(1)概要
本開示に係る一実施形態について説明する。
本実施形態に係るプリント配線板11は、第一導体層8と、第二導体層3と、第一導体層8と第二導体層3との間に介在する層間絶縁層7と、層間絶縁層7を貫通するビア孔6と、ビア孔6内に配置され第一導体層8と第二導体層3とを導通するビア導体9とを備える(図1E参照)。層間絶縁層7は、カルボキシル基含有樹脂(A)と、エチレン性不飽和結合を一分子中に少なくとも一つ有する不飽和化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有するネガ型の感光性樹脂組成物の硬化物である。ビア孔6は、第一導体層8側の端である第一端61と、第二導体層3側の端である第二端62と、第一端61と第二端62との間にあり第二端62の径よりも小さい径を有する小径部63とを有する。
本実施形態では、カルボキシル基含有樹脂(A)と、エチレン性不飽和結合を一分子中に少なくとも一つ有する不飽和化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有するネガ型の感光性樹脂組成物から、層間絶縁層7を作製する。このため、感光性樹脂組成物から作製された皮膜4をパターン状に露光してからアルカリ性水溶液で現像することで、層間絶縁層7を作製するとともに、小径部63を有するビア孔6を作製しやすい。
小径部63が形成されやすい理由は、次のとおりであると、推察される。ネガ型の感光性樹脂組成物から形成した皮膜4の、ビア孔6の第一端61が形成される面に光が照射されることで、皮膜4が露光されると、皮膜4の内部で光が散乱することで、皮膜4の深部に近づくほど広い部分が硬化しやすくなる。それによりビア孔6となる非硬化部分5が徐々に小さくなり、第一端61よりも径の小さい小径部63が形成されやすくなる。また、皮膜4内の更に深部側では、光が皮膜4で吸収されることで、光が届きにくくなり、かつそれにより光の散乱の影響が小さくなるため、皮膜4の硬化が進みにくくなり、そのため第二端62の径が、小径部63の径よりも大きくなり、ビア孔6は、小径部63から第二端62にかけて広がった形状となりやすい。
特に、感光性樹脂組成物から膜厚5μm以上100μm以下の皮膜4を作製し、皮膜4における直径5μm以上100μm以下の円形の部分を除く領域に、365nm±65nmの波長域にある少なくとも1つの波長でスペクトル強度を有する紫外線を照射し、続いて皮膜4にアルカリ性水溶液による現像処理を施した場合、円形の部分にビア孔6が形成され、かつビア孔6が小径部63を有するという特性を、感光性樹脂組成物が備えることが好ましい。この場合の、ビア孔6の小径部63の径は第二端62の径に対して65%以上100%未満であり、第一端61の径が第二端62の径に対して65%以上であり、第一端61の径は100μm以下であることが好ましい。このような特性は、後に詳しく説明する感光性樹脂組成物の組成の範囲内で、実現可能である。なお、皮膜4に紫外線を照射する方法は、ネガマスクを用いる露光法でもよく、直接描画法であってもよい。具体的な試験方法及び条件の例は実施例の欄に記載する。
また、本実施形態では、ビア孔6がこのような形状を有することで、ビア導体9に熱による負荷がかけられるなどしてビア導体9内に応力が生じても、ビア導体9と第二導体層3との界面にクラックが生じにくい。このため、ビアによって、第一導体層8と第二導体層3との間の良好な導通信頼性が得られやすい。これは、本実施形態では上記のように、層間絶縁層7のビア孔6の内面は、小径部63から第二端62にかけても径が大きくなる形状を有するために、ビア導体9内に応力が生じても、応力が、ビアの第二端62と比べて、小径部63に集中しやすくなるためであると、推察される。
小径部63の最小径は、第二端62の径の65%以上100%未満であることが好ましい。この場合、ビアによる導通信頼性が特に得られやすい。小径部63の最小径は、第二端62の径の95%以下であればより好ましく、90%以下であれば更に好ましい。また、小径部63の最小径は、第二端62の径の67%以上であればより好ましく、79%以上であれば更に好ましい。
第一端61の径は、第二端62の径に対して65%以上であることが好ましい。この場合、ビア孔6内にめっき液を浸入させることで、ビア導体9を作製しやすくなる。すなわち、めっき法でビア導体9を作製しやすい。そのため、更に良好な導通信頼性が得られやすい。ビア孔6作製時の良好な解像性を得る観点からは、第一端61の径は、第二端62の径に対して70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また、第一端61の径は、第二端62の径に対して130%未満であることが好ましく、120%未満であることがより好ましく、110%未満であることが更に好ましく、100%未満であることが特に好ましい。
また、第一端61の径は100μm以下であることが好ましい。この場合、ビア孔6内にめっき法などでビア導体9を作製しやすくなる。そのため、更に良好な導通信頼性が得られやすい。また、第一端61の径は、例えば5μm以上である。
(2)感光性樹脂組成物
以下、本実施形態の感光性樹脂組成物の詳細について、具体的に説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」のうち少なくとも一方を意味する。例えば、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとのうち少なくとも一方を意味する。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂(A)と、エチレン性不飽和結合を一分子中に少なくとも一つ有する不飽和化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、下記式(1)で示されるビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)を含有することが好ましい。カルボキシル基含有樹脂(A)が嵩高いビスフェノールフルオレン骨格を有していると、感光性樹脂組成物から作成される皮膜4に紫外線を照射した場合に、深部で光の散乱が起こりにくい。また、カルボキシル基含有樹脂(A1)がビスフェノールフルオレン骨格を有することで、感光性樹脂組成物の硬化物に高い耐熱性及び絶縁信頼性を付与できる。
式(1)中、R1~R8は各々独立に水素、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲンである。すなわち、式(1)におけるR1~R8の各々は、水素でもよいが、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲンでもよい。芳香環における水素が低分子量のアルキル基又はハロゲンで置換されていても、カルボキシル基含有樹脂(A1)の物性に悪影響は与えられず、むしろ置換されることでカルボキシル基含有樹脂(A1)を含む感光性樹脂組成物の硬化物の耐熱性或いは難燃性が向上する場合もあるからである。
カルボキシル基含有樹脂(A1)は、例えば、式(1)で示されるビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ化合物(a1)と、不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させ、それにより得られた中間体と酸無水物(a3)とを反応させることで合成される。
エポキシ化合物(a1)は、例えば下記式(2)に示す構造を有する。式(2)中のnは、例えば0~20の範囲内の整数である。カルボキシル基含有樹脂(A1)の分子量を適切に制御するためには、nの平均は0~1の範囲内であることがより好ましい。nの平均が0~1の範囲内であれば、カルボキシル基含有樹脂(A1)の過剰な分子量の増大が抑制されやすい。また、式(2)において、R1~R8は各々独立に水素、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲンである。
不飽和基含有カルボン酸(a2)は、例えば一分子中にエチレン性不飽和基を1個のみ有する化合物を含有する。より具体的には、不飽和基含有カルボン酸(a2)は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、クロトン酸、桂皮酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-メタクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、β-カルボキシエチルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、及び2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。好ましくは、不飽和基含有カルボン酸(a2)はアクリル酸を含有する。また、不飽和基含有カルボン酸(a2)がアクリル酸を含有する場合、アクリル酸は不飽和基含有カルボン酸(a2)中の50モル%以上含有することが好ましく、80モル%以上含有することがより好ましく、85モル%以上含有することが更に好ましく、90モル%以上含有することが特に好ましい。
エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させるに当たっては、適宜の方法が採用できる。例えば、エポキシ化合物(a1)の溶剤溶液に不飽和基含有カルボン酸(a2)を加え、更に必要に応じて熱重合禁止剤及び触媒を加えて攪拌混合することで、反応性溶液を得る。この反応性溶液を常法により、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは80℃以上120℃以下の温度で反応させることで、中間体を得ることができる。この場合の溶剤は、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、及びジアルキルグリコールエーテル類からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。熱重合禁止剤は、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、及びハイドロキノンモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種の成分を含有できる。触媒は、例えばベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルフォスフィン、及びトリフェニルスチビンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
触媒が特にトリフェニルフォスフィンを含有することが好ましい。すなわち、トリフェニルフォスフィンの存在下で、エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させることが好ましい。この場合、エポキシ化合物(a1)におけるエポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(a2)との開環付加反応が特に促進され、95%以上、あるいは97%以上、あるいはほぼ100%の反応率(転化率)を達成できる。
エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを、エアバブリング下で反応させることも好ましい。この場合、不飽和基の付加重合反応を抑制して、中間体の分子量の増大及び中間体の溶液のゲル化を抑制できる。また、最終生成物であるカルボキシル基含有樹脂(A1)の過度な着色を抑制できる。
エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させる際の、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基1モルに対する不飽和基含有カルボン酸(a2)の量は、0.8モル以上1.2モル以下であることが好ましい。この場合、優れた感光性と安定性とを有する感光性樹脂組成物が得られる。
このようにして得られる中間体は、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(a2)のカルボキシル基との反応で生成された水酸基を備える。
次に、中間体と酸無水物(a3)とを反応させる。酸無水物(a3)は、例えば酸二無水物(a4)を含有する。
酸二無水物(a4)は、酸無水物基を二つ有する化合物である。酸二無水物(a4)は、テトラカルボン酸の無水物を含有できる。酸二無水物(a4)は、例えば1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト〔1,2-c〕フラン-1,3-ジオン、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、及び3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。特に酸二無水物(a4)が3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物が良好な現像性を確保しながら、感光性樹脂組成物から作製される皮膜4のタック性を抑制するとともに硬化物の絶縁信頼性及び耐メッキ性を向上できる。
酸無水物(a3)は、酸一無水物(a5)を含有してもよい。酸一無水物(a5)は、酸無水物基を一つ有する化合物である。酸一無水物(a5)は、ジカルボン酸の無水物を含有できる。酸一無水物(a5)は、例えばフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタル酸無水物、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物、及びイタコン酸無水物からなる群から選択される一種以上の化合物を含有できる。特に酸一無水物(a5)が1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸を含有することが好ましい。すなわち、酸無水物(a3)が1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の良好な現像性を確保しながら、感光性樹脂組成物から形成される皮膜4のタック性を更に抑制すると共に硬化物の絶縁信頼性及び耐メッキ性を更に向上できる。酸一無水物(a5)全体に対して、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸は20モル%以上100モル%以下の範囲内であることが好ましく、40モル%以上100モル%以下の範囲内であることがより好ましいが、これに限られない。
中間体と酸無水物(a3)とを反応させるに当たっては、適宜の方法が採用できる。例えば、中間体の溶剤溶液に酸無水物(a3)を加え、更に必要に応じて熱重合禁止剤及び触媒を加えて攪拌混合することで、反応性溶液を得る。この反応性溶液を常法により好ましくは60℃以上150℃以下、特に好ましくは80℃以上120℃以下の温度で反応させることで、ビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)が得られる。溶剤、触媒及び重合禁止剤としては、適宜のものが使用でき、中間体の合成時に使用した溶剤、触媒及び重合禁止剤をそのまま使用することもできる。
触媒が特にトリフェニルフォスフィンを含有することが好ましい。すなわち、トリフェニルフォスフィンの存在下で、中間体と、酸無水物(a3)とを反応させることが好ましい。この場合、中間体と酸無水物(a3)との反応が特に促進され、90%以上、95%以上、97%以上、あるいはほぼ100%の反応率(転化率)を達成できる。
酸無水物(a3)が酸二無水物(a4)を含有する場合、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基1モルに対して、酸二無水物(a4)の量は、0.05モル以上0.24モル以下であることが好ましい。この場合、酸価と分子量とが適度に調整されたビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)が容易に得られる。
また、酸無水物(a3)が酸一無水物(a5)を更に含有する場合、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基1モルに対して、酸一無水物(a5)の量は0.3モル以上0.7以下であることが好ましい。この場合、酸価と分子量とが適度に調整されたビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)が容易に得られる。
中間体と、酸無水物(a3)とを、エアバブリング下で反応させることも好ましい。この場合、生成されるビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)の過度な分子量増大が抑制されることで、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上する。
感光性樹脂組成物中の、ビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)以外の成分について説明する。
感光性樹脂組成物は、既に述べた通り、カルボキシル基含有樹脂(A)と、エチレン性不飽和結合を一分子中に少なくとも一つ有する不飽和化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有する。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、ビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)のみを含有してもよく、ビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)以外のカルボキシル基含有樹脂のみを含有してもよい。あるいは、ビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)とカルボキシル基含有樹脂(A1)以外のカルボキシル基含有樹脂との両方を含有してもよい。ビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)以外のカルボキシル基含有樹脂は、ビスフェノールフルオレン骨格を有さないカルボキシル基含有樹脂(以下、カルボキシル基含有樹脂(A2)ともいう)を含む。
カルボキシル基含有樹脂(A2)は、例えば、カルボキシル基を有し光重合性を有さない化合物(以下、(A2-1)成分という)を含有できる。(A2-1)成分は、例えばカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を含むエチレン性不飽和単量体の重合体を含有する。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート等の化合物を含有できる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等と二塩基酸無水物との反応物も含有できる。エチレン性不飽和単量体は、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、直鎖又は分岐の脂肪族あるいは脂環族(ただし、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル等の、カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物を更に含有してもよい。
カルボキシル基含有樹脂(A2)は、カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、(A2-2)成分という)を含有してもよい。またカルボキシル基含有樹脂(A2)は、(A2-2)成分のみを含有してもよい。(A2-2)成分は、例えば一分子中に二個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(x1)とエチレン性不飽和化合物(x2)との反応物である中間体と、多価カルボン酸及びその無水物の群から選択される少なくとも一種の化合物(x3)との反応物である樹脂(第一の樹脂(x)という)を含有する。第一の樹脂(x)は、例えばエポキシ化合物(x1)中のエポキシ基と、エチレン性不飽和化合物(x2)中のカルボキシル基とを反応させて得られた中間体に化合物(x3)を付加させて得られる。エポキシ化合物(x1)は、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物等の適宜のエポキシ化合物を含有できる。特にエポキシ化合物(x1)はビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物の群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。エポキシ化合物(x1)は、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物のみを含有してもよく、あるいはクレゾールノボラック型エポキシ化合物のみを含有してもよい。この場合、エポキシ化合物(x1)の主鎖に芳香族環が含まれるので、感光性樹脂組成物の硬化物が、例えば過マンガン酸カリウムなどを含有する酸化剤により、著しく腐食される程度を低減することができる。エポキシ化合物(x1)は、エチレン性不飽和化合物(z)の重合体を含有してもよい。エチレン性不飽和化合物(z)は、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する化合物(z1)を含有し、あるいは更に2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート等のエポキシ基を有さない化合物(z2)を含有する。エチレン性不飽和化合物(x2)は、アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。化合物(x3)は、例えばフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸と、これらの多価カルボン酸の無水物とからなる群から選択される一種以上の化合物を含有する。特に化合物(x3)はフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸の群から選択される少なくとも1種の多価カルボン酸を含有することが好ましい。
(A2-2)成分は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を含有するエチレン性不飽和単量体の重合体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物との反応物である樹脂(第二の樹脂(y)という)を含有してもよい。エチレン性不飽和単量体はカルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物を更に含有してもよい。第二の樹脂(y)は、重合体におけるカルボキシル基の一部にエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで得られる。エチレン性不飽和単量体は、カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物を更に含有してもよい。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等の化合物を含有する。カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物は、例えば2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、直鎖又は分岐の脂肪族あるいは脂環族(ただし、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル等の化合物を含有する。エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物は、グリシジル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、カルボキシル基含有樹脂(A1)のみ、カルボキシル基含有樹脂(A2)のみ、又はカルボキシル基含有樹脂(A1)とカルボキシル基含有樹脂(A2)とを含有する。カルボキシル基含有樹脂(A)は、カルボキシル基含有樹脂(A1)を25質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがより好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましく、100質量%含有することが特に好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の、優れた感光性とアルカリ性水溶液による現像性とを確保できる。また、感光性樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び絶縁信頼性を特に向上させることができる。更に、感光性樹脂組成物から形成される皮膜4のタック性を十分に低減できる。
カルボキシル基含有樹脂(A)の重量平均分子量は、700以上100000以下であることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂(A)の重量平均分子量が700以上であると、感光性樹脂組成物から形成される皮膜4のタック性が抑制されやすく、かつ感光性樹脂組成物の硬化物の絶縁信頼性及び耐めっき性を向上できる。カルボキシル基含有樹脂(A)の重量平均分子量が100000以下であると、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が良好になりやすい。カルボキシル基含有樹脂(A)の重量平均分子量は、900以上60000以下であることがより好ましく、1200以上10000以下であることが更に好ましく、1400以上5000以下であることが特に好ましい。カルボキシル基含有樹脂(A)の重量平均分子量は、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィによる次の条件での測定結果から算出される。
GPC装置:昭和電工社製 SHODEX SYSTEM 11、
カラム:SHODEX KF-800P,KF-005,KF-003,KF-001の4本直列、
移動相:THF、
流量:1ml/分、
カラム温度:45℃、
検出器:RI、
換算:ポリスチレン。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、酸価65mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の成分を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上し、かつ露光後の皮膜4をアルカリ性水溶液で現像することで、小径部63を有するビア孔6が特に作製されやすい。酸価が70mgKOH/g以上145mgKOH/g以下であることがより好ましく、75mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であることが更に好ましく、85mgKOH/g以上135mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
不飽和化合物(B)は、感光性樹脂組成物に光硬化性を付与できる。不飽和化合物(B)は、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;並びにジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ペンタエリストールヘキサアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
特に不飽和化合物(B)は、三官能の化合物、すなわち一分子中に不飽和結合を3つ有する化合物を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物から形成される皮膜4を露光・現像する場合の解像性が向上するとともに、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上する。三官能の化合物は、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート及びε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びエトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
不飽和化合物(B)は、リン含有化合物(リン含有不飽和化合物)を含有することも好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物の難燃性が向上する。リン含有不飽和化合物は、例えば2-メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(具体例として共栄社化学株式会社製の品番ライトエステルP-1M、及びライトエステルP-2M)、2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(具体例として共栄社化学株式会社製の品番ライトアクリレートP-1A)、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルフォスフェート(具体例として大八工業株式会社製の品番MR-260)、並びに昭和高分子株式会社製のHFAシリーズ(具体例としてジペンタエリストールヘキサアクリレートとHCA(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド)との付加反応物である品番HFA-6003、及びHFA-6007、カプロラクトン変性ジペンタエリストールヘキサアクリレートとHCA(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド)との付加反応物である品番HFA-3003、及びHFA-6127等)からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
不飽和化合物(B)は、プレポリマーを含有してもよい。プレポリマーは、例えばエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてからエチレン性不飽和基を付加して得られるプレポリマー、並びにオリゴ(メタ)アクリレートプレポリマー類からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。オリゴ(メタ)アクリレートプレポリマー類は、例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、及びスピラン樹脂(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
光重合開始剤(C)は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、及びオキシムエステル系光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも一種を含有する光重合開始剤(C1)を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物を紫外線で露光する場合に、感光性樹脂組成物に高い光吸収性を付与できる。感光性樹脂組成物が良好な光吸収性を有していると、感光性樹脂組成物から形成された皮膜4を露光する際に、光が吸収されやすいため、光硬化が進みやすい。さらに、皮膜4内で光が吸収されることで、深部に到達する光の量は低減する。このため、深部で光の散乱による影響が特に生じにくくなり、かつ深部では表面に比べて皮膜4の光硬化が特に進みにくい。このため、フォトリソグラフィ法によりビア孔6を作製する場合に、小径部63が特に形成されやすくなる。
光重合開始剤(C1)は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有することがより好ましい。この場合、感光性樹脂組成物により高い光吸収性を付与できる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-エチル-フェニル-フォスフィネート等のモノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、並びにビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6-トリメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、及びビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドのうち少なくとも一方を含有することが好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドを含有することがより好ましい。
α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤は、例えば2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
オキシムエステル系光重合開始剤は、例えば1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(О-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
光重合開始剤(C)は、上記の成分を含有する光重合開始剤(C1)に加えて、上記以外の成分を含有する光重合開始剤(C2)を含有してもよい。光重合開始剤(C2)は、α-ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤、及びチオキサントン系光重合開始剤のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物に特に高い光吸収性を付与できる。光重合開始剤(C2)は、α-ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤を含有することがより好ましい。
α-ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤は、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンを含有することが好ましい。
チオキサントン系光重合開始剤は、例えば、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オンを含有することが好ましい。
光重合開始剤(C)が、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)を含有することも好ましい。すなわち、感光性樹脂組成物が光重合開始剤(C1)及び4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)を含有し、あるいは光重合開始剤(C1)、光重合開始剤(C2)及び4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)を含有することも好ましい。この場合、感光性樹脂組成物から形成される皮膜4を部分的に露光してから現像する際に、露光されない部分の硬化が特に抑制されやすい。このため、小径部63を有するビア孔6を特に形成しやすくなる。
4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)は、光重合開始剤(C1)に対して0.5質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましい。4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)が0.5質量%以上であると、露光されない部分の硬化が特に抑制されやすい。また、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)が20質量%以下であると、感光性樹脂組成物の硬化物の電気絶縁性を4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)が阻害しにくい。ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)は、光重合開始剤(C1)に対して1質量%以上18質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。感光性樹脂組成物が有機フィラー(E)を含有する場合、有機フィラー(E)が、露光時に、感光性樹脂組成物内で光散乱を生じさせることがある。この場合、感光性樹脂組成物で良好な解像性が得られない問題が生じる可能性がある。このため、ビア孔6に小径部63が形成されにくくなるおそれがある。しかし、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)が上記の範囲内であれば、感光性樹脂組成物が良好な解像性を有しやすく、そのためビア孔6に小径部63が特に形成されやすくなる。
感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(D)を含有することが好ましい。エポキシ樹脂(D)は、感光性樹脂組成物に熱硬化性を付与できる。エポキシ樹脂(D)は、結晶性エポキシ樹脂を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の現像性を向上させることができる。また、エポキシ樹脂(D)は、非晶性エポキシ樹脂を更に含有してもよい。ここで「結晶性エポキシ樹脂」は融点を有するエポキシ樹脂であり、「非晶性エポキシ樹脂」は融点を有さないエポキシ樹脂である。
結晶性エポキシ樹脂は、例えば、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂(具体例として日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品名YDC-1312)、ビフェニル型結晶性エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品名YX-4000)、ジフェニルエーテル型結晶性エポキシ樹脂(具体例として日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品番YSLV-80DE)、ビスフェノール型結晶性エポキシ樹脂(具体例として日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品名YSLV-70XY、及びYSLV-80XY)、テトラキスフェノールエタン型結晶性エポキシ樹脂(具体例として日本化薬株式会社製の品番GTR-1800)、ビスフェノールフルオレン型結晶性エポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上の成分を含有することが好ましい。
結晶性エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有することが好ましい。この場合、温度変化が繰り返される中で、感光性樹脂組成物の硬化物にクラックを生じにくくさせることができる。
結晶性エポキシ樹脂は150g/eq以上300g/eq以下のエポキシ当量を有することが好ましい。このエポキシ当量は、1グラム当量のエポキシ基を含有する結晶性エポキシ樹脂のグラム重量である。結晶性エポキシ樹脂は融点を有する。結晶性エポキシ樹脂の融点としては、例えば70℃以上180℃以下が挙げられる。
特にエポキシ化合物(D)が、融点110℃以下の結晶性エポキシ樹脂を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上する。融点110℃以下の結晶性エポキシ樹脂は、例えばビフェニル型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番YX-4000)、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂(具体例として日鉄ケミカル&マテリアル化学株式会社製の品番YSLV-80DE)、及びビスフェノール型エポキシ樹脂(具体例として日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品番YSLV-70XY、及びYSLV-80XY)、ビスフェノールフルオレン型結晶性エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
非晶性エポキシ樹脂は、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N-775)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N-695)、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N-865)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番jER1001)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番jER4004P)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON EXA-1514)、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(具体例として日本化薬株式会社製の品番NC-3000)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品番ST-4000D)、ナフタレン型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON HP-4032、EPICLON HP-4700、EPICLON HP-4770)、ターシャリーブチルカテコール型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON HP-820)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(具体例としてDIC製の品番EPICLON HP-7200)、アダマンタン型エポキシ樹脂(具体例として出光興産株式会社製の品番ADAMANTATEX-E-201)、特殊二官能型エポキシ樹脂(具体例として、三菱化学株式会社製の品番YL7175-500、及びYL7175-1000;DIC株式会社製の品番EPICLON TSR-960、EPICLON TER-601、EPILON TSR-250-80BX、EPICLON 1650-75MPX、EPICLON EXA-4850、EPICLON EXA-4816、EPICLON EXA-4822、及びEPICLON EXA-9726;日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品番YSLV-120TE)、ゴム状コアシェルポリマー変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として株式会社カネカ製の品番MX-156)、ゴム状コアシェルポリマー変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例として株式会社カネカ製の品番MX-136)、並びにゴム粒子含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例として株式会社カネカ製の品番カネエースMX-130)からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。
感光性樹脂組成物がエポキシ樹脂(D)を含有する場合、感光性樹脂組成物は、結晶性エポキシ樹脂と非晶性エポキシ樹脂との両方を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物から作製される硬化物の耐メッキ性、及び絶縁性をより向上させることができる。
エポキシ樹脂(D)はリン含有エポキシ樹脂を含有してもよい。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物の難燃性が向上する。リン含有エポキシ樹脂は結晶性エポキシ樹脂に含有されてもよいし、あるいは非晶性エポキシ樹脂に含有されてもよい。リン含有エポキシ樹脂は、例えば、リン酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON EXA-9726、及びEPICLON EXA-9710)、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品番エポトートFX-305等である。
感光性樹脂組成物は、フィラーを含有しないことが好ましい。この場合、皮膜4の深部における光の散乱が抑制されることで、小径部63を有するビア孔6が特に形成されやすくなる。感光性樹脂組成物がフィラーを含有する場合には、皮膜4内で光の散乱が適度に生じにくくなるように、フィラーの材質、粒径及び配合量が適宜設定されることが好ましい。
感光性樹脂組成物は、有機フィラー(E)を含有してもよい。なお、有機フィラー(E)にはメラミンは含まれない。この場合、上記のように有機フィラー(E)の材質、粒径及び配合量が適宜設定されることが好ましい。有機フィラー(E)は、感光性樹脂組成物にチクソ性を付与することで、感光性樹脂組成物の保存安定性が向上する。また、硬化物はメッキ層との密着性が向上する。有機フィラー(E)は、反応性基を有することが好ましい。有機フィラー(E)は反応性基を有することで、感光性樹脂組成物中で高い相溶性を有し、より強いチクソ性を感光性樹脂組成物に付与することで、感光性樹脂組成物の保存安定性がより向上する。また、硬化物とメッキ層との密着性がより向上する。有機フィラー(E)が有する反応性基は、例えば、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも一種の基を含むことがより好ましく、カルボキシル基及びアミノ基のうち少なくともどちらか一方を含むことが更に好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の保存安定性が更に向上する。また、硬化物はメッキ層との密着性が更に向上する。有機フィラー(E)が有する反応性基は、カルボキシル基を含むことが特に好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の現像性が向上する。同時に、有機フィラー(E)のカルボキシル基は、熱硬化時に、感光性樹脂組成物中のエポキシ樹脂(D)と反応することができる。これにより、熱硬化後の硬化物は、その内部で均一に分散された有機フィラー(E)を含有することができる。さらに、硬化物の表面を粗化する段階で有機フィラー(E)の未反応のカルボキシル基を変性させることもできる。すなわち、硬化物に含有される有機フィラー(E)のうち硬化物の表面付近に位置する有機フィラー(E)が硬化物の表面を粗化する段階で変質され易くなる。このようにして変質した有機フィラー(E)は、硬化物に粗面を付与する際に、硬化物から取り除かれ易くなる。これにより、硬化物の表面に粗面を付与して硬化物とメッキ層との密着性を向上することができる。またさらに、有機フィラー(E)がカルボキシル基を含むことで、感光性樹脂組成物の流動性に起因する塗膜の不均一性を低減することができる。これにより、感光性樹脂組成物で形成された層の膜厚を均一にさせ易くすることができる。また、感光性樹脂組成物から作製される層間絶縁層7に、小径部63を有するビア孔6を形成しやすくなる。
有機フィラー(E)がカルボキシル基を含む場合、カルボキシル基は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸モノマーを重合あるいは架橋させることで、その生成物における側鎖として形成される。カルボン酸モノマーは、カルボキシル基と重合性不飽和二重結合とを有する。有機フィラー(E)は、感光性樹脂組成物のチクソ性を高めるため、感光性樹脂組成物の安定性(特に保存安定性)を向上させる。さらに、有機フィラー(E)が、カルボキシル基を含むと、硬化物の現像性を向上させると共に、結晶性エポキシ樹脂の相溶性を向上させて感光性樹脂組成物中での結晶化を防ぐことができる。有機フィラー(E)のカルボキシル基含有量は特に制限されないが、有機フィラー(E)の酸価が、酸-塩基滴定による酸価で1mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が1mgKOH/gより小さいと感光性樹脂組成物の安定性及び硬化物の現像性が低下するおそれがある。酸価が60mgKOH/gより大きいと硬化物の耐湿信頼性が低下するおそれがある。有機フィラー(E)の酸価は3mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることがより好ましい。
有機フィラー(E)は、平均一次粒子径が1μm以下であることが好ましい。有機フィラー(E)の平均一次粒子径が1μm以下となることで、感光性樹脂組成物の現像性が良好になる。また、硬化物に形成される粗面の粗さを細かくすることができ、硬化物の表面積が増加することに伴ってアンカー効果が大きくなり粗面とメッキ層との密着性を向上させることができる。
有機フィラー(E)の平均一次粒子径は、その下限は特に限定されないが、例えば、0.001μm以上であることが好ましい。平均一次粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により、D50として測定される。有機フィラー(E1)の平均一次粒子径が0.4μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。この場合、露光時の感光性樹脂組成物中での光の散乱を抑えることができ、これにより、感光性樹脂組成物の解像性がさらに向上し、層間絶縁層7に小径部63を有するビア孔6を形成しやすくなる。加えて、硬化物に形成される粗面の粗さを特に細かくすることができる。
有機フィラー(E)は、感光性樹脂組成物中において最大粒子径が1.0μm未満で分散されていることが好ましく、0.5μm未満で分散されていることがより好ましい。最大粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により、D50として測定される。あるいは、最大粒子径は、硬化物を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することで測定される。有機フィラー(E)は、感光性樹脂組成物中において凝集することがある(たとえば二次粒子を形成し得る)が、その場合、最大粒子径は凝集後の粒子のサイズを意味する。分散状態での有機フィラー(E)の最大粒子径が上記の範囲であると、露光時の散乱が感光性樹脂組成物中で抑えられ、これにより、感光性樹脂組成物の解像性がさらに向上し、層間絶縁層7に小径部63を有するビア孔6をより形成しやすくなる。加えて、硬化物に形成される粗面の粗さを更に細かくすることができる。なお、粒子の凝集が起こった場合、最大粒子径は、通常、平均一次粒子径よりも大きい。
有機フィラー(E)は、ゴム成分を含むことが好ましい。また、有機フィラー(E)は、ゴム成分のみを含むことが好ましい。ゴム成分は、感光性樹脂組成物の硬化物に柔軟性を付与できる。ゴム成分は、樹脂により構成され得る。ゴム成分は、架橋アクリルゴム、架橋NBR、架橋MBS及び架橋SBRから選ばれる少なくとも1つの重合体を含むことが好ましい。この場合、ゴム成分が感光性樹脂組成物の硬化物に優れた柔軟性を付与することができる。更に、硬化物の表面に、より適度な粗面を付与することができる。ここでゴム成分は、重合体を構成するモノマーを共重合させる際に形成される架橋構造を含む。NBRは、一般的に、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、ニトリルゴムに分類される。MBSは、一般的に、メチルメタアクリレート、ブタジエン、スチレンの3成分で構成される共重合体であり、ブタジエン系ゴムに分類される。SBRは、一般的に、スチレンとブタジエンとの共重合体であり、スチレンゴムに分類される。有機フィラー(E)の具体例として、JSR株式会社製の品番XER-91-MEK、JSR株式会社製の品番XER-32-MEK、JSR株式会社製の品番XSK-500等が挙げられる。XER-91-MEKは、平均一次粒子径0.07μmのカルボキシル基を有する架橋ゴム(NBR)であり、この架橋ゴムの含有割合15重量%のメチルエチルケトン分散液で提供され、その酸価が10.0mgKOH/gである。XER-32-MEKは、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴムのポリマー(線状粒子)を、分散液全量に対して含有量17重量%で、メチルエチルケトン中で分散させた分散液である。また、XSK-500は、平均一次粒子径0.07μmのカルボキシル基及び水酸基を有する架橋ゴム(SBR)であり、この架橋ゴムの含有割合15重量%のメチルエチルケトン分散液で提供される。このように、有機フィラー(E)は、分散液で、感光性樹脂組成物に配合されてもよい。すなわち、ゴム成分は、分散液で、感光性樹脂組成物に配合され得る。また、有機フィラー(E)の具体例として、上記の他に、JSR株式会社製の品番XER-92等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。この場合、有機フィラー(E)の分散性を向上させることができる。更に感光性樹脂組成物の解像性を向上させることもできる。
シランカップリング剤は、例えば、ケイ素原子を含有し、且つ-OCH3基、-OC2H5基、及び-OCOCH3基の群から選択される2~4つの加水分解性基を含有する化合物である。シランカップリング剤は加水分解性基の他に、アミノ基、エポキシ基、ビニル(アリル)基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基、スルフィド基等の反応性基、あるいはメチル基を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ化合物、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジロキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、ジエトキシ(3-グリシジロキシプロピル)メチルシラン等のエポキシ類、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等のビニル化合物、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアリル化合物、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル化合物、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン等のメルカプト化合物類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、オルトケイ酸テトラエチル、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、メラミンを含有することができる。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物を、例えば過マンガン酸カリウムを含有する酸化剤で、著しく腐食させる程度を低減することができる。すなわち感光性樹脂組成物がメラミンを含有することで、感光性樹脂組成物の硬化物表面を、メッキ処理の前工程で、粗化する際に、硬化物を含む層の厚みを薄くさせにくくできる。このようにして硬化物に粗面を付与することで、感光性樹脂組成物の硬化物と、銅や金等からなるメッキ層との密着性を向上させることができる。メラミンは、2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジンであり、一般的に市販されている化合物から入手可能である。メラミンは、平均粒子径が20μm以下、好ましくは15μm以下で、感光性樹脂組成物中に分散されることが好ましい。感光性樹脂組成物中にメラミンが均一に分散していることで、メラミンは金属元素と更に配位結合しやすくなる。これにより、感光性樹脂組成物の密着性を更に向上させることができる。メラミンの平均粒子径の下限は、特に限定されないが、0.01μm以上にすることができる。なお、メラミンの平均粒子径は、メラミンを未硬化の感光性樹脂組成物中で分散させた状態でレーザ回折式粒度分布測定装置により、D50として測定される。
感光性樹脂組成物は無機フィラーを含有してもよい。この場合、感光性樹脂組成物から形成される膜の硬化収縮が低減する。また、誘電正接を低下することができる。無機フィラーは、例えば硫酸バリウム、シリカ、カーボンナノチューブ、タルク、ベントナイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び酸化チタンからなる群から選択される一種以上の材料を含有できる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、感光性樹脂組成物の液状化又はワニス化、粘度調整、塗布性の調整、造膜性の調整などの目的で使用される。
有機溶剤は、例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級或いは多価のアルコール類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;並びにジアルキルグリコールエーテル類からなる群から選択される一種以上の化合物を含有できる。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、感光性樹脂組成物の固形分量に対して、5質量%以上85質量%以下の範囲内であれば好ましく、10質量%以上75質量%以下の範囲内であればより好ましく、30質量%以上60質量%以下の範囲内であれば更に好ましい。なお、固形分量とは、感光性樹脂組成物から溶剤などの揮発性成分を除いた、全成分の合計量のことである。
エチレン性不飽和結合を一分子中に少なくとも一つ有する不飽和化合物(B)は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して、5質量%以上45質量%以下の範囲内であれば好ましい。不飽和化合物(B)がこの範囲内であることで、小径部63を有するビア孔6が特に作製されやすい。不飽和化合物(B)は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して10質量%以上42質量%以下の範囲内であればより好ましく、21質量%以上40質量%以下の範囲内であれば更に好ましい。
光重合開始剤(C)は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対し、1質量%以上30質量%以下の範囲内であれば好ましい。光重合開始剤(C)の割合が、カルボキシル基含有樹脂(A)に対し、1質量%以上であると、感光性樹脂組成物が良好な光吸収性を有しやすい。感光性樹脂組成物が良好な光吸収性を有することで、層間絶縁層7の表面の硬化の程度を高くしやすくなり、層間絶縁層7の吸水性を低減することができる。また、層間絶縁層7に小径部63を有するビア孔6をより形成しやすい。光重合開始剤(C)が、カルボキシル基含有樹脂(A)に対し、30質量%以下であると、感光性樹脂組成物の硬化膜が良好な電気絶縁性を有しやすい。
光重合開始剤(C)は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対し、1.5質量%以上25質量%以下の範囲内であればより好ましく、2質量%以上20質量%以下の範囲内であれば更に好ましく、3質量%以上10質量%以下の範囲内であれば特に好ましい。
感光性樹脂組成物が、エポキシ樹脂(D)を含有する場合、エポキシ樹脂(D)に含まれるエポキシ基の当量の合計が、カルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基1当量に対して、0.1以上5以下であることが好ましい。エポキシ樹脂(D)のエポキシ基の当量が、カルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基1当量に対して、0.1以上であることで、感光性樹脂組成物に熱硬化性を付与することができる。エポキシ樹脂(D)のエポキシ基の当量が、カルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基1当量に対して、5以下であることで、感光性樹脂組成物が良好な現像性を有する。エポキシ樹脂(D)のエポキシ基の当量は、カルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基1当量に対して、0.3以上4以下であることがより好ましく、0.5以上3以下であることが更に好ましく、0.7以上2以下であることが特に好ましい。
有機フィラー(E)の含有量は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して、1質量%以上100質量%以下であることが好ましい。有機フィラー(E)の含有量が1質量%以上であることで、感光性樹脂組成物の硬化物における表面を適度に粗化することができ、これにより、硬化物の粗面とメッキ層との密着性を向上することができる。有機フィラー(E)の含有量が100質量%以下であることで、感光性樹脂組成物が良好な現像性を有しやすい。有機フィラー(E)の含有量は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して、1.5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。この場合、小径部63を有するビア孔6が特に作製されやすい。
感光性樹脂組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、有機フィラー(E)に対して、0.01質量%以上7質量%以下であることが好ましい。シランカップリング剤の割合がこの範囲となることで、感光性樹脂組成物における有機フィラー(E)の凝集を防ぎ、分散性が向上する。シランカップリング剤の割合は、有機フィラー(E)に対して、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の割合がこの範囲となることで、感光性樹脂組成物における有機フィラー(E1)の凝集をより効率よく防ぎ、分散性がより効果的に向上する。
感光性樹脂組成物がメラミンを含有する場合、メラミンの含有量は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。この場合、アルカリ水溶液に対して良好な現像性を示し、層間絶縁層7に小径部63を有するビア孔6がより形成されやすい。メラミンの含有量は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して、0.3質量%以上9質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上8質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以上6質量%以下であることが特に好ましい。
感光性樹脂組成物中の無機フィラーの割合は適宜設定されるが、無機フィラーの含有量は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して、0質量%以上200質量%以下であることが好ましい。この場合、良好な解像性が得られ、層間絶縁層7に小径部63を有するビア孔6がより形成されやすい。無機フィラーの含有量は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して、0質量%以上150質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、0質量%以上50質量%以下であることがより更に好ましく、0質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。
感光性樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、有機溶剤の量は、感光性樹脂組成物から形成される塗膜を乾燥させる際に速やかに有機溶剤が揮散するように、すなわち有機溶剤が乾燥膜に残存しないように、調整されることが好ましい。特に、感光性樹脂組成物全体に対して、有機溶剤の割合が、0質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、15質量%以上60質量%以下であれば更に好ましい。なお、有機溶剤の好適な割合は、塗布方法などで異なるので、塗布方法に応じて割合が適宜調節されることが好ましい。
本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて、感光性組成物は、上記成分以外の成分を更に含有してもよい。
感光性樹脂組成物は、カプロラクタム、オキシム、マロン酸エステル等でブロックされたトリレンジイソシアネート系、モルホリンジイソシアネート系、イソホロンジイソシアネート系及びヘキサメチレンジイソシアネート系のブロックドイソシアネート;ブチル化尿素樹脂;前記以外の各種熱硬化性樹脂;紫外線硬化性エポキシ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環型等のエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加して得られる樹脂;並びにジアリルフタレート樹脂、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等の高分子化合物からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含有してもよい。
感光性樹脂組成物は、エポキシ化合物(D)を硬化させるための硬化剤を含有してもよい。硬化剤は、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;アジピン酸ヒドラジド、セバシン酸ヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物;酸無水物;フェノール;メルカプタン;ルイス酸アミン錯体;及びオニウム塩からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。これらの成分の市販品は、例えば、四国化成株式会社製の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU-CAT3503N、UCAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)である。
感光性樹脂組成物は、密着性付与剤を含有してもよい。密着性付与剤としては、例えばアセトグアナミン(2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン)、及びベンゾグアナミン(2,4-ジアミノ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン)等のグアナミン誘導体、並びに2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体、シランカップリング剤、メラミン誘導体等が、挙げられる。
感光性樹脂組成物は、レオロジーコントロール剤を含有してもよい。レオロジーコントロール剤により、感光性樹脂組成物の粘性が好適化しやすくなる。レオロジーコントロール剤としては、例えば、ウレア変性中極性ポリアマイド(ビッグケミー・ジャパン株式会社製の品番BYK-430、BYK-431)、ポリヒドロキシカルボン酸アミド(ビッグケミー・ジャパン株式会社製の品番BYK-405)、変性ウレア(ビッグケミー・ジャパン株式会社製の品番BYK-410、BYK-411、BYK-420)、高分子ウレア誘導体(ビッグケミー・ジャパン株式会社製の品番BYK-415)、ウレア変性ウレタン(ビッグケミー・ジャパン株式会社製の品番BYK-425)、ポリウレタン(ビッグケミー・ジャパン株式会社製の品番BYK-428)、ひまし油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、ベントナイト、カオリン、クレーが挙げられる。
感光性樹脂組成物は、硬化促進剤;着色剤;シリコーン、アクリレート等の共重合体;レベリング剤;チクソトロピー剤;重合禁止剤;ハレーション防止剤;難燃剤;消泡剤;酸化防止剤;界面活性剤;並びに高分子分散剤からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有してもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物を調製するにあたっては、適宜の方法で調整すればよい。例えば感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の原料を混合し、撹拌することにより調整可能である。また、例えば三本ロール、ボールミル、サンドミル等を用いる適宜の混練方法によって混練することで、感光性樹脂組成物を調製してもよい。原料に液状の成分、粘度の低い成分等が含まれる場合には、原料のうち液状の成分、粘度の低い成分等を除く部分をまず混練し混合物を調製してから、得られた混合物に、液状の成分、粘度の低い成分等を加えて混合することで、感光性樹脂組成物を調製してもよい。感光性樹脂組成物が溶剤(E)を含む場合、まず原料のうち、溶剤の一部又は全部を混合してから、原料の残りと混合してもよい。
感光性樹脂組成物は、厚み25μmの皮膜4であっても炭酸ナトリウム水溶液で現像可能であるような性質を有することが好ましい。この場合、十分に厚い電気絶縁性の層を、感光性樹脂組成物からフォトリソグラフィ法で作製することが可能であるため、感光性樹脂組成物を、プリント配線板11における層間絶縁層7を作製するために広く適用可能である。勿論、感光性樹脂組成物から厚み25μmより薄い電気絶縁性の層を作製することも可能である。
厚み25μmの皮膜4が炭酸ナトリウム水溶液で現像可能であるかどうかは、次の方法で確認できる。適当な基材1上に感光性樹脂組成物を塗布することで湿潤塗膜を作製し、この湿潤塗膜を80℃で40分加熱することで、厚み25μmの皮膜4を形成する。この皮膜4に紫外線を透過する露光部と紫外線を遮蔽する非露光部とを有するネガマスクを直接当てた状態で、皮膜4に500mJ/cm2の条件で紫外線を照射して露光を行う。露光後に、皮膜4に30℃の1%Na2CO3水溶液を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射してから、純水を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射する処理を行う。この処理後に皮膜4を観察した結果、皮膜4における非露光部に対応する部分が除去されて残渣が認められない場合に、厚み25μmの皮膜4が炭酸ナトリウム水溶液で現像可能であると判断できる。なお、他の厚み(例えば30μm)の皮膜4についても、同様に、炭酸ナトリウム水溶液での現像が可能かどうかを確認することができる。
(2.2)プリント配線板11の製造
本実施形態に係るプリント配線板11の製造方法について、図1Aから図1Eを参照して詳しく説明する。
プリント配線板11を製造するに当たっては、例えば感光性樹脂組成物と、基板とを、用意する。基板は、絶縁層2と、絶縁層2に重なる第二導体層3とを有する。基板上に感光性樹脂組成物から作製された皮膜4を、第二導体層3を覆うように重ね、皮膜4の、ビア孔6のパターンを含むネガパターン状の領域を露光してから、アルカリ性水溶液を用いて現像処理を施す。これにより、層間絶縁層7と、層間絶縁層7を貫通するビア孔6とを作製する。
具体的には、例えばまず、図1Aに示すように、基材1を用意する。基材1は、絶縁層2と第二導体層3とを備える。第二導体層3は、導体配線である。
基板上に感光性樹脂組成物を塗布し、更に必要により乾燥させることで、図1Bに示すように第二導体層3を覆う皮膜4を作製する。感光性樹脂組成物の塗布方法は、公知の方法、例えば、浸漬法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、及びスクリーン印刷法からなる群より選択される。感光性樹脂組成物を乾燥させる場合は、感光性樹脂組成物を例えば60℃以上130℃以下の温度で加熱する。
感光性樹脂組成物から作製されたドライフィルムを基板上に重ねることで皮膜4を作製してもよい。ドライフィルムは、例えばポリエステル製などの適宜の支持体上に感光性樹脂組成物を塗布してから乾燥することで、支持体上に形成される。これにより、ドライフィルムと、ドライフィルムを支持する支持体とを備える支持体付きドライフィルムが得られる。この支持体付きドライフィルムにおけるドライフィルムを基材1に第二導体層3を覆うように重ねてから、ドライフィルムと基材1に圧力をかける。これにより、基材1上に、ドライフィルムからなる皮膜4が重ねられる。
次に、皮膜4を露光する。例えば、皮膜4の、ビア孔6のパターンを含むネガパターン状の領域を露光する。この場合、例えば、ネガマスクを介して皮膜4に紫外線を照射する。ネガマスクは、紫外線を透過させる露光部と、紫外線を遮蔽する非露光部とを備え、非露光部のパターンがビア孔6のパターンを含む。ネガマスクは、例えば、マスクフィルム、乾板などのフォトツールである。紫外線の光源は、例えばケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ及びメタルハライドランプからなる群より選択される。
皮膜4をドライフィルムから作製する場合、皮膜4を露光する際は、例えば予め支持体を皮膜4から剥離してから、皮膜4を露光する。なお、支持体が皮膜4に重なったまま、支持体を透過させて紫外線を皮膜4に照射することで皮膜4を露光し、続いて露光後の皮膜4から支持体を剥離してもよい。
露光方法として、ネガマスクを用いる方法以外の方法が採用されてもよい。例えば光源から発せられる紫外線を皮膜4上の露光すべき部分のみに照射する直接描画法で皮膜4を露光してもよい。直接描画法に適用される光源は、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)、並びにg線、h線及びi線のうちの二種以上の組み合わせからなる群から選択される。
皮膜4に照射する紫外線は、365nm±65nmの波長域にある少なくとも一つの波長でスペクトル強度を有することが好ましい。また、皮膜4に照射する紫外線からは、435nm以上の波長でスペクトル強度を有さないことが好ましい。皮膜4に照射する紫外線が、365nm±65nmの波長域にある少なくとも一つの波長でスペクトル強度を有することで、皮膜4の硬化が進みやすい。また、紫外線が435nm以上の波長の光を含むと、現像後に、層間絶縁層7に形成されるビア孔6の第二端62の径が小さくなりやすい。この理由は、435nm以上の長波長の光は、感光性樹脂組成物に吸収されにくいため皮膜4の深部まで届きやすく、皮膜4の深部で光の散乱が起こりやすいためであると推測される。皮膜4に照射する紫外線は、365nm±45nmの波長域にある少なくとも一つの波長でスペクトル強度を有し、415nm以上でスペクトル強度を有さないことが更に好ましく、365nm±30nmの波長域にある少なくとも一つの波長でスペクトル強度を有し、400nm以上でスペクトル強度を有さないことがより更に好ましく、365nm±15nmの波長域にある少なくとも一つの波長でスペクトル強度を有し、385nm以上でスペクトル強度を有さないことが特に好ましい。
次に、皮膜4をアルカリ性水溶液で現像することで、ビア孔6を有する層間絶縁層7を作製する。このとき、既に説明したとおり、小径部63を有するビア孔6が形成されやすい。皮膜4に現像処理を施すことで、図1Cに示す皮膜4の非硬化部分5を除去し、これにより、図1Dに示すようにビア孔6を設ける。現像処理では、感光性樹脂組成物の組成に応じた適宜の現像液を使用できる。現像液は、例えばアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物のうち少なくとも一方を含有するアルカリ性水溶液、又は有機アミンである。アルカリ性水溶液は、より具体的には例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化リチウムからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。アルカリ性水溶液中の溶媒は、水のみであっても、水と低級アルコール類等の親水性有機溶媒との混合物であってもよい。有機アミンは、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
アルカリ性水溶液は、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物のうち少なくとも一方を含有することが好ましく、炭酸ナトリウムを含有することが特に好ましい。この場合、作業環境の向上及び廃棄物処理の負担軽減を達成できる。
本実施形態による感光性樹脂組成物は良好な現像性を有するため、現像後に未硬化の感光性樹脂組成物の残渣がビア孔6の底に残りにくい。このため、小径部63を有するビア孔6を形成しやすい。
続いて、現像後の皮膜4を加熱することで熱硬化させてもよい。加熱の条件は、例えば加熱温度120℃以上200℃以下の範囲内、加熱時間20分以上180分以下の範囲内である。このようにして皮膜4を熱硬化させると、層間絶縁層7の強度、硬度、耐薬品性等の性能が向上する。
必要により、加熱前と加熱後のうちの一方又は両方で、皮膜4に更に紫外線を照射してもよい。この場合、皮膜4の光硬化を更に進行させることができる。
以上により、基材1上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる層間絶縁層7が設けられる。続いて、アディティブ法などの公知の方法で、層間絶縁層7上に導体配線である第一導体層8を作製し、かつビア孔6内にビア導体9を作製することができる。これにより、図1Eに示すように、第一導体層8、第二導体層3、層間絶縁層7、ビア孔6及びビア導体9を備えるプリント配線板11が得られる。なお、図1Eにおいて、ビア導体9はビア孔6内全体に充填されているが、ビア導体9はビア孔6の内面を覆う膜であってもよい。
また、ビア導体9を作製する前に、ビア孔6の内面全体と層間絶縁層7の外表面の一部とを粗化してもよい。この場合、基材1とビア導体9との密着性を向上することができる。
層間絶縁層7の外表面の一部とビア孔6の内面全体との粗化は、酸化剤を用いた一般的なデスミア処理と同じ手順で行うことができる。例えば、層間絶縁層7の外表面に酸化剤を接触させて層間絶縁層7の外表面を粗化する。しかし、これに限らず、プラズマ処理、UV処理やオゾン処理等の適宜の粗化方法を採用してもよい。
酸化剤は、デスミア液として入手可能な酸化剤であってもよい。このような酸化剤は、例えば過マンガン酸ナトリウムや過マンガン酸カリウムの群から選択される少なくとも一種の過マンガン酸塩を含有することができる。
ビア導体9を設けるにあたって、粗化された外表面の一部と、ビア孔6の内面とに無電解金属メッキ処理を施して初期導体を形成することができる。その後、電解金属メッキ処理で初期導体に電解メッキ液中の金属を析出させることでビア導体9を形成することができる。
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できれば設計に応じて種々の変更が可能である。
1.カルボキシル基含有樹脂の合成
[合成例1~6:ビスフェノールフルオレン骨格含有樹脂]
還流冷却器、温度計、空気吹き込み管及び攪拌機を取付けた四つ口フラスコ内に、表1中の「第一反応」欄に示す成分を加えて、これらをエアバブリング下で攪拌することで混合物を調製した。この混合物をフラスコ内で、エアバブリング下で攪拌しながら、「反応条件」欄に示す反応温度及び反応時間で加熱した。これにより、中間体の溶液を調製した。
続いて、フラスコ内の中間体の溶液に表1の「第二反応」欄に示す成分を投入し、エアバブリング下で攪拌しながら、「反応条件(1)」欄に示す反応温度及び反応時間で加熱した。続いて、エアバブリング下で攪拌しながら、「反応条件(2)」欄に示す反応温度及び反応時間で加熱した。これにより、カルボキシル基含有樹脂の65質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量、及び酸価は表1中に示す通りである。
なお、表1中の(a1)欄に示す成分の詳細は次の通りである。
・エポキシ化合物1:式(2)で示され、式(2)中のR1~R8がすべて水素であるエポキシ当量250g/eqのビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物。
・エポキシ化合物2:式(2)で示され、式(2)中のR1及びR5がいずれもメチル基、R2~R4及びR6~R8がいずれも水素であるエポキシ当量279g/eqのビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物。
[合成例7:ビフェニルノボラック骨格含有樹脂]
還流冷却器、温度計、空気吹き込み管及び攪拌機を取付けた四つ口フラスコ内に、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、品番NC-3000-H、エポキシ当量288g/eq)288質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート155質量部、メチルハイドロキノン0.2質量部、アクリル酸72質量部、及びトリフェニルフォスフィン3質量部を加えて、混合物を調製した。この混合物を、フラスコ内で、エアバブリング下で攪拌しながら、115℃の温度で12時間加熱した。これにより、中間体の溶液を調製した。
続いて、フラスコ内の中間体の溶液に、テトラヒドロフタル酸無水物85質量部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート86.3質量部を投入し、エアバブリング下で攪拌しながら、90℃で4時間加熱した。これにより、カルボキシル基含有樹脂B-1の65質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂B-1の重量平均分子量は8026、酸価は69mgKOH/gであった。
2.組成物の調製
後掲の表2~3に示す成分を3本ロールで混練してから、フラスコ内で撹拌混合することで、組成物を得た。なお、表2~3に示される成分の詳細は次の通りである。
・不飽和化合物A:トリメチロールプロパントリアクリレート。
・光重合開始剤A:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、BASF社製、品番Irgacure TPO。
・光重合開始剤B:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、BASF社製、品番Irgacure 184。
・光重合開始剤C:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン。
・光重合開始剤D:2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン。
・結晶性エポキシ樹脂A:ビスフェノール型結晶性エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の品番YSLV-80XY、融点75~85℃、エポキシ当量192g/eq。
・非晶性エポキシ樹脂溶液A:長鎖炭素鎖含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC株式会社製、品番EPICLON EXA-4816、液状樹脂、エポキシ当量410g/eqを固形分90%でジエチレングリコールモノエチルアセテートに溶解した溶液。
・有機フィラーA分散液:平均一次粒子径0.07μmの架橋ゴム(NBR)を、分散液全量に対して含有量15重量%で、メチルエチルケトン中で分散させた分散液(JSR株式会社製、品番XER-91-MEK;酸価10.0mgKOH/g)。
・有機フィラーB:平均一次粒子径0.3μmのグリシジル変性アクリロニトリルブタジエンゴム。
・添加剤A:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
・添加剤B:メラミン。
・溶剤A:メチルエチルケトン。
3.組成物の評価
(1)テストピースの作製
各組成例の組成物を用いて次のようにテストピースを作製した。
各組成例の組成物を、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム上にアプリケータで塗布してから、80℃で5分加熱した後に、95℃で20分加熱することで乾燥させることにより、フィルム上に厚み35μmのドライフィルムを形成した。
厚み17.5μmの銅箔を備えるガラスエポキシ銅張積層板(FR-4タイプ)を用意した。このガラスエポキシ銅張積層板における厚み1μm程度の表面部分を、エッチング剤(メック株式会社製の品番CZ-8101)で処理することで粗化した。このガラスエポキシ銅張積層板の一面全面に、上記ドライフィルムを真空ラミネーターで加熱ラミネートした。加熱ラミネートの条件を、0.5MPa、80℃、1分間に設定した。これにより、ガラスエポキシ銅張積層板上に、上記ドライフィルムからなる皮膜を形成した。この皮膜に、直径80μmの円形形状を含むパターンを有する非露光部を有するネガマスク及びポリエチレンテレフタレート製のフィルムを介して、波長365nmの紫外線を、積算光量250mJ/cm2の条件で照射した。続いて、皮膜からポリエチレンテレフタレート製のフィルムを剥離した。
続いて、皮膜に30℃のアルカリ性水溶液(1%Na2CO3水溶液)を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射してから、純水を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射することで、皮膜を現像した。続いて、皮膜を180℃で120分間加熱した。これにより、プリント配線板上に、層間絶縁層及びこの層間絶縁層を貫通するビア孔を形成した。これにより、テストピースを得た。
このテストピースに対して、下記の評価を行った。なお、組成例11においては、現像ができず評価は行っていない。また、組成例14においては現像時に硬化不足による皮膜の剥離が見られる箇所があったため評価を行っていない。
(2)第一端の径及び第二端の径の測定
テストピースを、ビア孔の軸と平行な面でビア孔を両断するように切断し、断面を電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した。これにより得られた画像から、ビア孔の第一端の径及び第二端の径を測定した。また、(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値を求めた。
(3)小径部の有無
上記「(2)第一端の径及び第二端の径の測定」において得られた画像から、ビア孔の第一端と第二端との間に、小径部が存在するかを確認し、次のように評価した。
A:第一端と第二端との間に、小径部が存在し、かつ小径部の最小径が第二端の径に対して65%以上100%未満である。
B:第一端と第二端との間に、小径部が存在し、かつ小径部の最小径が第二端の径に対して65%未満である。
C:第一端と第二端との間に、小径部が存在しない。
(4)ビア形状評価
上記「(2)第一端の径及び第二端の径の測定」において得られた画像から、ビア孔の形状を次のように評価した。
A:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が80%以上であり、かつ、第一端と第二端との間に、第二端の径に対して65%以上100%未満の小径部が存在する。
B:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が75%以上80%未満であり、かつ、第一端と第二端との間に、第二端の径に対して65%以上100%未満の小径部が存在する。
C:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が65%以上75%未満であり、かつ、第一端と第二端との間に、第二端の径に対して65%以上100%未満の小径部が存在する。
D:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が65%未満であり、かつ、第一端と第二端との間に小径部が存在する。
E:小径部が存在しない。
以上の評価試験の結果を下記表2~3に示す。
4.プリント配線板の評価
(1)テストピースの作製
皮膜作製時の皮膜の形成方法及び皮膜の厚み、露光時の円形形状のパターンの直径、紫外線の波長及び積算光量、並びに現像時のアルカリ性水溶液の噴射時間を、表4~6に示すとおりとしたこと以外は、上記の「1.組成物の評価」における「(1)テストピースの作製」で説明されている方法で、テストピースを作製した。なお、波長の欄に複数の数値が記載されている場合には、各数値の波長を有する紫外線を同時に照射した。
このテストピースに対し、下記の評価を行った。なお、比較例1においては、現像ができず評価は行っていない。また、比較例3においては現像時に硬化不足による皮膜の剥離が見られる箇所があったため評価を行っていない。
(2)第一端の径及び第二端の径の測定
テストピースをビア孔の軸と平行な面でビア孔を両断するように切断し、断面を電子顕微鏡(SEM)により観察した。これにより得られた画像から、ビア孔の第一端の径、及び第二端の径を測定した。また、(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値を求めた。
(3)小径部の有無
上記「(2)第一端の径及び第二端の径の測定」において得られた画像から、ビア孔の第一端と第二端との間に、小径部が存在するかを確認し、次のように評価した。
A:第一端と第二端との間に、小径部が存在し、かつ小径部の最小径が第二端の径に対して65%以上100%未満である。
B:第一端と第二端との間に、小径部が存在し、かつ小径部の最小径が第二端の径に対して65%未満である。
C:第一端と第二端との間に、小径部が存在しない。
(4)ビア形状評価
上記「(2)第一端の径及び第二端の径の測定」において得られた画像から、ビア孔の形状を、次のように評価した。
A:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が80%以上であり、かつ、第一端と第二端との間に、第二端の径に対して65%以上100%未満の小径部が存在する。
B:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が75%以上80%未満であり、かつ、第一端と第二端との間に、第二端の径に対して65%以上100%未満の小径部が存在する。
C:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が65%以上75%未満であり、かつ、第一端と第二端との間に、第二端の径に対して65%以上100%未満の小径部が存在する。
D:(第一端の径÷第二端の径)×100(%)の値が65%未満であり、かつ、第一端と第二端との間に、小径部が存在する。
E:小径部が存在しない。
(5)ビア接続信頼性
テストピースについて、層間絶縁層の外表面に、メッキ処理の前工程として一般的な下記のデスミア処理で粗化させた。
層間絶縁層に、デスミア用膨潤液(アトテックジャパン株式会社製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP)を用いた膨潤処理を70℃で10分間行うことで層間絶縁層の表面を膨潤させてから、層間絶縁層を湯洗した。続いて層間絶縁層の表面を、デスミア液(過マンガン酸カリウムを含有する酸化剤。アトテックジャパン株式会社製のコンセントレート・コンパクトCP)を用いて70℃で10分間処理することで粗化させてから、層間絶縁層を湯洗した。次に、層間絶縁層の表面を中和液(アトテックジャパン株式会社製のリダクションソリューション・セキュリガントP)を用いて40℃で5分間処理することで残渣を除去してから、層間絶縁層を水洗した。
次に、層間絶縁層上に無電解銅メッキ処理を施すことで初期導体を作製してから、150℃で1時間加熱した。次に初期導体上に、電流密度2A/dm2の条件で電解銅メッキ処理を施してから、180℃で30分間加熱した。これにより、層間絶縁層上に厚み33μmの第一導体層を作製し、かつビア孔内にビア導体を作製した。
次に、テストピースを-55℃で15分の条件下に曝露してから125℃で15分の条件下に曝露するサイクルを500サイクル行う温度サイクル試験を実施した。試験前後のビア導体を通じた第一導体層と第二導体層との間の電気抵抗値を測定し、その変化率を次のように評価した。
A:温度サイクル試験前後の抵抗値の変化率が8%未満。
B:温度サイクル試験前後の抵抗値の変化率が8%以上10%未満。
C:温度サイクル試験前後の抵抗値の変化率が10%以上。
以上の評価試験の結果を下記表4~6に示す。