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JP7683196B2 - カーボンナノチューブ分散液、およびそれを用いた樹脂組成物、導電膜、合材スラリー、電極、非水電解質二次電池 - Google Patents
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JP7683196B2 - カーボンナノチューブ分散液、およびそれを用いた樹脂組成物、導電膜、合材スラリー、電極、非水電解質二次電池 - Google Patents

カーボンナノチューブ分散液、およびそれを用いた樹脂組成物、導電膜、合材スラリー、電極、非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、ホウ素含有カーボンナノチューブ分散液に関する。さらに詳しくは、前記カーボンナノチューブ分散液と樹脂とを含む樹脂組成物、前記カーボンナノチューブ分散液と樹脂と活物質とを含む合材スラリー、それらを膜状に形成してなる導電膜および電極膜、電極膜と電解質とを具備してなる非水電解質二次電池に関する。
近年、エレクトロニクスの発達は目覚ましいものがあり、各種電子機器や電池で使用される導電性材料についても製品の小型・軽量化、低コスト化、様々な使用環境下での高寿命化が求められるようになってきている。導電性の炭素材料は、今日までに様々なグラファイトやカーボンナノチューブ等の体積抵抗率の低い導電性材料が検討されてきた。また、カーボンナノチューブでは、カーボンナノチューブとホウ素化合物を最大3000℃の高温加熱処理することで、カーボンナノチューブにホウ素をドーピングしてカーボンナノチューブの導電性を改善させる研究も報告されている(特許文献1)。カーボンナノチューブに対してホウ素を3%以上ドープすることにより、体積抵抗率10-2Ω・cmレベルの導電性が得られている。しかしながら、さらなる導電性材料の導電性の改善は課題である。
一方、導電性材料が各種電子機器や電池で使用される場合は、導電性材料が溶媒などにより分散された分散液を使用することが多いが、分散により導電性低下などの特性低下を招いてしまうことが最も大きな課題であった。そのため、所望の特性が得られる分散液を作製することが非常に重要である。
リチウムイオン二次電池を例に挙げると、リチウムイオン二次電池に用いられる負極材料としては、リチウムに近い卑な電位で単位質量あたりの充放電容量の大きい黒鉛に代表される炭素材料が用いられている。しかしながらこれらの電極材料は質量当たりの充放電容量が理論値に近いところまで使われており、電池としての質量当たりのエネルギー密度は限界に近づいている。従って、電極としての利用率を上げるため、放電容量には寄与しない導電助剤やバインダーを減らす試みが行われている。
導電助剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラフェン、微細炭素材料等が使用されており、特に微細炭素繊維の一種であるカーボンナノチューブが多く使用されている。例えば、負極活物質である黒鉛やシリコンにカーボンナノチューブを添加することにより、電極の抵抗を低減したり、電池の内部抵抗を改善したり、電極の強度を上げたり、電極の膨張収縮性を上げることで、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命を向上させている(特許文献2~4)。また、正極にカーボンナノチューブを添加することにより、電極抵抗を低減する検討も行われている(特許文献5、6)。
平均外径が小さいカーボンナノチューブを用いると、少量で効率的に導電ネットワークを形成することができ、リチウムイオン二次電池用の正極および負極中に含まれる導電助材量を低減することができる。また、繊維長が大きいカーボンナノチューブを用いた場合も同様の効果があることが知られている(特許文献7)。しかしながら、これらの特徴を有するカーボンナノチューブは凝集力が強くて分散が困難であるため、十分な分散性を有するカーボンナノチューブ分散液を得ることができなかった。
そこで、様々な提案がなされている。例えば、分散剤を用いてカーボンナノチューブを分散安定化する方法が挙げられ、水及びNMP(N-メチル-2-ピロリドン)中へ水溶性高分子ポリビニルピロリドン等のポリマー系分散剤を用いた分散液が開示されている(特許文献5、6、8)。しかしながら、特許文献5では、外径10~150nmのカーボンナノチューブを用いて電極を作製しているが、電極の抵抗が高く、問題であった。また、特許文献6では、DBP吸油量の小さなカーボンナノチューブを用いた分散液が開示されているが、分散性は向上するものの、導電性の改善が不十分であった。特許文献8では、単層カーボンナノチューブを用いた分散液が開示されているが、溶媒中にカーボンナノチューブを高濃度で分散することが困難であった。特許文献9では、二層カーボンナノチューブを用いた分散液が開示されているが、カーボンナノチューブの酸化処理や超音波ホモジナイザーを用いた分散処理を行っているため、導電性の低下が起こるだけでなく、溶媒中にカーボンナノチューブを高濃度で分散することも不十分であった。特許文献10では、リチウムイオン二次電池の導電助剤として適切なカーボンナノチューブとするために、ボールミル型分散機を使用して、外径150nmのカーボンナノチューブを繊維長2~7μm程度に分散したカーボンナノチューブ分散液が開示されているが、十分な導電性を得るためにカーボンナノチューブを多く使用する必要があった。
したがって、良好な導電性と、高濃度かつ均一に分散したカーボンナノチューブ分散液を得ることは、用途拡大に向けた重要な課題であった。
特開2009-256118号公報 特開平4-155776号公報 特開平4-237971号公報 特開2004-178922号公報 特開2011-70908号公報 特開2014-19619号公報 特開2012-221672号公報 特開2005-162877号公報 特開2010-254546号公報 特開2014-182892号公報
本発明の目的は、導電性および密着性の高い導電膜や電極膜を得るために、良好な分散性を有するカーボンナノチューブ分散液、カーボンナノチューブ樹脂組成物および合材スラリーを提供することである。さらには、優れたレート特性およびサイクル特性を有する非水電解質二次電池を提供することである。
本発明は、ホウ素含有カーボンナノチューブと、溶媒と、を含むカーボンナノチューブ分散液であって、動的粘弾性測定によるカーボンナノチューブ分散液の複素弾性率が200Pa未満であり、周波数1Hzにおける位相角が10°以上であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、ホウ素含有カーボンナノチューブのホウ素の含有量が、0.01~3mol%であることを特徴とする前記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、ホウ素含有カーボンナノチューブの表面の炭素元素と置換するようにドープされているホウ素元素の含有量が、0.01~1mol%であることを特徴とする前記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、さらに分散剤を含むことを特徴とする前記カーボンナノチューブ分散液に関する。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブ分散液と、バインダーとを含むことを特徴とするカーボンナノチューブ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブ分散液、または前記カーボンナノチューブ樹脂組成物の塗工膜であるむことを特徴とする導電膜に関する。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブ樹脂組成物と、活物質とを含むことを特徴とする合材スラリーに関する。
また、本発明は、前記合材スラリーの塗工膜であるむことを特徴とする電極膜に関する。
また、本発明は、正極と、負極と、電解質とを具備してなる非水電解質二次電池であって、正極または負極の少なくとも一方が、前記電極膜を含むことを特徴とする非水電解質二次電池に関する。
本発明のカーボンナノチューブ分散液を使用することにより、導電性に優れた導電膜、導電性および密着性に優れた樹脂組成物、合材スラリー、電極が得られる。また、レート特性およびサイクル特性に優れた非水電解質二次電池が得られる。よって高い導電性、密着性、耐久性が求められる様々な用途分野において、本発明のカーボンナノチューブ分散液を使用することが可能である。
図1は、XPSにおけるB1sスペクトルのピーク、およびピーク分離の例を示す図である。
以下、本発明のカーボンナノチューブ分散液、樹脂組成物、導電膜、合材スラリー、電極、および非水電解質二次電池について詳しく説明する。本明細書において、ホウ素含有カーボンナノチューブをカーボンナノチューブまたはCNTと記載することがある。
<ホウ素含有カーボンナノチューブ>
まず初めに、本発明のカーボンナノチューブの形状について説明する。カーボンナノチューブは、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状を有している。単層カーボンナノチューブは一層のグラファイトが巻かれた構造を有する。多層カーボンナノチューブは、二又は三以上の層のグラファイトが巻かれた構造を有する。また、カーボンナノチューブの側壁はグラファイト構造でなくともよい。例えば、アモルファス構造を有する側壁を備えるカーボンナノチューブをカーボンナノチューブとして用いることもできる。また、これらのカーボンナノチューブは複数の総数を有するカーボンナノチューブが混在するものであってもよい。
本発明のカーボンナノチューブの形状は限定されない。かかる形状としては、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン又はカップ積層型)、及びコイル状を含む様々な形状が挙げられる。また、円筒チューブ状のカーボンナノチューブに乾式処理を行って得られた、板状またはプレートレット状の2次凝集体であってもよい。本発明におけるカーボンナノチューブの形状は、中でも、針状、又は、円筒チューブ状であることが好ましい。カーボンナノチューブは、単独の形状、または2種以上の形状の組合せであってもよい。
本発明のカーボンナノチューブの形態は、例えば、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ及びカーボンナノファイバーを挙げることができるが、これらに限定されない。カーボンナノチューブは、これらの単独の形態又は二種以上を組み合わせられた形態を有していてもよい。
次に、本発明のホウ素含有カーボンナノチューブのホウ素含有形態について説明する。ホウ素含有カーボンナノチューブ中のホウ素の含有量(材料全体におけるホウ素の含有量)は、0.005~10mol%であることが好ましく、0.01~3mol%であることがより好ましく、0.1~1mol%であることがさらに好ましい。ホウ素の含有量が0.005mol%以上であると、ホウ素のドープ効果が得られやすく、導電性は向上する。また、ホウ素の含有量が10mol%未満であると、電子の移動の阻害による導電性の低下が起こりにくい。また、ホウ素を含有することにより、有機溶媒や分散剤、樹脂などとの親和性が高まり、分散液の分散性が向上する。一方、ホウ素含有量が多いとカーボンナノチューブの硬さが増加する傾向が見られ、衝撃などの外力に対する耐久性や塗膜強度の改善や、二次電池の充放電に伴う電極活物質の膨張収縮における導電助剤の接触を維持することができるが、含有量が3mol%を超えると分散が難しくなる傾向にあり、カーボンナノチューブの強度や分散性の観点からもホウ素含有量は3mol%以下であることが好ましく、1mol%以下であることがより好ましい。
ホウ素含有カーボンナノチューブ中のホウ素の含有量は、ICP発光分光分析、ICP質量分析などの方法により求めることができる。一例として、JIS-R7223に準拠した測定方法が挙げられる。また、ホウ素含有カーボンナノチューブ中のホウ素の含有量は、炭素材料の表面や内部に含有されたホウ素単体、炭素材料中の炭素元素と置換するようにドープされているホウ素や、ホウ素化合物の全ホウ素量のことを示す。
次に、本発明のホウ素含有カーボンナノチューブの表面の炭素元素と置換するようにドープされているホウ素について説明する。ホウ素含有カーボンナノチューブの表面の炭素元素と置換するようにドープされているホウ素の含有量は、X線光電子分光法(XPS)などの方法により求めることができる。
XPS測定で得られるホウ素のB1sスペクトルは、ホウ素元素のB1s電子の結合エネルギー範囲(185~197eV付近)に現れ、大別すると4つの成分からなることが知られている。各成分の結合エネルギーの値(ピークトップ)は、ホウ素クラスターが186~187eV、炭化ホウ素が187~188eV、六角網面を基本骨格とした炭素元素と置換するようにドープされているホウ素(BC)が188~189.3eV、各種酸化ホウ素であるBCOが189.5~190.5eV、BCOが191.5~192eV、Bが192.5~193eVに現れる。これらのピークが重なっている場合には、各成分をガウス関数としてピーク強度、ピーク位置、ピーク半値全幅をパラメーターとして最適化することにより、フィッティングを行ってピークを分離することにより割合を求めることができる。従って、B1sのピーク分離を行い、ホウ素含有カーボンナノチューブの表面のホウ素の状態を分析することができる。
したがって、本発明のホウ素含有カーボンナノチューブの表面の炭素元素と置換するようにドープされているホウ素の結合エネルギーの値は、188~189.3eVに現れるものである。
また、本発明のホウ素含有カーボンナノチューブは、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料であり、ラマンスペクトル測定およびX線回折測定により、確認することができる。
ラマンスペクトル測定では、例えば励起レーザー波長532nmによるGバンド(1560~1620cm-1)の確認により、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料であることを確認できる。また、炭素材料の欠陥を表すDバンド(1310~1370cm-1)との強度比(G/D比)が高いとホウ素ドープ炭素材料の結晶化度が高く、導電性も高い。G/D比が0.6以上であると好ましく、より好ましくは0.8以上である。
X線回折(XRD)測定では、CuKα線をX線源として得られるホウ素含有カーボンナノチューブのXRD図において、回折角(2θ)が24.0~27.0°付近に現れる(002)面回折ピークの確認により、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料であることを確認できる。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブの平均外径は1~250nmであることが好ましく、2~50nmであることが好ましく、5~25nmであることがより好ましく、5~15nmであることがさらに好ましい。カーボンナノチューブの平均外径が上記範囲であると、電極活物質表面がカーボンナノチューブで被覆されやすくなり、電極膜の導電性や密着性が向上する。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブの外径および平均外径は、次のように求められる。まず透過型電子顕微鏡によって、カーボンナノチューブを観測するとともに撮像する。次に観測写真において、任意の300本のカーボンナノチューブを選び、それぞれの外径を計測する。次に外径の数平均としてカーボンナノチューブの平均外径(nm)を算出する。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの層数が3層以上30層以下であることが好ましく、3層以上20層以下であることがさらに好ましく、3層以上10層以下であることがより好ましい。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブのBET比表面積は10~1500m/gであるものが好ましく、150~800m/gであるものがより好ましく、200~700m/gであるものがさらに好ましい。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブの体積抵抗率は1.0×10-2Ω・cm以下であることが好ましく、5.0×10-3Ω・cm以下であることがより好ましく、3.0×10-3Ω・cm以下であることがさらに好ましい。カーボンナノチューブの体積抵抗率は粉体抵抗率測定装置(日東精工アナリテック社製:ロレスターGP-粉体抵抗率測定システムMCP-PD-51))を用いて測定することができる。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブの炭素純度はカーボンナノチューブ中の炭素原子の含有率(%)で表される。炭素純度はカーボンナノチューブ100質量%に対して、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブ中に含まれる金属量はカーボンナノチューブ100質量%に対して、10質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましく、2質量%未満がさらに好ましい。カーボンナノチューブに含まれる金属としては、カーボンナノチューブを合成する際に触媒として使用される金属や金属酸化物が挙げられる。具体的には、コバルト、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、シリカ、マンガンやモリブデン等の金属、金属酸化物やこれらの複合酸化物が挙げられる。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブは、通常二次粒子として存在している。この二次粒子の形状は、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよい。カーボンナノチューブを直線状にしたものの集合体であってもよい。直線状のカーボンナノチューブの集合体である二次粒子は、絡み合っているものと比べるとほぐれ易い。また直線状のものは、絡み合っているものに比べると分散性が良いのでカーボンナノチューブとして好適に利用できる。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブは、表面処理を行ったカーボンナノチューブでもよい。またカーボンナノチューブは、カルボキシル基に代表される官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物、金属原子、又はフラーレンに代表される物質を内包させたカーボンナノナノチューブも用いることができる。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブはどのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。カーボンナノチューブは一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法及び燃焼法で製造できるが、これらに限定されない。例えば、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気中、500~1000℃にて、炭素源を触媒と接触反応させることでカーボンナノチューブを製造することができる。炭素源は炭化水素及びアルコールの少なくともいずれか一方でもよい。
本発明のホウ素含有カーボンナノチューブの炭素源となる原料ガスは、従来公知の任意のものを使用できる。例えば、炭素を含む原料ガスとしてメタン、エチレン、プロパン、ブタン及びアセチレンに代表される炭化水素、一酸化炭素、並びにアルコールを用いることができるが、これらに限定されない。特に使いやすさの観点から、炭化水素及びアルコールの少なくともいずれか一方を原料ガスとして用いることが望ましい。
<ホウ素含有カーボンナノチューブの製造方法>
本発明におけるホウ素含有カーボンナノチューブの製造方法としては、特に限定されるものではないが、炭素源とホウ素源を加熱処理して合成することができる。具体的には、炭素源であるカーボンナノチューブとホウ素化合物等(炭化ホウ素等)のホウ素源を混合して加熱処理してホウ素含有カーボンナノチューブを製造する方法、基板上に担持された金属触媒上で芳香族炭化水素ガス等の炭素源とホウ素ガス等のホウ素源を加熱処理して化学気相成長(CVD)させる方法、噴霧等により浮遊させた金属触媒上で炭化水素ガス等の炭素源とホウ素ガス等のホウ素源を加熱処理して触媒化学気相成長(CCVD)させる方法、炭素源に対してホウ素をイオン注入処理する方法等により合成することができる。
次に、ホウ素含有カーボンナノチューブの製造に用いられるホウ素源について説明する。ホウ素源は、特に限定されるものではないが、炭化ホウ素、酸化ホウ素、窒化ホウ素、金属ホウ化物、ホウ素オキソ酸、ボラン、ホウ素含有有機化合物等が挙げられる。
具体的には、炭化ホウ素では、BC(B12)、B12(BC)等、
酸化ホウ素では、BCO、BCO、B22、B23 、B43、B45等、
窒化ホウ素では、BN等、
金属ホウ化物では、AlB、CoB、FeB、MgB、NiB、TiB等、
ホウ素オキソ酸では、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等、
ボランでは、モノボラン、ジボラン、デカボラン等、
ホウ素含有有機化合物では、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル類、トリエチルボラン、トリフェニルボラン等の置換ボラン類、フェニルボロン酸、フェニルボロン酸エステル等のボロン酸類等が挙げられる。
ホウ素含有カーボンナノチューブを製造するための炭素源とホウ素源の原料組成比は、特に限定されるものではないが、炭素源100質量部に対してホウ素源の割合が0.01~300質量部であり、好ましくは0.05~100質量部であり、さらに好ましくは0.1~50質量部である。
前記炭素源とホウ素源の混合方法としては、特に限定されるものではないが、好ましくは乾式混合および湿式混合である。また、混合装置としては、以下のような乾式混合装置や湿式混合装置を使用できる。
乾式混合装置としては、例えば、2本ロールや3本ロール等のロールミル、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速攪拌機、マイクロナイザーやジェットミル等の流体エネルギー粉砕機、アトライター、ホソカワミクロン社製粒子複合化装置「ナノキュア」、「ノビルタ」、「メカノフュージョン」、奈良機械製作所社製粉体表面改質装置「ハイブリダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」等が挙げられる。
また、乾式混合装置を使用する際、母体となる原料粉体に、他の原料を粉体のまま直接添加してもよいが、より均一な混合物を作製するために、前もって他の原料を少量の溶媒に溶解、又、分散させておき、母体となる原料粉体の凝集粒子を解しながら添加する方法を用いてもよいし、さらに処理の効率を上げるために、加温してもよい。
湿式混合装置としては、例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類、エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類、レッドデビル社製ペイントコンディショナー、ボールミル、シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等のサンドミル類、アトライター、若しくはコボールミル等のメディア型分散機、 ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等の湿式ジェットミル類、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機類、または、その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、湿式混合装置としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい場合がある。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。又、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用してもよいし、複数種の装置を組み合わせて使用してもよい。
また、原料が均一に溶解、または分散しない場合、各原料の溶媒への濡れ性、分散性を向上させるために、必要に応じて分散剤を添加して、分散、混合してもよい。
前記炭素源とホウ素源の混合物を加熱処理する条件は、原料となる炭素源やホウ素源の種類や量によって異なり、特に限定されるものではないが、加熱温度は1000~3000℃であり、好ましくは1100~2500℃、さらに好ましくは1200~2000℃である。また、加熱時間は特に限定されるものではないが、10分~72時間であり、好ましくは30分~10時間である。
加熱処理工程における雰囲気は、原料の酸化等の副反応を防ぐために、窒素、アルゴンなどの不活性ガスや、真空での雰囲気が好ましい。
また、加熱処理工程は、一定の雰囲気、温度および時間について1段階で行う処理工程だけでなく、雰囲気、温度、温度を多段階で行う処理工程でもよい。
<溶媒>
次に、本発明のカーボンナノチューブ分散液に用いられる溶媒について説明する。溶媒は、カーボンナノチューブが分散可能な溶媒であれば特に限定されないが、水、または、有機溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上からなる混合溶媒であることが好ましく、水、または、水溶性有機溶媒のいずれか一種からなる溶媒、若しくは水溶性有機溶媒のいずれか2種以上からなる混合溶媒であることがさらに好ましい。また、後述する分散剤を使用する場合、その分散剤が一部、あるいは完全に溶解できる溶媒であることが好ましく、溶媒は特に限定されないが、水、または、水溶性有機溶媒を含むことが好ましい。
有機溶媒の例としては、アルコール系(メタノールなど)、多価アルコール系(エチレングリコールなど)、多価アルコールエーテル系(エチレングリコールモノメチルエーテルなど)、アミン系(エタノールアミンなど)、アミド系(N-メチル-2-ピロリドン(NMP)など)、複素環系(γ-ブチロラクトンなど)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシドなど)、スルホン系(スルホランなど)、芳香族系(トルエン、キシレンなど)、炭化水素系(ヘキサンなど)、低級ケトン系(アセトンなど)、エステル系(酢酸エチルなど)などを使用することができる。
好ましい水溶性有機溶媒としては、アミド系(N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルカプロラクタムなど)、複素環系(シクロヘキシルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトンなど)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシドなど)、スルホン系(ヘキサメチルホスホロトリアミド、スルホランなど)、アルコール系(メタノール、エタノールなど)、多価アルコール系(エチレングリコール、ジエチレングリコールなど)、低級ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、その他、テトラヒドロフラン、尿素、アセトニトリルなどを使用することができる。
<分散剤>
本発明における分散剤は、カーボンナノチューブを分散安定化できる範囲で特に限定されず、界面活性剤、樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性に分類される。カーボンナノチューブの分散に要求される特性に応じて適宜好適な種類の分散剤を、好適な配合量で使用することができる。
アニオン性界面活性剤を選択する場合、その種類は特に限定されない。具体的には脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル及びポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩及びβ-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
またカチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類がある。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド及びドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。
またノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びアルキルアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。また両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
界面活性剤は単独または二種以上の界面活性剤を組み合わせて使用することができる。例えばアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせ、又はカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせが利用できる。その際の配合量は、それぞれの界面活性剤成分に対して好適な配合量とすることが好ましい。組み合わせとしてはアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせが好ましい。アニオン性界面活性剤はポリカルボン酸塩であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレンフェニルエーテルであることが好ましい。
また樹脂型分散剤として具体的には、セルロース誘導体(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル系重合体、各種ゴム等が挙げられる。特にメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル系重合体、各種ゴム(例えば部分水素化ニトリルゴム)が好ましい。
樹脂型分散剤は、特に、構造単位として、ニトリル基含有構造単位、カルボキシル基含有構造単位、ヒドロキシル基含有構造単位、複素環含有構造単位の群から選択される1種以上を含有する重合体を使用することで、ホウ素含有カーボンナノチューブへの吸着性と媒体への親和性が高まり、より好ましい。重合体は、主鎖にアルキレン構造を含むことが好ましく、強い分極を有するニトリル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、複素環のいずれかの構造を有することで、カーボンナノチューブへの吸着性と媒体への親和性を高め、カーボンナノチューブを媒体中に安定に存在させることができる。また、重合体は、ニトリル基含有構造単位、カルボキシル基含有構造単位、ヒドロキシル基含有構造単位、複素環含有構造単位の群から選択される2種以上を含有すると、さらにカーボンナノチューブへの吸着性と媒体への親和性が高まり、より好ましい。
ニトリル基含有構造単位は、ニトリル基を含む構造単位であり、好ましくはニトリル基を含む置換基により置換されたアルキレン構造を含有する構造単位を含む。アルキレン構造は、直鎖状又は分岐状のアルキレン構造であることが好ましい。ニトリル基含有構造単位に含まれるニトリル基の数は、1つまたは2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。重合体へのニトリル基含有構造単位の導入方法は、特に限定されないが、例えば、ニトリル基を含むモノマーの重合反応により重合体を調製する方法を好ましく用いることができる。
ニトリル基を含むモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、フマロニトリル等があげられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、重合体同士及び/又は重合体と被分散物(被吸着物)との分子間力を高める観点、原料の入手しやすさ、反応性から、ニトリル基を含むモノマーはアクリロニトリルであることが好ましい。ニトリル基含有構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。また、100質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。ニトリル基含有構造単位の含有量を上記範囲にすることで、被分散物への吸着性及び分散媒への親和性をコントロールすることができ、被分散物を分散媒中に安定に存在させることができるものと思われる。また、重合体の電解液への親和性もコントロールでき、電池内で重合体が電解液に溶解して電解液の抵抗を増大させるなどの不具合を防ぐことができるものと思われる。
カルボキシル基含有構造単位は、カルボキシル基を含む構造単位であり、好ましくはカルボキシル基を含む置換基により置換されたアルキレン構造を含有する構造単位を含む。アルキレン構造は、直鎖状又は分岐状のアルキレン構造であることが好ましい。カルボキシル基含有構造単位に含まれるカルボキシル基の数は、1つまたは2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。重合体へのカルボキシル基含有構造単位の導入方法は、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基を含むモノマーの重合反応により重合体を調製する方法、または、カルボキシル基以外の官能基を含むモノマーの重合反応により重合体を調製し、カルボキシル基に変性させる方法が挙げられる。
カルボキシル基を含むモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和脂肪酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタレート、等が挙げられる。また、(メタ)アクリルアミド等のカルバモイル基を含有するモノマーの重合反応により得られた重合体の、カルバモイル基を加水分解することで、カルボキシル基含有モノマーを得てもよい。カルボキシル基含有モノマーは、不飽和脂肪酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。
カルボキシル基含有構造単位の含有量は、溶媒と適度な親和性を持たせる観点から、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、98質量%以下が好ましく、100質量%であってもよい。また、ニトリル基含有構造単位、ヒドロキシル基含有構造単位、複素環含有構造単位の群から選択される1種以上をさらに含有すると、カーボンナノチューブと媒体との親和性が高くなり、より好ましい。ニトリル基含有構造単位、ヒドロキシル基含有構造単位、複素環含有構造単位の群から選択される1種以上をさらに含有する場合、カルボキシル基含有構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、電解液耐性の観点から、50質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
ヒドロキシル基含有構造単位は、ヒドロキシル基を含む構造単位であり、好ましくは、ヒドロキシル基を含む置換基により置換されたアルキレン構造を含有する構造単位を含む。アルキレン構造は、直鎖状又は分岐状のアルキレン構造であることが好ましい。ヒドロキシル基含有構造単位に含まれるヒドロキシル基の数は、1つまたは2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。重合体へのヒドロキシル基含有構造単位の導入方法は、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基を含むモノマーの重合反応により重合体を調製する方法、または、ヒドロキシル基以外の官能基を含むモノマーの重合反応により重合体を調製し、ヒドロキシル基に変性させる方法が挙げられる。
ヒドロキシル基を含むモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1~5)等が挙げられる。ヒドロキシル基を含むモノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
ヒドロキシル基以外の官能基を含むモノマーの重合反応により重合体を調製し、ヒドロキシル基に変性させる方法としては、例えば、酢酸ビニルを重合して得られたポリ酢酸ビニルのアセチル基を、水酸化ナトリウム等のアルカリによりけん化し、ヒドロキシル基とする方法が挙げられる(けん化反応)。水酸化ナトリウムの濃度と処理時間を変えることで、けん化の反応率(けん化度)を任意にコントロールすることができる。
また、カーボンナノチューブと媒体との親和性を高める等の目的で、重合体中のヒドロキシル基をアルデヒド化合物と反応させ、アセタール基に変性させて用いてもよい(アセタール化)。アセタール化反応に用いるアルデヒド化合物は、例えば、炭素数1~15の直鎖状、分枝状、環状飽和、不飽和、又は芳香族のアルデヒド等化合物等を用いることができるが、これらに限定されない。具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオニルアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、tert-ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。汎用性の観点で、炭素数1~10の直鎖状、分枝状、環状飽和、不飽和、又は芳香族のアルデヒド等化合物が好ましく、炭素数1~4の直鎖状のアルデヒド化合物がより好ましい。アルデヒド化合物と処理時間を変えることで、アセタール化の反応率(アセタール化度)を任意にコントロールすることができる。
ヒドロキシル基含有構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、99.8質量%以下であることが好ましい。ただし、ニトリル基含有構造単位、ヒドロキシル基含有構造単位、複素環含有構造単位の群から選択される1種以上をさらに含有する場合には、5質量%以上であることが好ましく、95質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。上記範囲とすることで、分極を強め、カーボンナノチューブおよび媒体への親和性を高めることができる。また、電解液耐性の観点からも好ましい。アセタール基の含有量は、前記ヒドロキシル基含有構造単位の含有量と同様の理由から、前記ヒドロキシル基含有構造単位の含有量の好ましい範囲内とするのが好ましい。
複素環含有構造単位は、複素環を含む構造単位であり、複素環を含む置換基により置換されたアルキレン構造を含有する構造単位がより好ましい。アルキレン構造は、直鎖状又は分岐状のアルキレン構造であることが好ましい。複素環含有構造単位に含まれる複素環は、単環構造であっても縮合環構造であってもよいが、単環構造であることが好ましい。また、複素環含有構造単位に含まれる複素環の数は、1つまたは2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。複素環は環を構成する原子に炭素以外の原子を含んでおり、例えば、1つまたは2つ以上の窒素、酸素、硫黄原子等を含む。環を構成する炭素以外の原子としては、窒素、または酸素が好ましく、窒素がより好ましい。環を構成する原子に炭素以外の原子を含むと、複素環内で分極が生じ、カーボンナノチューブに強く作用できるようになる。また、重合体への複素環の導入方法は、特に限定されないが、例えば、複素環を含むモノマーの重合反応により重合体を調製する方法を用いることができる。
複素環を含むモノマーとしては、N-ビニル環状アミド構造単位が好ましく、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン、等が挙げられる。特に、電池特性向上の観点からN-ビニル-2-ピロリドンが好ましい。なお、これらは、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
複素環含有構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、前記カーボンナノチューブへの作用を高める観点から、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
重合体は、さらに、その他の構造単位として、活性水素基含有構造単位(カルボキシル基およびヒドロキシル基を除く)、塩基性基含有構造単位、およびエステル基含有構造単位からなる群より選択される1種以上の構造単位を含んでもよい。本発明の導電材分散体を適用する基材や混合する材料の親水性、疎水性、酸性、塩基性等の特性に合わせて上記構造単位を選択し、含有させることで、種々の用途に適用することができる。
活性水素基含有構造単位は、活性水素基として、例えば、一級アミノ基、二級アミノ基、メルカプト基等を有する構造単位である。ここで、「一級アミノ基」とは、-NH2(アミノ基)を意味し、「二級アミノ基」とは、一級アミノ基上の一つの水素原子がアルキル基等の有機残基で置換された基を意味する。ただし、酸アミド中の一級アミノ基および二級アミノ基は、本明細書では、活性水素基には含めない。
塩基性基含有構造単位は、塩基性基を有する構造単位である。塩基性基としては、例えば、3級アミノ基、アミド基などが挙げられる。なお、1級アミノ基を有する構造単位、および2級アミノ基を有する構造単位は、塩基性基含有構造単位にも含まれうるが、本発明においては前記活性水素基含有構造単位として扱い、塩基性基含有構造単位には含めない。
エステル基含有構造単位 は、(R1)C=CH-CO-O-R2で表される構造(ただし、R1は水素原子またはメチル基であって少なくとも一方が水素原子であり、R2は置換基を有していてもよいアルキル基である)を有する構造単位である。
なお、アルキル基の置換基として前記活性水素基または前記塩基性基を含むものは、前記活性水素基含有構造単位または前記塩基性基含有構造単位として扱い、エステル基含有構造単位には含めない。
重合体の製造方法は、特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法、沈殿重合等が挙げられるところ、溶液重合または沈殿重合法が好ましい。重合反応系は、例えば、イオン重合、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合等が挙げられるところ、フリーラジカル重合またはリビングラジカル重合が好ましい。また、ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化物、アゾ系開始剤等が挙げられる。重合体の重合に際して、連鎖移動剤等の分子量調整剤が使用できる。
重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'-アゾビス-4-メトキシ-2,4-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの重合開始剤は、使用する全モノマーの総質量を基準として(すなわち、全モノマーの総質量を100質量%とした場合に)、1質量%以下で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選ぶことができる。
重合体の製造工程においては、本発明の目的を損わない範囲で、連鎖移動剤等を用いて製造する重合体の分子量の制御を行うことができる。連鎖移動剤は例えば、例えば、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸-2-エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、1-メチル-4-イソプロピリデン-1-シクロヘキセン、-ピネン、β-ピネン等が挙げられる。取扱性や安定性の点から、特に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、チオグリコール酸エステル類、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、1-メチル-4-イソプロピリデン-1-シクロヘキセン、-ピネン、β-ピネン等が好ましい。これらは、要求される分子量に応じて適宜添加することができ、具体的には、連鎖移動剤の使用量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、0.01~4質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。
また、その他の分子量制御方法としては重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法等が挙げられる。これらの分子量制御方法は、一種の方法だけを単独で用いてもよいし、二種以上の方法を併用してもよい。
カーボンナノチューブ分散液において分散剤として重合体を用いる場合、重合体の含有量は、カーボンナノチューブの比表面積と濡れやすさに応じて決めるのが好ましく、導電材の質量を基準として(すなわち、カーボンナノチューブの質量を100質量%とした場合に)、2質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、また、250質量%以下であることが好ましく、150質量%以下であることがより好ましく、100質量%以下であることがさらに好ましい。
分散剤は、少なくとも重合体を含有することが好ましい。分散剤は、任意の重合体、任意の共重合体等を更に含んでもよい。分散剤における重合体の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。分散剤における重合体の含有量は100質量%であってもよく、この場合、分散剤は重合体のみからなる。
本発明のカーボンナノチューブ分散液のpHは、7.0以上が好ましく、8.0以上がより好ましく、9.0以上がさらに好ましい。また、12.0以下が好ましく、11.0以下がより好ましい。pHを上記範囲内に調整することで、カーボンナノチューブの濡れ性を向上させ、さらに、重合体の分散剤としての作用を高めることができるものと思われる。pHが上記範囲外であると、カーボンナノチューブの分散性が低下したり、バインダーのゲル化を招くことがある。また、電池用途に使用した場合は、電池内での各種原料及び外装材等の腐食といった問題が生じやすくなるおそれがある。
カーボンナノチューブ分散液のpHは、溶媒として水を含む場合、一般的なpHメーターを用いて測定することができる。一方、溶媒として実質的に水を含んでいない場合、例えば溶媒としてNMPのみを選択した場合は、カーボンナノチューブ分散液に水を添加することで、水を添加する前の固形分濃度を100%としたとき、水を添加した後の固形分濃度が50%となるように調製し、一般的なpHメーターを用いて測定した値を指し、例えば、以下の方法で測定することができる。
固形分濃度5%のカーボンナノチューブ分散液を、ディスパーなどで攪拌しながら、カーボンナノチューブ分散液の固形分濃度が2.5%になるように水を添加する。均一に攪拌した後、25℃にて、卓上型pHメーター(セブンコンパクトS220Expert Pro、メトラー・トレド製)を用いることで、カーボンナノチューブ分散液のpHを測定することができる。
尚、本発明において、実質的に水を含まない、とは意図して水を添加しないことを意味する。溶媒の質量を基準として、5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.5質量%未満が更に好ましい。
カーボンナノチューブ分散液のpHは、特に限定されないが、(1)カーボンナノチューブ中に含まれる金属水酸化物量、(2)カーボンナノチューブ表面の官能基種や量、(3)添加する塩基種や量、によって調整することができる。上記(1)~(3)等の因子を総合してpHを調整することで、カーボンナノチューブの濡れ性を向上するだけでなく、分散性だけでなく安定性にも優れるカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。
上述の通り、カーボンナノチューブには、その製造工程において、触媒として使用される金属や金属酸化物、金属水酸化物が系中に残存している。カーボンナノチューブ中に残存する金属量のうち、特に上記(1)の、金属水酸化物の含有量を適切に調整することでpHを調整することができる。カーボンナノチューブは従来公知の純化処理方法で、残存金属量、炭素純度、そして、それを含むカーボンナノチューブ分散液のpHを調整することができる。
上記(2)の、カーボンナノチューブ表面の官能基は特に限定されないが、カルボキシル基やスルホ基、水酸基が挙げられる。カーボンナノチューブへの官能基の導入方法については特に限定されない。例えば、カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入するには、酸化作用を有する酸とともに加熱すればよい。この操作は比較的容易であり、しかも反応性に富むカルボキシル基を付加することができるため、好ましい。酸化作用を有する酸としては、濃硝酸、過酸化水素水、硫酸と硝酸の混合液、王水等が挙げられる。特に濃硝酸を用いる場合には、その濃度としては、5質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。加熱は、常法にて行えばよいが、その温度としては、使用する酸の沸点以下が好ましい。例えば、濃硝酸では50~130℃の範囲が好ましい。また、加熱の時間としては、30分~20時間の範囲が好ましく、1時間~8時間の範囲がより好ましい。カーボンナノチューブはカルボキシル基やスルホ基等の酸性官能基を有さないことが好ましい。酸性官能基を多く含むと、カーボンナノチューブ分散液が貯蔵中にゲル化する恐れがある。
上記(3)の、pH調整のために添加する塩基としては、特に限定されず、具体的には、無機塩基、無機金属塩、有機水酸化物、その他有機塩基、からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩基を用いることができる。
無機塩基及び無機金属塩としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、又はホウ酸塩;及び水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらの中でも容易にカチオンを供給できる観点から、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物、水酸化物、炭酸塩、アルコキシドが好ましい。アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。アルカリ金属の炭酸塩は、例えば、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。アルカリ金属のアルコキシドは、例えば、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウム-n-ブトキシド、リチウム-t-ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム-n-ブトキシド、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム-n-ブトキシド、ナトリウム-t-ブトキシド等が挙げられる。アルコキシドの炭素数は5以上であってもよい。アルカリ土類金属のアルコキシドは、例えば、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウム-n-ブトキシド、マグネシウム-t-ブトキシド等が挙げられる。アルコキシドの炭素数は5以上であってもよい。
これらの中でも、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、リチウム-t-ブトキシド、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウム-t-ブトキシド、がより好ましい。なお、本発明の無機塩基および及びが有する金属は、遷移金属であってもよい。
有機水酸化物は、有機カチオンと水酸化物イオンとを含む塩である。有機水酸化物としては、例えば、トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、3-トリフルオロメチル-フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。これらの中でも、トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
その他有機塩基としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、2-メトキシエチルアミン等が挙げられる。これら有機機塩基は電解液への溶解度が高いため、使用量が多すぎると電池性能を低下させる恐れがある。また、これらの化合物は分解しやすいことから、分解物が塗膜中に残留する可能性があり、電池中に存在すると初期容量が低下する恐れがある。
塩基の使用量は、重合体の質量を基準として1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。塩基の使用量は、重合体の質量を基準として20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。使用量が多すぎると、得られるカーボンナノチューブ分散液の安定性が不良となるおそれがある。さらに、分散装置及び/又は電池内部の腐食の原因となり得る。
pHを所定の値に調整することで分散性が向上する理由は定かではないが、以下の要因等が考えられる。尚、分散性が向上する理由は、下記(1)~(3)に挙げた要因に限定されない。
(1)重合体の分散性を高める。
pHを所定の値に調整することで、ニトリル基含有構造単位、カルボキシル基含有構造単位、ヒドロキシル基含有構造単位、複素環含有構造単位の群から選択される一種以上を含有する重合体の、被分散物への吸着力を高めることができる。また、構造単位の有する官能基は水素結合を形成し得ることから、重合体の分子内に水素結合による架橋構造が導入され、被分散物に三次元的に吸着することができ、分散性だけでなく安定性にも優れる分散液を得ることができるものと思われる。
(2)重合体の溶液粘度を低下させる。
重合体を溶媒に溶解させて使用する際に、重合体溶液の粘度が低いと、凝集力の強いカーボンナノチューブの内部に分散剤が入り込みやすくなり、均一な分散液を得ることができるものと思われる。
(3)カーボンナノチューブの濡れ性を向上する。
カーボンナノチューブを分散する場合、カーボンナノチューブを溶媒で濡らすことでカーボンナノチューブ同士の凝集力を低下させ、その後解砕し、それを安定化させることで分散液として存在することができる。カーボンナノチューブは、他の導電材と比して濡れ性が顕著に低いため、カーボンナノチューブを化学処理、あるいは機械的に破砕する等の前処理による濡れ性改善の所作が必要となるが、これら処理によって導電性が低下する恐れがある。pHを所定の値に調整することでカーボンナノチューブの有する導電性を損なうことなく、濡れ性を飛躍的に向上させることができるものと思われる。
また、本発明のカーボンナノチューブ分散液では、分散剤に加えて、消泡剤を含んでもよい。消泡剤は、市販の消泡剤、湿潤剤、親水性有機溶剤水溶性有機溶剤等、消泡効果を有するものであれば任意に用いることができ、1種類でも、複数を組み合わせて用いてもよい。
例えば、アルコール系;エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、プロピレングリコール、その他グリコール類等、
脂肪酸エステル系;ジエチレングリコールラウレート、グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、天然ワックス等、
アミド系;ポリオキシアルキレンアミド、アクリレートポリアミン等、
リン酸エステル系;リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等、
金属セッケン系;アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等、
油脂系;動植物油、胡麻油、ひまし油等、
鉱油系:灯油、パラフィン等、
シリコーン系;ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン、フルオロシリコーン油等が挙げられる。
<その他の導電材>
本発明のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ以外にも任意でその他の導電材を含んでもよい。その他の導電材としては、例えば金、銀、銅、銀メッキ銅粉、銀-銅複合粉、銀-銅合金、アモルファス銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属粉、これらの金属で被覆した無機物粉体、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム等の金属酸化物の粉末、これらの金属酸化物で被覆した無機物粉末、及びカーボンブラック、グラファイト等の炭素材料が挙げられる。その他の導電材は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。その他の導電材を用いる場合、分散剤の吸着性能の観点から、カーボンブラックが好ましい。その他の導電材は、後述する電極活物質とは異なる物質(材料)である。
カーボンブラックは、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、中空カーボンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。また、カーボンブラックは、中性、酸性、塩基性のいずれでもよく、酸化処理されたカーボンブラックや、黒鉛化処理されたカーボンブラックを使用してもよい。
<カーボンナノチューブ分散液>
本発明のカーボンナノチューブ分散液は、ホウ素含有カーボンナノチューブおよび溶媒を含むものであり、好ましくは分散剤をさらに含むものである。
本発明のカーボンナノチューブ分散液を得るには、ホウ素含有カーボンナノチューブを溶媒中に分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されない。
分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(BRANSON社製Advanced Digital Sonifer(登録商標)、MODEL 450DA、エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のカーボンナノチューブ分散液のホウ素含有カーボンナノチューブの量は、カーボンナノチューブ分散液100質量部に対して、0.2~20質量部が好ましく、0.5~10質量部が好ましく、0.5~3.0質量部がより好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ分散液中の分散剤の量は、ホウ素含有カーボンナノチューブ100質量部に対して、0.1~100質量部使用することが好ましく、5~80質量部使用することがより好ましく、20~50質量部使用することがさらに好ましい。
カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブの分散性は、動的粘弾性測定による複素弾性率及び位相角で評価できる。複素弾性率は、カーボンナノチューブ分散液の硬さを示し、カーボンナノチューブの分散性が良好であるほど、また、低粘度であるほど小さくなる傾向にある。しかし、カーボンナノチューブの繊維長が大きい場合、またはカーボンブラックのストラクチャー長が大きい場合には、カーボンナノチューブが媒体中で均一かつ安定に解れた状態であっても、カーボンナノチューブ自体の構造粘性があるため、複素弾性率が高い数値となる場合がある。本発明のカーボンナノチューブ分散液は、動的粘弾性測定による複素弾性率が200Pa未満であり、50Pa未満であることが好ましく、20Pa未満であることが好ましい。また、1Pa以上であることが好ましく、5Pa以上であることがより好ましい。
また、位相角は、CNT分散液に与えるひずみを正弦波とした場合の応力波の位相ズレを意味し、流れやすさを示している。純弾性体であれば、与えたひずみと同位相の正弦波となるため、位相角0°となる。一方で、純粘性体であれば90°進んだ応力波となる。一般的な粘弾性測定用試料では、位相角が0°より大きく90°より小さい正弦波となり、CNT分散液におけるCNTの分散性が良好であれば、位相角は純粘性体である90°に近づく。しかし、複素弾性率と同様に、導電材自体の構造粘性がある場合には、導電材が媒体中で均一かつ安定に解れた状態であっても、位相角が低い数値となる場合がある。本発明のCNT分散液の動的粘弾性測定による周波数1Hzでの位相角は、10°以上であり、20°以上であることが好ましい。また、75°未満であることが好ましく、65°未満であることがより好ましい。
カーボンナノチューブの繊維長や、カーボンブラックのストラクチャー長が大きい導電材を、長さを一定以上に保ったまま均一かつ良好に分散させることで、発達した導電ネットワークが形成される。したがって、単に導電材分散体の粘度が低く(見かけ上の)分散性が良好であればよいのではなく、複素弾性率および位相角を、粘度等の従来の指標と組み合わせて分散状態を判断することが特に有効である。複素弾性率および位相角を上記範囲とすることで、導電性および電極強度の良好な導電材分散体を得ることができる。導電材分散体の複素弾性率および位相角は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のカーボンナノチューブ分散液中のカーボンナノチューブの繊維長は、0.1~5μmであることが好ましく、0.2~3.5μmであることがより好ましく、0.3~2.5μmであることがさらに好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ分散液の累積粒径D50は、100~5000nmであることが好ましく、300~3000nmであることがより好ましい。カーボンナノチューブ分散液の累積粒径D50は粒度分布計(マイクロトラック・ベル株式会社製、Nanotrac UPA、model UPA-EX)を用いて測定することができる。
本実施形態のカーボンナノチューブ分散液の粘度は、カーボンナノチューブ分散液100質量部中に0.5質量部以上3.0質量部以下のカーボンナノチューブを含む分散液であって、B型粘度計を用いて、60rpmで測定した粘度が10mPa・s以上10000mPa・s未満であることが好ましく、10mPa・s以上5000mPa・s未満であることがより好ましく、10mPa・s以上2000mPa・s未満であることがさらに好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ分散液は、優れた分散性と導電性を両立するだけでなく、衝撃などの外力に対する耐久性や塗膜強度の改善も改善するため、導電配線形成用や透明導電膜形成用の分散液、二次電池、キャパシタやセンサー等の電気化学デバイス形成用の分散液などに好適に使用することが可能である。
<カーボンナノチューブ樹脂組成物>
本発明のカーボンナノチューブ樹脂組成物は、カーボンナノチューブと溶媒とバインダーとを含むものである。
本発明のカーボンナノチューブ樹脂組成物を得るには、カーボンナノチューブ分散液とバインダーとを混合し、均一化することが好ましい。混合方法としては、従来公知の様々な方法を行うことができる。カーボンナノチューブ樹脂組成物は前記カーボンナノチューブ分散液で説明した分散装置を用いて作製することができる。
<バインダー>
本発明のバインダーとは、カーボンナノチューブなどの物質間を結着するための樹脂である。
本発明のバインダーとしては特に限定されず、目的とする物性に合わせて適宜選択できる。例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でもよい。これらの中でも、正極膜のバインダー樹脂として使用する場合は、耐性面から分子内にフッ素原子を有する重合体又は共重合体、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等が好ましい。また、負極膜のバインダー樹脂として使用する場合は、密着性が良好なカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸等が好ましい。
バインダー樹脂の重量平均分子量は、10,000~2,000,000が好ましく、100,000~1,000,000がより好ましく、200,000~1,000,000が更に好ましい。
バインダー樹脂としてのカルボキシメチルセルロースは、高粘度であることが好ましく、例えば、1%水溶液を作製した際の粘度が500~6000mPa・sであることが好ましく、1000~3000mPa・sであることがさらに好ましい。カルボキシメチルセルロース1%水溶液の粘度は25℃の条件下で、B型粘度計ローター回転速度60rpmで測定することができる。
バインダー樹脂としてのカルボキシメチルセルロースは、エーテル化度が高いことが好ましい。例えば、エーテル化度が0.6~1.5であることが好ましく、0.8~1.2であることがさらに好ましい。
バインダーの種類や量比は、カーボンナノチューブ、活物質など共存する物質の性状に合わせて、適宜選択される。例えば、カルボキシメチルセルロースを使用する量については、活物質の質量を100質量%とした場合、カルボキシメチルセルロースの割合が0.5~3.0質量%が好ましく、1.0~2.0質量%がさらに好ましい。
スチレンブタジエンゴムは、水中油滴エマルションであれば、一般に電極の結着材として用いられているものを使用することができる。スチレンブタジエンゴムを使用する量については、活物質の質量を100質量%とした場合、スチレンブタジエンゴムの割合が0.5~3.0質量%が好ましく、1.0~2.0質量%がさらに好ましい。
ポリアクリル酸を使用する量については、活物質の質量を100質量%とした場合、ポリアクリル酸の割合が1~25質量%が好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。
<合材スラリー>
本発明の合材スラリーとは、カーボンナノチューブと溶媒とバインダーと活物質とを含むものである。
<活物質>
本発明の活物質とは、電池反応の基となる材料のことである。活物質は起電力から正極活物質と負極活物質に分けられる。
正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiXFe23、LiXFe34、LiXWO2(xは0<x<1の数である。)、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ-p-フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
本発明の負極活物質としては、シリコン合金やケイ素酸リチウム等のシリコンを含む負極活物質であるシリコン系負極活物質が好ましい。
シリコン系負極活物質としては、例えば、二酸化珪素を炭素で還元して作製される所謂冶金グレードシリコンや、冶金グレードシリコンを酸処理や一方向凝固などで不純物を低減した工業グレードシリコン、そしてシリコンを反応させて得られたシランから作製される高純度の単結晶、多結晶、アモルファスなど結晶状態の異なる高純度シリコンや、工業グレードシリコンをスパッタ法やEB蒸着(電子ビーム蒸着)法などで高純度にすると同時に、結晶状態や析出状態を調整したシリコンなどが挙げられる。
また、シリコンと酸素の化合物である酸化珪素や、シリコンと各種合金及びそれらの結晶状態を急冷法などで調整したシリコン化合物も挙げられる。中でも、外側がカーボン皮膜で被覆された、珪素ナノ粒子が酸化珪素中に分散した構造を有するシリコン系負極活物質が好ましい。
本発明の負極活物質は、シリコン系負極活物質に加えて、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末を使用することが好ましい。その中でも、人造黒鉛や天然黒鉛等の炭素質粉末を使用することが好ましい。
シリコン系負極活物質の量は、人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末100質量%とした場合、3~50質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましい。
本発明の活物質のBET比表面積は0.1~10m2/gのものが好ましく、0.2~5m2/gのものがより好ましく、0.3~3m2/gのものがさらに好ましい。
本発明の活物質の平均粒子径は0.5~50μmの範囲内であることが好ましく、
2~20μmであることがより好ましい。本明細書でいう活物質の平均粒子径とは、活物質を電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値である。
<合材スラリーの製造方法>
本発明の合材スラリーは従来公知の様々な方法で作製することができる。例えば、カーボンナノチューブ樹脂組成物に活物質を添加して作製する方法や、カーボンナノチューブ分散液に活物質を添加した後、バインダーを添加して作製する方法が挙げられる。
本発明の合材スラリーを得るには、カーボンナノチューブ樹脂組成物に活物質を加えた後、分散させる処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うために使用される分散装置は特に限定されない。合材スラリーは前記カーボンナノチューブ分散液で説明した分散装置を用いて、合材スラリーを得ることができる。
本発明の合材スラリー中の活物質の量は合材スラリー100質量部に対して、20~85質量部であることが好ましく、30~75質量部であることがより好ましく、40~70質量部であることがさらに好ましい。
本発明の合材スラリー中のカーボンナノチューブの量は活物質100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.02~5質量部であることが好ましく0.03~1質量部であることが好ましい。
本発明の合材スラリー中のバインダーの量は活物質100質量%に対して、0.5~30質量%であることが好ましく、1~25質量%であることがさらに好ましく、2~20質量%であることが特に好ましい。
本発明の合材スラリーの固形分の量は、合材スラリー100質量%に対して、30~90質量%であることが好ましく、30~80質量%であることがより好ましく、40~75質量%であることが好ましい。
<導電膜および電極膜>
本発明の導電膜とは、カーボンナノチューブ分散液またはカーボンナノチューブ樹脂組成物を膜状に形成してなるものである。例えば、シート状基材上にカーボンナノチューブ分散液またはカーボンナノチューブ樹脂組成物を塗工乾燥することで形成した塗工膜である。シート状基材としては特に限定されず、導電性または非導電性の基材を使用することができ、導電性基材としては下記の集電体等を使用することができる。
また、本発明の電極膜とは、合材スラリーを膜状に形成してなるものである。例えば、集電体上に合材スラリーを塗工乾燥することで、電極合材層を形成した塗工膜である。
本発明の電極膜に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に合材スラリーを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行ってもよい。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
<非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池とは正極と、負極と、電解質とを含むものである。
正極としては、集電体上に正極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製したものを使用することができる。
負極としては、集電体上に負極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製したものを使用することができる。
電解質としては、イオンが移動可能な従来公知の様々なものを使用することができる。例えば、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、又はLiBPh(ただし、Phはフェニル基である)等リチウム塩を含むものが挙げられるが、これらに限定されず、ナトリウム塩やカルシウム塩を含むものも使用できる。電解質は非水系の溶媒に溶解して、電解液として使用することが好ましい。
非水系の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びγ-オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,2-メトキシエタン、1,2-エトキシエタン、及び1,2-ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいが、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の非水電解質二次電池には、セパレーターを含むことが好ましい。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の非水電解質二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例中、「カーボンナノチューブ」を「CNT」と略記することがある。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」を表す。
<CNT>
後述の実施例および比較例において使用されたCNTおよび、その物性について示す。
(ホウ素含有CNT)
以下にCNTの製造例について説明する。
[製造例(A)]
特開2018-150218の段落[0117]記載の方法により、CNT合成用触媒を作製した。その後、加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10Lの横型反応管の中央部に、前記CNT合成用触媒1.0gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気を酸素濃度1体積%以下とした。次いで、外部ヒーターにて加熱し、横型反応管内の中心温度が680℃になるまで加熱した。680℃に到達した後、炭素源としてプロパンガスを毎分2Lの流速で反応管内に導入し、2時間接触反応させた。反応終了後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管の温度を100℃以下になるまで冷却し取り出すことで、CNT(A)を得た。
[製造例(B)]
特開2019-108256の段落[0147]、段落[0148]記載の方法により、CNT合成用触媒を作製した。その後、加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10Lの横型反応管の中央部に、前記CNT合成用触媒1gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気温度が700℃になるまで加熱した。700℃に到達した後、炭化水素としてエチレンガスを毎分2Lの流速で反応管内に導入し、15分間接触反応させた。反応終了後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管の温度を100℃以下になるまで冷却し取り出すことでCNT(B)を得た。
[製造例(1)]
炭素源であるCNT(A)95部と、ホウ素源であるホウ酸5部と、溶媒であるトルエン/エタノール(=1/1、重量比)9900部とを混合し、超音波処理による湿式混合を行った後、65℃にて加熱乾燥して溶媒を除去し、前駆体(1)を作製した。
次に、黒鉛ルツボに前駆体(1)を充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分で炉内温度が1700℃となるよう加熱した後、1700℃で2時間熱処理を行い、ホウ素含有CNT(1)を得た。
[製造例(2)]
炭素源である100P(KUMHO PETROCHEMICAL社カーボンナノチューブ)92.5部と、ホウ素源であるホウ酸7.5部とを混合し、メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)による乾式処理を行い、前駆体(2)を作製した。
次に、黒鉛ルツボに前駆体(2)を充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分で炉内温度が1650℃となるよう加熱した後、1650℃で2時間熱処理を行い、ホウ素含有CNT(2)を得た。
[製造例(3)、(5)、(8)、(9)]
表1に示す、炭素源、ホウ素源、焼成温度に変更した以外は、製造例2と同様にしてホウ素含有CNT(3)、(5)、(8)、(9)を得た。
[製造例(4)、(6)、(7)]
表1に示す、炭素源、ホウ素源、溶媒、焼成温度に変更した以外は、製造例1と同様にしてホウ素含有CNT(4)、(6)、(7)を得た。
(CNT中のホウ素元素の含有量)
ICP発光分光分析(SPECTRO社製 SPECTROARCOS FHS12)を用いて、CNT中のホウ素元素の含有量を測定した。得られた値は、CNT材料の全体に含有するホウ素元素の量(mol%)を示す。
(CNTの置換ホウ素元素量)
XPS(Thermo Fisher scientific社製、K-Alpha)を用いて、CNTの表面の置換ホウ素量(mol%)を測定した。
ホウ素1s電子のスペクトルは結合エネルギー185~194eVに現れるため、そのピーク面積を求めることで表面のホウ素の状態を評価することができる。
また、詳細には、ホウ素クラスターが186~187eV、炭化ホウ素が187~188eV、六角網面を基本骨格とした炭素元素と置換するようにドープされているホウ素元素(表面の置換ホウ素)が188~189.3eV、各種酸化ホウ素であるBC2Oが189.5~190.5eV、BCO2が191.5~192eV、B2O3が192.5~193eVに現れる。従って、ホウ素1sのピーク分離を行い、CNTの表面のホウ素のドープ状態を分析することができるため、CNTの置換ホウ素量を測定することができる。
(CNTの平均外径)
電子天秤を用いて、サンプル瓶にCNTを0.2g計量し、トルエン200mLを加えた後、超音波ホモジナイザー(Advanced Digital Sonifer(登録商標)、MODEL 450DA、BRANSON社製)を使用して振幅50%で5分間氷冷下分散処理を行い、CNT分散液を調整した。その後、CNT分散液を適宜希釈し、コロジオン膜状に数μL滴下し、室温で乾燥させた後、直接透過型電子顕微鏡(H-7650、株式会社日立製作所社製)を用いて、観察した。観察は5万倍の倍率で、視野内に10本以上のCNTが含まれる写真を複数撮り、任意に抽出した300本のCNTの外径を測定し、その平均値をCNTの平均外径(nm)とした。
(CNTのBET比表面積)
電子天秤を用いて、CNTを0.03g計量した後、110℃で15分間、脱気しながら乾燥させた。その後、全自動比表面積測定装置(MOUNTECH社製、HM-model1208)を用いて、CNTのBET比表面積を測定した。
(CNTのG/D比)
ラマン顕微鏡(XploRA、株式会社堀場製作所社製)にCNTを設置し、532nmのレーザー波長を用いて測定を行った。測定条件は取り込み時間60秒、積算回数2回、減光フィルタ10%、対物レンズの倍率20倍、コンフォーカスホール500、スリット幅100μm、測定波長は100~3000cm-1とした。測定用のCNTはスライドガラス上に分取し、スパチュラを用いて平坦化した。得られたピークの内、スペクトルで1560~1600cm-1の範囲内で最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内で最大ピーク強度をDとし、G/Dの比をCNTのG/D比とした。
(CNTの体積抵抗率)
粉体抵抗測定システム(日東精工アナリテック社製、MCP-PD51型)を用いて、
CNTの体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、測定セルの中にCNTを加えた後、荷重を加えながら測定し、1g/cmの密度におけるCNTの体積抵抗率の値について評価した。
<分散剤>
後述の実施例および比較例において使用された分散剤について示す。
分散剤(1):アクリロニトリル-共役ジエン系ゴム(下記、合成例1)
分散剤(2):ポリビニルピロリドン(日本触媒社製、K-30)
分散剤(3):ポリビニルアルコール(クラレ社製、クラレポバール PVA-403)
分散剤(4):Therban(登録商標)3406、(ARLANXEO社製)
分散剤(5):Zetpole(登録商標)2000L(日本ゼオン社製)
分散剤(6):ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、エスレックBL-10)
分散剤(7):アクリロニトリル-アクリル酸共重合体(下記、合成例2)
分散剤(8):カルボキシメチルセルロース(日本製紙社製、APP-084)
分散剤(9):カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩(信越工業社製、メトローズ(登録商標)SM-4)
分散剤(10):ポリビニルアルコール(クラレ社製、クラレポバールSD1000)
分散剤(11):カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製、サンローズ(登録商標)F01MC)
[合成例(1)]
ステンレス製重合反応器に、アクリロニトリル35部、1,3-ブタジエン65部、オレイン酸カリ石ケン3部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t-ドデシルメルカプタン0.55部、及びイオン交換水200部を加えた。窒素雰囲気下において、撹拌しながら、45℃で20時間の重合を行い、転化率90%で重合を終了した。未反応のモノマーを減圧ストリッピングにより除き、固形分濃度約30%のアクリロニトリル-共役ジエン系ゴムラテックスを得た。続いて、ラテックスにイオン交換水を追加して全固形分濃度を12%に調整し、容積1Lの撹拌機付きオートクレーブに投入して、窒素ガスを10分間にわたり流して内容物中の溶存酸素を除去した。水素化触媒としての酢酸パラジウム75mgを、パラジウムに対して4倍モルの硝酸を添加したイオン交換水180mLに溶解して調製した触媒液を、オートクレーブに添加した。オートクレーブ内を水素ガスで2回置換した後、3MPaまで水素ガスで加圧した状態でオートクレーブの内容物を50℃に加温し、6時間の水素化反応を行った。その後、内容物を常温に戻し、オートクレーブ内を窒素雰囲気とした後、固形分を乾燥させて分散剤(1)を回収した。分散剤(1)の水素添加率は99.6%であり、重量平均分子量(Mw)は150,000であった。
[合成例(2)]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、アセトニトリル100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を75℃に加熱して、アクリロニトリル90.0部、アクリル酸10.0部、および2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を(日油社製;V-65)5.0部の混合物を3時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに75℃で1時間反応させた後、パーブチルOを0.5部添加し、さらに75℃で1時間反応を続けた。その後、不揮発分測定にて転化率が98%超えたことを確認し、減圧濃縮して分散媒を完全に除去し、分散剤(7)を得た。分散剤(7)の重量平均分子量(Mw)は45,000であった。
<CNT分散液>
次に、CNT分散液の作製や、分散液の評価方法を示す。
[実施例1-N1]
ステンレス容器に分散剤(1)0.9部、溶媒としてNMP(N-メチルピロリドン)94.064部、及び添加剤としてNaOH0.036部を加え、ディスパーで均一になるまで撹拌した。その後、ホウ素含有CNT(1)5部をディスパーで撹拌しながら添加し、ハイシアミキサー(L5M-A、SILVERSON製)に角穴ハイシアスクリーンを装着し、8,500rpmの速度で全体が均一になり、グラインドゲージにて分散粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散を行った。続いて、ステンレス容器から、配管を介して高圧ホモジナイザー(スターバーストラボHJP-17007、スギノマシン製)に被分散液を供給し、20回パス式分散処理を行った。分散処理はシングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて行い、CNT分散液(N1)を得た。
[実施例1-N2~N15]
表3に示す組成に従い、実施例1-N1と同様にして、各CNT分散液(N2)~(N15)を得た。
[比較例1-N1]
表3に示す組成に従い、ガラス瓶に、CNT、NMP、分散剤およびジルコニアビーズ(ビーズ径0.3mmφ)140部を仕込み、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて8時間分散処理を行った後、ジルコニアビーズを分離して、CNT分散液(N16)を得た。
[比較例1-N2]
表3に示す組成に従い、ステンレス容器に分散剤、NMPを加え、NMPを追加して濃度を調整した後、ディスパーで均一になるまで撹拌した。その後、ホウ素含有CNT(6)をディスパーで撹拌しながら添加し、ハイシアミキサーに角穴ハイシアスクリーンを装着し、8,500rpmの速度で全体が均一になり、グラインドゲージにて分散粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散を行った。続いて、ステンレス容器から、配管を介して高圧ホモジナイザーに被分散液を供給し、5回パス式分散処理を行った。分散処理はシングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて行い、CNT分散液(N17)を得た。
[比較例1-N3]
表3に示す組成に従い、ガラス瓶に、ホウ素含有CNT、NMP、分散剤およびジルコニアビーズ(ビーズ径0.3mmφ)140部を仕込み、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて2時間分散処理を行った後、ジルコニアビーズを分離して、CNT分散液(N18)を得た。
[実施例1-W1]
ステンレス容器にイオン交換水97.7部、分散剤(2)0.45部、消泡剤(A)(サンノプコ株式会社製 SNデフォーマー1312)0.05部を加えて、ディスパーで均一になるまで撹拌した。その後、ディスパーで撹拌しながら、ホウ素含有CNT(1)1.8部を加えてさらにディスパーで均一になるまで撹拌した。さらにその後、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト10)により分散処理を行った。分散処理はシングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.17mm、圧力100MPaにて、5パス処理を行い、CNT分散液(W1)を得た。
[実施例1-W3、W4、W6、W7、W9、W11、W12,W15]
表5に示すCNT種類、CNT添加量、イオン交換水添加量、分散剤種類、分散剤添加量、消泡剤添加量、パス回数に変更した以外は実施例1-W1と同様の方法により、CNT分散液(W3)、(W4)、(W6)、(W7)、(W9)、(W11)、(W12)、(W15)を得た。
[実施例1-W2]
ガラス瓶に、ホウ素含有CNT(1)を2部、分散剤(7)0.5部、消泡剤(A)(サンノプコ株式会社製 SNデフォーマー1312)0.05部、イオン交換水を97.45部およびジルコニアビーズ(ビーズ径0.3mmφ)140部を仕込み、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて4時間分散処理を行った後、ジルコニアビーズを分離して、CNT分散液(W2)を得た。
[実施例1-W5、W8、W10、W13、W14]
表5に掲載したCNT種類、CNT添加量、イオン交換水添加量、分散剤種、分散剤添加量、消泡剤添加量、分散時間に変更した以外は実施例1-W2と同様の方法により、CNT分散液(W5)、(W8)、(W10)、(W13)、(W14)を得た。
[比較例1-W1]
表5に示す組成に従い、ガラス瓶に、CNT、イオン交換水、分散剤、消泡剤およびジルコニアビーズ(ビーズ径0.3mmφ)140部を仕込み、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて4時間分散処理を行った後、ジルコニアビーズを分離して、CNT分散液(W16)を得た。
[比較例1-W2]
ステンレス容器にイオン交換水97.85部、分散剤(8)0.1部、消泡剤(A)(サンノプコ株式会社製 SNデフォーマー1312)0.05部を加えて、ディスパーで均一になるまで撹拌した。その後、ディスパーで撹拌しながら、ホウ素含有CNT(9)2部を加えてさらにディスパーで均一になるまで撹拌した。さらにその後、高圧ホモジナイザーにより分散処理を行った。分散処理はシングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.17mm、圧力100MPaにて、1パス処理を行い、CNT分散液(W17)を得た。
[比較例1-W3]
表5に示す組成に従い、ガラス瓶に、ホウ素含有CNT、イオン交換水、分散剤、消泡剤およびジルコニアビーズ(ビーズ径0.3mmφ)140部を仕込み、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて0.5時間分散処理を行った後、ジルコニアビーズを分離して、CNT分散液(W18)を得た。
(CNT分散液の複素弾性率及び位相角の測定)
CNT分散液の複素弾性率及び位相角は、直径60mm、2°のコーンにてレオメーター(Thermo Fisher Scientific株式会社製RheoStress1回転式レオメーター)を用い、25℃、周波数1Hzにて、ひずみ率0.01%から5%の範囲で動的粘弾性測定を実施することで評価した。得られた複素弾性率が小さいほど分散性が良好であり、大きいほど分散性が不良である。また、得られた位相角が大きいほど分散性が良好であり、小さいほど分散性が不良である。
判定基準(複素弾性率)
◎:20Pa未満(極めて優良)
○:20Pa以上50Pa未満(優良)
○△:50Pa以上100Pa未満(良)
△:100Pa以上、200Pa未満(可)
×:200Pa以上(不良)
判定基準(位相角)
◎:30°以上(優良)
○:20°以上30°未満(良)
△:10°以上20°未満(可)
×:10°未満(不良)
(分散液の粘度)
CNT分散液を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、CNT分散液を十分に撹拌してから、B型粘度計ローター回転速度60rpmにて直ちに行った。測定に使用したローターは、粘度値が100mPa・s未満の場合はNo.1を、100以上500mPa・s未満の場合はNo.2を、500以上2000mPa・s未満の場合はNo.3を、2000以上10000mPa・s未満の場合はNo.4のものをそれぞれ用いた。
判定基準
◎:2000mPa・s未満(優良)
○:2000mPa・s以上5,000mPa・s未満(良)
△:5,000mPa・s以上10,000mPa・s未満(可)
×:10,000mPa・s以上、沈降又は分離(不良)
(分散液の安定性評価)
貯蔵安定性の評価は、導電材分散体を50℃にて7日間静置して保存した後の、液性状の変化から評価した。液性状の変化は、ヘラで撹拌した際の撹拌しやすさから判断した。
判定基準
○:問題なし(良好)
△:粘度は上昇しているがゲル化はしていない(可)
×:ゲル化している(極めて不良)
(分散液中のCNT繊維長)
CNT分散液をCNT濃度が0.01質量%となるようにCNT分散液を作製する際に使用した溶媒で希釈し、マイカ基板上に数μL滴下した後、120℃の電気オーブン中で乾燥して、CNT繊維長観察用の基板を作製した。その後、CNT繊維長観察用の作製した基盤表面を白金でスパッタリングした。さらにその後、SEMを用いて、観察した。観察はCNTの繊維長に合わせて5000倍または2万倍の倍率で、視野内に10本以上のCNTが含まれる写真を複数撮り、任意に抽出した100本のCNTの繊維長を測定し、その平均値をCNT分散液中のCNT繊維長(μm)とした。
(分散液の粒度分布測定)
CNT分散液を25℃の恒温槽に1時間以上静置した後、CNT分散液を十分に撹拌および希釈してから、粒度分布計(マイクロトラック・ベル株式会社製、Nanotrac UPA、model UPA-EX)を用いて、CNT分散液の累積粒径D50を測定した。
(CNT塗膜の体積抵抗率)
CNT分散液を、アプリケーターを用いて、PET基材上に塗工した後、オーブン中で120℃30分間乾燥させてCNT塗膜(膜厚3μm)を得た。その後、(日東精工アナリテック社製:ロレスターGP、MCP-T610を用いて乾燥後の塗膜の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定後、PET基材上に形成したCNT塗膜の厚みを掛けて、塗膜の体積抵抗率(Ω・cm)とした。塗膜の厚みは、膜厚計を用いて、膜中の5点を測定した平均値から、PET基材の膜厚を引き算し、塗膜の体積抵抗率(Ω・cm)を算出した。以下に判定基準を示す。
判定基準
◎:CNT塗膜の体積抵抗率(Ω・cm)が7×10-3未満(優良)
〇:CNT塗膜の体積抵抗率(Ω・cm)が7×10-3以上1×10-2未満(良)
△:CNT塗膜の体積抵抗率(Ω・cm)が1×10-2以上2×10-2未満(可)
×:CNT塗膜の体積抵抗率(Ω・cm)が2×10-2以上(不良)
上記実施例の結果から、複素弾性率および位相角が本発明の範囲内にあるカーボンナノチューブ分散液を用いることにより、比較例に比べて導電性に優れることが明らかとなった。本発明のカーボンナノチューブ分散液は、比較例1-N2、1-N3や1-W2、1-W3に対して、塗膜中のカーボンナノチューブが効率的に導電ネットワークを形成出来たためと思われるが、比較例1-N1、1-W1では分散液中のカーボンナノチューブの分散性が良くても導電性が低い。ここで、実施例1-W2と比較例1-W1を比較すると、カーボンナノチューブ以外は同様の条件でカーボンナノチューブ分散液を作製しているが、実施例1-W2の方が分散液のカーボンナノチューブ繊維長が長く、粒度分布が小さいことが明らかとなった。このことは、実施例1-W2のホウ素含有カーボンナノチューブが、比較例のホウ素を含有しないカーボンナノチューブよりも硬く、カーボンナノチューブの分散時に加わる衝撃などのエネルギーに対して耐久性が高いために、カーボンナノチューブが折れにくくなり、カーボンナノチューブの繊維長を保ったまま解すことが出来たためと考察している。その結果、本発明のカーボンナノチューブ分散液は、塗膜中のカーボンナノチューブが良好な導電ネットワークを形成出来たと考察している。一方、実施例1-N1、1-N5、1-N10を比較すると、カーボンナノチューブのホウ素含有量の違いによってもカーボンナノチューブ分散液の分散状態に大きな影響を及ぼし、塗膜の導電性にも影響をもたらすことも分かった。これらについて詳細は明らかとなっていないが、ホウ素含有量の多いカーボンナノチューブでは、硬さが硬すぎてもカーボンナノチューブを別々に解すことが難しくなり、十分な分散性が得られないために塗膜の導電性にも影響を及ぼしたと考えている。
<合材スラリー、電極の作製および評価>
次に、合材スラリー、電極、電池の作製や評価方法について示す。
[実施例2-N1]
CNT、PVDF、活物質の組成(質量比)が、0.25/1.5/98.25となるように、CNT分散液(1)と、8質量%PVDF(Solef#5130、Solvey株式会社製)を溶解したNMPとを加えた後、自転公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて2000rpmで30秒間撹拌した。その後、電極活物質NCM523(日本化学工業株式会社製、組成:LiNi0.5Co0.2Mn0.3)を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで20分間にわたり撹拌した。さらに、正極用合材スラリーの固形分は75質量%となるようNMPを添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで30秒間撹拌して正極用合材スラリー(1)を得た。
[実施例2-N2~N15、比較例2-N1~N3]
表7に示す材料にした以外は実施例2-1と同様にして正極用合材スラリー(N2)~(N18)を得た。
[実施例2-W1]
CNT分散液(W1)7.5質量部、CMC(ダイセルファインケム株式会社製、#1190)を2質量%溶解した水溶液を12.5質量部、イオン交換水4.9質量部計量した。その後、自転公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌し、CNT樹脂組成物(W1)を得た。その後、一酸化珪素(株式会社大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICON MONOOXIDE、SiO 1.3C 5μm)を2.4質量部添加し、自転公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらに、人造黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、CGB-20)を21.9質量部添加し、自転公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらにその後、スチレンブタジエンエマルション(JSR株式会社製、TRD2001)0.78質量部を加えて、自転公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌し、負極用合材スラリー(W1)を得た。
[実施例2-W2~W15、比較例2-W1~W3]
表7に示す材料に変更し、合材スラリー100質量部中のCNTが0.27質量部となるようにCNT樹脂組成物、CNT分散液の添加量を調節した以外は実施例2-W1と同様にして負極用合材スラリー(W2)~(W18)を得た。
(正極用合材層の体積抵抗率)
正極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の目付量が20mg/cmとなるようにPET基材上に塗工した後、電気オーブン中で120℃30分間乾燥させて正極を得た。その後、(日東精工アナリテック社製:ロレスターGP、MCP-T610を用いて乾燥後の塗膜の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定後、PET基材上に形成した電極合材層の厚みを掛けて、正極用の電極膜の体積抵抗率(Ω・cm)とした。電極合材層の厚みは、膜厚計を用いて、電極膜中の5点を測定した平均値から、PET基材の膜厚を引き算し、合材層の体積抵抗率(Ω・cm)を算出した。以下に判定基準を示し、結果を表7に示す。
判定基準
◎:正極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が8未満(優良)
〇:正極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が8以上12未満(良)
△:正極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が12以上16未満(可)
×:正極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が16以上(不良)
(正極用合材層の剥離強度)
正極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の目付量が20mg/cmとなるようにアルミ箔上に塗工した後、オーブン中で120℃30分間、塗膜を乾燥させた。その後、塗工方向を長軸として90mm×20mmの長方形に2本カットした。剥離強度の測定には引張試験機を用い、180度剥離試験法により評価した。具体的には、100mm×30mmサイズの両面テープをステンレス板上に貼り付け、作製した電池電極合材層を両面テープのもう一方の面に密着させ、一定速度(50mm/分)で下方から上方に引っ張りながら剥がし、このときの応力の平均値を剥離強度とした。以下に判定基準を示し、結果を表87に示す。
◎:正極合材層の剥離強度(N/cm)が0.3以上(優良)
〇:正極合材層の剥離強度(N/cm)が0.25以上0.3未満(良)
△:正極合材層の剥離強度(N/cm)が0.2以上0.25未満(可)
×:正極合材層の剥離強度(N/cm)が0.2未満(不良)
(負極用合材層の体積抵抗率)
負極用合材スラリーを用いて、電極の目付量を8mg/cmにした以外は正極用合材層と同様にして合材層の体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。以下に判定基準を示し、結果を表7に示す。
判定基準
◎:負極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が0.12未満(優良)
〇:負極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が0.12以上0.15未満(良)
△:負極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が0.15以上0.25未満(可)
×:負極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が0.25以上(不良)
(負極用合材層の剥離強度)
負極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の目付量が8mg/cmとなるように銅箔上に塗工した以外は正極用合材層の剥離強度と同様にして負極用合材層の剥離強度を測定した。以下に判定基準を示し、結果を表7に示す。
判定基準
◎:負極合材層の剥離強度(N/cm)が0.5以上(優良)
〇:負極合材層の剥離強度(N/cm)が0.4以上0.5未満(良)
△:負極合材層の剥離強度(N/cm)が0.3以上0.4未満(可)
×:負極合材層の剥離強度(N/cm)が0.3未満(不良)
<非水電解質二次電池の作製および特性評価>
[実施例3-N1~N15、3-W1~W15、比較例3-N1~N3、3-W1~W3]
評価用の正極および負極は以下の方法で作製した。正極用合材スラリーを集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、オーブンで120℃30分間乾燥させて電極の目付量が20mg/cmとなるように作製し、さらにロールプレスによる圧延処理を行い、正極合材層の密度が3.1g/cmとなる正極を作製した。また、負極用合材スラリーを集電体となる厚さ20μmの銅箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、オーブンで80℃30分間乾燥させて電極の目付量が10mg/cmとなるように作製し、さらにロールプレスによる圧延処理を行い、負極合材層の密度が1.6g/cmとなる負極を作製した。
表7に示す正極と下記の標準負極、または表7に示す負極と下記の標準正極をそれぞれ50mm×45mm、45mm×40mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロプレンフィルム)とをアルミ製ラミネート袋に挿入し、電気オーブン中、70℃で1時間乾燥させた。続いて、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で、電解液を2mL注入し、アルミ製ラミネート袋を封口して非水電解質二次電池(N1)~(N18)、(W1)~(W18)を作製した。電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒を作製し、さらに添加剤として、VC(ビニレンカーボネート)を電解液100部に対して1部加えた後、LiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液である。
[標準負極の作製]
容量150mLのプラスチック容器にアセチレンブラック(デンカ株式会社製、デンカブラック(登録商標)HS-100)と、CMC(ダイセルファインケム株式会社製、カルボキシメチルセルロース#1190)と、水とを加えた後、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで30秒間撹拌した。さらに負極活物質として人造黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、CGB-20)を添加し、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで150秒間撹拌した。続いてSBR(JSR株式会社製、TRD2001、固形分48%分散液)を加えて、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで30秒間撹拌し、標準負極用合材スラリーを得た。標準負極用合材スラリーの固形分は48質量%とした。標準負極用合材スラリー中の負極活物質:導電材:CMC:SBRの固形分比率は97:0.5:1:1.5とした。
次に、標準負極用合材スラリーを集電体となる厚さ20μmの銅箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で80℃で30分間にわたり乾燥させて電極の単位面積当たりの目付量が10mg/cmとなるように調整した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、負極合材層の密度が1.6g/cmとなる標準負極(SA)を作製した。
[標準正極の作製]
容量150cmのプラスチック容器に正極活物質(BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社製、HED(登録商標)NCM-111 1100)93質量部、アセチレンブラック(デンカ株式会社製、デンカブラック(登録商標)HS100)4質量部、PVDF(株式会社社クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン社製、クレハKFポリマー W#1300)3質量部を加えた後、ヘラを用いて粉末が均一になるまで混合した。その後、NMPを20.5質量部添加し、自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。その後、プラスチック容器内の混合物をヘラを用いて、均一になるまで混合し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらにその後、NMPを14.6質量部添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。最後に、高速攪拌機を用いて、3000rpmで10分間撹拌し、標準正極用合材スラリーを得た。その後、標準正極用合材スラリーを集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で120℃で30分間乾燥して電極の単位面積当たりの目付量が20mg/cmとなるように調整した。さらにロールプレスによる圧延処理を行い、合材層の密度が3.1g/cmとなる標準正極(SC)を作製した。
(非水電解質二次電池のレート特性評価)
非水電解質二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工株式会社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流1mA(0.02C))を行った後、放電電流10mA(0.2C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を3回繰り返した後、充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流(1mA(0.02C))を行い、放電電流0.2C及び3Cで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、それぞれ放電容量を求めた。レート特性は0.2C放電容量と3C放電容量の比、以下の式1で表すことができる。また、以下に判定基準を示し、結果を表7に示す。
(式1)
レート特性 = 3C放電容量/3回目の0.2C放電容量 ×100 (%)
判定基準
◎:レート特性が80%以上(極めて優良)
〇:レート特性が70%以上80%未満(優良)
〇△:レート特性が60%以上70%未満(良)
△:レート特性が50%以上60%未満(可)
×:レート特性が50%未満(不良)
(非水電解質二次電池のサイクル特性評価方法)
非水電解質二次電池を40℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工株式会社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流25mA(0.5C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流2.5mA(0.05C))を行った後、放電電流25mA(0.5C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を200回繰り返した。サイクル特性は25℃における3回目の0.5C放電容量と200回目の0.5C放電容量の比、以下の式2で表すことができる。また、以下に判定基準を示し、結果を表7に示す。
(式2)
サイクル特性 = 3回目の0.5C放電容量/200回目の0.5C放電容量 ×100(%)
判定基準
◎:サイクル特性が80%以上(極めて優良)
〇:サイクル特性が70%以上80%未満(優良)
〇△:サイクル特性が60%以上70%未満(良)
△:サイクル特性が60%以上70%未満(可)
×:サイクル特性が60%未満(不良)
上記実施例の結果から、複素弾性率および位相角が本発明の範囲内にあるカーボンナノチューブ分散液を用いることにより、比較例に比べてレート特性およびサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られることが分かった。
本発明のカーボンナノチューブ分散液は、粘度が低くて分散性が良好であり、さらに分散安定性も良好であるため、電極中でカーボンナノチューブが効率的に導電ネットワークを形成出来たことにより、サイクル特性が良好であったと思われるが、比較例3-N1、比較例3-W1ではカーボンナノチューブ分散液の分散性は良くても、導電性が不足しているために十分なレート特性を引き出せなかったと考えられる。また、比較例3-N1、比較例3-W1では電極中の導電ネットワークが形成出来きていても、実施例と比べるとサイクル特性が悪い。これらの結果は、本発明のホウ素含有カーボンナノチューブがホウ素を含有しないカーボンナノチューブに対して硬さが硬いため、電池の充放電中における電極中の活物質の膨張収縮の繰り返しに対してカーボンナノチューブの導電ネットワークが崩れずに維持出来ているためにサイクル特性が改善したのだと考察している。一方、実施例2-N1、2-N5、2-N10、あるいは実施例3-N1、3-N5、3-N10を比較すると、カーボンナノチューブのホウ素含有量の違いにより、電極(合材層)の導電性、剥離強度や電池特性(レート特性、サイクル特性)に影響を及ぼすことも分かった。
以上より、本発明は従来のカーボンナノチューブ分散液では実現しがたい高容量、高出力かつ高耐久性を有するリチウムイオン二次電池を提供できることが明らかとなった。
1: ホウ素クラスター(186~187eV)のピーク
2: 炭化ホウ素(187~188eV)のピーク
3: 六角網面を基本骨格とした炭素元素と置換するようにドープされているホウ素(188.2~189.3eV)のピーク
4: 酸化ホウ素BCO(189.5~190.5eV)のピーク
5: 酸化ホウ素BCO(191.5~192eV)のピーク
6: 酸化ホウ素B(192.5~193eV)のピーク

Claims (7)

  1. ホウ素含有カーボンナノチューブ(但し、円筒状の中空構造を有し、繊維外径0.5μm以下、アスペクト比10以上及び、圧密比抵抗が0.02Ω・cm以下である分岐状気相法炭素繊維、並びに、単層カーボンナノチューブを除く)と、溶媒と、を含むカーボンナノチューブ分散液であって、動的粘弾性測定によるカーボンナノチューブ分散液の複素弾性率が200Pa未満であり、周波数1Hzにおける位相角が10°以上であり、ホウ素含有カーボンナノチューブのホウ素の含有量が、0.01~3mol%であり、ホウ素含有カーボンナノチューブの表面の炭素元素と置換するようにドープされているホウ素元素の含有量が0.01~1mol%であることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
  2. さらに分散剤を含むことを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ分散液。
  3. 請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ分散液と、バインダーとを含むことを特徴とするカーボンナノチューブ樹脂組成物。
  4. 請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ分散液、または請求項記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物の塗工膜であることを特徴とする導電膜。
  5. 請求項記載のカーボンナノチューブ樹脂組成物と、活物質とを含むことを特徴とする合材スラリー。
  6. 請求項記載の合材スラリーの塗工膜であることを特徴とする電極膜。
  7. 正極と、負極と、電解質とを具備してなる非水電解質二次電池であって、正極または負極の少なくとも一方が、請求項記載の電極膜を含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
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