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JP7683344B2 - 融着仮撚糸及び織編物 - Google Patents
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JP7683344B2 - 融着仮撚糸及び織編物 - Google Patents

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本発明は、長期繰り返し洗濯使用においても、優れた清涼感、表面品位を有するストレッチ融着仮撚糸及び織編物に関する。
従来から、合成繊維で清涼感を有する素材として、ポリエチレンテレフタレート繊維等の熱可塑性フィラメントを用いた融着仮撚糸が知られている。
例えば、特許文献1には、高配向ポリエステル未延伸糸を用いて特定の仮撚条件で仮撚することにより、単糸を部分的にまたは長さ方向に連続的に融着させる融着仮撚糸の製造方法が開示されている。しかし、このような従来の融着仮撚糸においては、融着部に捲縮は発現することはなく、織編物に高ストレッチ性を付与することはできなかった。
また、特許文献2には、ポリトリメチレンテレフタレートと第二成分のポリマーがサイドバイサイド型または偏芯シースコア型に複合紡糸した融着仮撚糸が提案されている。この手法では、織編物にストレッチ性は付与することはできるが、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート以外の場合には、ポリトリメチレンテレフタレートと融点が異なることになり、二種類のポリマーを融着させるには、融点が高いポリマーに仮撚温度を設定する必要がある。したがって、融着強度が強くならざるを得ず、融着部にはコイル捲縮は発現しないいので、織編物品位が悪化する問題があった。一方、第二成分もポリトリメチレンテレフタレートの場合においても、ポリトリメチレンテレフタレートの持つ低ヤング率特性により、繰り返し洗濯により外力が付与されると、融着部がほどけやすく、清涼感が失われるという問題があった。
特開昭52-49322公報 特開2005-298980公報
本発明は従来技術の課題を克服し、長期繰り返し洗濯使用においても、優れた清涼感、表面品位を有するストレッチ融着仮撚糸及び織編物に関するものである。
上記課題を解決するため本発明の融着仮撚糸は次の構成を有する。すなわち、
ポリマーAおよびポリマーBの2種のポリエチレンテレフタレート成分からなる偏心芯鞘複合繊維からなり、前記ポリマーAの重量平均分子量Mwと前記ポリマーBの重量平均分子量Mwとの差(Mw-Mw)が2,000~15,000であり、融着部の平均長さが3~30mm、融着部の平均個数が5~100個/mであることを特徴とする融着仮撚糸、である。
本発明の織編物は次の構成を有する。すなわち、
上記融着仮撚糸を重量比で20%以上含む織編物、である。
本発明の融着仮撚糸は、前記偏心芯鞘複合繊維の横断面において、前記ポリマーA成分が前記ポリマーB成分で完全に覆われており、前記ポリマーA成分を覆う前記ポリマーB成分の厚みの最小厚みSと繊維径Dの比S/Dが0.01~0.2であり、かつ該最小厚みSより厚みが1.10倍以内の部分の長さが前記偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の1/3以上であることが好ましい。
本発明で規定する融着仮撚糸を用いることで、長期繰り返し洗濯使用においても、優れた清涼感、表面品位を有するストレッチ織編物を提供できる。
本発明に用いる偏心芯鞘複合繊維の繊維横断面の一例を示す図面代用写真である。 本発明に用いる偏心芯鞘複合繊維の一例であり、その繊維断面における重心位置を説明するための繊維横断面である。 本発明に用いる偏心芯鞘複合繊維の繊維断面における繊維径(D)と最小厚み(S)を説明するための繊維断面である。
以下、本発明について、望ましい実施形態とともに詳述する。
かつ、上記2種のポリエチレンテレフタレート成分においては、ポリマーAの重量平均分子量MwとポリマーBの重量平均分子量Mwとの差(Mw-Mw)、すなわち重量平均分子量差が2,000~15,000であることで、熱処理後に繊維が高重量平均分子量側に大きく湾曲し、これが連続することで3次元的なコイル構造をとる。このため、該構造がバネのように伸び縮みし、仮撚後に優れたストレッチ性を得ることができる。また従来の融着仮撚糸を用いた織編物においてストレッチ性を出すためには、非融着部の捲縮形態と、融着部の非捲縮形態の形態差が大きくなり、織編物で虫食い状の品位となる問題点があったが、本発明の融着仮撚糸においては、上記ポリマー構成とすることで、融着部の一部においてもコイル捲縮が発現することで、優れた表面品位を有する織編物を得ることが可能になった。重量平均分子量差が2,000未満であると、融着仮撚糸の融着部分にコイル捲縮を発現させることができず、織編物品位が悪化する。重量平均分子量差が15,000を超える場合、紡糸糸切れが多発し、安定生産することができない。ここで、好ましい重量平均分子量差は4,000~13,000である。
また、Mwの範囲としては20,000~28,000であることが好ましく、Mwの範囲としては12,000~20,000であることが好ましい。それぞれこの範囲とすると、偏心芯鞘複合繊維の紡糸性と織編物のストレッチ性が良好となるので、好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、複合繊維2.0mgをテトラヒドロフラン2.5cmに完全溶解させた測定溶液を調製し、標準物質をポリスチレンとしてゲル透過クロマトグラフィー試験を行うことにより測定する。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)試験機には、例えば、東ソー(株)製「TOSO GMHHR-H(S)HT」が用いられる。
また、本発明に用いるポリエチレンテレフタレート成分としては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とする、90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエステルを用いることができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲内において、他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含んでも良い。ここで、共重合可能な化合物としては、例えばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、スルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分を例示できる。
なお、本発明におけるポリエチレンテレフタレートには、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、酸化チタン、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、抗菌剤、無機微粒子等が1種又は2種以上含まれていてもよい。
また、本発明で用いる偏心芯鞘複合繊維の繊維断面は、2種の異なるポリマーが接合してなる複合断面を有しており、ポリマー特性が異なる2種のポリマーが実質的に分離せず接合された状態で存在し、B成分がA成分を完全に覆っている偏心芯鞘型であることが好ましい。
ここで、本発明でいう偏心とは、複合繊維断面においてポリマーA成分の重心点位置が複合繊維断面中心と異なっていることを指す。以下、図2を用いて具体的に説明する。図2において、水平ハッチングがポリマーB成分であり、30degハッチング(右上がり斜線)がポリマーA成分であって、複合繊維断面におけるポリマーA成分の重心が重心点aであり、複合繊維断面の重心が重心点Cである。
本発明で用いる偏心芯鞘複合繊維においては重心点aと複合繊維断面の重心点Cが離れていること(偏心)により熱処理後に繊維が高重量平均分子量側に大きく湾曲する。このように高重量平均分子量成分が低重量平均分子量成分よりも相対的に強く収縮することにより偏心芯鞘複合繊維が繊維軸方向に湾曲し続ける。その結果、偏心芯鞘複合繊維は3次元的なコイル構造をとり、良好な捲縮を発現することになるのである。ここで、重心位置が離れているほどより良好な捲縮が発現し、良好なストレッチ性能が得られる。本発明の融着仮撚加工糸においては、ポリマーB成分がポリマーA成分を完全に覆うことにより、長期繰り返し洗濯使用においても、融着状態をより強固にすることができ、優れた清涼感を維持することができるので好ましい。
また本発明の融着仮撚加工糸は、ポリマーA成分を覆っているB成分の最小となる厚みSと繊維径(複合繊維の直径)Dの比S/Dが0.01~0.2であれば、より優れたストレッチ性能と強固な融着形態を得ることが出来るので好ましく、さらに好ましくは、0.02~0.08である。
図3に示した繊維断面を用いて更に詳細に説明する。ここで芯鞘複合繊維におけるB成分の最薄部が最小厚みSである。
さらに、最小厚みSの1.10倍以内の厚みの部分(以下「最小厚み部分」ということもある)の長さが、複合繊維の全体の周囲長の1/3以上を占めていることが好ましい。これは、繊維の輪郭に沿ってポリマーA成分が存在していることを意味しており、同一面積比の従来の偏心芯鞘複合繊維と比較すると、本発明が、繊維断面においてそれぞれの成分の重心位置がより離れており、微細なコイルを形成し、良好な捲縮を発現する。より好ましくは、最小厚みSの1.10倍以内の厚みの部分の長さを繊維全体の周囲長の2/5以上とすることで良好なストレッチ性能が得られる。
最小厚みSおよび繊維径Dの測定方法を以下に示す。
偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントをエポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、繊維方向に対して垂直方向の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で10本(箇所)以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この際、金属染色を施すとポリマー間の染め差を利用して、ポリマーA成分とポリマーB成分の接合部のコントラストを明確にすることができる。接合部があることで、偏心芯鞘複合繊維が2成分であることが確認出来る。撮影された各画像から同一画像内で無作為に抽出した10本(箇所)の偏心芯鞘複合繊維の単糸の横断面について、横断面に外接する円を設定し、その外接円径を測定した値が本発明でいう繊維径Dに相当する。ここでいう横断面に外接する円は、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に2点以上で最も多く外接する真円、外接円径とはその真円の径を意味する。また、繊維径Dを測定した画像を用いて、10本(箇所)以上の繊維について、ポリマーA成分を覆っているポリマーB成分の最小となる厚みを測定した値が、本発明で言う最小厚みSに相当する。さらには、これら繊維径Dと最小厚みSについては、単位をμmとして測定し、少数第3位以下を四捨五入する。以上の操作を撮影した10箇所の画像について、測定した値およびその比(S/D)の単純な数平均値を求める。なお、上述で撮影した画像、および画像解析ソフト「WinROOF2015」(三谷商事(株)製)を用いて、繊維全体の面積およびA成分、B成分の面積を求めた後、比重の中心や面積比を求めることができる。
また、最小厚みSより厚みが1.10倍以内の部分の長さが繊維全体の周囲長の1/3以上が好ましく、より好ましくは、最小厚みSの1.05倍以内の厚みの部分の長さを繊維全体の周囲長の2/5以上とすることで良好なストレッチ性能が得られるが、この長さについても、前記と同様の測定方法で行なうことができる。
また本発明の融着仮撚糸としてのストレッチ特性を高めるため、両成分の比率は、ポリマーA成分:ポリマーB成分=70:30~30:70(面積比)の範囲が好ましく、65:35~45:55の範囲がより好ましい。
また本発明の融着仮撚糸は、部分的に融着部を有する仮撚糸である。偏心芯鞘複合繊維に高温で仮撚加工を実施することにより、加工糸の一部に融着部を形成することができ、織編物に清涼感を付与することができる。
また本発明の融着仮撚糸の繊維断面は丸型、三角、扁平、六角、L型、T型、W型、八葉型、ドッグボーン型などの多角形型、多様型、中空型など任意の形状を有するものを選択することができるが、ストレッチ特性を高めるため丸型が好ましい。
また本発明の融着仮撚糸の繊度は30~330dtex、単糸繊度は0.5~10dtexであることが織編物にストレッチ性、清涼感を付与する点で好ましい。
また本発明の融着仮撚糸と他のポリエチレンテレフタレート繊維(同一の偏心芯鞘複合繊維でも良い )を2本以上合糸または混繊して使用することも可能である。本発明で用いる偏心芯鞘複合繊維とその他の繊維との混繊糸においては、偏心芯鞘複合繊維の比率が20~80質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の織編物は融着仮撚糸を重量比で少なくとも20%以上含有することで、清涼感を織編物に付与することが出来る。20%未満であると、清涼感が不足した織編物になる。また、清涼感を保持するために、本発明の融着仮撚糸の融着部の平均長さにおいては、3~30mm、融着部の平均個数は5~100個/mである。好ましくは5~20mm、10~50個/mである。
繰り返し洗濯後も清涼感を保持するために、洗濯20回後の融着部の平均長さが3mm以上であることが好ましい。
また本発明の織編物は経方向または緯方向の少なくともいずれか一方の1.5kgf(14.7N)荷重時の伸長率が10%以上であることが好ましい。さらに好ましくは15%以上である。これにより、ジャケット、スーツ、ボトム、ユニフォーム、シャツ、学生衣料、体育衣料、スカート、インナー等幅広い衣料用途においても、繰り返し洗濯を施した後にも清涼感を維持することができ好ましい。
次に、本発明の融着仮撚糸の好ましい製造方法について述べる。
本発明で用いる偏心芯鞘複合繊維は鞘厚みや薄皮部の周囲長を精密に制御することが好ましく、紡糸の口金には特開2011-174215号公報や特開2011-208313号公報、特開2012-136804号公報に例示される分配プレートを用いた方法が好適に用いられる。従来公知の複合口金を用いて偏心芯鞘型の断面を有する複合糸を製造する場合、芯の重心位置や鞘厚みの精密な制御が非常に困難となる場合が多い。例えば、鞘厚みが薄くなり、芯成分が露出された場合には、長期繰り返し洗濯使用において、融着性低下の原因となり、逆に鞘厚みが厚くなってしまった場合には、捲縮発現が低下するために、ストレッチ性能が低下するといった問題が生じる場合がある。
本発明で用いる偏心芯鞘複合繊維は、好ましくは1,500~3,800m/分の紡糸速度において、未延伸糸または高配向未延伸として巻き取る。
本発明で用いる偏心芯鞘複合繊維は、図2の如くポリマーB成分でポリマーA成分を完全に覆っていることが好ましい。本発明で規定する断面とすることで、口金吐出時の2種のポリマーの流速差のため起こる、吐出線曲がり(ニーイング現象)を抑制できるのである。また、従来の単純貼り合わせ構造(バイメタル構造)の場合では、口金吐出後の紡糸線上での細化時のそれぞれのポリマーにかかる応力バランスに差が生じ、伸長変形に斑が生じ、これが繊度斑として顕在化し、U%が大きくなる場合があった。この傾向は、粘度差や分子量差の大きいポリマーの組み合わせは非常に顕著に現れるものであるが、本発明においては、片方のポリマーで覆われていることで応力バランスが繊維断面内で均衡化して繊度斑が抑制できるのである。
続いて、本発明で用いる融着仮撚糸は上記偏心芯鞘複合繊維を高温仮撚条件で加工することによって、得ることができる。仮撚条件としては任意の仮撚条件を選定できるが、仮撚温度は接触式ヒータの場合、180~235℃であることが好ましい。さらに好ましくは210~230℃である。ツイスターにはスピンドル式、フリクションディスク式、ベルトニップ式いずれを用いても構わない。仮撚数においては、仮撚係数(仮撚数(T/M)×繊度(dtex)0.5)が15,000~33,000となる範囲で設定することが、強固な捲縮と融着が付与できる点で好ましい。
また、清涼感をさらに向上させるために、仮撚前に低倍率熱延伸を施し、繊維に太部と細部を付与する加工を行うこともできる。また残留トルクを低減するために、仮撚後にヒータで熱セットしても問題無い。糸加工速度については早ければ生産性が高くなり好ましいが、安定加工性を考慮すると、100~800m/minが好ましい。
本発明の融着仮撚糸を用いた織編物において、織物では、平、ツイル、サテン、アムンゼン、二重織物等の任意の組織を選択することができる。編組織としては、天竺やスムース、ハーフ、ダブルラッセルなど任意の組織を選択することができる。かくして得られる本発明の織編物は、十分なストレッチ性能を有し、長期繰り返し洗濯使用においても、優れた清涼感、表面品位を得ることができる。この織編物は、ジャケット、スーツ、ボトム、ユニフォーム、シャツ、学生衣料、体育衣料、スカート、インナー等幅広い衣料用途に好適に使用される。
以下実施例を挙げて、本発明の仮撚融着糸及び織編物について具体的に説明する。実施例および比較例については、下記の評価を行った。
(1)熱可塑性樹脂の重量平均分子量の測定
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)試験機として、東ソー(株)製「TOSO GMHHR-H(S)HT」を用いた。
(2)繊度
枠周1.0mの検尺機を用いて100回分のカセを作製し、下記式に従って繊度を測定した。
繊度(dtex)=100回分のカセ重量(g)×100
(3)捲縮率
周長0.8mの検尺機に、90mg/dtexの張力下で糸を10回巻回してカセ取りした後、2cm以下の棒につり下げ、約24時間放置した。このカセをガーゼにくるみ、無緊張状態下で90℃×20分間熱水処理した後、2cm以下の棒につり下げ約12時間放置した。放置後のカセの一端をフックにかけ他端に初荷重と測定荷重をかけ水中に垂下し2分間放置した。このときの初荷重(g)=2mg/dtex、測定荷重(g)=90mg/dtex、水温=20±2℃とした。放置したカセの内側の長さを測り、Lとした。さらに、測定荷重を除き初荷重だけにした状態で2分間放置し、放置したカセの内側の長さを測り、L1とした。次式により、捲縮を求め、この作業を5回繰り返し、平均値により求めた。
捲縮率(%)={(L-L1)/L}×100
(4)伸長率
JIS L 1096(2010)に記載のB法に従い、1.5kgf(14.7N)荷重時の伸長率を測定した。この伸長率をストレッチ性の尺度とした。
(5)融着部の平均長さ、融着個数
光学顕微鏡((株)キーエンス製VHX-2000)で観察し、糸条1m当たりの融着部の平均長さと個数を測定した。この作業を5回繰り返し、平均値により求めた。
なお、繰り返し洗濯後の融着部の平均長さ、融着個数については、織編物から融着部がこわれないように、丁寧に融着仮撚糸を抜きだし、また繰り返し洗濯処理においては、織編物を2槽式洗濯機で液温度40℃、洗濯時間5分、すすぎ30℃×2分×2回、脱水30秒のサイクル洗濯1回とした。洗剤には花王(株)製“アタック”(登録商標)を1g/Lを用い、液量40L、試験布と導布である綿布の重量を合算して830gで実施した。この洗濯作業を20回繰り返した後、上記評価を実施した。
(6)清涼感
(5)項と同一の繰り返し洗濯処理を行った織編物において、官能評価にて、清涼感が大変優れている、清涼感が優れている、清涼感がやや不足している、清涼感が不足している、の4段階で評価し、無作為に選んだ10人の評価の平均に近いものを結果とした。
(7)表面品位
(5)項と同一の繰り返し洗濯処理を行った織編物において、官能評価にて、表面品位が大変優れている、表面品位が優れている、表面にシボが発生している、表面に虫食い状の穴が発生している、の4段階で評価し、無作為に選んだ10人の評価の平均に近いものを結果とした。
[実施例1]
ポリマーA成分として重量平均分子量25,000のポリエチレンテレフタレート、ポリマーB成分として重量平均分子量15,000のポリエチレンテレフタレートとし、ポリマーA成分とポリマーB成分の重量複合比は50/50、吐出孔数24の偏心芯鞘複合繊維用紡糸口金に流入させた。各ポリマーは、口金内部で合流し、ポリマーB成分のポリマー中にポリマーA成分のポリマーが包含された偏心芯鞘複合形態を形成し、口金から紡速2,800(m/分)で紡糸し、繊度125dtex、36フィラメント、伸度145%の高配向未延伸糸を得た。なお、実施例1の紡糸においては、図1に示す偏心芯鞘複合繊維が得られるような分配板方式の口金を用いた。繊維断面におけるS/Dは0.02であり、最小厚み部分の長さが偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の40%を占めるものであった。
次にフリクション仮撚機(ATF12:TMTマシナリー(株)製)を用いて上記高配向未延伸糸をフィードローラから給糸し、加工速度:400m/min、延伸倍率:1.5倍、ヒータ温度:220℃、仮撚係数:28,000で仮撚を行い、繊度:84dtex、捲縮率:38%、融着部の平均長さ:15.3mm、融着個数:24.1個/mの融着仮撚糸を得た。
その後、上記糸を経糸・緯糸に用いて、エアージェット織機で平織物に製織を行い、次に、得られた製織生地を98℃拡布連続精練、120℃液流リラックス、180℃中間セット、130℃染色、160℃仕上げセットを施し、加工密度(経糸:95本/2.54cm、緯糸:90本/2.54cm)の製品とした。得られた織物の伸長率は経15.5%、緯20.4%とストレッチ性に大変優れていた。また洗濯20回後における融着部の平均長さ:15.1mm、融着個数:22.9個/mであり、長期繰り返し洗濯使用においても、清涼感、織物品位に大変優れたストレッチ織物であった。偏心芯鞘複合繊維の特性、融着仮撚糸の特性、織物の特性等の評価結果を表1に示した。
[実施例2]
ポリマーA成分として重量平均分子量19,000のポリエチレンテレフタレート用いたこと以外は実施例1と同様の手法で紡糸を行い、繊度125dtex、36フィラメント、伸度142%の高配向未延伸糸を得た。繊維断面におけるS/Dは0.1であり、最小厚み部分の長さが偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の35%を占めるものであった。
次にフリクション仮撚機(ATF12:TMTマシナリー(株)製)を用いて上記高配向未延伸糸をフィードローラから給糸し、加工速度:400m/min、延伸倍率:1.45倍、ヒータ温度:225℃、仮撚係数:27,000で仮撚を行い、繊度:88dtex、捲縮率:30%、融着部の平均長さ:17.2mm、融着個数:32.5個/mの融着仮撚糸を得た。
その後、実施例1と同様の方法で製織・染色加工を行い、製品を得た。得られた織物の伸長率は経12.1%、緯17.8%とストレッチ性に優れていた。また洗濯20回後における融着部の平均長さ:16.9mm、融着個数:28.0個/mであり、長期繰り返し洗濯使用においても、清涼感、織物品位に大変優れたストレッチ織物であった。偏心芯鞘複合繊維の特性、融着仮撚糸の特性、織物の特性等の評価結果を表1に示した。
[実施例3]
ポリマーA成分として重量平均分子量28,000のポリエチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例1と同様の手法で紡糸を行い、繊度125dtex、36フィラメント、伸度141%の高配向未延伸糸を得た。繊維断面におけるS/Dは0.02であり、最小厚み部分の長さが偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の40%を占めるものであった。
次にフリクション仮撚機(ATF12:TMTマシナリー(株)製)を用いて上記高配向未延伸糸をフィードローラから給糸し、加工速度:400m/min、延伸倍率:1.5倍、ヒータ温度:215℃、仮撚係数:29,000で仮撚を行い、繊度:84dtex、捲縮率:44%、融着部の平均長さ:8.6mm、融着個数:11.2個/mの融着仮撚糸を得た。
その後、実施例1と同様の方法で製織・染色加工を行い、製品を得た。得られた織物の伸長率は経21.2%、緯25.6%とストレッチ性に大変優れていた。また洗濯20回後における融着部の平均長さ:8.0mm、融着個数:11.0個/mであり、長期繰り返し洗濯使用においても、清涼感、織物品位に優れたストレッチ織物であった。偏心芯鞘複合繊維の特性、融着仮撚糸の特性、織物の特性等の評価結果を表1に示した。
[比較例1]
ポリマーA成分として重量平均分子量32,000のポリエチレンテレフタレート、ポリマーB成分として重量平均分子量15,000のポリエチレンテレフタレートとし、ポリマーA成分とポリマーB成分の重量複合比は50/50、吐出孔数24のサイドバイサイドの紡糸口金から紡速2,800m/minで紡糸し、繊度125dtex、36フィラメント、伸度144%の高配向未延伸糸を得たが、紡糸口金吐出曲がりが大きく、糸切れが多発した。繊維断面におけるS/Dは0であり、最小厚み部分の長さが偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長を占める割合は0%であった。
次にフリクション仮撚機(ATF12:TMTマシナリー(株)製)を用いて上記高配向未延伸糸をフィードローラから給糸し、加工速度:400m/min、延伸倍率:1.5倍、ヒータ温度:220℃、仮撚係数:28,000で仮撚を行い、繊度:84dtex、捲縮率:48%、融着部の平均長さ:6.5mm、融着個数:10.6個/mの融着仮撚糸を得た。
その後、実施例1と同様の方法で製織・染色加工を行い、製品を得た。得られた織物の伸長率は経22.2%、緯26.1%とストレッチ性に大変優れていた。洗濯20回後における融着部の平均長さ:2.5mm、融着個数:9.0個/mであり、長期繰り返し洗濯使用において融着部が外れ、清涼感が不足し、シボ調の織物品位であった。偏心芯鞘複合繊維の特性、融着仮撚糸の特性、織物の特性等の評価結果を表1に示した。
[比較例2]
ポリマーA成分として重量平均分子量16,000のポリエチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例1と同様の手法で紡糸を行い、繊度125dtex、36フィラメント、伸度143%の高配向未延伸糸を得た。繊維断面におけるS/Dは0.02であり、最小厚み部分の長さが偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の40%を占めるものであった。次にフリクション仮撚機(ATF12:TMTマシナリー(株)製)を用いて上記高配向未延伸糸をフィードローラから給糸し、加工速度:400m/min、延伸倍率:1.5倍、ヒータ温度:220℃、仮撚係数:28,000で仮撚を行い、繊度:84dtex、捲縮率:20%、融着部の平均長さ:17.4mm、融着個数:18.1個/mの融着仮撚糸を得た。
その後、実施例1と同様の方法で製織・染色加工を行い、製品を得た。得られた織物の伸長率は経12.1%、緯13.8%であった。また洗濯20回後における融着部の平均長さ:17.0mm、融着個数:17.5個/mであり、長期繰り返し洗濯使用においても、清涼感は優れていたが、融着部にコイル捲縮は付与されておらず、虫食い状の織物品位であった。偏心芯鞘複合繊維の特性、融着仮撚糸の特性、織物の特性等の評価結果を表1に示した。
[比較例3]
ポリマーA成分として重量平均分子量25,000のポリトリメチレンテレフタレート、ポリマーB成分として重量平均分子量15,000のポリトリメチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例1と同様の手法で紡糸を行い、繊度125dtex、36フィラメント、伸度140%の高配向未延伸糸を得た。繊維断面におけるS/Dは0.02であり、最小厚み部分の長さが偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の40%を占めるものであった。次にフリクション仮撚機(ATF12:TMTマシナリー(株)製)を用いて上記高配向未延伸糸をフィードローラから給糸し、加工速度:400m/min、延伸倍率:1.5倍、ヒータ温度:210℃、仮撚係数:28,000で仮撚を行い、繊度:84dtex、捲縮率:41%、融着部の平均長さ:9.8mm、融着個数:15.0個/mの融着仮撚糸を得た。
その後、実施例1と同様の方法で製織・染色加工を行い、製品を得た。得られた織物の伸長率は経19.5%、緯23.4%とストレッチ性に大変優れていた。しかし、洗濯20回後における融着部の平均長さ:2.6mm、融着個数:4.6個/mであり、長期繰り返し洗濯使用において織物品位は優れていたが、融着が外れ、清涼感が不足した織物であった。偏心芯鞘複合繊維の特性、融着仮撚糸の特性、織物の特性等の評価結果を表1に示した。
[比較例4]
実施例1と同様の手法で得た高配向未延伸糸をフリクション仮撚機(ATF12:TMTマシナリー(株)製)を用いてフィードローラから給糸し、加工速度:400m/min、延伸倍率:1.5倍、ヒータ温度:160℃、仮撚係数:28,000で仮撚を行い、繊度:84dtex、捲縮率:41%、融着部の平均長さ:0mm、融着個数:0個/mの仮撚糸を得た。なお、上記高配向未延伸糸の繊維断面におけるS/Dは0.02であり、最小厚み部分の長さが偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の40%を占めるものであった。
その後、前記仮撚糸を経糸に用い、また緯糸には前記仮撚糸と実施例1と同様の手法で得た融着仮撚糸を2:1の配列で使用し、エアージェット織機で平織物に製織を行った(融着仮撚糸の比率は16%であった。)
次に、得られた製織生地を98℃拡布連続精練、120℃液流リラックス、180℃中間セット、130℃染色、160℃仕上げセットを施し、加工密度(経糸:95本/2.54cm、緯糸:90本/2.54cm)の製品とした。得られた織物の伸長率は経20.5%、緯23.4%とストレッチ性に大変優れていた。また洗濯20回後における融着仮撚糸の融着部の平均長さ:15.3mm、融着個数:23.0個/mであったが、融着仮撚糸の効果は少なく、清涼感に不足した織物であった。偏心芯鞘複合繊維の特性、融着仮撚糸の特性、織物の特性等の評価結果を表1に示した。
Figure 0007683344000001
本発明によれば、規定する融着仮撚糸を用いることで、長期繰り返し洗濯使用においても、優れた清涼感、表面品位を有するストレッチ織編物を提供できる。
1 ポリマーA成分
2 ポリマーB成分
a:複合繊維断面におけるポリマーA成分の重心点
C:複合繊維断面の重心点
S:ポリマーB成分の最小厚み
D:繊維径

Claims (3)

  1. ポリマーAおよびポリマーBの2種のポリエチレンテレフタレート成分からなる偏心芯鞘複合繊維からなり、前記ポリマーAの重量平均分子量Mwと前記ポリマーBの重量平均分子量Mwとの差(Mw-Mw)が2,000~15,000であり、融着部の平均長さが3~30mm、融着部の平均個数が5~100個/mであることを特徴とする融着仮撚糸。
  2. 前記偏心芯鞘複合繊維の横断面において、前記ポリマーA成分が前記ポリマーB成分で完全に覆われており、前記ポリマーA成分を覆う前記ポリマーB成分の厚みの最小厚みSと繊維径Dの比S/Dが0.01~0.2であり、かつ該最小厚みSより厚みが1.10倍以内の部分の長さが前記偏心芯鞘複合繊維全体の周囲長の1/3以上であることを特徴とする請求項1に記載の融着仮撚糸。
  3. 請求項1または2に記載の融着仮撚糸を重量比で20%以上含む織編物。
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