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JP7683263B2 - 電子レンジ対応紙カップ - Google Patents
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この発明は電子レンジ対応紙カップ(紙容器)に関する。電子レンジ対応とは電子レンジで使えるという意味であり,電子レンジのみに用いられると限定する趣旨ではない。
紙カップは即席食品,スナック菓子類のみならず,飲料,惣菜等の容器としても広く使用されている。これらの紙カップに食料品,飲料水等を入れたまま電子レンジで加熱,調理する場合もある。
内容物が入った紙カップを電子レンジで加熱,調理した場合,紙カップの胴部の下端部を延ばして形成された,いわゆる糸じりの部分に焦げを生じる場合があるという問題がある。特に紙が重なる接合部分で発熱量が大きくなり(放熱量は大きくならない),蓄熱し易く,焦げが発生し易いと考えられる。他方,内容物に接している部分では発生した熱が内容物によって奪われるので,焦げは発生しにくい。
特許文献1には,胴部と底部とから構成され,胴部の下端部(糸じり)が内側に屈曲されて,底部の周縁部に外面から被さるように接合されている電子レンジ用紙カップが記載されている。
特開2002-345639号公報
糸じり部の下部分が内側に90度の角度で折り曲げられ,折り曲げ部分に凹状のくさびが設けられる実施例が開示されている。くさびは先端にいくに従って深くなる凹状に形成される。くさびを設けることによって折り曲げ部を折り曲げた際に生じるシワが吸収されて少なくなる。くさび(凹状部分)はシワの発生が目立たなくなる程度とされ,好ましくは4~8ヵ所に等間隔で設けられる。
糸じり部の下部分のみを内側に折り曲げるのには,糸じり部の全体を内側に折り曲げるのに比べて高い加工精度が必要とされる。また,糸じり部の下部分のみを内側に90度の角度折り曲げた後に,4ヵ所から8ヵ所のくさび(凹状部分)を形成すると,くさびの周囲に凹凸が生じがちであり,自立安定性に欠ける可能性が高い。
この発明は,電子レンジで使用しても焦げにくく,かつ安定して自立可能な紙カップを提供することを目的とする。
この発明はまた,屈曲部分とカップ底面との接着向上を図ることを目的とする。
この発明による電子レンジ対応紙カップは,筒状の胴部と,胴部の下端を閉じる底部とを備え,上記胴部の下端部が内側に屈曲されており,上記内側に屈曲された胴部下端部の外面に,凹面部と凸面部とが交互に複数形成されており,上記凹面部において胴部下端部と底部の外面とが密着しており,凸面部において胴部下端部と底部の外面との間に隙間が形成されていることを特徴とする。
内側に屈曲される胴部下端部(糸じり)は底部の外面に被せられる。筒状胴部が円筒形で,筒状胴部の下端を閉じる底部が円形であれば,円形底部の外面の外周縁部に屈曲された胴部下端部が環状に被せられる。
この発明によると,内側に屈曲された胴部下端部の外面に凹面部と凸面部とが交互に複数形成される。凹面部においては胴部下端部と底部の外面とが密着しているので,電子レンジで内容物を加熱したときに,密着部分の発熱が内容物に伝達(放熱)され,このために電子レンジで加熱しても焦げにくい。
他方,凹面部と異なり,凸面部においては胴部下端部と底部の外面とが密着していずに,胴部下端部と上記底部の外面との間に隙間が形成されている。凸面部の箇所は凹面部の箇所に比べて放熱は期待できないものの,凹面部と凸面部とが交互に複数形成されており,凸面部はその左右において凹面部によって挟まれているので,凸面部の箇所の発熱はその両隣の凹面部において内容物に伝達されて奪われ,電子レンジで加熱したときに凸面部の箇所にも焦げは発生しにくい。
またこの発明によると,凸面部に形成された隙間によって胴部下端部を内側に折り曲げたときに胴部下端部に生じる余剰部分が吸収され,内側に折り曲げられた胴部下端部にランダムな皺が生じにくい。隙間があることで凸面部における胴部下端部と底部の外面とが位置固定されず,隙間の変形も余剰部分の吸収に寄与し得るためである。紙カップを安定的に自立させることができる。また,ランダムな皺が生じにくくなることで凹面部の箇所における底面部との接着向上も図ることができる。
好ましくは,上記内側に屈曲された胴部下端部が全周にわたって直角を超える角度で屈曲されている。内側に屈曲された胴部下端部の凸面部の全体が面状に接地せず,少なくとも凸面部の外周縁部(外端部)が線状に接地する。複数の凸面部に高低差が生じたとしても,外周縁部ではその影響は少なく,したがって紙カップの自立性を向上させることができる。
一実施態様では,上記凹面部と上記凸面部の境界のそれぞれに線状段部が形成されており,上記線状段部が上記底部の中心に向かってのびる方向に形成されている。紙カップの底部外面にバランスよく凹面部と凸面部が形成されることで,凹面部と凸面部の境界の線状段部は底部の中心に向かってのびるものとなる。紙カップの自立安定性が向上する。
好ましくは,上記線状段部が,上記内側に屈曲された胴部下端部の先端(内端)から上記胴部下端部の途中まで(すなわち胴部下端部の外端にまで至ることなく)形成されている。すなわち,内側に屈曲された胴部下端部の外周縁部に段部はなく,外周縁部に凹面部と凸面部は形成されていない。胴部下端部を全周にわたって直角を超える角度で屈曲させたときに,外周縁部の全周を線状に接地させることができ,紙カップの自立安定性が向上する。
電子レンジ対応紙カップの一部破断正面図である。 電子レンジ対応紙カップの一部破断正面図である。 電子レンジ対応紙カップの底部の一部拡大斜視図である。 環状屈曲部の形成工程を示す。 環状屈曲部の形成工程を示す。 環状屈曲部の形成工程を示す。
以下,図面を参照して,この発明による電子レンジ対応紙カップを詳細に説明する。
図1および図2は,いずれもこの発明の実施例による電子レンジ対応紙カップの一部破断縦断面図であり,電子レンジ対応紙カップの互いに異なる箇所の縦断面をそれぞれ示している。図3は電子レンジ対応紙カップの底面(外側)の一部拡大斜視図である。図1および図2において,分かりやすくするために,紙カップを構成する部材の厚さが強調して示されている。
図1および図2を参照して,電子レンジ対応紙カップ10は,紙を主強度材とする胴部材11と底部材12とから構成されている。胴部材11は上部の径が大きく,下にいくほど径の小さくなる円錐台状である。胴部材11の上端部は外側(紙カップ10の内容物が入る部分から離れる向き,外方)に巻かれており,いわゆるカール部(トップカール部)11Aが形成されている。カール部11Aには蓋(図示略)が被せられるか,または接合(接着,溶着)される。
胴部材11の下端部は内側(紙カップ10の内容物が入る部分に向かう向き,内方)に直角(90度)をわずかに超える角度で屈曲され(屈曲部分を符号11Bで示す),さらに屈曲部分11Bの先端部は内側に折り返されている(折り返し部分を符号11Cで示す)。底部材12は円形で,その周縁部分12Aが胴部材11の下端部内にぴったりと嵌っている。底部材12の周縁部分12Aは外側に折り返されており(折り返し部分を符号12Bで示す),この底部材12の折り返し部分12Bが,胴部材11の屈曲部分11Bと折り返し部分11Cとの間に挟まれている。
内容物によっては,必要に応じて胴部材11および底部材12の内面および/または外面に保護膜(樹脂膜,樹脂フイルムなど)が被覆される。保護膜の具体例としては,たとえばポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリエステル,エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらは熱シールによる貼り合わせにも用いることができるという利点もある。
紙カップ10の底部材12の外面の周縁部には,胴部材11の屈曲部分11Bおよび折り返し部分11Cと,底部材12の折り返し部分12Bとが重なる環状部分が被さる。以下,紙カップ10の底部材12の外面周縁部に被さる環状部分の全体を「環状屈曲部20」と呼ぶ。
図3を参照して,環状屈曲部20の表面(外面)には,ほぼ矩形(わずかに先端(内端)側の幅が狭い)の凸面部21と凹面部22とが交互に形成されて環状に並んでいる。図3に示すように,凸面部21および凹面部22は同一形状であってもよいし,凸面部21の幅の方が広く,凹面部22の幅の方が狭くても,その逆でもよい。たとえば,16個の凸面部21と16個の凹面部22が交互に並ぶ。凸面部21および凹面部22の数は適宜調整することができる。
図1は凸面部21の箇所における断面図を,図2は凹面部22の箇所の断面図を,それぞれ示している。
図1および図3を参照して,凸面部21の箇所では,胴部材11の下端部の屈曲部分11Bおよび折り返し部分11Cと,これらの間に挟まれる底部材12の折り返し部分12Bは,全面的に互いに接合(接着,溶着)(固定)されている。他方,底部材12の周縁部分12Aの外面と折り返し部分11Cとは接合されていず,底部材12の周縁部分12Aと折り返し部分11Cの間には隙間25が形成されている。
図2および図3を参照して,凹面部22の箇所では,互いに挟み込んでいる部分12A,11C,12B,11Bは,いずれも全面的に互いに接合(接着,溶着)(固定)されている。
図1~図3を参照して,複数の凸面部21および複数の凹面部22はいずれも紙カップ10の内側に向かうにしたがって底部材12に近づくようにしてわずかに傾斜しており,複数の凸面部21および複数の凹面部22のいずれも,すなわち環状屈曲部20の全周にわたって,その外端部28(外周縁部)が最も外向き(紙カップ10の底方向)に突出し,内端部29(内周先端部)は外端部28よりも上方に(底部材12の近くに)位置する。紙カップ10は環状屈曲部20の外端部28が接地する。
凸面部21と凹面部22との境界には底部材12の中心に向かってのびる方向に線状段部27が形成される。すなわち,環状屈曲部20に形成される凸面部21および凹面部22はいずれも外端部28における幅に比べて内端部29における幅がわずかに狭い。
線状段部27は環状屈曲部20の全体には形成されていず,環状屈曲部20の内端部29から外端部28に至る途中まで形成され,外端部28(外縁)には達していない。すなわち,環状屈曲部20の外端部28には段部がなく,環状屈曲部20の外端部28に凸面部21および凹面部22はは形成されていない。
環状屈曲部20に対してなんらの処理も施さずに単純に内側に屈曲すると,余剰部分によって環状屈曲部20にはランダムに皺が入ってしまう。ランダムに皺が入ると紙カップの底がフラットになりにくく,紙カップを自立させるときに安定感に欠けるものになる。これに対し,上述した紙カップ10には,複数の凸面部21および凹面部22が交互にかつ環状に並んでおり,凸面部21では環状屈曲部20が底部材12の外面に接着されていない(隙間を有する)ので,互いの位置関係が固定されず,さらには隙間15の変形も可能であることから,環状屈曲部20を内側に屈曲したときに環状屈曲部20に生じる余剰部分が吸収される。もちろん,凸面部21と凹面部22との間の線状段部27においても環状屈曲部20を内側に屈曲したときの余剰部分が吸収される。環状屈曲部20にランダムな皺は発生しないまたは発生しにくく,これによって紙カップ10は安定的に自立するものとなる。
環状屈曲部20にランダムな皺が発生すると,環状屈曲部20と底部材12の外面との接着不良が生じやすくなる。上述のようにランダムな皺の発生が抑制されることで,凹面部22の箇所において環状屈曲部20(胴部材11の折り返し部分11C)を紙カップ10の底部材12の周縁部分12Aにしっかりとかつ確実に密着させ,密着している範囲で環状屈曲部20と紙カップ10の底部材12とをしっかりと接合することができる。このため,底部材12と環状屈曲部20との間の接着不良の問題は生じにくい。さらに紙カップ10は糸じりを持たないので,電子レンジで加熱しても焦げにくいものとなる。
凸面部21の箇所には隙間25が形成されるので,凸面部21の箇所は凹面部22の箇所とは異なり,環状屈曲部20を紙カップ10の底部材12に密着させる(屈曲させた状態を維持する)ことには寄与しない。しかしながら,凹面部22を環状屈曲部20上に複数形成する(さらには局所的に集中させずに分散させて環状屈曲部20上に形成する)ことによって,凸面部21を含む環状屈曲部20全体を内側に屈曲させた状態をしっかりと維持することができる。
上述したように,隙間25の存在によって環状屈曲部20に皺を発生させる余剰部分を吸収することができ,環状屈曲部20にランダムな皺が発生せず,これによって密着性が高められる(意図しない剥がれが防止される)ことが確認されている。
さらに,環状屈曲部20の底面において最も外向きに突出するのは円形の外端部28であることから,紙カップ10は外端部28によってしっかりと自立させることができる。
図4から図6は,上述した紙カップ10の製造の様子を示している。図4から図6には上下を逆さまにした状態の紙カップ10が示されている。
図4を参照して,はじめに環状屈曲部20を折り曲げていない,いわば糸じりを備える紙カップが作成される。
図5を参照して,環状屈曲部20の周長をたとえば32分割した幅を持つ押し型を,所定間隔をあけながら環状屈曲部20の外側から押しつけてプレスする。プレスされた部分が凹面部22となり,プレスされなかった部分が凸面部21となる。環状屈曲部20には16個の凸面部21と16個の凹面部22とが交互に環状に並んで形成される。外側からプレスされることで環状屈曲部20はその全体が内側にやや傾く。
図6を参照して,内側に傾いた環状屈曲部20の外側から超音波プレスが行われる。環状屈曲部20が完全に(90度を超える角度で)屈曲される。上述したように,凹面部22の箇所は底部材12の外面に接合され(図2も参照),他方,凸面部21の箇所には隙間25が残される(図1も参照)。また,凸面部21と凹面部22の境界に線状段部27が形成される。環状屈曲部20の外端部28によってしっかりと支えられる電子レンジ対応紙カップ10が完成する。
10 電子レンジ対応紙カップ
11 胴部材
12 底部材
20 環状屈曲部
21 凸面部
22 凹面部
25 隙間
27 線状段部
28 外端部
29 内端部

Claims (2)

  1. 筒状の胴部と,胴部の下端を閉じる底部とを備え,
    上記胴部の下端部が内側に屈曲されており,
    上記内側に屈曲された胴部下端部の外面に,凹面部と凸面部とが交互に複数形成されており,
    上記凹面部において胴部下端部と底部の外面とが密着しており,
    上記凸面部において胴部下端部と底部の外面との間に隙間が形成されており,
    上記内側に屈曲された胴部下端部が全周にわたって直角を超える角度で屈曲されており,屈曲された胴部下端部の内周先端部よりも胴部下端部の外周先端部が外向きに突出しており
    上記凹面部と上記凸面部の境界のそれぞれに,上記底部の中心に向かってのび,上記底部の中心に向かうにしたがって次第に深くなる線状段部が形成されている,
    電子レンジ対応紙カップ。
  2. 上記線状段部が,上記内側に屈曲された胴部下端部の先端から上記胴部下端部の途中まで形成されている,
    請求項に記載の電子レンジ対応紙カップ。
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