理解を容易にするため、図に共通な同一の要素を示すために、可能な箇所では同一の参照番号が用いられた。加えて、一態様の要素は、ここに記載される他の態様において利用するために有利に適合することができる。
詳細な説明
本開示の態様によれば、直流電流とホウ酸を含まない三価クロム溶液とを使用しながら、構造的に堅牢且つ信頼性が高く、しかも費用効率的な基板上に形成されるクロム層(例えば、クロムコーティング)を得ることのできる、基板をクロムめっきするための種々の方法及び配合が提供される。したがって、ここに記載される方法及び配合は、硬質のクロム層(例えば、10ミクロンを上回る堅牢な機能性クロム層)を形成するために、硬質クロムめっきに有利に使用することができる。しかしながら、本開示は、硬質クロムめっきに限定されず、ここに記載される方法及び配合はまた、装飾的クロム層(例えば、0.25ミクロンから1.0ミクロンにわたるクロム層)を形成する装飾的クロムめっきを効果的且つ効率的に実施するために有利に使用することができる。
本開示はさらに、クロム-鉄合金の電着のための電解質溶液と、クロム-鉄合金の形成方法とを提供する。少なくとも一つの態様において、本開示の電解質溶液は水性である。少なくとも一つの態様において、電解質溶液は、例えば、硫酸第一鉄又は塩化第二鉄といった鉄塩を含む。電解質溶液中に存在するこれら鉄塩のうちの一又は複数は、六価クロム及びパルスめっきの使用なしで、鋼基板のような基板上に厚いクロム-鉄合金層の堆積物を提供することが発見された。本開示の電解質溶液はさらに、三価クロムイオン並びに第一鉄イオンとの錯体を形成する、オキサレート化合物のような少なくとも一つの錯体形成剤、例えば、シュウ酸ナトリウムをさらに含む。
本開示の電解質溶液は、基板上に制御可能なクロム-鉄合金の堆積物を提供する。
少なくとも一つの態様において、基板は、鋼基板、銅基板、真鍮基板、銅コーティング基板、ニッケルコーティング基板、又はその他金属若しくは金属合金含有基板である。少なくとも一つの態様において、本開示の電解質溶液は、約2から約4の範囲のpHで約30℃から約60℃の範囲の温度で使用されるとき、一般的な六価クロムベースのコーティングに匹敵すると考えられる、十分に硬質のクロム-鉄合金堆積物を提供する。少なくとも一つの態様において、本開示のクロム-鉄合金の鉄含有量は、合金中のクロムと鉄の合計重量に基づいて、約1重量%の鉄から約20重量%の鉄である。
本開示のクロム-鉄合金コーティングは、鋼基板のような基板に、一般的な六価硬質クロムめっき基板と同様の難削性及び耐摩耗性を提供する。本開示のクロム-鉄合金は、航空機、宇宙船、船舶、エンジン及び吹き出しフラップの構成部品、廃棄洗浄構造、高性能超音速、極超音速、及び宇宙再突入車両構造のための温構造構成部品、自動車の部品、鋼橋などの建築物、並びに発電タービン、車エンジン、代替エネルギーアプリケーション、及び関連技術といった推進構造に配置することができる。特定の一実施例として、本開示の合金は、鋼ベースのランディングギヤ及び/又は航空機の底面に配置することができる。
少なくとも一つの態様において、本開示のクロム-鉄コーティングは、単一槽技術を使用して形成される。堆積容器は、実験室規模のガラス製ビーカー又は商業規模のめっき用大規模ポリプロピレンタンクである。少なくとも一つの態様において、堆積容器は、電解質溶液のすべての配合成分を、同時に、又はクロム塩及び錯体形成剤から開始して続いて鉄塩と段階的に混合することにより調製される電解質溶液である。アノード(例えば、グラファイト)は、後述するように、電解質溶液を含むビーカーに導入される。堆積プロセスは、直流電流を印加することにより調節され、それによってクロム-鉄合金コーティングが生成される。クロム-鉄合金コーティングの厚さは、直流電流を電解質溶液電極に印加する期間により制御することができる。少なくとも一つの態様において、クロム-鉄合金コーティングの全体の厚さは、約1ミクロンから約100ミクロン、例えば約10ミクロンから約50ミクロン、例えば約20ミクロンから約40ミクロン、例えば約30ミクロンである。
クロム-鉄合金コーティングの厚さ及び組成を変化させることは、本開示の堆積プロセスの電流密度及び時間尺度によって制御することができる。
本開示の電解質溶液は、金属塩を含む。ここで使用される金属塩は、金属塩の無水物及び/又は水和物形態を含むことができる。少なくとも一つの態様において、金属塩は、三価クロム塩及び鉄塩のうちの一又は複数を含む。本開示の電解質溶液はさらに、アルカリ金属オキサレート化合物などの少なくとも一つの錯体形成剤、例えば、シュウ酸ナトリウム又はシュウ酸カリウムを含む。アルカリ金属オキサレート化合物などの錯体形成剤は、電解質溶液中の鉄イオンに配位し、電解質溶液に対する電流密度の印加時に、基板上への制御可能な鉄の堆積を促進する。
本開示の電解質溶液は、アルミニウム塩などの少なくとも一つの緩衝剤、例えば、硫酸アルミニウム又はハロゲン化アルミニウムをさらに含む。本開示の緩衝剤は、以下に詳述するように、電解質溶液の望ましいpHを維持し、基板上へのクロム及び鉄の堆積を実質的に妨害しない。
本開示の電解質溶液は、アルカリ金属塩などの少なくとも一つのイオン導電性制御剤、例えば、硫酸ナトリウム又は硫酸カリウムをさらに含む。本開示のイオン導電性制御剤は、電解質溶液の望ましい導電性を維持し、基板上へのクロム及び鉄の堆積を実質的に妨害しない。
本開示の電解質溶液は、少なくとも一つのアルカリ金属ハロゲン化物、例えば、フッ化ナトリウム又はフッ化カリウムをさらに含む。本開示のアルカリ金属ハロゲン化物は、濡れ性及びエッチング性を有する電解質溶液を提供し、クロムめっきの間のクロム接着を助けることができる。
随意で、本開示の電解質溶液は、少なくとも一つの界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、又はラウリル硫酸カリウムをさらに含む。本開示の界面活性剤は、クロムめっきの間の孔食及びガス発生を低減する。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質溶液のpHは、約1と約6の間、例えば約1.5と約4の間であり、例えばpHは2又は4である。少なくとも一つの態様において、本開示の電解質溶液のpHは、溶液のpHを上昇させるためには水酸化ナトリウム(NaOH)溶液などの一又は複数の塩基の付加により、又は溶液のpHを低下させるためには硫酸(H2SO4)溶液などの一又は複数の酸の付加により、制御される。クロム塩、鉄塩、錯体形成剤、緩衝剤、酸、及び塩基は、MERCK-India又はSigma-Aldrich Co. LLC(ミズーリ州セントルイス)といったといったいずれかの適切な商業的供給源から得ることができる。
図1は、本開示の一又は複数の態様による、電解質溶液を形成するための方法100を示すフロー図である。図1に示すように、工程110において、方法100は、水又は水溶液のような媒体に三価クロム塩を溶解させて、第1の電解質溶液を形成することを含む。三価クロム塩は三価クロム源である。少なくとも一つの態様において、三価クロム塩は、ハロゲン化クロム(III)、硫酸クロム(III)(例えば、Cr2(SO4)3、Cr2(SO4)3・12H2O、及び/又は他の硫酸クロム(III))、及び/又は他のクロム(III)塩を含む。ハロゲン化クロム(III)は、例えば、塩化クロム(III)(例えば、CrCl3、CrCl35H2O、CrCl3・6H2O、及び/又は他の塩化クロム(III))を含むことができる。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質中の三価クロム塩の濃度は、電解質溶液1リットルあたり約0.1モル(mol/L)から約1mol/Lにわたり、例えば約0.3mol/Lから約0.9mol/Lの範囲、例えば約0.2mol/Lから約0.7mol/Lの範囲、例えば約0.4mol/Lから約0.7mol/Lの範囲など、例として約0.5mol/Lから約0.6mol/Lの範囲である。少なくとも一つの態様では、溶解させる三価クロム塩の量は、必要に応じて、電解質溶液の約0.1mol/L、0.2mol/L、0.3mol/L、0.4mol/L、0.5mol/L、0.6mol/L、0.7mol/L、0.8mol/L、0.9mol/L、又は1mol/Lである(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。1mol/Lを上回る濃度では、三価クロム塩を電解質中に溶解させることは困難になり、溶解度の問題が生じうる。
少なくとも一つの態様では、三価クロム塩は、周囲温度で、室温で、約25℃で、又は約10℃から約40℃、例えば、約20℃から約30℃にわたる温度で撹拌することにより溶解させる。少なくとも一つの態様では、工程110が実施される温度は、必要に応じて、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、又は40℃とすることができる(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。少なくとも一つの態様において、撹拌は、必要に応じて、又はすべての三価クロム塩が溶解するまで、約5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、又は30分間実施することができる(いずれの値も、上端点又は下端点を形成することができる)。
工程120では、方法100は、例えば、水又は水溶液(例えば第1の溶液)中にオキサレート化合物を溶解させて、第2の電解質溶液などの電解質溶液を形成することをさらに含む。オキサレート化合物は、錯体形成剤として機能することができるオキサレートを含む。少なくとも一つの態様では、オキサレート化合物は、アルカリ金属オキサレート(例えば、シュウ酸ナトリウム(Na2C2O4)、シュウ酸カリウム(K2C2O4)、及び/又は他のアルカリ金属オキサレート)及び/又はオキサレートの酸(例えば、シュウ酸(H2C2O4)及び/又はオキサレートの他の酸)を含む。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質中のオキサレート化合物の濃度は、電解質溶液の約0.1mol/Lから約2.0mol/L、例えば約0.2mol/Lから約1.2mol/Lの範囲、例えば約0.1mol/Lから約0.9mol/Lの範囲、例えば約0.2mol/Lから約0.7mol/Lの範囲、例えば約0.4mol/Lから約0.7mol/Lの範囲内であり、例として、約0.5mol/Lから約0.6mol/Lの範囲内である。少なくとも一つの態様において、溶解させるオキサレート化合物の量は、必要に応じて、電解質溶液の約0.1mol/L、0.2mol/L、0.4mol/L、0.6mol/L、0.8mol/L、1.0mol/L、1.2mol/L、1.4mol/L、1.6mol/L、1.8mol/L、又は2.0mol/Lである(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。
少なくとも一つの態様において、オキサレート化合物を溶解させてオキサレートと三価クロムの錯体を形成するために、オキサレート化合物は、溶液(例えば、工程110又は工程120の前に実施される別の工程から得られる溶液)に入れられる。この溶液は、約70℃から約80℃にわたるより高い温度に加熱することができ、約1時間から約3時間撹拌することができる。少なくとも一つの態様において、溶液は冷却される(例えば、周囲温度、室温、約25℃、又は約20℃から約30℃にわたる温度へと)。代替的に、オキサレート化合物は、加熱せずに溶解することができ、この場合、オキサレートと三価クロムの錯体は3から4日で形成される。有利には、工程120において溶液を約70℃から約80℃にわたる温度に加熱することにより、電解質溶液はさらに速く調製することができる。少なくとも一つの態様において、撹拌は、必要に応じて、約1時間、1時間15分、1時間30分、1時間45分、2時間、2時間15分、2時間30分、2時間45分、又は3時間にわたって実施される(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。さらに、少なくとも一つの態様において、工程120が実施される温度は、必要に応じて、約50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、又は80℃である(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。
工程130では、方法100は、例えば、水又は水溶液(例えば第2の電解質溶液)中に鉄塩を溶解させて、電解質溶液(例えば、第3の電解質溶液)を形成することをさらに含む。少なくとも一つの態様において、鉄塩は、二価の鉄塩、三価の鉄塩、又はこれらの組み合わせである。少なくとも一つの態様において、鉄塩は、硫酸第一鉄七水和物、塩化第二鉄、又はこれらの組み合わせである。少なくとも一つの態様において、鉄塩は二価の鉄塩である。少なくとも一つの態様において、二価の鉄塩は、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、及び/又はその他二価の鉄塩を含む。これら二価の鉄塩の各々は、それに対応する水和形態を含むことができる。例えば、硫酸鉄(II)は式FeSO4・xH2Oを有し、式中、xは整数(例えば、0、1、2、4、5、6、又は7)である。したがって、少なくとも一つの態様において、硫酸鉄(II)は、無水硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)一水和物、硫酸鉄(II)二水和物、硫酸鉄(II)四水和物、硫酸鉄(II)五水和物、硫酸鉄(II)六水和物、硫酸鉄(II)七水和物、又は別の水和状態を有する硫酸鉄(II)である。少なくとも一つの態様において、鉄塩は三価の鉄塩である。少なくとも一つの態様において、三価の鉄塩は、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、酢酸鉄(III)、及び/又はその他の三価の鉄塩を含む。これら三価の鉄塩の各々は、それに対応する水和形態を含むことができる。例えば、硫酸鉄(III)は、式Fe2(SO4)3・xH2Oを有し、式中xは整数(例えば、0、1、2、4、5、6、又は7)である。したがって、少なくとも一つの態様において、硫酸鉄(III)は、無水硫酸鉄(III)、硫酸鉄(III)一水和物、硫酸鉄(III)二水和物、硫酸鉄(III)四水和物、硫酸鉄(III)五水和物、硫酸鉄(III)六水和物、硫酸鉄(III)七水和物、又は別の水和状態を有する硫酸鉄(III)である。さらなる一実施例では、塩化鉄(III)は式FeCl3・xH2Oを有し、式中xは整数(例えば、0、1、2、4、5、6、又は7)である。したがって、少なくとも一つの態様において、塩化鉄(III)は、無水塩化鉄(III)、塩化鉄(III)一水和物、塩化鉄(III)二水和物、塩化鉄(III)四水和物、塩化鉄(III)五水和物、塩化鉄(III)六水和物、塩化鉄(III)七水和物、又は別の水和状態を有する塩化鉄(III)である。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質中の鉄塩の濃度は、電解質溶液の約0.005mol/Lから約0.2mol/Lにわたり、例えば約0.01mol/Lから約0.2mol/Lの範囲、約0.02mol/Lから約0.2mol/Lの範囲など、例として、約0.1mol/Lから約0.2mol/Lの範囲である。少なくとも一つの態様において、溶解させる鉄塩の量は、必要に応じて、電解質溶液の約0.005mol/L、0.01mol/L、0.02mol/L、0.03mol/L、0.04mol/L、0.05mol/L、0.06mol/L、0.07mol/L、0.08mol/L、0.09mol/L、0.1mol/L、又は0.2mol/Lである(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。本発明者らは、0.2mol/Lを上回る濃度において、堆積するクロム-鉄合金コーティングは軟性となり、また腐食し易くなりうることを発見した。
少なくとも一つの態様において、鉄塩は、周囲温度、室温、約25℃、又は約20℃から約30℃にわたる温度で撹拌することにより溶解される。少なくとも一つの態様において、撹拌は、必要に応じて、又はすべての鉄塩が溶解するまで、約5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、又は30分間実施される(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。少なくとも一つの態様において、工程130が実施される温度は、必要に応じて、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、又は40℃で実施される(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。
工程140では、方法100は、金属塩を、例えば、水又は水溶液(例えば第3の電解質溶液)中に溶解させて電解質溶液(例えば、第4の電解質溶液)を形成することをさらに含む。金属塩は、溶解してアルミニウムイオンといった金属イオンを提供する金属イオン源であり、金属イオンは、バッファーとして機能することができ、且つ溶液中の高原子価の金属イオン(例えば、Al3+)によりイオン強度を提供することができる。少なくとも一つの態様において、金属塩は、第13族金属塩、例えば、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、塩化アルミニウム(AlCl3)、及び/又はその他アルミニウム塩)などのハロゲン化アルミニウム及び/又はその他金属塩を含む。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質中の金属塩の濃度は、電解質溶液の約0.01mol/Lから約1.0mol/Lにわたり、例えば約0.05mol/Lから約0.8mol/Lの範囲、例えば約0.1mol/Lから約0.7mol/Lの範囲、例えば約0.2mol/Lから約0.5mol/Lの範囲など、例として約0.2mol/Lから約0.3mol/Lの範囲である。少なくとも一つの態様において、溶解させる金属塩の量は、必要に応じて、電解質溶液の約0.01mol/L、0.05mol/L、0.1mol/L、0.2mol/L、0.3mol/L、0.4mol/L、0.5mol/L、0.6mol/L、0.8mol/L、又は1.0mol/Lである(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。1.0mol/Lを上回る濃度では、金属塩を電解質中に溶解させることは困難になり、溶解度の問題が生じうる。
少なくとも一つの態様において、金属塩は、周囲温度、室温、約25℃、又は約20℃から約30℃にわたる温度で撹拌することにより溶解される。少なくとも一つの態様において、撹拌は、必要に応じて、又はすべての金属塩が溶解するまで、約5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、又は30分間実施される(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。少なくとも一つの態様において、工程140が実施される温度は、必要に応じて、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、又は40℃で実施される(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。
工程150では、方法100は、アルカリ金属塩を、例えば、水又は水溶液(例えば第4の電解質溶液)中に溶解させて電解質溶液(例えば、第5の電解質溶液)を形成することをさらに含む。アルカリ金属塩は、電解質溶液の導電性を上昇させることができる。少なくとも一つの態様において、アルカリ金属塩は、アルカリ金属硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、及び/又はその他のアルカリ金属硫酸塩)を含む。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質中のアルカリ金属塩の濃度は、約0.1mol/Lから約2.0mol/Lの範囲であり、例えば約0.5mol/Lから約2.0mol/Lの範囲、例えば約1.0mol/Lから約1.5mol/Lの範囲など、例として約1.3mol/Lから約1.4mol/Lの範囲である。少なくとも一つの態様において、溶解させるオキサレート化合物の量は、必要に応じて、電解質溶液の約0.1mol/L、0.2mol/L、0.4mol/L、0.6mol/L、0.8mol/L、1.0mol/L、1.2mol/L、1.4mol/L、1.6mol/L、1.8mol/L、又は2.0mol/Lである(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。2.0mol/Lを上回る濃度では、アルカリ金属塩を電解質中に溶解させることは困難になり、溶解度の問題が生じうる。
少なくとも一つの態様では、アルカリ金属塩は、周囲温度で、室温で、約25℃で、又は約10℃から約40℃、例えば、約20℃から約30℃にわたる温度で撹拌することにより溶解させる。少なくとも一つの態様では、工程150が実施される温度は、必要に応じて、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、又は40℃とすることができる(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。少なくとも一つの態様において、撹拌は、必要に応じて、又はすべてのアルカリ金属塩が溶解するまで、約5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、又は30分間実施することができる(いずれの値も、上端点又は下端点を形成することができる)。少なくとも一つの態様において、アルカリ金属塩は、周囲温度、室温、約25℃で15分間撹拌することにより溶解する。
工程160では、方法100は、アルカリ金属ハロゲン化物を、例えば、水又は水溶液(例えば第5の電解質溶液)中に溶解させて電解質溶液(例えば、第6の電解質溶液)を形成することをさらに含む。アルカリ金属ハロゲン化物は、濡れ性及びエッチング性を有する電解質溶液を提供することができ、且つクロムめっきの間のクロム接着を助けることができる。少なくとも一つの態様において、アルカリ金属ハロゲン化物は、アルカリ金属フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、及び/又はその他のアルカリ金属フッ化物)及び/又はその他のアルカリ金属ハロゲン化物を含む。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質中のアルカリ金属ハロゲン化物の濃度は、約0.1mol/Lから約2.0mol/Lの範囲であり、例えば約0.1mol/Lから約0.5mol/Lの範囲、例えば約0.2mol/Lから約0.5mol/Lの範囲など、例として約0.3mol/Lから約0.4mol/Lの範囲である。少なくとも一つの態様において、溶解させるオキサレート化合物の量は、必要に応じて、電解質溶液の約0.1mol/L、0.2mol/L、0.3mol/L、0.4mol/L、0.5mol/L、0.6mol/L、0.8mol/L、又は1.0mol/Lである(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。1.0mol/Lを上回る濃度では、アルカリ金属ハロゲン化物を電解質中に溶解させることは困難になり、溶解度の問題が生じうる。
少なくとも一つの態様では、アルカリ金属ハロゲン化物は、周囲温度で、室温で、約25℃で、又は約10℃から約40℃、例えば、約20℃から約30℃にわたる温度で撹拌することにより溶解させる。少なくとも一つの態様では、工程160が実施される温度は、必要に応じて、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、又は40℃である(いずれの値も上端点又は下端点を形成することができる)。少なくとも一つの態様において、撹拌は、必要に応じて、又はすべてのアルカリ金属ハロゲン化物が溶解するまで、約5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、又は30分間実施される(いずれの値も、上端点又は下端点を形成することができる)。少なくとも一つの態様において、アルカリ金属ハロゲン化物は、周囲温度、室温、約25℃で15分間撹拌することにより溶解する。
随意で、工程170では、方法100は、界面活性剤を、例えば、水又は水溶液(例えば第6の電解質溶液)中に溶解させて電解質溶液(例えば、第7の電解質溶液)を形成することをさらに含む。界面活性剤は、孔食を防止する又は低減させ、クロムめっき中のガス発生(例えば、塩素ガス、水素ガスなど)を低減することができる。少なくとも一つの態様において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(NaC12H25SO4)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(CH3(CH2)11(OCH2CH2)nOSO3Na)、ラウリル硫酸カリウム(KC12H25SO4)、及び/又はその他の界面活性剤を含む。
少なくとも一つの態様において、本開示の電解質中の界面活性剤の濃度は、約0.0001mol/Lから約0.01mol/Lの範囲である。少なくとも一つの態様において、溶解させる界面活性剤の量は、電解質溶液の約0.0001mol/L、0.0002mol/L、0.0004mol/L、0.0006mol/L、0.0008mol/L、0.0010mol/L、0.0020mol/L、0.0040mol/L、0.0060mol/L、0.0080mol/L、又は0.0100mol/Lとすることができる(いずれの値も必要に応じて上端点又は下端点を形成することができる)。例えば、少なくとも一つの態様において、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、又はラウリル硫酸カリウムの量は、電解質溶液1リットルあたり約0.1gから約1gの範囲である。0.01mol/Lを上回る濃度では、界面活性剤は、槽の過剰な発泡及び不均一な堆積を生じさせうる。
随意で、工程180では、方法100は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、及び/又は硫酸(H2SO4)といった一又は複数の酸性水溶液又は塩基性水溶液を使用して、電解質溶液のpHを調節することをさらに含む。電解質溶液に加えられる酸性水溶液又は塩基性水溶液の容積は、電解質溶液の他の成分(錯体形成剤、緩衝剤など)の濃度が実質的に影響されないように、十分に小さい。代替的に、固体水酸化カリウム及び/又は固体水酸化ナトリウムを電解質溶液に直接加える、及び/又は濃縮した硫酸を電解質溶液に直接加える。少なくとも一つの態様において、電解質溶液のpHは、約1から約7、例えば約1から約5、例えば約1.5から約4など、例として1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5の標的pHに調節される。少なくとも一つの態様において、本開示の電解質溶液のpHは、電解質溶液に電流を通す前に調節される(以下で詳述する)。少なくとも一つの態様において、本開示の電解質溶液のpHは、電解質溶液に電流を通す間、標的pH標的pH範囲に維持される。
随意で、工程190では、平衡状態に到達させるための時間が提供される。少なくとも一つの態様において、溶液は、平衡状態に到達させるために、1時間から2日間にわたる時間の間放置される。平衡状態に到達させるために提供される時間は、約1時間、3時間、6時間、9時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、27時間、30時間、33時間、36時間、39時間、42時間、45時間、又は48時間とすることができる(いずれの値も必要に応じて上端点又は下端点を形成することができる)。
少なくとも一つの態様において、方法100は、提示された順序で実施される。代替的に、方法100は、異なる順序で実施される。少なくとも一つの態様において、いくつかの工程は順番に実施され、他の工程は異なる順序で実施される。例えば、工程110及び120は順番に実施され、工程130、140、150、160、170、180、及び190は、工程110及び120の後で異なる順序で実施される。別の実施例では、工程110及び工程120は、異なる順序で実施され、工程130、140、150、160、170、180、及び190は順番に実施される。別の実施例では、工程110、120、130、140、150、及び160は順番に実施され、工程170、180、及び190は異なる順序で実施される。一組の工程を、別の組の工程の前に実施することができる。例えば、工程110及び120は任意の順序で実施することができ、工程110及び120が実施された後、工程130、140、150、及び160が任意の順序で実施される。当業者であれば理解するように、他の順序も考慮される。さらに、工程170、180、及び190のうちの一又は複数は、いくつかの態様では省略される。
図2は、本開示の一又は複数の態様による、電着により基板上にクロム合金コーティングを形成するための方法200を示すフロー図である。工程210では、図1の方法100によるなどして電解質溶液が調製される。工程220では、方法200は、電解質溶液のpHを標的pH又は標的pH範囲に調節及び/又は維持することをさらに含む。少なくとも一つの態様において、標的pHは、約1から約4にわたるpHである。このpHは、約1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8又は4.0に維持することができる(いずれの値も適宜上端点又は下端点を形成することができる)。
工程230では、方法200は、電解質溶液(例えば工程210によって形成された電解質溶液)の温度を調節及び/又は維持することをさらに含む。少なくとも一つの態様において、温度は、任意の適切な加熱又は冷却装置を使用して、約20℃から約70℃、例えば約20℃から約40℃、例えば約20℃から約35℃、例として20℃、25℃、又は30℃の標的温度に調節/維持される。少なくとも一つの態様において、電解質溶液の温度は、電解質溶液に電流を通す前に調節される。少なくとも一つの態様において、電解質溶液の温度は、堆積層の外観を維持するために、電解質溶液に電流を通す間維持される。望ましい範囲内に温度を維持することにより、外観および合金組成に関して再生可能な結果が得られやすくなる。
方法は、工程240において,基板を含むカソードとアノードとを電解質溶液に導入することと、工程250において、クロム合金をカソード基板上に堆積させるために、カソードとアノードの間で電解質溶液に電流を通すこととをさらに含む。少なくとも一つの態様において、カソード基板は、例えば、鋼基板、鉄系合金基板、銅基板、真鍮基板、ニッケル基板、銅コーティング基板(例えば、銅コーティング鋼又は銅コーティング鉄系合金)、又はニッケルコーティング基板(例えば、ニッケルコーティング鋼又はニッケルコーティング鉄系合金)である。
少なくとも一つの態様において、アノードは、炭素質電極材料を含む。例えば、炭素質アノードは、グラファイトアノード又は炭素を含むその他のアノードとすることができる。少なくとも一つの態様において、グラファイトアノードは、塩素ベースの電解質溶液(例えば、塩化クロム(III)などの塩化物を有する一又は複数の化合物を含む電解質溶液)、硫酸塩ベースの電解質溶液(例えば、硫酸クロム(III)などの硫酸塩を有する一又は複数の化合物を含む電解質溶液)、又は塩化物と硫酸塩ベースの電解質溶液(例えば、塩化物を有する一又は複数の化合物と、硫酸塩を有する一又は複数のその他の化合物とを含む電解質溶液)のために使用される。有利には、グラファイトアノード又はその他の炭素質アノードは、ガス放出及び望ましくない副産物の形成を最小化するとともに、望ましい堆積率(例えば、1分あたり約1ミクロンから約2ミクロンにわたる)を促進する。代替的に、白金アノード又は白金めっきチタンアノードを、硫酸塩ベースの電解質溶液(例えば、硫酸クロム(III)などの硫酸塩を有する一又は複数の化合物を含む電解質溶液)のために使用することができる。例えば、白金アノード又は白金めっきチタンアノードは、塩素ガスが生成されないように電解質溶液が塩化物を有する化合物を含まないとき、又は塩素ガスの生成が低減されるように電解質溶液がより少ない塩化物を有するとき(例えば、炭素質アノードを使用して塩素ガスの生成を低減する必要がない)、使用することができる。
少なくとも一つの態様において、カソードとアノードの間に電流を通すことは、直流電流を使用して実施される。少なくとも一つの態様において、約50mA/cm2から約600mA/cm2、例えば約100mA/cm2から約500mA/cm2、例えば約100mA/cm2から約400mA/cm2、例えば約200mA/cm2から約400mA/cm2、例として200mA/cm2、250mA/cm2、又は300mA/cm2の電流密度を有する直流電流が使用される。電流密度の値は、カソードとアノードとの間の離間距離に応じて調節することができる。少なくとも一つの態様において、電流密度は、カソードとアノードとの間の離間距離に依存し、必要に応じて、約50mA/cm2、100mA/cm2、150mA/cm2、200mA/cm2、250mA/cm2、300mA/cm2、350mA/cm2、400mA/cm2、450mA/cm2、又は500mA/cm2である(いずれの値も必要に応じて上端点又は下端点を形成することができる)。例えば、約200mA/cm2から約400mA/cm2にわたる電流密度は、カソードとアノードが約3cmだけ分離しているときに適用することができる。本発明者らは、上記範囲内の電流密度が、望ましくない六価クロム副産物の形成を最小化するとともに、合理的な速度、例えば、0.5から1ミクロン/分の堆積を達成することを発見した。
カソードとアノードの間に電流を通すことに応じて、クロム及び鉄がカソード基板上に堆積する。工程250は、所望の厚さを有するクロム合金コーティング層が基板上に形成されるまで実施される。少なくとも一つの態様において、クロム合金コーティング層は、合金の合計重量に基づいて、約1重量%の鉄から約60重量%の鉄、例えば約1重量%の鉄から約20重量%の鉄、例えば約1重量%の鉄から約5重量%の鉄、又は約10重量%の鉄から約20重量%の鉄を有するクロム-鉄合金である。例えば、クロム-鉄合金は、約1重量%、2重量%、10重量%、11重量%、又は12重量%の鉄を有することができる。さらに、クロム-鉄合金は、合金の合計重量に基づいて、約80重量%のクロムから約99重量%のクロム、例えば約85重量%のクロムから約95重量%のクロム、例として約99重量%のクロム、98重量%のクロム、90重量%のクロム、89重量%のクロム、又は88重量%のクロムを有する。
工程250を実施することに応じて、クロムは基板上に堆積される。少なくとも一つの態様において、クロムと炭素が基板上に共堆積される。少なくとも一つの態様において、工程250は、所望の厚さ(例えば、約5ミクロンを上回る厚さ)を有するクロム層(例えば、クロムコーティング)又はクロム-炭素層(例えば、炭化クロムコーティング)が基板上に形成される。少なくとも一つの態様において、約5ミクロンを上回る厚さを有するクロム層は、約800HVを上回る難削性を有することができる。
態様
条項1.三価クロム塩;オキサレート化合物;鉄塩;硫酸アルミニウム;アルカリ金属硫酸塩;及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む、電気めっき用電解質溶液。
条項2.三価クロム塩が、電解質溶液1リットルあたり約0.3molから1リットルあたり約0.9molにわたる量で存在し;オキサレート化合物が、電解質溶液1リットルあたり約0.2molから1リットルあたり約1.2molにわたる量で存在し;鉄塩が、電解質溶液1リットルあたり約0.005molから1リットルあたり約0.2molにわたる量で存在し;硫酸アルミニウムが、1リットルあたり約0.05molから1リットルあたり約0.5molにわたる量で存在し;アルカリ金属硫酸塩が、電解質溶液1リットルあたり約0.1molから1リットルあたり約2.0molにわたる量で存在し;アルカリ金属ハロゲン化物が、電解質溶液1リットルあたり約0.1molから1リットルあたり約0.5molにわたる量で存在する、条項1の電解質溶液。
条項3.鉄塩が、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む二価の鉄塩である、条項1又は2の電解質溶液。
条項4.鉄塩が、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、酢酸鉄(III)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む三価の鉄塩である、条項1から3のいずれかの電解質溶液。
条項5.三価クロム塩が、ハロゲン化クロム(III)、硫酸クロム(III)、又はこれらの組み合わせより選択される、条項1から4のいずれかの電解質溶液。
条項6.オキサレート化合物が、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、オキサレートの酸、又はこれらの組み合わせより選択される、条項1から5のいずれかの電解質溶液。
条項7.アルカリ金属硫酸塩が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項1から6のいずれかの電解質溶液。
条項8.アルカリ金属ハロゲン化物が、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項1から7のいずれかの電解質溶液。
条項9.電解質溶液のpHが約1から約4の範囲である、条項1から8のいずれかの電解質溶液。
条項10.ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせをさらに含む、条項1から9のいずれかの電解質溶液。
条項11.電解質溶液1リットルあたり約0.3molから1リットルあたり約0.9molにわたる量の三価クロム塩;電解質溶液1リットルあたり約0.2molから1リットルあたり約1.2molにわたる量のオキサレート化合物;電解質溶液1リットルあたり約0.005molから1リットルあたり約0.2molにわたる量の鉄塩;1リットルあたり約0.05molから1リットルあたり約0.5molにわたる量の硫酸アルミニウム;電解質溶液1リットルあたり約0.1molから1リットルあたり約2.0molにわたる量のアルカリ金属硫酸塩;及び電解質溶液1リットルあたり約0.1molから1リットルあたり約0.5molにわたる量のアルカリ金属ハロゲン化物を含む、電気めっき用電解質溶液。
条項12.鉄塩が、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む二価の鉄塩である、条項11の電解質溶液。
条項13.鉄塩が、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、酢酸鉄(III)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む三価の鉄塩である、条項11又は12の電解質溶液。
条項14.三価クロム塩が、ハロゲン化クロム(III)、硫酸クロム(III)、又はこれらの組み合わせより選択される、条項11から13のいずれかの電解質溶液。
条項15.オキサレート化合物が、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、オキサレートの酸、又はこれらの組み合わせより選択される、条項11から14のいずれかの電解質溶液。
条項16.アルカリ金属硫酸塩が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項11から15のいずれかの電解質溶液。
条項17.アルカリ金属ハロゲン化物が、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項11から16のいずれかの電解質溶液。
条項18.電解質溶液のpHが約1から約4の範囲である、条項11から17のいずれかの電解質溶液。
条項19.ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせをさらに含む、条項11から18のいずれかの電解質溶液。
条項20.電解質溶液を使用して基板上にクロムめっきする方法であって、水性媒体中に、電解質溶液1リットルあたり約0.3molから1リットルあたり約0.9molにわたる量の三価クロム塩を溶解させること;電解質溶液1リットルあたり約0.2molから1リットルあたり約1.2molにわたる量のオキサレート化合物を溶解させること;電解質溶液1リットルあたり約0.005molから1リットルあたり約0.2molにわたる量の鉄塩を溶解させること;1リットルあたり約0.05molから1リットルあたり約0.5molにわたる量の硫酸アルミニウムを溶解させること;電解質溶液1リットルあたり約0.1molから1リットルあたり約2.0molにわたる量のアルカリ金属硫酸塩を溶解させること;電解質溶液1リットルあたり約0.1molから1リットルあたり約0.5molにわたる量のアルカリ金属ハロゲン化物を溶解させること;及び基板上にクロムを堆積させるために、カソードとアノードの間で電解質溶液に電流を通すことを含む方法。
条項21.カソードが、鋼基板、銅基板、真鍮基板、ニッケル基板、銅コーティング基板、又はニッケルコーティング基板である、条項20の方法。
条項22.アノードが、白金材料、白金めっきチタン材料、又は炭素質電極材料である、条項20又は21の方法。
条項23.電流が、アノードとカソードの間に直流電流を通すことにより、約150から約600mA/cm2の範囲の電流密度を有する、条項20から22のいずれかの方法。
条項24.電流密度が約200から約400mA/cm2の範囲の電流密度を有する、条項20から23のいずれかの方法。
条項25.電解質溶液が、摂氏約20℃から約60℃の範囲の温度に維持される、条項20から24のいずれかの方法。
条項26.電解質溶液のpHを約1.5から約4の範囲のpHに調節することをさらに含む、条項20から25のいずれかの方法。
条項27.鉄塩が、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む二価の鉄塩である、条項20から26のいずれかの方法。
条項28.鉄塩が、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、酢酸鉄(III)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む三価の鉄塩である、条項20から27のいずれかの方法。
条項29.三価クロム塩が、ハロゲン化クロム(III)、硫酸クロム(III)、又はこれらの組み合わせより選択される、条項20から28のいずれかの方法。
条項30.オキサレート化合物が、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、オキサレートの酸、又はこれらの組み合わせより選択される、条項20から29のいずれかの方法。
条項31.アルカリ金属硫酸塩が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項20から30のいずれかの方法。
条項32.アルカリ金属ハロゲン化物が、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項20から31のいずれかの方法。
条項33.電解質溶液1リットルあたり約0.1グラムから1リットルあたり約1グラムにわたる量のラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを溶解させることをさらに含む、条項20から32のいずれかの方法。
条項34.電解質溶液を使用して基板上にクロムめっきする方法であって、カソードとアノードを、三価クロム塩、オキサレート化合物、鉄塩、硫酸アルミニウム、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む電解質溶液に導入すること;及び基板上にクロム層を堆積させるためにアノードとカソードの間で電解質に電流を通すことを含む方法。
条項35.カソードが、鋼基板、銅基板、真鍮基板、ニッケル基板、銅コーティング基板、又はニッケルコーティング基板である、条項34の方法。
条項36.アノードが、白金材料、白金めっきチタン材料、又は炭素質電極材料である、条項34又は35の方法。
条項37.電流が、アノードとカソードの間に直流電流を通すことにより、約100から約600mA/cm2の範囲の電流密度を有する、条項34から36のいずれかの方法。
条項38.電流密度が約200から約400mA/cm2の範囲の電流密度を有する、条項34から37のいずれかの方法。
条項39.電解質溶液が、摂氏約20℃から約60℃の範囲の温度に維持される、条項34から38のいずれかの方法。
条項40.電解質溶液のpHを約1.5から約4の範囲のpHに調節することをさらに含む、条項34から39のいずれかの方法。
条項41.鉄塩が、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む二価の鉄塩である、条項34から40のいずれかの方法。
条項42.鉄塩が、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、酢酸鉄(III)、及びこれらの水和物のうちの一又は複数を含む三価の鉄塩である、条項34から41のいずれかの方法。
条項43.三価クロム塩が、ハロゲン化クロム(III)、硫酸クロム(III)、又はこれらの組み合わせより選択される、条項34から42のいずれかの方法。
条項44.オキサレート化合物が、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、オキサレートの酸、又はこれらの組み合わせより選択される、条項34から43のいずれかの方法。
条項45.アルカリ金属硫酸塩が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項34から44のいずれかの方法。
条項46.アルカリ金属ハロゲン化物が、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、又はこれらの組み合わせより選択される、条項34から45のいずれかの方法。
条項47.電解質溶液1リットルあたり約0.1グラムから1リットルあたり約1グラムにわたる量のラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを溶解させることをさらに含む、条項34から46のいずれかの方法。
条項48.約40重量%から約90重量%の範囲のクロム含有量、約8重量%から約18重量%の範囲の鉄含有量、及び約5重量%から約50重量%の範囲の炭素含有量を有するクロム-鉄合金コーティングを含む基板。
条項49.基板が、鋼、銅、真鍮、又はニッケルのうちの一又は複数を含む、条項48の基板。
条項50.コーティングが、約1ミクロンから約100ミクロンの厚さを有する、条項48又は49の基板。
ここに記載される態様をさらに説明するために、以下の非限定的実施例が提供される。しかしながら、これら実施例は、包括的であることを意図しておらず、ここに記載される態様の範囲を限定することを意図してもいない。
実施例1
実施例1の成分を、まずクロム塩化物六水和物及びシュウ酸ナトリウムと、続いて金属塩と、段階的に混合した。実施例1のpHは~2.2であった。
実施例2
実施例2の成分を、まずクロム塩化物六水和物及びシュウ酸ナトリウムと、続いて金属塩と、段階的に混合した。実施例2の成分は実施例1と同様であるが、但し硫酸第一鉄七水和物の量を実施例1の成分と比較して10倍に増加させた。実施例1のpHは~2.2であった。
実施例3
実施例3の成分を、まずクロム塩化物六水和物及びシュウ酸ナトリウムと、続いて金属塩と、段階的に混合した。実施例3の成分は実施例1の成分と同様であるが、但し実施例3では硫酸第一鉄七水和物は塩化第二鉄で置き換えられる。実施例1のpHは約2.2であった。
図3は、図2のプロセスにより形成されたクロム-鉄合金めっき基板310、320、330、及び340の画像300であり、各基板は実施例1の電解質溶液を使用して異なる電流密度でめっきされている。各クロム-鉄合金めっき基板310、320、330、及び340に関し、めっきパラメーターは、温度30℃及びpH約2.2に電解質溶液を維持しながら、約1時間のめっき時間であった。クロム-鉄合金めっき基板310は100mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果12μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板320は200mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果15μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板330は250mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果28μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板340は300mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果32μmの厚さを有するクロム-鉄層が得られた。X線蛍光を各コーティングの一部分に対して実施し、クロム含有量及び鉄含有量を重量%で決定した。X線蛍光は炭素を検出しないため、少なくとも一つの態様において、ここに記載されるクロム-鉄合金は炭素も含むが、炭素はX線蛍光結果に示されないことに注意されたい。
結果を表Iに示す。
表Iに示されるように、100mA/cm2から約300mA/cm2にわたるいずれの電流密度も、クロム-鉄合金層を堆積させる。約200mA/cm2から約280mA/cm2にわたる電流密度は、低鉄含有量の厚いクロム-鉄合金層を提供する。さらに、100mA/cm2の電流密度は、約200mA/cm2から約300mA/cm2にわたる電流密度に対して、高鉄含有量の最も薄いクロム-鉄合金を提供する。
図4は、図2のプロセスにより形成されたクロム-鉄合金めっき基板410、420、430、440、及び450の画像400であり、各基板は実施例1の電解質溶液を使用して異なるpHでめっきされている。各クロム-鉄合金めっき基板410、420、430、440、及び450に関し、めっきパラメーターは、温度30℃に電解質溶液を維持しながら、約1時間のめっき時間で250mA/cm2の電流密度での直流電流であった。クロム-鉄合金めっき基板410は1.0のpHでめっきされ、その結果むらのあるクロム-鉄合金堆積物が得られ、これは測定しなかったが10μm未満であると考えられた。クロム-鉄合金めっき基板420は2.0のpHでめっきされ、その結果むらのあるクロム-鉄合金堆積物が得られ、これは測定しなかったが10μm未満であると考えられた。クロム-鉄合金めっき基板430は2.5のpHでめっきされ、その結果20μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板440は3.0のpHでめっきされ、その結果28μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板450は3.5のpHでめっきされ、その結果45μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。X線蛍光を各コーティングの一部分に対して実施し、クロム含有量及び鉄含有量を重量%で決定した。結果を表IIに示す。
表IIに示すように、2.5から3.5にわたるいずれのpHも、クロム-鉄合金層を堆積させる。2.5から3.0のpH範囲は、有利には、所望の鉄含有量を有する厚いクロム-鉄合金層を提供する。3.5のpHは、2.5から3.0のpH範囲に対して、より低い鉄含有量を有するより厚いクロム-鉄合金層を提供する。
図5は、図2のプロセスにより形成されたクロム-鉄合金めっき基板510、520、530、及び540の画像500であり、実施例2の電解質溶液を使用して各々が異なる電流密度でめっきされている。各クロム-鉄合金めっき基板510、520、530、及び540に関し、めっきパラメーターは、温度30℃及びpH約2.2に電解質溶液を維持しながら、約1時間のめっき時間であった。クロム-鉄合金めっき基板510は100mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果30μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板520は200mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果40μmの厚さのクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板530は250mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果70μmの厚さのクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板540は300mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果50μmの厚さを有するクロム-鉄層が得られた。X線蛍光を各コーティングの一部分に対して実施し、クロム含有量及び鉄含有量を重量%で決定した。結果を表IIIに示す。
表IIIに示されるように、100mA/cm2から約300mA/cm2にわたるいずれの電流密度も、クロム-鉄合金を堆積させる。約100mA/cm2から約250mA/cm2にわたる電流密度は、厚いクロム-鉄合金層を提供する。さらに、300mA/cm2の電流密度では、250mA/cm2の電流密度で堆積されたクロム-鉄合金の厚さと比較して、クロム-鉄合金の厚さが低減する。
図6は、図2のプロセスにより形成されたクロム-鉄合金めっき基板610、620、630、640、650、及び660の画像600であり、実施例2の電解質溶液を使用して各々が異なるpHでめっきされている。各クロム-鉄合金めっき基板610、620、640、650、及び660に関し、めっきパラメーターは、温度30℃に電解質溶液を維持しながら、約1時間のめっき時間で250mA/cm2の電流密度での直流電流であった。クロム-鉄合金めっき基板610は1.5のpHでめっきされ、その結果むらのあるクロム-鉄合金堆積物が得られた。クロム-鉄合金めっき基板620は2.0のpHでめっきされ、その結果むらのあるクロム-鉄合金堆積物が得られた。クロム-鉄合金めっき基板630は2.5のpHでめっきされ、その結果50μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板640は3.0のpHでめっきされ、その結果70μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板650は3.5のpHでめっきされ、その結果50μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板660は4.0のpHでめっきされた。X線蛍光を各コーティングの一部分に対して実施し、クロム含有量及び鉄含有量を重量%で決定した。結果を表IVに示す。
表IVに示すように、1.5から4.0にわたるいずれのpHも、クロム-鉄合金層を堆積させる。2.0から4.0のpH範囲は、有利には、所望の高クロム含有量を有する厚いクロム-鉄合金層を提供する。3.0のpHは、良質の堆積物を有するより厚いクロム-鉄合金層を提供する。4のpHでは、堆積物は縁にバーニングを呈し、2以下のpHでは、堆積物はむらがあった。
図7は、図2のプロセスにより形成されたクロム-鉄合金めっき基板710、720、730、740、750、及び760の画像700であり、実施例3の電解質溶液を使用して各々が異なる電流密度でめっきされている。各クロム-鉄合金めっき基板710、720、720、730、740、及び760に関し、めっきパラメーターは、温度30℃及びpH約2.2に電解質溶液を維持しながら、約1時間のめっき時間であった。クロム-鉄合金めっき基板710は100mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果、厚さ10μm未満と考えられるむらのあるクロム-鉄合金堆積物が得られた。クロム-鉄合金めっき基板720は150mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果、厚さ10μm未満と考えられるむらのあるクロム-鉄合金堆積物が得られた。クロム-鉄合金めっき基板730は200mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果10μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板740は300mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果30μmの厚さを有するクロム-鉄層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板750は400mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果50μmの厚さを有するクロム-鉄層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板760は500mA/cm2の電流密度でめっきされ、その結果縁にバーニングを呈する堆積物が得られた。
表Vに示されるように、200mA/cm2から約400mA/cm2にわたるいずれの電流密度もクロム-鉄合金を堆積させる。約300mA/cm2から約400mA/cm2にわたる電流密度は、厚いクロム-鉄合金層を提供する。さらに、500mA/cm2の電流密度では、クロム-鉄合金の厚さは、400mA/cm2の電流密度で堆積されたクロム-鉄合金の厚さと比較して増加したが、縁の堆積物は燃焼した(黒色火薬)。
図8は、図2のプロセスにより形成されたクロム-鉄合金めっき基板810、820、830、840、850、860、及び870の画像800であり、実施例3の電解質溶液を使用して各々が異なるpHでめっきされている。各クロム-鉄合金めっき基板810、810、820、850、860、及び870に関し、めっきパラメーターは、温度約30℃に電解質溶液を維持しながら、約1時間のめっき時間で250mA/cm2の電流密度での直流電流であった。クロム-鉄合金めっき基板810は1.0のpHでめっきされ、その結果20μmの厚さを有するクロム-鉄合金堆積物が得られた。クロム-鉄合金めっき基板820は1.5のpHでめっきされ、その結果24μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板830は2.0のpHでめっきされ、その結果20μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板840は3.0のpHでめっきされ、その結果16μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板860は3.5のpHでめっきされ、その結果16μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板870は4.0のpHでめっきされ、その結果厚みの小さなむらのあるクロム-鉄合金堆積物が得られた。X線蛍光を、pH2及びpH2.5で堆積されたコーティングの一部分に対して実施し、クロム含有量及び鉄含有量を重量%で決定した。結果を表VIに示す。
表VIに示すように、1.0から4.0にわたるいずれのpHも、クロム-鉄合金を堆積させる。1.0から2.5にわたるpHは、有利には、より高いpHよりも、厚いクロム-鉄合金層を提供する。さらに、1.5から2.0にわたるpHは、最も厚いクロム-鉄合金層を提供する。
図9は、図2のプロセスにより形成されたクロム-鉄合金めっき基板910、920、930、及び940の画像900であり、各基板は実施例3の電解質溶液を使用して異なる温度でめっきされている。各クロム-鉄合金めっき基板910、920、930、及び940に関し、めっきパラメーターは、pH約2.1に電解質溶液を維持しながら、約1時間のめっき時間で250mA/cm2の電流密度での直流電流であった。クロム-鉄合金めっき基板910は30℃の温度でめっきされ、その結果40μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板920は40℃の温度でめっきされ、その結果30μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板930は50℃の温度でめっきされ、その結果30μmの厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。クロム-鉄合金めっき基板940は60℃の温度でめっきされ、その結果小さい厚さを有するクロム-鉄合金層が得られた。結果を表VIIに示す。
表VIIに示すように、約30℃から約50℃にわたるいずれの温度も、クロム-鉄合金層を堆積させる。30℃の操作温度は、最も厚いクロム-鉄合金層を提供するが、40℃での堆積物の方が美的に優れていた。
実施例3の電解質溶液を使用して、電解質溶液を約40℃の温度及び約2.5のpHに維持しながら、クロム-鉄-合金コーティングを、300mA/cm2の電流密度の直流電流により、約2時間のめっき時間にわたってTaber Wearパネル上に堆積させた。SEM-EDSにより測定したコーティングの合金組成は、クロム~41重量%、鉄~10重量%、及び炭素~49重量%であった。難削性の値を、「めっきされたまま(as plated)」のクーポン上で、並びに約190℃で23時間クーポンを焼成した後で、測定した。得られたクロム-鉄-合金コーティングを、耐摩耗性について評価した。耐摩耗性の測定を、ASTM D 4060により特定されるTaber摩耗試験を使用して実施した。使用した研削砥石は、ホイールあたり500gの負荷を有するCS10であり、研削は60rpmの回転速度で10,000サイクル実施された。Taber摩耗指数は10未満であった。「めっきされたまま」のクロム-鉄合金層の5回の難削性測定の平均は1056HVであった。「焼成した」クロム-鉄合金層の5回の難削性測定の平均は1187HVであった。
実施例1の電解質溶液を使用して、電解質溶液を約35℃の温度及び約2.5のpHに維持しながら、クロム-鉄-合金コーティングを、250mA/cm2の電流密度の直流電流により、約2時間のめっき時間にわたって上に堆積させた。SEM-EDSにより測定したコーティングの合金組成は、クロム~80重量%、鉄~12重量%、及び炭素~8重量%であった。難削性の値を、「めっきされたまま(as plated)」のクーポン上で、並びに約190℃で23時間クーポンを焼成した後で、測定した。「めっきされたまま」のクロム-鉄合金層の5回の難削性測定の平均は1147HVであった。「焼成した」クロム-鉄合金層の5回の難削性測定の平均は1249HVであった。
全体として、本開示は、クロム-鉄合金の電着のための電解質溶液、クロム-鉄合金の形成方法、及びクロム-鉄合金の電着方法を改善する。
本開示の様々な態様の説明は、例示を目的として提示されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された態様に限定されることを意図していない。当業者には、記載の態様の範囲及び精神から逸脱することなく、多数の修正例及び変更例が明らかであろう。本明細書で使用された用語は、態様の原理、市場で見られる技術に対する実用的適用又は技術的改善を最もよく説明するため、或いは、他の当業者が本明細書で開示された態様を理解することを可能にするために選択されている。以上は本開示の態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の態様及びさらなる態様を考案することができる。