JP7690729B2 - 化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(a)長さ加重0.0mm~0.2mmの繊維長分布(%)が40%以上
(b)長さ加重0.2mm~7.6mmの繊維長分布(%)が35%以上
従って、前記課題は以下の本発明により解決される。
(a)長さ加重0.0mm~0.2mmの繊維長分布(%)が40%以上
(b)長さ加重0.2mm~7.6mmの繊維長分布(%)が35%以上
(2) 化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維がカルボキシル基を有するセルロース繊維である、(1)に記載の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維。
(3) 化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維がカルボキシメチル化セルロースである、(1)ないし(2)に記載の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維。
(4) 下記(A)~(B)の工程を含む化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の製造方法であって、
(A)化学変性セルロースを準備する工程、
(B)前記化学変性セルロースをpH3~7、固形分濃度15質量%以下で解繊処理する工程、
を含み、
上記化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維が下記(a)~(b)の特徴を有する化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の製造方法。
固形分濃度0.3%の複合繊維の水性懸濁液を、流速5.7L/min、水温25±1℃、全流出量22Lの条件で繊維分級分析装置を用いて分級処理したとき、
(a)長さ加重0.0mm~0.2mmの繊維長分布(%)が40%以上
(b)長さ加重0.2mm~7.6mmの繊維長分布(%)が35%以上
(5) 下記(A)~(C)の工程を含む化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の製造方法であって、
(A)化学変性セルロースを準備する工程、
(B)前記化学変性セルロースをpH3~7、固形分濃度15質量%以下で解繊処理する工程、
(C)前記解繊処理で得られた化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維水性分散液をpH7以上に調整する工程
を含み、
上記化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維が下記(a)~(b)の特徴を有する化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の製造方法。
固形分濃度0.3%の複合繊維の水性懸濁液を、流速5.7L/min、水温25±1℃、全流出量22Lの条件で繊維分級分析装置を用いて分級処理したとき、
(a)長さ加重0.0mm~0.2mmの繊維長分布(%)が40%以上
(b)長さ加重0.2mm~7.6mmの繊維長分布(%)が35%以上
む。
・繊維長分布:化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維のスラリーを固形分濃度が0.25%となるように水で希釈し、流速5.7L/min、水温25±1℃、全流出量22Lの条件で約250Gずつ(うち50gが測定に供される)2回フラクショネーターにかけ、フラクショネーターに付属のCCDカメラで装置内部にて分級された化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の画像をおよそ2000枚を取得した。解析ソフトIMG(Metso社)の繊維解析パラメーターを適宜設定し、取得したおよそ2000枚の画像を解析し、繊維長分布等のデータを得る。
<化学変性セルロース>
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の原料に用いる化学変性セルロースは、繊維を構成するセルロース鎖が化学的に変性されているものである。化学変性セルロースの種類としては、これらに限定されないが、例えば、カルボキシル基を導入したカルボキシル化セルロース、カルボキシメチル基などのカルボキシアルキル基をエーテル結合させたカルボキシアルキル化セルロース、リン酸基を導入したリン酸エステル化セルロースなどを挙げることができる。中でも、酸化(カルボキシル化)、エーテル化(例えば、カルボキシアルキル化)、カチオン化、エステル化が好ましく、酸化(カルボキシル化)、カルボキシアルキル化がより好ましい。これらの製法は後述する。
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維は、化学変性されたセルロース原料をリファイナーなどを用いて適度に叩解または解繊(フィブリル化)することにより得られるものである。化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維は、叩解または解繊されていない化学変性セルロース繊維に比べて、繊維表面にセルロースのミクロフィブリルの毛羽立ちが見られる。また、化学変性セルロースナノファイバーに比べて、繊維径が大きく、繊維自体の微細化(内部フィブリル化)を抑制しながら効率的に繊維表面を毛羽立たせた(外部フィブリル化)した形状を有する。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維についてバルメット株式会社製フラクショネーターを用いて測定したフィブリル化率(Fibrillation %)は、0.5%以上であることが好ましく、0.8%以上であることがより好ましく、1.0%以上であることがさらに好ましい。使用したセルロース原料の種類によってフィブリル化率は異なるが、上記範囲であればフィブリル化が行なわれていると考えられる。また、本発明では、フィブリル化する前の化学変性されたセルロース原料のフィブリル化率(f0)が、向上するようにフィブリル化を行うことが好ましい。フィブリル化された化学変性セルロース繊維のフィブリル化率をfとすると、フィブリル化率の差Δf=f-f0は、0を超えていればよく、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.2%以上であり、さらに好ましくは0.3%以上である。
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維におけるセルロースの結晶化度は、結晶I型が50%以上であり、60%以上であることがより好ましい。セルロースの結晶性は、化学変性の度合によって制御できる。セルロースI型の結晶化度の上限は特に限定されない。現実的には90%程度が上限となると考えられる。
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度。
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維のアニオン化度(アニオン電荷密度)は、通常は2.50meq/g以下であり、2.30meq/g以下が好ましく、2.00meq/g以下がより好ましく、1.50meq/g以下、1.00meq/g以下がさらに好ましい。これにより、アニオン化度がより高い化学変性セルロース繊維に比べ、化学変性がセルロース全体にわたり均一になされていると考えられ、保水性等の化学変性セルロース繊維に特有の効果をより安定に得ることができると考えられる。下限は、通常は0.08meq/g以上、好ましくは0.10meq/g以上、より好ましくは0.30meq/g以上であるが、特に限定されない。従って、0.08meq/g以上2.50meq/g以下が好ましい。アニオン化度は、単位質量の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維あたりのアニオンの当量であり、単位質量の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維においてアニオン性基を中和するのに要するジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)の当量から算出できる。本発明において、アニオン化度の測定方法は、以下の通りである:
化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維を水に分散し、固形分10g/Lの水分散体を調製し、マグネチックスターラーを用い10分以上1000rpmにて撹拌する。得られたスラリーを0.1g/Lに希釈後、10ml採取し、流動電流検出器(Mutek Particle Charge Detector 03)用い、1/1000規定度のジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)で滴定して、流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量を用い、以下の式によりアニオン化度を算出する。:
q=(V×c)/m
q:アニオン化度(meq/g)
V:流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量(L)
c:DADMACの濃度(meq/L)
m:測定試料中の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の質量(g)
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維は、以下の方法で測定される保水能が、15以上であることが好ましい。保水能の測定方法は、以下の通りである:
化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の固形分0.3質量%のスラリー(媒質:水)を40mL調製する。このときのスラリーの質量をAとする。次いで、スラリーの全量を高速冷却遠心機で30℃で25000Gで30分間遠心分離し、水相と沈降物とを分離する。このときの沈降物の質量をBとする。また、水相をアルミカップに入れ、105℃で一昼夜乾燥させて水を除去し、水相中の固形分の質量を測定する。この水相中の固形分の質量をCとする。以下の式を用いて、保水能を計算する:
保水能=(B+C-0.003×A)/(0.003×A-C)。
本発明において、B型粘度の測定方法は、以下の通りである:
化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維をポリプロピレン製容器に量り取り、イオン交換水160mlに分散し、固形分1質量%となるように水分散体を調整する。水分散体を25℃に調整する。その後、その後、JIS-Z-8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、回転数60rpmで1分後の粘度を測定する。
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維は、固形分濃度1.0質量%の水分散体とした際に、好ましくは500mS/m以下の電気伝導度を有する。より好ましくは300mS/m以下であり、さらに好ましくは200mS/m以下であり、さらに好ましくは100mS/m以下であり、さらに好ましくは70mS/m以下である。電気伝導度の下限は、好ましくは5mS/m以上であり、より好ましくは10mS/m以上である。電気伝導度は、以下の方法により測定できる:
化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の固形分濃度1.0質量%の水分散体200gを調製し、十分に撹拌する。その後、電気伝導度計(HORIBA社製ES-71型)を用いて電気伝導度を測定する。
(1)化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の約2%スラリー(分散媒:水)を、固形分が約0.1gとなるように取り分け遠心分離の容器に入れ、100mlのエタノールを加える。
(2)攪拌子を入れ、500rpmで30分以上攪拌する。
(3)撹拌子を取り出し、遠心分離機で、7000G、30分、30℃の条件で化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維を沈降させる。
(4)化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維をできるだけ除去しないようにしながら、上澄みを除去する。
(5)100mlエタノールを加え、撹拌子を加え、(2)の条件で攪拌、(3)の条件で遠心分離、(4)の条件で上澄み除去をし、これを3回繰り返す。
(6)(5)の溶媒をエタノールからt-ブタノールに変え、t-ブタノールの融点以上の室温下で、(5)と同様にして撹拌、遠心分離、上澄み除去を3回繰り返す。
(7)最後の溶媒除去後、t-ブタノールを30ml加え、軽く混ぜた後ナスフラスコに移し、氷浴を用いて凍結させる。
(8)冷凍庫で30分以上冷却する。
(9)凍結乾燥機に取り付け、3日間凍結乾燥する。
(10)BET測定を行う(前処理条件:窒素気流下105℃2時間、相対圧0.01~0.30、サンプル量30mg程度)。
化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の水分散体(固形分1%(w/v)、分散媒:水)を調製し、UV-VIS分光光度計 UV-1800(島津製作所社製)を用い、光路長10mmの角型セルを用いて波長660nmの光の透過率を測定する。
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維は、まず化学変性されたセルロース原料を準備し、次いでそれをフィブリル化することにより製造することができる。化学変性の種類としては、前述した通り、例えば、セルロースのカルボキシル化、カルボキシアルキル化、リン酸エステル化などを挙げることができるが、これらに限定されない。フィブリル化に供する化学変性されたセルロース原料としては、市販のものを用いてもよいし、例えば後述するセルロース原料を、後述する方法で化学変性することにより、製造してもよい。
本発明の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の原料となるセルロースとしては、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物に由来するものが挙げられる。植物由来のものとしては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、針葉樹溶解パルプ、広葉樹溶解パルプ、再生パルプ、古紙等)が挙げられる。また、上述のセルロース原料を粉砕処理したセルロースパウダーを使用してもよい。セルロース原料として、これらのいずれかまたは組合せを使用してもよいが、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維であり、さらに好ましくは木質系パルプである。
化学変性されたセルロース原料の一例として、カルボキシル化(カルボキシル基のセルロースへの導入、「酸化」とも呼ぶ。)されたセルロース原料を用いることができる。カルボキシル化されたセルロース原料(「酸化されたセルロース原料」とも呼ぶ)としては、市販のものを用いてもよいし、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより製造してもよい。カルボキシル基の量はカルボキシル化セルロース繊維の絶乾質量に対して、0.1~2.5mmol/gが好ましく、0.6mmol/g~2.5mmol/gがさらに好ましく、1.0mmol/g~2.0mmol/gがさらに好ましい。
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する。
フィブリル化する前のカルボキシル化されたセルロース原料におけるカルボキシル基量と、フィブリル化した後のカルボキシル化セルロース繊維におけるカルボキシル基量とは、通常同じである。
化学変性されたセルロース原料の一例として、カルボキシメチル基等のカルボキシアルキル基をエーテル結合させたセルロース原料(カルボキシアルキル化されたセルロース原料)を用いることができる。このような原料は、市販のものを用いてもよいし、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシアルキル化することにより製造してもよい。セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は0.01~0.50であることが好ましい。上限は好ましくは0.40以下である。カルボキシアルキル置換度が0.50を超えると水への溶解が起こりやすくなり、水中で繊維形態を維持できなくなる。カルボキシアルキル化による効果を得るためには、一定程度の置換度を有することは必要であり、例えば、置換度が0.02より小さいと、用途によっては、カルボキシアルキル基を導入したことによる利点が得られない場合がある。したがって、カルボキシアルキル置換度は、0.02以上であることが好ましく、0.05以上であることが更に好ましく、0.10以上であることが更に好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.20以上であることがさらに好ましく、0.25以上であることがさらに好ましい。カルボキシアルキル置換度は、反応させるカルボキシアルキル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振盪して、塩型のカルボキシアルキル化セルロースを水素型のカルボキシアルキル化セルロースに変換する。水素型のカルボキシアルキル化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLで湿潤し、0.1N-NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N-H2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシアルキル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’-0.1N-H2SO4(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシアルキル化セルロースの絶乾質量(g))
カルボキシアルキル置換度=0.162×A/(1-0.058×A)
F’:0.1N-H2SO4のファクター
F:0.1N-NaOHのファクター。
AM = (DS×セルロースのモル数)/カルボキシメチル化剤のモル数
DS: カルボキシメチル置換度(測定方法は後述する)
セルロースのモル数:パルプ質量(100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量)/162
(162はセルロースのグルコース単位当たりの分子量)。
化学変性されたセルロース原料の一例として、リン酸エステル化されたセルロース原料を用いることができる。エステル化の方法としては、セルロース原料にリン酸基を有する化合物の粉末や水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーにリン酸基を有する化合物の水溶液を添加する方法等が挙げられる。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらの1種、あるいは2種以上を併用してセルロース原料にリン酸基を導入することができる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応を均一に進行できかつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸基を有する化合物は水溶液として用いることが望ましい。リン酸基を有する化合物の水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、繊維の加水分解を抑える観点からpH3~7が好ましい。
工程Bにおいて、化学変性されたセルロース原料を解繊または叩解することにより、化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維を得る。フィブリル化における解繊または叩解は、ディスク型、コニカル型、シリンダー型等といったリファイナー、高速解繊機、せん断型撹拌機、コロイドミル、高圧噴射分散機、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなどを用いて、湿式で(すなわち、水等を分散媒とする分散体の形態で)行うことが好ましいが、特にこれらの装置に限定されず、湿式にて機械的な解繊力を付与する装置であればいずれでもよい。
必要に応じて、工程Bで得られた化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維懸濁液をpH7以上に調整する工程Cを設けてもよい。pH7以上に調整することで、化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の変性末端が乖離型(塩型)である割合を高くすることができる。そのようにすることで化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維のアニオン化度が大きくなるため、紙等に配合した際に、紙料中の電荷コントロールや薬品との相互作用による強度発現、電荷の反発による良好な分散性などの発現が期待される。
(化学特性)
・カルボキシル(COOH)基量:サンプルの0.5質量%水分散体60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした。その後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定した。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔ml〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕。
・アニオン化度の測定方法:化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維を水に分散し、固形分10g/Lの水分散体を調製し、マグネチックスターラーを用い10分以上1000rpmにて撹拌した。得られた水分散体を0.1g/Lに希釈後、10ml採取し、流動電流検出器(Mutek Particle Charge Detector 03)用い、1/1000規定度のジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)で滴定して、流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量を用い、以下の式によりアニオン化度を算出した:
q=(V×c)/m
q:アニオン化度(meq/g)
V:流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量(L)
c:DADMACの濃度(meq/L)
m:測定試料中の化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の質量(g)。
・繊維長分布:化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維のスラリーを固形分濃度が0.25%となるように水で希釈し、流速5.7L/min、水温25±1℃、全流出量22Lの条件で約250Gずつ(うち50gが測定に供される)2回フラクショネーターにかけ、フラクショネーターに付属のCCDカメラで装置内部にて分級された化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の画像をおよそ2000枚を取得した。
解析ソフトIMG(Metso社)の繊維解析パラメーターを表1、2のように設定し、取得したおよそ2000枚の画像を解析し、平均繊維長・平均繊維幅、繊維長分布等のデータを得た。2回測定・解析を行った平均値を測定データとして採用した。
・平均繊維長:長さ加重平均繊維長Lc(l) mm Length-weighted average fiber length
・平均繊維幅:長さ加重平均繊維幅Fiber width μm Length-weighted fiber width
・繊維長分布:長さ加重繊維長分布 Fraction percentage of length weighted distribution
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(NBKP、日本製紙(株)製、白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物に塩酸を添加しpH2に調整した後、ガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、分離されたパルプを十分に水洗して、TEMPO酸化パルプを得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.42mmol/g、pHは4.5であった。
<マイクロフィブリル化>
得られたTEMPO酸化パルプの固形分濃度4.0質量%、pH4.5の水分散体を調製し、トップファイナー(相川鉄工株式会社製)を用いて10分間処理し、化学変性ミクロフィブリルセルロース(TEMPO酸化MFC)を調製した。得られた化学変性ミクロフィブリルセルロースの物性値を表1に示す。各物性値の測定方法は、上述した通りである。
トップファイナーを用いて処理した後に5%NaOH水溶液を添加してpH8.1に調整した以外は、実施例1と同様にして化学変性ミクロフィブリルセルロースを調整した。得られた化学変性ミクロフィブリルセルロースの物性値を表1に示す。
トップファイナー処理前に5%NaOH水溶液及び炭酸水素ナトリウムを添加してpH8.3に調整した以外は、実施例1と同様にして化学変性ミクロフィブリルセルロースを調整した。得られた化学変性ミクロフィブリルセルロースの物性値を表1に示す。
実施例1と同様にして得たTEMPO酸化パルプを固形分濃度が30質量%となるまで脱水し、14インチラボリファイナー(相川鉄工株式会社製)を用いて7回処理を行った。得られた生成物は微細セルロース繊維が絡まりあって形成される略球状(球体または楕円体)の材料(セルロースファイバーボール)であった。得られたセルロースファイバーボールの物性値を表1に示す。
実施例1と同様にして得たTEMPO酸化パルプを固形分濃度が30質量%となるまで脱水し、14インチラボリファイナー(相川鉄工株式会社製)を用いて7回処理を行った。次いで水及び5%NaOH水溶液を添加して攪拌し、pH7.2、固形分濃度2%の化学変性ミクロフィブリルセルロースを調整した。得られた化学変性ミクロフィブリルセルロースの物性値を表1に示す。
実施例1と同様にして得たTEMPO酸化パルプに水を添加して攪拌し、pH4.5、固形分濃度2%に調整した。TEMPO酸化パルプの物性値を表1に示す。
Claims (1)
- 下記(A)~(C)の工程を含む化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維の製造方法であって、
(A)化学変性セルロースとして、TEMPOおよびその誘導体から選ばれるN-オキシル化合物の存在下で酸化されたカルボキシル化セルロースを準備する工程、
(B)前記化学変性セルロースをpH3~7、固形分濃度10質量%以下で解繊処理する工程、
(C)前記解繊処理で得られた化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維水性分散液をpH7以上に調整する工程 を含み、
上記化学変性ミクロフィブリルセルロース繊維が下記(a)~(b)の特徴を有する化学変性ミクロフィブリル セルロース繊維の製造方法。
固形分濃度0.3%の複合繊維の水性懸濁液を、流速5.7L/min、水温25±1℃、全流出量22Lの条件 で繊維分級分析装置を用いて分級処理したとき、
(a)長さ加重0.0mm~0.2mmの繊維長分布(%)が40%以上
(b)長さ加重0.2mm~7.6mmの繊維長分布(%)が35%以上
Priority Applications (1)
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