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JP7683430B2 - ハイブリッド車の制御装置 - Google Patents
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JP7683430B2 - ハイブリッド車の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車の制御装置に関し、詳しくは、エンジンと、第1、第2モータと、プラネタリギヤと、バッテリと、共にハイブリッド車に搭載され、エンジンと第1、第2モータとを制御するハイブリッド車の制御装置に関する。
従来、この種のハイブリッド車の制御装置としては、エンジンと、第1、第2モータと、プラネタリギヤと、バッテリと、共にハイブリッド車に搭載されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。プラネタリギヤは、第1モータの回転軸とエンジンの出力軸と駆動輪に連結された駆動軸とに3つの回転要素が接続されている。第2モータは、駆動軸に回転軸が接続されている。バッテリは、第1、第2モータと電力をやりとりする。この装置では、発進時に第1、第2モータで発電される電力がバッテリの入力制限より大きいときには、第1モータでエンジンをモータリングして第1モータで電力を消費した後に、第1モータによる発電を伴うエンジンから駆動軸への動力の出力を伴って発進して走行するようにエンジンと第1、第2モータとを制御する。バッテリが入力制限を超える電力で充電されることを抑制しながら発進するから、バッテリを保護しつつ発進性能を確保できる。
特開2004-357459号公報
上述のハイブリッド車の制御装置では、エンジンから出力されるパワーが変動すると、第1、第2モータのトルクが変動する。第2モータは駆動軸にパワーを入出力することから、第2モータのトルクが変動すると車両振動が発生してしまう。こうした車両振動を抑制する手法として、第1モータのトルク指令に基づく目標パワーを中心とするヒステリシス幅の範囲内で一定となるように第1モータの仮出力パワーを設定し、仮出力パワーとバッテリの出力制限とに基づく第2モータのパワー制限値の範囲内で第2モータを駆動する手法が考えられる。しかしながら、ヒステリシス幅が一定の場合、仮出力パワーの値によっては第2モータのパワー制限値が小さくなり、第2モータから十分なトルクを出力できなくなり、駆動軸に所望のトルクを出力できなくなる。駆動軸に所望のトルクを出力するためにヒステリシス幅を小さくすると、車両の振動が大きくなってしまう。
本発明のハイブリッド車の制御装置は、車両の振動を抑制しつつ、駆動軸に所望のトルクを出力できなくなることを抑制することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車の制御装置は、
エンジンと、第1モータと、前記第1モータの回転軸と前記エンジンの出力軸と駆動輪に連結された駆動軸とに3つの回転要素が接続されたプラネタリギヤと、前記駆動軸に回転軸が接続された第2モータと、前記第1、第2モータと電力をやりとりするバッテリと、共にハイブリッド車に搭載され、前記エンジンと前記第1、第2モータとを制御するハイブリッド車の制御装置であって、
車速が所定車速以下のときには、前記第1モータから出力すべき目標パワーを中心とするヒステリシス幅の範囲内で一定となるように前記第1モータの仮出力パワーを設定し、設定した前記仮出力パワーと前記バッテリの出力制限とに基づく前記第2モータのパワー制限値の範囲内で前記第2モータが駆動するように前記第2モータを制御し、
前記ヒステリシス幅を、前記バッテリの出力制限と入力制限との差分としての入出力差分に基づいて設定する
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車の制御装置では、車速が所定車速以下のときには、第1モータから出力すべき目標パワーを中心とするヒステリシス幅の範囲内で一定となるように第1モータの仮出力パワーを設定し、設定した仮出力パワーとバッテリの出力制限とに基づく第2モータのパワー制限値の範囲内で第2モータが駆動するように第2モータを制御する。「所定車速」としては、車両が停止する可能性が高いか否かを判断するための閾値として予め定めた車速などを挙げることができる。そして、ヒステリシス幅を、バッテリの出力制限と入力制限との差分としての入出力差分に基づいて設定する。これにより、バッテリの状態が悪化してバッテリの出力制限または入力制限のいずれかの絶対値が値0になったときでも、ヒステリシス幅が値0となることを抑制しつつ、第1モータの仮出力パワーを第1モータの目標パワーに近づけることができる。ヒステリシス幅が値0となることを抑制できるから、ヒステリシス幅が値0になるものに比して第1モータの仮出力パワーの頻繁な変更を抑制でき、ひいては、第2モータのトルク変動を抑制でき、車両の振動を抑制できる。また、第1モータの仮出力パワーを第1モータの目標パワーに近づけることができるから、仮出力パワーが第1モータの目標パワーに対して過大となり、第2モータのパワー制限値が小さくなり過ぎて、第2モータの駆動が過剰に制限されることを抑制でき、駆動軸に所望のトルクを出力できなくなることを抑制できる。この結果、車両の振動を抑制しつつ、駆動軸に所望のトルクを出力できなくなることを抑制できる。
こうした本発明のハイブリッド車の制御装置では、前記ヒステリシス幅を、前記入出力差分が小さいときには大きいときに比して小さくなるように設定してもよい。こうすれば、駆動軸に所望のトルクを出力できなくなることをより抑制できる。
この場合において、前記ヒステリシス幅を、前記入出力差分に設定してもよいし、前記入出力差分に正の値である所定係数を乗じた値に設定してもよい。こうすれば、より適正にヒステリシス幅を設定できる。
また、本発明のハイブリッド車の制御装置において、前記ヒステリシス幅を、前記入出力差分と車両の振動が許容される前記入出力差分の最大値とのうち小さいほうの値に設定してもよい。こうすれば、車両の振動を許容範囲内に抑制できる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50の温度Tbと基本値Winb、Woutbとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の蓄電割合SOCと入出力制限補正係数との関係の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド車20のHVECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 実施例のハイブリッド車20のHVECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 モータMG1のトルク制限Tm1min,Tm1maxの一例を示す説明図である。 モータMG1の仮パワーPm1hisを設定する様子を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する図示しない水温センサからの冷却水温Twを挙げることができる。また、スロットルバルブのポジションを検出する図示しないスロットルバルブポジションセンサからのスロットル開度THや吸気管に取り付けられた図示しないエアフローメータからの吸入空気量Qa,吸気管に取り付けられた図示しない温度センサからの吸気温Taも挙げることができる。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動制御信号や燃料噴射弁への駆動制御信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの駆動制御信号を挙げることができる。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2と接続されると共に電力ライン54を介してバッテリ50と接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサからの相電流などが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54を介してインバータ41,42と接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbやバッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbとに基づいて入出力制限Win,Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。入出力制限Win,Woutは、バッテリ50を充放電してもよい許容充放電電力である。
バッテリECU52は、バッテリ50の入出力制限Win,Woutを、以下の手法で設定する。入力制限Winについては、まず、バッテリ50の温度Tbに基づいて入力制限Winの基本値Winb(負の値)を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて入力制限用補正係数(正の値)を設定し、設定した基本値Winbに入力制限用補正係数を乗じて通常入力制限Winn(負の値)を設定する。そして、設定した通常入力制限Winnとインバータ41の保護の観点からインバータ41へ入力が許容される電力の最大値としての保護入力制限Winp(負の値)とのうち大きいほうの値(絶対値としては小さいほうの値)を入力制限Winに設定する。出力制限Woutについては、まず、バッテリ50の温度Tbに基づいて出力制限Woutの基本値Woutb(正の値)を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数(正の値)を設定し、設定した基本値Woutbに出力制限用補正係数(正の値)を乗じて通常出力制限Woutn(正の値)を設定する。そして、設定した通常出力制限Woutnとインバータ42の保護の観点からインバータ42からの出力が許容される電力の最大値としての保護出力制限Woutp(正の値)とのうち小さいほうの値を出力制限Woutに設定する。図2にバッテリ50の温度Tbと基本値Winb、Woutbとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の蓄電割合SOCと入出力制限補正係数との関係の一例を示す。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
こうして構成された実施例のハイブリッド車20は、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)や、エンジン22の運転停止を伴って走行する電動走行モード(EV走行モード)で走行するように、エンジン22とモータMG1、MG2とを制御する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド車20の動作について説明する。図4、図5は、実施例のハイブリッド車20のHVECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
本ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、まず、アクセルペダル83からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V、エンジンECU24からのエンジン22の回転数Ne、モータECU40からのモータMG1およびモータMG2の回転数Nm1、Nm2、バッテリECU52からの入出力制限Win、Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を行なう(ステップS100)。
続いて、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に要求される要求トルクTr*を設定すると共にエンジン22が出力すべき要求パワーPe*を設定する(ステップS110)。要求トルクTr*の設定は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め求めて要求トルク設定用マップとしてROMに記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると、要求トルク設定用マップから対応する要求トルクTr*を導出して設定している。図6に要求トルク設定用マップの一例を示す。エンジン22の要求パワーPe*の設定は、実施例では、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nd(モータMG2の回転数Nm2)を乗じて走行に要求される(駆動軸36に要求される)要求パワーPd*を計算し、要求パワーPd*からバッテリ50の蓄電割合SOCに基づく充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じて車両に要求される(エンジン22に要求される)要求パワーPe*を計算する。
要求トルクTr*、要求パワーPe*を設定すると、設定した要求パワーPe*を出力可能なエンジン22の運転ポイント(トルクと回転数とから定まるポイント)のうちエンジン22が効率よく運転できるポイントをエンジン22の目標トルクTe*と目標回転数Ne*として設定する(ステップS120)。
そして、前回本ルーチンを実行しときに後述のステップS170の処理で設定したモータMG1のトルク指令(前回Tm1*)とプラネタリギヤ30のギヤ比(サンギヤ31の歯数/リングギヤ32の歯数)ρとを用いて次式(1)によりエンジン22から出力されていると推定されるトルクとしての出力トルクTeestを計算する(ステップS130)。
Teest=(1+ρ)・前回Tm1*/ρ (1)
次に、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2とプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて式(2)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算し、計算したモータMG1の目標回転数Nm1*とステップS100で入力したモータMG1の回転数Nm1とステップS130で設定したエンジン22の出力トルクTeestとプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて式(3)によりモータMG1のトルク指令Tm1*の仮の値としての仮トルクTm1tmpを計算する(ステップS140)。式(3)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させる(エンジン22を目標回転数Ne*で回転させる)ためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中、右辺第1項はフィードフォワード項であり、右辺第2項,第3項はフィードバックの比例項,積分項である。右辺第1項は、共線図を用いれば容易に導くことができる。また、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2・ρ (2)
Tm1tmp=-ρ・Teest/(1+ρ)+k1・(Nm1*-Nm1)+k2・∫(Nm1*-Nm1)dt (3)
続いて、次式(4)に示すように、要求トルクTr*にモータMG1のトルク指令Tm1*をプラネタリギヤ30のギヤ比ρで除したものを加えてモータMG2のトルク指令Tm2*の仮の値としての仮トルクTm2tmpを計算する(ステップS150)。
Tm2tmp=Tr*+Tm1*/ρ (4)
そして、次式(5)および式(6)を共に満たすモータMG1から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm1min,Tm1maxを設定する(ステップS160)。ここで、式(5)は、モータMG1とモータMG2とからリングギヤ軸32aに出力されるトルクの総和が値0から要求トルクTr*までの範囲内となる関係であり、式(6)は、モータMG1とモータMG2とによって入出力される電力の総和がバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内となる関係である。図7は、モータMG1のトルク制限Tm1min,Tm1maxの一例を示す説明図である。トルク制限Tm1min,Tm1maxは、図中斜線で示した領域における仮トルクTm1tmpの最大値および最小値として求めることができる。図7から分かるように、要求トルクTr*が正の値のときには、モータMG1とモータMG2とから駆動軸36に出力されるトルクの総和が要求トルクTr*となる関係と、モータMG1とモータMG2とによって入出力される電力の総和がバッテリ50の入力制限Winとなる関係と、を満たすモータMG1の駆動点をトルク制限Tm1minに設定する。即ち、式(5)と式(6)とから得られる式(7)によりトルク制限Tm1minを計算する。さらに、モータMG1とモータMG2とから駆動軸36に出力されるトルクの総和が値0となる関係と、モータMG1とモータMG2とによって入出力される電力の総和がバッテリ50の出力制限Woutとなる関係と、を満たすモータMG1の駆動点をトルク制限Tm1maxに設定する。即ち、式(5)と式(6)とから得られる式(8)によりトルク制限Tm1maxを計算することになる。
0≦-Tm1tmp/ρ+Tm2tmp≦Tr* (5)
Win≦Tm1tmp・Nm1+Tm2tmp・Nm2≦Wout (6)
Tm1min=(Win-Tr*・Nm2)/(Nm1+Nm2/ρ) (7)
Tm1max=Wout/Nm1r+Nm2/ρ (8)
こうしてトルク制限Tm1min,Tm1maxを設定すると、次式(9)に示すように、モータMG1の仮トルクTm1tmpとトルク制限Tm1maxとのうちの小さいほうの値と、トルク制限Tm1minと、のうち大きいほうの値をモータMG1のトルク指令Tm1*に設定する(モータMG1の仮トルクTm1tmpをトルク制限Tm1min,Tm1maxで制限してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する)(ステップS170)。
Tm1*=max(min(Tm1tmp,Tm1max),Tm1min) (9)
続いて、計算したモータMG1のトルク指令Tm1*とステップS100で入力したモータMG1の回転数Nm1との積からモータMG1から出力すべき目標パワーPm1を計算する(ステップS180)。
続いて、ステップS100で入力した車速Vが所定車速Vref以下であるか否かを判定する(ステップS190)。所定車速Vrefとしては、車両が停止する可能性が高いか否かを判断するための閾値として予め定めた車速である。
ステップS190で車速Vが所定車速Vrefを超えているときには、車両が停止する可能性が高くないと判断して、バッテリ50の出力制限Wout、入力制限WinからモータMG1の出力を各々減じてモータMG2の出力制限を設定する際の上述のモータMG1の出力(以下、これをモータMG1の仮パワー(仮出力パワー)Pm1hisと呼ぶ)の設定に用いるヒステリシス幅Hisを所定幅ΔWmaxに設定する(ステップS200)。所定幅ΔWmaxは、後述するモータMG2の出力許容範囲P2が頻繁に変更されるのを抑制することを考慮した一定値として予め実験や解析で定めた値である。
ヒステリシス幅Hisを設定すると、設定したヒステリシス幅Hisにより次式(10)を用いてモータMG1の仮パワーPm1hisを計算する(ステップS220)。式(10)中、「前回Pm1his」は前回の本ルーチンのステップS230で計算されたモータMG1の仮パワーである。
Pm1his=min(max(前回Pm1his,Pm1-His),Pm1+His) (10)
図8にモータMG1の仮パワーPm1hisを設定する様子を示す。図中、実線はモータMG1の目標パワーPm1を示し、破線はモータMG1の仮パワーPm1hisを示す。図8や式(10)に示すように、モータMG1の前回の仮パワー(前回Pm1his)がモータMG1の目標パワーPm1を中心としたヒステリシス幅Hisの範囲内にあるときには、その前回の仮パワーがモータMG1の仮パワーPm1hisとして設定され、前回の仮パワーがヒステリシス幅Hisの範囲内にないときにはその範囲内となるように変更されてモータMG1の仮パワーPm1hisが設定される。モータMG1の仮パワーPm1hisは、モータMG2の出力制限である後述のモータMG2の出力許容範囲P2の設定に直接反映されるため、モータMG1の仮パワーPm1hisを目標パワーPm1を中心としたヒステリシス幅Hisの範囲内で可能な限り一定となるように調整することにより、モータMG2の出力許容範囲P2が頻繁に変更されるのを防止できる。
こうしてモータMG1の仮パワーPm1hisを設定すると、ステップS100で入力したバッテリ50の出力制限Wout,入力制限Winから、設定された仮パワーPm1hisを各々減じてモータMG2の出力下限値と出力上限値とを計算して出力許容範囲P2を設定すると共に(ステップS230)、出力許容範囲P2におけるモータMG2の出力下限値と出力下限値とをモータMG2の回転数Nm2で割ってモータMG2のトルク制限Tm2min、Tm2maxとを計算する(ステップS240)。
そして、ステップS150で設定した仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2minのうちの大きいほうの値と、トルク制限Tm2maxと、のうちの小さいほうの値をトルク指令Tm2*に設定する(仮トルクTm2tmpをトルク制限Tm2min、Tm2maxで制限したものをトルク指令Tm2*に設定する)(ステップS250)。そして、エンジン22の目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。目標トルクTe*を受信したエンジンECU24は、エンジン22から目標トルクTe*に見合うトルクが出力されるよう点火制御や燃料噴射制御などの制御を行なう。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*に見合うトルクがモータMG1から出力され、トルク指令Tm2*に見合うトルクがモータMG2から出力されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このように、車速Vが所定車速Vrefを超えているときには、ヒステリシス幅Hisを所定幅ΔWmaxにすることにより、モータMG2の出力許容範囲P2の頻繁な変更が抑制され、モータMG1の仮パワーPm1hisの頻繁な変更が抑制され、トルク制限Tm2min、トルク制限Tm2maxの頻繁な変更が抑制される。これにより、トルク指令Tm2*の頻繁な変更が抑制され、モータMG2から出力されるトルクの変動による車両の振動を抑制できる。
ステップS190で車速Vが所定車速Vref以下のときには、車両が停止する可能性が高いと判断して、出力制限Woutから入力制限Winを減じた値の絶対値としての入出力差分|Wout-Win|をヒステリシス幅Hisに設定し(ステップS210)、設定したヒステリシス幅Hisを用いてモータMG1の仮パワーPm1hisを設定する(ステップS220)。こうして設定した仮パワーPm1hisを用いてモータMG2の出力許容範囲P2を計算し(ステップ230)、モータMG2から出力されるパワーが出力許容範囲P2内となるようにトルク制限Tm2min、トルク制限Tm2maxを設定し(ステップS240)、仮トルクTm2tmpをトルク制限Tm2min、トルク制限Tm2maxで制限したトルクをトルク指令Tm2*に設定し(ステップS250)、目標トルクTe*、トルク指令Tm1*、Tm2*を各ECUに送信して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。
ステップS210で入出力差分|Wout-Win|をヒステリシス幅Hisに設定するから、ヒステリシス幅Hisは、値0を下回らない範囲で、出力制限Woutが小さいほど、また、入力制限Winが大きいほど(入力制限Winの絶対値が小さいほど)狭く設定される。ヒステリシス幅Hisが狭く設定されるほど、モータMG1の仮パワーPm1hisはモータMG1の目標パワーPm1に近い値として設定されるから、バッテリ50の状態が悪化してバッテリ50の出力制限Woutや入力制限Winが小さくなったときには、仮パワーPm1hisはモータMG1の目標パワーPm1に近い値として設定される。したがって、仮パワーPm1hisがモータMG1の目標パワーPm1に対して過大となり、モータMG2の出力許容範囲P2の上限値(=Wout-Pm1his)が小さくなり過ぎることで、トルク制限Tm2maxが小さくなり、トルク指令Tm2*が過剰に小さく設定されることが抑制される。これにより、モータMG2から所望のトルクを出力できなくなることを抑制でき、駆動軸36に所望のトルク(要求トルクTr*)が出力できなくなることを抑制できる。したがって、モータMG2から出力可能なトルクが小さくなり、停止してから車両が発進できなくなることを抑制できる。また、ヒステリシス幅Hisを入出力差分|Wout-Win|に設定するから、出力制限Woutが値0で入力制限Winが値0でないときに、ヒステリシス幅Hisを値0より広く設定することができる。ヒステリシス幅Hisが広く設定されるほど、モータMG1の仮パワーPm1hisの頻繁な変更が抑制され、モータMG2のトルク指令Tm2*の頻繁な変更が抑制される。これにより、モータMG2から出力されるトルク変動が抑制でき、車両の振動が抑制される。したがって、車両の振動を抑制しつつ、駆動軸36に所望のトルクを出力できなくなることを抑制できる。
以上説明した実施例のハイブリッド車20によれば、車速Vが所定車速Vref以下のときには、モータMG1の目標パワーPm1を中心とするヒステリシス幅Hisの範囲内で一定となるように第1モータの仮パワーPm1his(仮出力パワー)を設定し、設定した仮パワーPm1hisとバッテリの入力制限Winおよび出力制限Woutとに基づくモータMG2の出力許容範囲P2の範囲内(モータMG2のパワー制限値の範囲内)でモータMG2が駆動するようにモータMG2を制御し、ヒステリシス幅Hisを、バッテリ50の出力制限Woutと入力制限Winとの差分としての入出力差分|Wout-Win|に設定することにより、車両の振動を抑制しつつ、駆動軸36に所望のトルクを出力できなくなることを抑制できる。
実施例のハイブリッド車20では、ヒステリシス幅Hisを入出力差分|Wout-Win|に設定している。しかしながら、ヒステリシス幅Hisを入出力差分|Wout-Win|が小さいときには大きいときに比して小さくなるように設定すればよいから、ヒステリシス幅Hisを入出力差分|Wout-Win|に正の値の所定係数を乗じた値に設定してもよい。また、ヒステリシス幅Hisは、入出力差分|Wout-Win|に基づいて設定すればよく、例えば、入出力差分|Wout-Win|と車両の振動が許容される入出力差分|Wout-Win|の最大値とのうち小さいほうの値に設定してもよい。こうすれば、車両の振動が過剰になることを抑制できる。
実施例のハイブリッド車20では、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの設定をバッテリECU52で行なっている。しかしながら、入出力制限Win,Woutの設定は、モータECU40やHVECU70など他の電子制御ユニットで行なってもよいし、複数の電子制御ユニット(例えば、モータECU40およびHVECU70など)で行なってもよい。
実施例のハイブリッド車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、キャパシタを用いてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えているが、これらのうちの少なくとも一部を単一の電子制御ユニットとして構成してもよい。
実施例のハイブリッド車20では、モータMG2の動力を駆動軸36に出力するものとしたが、モータMG2の動力を駆動軸36が接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸に接続するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータECU40とバッテリECU52とHVECU70とが「ハイブリッド車の制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車の制御装置の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、 51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (1)

  1. エンジンと、第1モータと、前記第1モータの回転軸と前記エンジンの出力軸と駆動輪に連結された駆動軸とに3つの回転要素が接続されたプラネタリギヤと、前記駆動軸に回転軸が接続された第2モータと、前記第1、第2モータと電力をやりとりするバッテリと、共にハイブリッド車に搭載され、前記エンジンと前記第1、第2モータとを制御するハイブリッド車の制御装置であって、
    車速が所定車速以下のときには、前記第1モータから出力すべき目標パワーを中心とするヒステリシス幅の範囲内で一定となるように前記第1モータの仮出力パワーを設定し、設定した前記仮出力パワーと前記バッテリの出力制限とに基づく前記第2モータのパワー制限値の範囲内で前記第2モータが駆動するように前記第2モータを制御し、
    前記ヒステリシス幅を、前記バッテリの前記出力制限と入力制限との差分としての入出力差分と、車両の振動が許容される前記入出力差分の最大値と、のうち小さいほうの値に設定する
    ハイブリッド車の制御装置。
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