JP7683367B2 - 抵抗体の製造方法 - Google Patents
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Description
ところが、近年、電子機器から毒性のある鉛の使用を排除することが求められることにより、高抵抗領域の厚膜抵抗体用の導電粉としてルテニウム酸鉛粉に代わる、鉛を含有しない導電粉が望まれている。また、厚膜抵抗体から完全に鉛を排除するためには、同時に用いられるガラスフリットからも鉛を排除する必要がある。しかし、抵抗ペーストから鉛を全て排除した状態でも、抵抗温度係数等の電気特性について、良好な抵抗体とすることが求められている。
NiやCrの単層膜やNi-Crの合金膜が実用化されているが、金属膜は低抵抗であるため高抵抗の抵抗体が作成できない。
一対の電極と、
前記一対の電極間に配置された抵抗膜と、を有し、
前記抵抗膜は、ガラスと、導電粒子と、酸化ルテニウムまたは酸化イリジウムを含有する導電成分とを有しており、
前記抵抗膜中の前記導電成分の含有割合が質量割合で100ppm以上5000ppm以下であり、抵抗値が50Ω以上1000Ω以下である抵抗体を提供する。
[抵抗体]
本発明の発明者は鉛成分を含有せず、抵抗温度係数を抑制できる抵抗体について検討を行った。そして、正の抵抗温度係数を有する導電粒子と、負の抵抗温度係数を有する導電成分とを含有する抵抗体とすることで、抵抗温度係数を抑制した抵抗体にできることを見出した。
(1)抵抗膜
図1に示すように、本実施形態の抵抗体10が有する抵抗膜112は、ガラス12と、導電粒子13と、導電成分14とを有しており、導電粒子13、および導電成分14はガラス12内に配置できる。
(1-1)導電粒子
本実施形態の抵抗体は、後述するように、例えば導電粒子と、被覆付きガラス粒子を含む抵抗膜用ペーストを電極111間に塗布し、乾燥、焼成することで形成できる。このため、導電粒子は、抵抗膜用ペーストを加熱する際の熱処理により抵抗が変化しない材料であることが好ましく、例えばAu(金)、Ag(銀)、Pd(パラジウム)等の貴金属や、RuO2(酸化ルテニウム)、IrO2(酸化イリジウム)等から選択された1種類以上の材料であることが好ましい。なお、導電粒子は、Ag粉末と、Pd粉末のように、複数種類の導電粒子を同時に用いることもできる。
(1-2)導電成分
導電成分14は、ガラス12と化合物を形成しない導電性材料であることが好ましく、例えば酸化イリジウムまたは酸化ルテニウムを含有できる。
(1-3)ガラス
ガラス12について、その組成等は限定されない。ガラス12としては、例えばホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸カルシウム系ガラス、ホウケイ酸バリウムガラスなどの鉛を含有しない組成系のガラスを使用できる。
(1-4)その他の成分
抵抗膜112は、抵抗膜112を構成する材料に加えて、ビヒクル等を添加し、抵抗膜用ペーストとしてから、該ペーストを一対の電極111間に塗布、乾燥、焼成することで形成される。このため、抵抗膜112は、既述のガラス12、導電粒子13、および導電成分14に加えて、ビヒクル等に起因する不可避成分を含んでいても良い。
(2)電極
一対の電極111の材料は特に限定されず、抵抗体に用いられる各種電極とすることができる。なお、本実施形態の抵抗体10は、各種絶縁性基板上に形成することができる。
[抵抗体の製造方法]
本実施形態の抵抗体の製造方法について説明する。本実施形態の抵抗体の製造方法によれば、既述の抵抗体を製造できる。このため、既に説明した事項については説明を省略する。
(1)被覆付きガラス粒子形成工程
被覆付きガラス粒子形成工程は、ガラス粒子の表面の少なくとも一部に、酸化ルテニウムまたは酸化イリジウムを含有する導電成分を配置し、被覆付きガラス粒子を形成できる。
(1-1)被覆付きガラス粒子
(1-1-1)ガラス粒子
被覆付きガラス粒子が有するガラス粒子は、既述の抵抗膜112内のガラス12となる材料であり、その組成は特に限定されない。ガラス粒子としては、例えばホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸カルシウム系ガラス、ホウケイ酸バリウムガラスなどの鉛を含有しない組成系のガラス粒子、粉末を使用できる。
(1-1-2)導電成分
導電成分は、既述の抵抗体で説明した導電成分14となる成分であり、ガラス粒子の表面の少なくとも一部に配置できる。導電成分は酸化ルテニウムまたは酸化イリジウムを含有でき、酸化ルテニウムまたは酸化イリジウムから構成することもできる。
(A)スパッタリング法
導電成分を、ガラス粒子の表面にスパッタリング法により成膜する場合、多角バレルスパッタリング法を用いることが好ましい。
(B)CVD法
(B-1)第1形態
導電成分を、ガラス粒子の表面にCVD法により成膜する場合、例えば図5に示す成膜装置50を用いて実施できる。
(B-2)第2形態
導電成分を、ガラス粒子の表面にCVD法により成膜する場合、例えば図6に示す成膜装置60を用いて実施できる。
(B-3)第3形態
導電成分を、ガラス粒子の表面にCVD法により成膜する場合、例えば図7に示す成膜装置70を用いて実施できる。
(2)ペースト調製工程
ペースト調製工程は、導電粒子と、被覆付きガラス粒子とを混合し、抵抗膜用ペーストを調製できる。
(3)抵抗膜形成工程
抵抗膜形成工程は、一対の電極間に抵抗膜用ペーストを塗布し、抵抗膜を形成できる。
(評価方法)
以下の実施例、比較例で作製した抵抗体の評価方法について説明する。
(1)抵抗値測定
膜厚は、各実施例、比較例で同じ条件で作製した5個の抵抗体について、触針の厚さ粗さ計(東京精密社製 型番:サーフコム480B)により膜厚を測定し、測定した値を平均することで算出した。
(2)抵抗温度係数
抵抗温度係数は次の手順で算出した。
COLD-TCR(ppm/℃)=(R-55-R25)/R25/(-80)×106・・・(A)
HOT-TCR(ppm/℃)=(R125-R25)/R25/(100)×106・・・(B)
なお、抵抗温度係数は0に近いことが望ましく、-100ppm/℃≦抵抗温度係数≦100ppm/℃であることが優れた抵抗体の目安とされている。
(3)導電成分の含有割合
得られた抵抗膜中の導電成分の含有割合について、ICP発光分光分析装置(島津製作所製 型式:ICPS8100)を用いて、ICP発光分光法により評価した。
(製造条件)
[実験例1]
[実施例1-1]
(被覆付きガラス粒子形成工程)
平均粒径が1.5μmのガラス粉末を、図4に示した多角バレルスパッタリング法によるスパッタリング装置40に入れて、バレル回転速度を0.1rpmとした。すなわち、200秒で回転軸Cを回転の中心として120度の割合で回転させた。スパッタ前のチャンバー44内の真空度は2×10-4Pa、スパッタガスとしてはAr:O2混合ガスを用い、流量比はAr:O2=9:1とした。
(ペースト調製工程)
平均粒径が1.0μmのAg粉末と、平均粒径が0.3μmのPd粉末と、上記被覆付きガラス粒子とを、エチルセルロース10質量%とターピネオール90質量%とからなるビヒクルにスリーロールミルで分散させて抵抗膜用ペーストを調製した。
(抵抗膜形成工程)
ペースト調製工程で得られた抵抗膜用ペーストを、予め一対の電極が形成されたアルミナ基板上に、マスクを介して塗布し、幅1mmで長さ10mm、塗布膜の平均膜厚は10μmとした。なお、電極はAgペーストを用いて予め作製した。
[実施例1-2]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=15:1:84とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[比較例1-1]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=44:32:24とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[実験例2]
[実施例2-1]
(被覆付きガラス粒子形成工程)
平均粒径が1.5μmのガラス粉末を、図4に示した多角バレルスパッタリング法によるスパッタリング装置40に入れて、バレル回転速度を0.1rpmとした。すなわち、200秒で回転軸Cを回転の中心として120度の割合で回転させた。スパッタ前のチャンバー44内の真空度は2×10-4Pa、スパッタガスとしてはAr:O2混合ガスを用い、流量比はAr:O2=9:1とした。
(ペースト調製工程)
平均粒径が1.0μmのAg粉末と、平均粒径が0.3μmのPd粉末と、上記被覆付きガラス粒子とを、エチルセルロース10質量%とターピネオール90質量%とからなるビヒクルにスリーロールミルで分散させて抵抗膜用ペーストを調製した。
(抵抗膜形成工程)
ペースト調製工程で得られた抵抗膜用ペーストを、予め一対の電極が形成されたアルミナ基板上に、マスクを介して塗布し、幅1mmで長さ10mm、塗布膜の平均膜厚は10μmとした。なお、電極はAgペーストを用いて予め作製した。
[実施例2-2]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=15:1:84とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[比較例2-1]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=44:32:24とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[実験例3]
[実施例3-1]
(被覆付きガラス粒子形成工程)
平均粒径が1.5μmのガラス粒子55を坩堝に入れ、図5に示した成膜装置50の反応容器51内の多孔質フィルター54上に載置した。
(ペースト調製工程)
平均粒径が1.0μmのAg粉末と、平均粒径が0.3μmのPd粉末と、上記被覆付きガラス粒子とを、エチルセルロース10質量%とターピネオール90質量%とからなるビヒクルにスリーロールミルで分散させて抵抗膜用ペーストを調製した。
(抵抗膜形成工程)
ペースト調製工程で得られた抵抗膜用ペーストを、予め一対の電極が形成されたアルミナ基板上に、マスクを介して塗布し、幅1mmで長さ10mm、塗布膜の平均膜厚は10μmとした。なお、電極はAgペーストを用いて予め作製した。
[実施例3-2]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=15:1:84とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[比較例3-1]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=44:32:24とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[実験例4]
[実施例4-1]
(被覆付きガラス粒子形成工程)
図6に示した成膜装置60を用いて、被覆付きガラス粒子を形成した。
(ペースト調製工程)
平均粒径が1.0μmのAg粉末と、平均粒径が0.3μmのPd粉末と、上記被覆付きガラス粒子とを、エチルセルロース10質量%とターピネオール90質量%とからなるビヒクルにスリーロールミルで分散させて抵抗膜用ペーストを調製した。
(抵抗膜形成工程)
ペースト調製工程で得られた抵抗膜用ペーストを、予め一対の電極が形成されたアルミナ基板上に、マスクを介して塗布し、幅1mmで長さ10mm、塗布膜の平均膜厚は10μmとした。なお、電極はAgペーストを用いて予め作製した。
[実施例4-2]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=15:1:84とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[比較例4-1]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=44:32:24とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[実験例5]
[実施例5-1]
(被覆付きガラス粒子形成工程)
図7に示した成膜装置70を用いて、被覆付きガラス粒子を形成した。
(ペースト調製工程)
平均粒径が1.0μmのAg粉末と、平均粒径が0.3μmのPd粉末と、上記被覆付きガラス粒子とを、エチルセルロース10質量%とターピネオール90質量%とからなるビヒクルにスリーロールミルで分散させて抵抗膜用ペーストを調製した。
(抵抗膜形成工程)
ペースト調製工程で得られた抵抗膜用ペーストを、予め一対の電極が形成されたアルミナ基板上に、マスクを介して塗布し、幅1mmで長さ10mm、塗布膜の平均膜厚は10μmとした。なお、電極はAgペーストを用いて予め作製した。
[実施例5-2]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=15:1:84とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
[比較例5-1]
ペースト調製工程において、Ag粉末と、Pd粉末と、被覆付きガラス粒子との配合は、質量比で、Ag粉末:Pd粉末:被覆付きガラス粒子=44:32:24とした。以上の点以外は実施例1-1と同様の方法でペーストと抵抗体を作成して評価を行った。
111 電極
112 抵抗膜
12 ガラス
13 導電粒子
14、312 導電成分
30 抵抗膜用ペースト
31 被覆付きガラス粒子
311、55、632、761 ガラス粒子
Claims (2)
- ガラス粒子の表面の少なくとも一部に、酸化ルテニウムまたは酸化イリジウムである導電成分を配置し、被覆付きガラス粒子を形成する被覆付きガラス粒子形成工程と、
金、銀、パラジウムから選択された1種類以上である導電粒子と、前記被覆付きガラス粒子とを混合し、抵抗膜用ペーストを調製するペースト調製工程と、
一対の電極間に前記抵抗膜用ペーストを塗布し、抵抗膜を形成する抵抗膜形成工程と、を有し、
前記抵抗膜中の前記導電成分の含有割合が質量割合で100ppm以上5000ppm以下であり、抵抗値が50Ω以上1000Ω以下である抵抗体の製造方法。 - 前記被覆付きガラス粒子形成工程において、スパッタリング法、およびCVD法から選択された1種類以上の方法により、前記ガラス粒子の表面に前記導電成分を配置する請求項1に記載の抵抗体の製造方法。
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| JP2021009878A (ja) | 2019-06-28 | 2021-01-28 | 住友金属鉱山株式会社 | 厚膜抵抗体用組成物、厚膜抵抗体用ペーストならびに厚膜抵抗体 |
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