JP7684601B2 - 鋼材 - Google Patents
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Description
上述の製造工程中の焼入れでは、機械構造用部品の一部の部位の強度を高めるために、中間品(鋼材)に対して高周波焼入れを実施する場合がある。この場合、中間品(鋼材)のうち、強度を高めたい部位に対して、高周波誘導加熱を実施し、その後、急冷(焼入れ)する。
化学組成が、質量%で、
C:0.20~0.50%、
Si:0.01~0.80%、
Mn:0.50~2.00%、
P:0.030%以下、
S:0.010~0.095%、
Cr:0.01~1.30%、
V:0.200超~0.300%、
Bi:0.0051~0.1500%、
N:0.0030~0.0200%、を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、
式(1)を満たし、
前記鋼材中において、
円相当径が0.1~1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80~8000個/mm2であり、
円相当径が10.0μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm2以下である。
0.80≦C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.50 (1)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。
0.80≦C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.50 (1)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。
鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.20~0.50%、
Si:0.01~0.80%、
Mn:0.50~2.00%、
P:0.030%以下、
S:0.010~0.095%、
Cr:0.01~1.30%、
V:0.200超~0.300%、
Bi:0.0051~0.1500%、
N:0.0030~0.0200%、を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、
式(1)を満たし、
前記鋼材中において、
円相当径が0.1~1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80~8000個/mm2であり、
円相当径が10.0μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm2以下である、
鋼材。
0.80≦C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.50 (1)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。
[1]に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、Feの一部に代えて、
Al:0.060%以下、
Mg:0.0100%以下、
Ti:0.0200%以下、
Nb:0.0200%以下、
W:0.4000%以下、
Zr:0.2000%以下、
Ca:0.0030%以下、
Te:0.0100%以下、
B:0.0050%以下、
Sn:0.0100%以下、
希土類元素:0.0070%以下、
Co:0.0100%以下、
Se:0.0100%以下、
Sb:0.0100%以下、
In:0.0100%以下、
Mo:0.20%以下、
Cu:0.20%以下、及び、
Ni:0.20%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
本実施形態の鋼材は、次の特徴1~特徴4を満たす。
(特徴1)
化学組成が、質量%で、C:0.20~0.50%、Si:0.01~0.80%、Mn:0.50~2.00%、P:0.030%以下、S:0.010~0.095%、Cr:0.01~1.30%、V:0.200超~0.300%、Bi:0.0051~0.1500%、N:0.0030~0.0200%、を含有し、残部はFe及び不純物、からなる。
(特徴2)
各元素含有量が特徴1の範囲内であることを前提として、式(1)を満たす。
0.80≦C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.50 (1)
(特徴3)
鋼材中において、円相当径が0.1~1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80~8000個/mm2である。
(特徴4)
鋼材中において、円相当径が10.0μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm2以下である。
以下、各特徴1~特徴4について説明する。
本実施形態の鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の硬さを高め、機械構造用部品の疲労強度を高める。C含有量が0.20%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、C含有量が0.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粒界にCが偏析する。この場合、粒界でのC濃度が高くなる。C濃度が高まれば、融点が低下する。そのため、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。
したがって、C含有量は0.20~0.50%である。
C含有量の好ましい下限は0.21%であり、さらに好ましくは0.22%であり、さらに好ましくは0.23%である。
C含有量の好ましい上限は0.49%であり、さらに好ましくは0.48%であり、さらに好ましくは0.47%である。
シリコン(Si)は、製鋼工程において鋼を脱酸する。Siはさらに、機械構造用部品の硬さを高め、機械構造用部品の疲労強度を高める。Si含有量が0.01%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、SiはCとの親和力が弱い。そのため、Si含有量が0.80%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、加熱時において、Cは、Siが固溶している粒内よりも、粒界に偏析しやすくなる。その結果、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。
したがって、Si含有量は0.01~0.80%である。Si含有量の好ましい下限は0.02%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.08%である。
Si含有量の好ましい上限は0.75%であり、さらに好ましくは0.70%であり、さらに好ましくは0.65%であり、さらに好ましくは0.60%である。
マンガン(Mn)は、製鋼工程において鋼を脱酸する。Mnはさらに、Cとの親和力が強い。そのため、加熱時において、CはMnが固溶している粒内に留まる。そのため、Cの粒界への偏析が抑制され、高周波焼入れ時の溶融割れの発生が抑制される。Mn含有量が0.50%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、Mn含有量が2.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の硬さが過剰に高まる。その結果、鋼材の被削性が低下する。
したがって、Mn含有量は0.50~2.00%である。
Mn含有量の好ましい下限は0.52%であり、さらに好ましくは0.55%であり、さらに好ましくは0.57%であり、さらに好ましくは0.60%である。
Mn含有量の好ましい上限は1.98%であり、さらに好ましくは1.95%であり、さらに好ましくは1.93%であり、さらに好ましくは1.90%である。
燐(P)は不純物である。Pは粒界に偏析する。そのため、Pは鋼材の融点を低下させる。そのため、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。
したがって、P含有量は0.030%以下である。
P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、P含有量の過剰な低減は製造コストを高める。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。
P含有量の好ましい上限は0.028%であり、さらに好ましくは0.026%であり、さらに好ましくは0.023%であり、さらに好ましくは0.020%である。
硫黄(S)は硫化物系介在物を形成し、鋼材の被削性を高める。S含有量が0.010%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、Sは鋼材の融点を低下させる。そのため、S含有量が0.095%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。
したがって、S含有量は0.010~0.095%である。
S含有量の好ましい下限は0.012%であり、さらに好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.018%であり、さらに好ましくは0.020%である。S含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.075%であり、さらに好ましくは0.070%である。
クロム(Cr)は、鋼材の焼入れ性を高める。そのため、機械構造用部品の内部硬さが高まる。その結果、機械構造用部品の疲労強度が高まる。Crはさらに、Cとの親和力が強い。そのため、加熱時において、CはCrが固溶している粒内に留まる。そのため、Cの粒界への偏析が抑制され、高周波焼入れ時の溶融割れの発生が抑制される。Crはさらに、Sと結合してCr硫化物を形成する。この場合、粗大なFeSの形成が抑制される。その結果、熱間加工時の鋼材の延性が向上し、熱間加工割れが抑制される。Cr含有量が0.01%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、Cr含有量が1.30%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の硬さが過剰に高まる。その結果、鋼材の被削性が低下する。
したがって、Cr含有量は0.01~1.30%である。
Cr含有量の好ましい下限は0.02%であり、さらに好ましくは0.04%であり、さらに好ましくは0.06%であり、さらに好ましくは0.08%である。
Cr含有量の好ましい上限は1.28%であり、さらに好ましくは1.26%であり、さらに好ましくは1.24%である。
バナジウム(V)は、機械構造用部品の製造工程中の熱間加工後の冷却過程で、V析出物として鋼材中のフェライト中に析出する。V析出物により、機械構造用部品の内部硬さが高まる。その結果、機械構造用部品の疲労強度が高まる。さらに、VはCと結合してγ粒内にCを固定する。そのため、Vは、高周波焼入れ時において、溶融割れの発生を抑制する。V含有量が0.200%以下であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、V含有量が0.300%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の硬さが過剰に高まる。その結果、鋼材の被削性が低下する。V含有量が0.300%を超えればさらに、上記効果が飽和し、製造コストが高くなる。
したがって、V含有量は、0.200超~0.300%である。
V含有量の好ましい下限は0.205%であり、さらに好ましくは0.210%であり、さらに好ましくは0.215%であり、さら好ましくは0.220%であり、さらに好ましくは0.225%であり、さらに好ましくは0.230%である。
V含有量の好ましい上限は0.295%であり、さらに好ましくは0.290%であり、さらに好ましくは0.285%である。
ビスマス(Bi)は、鋼材中で介在物(Bi粒子)を形成する。そのため、高周波焼入れ時の溶融割れが抑制される。Biはさらに、鋼材の被削性を高める。Bi含有量が0.0051%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、Bi含有量が0.1500%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大なBi粒子が生成する。粗大なBi粒子は、鋼材の製造工程中の熱間加工時、又は、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の製造工程中の熱間加工時において、割れの起点となりやすい。そのため、熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、Bi含有量は0.0051~0.1500%である。
Bi含有量の好ましい下限は0.0080%であり、さらに好ましくは0.0100%であり、さらに好ましくは0.0120%であり、さらに好ましくは0.0140%であり、さらに好ましくは0.0160%である。
Bi含有量の好ましい上限は0.1400%であり、さらに好ましくは0.1350%であり、さらに好ましくは0.1300%である。
窒素(N)は、機械構造用部品の製造工程中の熱間加工後の冷却過程で、窒化物及び/又は炭窒化物を形成して鋼材を析出強化する。その結果、機械構造用部品の疲労強度が高まる。N含有量が0.0030%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、N含有量が0.0200%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間加工性が低下する。
したがって、N含有量は0.0030~0.0200%である。
N含有量の好ましい下限は0.0032%であり、さらに好ましくは0.0034%であり、さらに好ましくは0.0036%である。
N含有量の好ましい上限は0.0190%であり、さらに好ましくは0.0170%であり、さらに好ましくは0.0150%であり、さらに好ましくは0.0130%であり、さらに好ましくは0.0100%である。
本実施形態の鋼材の化学組成はさらに、以下の第1群~第5群からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素である。
[第1群]
Al:0.060%以下
Mg:0.0100%以下
[第2群]
Ti:0.0200%以下
Nb:0.0200%以下
W:0.4000%以下
Zr:0.2000%以下
[第3群]
Ca:0.0030%以下
Te:0.0100%以下
B:0.0050%以下
Sn:0.0100%以下
希土類元素:0.0070%以下
[第4群]
Co:0.0100%以下
Se:0.0100%以下
Sb:0.0100%以下
In:0.0100%以下
[第5群]
Mo:0.20%以下
Cu:0.20%以下
Ni:0.20%以下
以下、これらの任意元素について説明する。
本実施形態の鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Al及びMgからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、鋼を脱酸する。
アルミニウム(Al)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Al含有量は0%であってもよい。
Alが含有される場合、Alは鋼を脱酸する。Alが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Al含有量が0.060%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Alは粗大な酸化物を形成する。粗大な酸化物は、機械構造用部品の疲労強度を低下する。
したがって、Al含有量は0~0.060%であり、含有される場合、Al含有量は0.060%以下である。
Al含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%であり、さらに好ましくは0.003%であり、さらに好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。
Al含有量の好ましい上限は0.055%であり、さらに好ましくは0.050%であり、さらに好ましくは0.045%である。
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mg含有量は0%であってもよい。
Mgが含有される場合、Mgは鋼を脱酸する。Mgが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Mg含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Mgは粗大な酸化物を形成する。粗大な酸化物は、機械構造用部品の疲労強度を低下する。
したがって、Mg含有量は0~0.0100%であり、含有される場合、Mg含有量は0.0100%以下である。
Mg含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%である。
Mg含有量の好ましい上限は0.0050%であり、さらに好ましくは0.0045%であり、さらに好ましくは0.0040%である。
本実施形態の鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Ti、Nb、W及びZrからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、析出物を形成して、機械構造用部品の靱性を高める。
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ti含有量は0%であってもよい。
Tiが含有される場合、Tiは、機械構造用部品の製造工程中の熱間加工工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Tiが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Ti含有量が0.0200%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が飽和する。さらに、製造コストが高くなる。
したがって、Ti含有量は0~0.0200%であり、含有される場合、Ti含有量は0.0200%以下である。
Ti含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0080%である。
Ti含有量の好ましい上限は0.0180%であり、さらに好ましくは0.0170%であり、さらに好ましくは0.0150%である。
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。
Nbが含有される場合、Nbは、機械構造用部品の製造工程中の熱間加工工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Nbが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Nb含有量が0.0200%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が飽和する。さらに、製造コストが高くなる。
したがって、Nb含有量は0~0.0200%であり、含有される場合、Nb含有量は0.0200%以下である。
Nb含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0080%である。
Nb含有量の好ましい上限は0.0180%であり、さらに好ましくは0.0170%であり、さらに好ましくは0.0150%である。
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、W含有量は0%であってもよい。
Wが含有される場合、Wは、機械構造用部品の製造工程中の熱間加工工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Wが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、W含有量が0.4000%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が飽和する。さらに、製造コストが高くなる。
したがって、W含有量は0~0.4000%であり、含有される場合、W含有量は0.4000%以下である。
W含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0500%である。
W含有量の好ましい上限は0.3500%であり、さらに好ましくは0.3000%であり、さらに好ましくは0.2000%である。
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Zr含有量は0%であってもよい。
Zrが含有される場合、Zrは、機械構造用部品の製造工程中の熱間加工工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Zrが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Zr含有量が0.2000%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が飽和する。さらに、製造コストが高くなる。
したがって、Zr含有量は0~0.2000%であり、含有される場合、Zr含有量は0.2000%以下である。
Zr含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0020%であり、さらに好ましくは0.0050%である。
Zr含有量の好ましい上限は0.1500%であり、さらに好ましくは0.1000%であり、さらに好ましくは0.0500%であり、さらに好ましくは0.0100%である。
本実施形態の鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Ca、Te、B、Sn及び希土類元素(REM)からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、鋼材の被削性を高める。
カルシウム(Ca)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ca含有量は0%であってもよい。
Caが含有される場合、Caは鋼材の被削性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Ca含有量が0.0030%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大酸化物を形成する。この場合、機械構造用部品の疲労強度が低下する。
したがって、Ca含有量は0~0.0030%であり、含有される場合、Ca含有量は0.0030%以下である。
Ca含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0015%である。
Ca含有量の好ましい上限は0.0025%であり、さらに好ましくは0.0023%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
テルル(Te)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Te含有量は0%であってもよい。
Teが含有される場合、Teは鋼材の被削性を高める。Teが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Te含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、Te含有量は0~0.0100%であり、含有される場合、Te含有量は0.0100%以下である。
Te含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
Te含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0085%であり、さらに好ましくは0.0080%である。
ボロン(B)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、B含有量は0%であってもよい。
Bが含有される場合、Bは鋼材の被削性を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、B含有量が0.0050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、B含有量は0~0.0050%であり、含有される場合、B含有量は0.0050%以下である。
B含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
B含有量の好ましい上限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0035%であり、さらに好ましくは0.0030%である。
スズ(Sn)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Sn含有量は0%であってもよい。
Snが含有される場合、Snは鋼材の被削性を高める。Snが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Sn含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、Sn含有量は0~0.0100%であり、含有される場合、Sn含有量は0.0100%以下である。
Sn含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
Sn含有量の好ましい上限は0.0095%であり、さらに好ましくは0.0090%であり、さらに好ましくは0.0085%であり、さらに好ましくは0.0080%である。
希土類元素(REM)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、REM含有量は0%であってもよい。
REMが含有される場合、REMは鋼材の被削性を高める。REMが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、REM含有量が0.0070%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、REM含有量は0~0.0070%であり、含有される場合、REM含有量は0.0070%以下である。
REM含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
REM含有量の好ましい上限は0.0065%であり、さらに好ましくは0.0060%であり、さらに好ましくは0.0055%である。
本実施形態の鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Co、Se、Sb及びInからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、鋼材の脱炭を抑制する。
コバルト(Co)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Co含有量は0%であってもよい。
Coが含有される場合、Coは、熱間加工時に鋼材の脱炭を抑制する。Coが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Co含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、Co含有量は0~0.0100%であり、含有される場合、Co含有量は0.0100%以下である。
Co含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
Co含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
セレン(Se)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Se含有量は0%であってもよい。
Seが含有される場合、Seは、熱間加工時に鋼材の脱炭を抑制する。Seが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Se含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、Se含有量は0~0.0100%であり、含有される場合、Se含有量は0.0100%以下である。
Se含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
Se含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
アンチモン(Sb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Sb含有量は0%であってもよい。
Sbが含有される場合、つまり、Sb含有量が0%超である場合、Sbは、熱間加工時に鋼材の脱炭を抑制する。Sbが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Sb含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、Sb含有量は0~0.0100%であり、含有される場合、Sb含有量は0.0100%以下である。
Sb含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
Sb含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
インジウム(In)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、In含有量は0%であってもよい。
Inが含有される場合、Inは、熱間加工時に鋼材の脱炭を抑制する。Inが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、In含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材に熱間加工割れが発生しやすくなる。
したがって、In含有量は0~0.0100%であり、含有される場合、In含有量は0.0100%以下である。
In含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
In含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
本実施形態の鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Mo、Cu及びNiからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、機械構造用部品の疲労強度を高める。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。
Moが含有される場合、Moは機械構造用部品の疲労強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Mo含有量が0.20%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の硬さが過剰に高まる。その結果、熱間加工性が低下する。
したがって、Mo含有量は0~0.20%であり、含有される場合、Mo含有量は0.20%以下である。
Mo含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。
Mo含有量の好ましい上限は0.19%であり、さらに好ましくは0.17%であり、さらに好ましくは0.15%である。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。
Cuが含有される場合、Cuは機械構造用部品の疲労強度を高める。Cuが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Cuは、Siと同様に、高周波焼入れ時における溶融割れの発生を促進する。そのため、Cu含有量が0.20%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。
したがって、Cu含有量は0~0.20%であり、含有される場合、Cu含有量は0.20%以下である。
Cu含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。
Cu含有量の好ましい上限は0.15%であり、さらに好ましくは0.13%であり、さらに好ましくは0.10%である。
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ni含有量は0%であってもよい。
Niが含有される場合、Niは機械構造用部品の疲労強度を高める。Niが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Niは、Si及びCuと同様に、高周波焼入れ時における溶融割れの発生を促進する。そのため、Ni含有量が0.20%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。
したがって、Ni含有量は0~0.20%であり、含有される場合、Ni含有量は0.20%以下である。
Ni含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。
Ni含有量の好ましい上限は0.15%であり、さらに好ましくは0.13%であり、さらに好ましくは0.10%である。
本実施形態の鋼材はさらに、各元素含有量が上記範囲内であることを前提として、つまり、特徴1を満たすことを前提として、式(1)を満たす。
0.80≦C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.50 (1)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。
したがって、fn1は0.80~1.50である。
fn1の好ましい下限は0.81であり、さらに好ましくは0.82であり、さらに好ましくは0.85である。
fn1の好ましい上限は1.48であり、さらに好ましくは1.45であり、さらに好ましくは1.43である。
本実施形態の鋼材では、各元素含有量が上記範囲内であり、かつ、式(1)を満たすことを前提として、円相当径が0.1~1.0μmの微細Bi粒子(以下、単に微細Bi粒子ともいう)の個数密度は80~8000個/mm2である。微細Bi粒子の個数密度が80~8000個/mm2であれば、高周波焼入れ時の溶融割れの発生が抑制される。
微細Bi粒子の個数密度の好ましい上限は7900個/mm2であり、さらに好ましくは6000個/mm2であり、さらに好ましくは3000個/mm2であり、さらに好ましくは1000個/mm2であり、さらに好ましくは900個/mm2であり、さらに好ましくは800個/mm2である。
本実施形態の鋼材において、円相当径が10.0μm以上のBi粒子である粗大Bi粒子(以下、単に粗大Bi粒子ともいう)の個数密度は10個/mm2以下である。粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm2以下であれば、鋼材の製造工程中の熱間加工時、又は、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間加工時の割れ(熱間加工割れ)を抑制することができる。熱間加工は例えば、熱間圧延、熱間鍛造等である。
したがって、本実施形態の鋼材では、円相当径が10.0μm以上の粗大Bi粒子の個数密度は10個/mm2以下である。
微細Bi粒子及び粗大Bi粒子の個数密度は、次の方法で測定できる。
鋼材(棒鋼)の軸方向(圧延方向)に対して垂直な断面のうち、R/2部を含む試験片を採取する。ここで、R/2部とは、鋼材の軸方向に垂直な断面における、半径Rの中央部を意味する。採取した試験片の表面のうち、上記鋼材の軸方向に対して垂直な断面に相当する表面を観察面とする。
観察面を鏡面研磨する。走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、1000倍の倍率で、鏡面研磨後の観察面のR/2部を20視野観察する。各視野の面積を100μm×120μmとする。
以上のとおり、本実施形態の鋼材は特徴1~特徴4を満たす。そのため、本実施形態の鋼材では、被削性に優れ、熱間加工時の割れ及び高周波焼入れ時の溶融割れを抑制でき、機械構造用部品とした場合に優れた疲労強度を有する。以下、これらの効果について説明する。
本実施形態の鋼材は、例えば、機械構造用部品の素材として広く適用可能である。本実施形態の鋼材は特に、機械構造用部品の製造工程において、高周波焼入れを実施する場合に、好適である。ただし、高周波焼入れを実施しない場合であっても、本実施形態の鋼材は、機械構造用部品の素材として適用可能である。
本実施形態の鋼材の製造方法の一例は次のとおりである。本実施形態の鋼材の製造方法は、精錬工程と、鋳造工程と、熱間加工工程とを備える。熱間加工工程は任意の工程であり、実施しなくてもよい。以下、各工程について説明する。
(工程1)精錬工程
(工程2)鋳造工程
(工程3)熱間加工工程
以下、各工程について説明する。
精錬工程では、上述の特徴1及び特徴2を満たす化学組成を有する溶鋼を製造する。精錬工程は、一次精錬工程と二次精錬工程とを含む。
一次精錬工程では、周知の方法で製造された溶銑に対して、転炉での精錬を実施する。二次精錬工程では、溶鋼に対して合金元素を添加して、溶鋼の化学組成が、特徴1及び特徴2を満たすようにする。具体的には、二次精錬工程では、周知の精錬方法で溶鋼を攪拌しながら、Bi以外の溶鋼の成分調整を実施する。その後、溶鋼を攪拌しながら、ワイヤーにより溶鋼にBiを添加し、Biの成分調整を行う。
(条件)
溶鋼にBiを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間Tを15分超~60分未満とする。
Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間が15分以下の場合、溶鋼中でBiが十分に拡散しない。この場合、鋼材中に粗大Bi粒子が過剰に多く生成する。
Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間が60分以上の場合、微細Bi粒子同士が凝集しやすくなる。そのため、微細Bi粒子の個数密度が減少する。
二次精錬工程で、Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間が15分超であれば、溶鋼中でBiが十分に拡散する。そのため、鋼材中に微細Bi粒子が十分に生成する。さらに、二次精錬工程で、Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間が60分未満であれば、微細Bi粒子同士の凝集を十分に抑制できる。そのため、微細Bi粒子の個数密度が80個/mm2以上となり、粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm2以下になる。
鋳造工程では、溶鋼を用いて、周知の鋳造方法により鋳片(スラブ又はブルーム)又は鋼塊(インゴット)を製造する。鋳造方法は例えば、連続鋳造法や造塊法である。
熱間加工工程は、任意の工程である。つまり、熱間加工工程は実施してもよいし、実施しなくてもよい。
熱間加工工程を実施する場合、熱間加工工程では、上記鋳造工程で製造された鋳片又は鋼塊に対して、熱間加工を実施して、本実施形態の鋼材を製造する。本実施形態の鋼材は例えば、棒鋼である。熱間加工工程は例えば、熱間圧延であってもよく、熱間鍛造であってもよい。
熱間加工工程において熱間圧延を実施する場合、例えば、粗圧延工程のみであってもよいし、粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とを実施してもよい。粗圧延工程は例えば、分塊圧延である。仕上げ圧延工程は例えば、連続圧延機を用いた仕上げ圧延である。連続圧延機では例えば、一対の水平ロールを有する水平スタンドと、一対の垂直ロールを有する垂直スタンドとが交互に一列に配列される。粗圧延工程及び仕上げ圧延工程での加熱温度は例えば、1000~1300℃である。
上述のとおり、本実施形態の鋼材は、機械構造用部品の素材となる。機械構造用部品は例えば、自動車用途の部品である。機械構造用部品は例えば、足回り部品、車軸、クランクシャフト等である。
例えば、本実施形態で規定されたMo含有量は小数第二位までの数値で規定されている。したがって、表2中の試験番号1では、測定されたMo含有量が、小数第三位で四捨五入した場合に、0%であったことを意味する。
また、本実施形態で規定されたMg含有量は小数第四位までの数値で規定されている。したがって、表1中の試験番号1では、測定されたMg含有量が、小数第五位で四捨五入した場合に、0%であったことを意味する。
なお、四捨五入とは、規定された最小桁の下の桁(端数)が5未満であれば切り捨て、5以上であれば切り上げることを意味する。
鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程における熱間鍛造を模擬する熱処理を実施した。具体的には、鋼材を1100℃に加熱して30分保持した。その後、鋼材を大気中で放冷し、模擬機械構造用部品の中間品を製造した。各試験番号の模擬機械構造用部品の中間品は、直径80mmの鋼材(棒鋼)であった。
各試験番号の鋼材及び各試験番号の模擬機械構造用部品の中間品に対して、次の評価試験を実施した。
(試験1)熱間加工割れ評価試験
(試験2)微細Bi粒子及び粗大Bi粒子の個数密度測定
(試験3)溶融割れ評価試験
(試験4)被削性試験(ドリル寿命試験)
(試験5)疲労強度評価試験(回転曲げ疲労試験)
以下、試験1~試験5について説明する。
製造された鋼材の表面を目視で観察した。目視での観察の結果、鋼材の表面において鋼材の軸方向(圧延方向)に1m当たりで3箇所以上の明確な割れが観察されなかった場合、熱間加工割れが十分に抑制されたと判断した(表5及び表6中の「熱間加工割れ」欄で「E」(Excellent)で表記)。
一方、目視での観察の結果、鋼材の表面において鋼材の軸方向(圧延方向)に1m当たりで3箇所以上の明確な割れが観察された場合、熱間加工割れが十分に抑制できなかったと判断した(表5及び表6中の「熱間加工割れ」欄で「NA」(Not Accepted)で表記)。
なお、熱間加工割れ評価試験で熱間加工割れが十分に抑制できなかった場合、試験3~試験5を実施しなかった(表5及び表6の「溶融割れ」欄、「被削性」欄、及び、「疲労強度」欄で「-」で表記)。
上述の[微細Bi粒子及び粗大Bi粒子の個数密度の測定方法]に記載の方法に基づいて、各試験番号の鋼材の微細Bi粒子の個数密度(個/mm2)、及び、粗大Bi粒子の個数密度(個/mm2)を求めた。なお、熱間鍛造を模擬した熱処理を実施する前の鋼材(棒鋼)から試験片を採取した。得られた微細Bi粒子の個数密度の結果を表5及び表6の「微細Bi粒子個数密度(個/mm2)」欄に示す。得られた粗大Bi粒子の個数密度の結果を表5及び表6の「粗大Bi粒子個数密度(個/mm2)」欄に示す。
各試験番号の模擬機械構造用部品の中間品の軸方向(圧延方向)に対して垂直な断面のR/2部を含む、幅10mm、厚さ3mm、長さ10mmの試験片を採取した。試験片の長手方向は、模擬機械構造用部品の中間品の軸方向(圧延方向)と平行であった。また、試験片の長手方向に平行な中心軸が、R/2部と一致した。
各試験番号の模擬機械構造用部品の中間品から被削性評価用試験片を採取した。具体的には、直径80mmの模擬機械構造用部品の中間品の長手方向に対して垂直な断面のうち、鋼材の外表面から21mmの深さ位置の箇所に対して、ドリル穿孔を実施した。株式会社不二越製 型番SD3.0のドリルを使用し、1回転当たりの送り量を0.25mm/revとした。また、1穴の穿孔深さを9mmとした。穿孔中、穿孔箇所に対して、潤滑剤として水溶性の切削油を継続して供給した。
上記条件でドリル穿孔を行い、鋼材の被削性を評価した。評価指標として、最大切削速度VL1000(m/分)を用いた。最大切削速度VL1000とは、1000mm長の穴開けが可能なドリルの最速の切削速度を意味する。
最大切削速度VL1000が15m/分以上の場合、優れた被削性が得られたと判断した(表5及び表6中の「被削性」欄で「E」で表記)。一方、最大切削速度VL1000が15m/分未満の場合、優れた被削性が得られなかったと判断した(表5及び表6中の「被削性」欄で「NA」で表記)。
製造された模擬機械構造用部品の中間品から、回転曲げ疲労試験片を採取した。図3は各模擬機械構造用部品の中間品から採取した回転曲げ疲労試験片の側面図である。図3中の「φ」の数値は、その部位での直径(mm)を意味する。
表1~表6を参照して、試験番号1~43の鋼材は、特徴1~特徴4を満たした。そのため、熱間加工割れが十分に抑制され、溶融割れが十分に抑制された。さらに、被削性評価試験において、最大切削速度VL1000が15m/分以上であり、優れた被削性が得られた。さらに、疲労強度評価試験において、疲労強度は550MPa以上であり、優れた疲労強度が得られた。
Claims (2)
- 機械構造用部品の素材となる鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.20~0.50%、
Si:0.01~0.80%、
Mn:0.50~2.00%、
P:0.030%以下、
S:0.010~0.095%、
Cr:0.01~1.30%、
V:0.200超~0.300%、
Bi:0.0051~0.1500%、
N:0.0030~0.0200%、を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、
式(1)を満たし、
前記鋼材中において、
円相当径が0.1~1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80~8000個/mm2であり、
円相当径が10.0μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm2以下である、
鋼材。
0.80≦C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.50 (1)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。 - 請求項1に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、Feの一部に代えて、
Al:0.060%以下、
Mg:0.0100%以下、
Ti:0.0200%以下、
Nb:0.0200%以下、
W:0.4000%以下、
Zr:0.2000%以下、
Ca:0.0030%以下、
Te:0.0100%以下、
B:0.0050%以下、
Sn:0.0100%以下、
希土類元素:0.0070%以下、
Co:0.0100%以下、
Se:0.0100%以下、
Sb:0.0100%以下、
In:0.0100%以下、
Mo:0.20%以下、
Cu:0.20%以下、及び、
Ni:0.20%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
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