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JP7689484B2 - 工作機械及び加工方法 - Google Patents
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Description

本開示は、びびり振動を抑制しつつ、ワークを歯車等の所望の形状に加工可能な工作機械と、当該工作機械を用いた加工方法とに関する。
切削加工において、びびり振動は、工作機械、工具、ワークの動特性と切削過程とがある条件を満たしたときに発生するため、主軸回転速度を変動させたり、変更したりすることで、びびり振動が抑制できることが知られている。
例えば、歯車加工におけるびびり振動を抑制する加工方法として、特許文献1では、ワークとカッタとの同期回転速度を変動させることにより、びびり振動を抑制する発明が提案されている。また、特許文献2では、びびり振動が発生すると、びびり振動が発生した時よりも大きな切込み量で、歯切り工具の回転速度を加速又は減速しながら切削加工を行ってびびり振動を発生させた状態で加工を行い、歯切り工具の周波数の変動量が所定量を超えると、その回転速度で切削加工を再度行うことで、最終的に良品を得る発明が提案されている。
特開2018-62056号公報 特開2020-78831号公報
しかし、特許文献1の発明の場合、ワークとカッタとの同期回転速度を変動させるため、同期回転の誤差が大きくなって加工面がうねり、加工精度が劣化するおそれがある。
特許文献2の発明の場合、びびり振動を抑制するため、敢えてびびり振動を発生させて最適回転速度を探索する必要があり、切削工具にダメージが生じるおそれがある。
そこで、本開示は、加工精度を劣化させたり工具にダメージを与えたりすることなくびびり振動の抑制が可能な工作機械及び加工方法を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、本開示の第1の構成は、回転駆動する主軸にワークを保持させると共に、外周に複数の刃を有して回転駆動する工具を、主軸軸線に対して工具軸線が傾斜するように配置して、前記ワーク及び前記工具を同期回転させながら前記工具を前記主軸軸線の方向に移動させて前記ワークを歯車に加工可能な工作機械であって、
前記工具又は前記工具を支持する支持部に、加工前又は加工中に固有振動数を変更可能な固有振動数変更手段が設けられており、
前記固有振動数変更手段は、前記工具において、前記工具軸線と直交する断面方向での剛性に異方性を持たせることで加工前に固有振動数を変更するものであることを特徴とする。
本開示の第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記剛性の異方性は、前記工具内に互いに平行な複数の板バネ部を形成することで付与されると共に、前記工具の刃数又は前記異方性のモード数は、前記ワークに加工する歯数と前記工具の刃数との比が前記異方性のモード数にならないように設定されていることを特徴とする。
本開示の第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記固有振動数変更手段は、前記支持部内で前記工具が取り付けられる回転軸を支持する軸受への予圧を加工中に変更して前記回転軸の剛性を変化させることで前記固有振動数を変更するものであることを特徴とする。
本開示の第1の構成の別の態様は、上記構成において、前記固有振動数変更手段は、前記工具内に設けた圧力室への圧力を加工中に変更して前記工具の剛性を変化させることで前記固有振動数を変更するものであることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、回転駆動する主軸にワークを保持させると共に、外周に複数の刃を有して回転駆動する工具を、主軸軸線に対して工具軸線が傾斜するように配置して、前記ワーク及び前記工具を同期回転させながら前記工具を前記主軸軸線の方向に移動させる工作機械を用いて、前記ワークを歯車に加工する方法であって、
前記工具において、前記工具軸線と直交する断面方向での剛性に異方性を持たせることで加工前に前記工具の固有振動数を変更して加工を行うことを特徴とする。
本開示によれば、工具及び/又は工具を支持する支持部の固有振動数を変更することで、びびり振動を抑制することができる。また、ワークと工具との同期回転速度を変動させることがないので、同期回転の誤差は小さくなり、加工精度は劣化しない。さらに、びびり振動を発生させる必要がないため、工具にダメージが生じない。
複合加工機による歯車加工の構成を示した説明図である。 カッタの説明図で、(A)は市販のアーバを用いたもの、(B)は本開示のアーバを用いたものをそれぞれ示す。 カッタの伝達関数を示すグラフである。 (A)(B)はワークとカッタとの位相関係を示す説明図である。 (A)(B)はびびり振動抑制の加工理論を示す説明図である。 カッタの刃数またはカッタ剛性の異方性のモード数を決定するフローチャートである。 固有振動数変更手段の他の例を示す説明図である。 固有振動数変更手段の他の例を示す説明図である。 エンドミルの説明図で、(A)は市販のアーバを用いたもの、(B)は本開示のアーバを用いたものをそれぞれ示す。 (A)(B)はエンドミルによるミリング加工のびびり振動抑制の加工理論を示す説明図である。
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本開示に係る工作機械の一例である複合加工機による歯車加工の構成を示した説明図である。複合加工機1は、回転駆動する主軸2に、ワークWを保持するためのチャック3を有している。カッタ6は、アーバ5を介して刃物台4へ回転駆動可能に固定されている。アーバ5及びカッタ6が本開示の工具となる。
図2は、カッタ6に剛性の異方性を持たせる構造を示す。図2(A)のように市販のアーバ5(以下、区別するために「5A」と表記する。)は、A-A線断面形状がI方向およびII方向で同じであるため、剛性が同じである。一方で、図2(B)に示すアーバ5(以下、区別するために「5B」と表記する。)では、シャンク部の一部に平行板バネ構造50が設けられている。この平行板バネ構造50は、II方向に貫通する貫通孔52を挟んで互いに平行な一対の板バネ部51,51を設けてなる。各板バネ部51のI方向の外側には、凹部53がそれぞれ形成されている。こうして平行板バネ構造50が設けられることで、アーバ5Bは、B-B線断面形状がI方向およびII方向で異なり、剛性が異なる。
図3は、カッタ6の伝達関数を示す図である。図2(A)のアーバ5Aに固定されるカッタ6の伝達関数11(点線で示す)は、I方向およびII方向で剛性が同じであるため、固有振動数は1つである。一方で、図2(B)のアーバ5Bに固定されるカッタ6の伝達関数12(実線で示す)は、I方向およびII方向で剛性が異なるため、固有振動数はI方向およびII方向の2つを有することになる。
図4は、ワークWとカッタ6との位相関係を示す図である。図2(B)の平行板バネ構造50を付与したカッタ6で歯車加工した場合、図4(A)のようにワークWが1回転前の加工点(黒丸)ではカッタ6のI方向で加工している。しかし、ワークWが図4(A)から1回転後の図4(B)の場合、加工点(黒丸)ではカッタ6のII方向で加工している。
図5は、複合加工機1におけるびびり振動抑制の加工理論を示す図である。図5は、カッタ6が歯車を加工する様子を横から見た図であり、歯底面22から歯先面21に向かってカッタ刃先61が加工している状況である。また、二点鎖線で示す1回転前の加工面23と、実線で示す現在の加工面24との距離が切取り厚さ25である。図2(A)のような市販のアーバ5Aのカッタ6で加工すると、図5(A)のようにカッタ6の固有振動数が変化しないため、1回転前の加工面23と現在の加工面24とは同じ周波数の凹凸であるため、切取り厚さ25が周期的に変化し、びびり振動が発生する。一方で、図2(B)のような平行板バネ構造50が付与されたアーバ5Bのカッタ6で加工すると、図5(B)のようにカッタ6の固有振動数が変化するため、1回転前の加工面23と現在の加工面24とは異なった周波数の凹凸であるため、切取り厚さ25が不規則となり、びびり振動が抑制される。
上記平行板バネ構造50を採用した場合、びびり振動の抑制効果を高めるために、ワークWの歯数とカッタ6の刃数との比が異方性のモード数にならないようにカッタ6の刃数または異方性のモード数を決定するのが望ましい。図6は、カッタ6の刃数またはカッタ剛性の異方性のモード数を決定するフローチャートである。
まず、ステップ(以下「S」と表記する。)1では、ワークWの歯数を取得する。S2では、カッタ6の刃数または異方性のモード数を決定する。S3では、ワークWの歯数とカッタ6の刃数との比と異方性のモード数とを比較する。両者がイコール(略イコールの場合も含む)であればS2に戻りカッタ6の刃数または異方性のモード数を再設定し、両者がイコールでなければ終了する。
このように、上記形態の複合加工機1及び加工方法によれば、アーバ5Bとカッタ6とからなる工具及びワークWを回転させてワークWを加工可能なものにおいて、カッタ6のアーバ5Bに、加工前に固有振動数を変更可能な平行板バネ構造50(固有振動数変更手段)が設けられていることで、加工精度を劣化させたり工具にダメージを与えたりすることなくびびり振動の抑制が可能となる。
特に、固有振動数変更手段は、アーバ5Bにおいて、工具軸線と直交する断面方向での剛性に異方性を持たせることで加工前に固有振動数を変更するものとしているので、アーバ5Bを利用して固有振動数の変更が容易に行える。
また、剛性の異方性は、アーバ5B内に互いに平行な板バネ部51,51を形成することで付与しているので、板バネ部51,51の形成によって異方性が簡単に付与できる。
以下、本開示の変更例について説明する。
図7は、複合加工機1において、アーバ5が取り付けられる支持部となる刃物台4に固有振動数変更手段を設けた構造を示す。ここでは刃物台4における回転軸4a部分に油圧室7を設け、油圧ユニット8により油圧室7を加圧したり、減圧したりして転がり軸受10の予圧を変更することで、加工中に回転軸4aの剛性を変化させて固有振動数を変更可能としている。固有振動数の変更は、工具回転速度制御部9からの回転速度指令をもとに、加圧および減圧の周期を算出し油圧ユニット8を制御することで行われる。
図8は、アーバ5に固有振動数変更手段を設けた構造を示す。ここではアーバ5のシャンク部に油圧室7を設け、油圧ユニット8により油圧室7を加圧したり、減圧したりすることで、加工中にカッタ6において剛性の異方性のモード数を変更することで固有振動数を変更可能としている。固有振動数の変更は、工具回転速度制御部9からの回転速度指令をもとに、加圧および減圧の周期を算出し油圧ユニット8を制御することで行われる。
また、本開示は、上記形態のように工具及びワークを共に回転させる加工に限らない。
図9は、工具であるエンドミルに固有振動数変更手段を設けた構造を示す。図9(A)のように市販のエンドミル70(以下、区別するために「70A」と表記する。)は、A-A断面形状がI方向およびII方向で同じであるため、剛性が同じである。一方で、図9(B)のようにエンドミル70(以下、区別するために「70B」と表記する。)のシャンク部の一部に、アーバ5Bと同様の平行板バネ構造50を付与させることにより、B-B断面形状がI方向およびII方向で異なるため、剛性が異なる。
図10は、ミリング加工のびびり振動抑制の加工理論を示す図である。図10は、エンドミルがワークWの側面を加工する様子を上から見た図であり、仕上げ面202から素材面201に向かって工具刃先601がアップカット(ダウンカットも)している状況である。また、二点鎖線で示す1刃前の加工面203と、実線で示す現在の加工面204との距離が切取り厚さ205である。
エンドミル70Aで加工すると、エンドミル70Aの固有振動数が変化しないため、図10(A)に示すように、1刃前の加工面203と現在の加工面204とは同じ周波数の凹凸であるため、切取り厚さ205が周期的に変化し、びびり振動が発生する。一方で、平行板バネ構造50が付与されたエンドミル70Bで加工すると、剛性に異方性が付与されてエンドミル70Bの固有振動数が変化する。よって、図10(B)に示すように、1刃前の加工面203と現在の加工面204とは異なった周波数の凹凸となるため、切取り厚さ205が不規則となり、びびり振動が抑制される。
なお、上記形態のアーバ5B及びエンドミル70Bにおいて、平行板バネ構造は上記構造に限らない。例えば、板バネ部は一対でなく3つ以上あってもよいし、外側の凹部はなくてもよい。
また、上記形態では、工具及びワークを回転させて加工を行う例と、工具を回転させてワークの加工を行う例とを挙げているが、回転軸にワークを固定し、工具を回転させずに加工を行うものであっても本開示は適用できる。よって、ワークは歯車に限らない。
固有振動数変更手段は、複数採用することもできる。例えば、工具に平行板バネ構造や油圧室を設けて剛性の異方性を付与可能としつつ、刃物台に軸受の予圧を変更する油圧室を設けるといった組み合わせも考えられる。
1・・複合加工機、2・・主軸、3・・チャック、4・・刃物台、4a・・回転軸、5・・アーバ、6・・カッタ、7・・油圧室、8・・油圧ユニット、9・・工具回転速度制御部、10・・転がり軸受、50・・平行板バネ構造、51・・板バネ部、52・・貫通孔、53・・凹部、70・・エンドミル、601・・工具刃先、W・・ワーク。

Claims (5)

  1. 回転駆動する主軸にワークを保持させると共に、外周に複数の刃を有して回転駆動する工具を、主軸軸線に対して工具軸線が傾斜するように配置して、前記ワーク及び前記工具を同期回転させながら前記工具を前記主軸軸線の方向に移動させて前記ワークを歯車に加工可能な工作機械であって、
    前記工具又は前記工具を支持する支持部に、加工前又は加工中に固有振動数を変更可能な固有振動数変更手段が設けられており、
    前記固有振動数変更手段は、前記工具において、前記工具軸線と直交する断面方向での剛性に異方性を持たせることで加工前に固有振動数を変更するものであることを特徴とする工作機械。
  2. 前記剛性の異方性は、前記工具内に互いに平行な複数の板バネ部を形成することで付与されると共に、前記工具の刃数又は前記異方性のモード数は、前記ワークに加工する歯数と前記工具の刃数との比が前記異方性のモード数にならないように設定されていることを特徴とする請求項に記載の工作機械。
  3. 前記固有振動数変更手段は、前記支持部内で前記工具が取り付けられる回転軸を支持する軸受への予圧を加工中に変更して前記回転軸の剛性を変化させることで前記固有振動数を変更するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
  4. 前記固有振動数変更手段は、前記工具内に設けた圧力室への圧力を加工中に変更して前記工具の剛性を変化させることで前記固有振動数を変更するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
  5. 回転駆動する主軸にワークを保持させると共に、外周に複数の刃を有して回転駆動する工具を、主軸軸線に対して工具軸線が傾斜するように配置して、前記ワーク及び前記工具を同期回転させながら前記工具を前記主軸軸線の方向に移動させる工作機械を用いて、前記ワークを歯車に加工する方法であって、
    前記工具において、前記工具軸線と直交する断面方向での剛性に異方性を持たせることで加工前に前記工具の固有振動数を変更して加工を行うことを特徴とする加工方法。
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