施工管理システム>
はじめに、図1乃至図12を参照して、実施形態に係るトンネルの施工管理システムの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るトンネルの施工管理システムの一例を示す全体構成図である。また、図2は、施工管理システムを構成するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図であり、図3は、施工管理システムを構成する設定評価装置の機能構成の一例を示す図である。
次に、図13を参照して、実施形態に係るトンネルの施工管理方法の一例について説明する。ここで、図13は、実施形態に係るトンネルの施工管理方法の一例のフローチャートである。
20:設定評価装置
30:ネットワーク
100:トンネルの施工管理システム(施工管理システム)
202:通信部
204:許容ひずみ設定部
206:管理基準値設定部
208:支保工評価部
210:表示部
212:格納部
Claims (7)
- トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理方法であって、
支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例から、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、A工程と、
前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、B工程と、
トンネルの掘進に伴って前記変位量に関する計測値を計測する、C工程と、
前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定する、D工程とを有することを特徴とする、トンネルの施工管理方法。 - 前記A工程では、前記支保工の損傷時の変位量を前記トンネルの掘削半径で除し、さらに、所定の安全率で補正して前記許容ひずみとすることを特徴とする、請求項1に記載のトンネルの施工管理方法。
- 前記A工程では、前記支保工の損傷時のひずみを2%以下とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネルの施工管理方法。
- 前記A工程では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量を前記変位量として設定し、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数を設定し、
前記B工程では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径を乗じ、さらに、前記関係係数にて補正することにより、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値を設定し、
前記C工程では、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値を計測し、
前記D工程では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工の適否を判定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトンネルの施工管理方法。 - 前記A工程では、前記関係係数を回帰分析により求めることを特徴とする、請求項4に記載のトンネルの施工管理方法。
- トンネルの掘進と支保工の設置を繰り返しながらトンネルを施工するに当たり、該支保工の変位量に基づいて施工管理を行う、トンネルの施工管理システムであって、
設定評価装置と、
トンネルの掘進に伴って前記変位量を計測して計測値を取得する、計測装置とを有し、
前記設定評価装置は、
支保工の損傷が確認されている複数のトンネル施工事例と、複数の前記支保工を剛性ごとにクラス分けした支保工テーブルを少なくとも格納する、格納部と、
前記格納部における複数の前記トンネル施工事例に基づいて、前記支保工の損傷時の許容ひずみを設定する、許容ひずみ設定部と、
前記許容ひずみに対して、管理対象のトンネルの掘削半径を乗じることにより、前記支保工の管理基準値を設定する、管理基準値設定部と、
前記管理基準値と前記計測値を比較して、前記支保工テーブルから現在設定されている前記支保工を抽出し、該支保工の適否を判定する、支保工評価部と、を有することを特徴とする、トンネルの施工管理システム。 - 前記許容ひずみ設定部では、前記トンネル施工事例に基づいて、基準位置から複数の掘削段階ごとに測定されているそれぞれの初期変位量が前記変位量として設定され、トンネルの掘進に伴って該基準位置において収斂した最終変位量と、複数の掘削段階ごとの前記初期変位量とに基づいて、複数の掘削段階ごとに、前記最終変位量と前記初期変位量の関係係数が設定され、
前記管理基準値設定部では、複数の掘削段階ごとに、前記許容ひずみに前記トンネルの掘削半径が乗じられた値が、前記関係係数にて補正されることにより、前記管理基準値が設定され、
前記格納部には、複数の掘削段階ごとに前記変位量に関する計測値が格納され、
前記支保工評価部では、複数の掘削段階ごとに前記管理基準値と前記計測値が比較されて、前記支保工の適否が判定されることを特徴とする、請求項6に記載のトンネルの施工管理システム。
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