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JP7685705B2 - 評価方法、及び、評価システム - Google Patents
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JP7685705B2 - 評価方法、及び、評価システム - Google Patents

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Description

本発明は、評価方法、及び、評価システムに関する。
特許文献1には、対象人物の心理状態を精度よく評価することができる心理状態評価装置が開示されている。また、特許文献2には、冷暖房感の改善効果をより向上できる空気調和機が開示されている。
特許第5828111号公報 特許第4986670号公報
本発明は、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる評価方法等を提供する。
本発明の一態様に係る評価方法は、対象者に第1の刺激を与える第1刺激ステップと、前記第1の刺激が与えられた前記対象者の第1の主観評価の結果を取得する第1取得ステップと、前記対象者に第2の刺激を与える第2刺激ステップと、前記第2の刺激が与えられた前記対象者の第2の主観評価の結果を取得する第2取得ステップと、前記対象者に前記第1の刺激及び前記第2の刺激の複合刺激を与える第3刺激ステップと、前記複合刺激が与えられた前記対象者の第3の主観評価の結果を取得する第3取得ステップと、前記第1の主観評価の結果を示す第1ベクトル、前記第2の主観評価の結果を示す第2ベクトル、並びに、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの合成ベクトルの少なくとも1つと、前記第3の主観評価の結果を示す第3ベクトルとの比較に基づいて、前記複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行う評価ステップと、前記評価の結果を出力する出力ステップとを含む。
本発明の一態様に係る評価システムは、対象者に、第1の刺激、第2の刺激、並びに、前記第1の刺激及び前記第2の刺激の複合刺激を与える刺激制御部と、前記第1の刺激が与えられた前記対象者の第1の主観評価の結果、前記第2の刺激が与えられた前記対象者の第2の主観評価の結果、及び、前記複合刺激が与えられた前記対象者の第3の主観評価の結果を取得する取得部と、前記第1の主観評価の結果を示す第1ベクトル、前記第2の主観評価の結果を示す第2ベクトル、並びに、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの合成ベクトルの少なくとも1つと、前記第3の主観評価の結果を示す第3ベクトルとの比較に基づいて、前記複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行う評価部と、前記評価の結果を出力する出力部を備える。
本発明の評価方法等は、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる。
図1は、実施の形態に係る評価システムの機能構成を示すブロック図である。 図2は、実施の形態に係る評価システムの動作例のフローチャートである。 図3は、主観評価用の表示画面の一例を示す図である。 図4は、評価処理のフローチャートである。 図5は、感性マップの一例を示す図である。 図6は、感性マップ上に表示された、第1ベクトル、第2ベクトル、第3ベクトル、及び、合成ベクトルの第1の例を示す図である。 図7は、感性マップ上に表示された、第1ベクトル、第2ベクトル、第3ベクトル、及び、合成ベクトルの第2の例を示す図である。 図8は、感性マップ上に表示された、第1ベクトル、第2ベクトル、第3ベクトル、及び、合成ベクトルの第3の例を示す図である。
(本発明の基礎となった知見)
労働人口の減少、及び、働き方改革などにより従業員の生産性向上が課題となっている。生産性向上には、従業員のモチベーションアップ、及び、オフィス空間の改善も重要な要素である。居心地の良いオフィス空間はストレスの抑制、健康の維持、及び、モチベーションの維持に役立ち、それらが生産性の向上につながっていると考えられる。
一方で、居心地の良い空間を作るためには、空調装置で温度管理を行い、照明装置で作業に必要な明るさを確保するだけでは足りない。環境に影響を与える要素は空調装置に関する要素だけでも多数ある。良い空間を作るためには、聴覚、触覚、嗅覚なども含めて従業員への五感刺激をトータルに制御する必要がある。
総務省の健康経営オフィスレポート(2015)では快適性の要因として、触感、空気質、光、音、香りが挙げられ、WELL認証でもバイオフィリアの採用により疲労回復のスピードを早めるといった項目が定められている。このような快適環境に関して、温熱及び光の快適性については、半屋外では理論上の快適範囲を逸脱しても快適性が下がらない(許容範囲が広くなる)という研究結果がある。
また、複合刺激を活用することで豊かな体験を提供するような技術も知られている。例えば、映画に合わせて振動する座席、香りまたは照明の色などを使って会議を盛り上げる、味覚、嗅覚、及び、視覚などの組み合わせにより、同じ食品でも異なるバリエーションを感じさせたり特定の味を強く感じさせたりする、などの技術が知られている。このような技術は、特にVR(Virtual Reality)分野においてよく利用されている。
これらの技術及び知見を用いて、快適な(生産性の高い)オフィス空間が作られつつある。しかし、作られたオフィス空間を評価するために複合刺激を手軽に評価する評価方法は提案されていない。単独刺激に対して物理値の測定または主観評価を行うこと、及び、複合刺激の環境下で従業員の気分評価、タスクパフォーマンス、及び、疲労度などの測定を行うなどが主流である。これらの評価方法においては、環境の良さ、各刺激の効果、刺激の相互作用などは計測されておらず、居心地の良いオフィス空間を作るためにどのように環境制御を行えばよいのかを把握することは難しい。
以下、このような知見に基づく実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る評価システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る評価システムの機能構成を示すブロック図である。実施の形態に係る評価システム10は、評価対象物に対するユーザの印象を評価するシステムである。評価システム10による評価結果は、評価対象物の設計に活用することができる。評価対象物は、例えば、オフィスなどの室内空間であるが、空間以外であってもよい。なお、以下では評価システム10を利用して評価を行う者を評価者と記載し、刺激の提示を受けて主観評価を行う者を対象者と記載する。
評価システム10は、空間に位置する対象者に五感刺激を与えたときの当該対象者の空間に対する主観評価の結果を取得する。つまり、評価システム10は、五感刺激によって得られる効果を空間の良さとして取得する。これにより、評価システム10は、異なる五感刺激が対象者に提示される場合であっても、空間を評価するという共通の尺度で評価を行うことができ、対象者に対する生理計測などを必要としない簡単な評価が実現される。
評価システム10は、具体的には、複数種類の刺激のそれぞれを個別に与えたときの対象者の空間に対する主観評価の結果、及び、複数種類の刺激を同時に与えたときの対象者の空間に対する主観評価の結果に基づいて、複数種類の刺激を同時に与えたときに相乗効果が得られるかを評価することができる。ここでの相乗効果は、例えば、クロスモーダル効果(相互作用効果)である。
空間は多数の構成要素を有し、例えば、視覚を通じて認識できる構成要素には、天井、壁、床、家具、照明装置などの、色(照明装置の場合、発光色)、形状、材質、大きさなどが含まれる。床の色が同じであっても当該床に置く家具を変えると雰囲気が変わるといった事例があり、視覚を通じて認識できる構成要素が快適性に与える影響は少なくはない。
クロスモーダル効果は、すでにVR技術等に応用されている。例えば、臨場感の向上効果などが実例として挙げられる。実空間においてもクロスモーダル効果が得られると考えられるが、空間内の構成要素をどのように組み合わせればクロスモーダル効果が得られるかについては検討が必要である。上述のように空間の構成要素は多岐にわたるため、良い効果が得られるまで詳細な評価を繰り返すことは現実には難しい。
評価システム10は、評価者が効率よくクロスモーダル効果を探索するために、評価者の分析・比較を支援することができる。以下このような評価システム10の具体的な構成について説明する。図1に示されるように、評価システム10は、刺激提示部20と、受付部30と、表示部40と、情報処理部50と、記憶部60とを備える。
まず、刺激提示部20について説明する。刺激提示部20は、空間に位置する対象者に五感刺激を提示する(以下では、単に「刺激を与える」とも記載される)。刺激提示部20は、視覚刺激提示部21、聴覚刺激提示部22、触覚刺激提示部23、温冷覚刺激提示部24、及び、嗅覚刺激提示部25を有する。つまり、ここでの五感刺激には、視覚刺激、聴覚刺激、触覚刺激、温冷覚刺激、及び、嗅覚刺激が含まれる。なお、刺激提示部20にこのような5種類の刺激提示部の全てが含まれることは必須ではなく、5種類のうち一部の刺激提示部が省略されてもよい。
視覚刺激提示部21は、対象者に視覚刺激を提示する装置である。視覚刺激提示部21は、具体的には、照明装置などの光を発する装置である。
聴覚刺激提示部22は、対象者に聴覚刺激を提示する装置である。聴覚刺激提示部22は、具体的には、スピーカ装置などの音を発する装置である。
触覚刺激提示部23は、対象者に触覚刺激を提示する装置である。触覚刺激提示部23は、具体的には、サーキュレータまたは扇風機などの気流を発生する装置である。
温冷覚刺激提示部24は、対象者に温冷覚刺激を提示する装置である。温冷覚刺激提示部24は、具体的には、空調装置などの温度を調整する装置である。
嗅覚刺激提示部25は、対象者に嗅覚刺激を提示する装置である。嗅覚刺激提示部25は、具体的には、アロマディフューザなどの香りを発生する装置である。
なお、刺激提示部20は、便宜上、視覚刺激提示部21、聴覚刺激提示部22、触覚刺激提示部23、温冷覚刺激提示部24、及び、嗅覚刺激提示部25の5つに分類されているが、このような分類の仕方は厳密なものではない。例えば、サーキュレータまたは扇風機などの装置は、触覚刺激提示部23の一例として説明されたが、温冷覚刺激提示部24として使用される場合もある。
受付部30は、評価者または評価の対象者(以下、対象者等とも記載される)の入力を受け付ける。受付部30は、例えば、評価者から、刺激提示部20を動作させるための入力(刺激(刺激提示部)の種類、及び、提示方法などを指示する入力)、及び、過去の評価結果の表示を指示する入力などを評価者から受け付ける。また、受付部30は、五感刺激の提示を受けた対象者から、五感刺激の提示を受けたときの空間に対する主観評価の結果を示す入力を受け付ける。また、受付部30は、必要に応じて対象者の属性情報の入力を対象者または評価者から受け付けてもよい。受付部30は、例えば、キーボード、マウス、または、タッチパネルなどによって実現される。
表示部40は、対象者等に必要な情報、対象者等の操作の結果をユーザに通知するために必要な情報、及び、評価結果等を表示する。表示部40は、液晶パネルまたは有機ELパネルなどの表示パネルによって実現される。
情報処理部50は、刺激提示部20の制御に関する情報処理、及び、複数種類の刺激によって相乗効果が得られるかの評価に関する情報処理などを行う。情報処理部50は、例えば、マイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。情報処理部50は、機能的な構成要素として、刺激制御部51、取得部52、評価部53、及び、出力部54を有する。これらの構成要素の機能は、例えば、情報処理部50を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサが記憶部60に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。刺激制御部51、取得部52、評価部53、及び、出力部54の詳細な機能については後述する。
記憶部60は、情報処理部50が実行するコンピュータプログラム、及び、複数種類の刺激によって相乗効果が得られるかの評価に必要な情報が記憶される記憶装置である。この情報は、例えば、感性マップ、評価計算用のパラメータ類、必要なリスト、評価結果のデータ類、及び、表示部40に表示する画面のデータなどである。なお、感性マップは、空間の価値(感性語で表される)と刺激の評価結果とを対応付けた情報である。記憶部60は、半導体メモリまたはHDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。
なお、図1では図示されないが、空間内には対象者が座る座席が設けられる。座席は、評価の位置条件を揃えるために設けられ、対象者はこの座席に座った状態で刺激提示部20から刺激の提示を受ける。評価の際に対象者が頻繁に移動することを抑制するために、受付部30及び表示部40は、例えば、上記座席のすぐ近くの机に据え付けられるが、受付部30及び表示部40は移動可能なデバイス(タブレット端末など)として実現されてもよい。また、上記の座席は、刺激提示部20と対象者との距離を変更して固定できる構成であってもよい。評価システム10は、このような座席を構成要素として備えてもよい。
以上説明した評価システム10は、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。例えば、評価システム10は、刺激提示部20、受付部30、表示部40、情報処理部50、及び、記憶部60を備える単一の評価装置として実現されてもよい。また、評価システム10は、受付部30、表示部40、情報処理部50、及び、記憶部60を備える情報端末として実現されてもよく、このような情報端末は、具体的には、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末などである。
また、評価システム10が複数の装置によって実現される場合、各構成要素は、WEB上にどのように配置されてもよい。例えば、評価システム10は、刺激提示部20、受付部30、及び、表示部40が空間の近辺に設置され、情報処理部50及び記憶部60がクラウドサーバとして設置されたクライアントサーバシステムとして実現されてもよい。
なお、評価システム10が複数の装置によって実現される場合、複数の構成要素(特に機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように分配されてもよい。例えば、上記のように評価システム10がクライアントサーバシステムとして実現される場合には、情報処理部50の一部または全部の機能をクラウドサーバ以外の装置が備えてもよい。
[動作例]
次に、評価システム10の動作例について説明する。図2は、評価システム10の動作例のフローチャートである。
まず、受付部30は、設定情報の入力を評価者から受け付ける(S10)。設定情報は、後述の第1の刺激及び第2の刺激のそれぞれをどのような態様で対象者に提示するかを示す情報であり、記憶部60に記憶される。記憶部60に記憶された設定情報の内容は、設定が変更されるごとに更新される。
設定情報において設定されるパラメータは、刺激の種類に応じて異なる。例えば、嗅覚刺激(香り)の場合には、香りの種類、濃度、噴霧パターン(噴霧する時間、噴霧が停止される時間、及び、噴霧する際の噴霧量など)といったパラメータが設定される。
触覚刺激(気流)の場合には、風速、風向、風速及び風向きのパターン、気流の発生する範囲などが設定される。気流の発生する範囲は、具体的には、気流が比較的広い範囲に発生するのか、ピンポイントの狭い範囲に発生するのかなどである。視覚刺激(光)の場合には、明るさ、光色、明るさ及び光色のパターン、光の分布、及び、配光特性などが設定される。明るさ及び光色のパターンには、具体的には、徐々に明るさが変わる、徐々に光色が変わる、及び、日光のように翳ったりするなどの各種パターンが含まれる。光の分布とは、具体的には、光が照射される位置及び高さなどである。
刺激の変化のパターンについては、定常(変化なし)、周期変動、及び、不規則変動などが考えられる。刺激が周期変動する場合、刺激のオン及びオフが時間ごとに切り替わってもよいし、刺激は常時オンだが強度などが周期的に変化してもよいし、これらの両方が組み合わされてもよい。刺激が不規則変動する場合も同様に、非周期的に刺激がオンになってもよいし、刺激は常時オンだが強度などが非周期的に変化してもよい。
なお、詳細を全て評価者が設定することは煩雑であるため、刺激の種類ごとにいくつかのパターンがあらかじめ選択肢として用意されていてもよい。また、設定値の範囲についても、例えば、強、中、弱などの選択肢(例えば、香りの濃度なら濃い、中ぐらい、薄いなど)があらかじめ用意されていてもよい。第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせについてもあらかじめ選択肢(照明と香り、気流と照明、気流と温度など)が用意されていてもよい。これらのパターンの選択肢、設定値の選択肢、及び、組み合わせの選択肢はあらかじめ記憶部60に記憶され必要に応じて読み出される。
次に、刺激制御部51は、記憶部60に記憶された設定情報に基づいて、空間に位置する(上記の座席に座っている)対象者に、第1の刺激を与える(S11)。刺激制御部51は、具体的には、設定情報に基づく制御信号を刺激提示部20に送信することにより、対象者に第1の刺激を与える。刺激提示部20は、制御信号を受信すると即座に第1の刺激の提示を開始してもよいし、制御信号を受信した後、受付部30によって制御開始を指示する入力が受け付けられたことをトリガとして第1の刺激の提示を開始してもよい。
なお、刺激の提示時間は、刺激の種類、目的、及び、用途などに応じて異なる。このため、刺激の提示中には、表示部40には、刺激を提示中である旨(対象者が刺激を体感すべき時間である旨)を対象者に通知するための表示画面が表示されてもよい。
次に、対象者は、第1の刺激が与えられたときの空間に対する第1の主観評価を行う。受付部30は、第1の主観評価を示す入力を対象者から受け付け、取得部52は、受付部30を介して対象者の第1の主観評価の結果を取得する(S12)。なお、第1の主観評価は第1の刺激の提示中に行われてもよい。このとき表示部40には、図3のような主観評価用の表示画面が表示される。図3は、主観評価用の表示画面の一例を示す図である。
図3に示されるように、対象者は、空間の印象を示す感性語、または、空間内での自分の気分などを示す感性語(例えば、さわやかな、くつろげるなど)などを含む複数の感性語に対して、どの程度当てはまるかを選択する。
通常、刺激を評価する場合には当該刺激に合わせた感性語が用いられるが、複数種類の刺激を複合的に評価する場合には、刺激に合わせた感性語が用いられると感性語が共通しないために複合的な評価ができなくなる可能性がある。例えば、味覚と嗅覚の複合的な評価であれば甘い、香ばしいなどの共通の感性語を使用することができるが、嗅覚と聴覚の複合的な評価においては共通の感性語を見つけるのは困難である。そこで、評価システム10においては、対象者は、刺激がどのようなものであっても空間に対して主観評価を行い、感性語としては空間を対象としたワードが採用される。
なお、人の気分や状態(リラックスした、緊張した、眠いなど)を示す感性語は、刺激に依存しない共通指標として使用できるため、このような感性語のみを使用して評価を行うことも可能である。この場合は、人の気分や状態に関する複数の感性語を評価する必要がある。評価に使用される感性語には、空間自体の印象または性質を示す感性語も含めておくことが望ましい。
感性語に対しては、一般的には、5段階または7段階などの段階評価が行われる。段階数は特に限定されない。対象者は、0~100点の範囲で点数付けを行ってもよい。評価に用いられる感性語の数が多いほど、様々な空間価値を評価することができる。しかしながら、感性語の数が多すぎると評価が煩雑になる。逆に、感性語の数が少なすぎると的確な評価ができなくなってしまう。
例えば、「快適な」という感性語だけが使用される場合、全く異なる刺激を与えたときに同程度の快適性を感じられる空間については、同程度に快適という情報しか得ることができない。これに対し、さわやかさ、くつろげる、開放感がある…と複数の感性語を使用して評価が行われれば、片方の空間はさわやかで快適、もう片方の部屋は開放感があり快適、という差異を見出すことができる。
また、クロスモーダル効果については、必ずしも元の刺激と同じ効果が得られるとは限らない(例えば、白ワインの味+赤い色→赤ワインの味に変わる、など)。このため、クロスモーダル効果のメカニズムの把握、及び、空間への応用にあたっては、どのような効果が得られるのかを把握するためにも、網羅的な感性評価が必要である。
このため、感性語の数は、空間価値を網羅でき、重複がない最小限の数にする必要がある。感性語を具体的にどのように選定するかについては様々な研究結果が知られている。感性語は、このような研究結果等に基づいて適宜選定されればよい。例えば、図3に示されるように感性語を6つ用いて評価をする場合には、それぞれの感性語に対して評価値が与えられ、1つの刺激に対して6次元の評価値ベクトルが入力されることになる。なお、感性語の数は6つに限定されず、例えば、3つ以上などであればよい。
次に、刺激制御部51は、記憶部60に記憶された設定情報に基づいて、空間に位置する(上記の座席に座っている)対象者に、第2の刺激を与える(S13)。ステップS13の処理は、第1の刺激が第2の刺激に変更された点を除けばステップS11と同様である。なお、第2の刺激は、例えば、第1の刺激とは異なる五感刺激である。つまり、第1の刺激が五感刺激のうちの1つに相当する刺激である場合、第2の刺激は、五感刺激のうちの他の1つに相当する刺激である。しかしながら、第2の刺激は、第1の刺激と同種の五感刺激であってもよい。
次に、対象者は、第2の刺激が与えられたときの空間に対する第2の主観評価を行う。受付部30は、第2の主観評価を示す入力を対象者から受け付け、取得部52は、受付部30を介して対象者の第2の主観評価の結果を取得する(S14)。ステップS14の処理は、第1の主観評価が第2の主観評価に変更された点を除けばステップS12と同様である。
次に、刺激制御部51は、対象者に第1の刺激と第2の刺激の複合刺激を与える(S15)。つまり、刺激制御部51は、第1の刺激と第2の刺激を同時に並行して対象者に与える。ステップS15の処理は、第1の刺激が第2の刺激とともに与えられる点を除けばステップS11と同様である。
次に、対象者は、複合刺激が与えられたときの空間に対する第3の主観評価を行う。受付部30は、第3の主観評価を示す入力を対象者から受け付け、取得部52は、受付部30を介して対象者の第3の主観評価の結果を取得する(S16)。ステップS16の処理は、第1の主観評価が第3の主観評価に変更された点を除けばステップS12と同様である。
次に、評価部53は、第1の主観評価の結果、第2の主観評価の結果、及び、第3の主観評価の結果に基づいて、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行い(S17)、出力部54は、評価の結果を出力する(S18)。ステップS17及びステップS18の詳細については後述する。
なお、上記動作例では、第1の刺激、第2の刺激、及び、複合刺激がこの順で提示されたが、刺激の提示順序は、任意に変更されてもよいし、ランダムに変更されてもよい。ただし、刺激によっては順応が発生するため、1つの刺激の提示が終了してから次の刺激の提示を開始するまでの間に、順応をリセットするための停止時間が必要となる。刺激制御部51は、このような停止時間を自動的に設ける制御を行ってもよいし、評価者が停止時間を設定してもよい(上記設定情報において設定されるパラメータに停止時間が含まれてもよい)。上述のように第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせの選択肢が設けられる場合には、第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせに対して停止時間があらかじめ定められていてもよい。
なお、刺激によって順応時間は異なる。視覚刺激(光)が提示される場合、明順応は数十秒、暗順応は完全な順応には数十分が必要となる。温冷覚刺激(温度)が提示される場合、短期的には十分~数十分程度で順応するが、季節順応のように1~2週間が必要なものもある。嗅覚刺激(香り)は数分で順応が解消する。
また、刺激制御部51は、刺激への順応をリセットするような別の刺激を提示してもよい。例えば、嗅覚刺激(香り)をリセットするために、コーヒー豆の香り(他の香りと似ていないため、前の刺激の影響をリセットした上で次の刺激にも影響しない香り)を嗅ぐ、ということが行われている。刺激制御部51は、このようなリセット用の刺激を提示してもよい。刺激制御部51は、このようなリセット用の刺激を自動的に提示してもよいし、評価者がリセット用の刺激を設定してもよい(上記設定情報において設定されるパラメータにリセット用の刺激に関するパラメータが含まれてもよい)。上述のように第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせの選択肢が設けられる場合には、第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせに対して、リセット用の刺激があらかじめ定められていてもよい。
なお、視覚刺激(光)は一瞬で消滅させられるが、嗅覚刺激(香り)及び温冷覚刺激(温度変化)などは、提示した刺激を除去するための処理(脱臭剤の噴霧、冷房の場合に暖房して温度を戻す、換気など)が必要なものもある。刺激制御部51は、刺激を除去するための処理を行ってもよい。刺激制御部51は、このような刺激を除去するための処理を自動的に行ってもよいし、評価者が刺激を除去するための処理を設定してもよい(上記設定情報において設定されるパラメータに刺激を除去するための処理に関するパラメータが含まれてもよい)。上述のように第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせの選択肢が設けられる場合には、第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせに対して、刺激を除去するための処理があらかじめ定められていてもよい。
[評価処理]
次に、ステップS17の評価処理について具体的に説明する。図4は、評価処理のフローチャートである。
まず、評価部53は、ステップS12、ステップS14、及び、ステップS16において得られた6次元の評価値ベクトルを2次元のベクトルに次元圧縮する(S17a)。評価部53は、評価値ベクトルを3次元のベクトルに圧縮してもよいし、評価値ベクトルの次元数によっては4次元以上に圧縮してもよい(10次元の評価値ベクトルを4次元に圧縮など)。
評価部53は、具体的には、因子分析(感性語の背景にある本質的な評価軸で圧縮)、または、主成分分析(感性語を統合した評価軸で圧縮)などを用いて評価値ベクトルの次元を削減する。
例えば、因子分析では、各感性語に対して与えられる因子の重み(重みパラメータ)を用いて、因子得点(因子空間内の座標値=因子空間におけるベクトル)を得ることができる。なお、この重みパラメータを因子分析または主成分分析から得るためには一定量のデータが必要であり、これについては、あらかじめ多数の評価値データを蓄積し、因子分析または主成分分析を行っておく必要がある。重みパラメータの計算に用いる評価値データは必ずしも複合刺激の提示に基づく評価値データでなくてもよいが、単独の刺激が提示された場合、刺激が提示されない場合、及び、複合刺激が提示された場合などの様々な条件下で評価値データが得られていることが望ましい。
次元圧縮に必要なのは、重みパラメータと、評価値に正規化または標準化を行うためのパラメータとである。評価部53は、一度因子分析の計算を行えば、これらのパラメータと計算式とを記憶部60に記憶しておけばよい。評価部53は、定期的に低次元空間を見直す場合、重みパラメータの計算に用いた元の評価値データを残しておき、新たに得られた評価値データを統合した上で再度計算を行うことも可能である。この場合、重みパラメータなどは計算結果にしたがって変わり、その結果、後述の感性マップも変化する可能性がある。
なお、次元圧縮に因子分析または主成分分析が用いられることは必須ではなく、多次元から数次元に縮約できる方法であって新規に追加したデータで座標が計算できる方法であれば他の方法が使用されてもよい。
以下では、第1の主観評価の結果に含まれる6つの評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルを第1ベクトルと記載する。第2の主観評価の結果に含まれる6つの評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルを第2ベクトルと記載し、第3の主観評価の結果に含まれる6つの評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルを第3ベクトルと記載する。第1ベクトル、第2ベクトル、及び、第3ベクトルのそれぞれは、2次元ベクトルであり、2次元の感性マップ上にプロットすることが可能である。図5は、感性マップの一例を示す図である。
感性マップは、どのような感性効果が得られるかを規定する2次元座標平面である。図5の例では、2次元座標上平面上に、「落ち着く」などの感性効果を示す点(感性語を示す点)がプロットされている。なお、このような感性マップによく似た事例として、ラッセルの感情円環モデルが知られている。ラッセルの感情円環モデルにおいては、人間の持つ感情が2次元で表現されており、ベクトルの角度によって感情の種類が異なっている。
次に、評価部53は、第1ベクトル及び第2ベクトルの合成ベクトルを算出する(S17b)。図6は、感性マップ上に表示された、第1ベクトル、第2ベクトル、第3ベクトル、及び、合成ベクトルの一例を示す図である。
次に、評価部53は、第3ベクトルと、第1ベクトル、第2ベクトル、及び、合成ベクトルのそれぞれの類似度を算出する(S17c)。評価部53は、具体的には、ベクトル同士のコサイン類似度を算出する。ベクトル同士の角度が0に近ければコサイン類似度は1に近くなり、90°に近いほど0に近くなる。なお、類似度の算出にはコサイン類似度を算出する方法以外の方法が用いられてもよい。
次に、評価部53は、第3ベクトルの、第1ベクトル、第2ベクトル、及び、合成ベクトルのいずれかとの類似度が第1閾値以上であるか否かを判定する(S17d)。第1閾値は、0.8などの正の値となる閾値であり、経験的または実験的に定められ、あらかじめ記憶部60に記憶される。
評価部53は、第3ベクトルと第1ベクトルとの類似度、第3ベクトルと第2ベクトルとの類似度、及び、第3ベクトルと合成ベクトルとの類似度がいずれも第1閾値未満であると判定した場合(S17dでNo)、つまり、第3ベクトルが、第1ベクトル、第2ベクトル、及び、合成ベクトルのいずれとも類似していないと判定した場合、第1の刺激及び第2の刺激を複合すると相乗効果(クロスモーダル効果)が得られ、空間の価値を向上する効果の質が変化したと判定する(S17f)。
一方、評価部53は、第3ベクトルの、第1ベクトル、第2ベクトル、及び、合成ベクトルのいずれかとの類似度が第1閾値以上であると判定すると(S17dでYes)、第3ベクトルの長さが、これに類似するベクトルの長さよりも第2閾値以上長いか否かを判定する(S17e)。第2閾値は、正の値の閾値であり、経験的または実験的に定められ、あらかじめ記憶部60に記憶される。
評価部53は、第3ベクトルの長さが、これに類似するベクトルの長さよりも第2閾値以上長いと判定すると(S17eでYes)、第1の刺激及び第2の刺激を複合すると相乗効果(クロスモーダル効果)が得られ、空間の価値を向上する効果が増強されたと判定する(S17g)。図7及び図8は、空間の価値を向上する効果が得られた場合の、感性マップ上に表示された各ベクトルを示す図である。図7は、第1の刺激及び第2の刺激を複合すると、予想(合成ベクトル)よりも高い効果が得られることを示す図である。図8は、第1の刺激及び第2の刺激を複合すると、第1の刺激で得られる効果が増強されることを示す図である。なお、図示されないが、第1の刺激及び第2の刺激を複合すると、第2の刺激で得られる効果が増強される場合もある。
一方、評価部53は、第3ベクトルの長さが、これに類似するベクトルの長さよりも第2閾値以上長くないと判定すると(S17eでNo)、相乗効果なしと判断する(S17h)。
なお、コサイン類似度が-1に近い場合には、反対の効果が得られることになる。例えば、単独の刺激では覚醒の効果が得られたが、複合すると鎮静の効果が得られるなどの場合である。このように、コサイン類似度がマイナスの値になる場合には、ステップS17dの判定において、コサイン類似度が負の値の第1閾値以下である場合に空間の価値の質が変化したと判定することが考えられる。
また、評価部53は、第3ベクトルの長さが長い、すなわち、複合刺激により効果が増加した場合に相乗効果が得られたと判定した。ここで、得られる効果が良い効果である場合には、効果が減少することに価値は無いが、得られる効果が悪い効果(不快な効果)である場合、悪い効果が減少することには価値がある。つまり、第3ベクトルの長さが短くなることに価値がある。このような場合には、評価部53は、第3ベクトルの長さが、これに類似するベクトルの長さよりも第2閾値以上短いときに相乗効果があると判定してもよい。
なお、ステップS17bの第1ベクトル及び第2ベクトルの合成処理、並びに、ステップS17cの類似度の算出処理は、ステップS17aの次元圧縮処理の前に行うことも可能であり、これらのステップの順序は特に限定されない。次元圧縮処理が行われることは必須ではないが、ステップS18の評価の結果の出力(表示)に際しては、次元圧縮後の感性マップ上に評価結果が表示されることで、評価者にとってわかりやすい情報提示が実現される。言い換えれば、評価システム10は、次元圧縮後に感性マップ上で評価結果を表示することで、評価者の相乗効果の分析及び考察を支援することができる。評価システム10は、多次元(多数の感性語)の評価値データに基づいて空間の価値を取りこぼすことなく評価することができ、評価値データを次元圧縮して表示することで結果を分かりやすく提供することができる。
[評価の結果の出力処理]
次に、ステップS18の評価の結果の出力処理について具体的に説明する。ステップS18においては、出力部54は、第1ベクトル、第2ベクトル、合成ベクトル、及び、第3ベクトルを、感性マップ上に表示することにより、評価の結果を出力する。つまり、出力部54は、図6-図8のような画像を表示部40に表示することにより、評価の結果を出力する。また、画像には、ステップS17d及びステップS17eにおける判定結果(相乗効果の有無を示す情報)が含まれてもよい。評価の結果は、評価が行われるごとに記憶部60に蓄積される。
ステップS18においては、出力部54は、評価者の受付部30への入力に応じて、過去の評価の結果を呼び出し、感性マップ上に追記してもよい。例えば、前回は第1の刺激及び第2の刺激の評価を行っており、今回は第1の刺激及び第3の刺激の評価を行ったとする。評価の結果を比較したいという場合には、前回の評価の結果を呼び出して今回の評価の結果に追記することで評価者が容易に評価の結果を比較及び考察できる。
あるいは、同じ第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせであるが、刺激の変化のパターンが異なっているものを比較する場合もこのような追記が有効である。また、第1の刺激、第2の刺激、及び、第3の刺激の組み合わせと、第1の刺激、第4の刺激、及び、第5の刺激の組み合わせを比較するような場合も追記が有効である。
一方で、1つの感性マップ上に表示する要素が増えすぎると、比較及び考察が煩雑になることも考えられる。この場合、出力部54は、複数の感性マップを同一画面または別画面で表示部40に表示すればよい。
評価者は、評価の結果を比較しながら考察を行い、必要であれば受付部30へ所定の入力を行うことにより、主観評価の結果(評価値ベクトル)、最終的な評価の結果、感性マップなどを記憶部60に記憶することができる。最低限、主観評価の結果とどのような刺激が提示されたかの設定との対応関係を示すデータさえあれば、最終的な評価の結果とその過程で得られるデータ(ベクトルの類似度等)は再度計算することができるが、最終的な評価の結果、及び、感性マップ等が記憶部60に記憶されることで利便性が向上される。
また、記憶部60に記憶されるデータに対象者のID及び属性情報等も含めておけば、評価者は、同じ対象者の評価結果や、同じ属性を有する対象者の評価結果などを指定して呼び出すことができる。例えば、感性マップにはIDが付与され、画像ファイル名、画像ID、使用したデータのID等がリスト化される。
[補足]
上記実施の形態では、第1の刺激、及び、第2の刺激の2つの刺激の組み合わせが評価されたが、3つ以上の刺激の組み合わせが評価されてもよい。3つ以上の刺激の組み合わせが評価される場合、単独の刺激(第1の刺激、第2の刺激、第3の刺激・・・)、複合刺激(全部を同時に提示)だけでなく、2つの刺激の組み合わせ、及び、3つの刺激の組み合わせ…、も考えられる。例えば、4つの刺激の組み合わせは全部で15パターンあるため、すべてを評価するのは評価者の負荷が大きい。このため、評価システム10は、単独の刺激と複合刺激とを評価の対象とする。ただし、評価システム10は、評価者の指定により全部のパターンの刺激の組み合わせを評価してもよい。
また、評価者は、1回目は第1の刺激だけを評価し、次回は第1の刺激及び第2の刺激の組み合わせを評価し、・・といったように、複数回に分けて評価を行ってもよい。評価者は、1回目の評価時には、第1の刺激、第2の刺激、第1の刺激と第2の刺激との組み合わせの評価を行い、2回目には第3の刺激の評価を行い、3回目は第1の刺激、第2の刺激、及び、第3の刺激の組み合わせを評価してもよい。このように、複数回に分けて評価が行われる場合には、評価の結果にユーザIDが付与された状態で記憶部60に記憶されることで利便性が向上される。具体的には、評価者によってユーザIDが指定されれば、出力部54は、同一人物の複数回の評価の結果をまとめて表示部40に表示することができる。複数人の平均データのみが必要など、個人ごとの評価の結果を区別する必要がない場合には、ユーザIDの付与は適宜省略されてもよい。
また、上記実施の形態では、第1の刺激と第2の刺激とは異種の刺激(異なる五感に属する刺激)であったが、第1の刺激と第2の刺激とは同種の刺激であってもよい。例えば、第1の刺激及び第2の刺激は、照明光の色及び壁の色、というようにどちらも視覚刺激に属する刺激であってもよい。照明光と壁面の色とが大きく違う場合、照明光と壁面の色とが似ている場合などにどのような空間の価値が得られるかを調べるような事例が想定される。
ただし、評価者は、同種の刺激に関しては、ある程度どのような組み合わせであれば調和する、あるいは反発するなどが分かっていることが多い。このため、上記実施の形態では、異種の刺激の組み合わせを主題として説明が行われた。刺激の種類が異なっている場合には、クロスモーダル効果の影響で、刺激によって得られる効果が増強されたり、単独の刺激では得られない効果が得られたりする場合がある。刺激によって得られる効果が増強される事例としては、クッキーの大きさを実際より大きく描画してみせると満腹感が大きいといった事例が知られている。単独の刺激では得られない効果が得られる事例としては、角の触感と視覚の操作とを組み合わせることにより、平面の歩行が階段を上るときのように感じられる事例が知られている。
VR分野では仮想世界での現実感を増すためにクロスモーダル効果が取り入れられている。VR分野以外でもクロスモーダル効果が有効活用されることで様々なメリットが期待できる。クロスモーダル効果は、空間の快適性の向上に必要な要素であると考えられるが、どのような刺激の組み合わせでどのような効果が得られるのかは未知の部分が多い。これに対し、評価システム10は、評価者がクロスモーダル効果を容易にかつ的確に探索することを支援することができる。
[効果等]
以上説明したように、評価システム10などのコンピュータが実行する評価方法は、対象者に第1の刺激を与える第1刺激ステップS11と、第1の刺激が与えられた対象者の第1の主観評価の結果を取得する第1取得ステップS12と、対象者に第2の刺激を与える第2刺激ステップS13と、第2の刺激が与えられた対象者の第2の主観評価の結果を取得する第2取得ステップS14と、対象者に第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激を与える第3刺激ステップS15と、複合刺激が与えられた対象者の第3の主観評価の結果を取得する第3取得ステップS16と、第1の主観評価の結果を示す第1ベクトル、第2の主観評価の結果を示す第2ベクトル、並びに、第1ベクトル及び第2ベクトルの合成ベクトルの少なくとも1つと、第3の主観評価の結果を示す第3ベクトルとの比較に基づいて、複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行う評価ステップS17と、評価の結果を出力する出力ステップS18とを含む。
このような評価方法は、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる。
また、例えば、第1の刺激は、五感刺激のうちの1つに相当する刺激であり、第2の刺激は、五感刺激のうちの他の1つに相当する刺激である。
このような評価方法は、五感刺激のうちの1つに相当する刺激と他の1つに相当する刺激との複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる。
また、例えば、五感刺激には、視覚刺激、聴覚刺激、触覚刺激、温冷覚刺激、及び、嗅覚刺激が含まれる。
このような評価方法は、視覚刺激、聴覚刺激、触覚刺激、温冷覚刺激、及び、嗅覚刺激のうちの1つに相当する刺激と他の1つに相当する刺激との複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる。
また、例えば、第1刺激ステップS11においては、空間に位置する対象者に第1の刺激を与え、第1の主観評価は、第1の刺激が与えられたときの対象者の空間に対する主観評価であり、第2刺激ステップS13においては、空間に位置する対象者に第2の刺激を与え、第2の主観評価は、第2の刺激が与えられたときの対象者の空間に対する主観評価であり、第3刺激ステップS15においては、空間に位置する対象者に複合刺激を与え、第3の主観評価は、複合刺激が与えられたときの対象者の空間に対する主観評価である。
このような評価方法は、空間を評価するという共通の尺度を用いることで、異なる五感刺激に対する主観評価を実現することができる。
また、例えば、第1の主観評価、第2の主観評価、及び、第3の主観評価のそれぞれは、感性語を用いて行われる。
このような評価方法は、感性語を用いた主観評価の結果に基づいて、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる。
また、例えば、第1の主観評価の結果、第2の主観評価の結果、及び、第3の主観評価の結果のそれぞれは、3つ以上の感性語のそれぞれに対して当該感性語が示す印象または気分にどの程度近いかを示す評価値を含む。第1ベクトルは、第1の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルであり、第2ベクトルは、第2の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルであり、第3ベクトルは、第3の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルである。
このような評価方法は、3つ以上感性語を用いた主観評価の結果を次元圧縮することにより、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる。
また、例えば、出力ステップS18においては、第1ベクトル、第2ベクトル、合成ベクトル、及び、第3ベクトルを、どのような感性効果が得られるかを規定する感性マップ上に表示することにより、評価の結果を出力する。
このような評価方法は、評価の結果をわかりやすい態様で評価者に提供することができる。
また、評価システム10は、対象者に、第1の刺激、第2の刺激、並びに、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激を与える刺激制御部51と、第1の刺激が与えられた対象者の第1の主観評価の結果、第2の刺激が与えられた対象者の第2の主観評価の結果、及び、複合刺激が与えられた対象者の第3の主観評価の結果を取得する取得部52と、第1の主観評価の結果を示す第1ベクトル、第2の主観評価の結果を示す第2ベクトル、並びに、第1ベクトル及び第2ベクトルの合成ベクトルの少なくとも1つと、第3の主観評価の結果を示す第3ベクトルとの比較に基づいて、複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行う評価部53と、評価の結果を出力する出力部54を備える。
このような評価システム10は、第1の刺激及び第2の刺激の複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行うことができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、対象者が位置する空間の環境が制御されることにより、対象者へ刺激が提示されたが、環境が制御された空間をあらかじめ構築し、この空間へ対象者が入ることにより対象者へ刺激が提示されてもよい。
また、上記実施の形態における構成要素間の通信方法については特に限定されるものではない。また、構成要素間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。例えば、選択部が実行する処理は制御部によって実行されてもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
例えば、本発明は、評価システムなどのコンピュータが実行する評価方法として実現されてもよいし、このような評価方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
10 評価システム
20 刺激提示部
21 視覚刺激提示部
22 聴覚刺激提示部
23 触覚刺激提示部
24 温冷覚刺激提示部
25 嗅覚刺激提示部
30 受付部
40 表示部
50 情報処理部
51 刺激制御部
52 取得部
53 評価部
54 出力部
60 記憶部

Claims (8)

  1. コンピュータによって実行される評価方法であって、
    前記コンピュータは、対象者にどのような態様で刺激を与えるかを示す設定情報が記憶された記憶部にアクセスすることができ、
    前記評価方法は、
    前記設定情報に基づいて、前記対象者に第1の刺激を与える第1刺激ステップと、
    前記第1の刺激が与えられた前記対象者の第1の主観評価の結果を取得する第1取得ステップと、
    前記設定情報に基づいて、前記対象者に第2の刺激を与える第2刺激ステップと、
    前記第2の刺激が与えられた前記対象者の第2の主観評価の結果を取得する第2取得ステップと、
    前記設定情報に基づいて、前記対象者に前記第1の刺激及び前記第2の刺激の複合刺激を与える第3刺激ステップと、
    前記複合刺激が与えられた前記対象者の第3の主観評価の結果を取得する第3取得ステップと、
    前記第1の主観評価の結果を示す第1ベクトル、前記第2の主観評価の結果を示す第2ベクトル、並びに、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの合成ベクトルのそれぞれと、前記第3の主観評価の結果を示す第3ベクトルとの比較に基づいて、前記複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行う評価ステップと、
    前記評価の結果を出力する出力ステップとを含み、
    前記第1の主観評価の結果、前記第2の主観評価の結果、及び、前記第3の主観評価の結果のそれぞれは、3つ以上の感性語のそれぞれに対して当該感性語が示す印象または気分にどの程度近いかを示す評価値を含み、
    前記第1ベクトルは、前記第1の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルであり、
    前記第2ベクトルは、前記第2の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルであり、
    前記第3ベクトルは、前記第3の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルであり、
    前記評価ステップにおいては、前記第1ベクトル、前記第2ベクトル、及び、前記合成ベクトルの中に前記第3ベクトルとの類似度が第1閾値以上である類似ベクトルが含まれ、かつ、前記第3ベクトルの長さが前記類似ベクトルの長さよりも第2閾値以上長いと判定した場合に、前記複合刺激が相乗効果を有すると評価する
    評価方法。
  2. 前記第1の刺激は、五感刺激のうちの1つに相当する刺激であり、
    前記第2の刺激は、前記五感刺激のうちの他の1つに相当する刺激である
    請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記五感刺激には、視覚刺激、聴覚刺激、触覚刺激、温冷覚刺激、及び、嗅覚刺激が含まれる
    請求項2に記載の評価方法。
  4. 前記第1刺激ステップにおいては、空間に位置する前記対象者に前記第1の刺激を与え、
    前記第1の主観評価は、前記第1の刺激が与えられたときの前記対象者の前記空間に対する主観評価であり、
    前記第2刺激ステップにおいては、前記空間に位置する前記対象者に前記第2の刺激を与え、
    前記第2の主観評価は、前記第2の刺激が与えられたときの前記対象者の前記空間に対する主観評価であり、
    前記第3刺激ステップにおいては、前記空間に位置する前記対象者に前記複合刺激を与え、
    前記第3の主観評価は、前記複合刺激が与えられたときの前記対象者の前記空間に対する主観評価である
    請求項1~3のいずれか1項に記載の評価方法。
  5. 前記出力ステップにおいては、前記第1ベクトル、前記第2ベクトル、前記合成ベクトル、及び、前記第3ベクトルを、どのような感性効果が得られるかを規定する感性マップ上に表示することにより、前記評価の結果を出力する
    請求項1~4のいずれか1項に記載の評価方法。
  6. 前記第1ベクトルは、前記第1の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルであり、
    前記第2ベクトルは、前記第2の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルであり、
    前記第3ベクトルは、前記第3の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルを次元圧縮したベクトルである
    請求項1~4のいずれか1項に記載の評価方法。
  7. 前記第1ベクトル、前記第2ベクトル、及び、前記第3ベクトルのそれぞれは、因子分析または主成分分析によって、感性語に対応する評価軸で評価可能に次元圧縮されたベクトルであり、
    前記出力ステップにおいては、前記第1ベクトル、前記第2ベクトル、前記合成ベクトル、及び、前記第3ベクトルを、どのような感性効果が得られるかを規定する感性マップ上に表示することにより、前記評価の結果を出力する
    請求項6に記載の評価方法。
  8. 対象者にどのような態様で刺激を与えるかを示す設定情報が記憶された記憶部と、
    前記設定情報に基づいて、前記対象者に、第1の刺激、第2の刺激、並びに、前記第1の刺激及び前記第2の刺激の複合刺激を与える刺激制御部と、
    前記第1の刺激が与えられた前記対象者の第1の主観評価の結果、前記第2の刺激が与えられた前記対象者の第2の主観評価の結果、及び、前記複合刺激が与えられた前記対象者の第3の主観評価の結果を取得する取得部と、
    前記第1の主観評価の結果を示す第1ベクトル、前記第2の主観評価の結果を示す第2ベクトル、並びに、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの合成ベクトルのそれぞれと、前記第3の主観評価の結果を示す第3ベクトルとの比較に基づいて、前記複合刺激が相乗効果を有するかどうかの評価を行う評価部と、
    前記評価の結果を出力する出力部を備え、
    前記第1の主観評価の結果、前記第2の主観評価の結果、及び、前記第3の主観評価の結果のそれぞれは、3つ以上の感性語のそれぞれに対して当該感性語が示す印象または気分にどの程度近いかを示す評価値を含み、
    前記第1ベクトルは、前記第1の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルであり、
    前記第2ベクトルは、前記第2の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルであり、
    前記第3ベクトルは、前記第3の主観評価の結果に含まれる3つ以上の評価値を要素とするベクトルであり、
    前記評価部は、前記第1ベクトル、前記第2ベクトル、及び、前記合成ベクトルの中に前記第3ベクトルとの類似度が第1閾値以上である類似ベクトルが含まれ、かつ、前記第3ベクトルの長さが前記類似ベクトルの長さよりも第2閾値以上長いと判定した場合に、前記複合刺激が相乗効果を有すると評価する
    評価システム。
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