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JP7696159B2 - 紙おむつ用筆記具 - Google Patents
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JP7696159B2 - 紙おむつ用筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、紙おむつ用の筆記具に関するものである。
乳幼児等に使用される紙おむつが広く普及している。紙おむつは、使い捨てすることができ、かつ肌触りもよい。また使用者(被装着者)に対する付け外しも容易である。そのため、乳幼児を預かる保育施設では、もっぱら紙おむつが使用される。
図9に一般的な紙おむつの構造を示す。図9に示す紙おむつ100は、防水性を有する外皮材101と、通水性を有し使用者の肌に触れる内皮材102を有し、その間に、吸水材103が内蔵されたものである。吸水材103は、例えば、給水紙、綿状パルプ、高分子吸水剤等が積層されたものである。
ところで、保育施設で使用する紙おむつは、通常、父兄等が持参するので、保育施設では多人数用の紙おむつを取り扱うこととなる。そのため、父兄等に対して、持参した紙おむつに自身の乳幼児の名前を予め記載することを要求されることが多い。ここで、父兄等は、マーカーやボールペン等の既存の筆記具で紙おむつに自身の乳幼児の名前等を記載しているのが現状である。
特開昭62-234997号公報 特開2015-199327号公報 特開2020-93511号公報
しかしながら、紙おむつ100の外皮材101は、多くの場合不織布であり、繊維がシート状に固められたものである。そのため従来技術の筆記具は、ペン先が外皮材101に引っかかりやすく、書きにくい。
例えばフェルトペンは、ペン先が繊維束であり、筆記する際にペン先が外皮材101の繊維にからんで引っかかることがあり、書きにくい。
マーカーは、ペン先が樹脂や焼結体であり、硬いので筆記する際にペン先が外皮材101に引っかかりやすく、書きにくい。
ボールペンについても同様であり、ペン先が外皮材101に引っかかりやすく、書きにくい。即ち、通常のボールペンは、一般にボールの直径が0.6mm以下である。これに対して、紙おむつ100の外皮材101は、前記した様に多くの場合不織布であり、繊維がシート状に固められたものである。そのため、従来技術のボールペンを使用すると、ボールが不織布の繊維の間に挟まり、ボールペンを動かしにくい。
またボールペンの一形態として、ボールペン内にばねが内蔵されており、当該ばねでボールが先端開口側に押圧されているものがある。この構造のボールペンでは、前記したマーカーと同様、ばねに抗してボールを押し入れる必要がある。しかし、ボールを紙おむつ100に押し付けると紙おむつ100の表面が凹み、ボールが移動しにくい。そのため、円滑に筆記することが困難となる。
本発明は、紙おむつへの筆記に適した新たな筆記具を開発することを課題とするものである。
上記した課題を解決するための態様は、インキが収納されたインキ収納部と、前記インキ収納部に接続されたペン先チップと、ばねを有する紙おむつ用筆記具であって、前記ペン先チップは、チップ本体と弁体を有し、前記チップ本体は、前記弁体を収容する収容空間と、先端開口と、インキ導通孔とを備え、前記先端開口は前記収容空間の先端側にあって前記収容空間の内外を連通するものであり、前記インキ導通孔は先端側が前記収容空間の後端側の内面に開口して前記収容空間の内外を連通するものであり、前記収容空間内には前記インキ導通孔の開口部を中心として座部があり、前記弁体は、直径が0.8mm以上1.2mm以下の球形であり、前記弁体は、前記収容空間内にあってその一部が前記先端開口から露出し、前記ばねは、前記弁体を前記先端開口側に向かって押圧し、前記弁体が前記先端開口を封鎖している状態における前記ばねの押圧力である第一押圧力が2.9×10-2N以上1.5×10-1N以下であり、前記弁体が前記座部に当接している状態における前記ばねの押圧力である第二押圧力から前記第一押圧力を減じた値が6.9×10-3N以下であり、連続筆記時におけるインキの流出量が、10mあたり100mg以上200mg以下であることを特徴とする紙おむつ用筆記具である。
本態様の紙おむつ用筆記具では、弁体が球形であり、弁体を直接、紙おむつの表面に押し当てて筆記する。ここで、弁体の直径が小さすぎると紙おむつの表皮材(不織布)の繊維に引っかかる。一方、弁体の直径が大きすぎると文字を書きにくく、文字がぼやける。しかし、本態様で採用する弁体は、直径が0.8mm以上であるから、紙おむつの表面を構成する不織布に引っかかりにくい。また、本態様で採用する弁体は、直径が1.2mm以下であるから、文字を書きやすい。
また本態様の紙おむつ用筆記具は、ペン先チップの先端開口に弁体があり、当該先端開口を弁体が封鎖している。また弁体は、ばねによって先端開口側に押圧されている。
本態様の紙おむつ用筆記具では、弁体を紙おむつの表面に押し当てることによって先端開口を開いてインキを吐出させる。
前記した様に、紙おむつは柔らかいが、本態様の紙おむつ用筆記具では、先端開口を封鎖している状態におけるばねの押圧力(第一押圧力)が弱いので、弁体を押し当てたときに紙おむつが凹みにくく、書きやすい。
また本態様の紙おむつ用筆記具は、弁体が先端開口を封鎖している状態におけるばねの押圧力(第一押圧力)と、弁体が座部に当接している状態におけるばねの押圧力(第二押圧力)との差が小さいので、ふわふわした紙おむつであっても筆記しやすい。
即ち、通常のばね付きのボールペンは、筆記時にボールが座に押し付けられた状態となっており、第一押圧力と第二押圧力に大きな差があっても不都合はない。
これに対して紙おむつ用筆記具では、弁体が座部に接していないような中途の状態で筆記される場合があり、押圧力の変化が大きいと書きにくい。これに対して、本態様の紙おむつ用筆記具は、弁体が先端開口を封鎖している状態におけるばねの押圧力(第一押圧力)と、弁体が座部に当接している状態におけるばねの押圧力(第二押圧力)との差が小さいので、紙おむつに筆記しやすい。
本発明によれば、紙おむつへの筆記に適した筆記具を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る紙おむつ用筆記具の分解斜視図である。 図1の紙おむつ用筆記具の芯部材全体の断面図である。 図1の紙おむつ用筆記具の芯部材の先栓部分の断面図である。 (a)は、図3の芯部材のペン先チップの先端開口部分を拡大した断面図であり、(b)は、ペン先チップ部分から弁体を除去した状態におけるペン先チップの先端開口部分を拡大した断面図であり、(c)は、(b)のA-A断面図である。 弁体と先端開口の状態を示す説明図であり、(a)は弁体が先端開口を封鎖している状態、(b)は弁体が最大に押し込まれて座部に当接している状態を示す。 紙おむつ表面の顕微鏡写真である。 ペン先チップを有する筆記具で紙おむつ表面に筆記したときの状態を表す顕微鏡写真であり、(a)はチップの直径が0.6mmの場合、(b)はチップの直径が0.8mmの場合、(c)はチップの直径が1.0mmの場合を表す。 おむつ筆記性試験の結果を表す写真であり、(a)はばね荷重が3.8gfの場合、(b)はばね荷重が5.5gfの場合、(c)はばね荷重が7.5gfの場合、(d)はばね荷重が10.0gfの場合、(e)はばね荷重が12.5gfの場合、(f)はばね荷重が20gfの場合を表す。 一般的な紙おむつの断面構造を表す断面図であり、筆記具のペン先部分と共に示している。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、発明の理解を容易にするために、各図面において、各部材の大きさや厚み等については一部誇張して描かれており、実際の大きさや比率等とは必ずしも一致しない。
最初に、紙おむつ用筆記具50の構成部材及び構造について大まかに説明する。
図1に示す紙おむつ用筆記具50は、芯部材1と、芯部材1を収納する本体部51及びキャップ52によって構成されている。
芯部材1は、図2、図3に示すように、インキ収納部2と、先栓3とペン先チップ5及びばね6を有している。インキ収納部2は細長い管であり、その内部は空洞である。インキ収納部2にはインキ7が充填されている。またインキ収納部2内の後端にはインキフォロア8がある。
先栓3は、ペン先チップ5をインキ収納部2に接続するための部材であって、その外形は先端側が円錐形の部材である。先栓3の内部は空洞であり、インキ収納部2からペン先チップ5にインキ7を導通するための連通孔10が設けられている。先栓3の内部には、図3の様に、段部11が設けられている。
ペン先チップ5は、チップ本体13と、弁体15とを有している。
チップ本体13の外形形状は、先端側の外形が略円錐形状であり、後端側の外形が略円柱形状である。
チップ本体13の内側には弁体収容空間16、インキ導通孔17が設けられている。インキ導通孔17は、先端側が弁体収容空間16の後端側の内面に開口し、弁体収容空間16の内外を連通するものである。
また弁体収容空間16の先端には先端開口18がある。先端開口18は弁体収容空間16の先端側にあって弁体収容空間16の内外を連通するものである。
弁体収容空間16にはインキ導通孔17の開口部20を中心として座部22がある。
図3、図4に示されるように、弁体収容空間16は、円筒内部の形状をした側壁である側壁面21と、側壁面21の後端側に位置する座部構成面25及び接続面23を有している。接続面23は、側壁面21と座部構成面25を接続する面である。
図4に示されるように、接続面23の形状は、頂点を先端側とする円錐台の側面形状である。
そのため、側壁面21と座部22の間には、環状の溝30がある。また座部22の中心側は、インキ導通孔17側に膨出する膨出部31がある。
インキ導通孔17の周りには、図4(c)の様に、放射状のスリット38が設けられている。スリット38は、矢溝と称されるものである。
スリット38は、弁体収容空間16側とつながっており、インキ7はインキ導通孔17からスリット38に入り、弁体収容空間16側に流出することができる。
即ちインキ導通孔17の弁体収容空間16側の開口端には、弁体15を支える座部22があり、当該座部22に弁体15が接するが、座部22にはスリット38があるから、インキ導通孔17の開口端が弁体15で完全に塞がれることはない。
本実施形態で採用する弁体15は、球状である。弁体15は、図3、図4(a)に示すように、その一部が弁体収容空間16の開口である先端開口18から露出している。弁体15は、弁体収容空間16内で回転可能に保持されている。
弁体15の素材はSiCである。ただし、弁体15の素材は特に限定されず、ステンレススチール、アルミナ焼結体、ジルコニア、WC、その他公知のものも使用できる。
ばね6は、図3に示すように、弁体15をペン先チップ5の中から外へ向かって付勢するための部材である。ばね6は、略全体として螺旋状に巻かれたコイル形状であって付勢力を有している。
ばね6は、図3に示されるように、密巻き部33、35と粗巻き部36が設けられている。粗巻き部36は、密巻き部33、35同士の間に位置している。
先端側の密巻き部33の先端には、小径巻部40がある。
インキ収納部2の先端部に先栓3の後端側が嵌められている。さらに、先栓3の先端部にペン先チップ5の後端側が嵌められている。
ばね6は、先栓3とペン先チップ5の中で固定されている。具体的には、ばね6はペン先チップ5のチップ本体13のインキ導通孔17と、先栓3の連通孔10とに渡って配置されている。ばね6の後端側はチップ本体13から突出しており、先栓3の連通孔10の段部11と当接し、段部11に係止している。一方、ばね6の先端部は、チップ本体13のインキ導通孔17を経て弁体収容空間16内に至り、弁体15と当接している。
紙おむつ用筆記具50は、芯部材1が本体部51内に収容され、さらにキャップ52が装着されたものである。
使用時にはキャップ52を外し、本体部51を手で保持する。
本実施形態では、弁体15は、ばね6によって、ペン先チップ5の中から外へ向けて押圧されている。そのため、常時は、弁体15によってペン先チップ5の先端開口18が強制的に封止され、インキ7の漏れを防いでいる。即ち筆記時以外は、弁体15はばね6に押されて先端開口18を強制的に封止している。
一方、紙おむつ用筆記具50を使用して筆記を行う場合は、紙おむつ100に弁体15が押し当てられ、ばね6に抗して弁体15が奥に移動し、先端開口18を弁体15が離れるので先端開口18と弁体15の間に吐出空隙ができる。
インキ7は、先端開口18と弁体15の間から吐出する。紙おむつ用筆記具50を紙おむつ100に押し当てた状態で、紙おむつ用筆記具50を動かすと、弁体15が回転して線が描かれる。
次に、本実施形態の紙おむつ用筆記具50の特徴的構成について説明する。
本実施形態の紙おむつ用筆記具50は、次の特徴的構成を有している。
(1)弁体15の直径が、通常のボールペンに比べて大きい。
(2)弁体15を押圧するばね6の押圧力が弱い。
(3)弁体15を押圧する力の変化量が小さい。
(4)インキの吐出量が多い。
(1)弁体15の直径
本実施形態の紙おむつ用筆記具50で採用される弁体15の直径は0.8mm以上1.2mm以下である。
本実施形態の紙おむつ用筆記具50では、通常のボールペンのボールよりも大きいボールを弁体及び筆記用ボールとして使用しているので、紙おむつの表面を構成する不織布に引っかかりにくく、書きやすい。
また、弁体15の直径は1.2mm以下であるから、筆記時の線が過度に太くなったり、インキがにじむことが少なく、文字を書きやすい。
(2)ばね6の押圧力
本実施形態の紙おむつ用筆記具50で採用されるばね6は、弁体15がチップ本体13の先端開口18を封鎖している状態におけるばね6の押圧力(第一押圧力)が2.9×10-2N以上1.5×10-1N以下(3gf以上15gf以下)である。ばね6の第一押圧力は、好ましくは6.9×10-2N以上1.2×10-1N以下(7gf以上12gf以下)であり、より好ましくは8.8×10-2N以上1.1×10-1N以下(9gf以上11gf以下)である。
本実施形態の紙おむつ用筆記具50は、ペン先チップ5のチップ本体13に先端開口18があり、当該先端開口18を弁体15が封鎖している。紙おむつ100は柔らかいが、本実施形態の紙おむつ用筆記具50は、先端開口18を封鎖している状態におけるばね6の押圧力(第一押圧力)が弱いので、弁体15を押し当てたときの紙おむつ10が凹みにくく、書きやすい。逆に言えば、紙おむつ表面を凹ませないようなわずかな力で弁体15を押し動かすことができ、インキを吐出させることができる。
また弱い力でありながらも、弁体15がばね6で先端開口18に押しつけられているので、未使用時にインキが漏出する危険性は低い。また弱い力でありながらも、弁体15が先端開口18を封止するので、未使用時に内部のインキが乾燥することはない。
本発明者らの実験によると、ばね6の第一押圧力が2.9×10-2N以上(3gf以上)であれば、未使用時にインキが漏出することは少ない。しかしながら、筆記直後に弁体15が先端開口18を完全に封鎖するのに時間が掛かる場合があり、筆記直後にインキが漏出することがある。
ばね6の第一押圧力が6.9×10-2N以上(7gf以上)であれば、筆記直後におけるインキの漏出が相当に軽減する。ばね6の第一押圧力が8.8×10-2N以上(9gf以上)であれば、筆記直後におけるインキの漏出を略完全に防ぐことができる。
一方、紙おむつ10の凹みは、ばね6の押圧力が弱いほど少ない。
(3)弁体15を押圧する力の変化量
本実施形態の紙おむつ用筆記具50で採用されるばね6は、弁体15が先端開口18を封鎖している状態におけるばね6の押圧力(第一押圧力:F1)と、弁体15が最大に押し込まれて座部22に当接している状態における前記ばねの押圧力(第二押圧力:F2)との差(ΔF=F2-F1)、すなわち第二押圧力から第一押圧力を減じた値が、6.9×10-3N以下(0.7gf以下)のものである。
図5(a)は、弁体15が先端開口18を封鎖している状態を示し、図5(b)は、弁体15が最大に押し込まれて座部22に当接している状態を示している。
本実施形態では、両者間における弁体15の移動量Lは、0.08mmから0.12mmであり、好ましくは0.1mmである。
ばね6のばね定数は、7.4×10-3N/mm以下(7.5gf/mm以下)であることが望ましい。
紙おむつ用筆記具50では、弁体15が座部22に接していないような中途の状態で筆記される場合があり、押圧力の変化が大きいと書きにくい。これに対して本実施形態の紙おむつ用筆記具50は、弁体15が先端開口を封鎖している状態におけるばねの押圧力(第一押圧力)と、弁体15が座部に当接している状態におけるばねの押圧力(第二押圧力)との差が小さいので、紙おむつ100に筆記しやすい。
(4)インキの吐出量
本実施形態の紙おむつ用筆記具50は、連続筆記時におけるインキの流出量が、10mあたり100mg以上200mg以下のものである。連続筆記時におけるインキの流出量は、荷重100g、筆記角度65度、筆記速度7cm/秒、温度23℃、湿度50%の条件で、上質紙に連続して10m筆記したときのインキの流出量(mg)を測定することにより、評価することができる。紙おむつ用筆記具50の連続筆記時におけるインキの上記流出量は、通常のボールペンにおけるインキの流出量よりも大きい。
1.引っ掛かりとボール径との関係
(1)紙おむつ表面の顕微鏡観察
市販の紙おむつ(商品名:ムーニー、ユニ・チャーム社製)の表面を顕微鏡で観察した(図6)。図6には、直径0.5mm、0.6mm、0.8mm、及び1.0mmの円を追記している(各々、φ05、φ06、φ08、φ10と表示)。すなわち、紙おむつの表面では不織布の繊維が無秩序に絡んでおり、この絡み具合がボールの引っ掛かりに強く影響していると考えられた。
(2)筆記時の状態の顕微鏡観察
紙おむつ表面における引っ掛かりとボールの直径(ボール径)との関係を調べるために、直径0.6mm、0.8mm、又は1.0mmのボールを備えた模擬的な筆記具を作製した。筆記を模擬して、各筆記具で紙おむつの表面を擦り、そのときの状態を顕微鏡で観察した。結果を図7(a)~(c)に示す。即ち、ボール径0.6mmの場合はチップが不織布の繊維の隙間に突き刺さり、筆記時の引っ掛かりが顕著であった(図7(a))。一方、ボール径0.8mmの場合はチップの引っ掛かりが軽減され(図7(b))、ボール径1.0mmの場合は殆ど引っ掛からなかった(図7(c))。
2.ばね荷重とインキ漏れとの関係
(1)インキ組成物の調製
下記の組成からなるインキ組成物を調製した(単位:質量部)。
・ニグロシン染料:11
・オレイン酸:7
・アルキルフェノール樹脂:4
・マレイン酸樹脂:6
・安息香酸ショ糖エステル:2
・プロピレングリコールモノメチルエーテル:53.5
・エチルアルコール:10
・プロピレングリコールn-ブチルエーテル:6
・シリコン系界面活性剤:0.5
調製したインキ組成物の粘度(20℃、20rpm、ELD型粘度計 1°34’コーン)は15mPa・s、表面張力は22.5mN/mであった。
(2)ばね荷重が異なる筆記具の作製
直径0.8mmのボールと上記インキ組成物を用いて、ばね荷重(ボールが先端開口を封鎖している状態におけるばねの押圧力。第一押圧力)が異なる6種の筆記具(ボールペン)を作製した。ばね荷重として、3.8gf(実験例2)、5.5gf(実験例3)、7.5gf(実験例4)、10.0gf(実験例5)、12.5gf(実験例6)、及び20gf(実験例7)を選択した。別途、ばねを用いない同様の筆記具(実験例1)も作製した。
ボールの移動量L(図5)を0.1mmに設定した。このとき、各筆記具における第二押圧力(ボールが座部に当接している状態におけるばねの押圧力)は、3.99gf(実験例2)、5.77gf(実験例3)、7.88gf(実験例4)、10.51gf(実験例5)、13.14(実験例6)、21.04gf(実験例7)であった。各筆記具の第一押圧力(F1)、第二押圧力(F2)、第一押圧力と第二押圧力の差(ΔF=F2-F1)、及び、前記した差の第一押圧力に対する割合(%)(P=ΔF/F1×100)を表1に示す。
Figure 0007696159000001
(3)おむつ筆記性とインキ漏れの評価
各筆記具を用いて、白紙便箋に丸(〇)を10回連続して描く「10丸筆記」を実施し、筆記していない時のペン先からのインキ漏れの有無を調べた(ペン先インキ漏れ試験)。また、各筆記具を用いて紙おむつに筆記し、筆跡の途切れの有無を調べた(おむつ筆記性試験)。紙おむつとして、商品名「ムーニー」(ユニ・チャーム社)、商品名「マミーポコ」(ユニ・チャーム社)、商品名「パンパース」(プロクター・アンド・ギャンブル社)、商品名「メリーズ」(花王社)、商品名「ゲンキ!」(王子ネピア社)、及び商品名「グーン」(大王製紙社)を使用した。各筆記具とも10個の試料を準備して各試験に供した。
インキ漏れ試験の結果を表2に示す。おむつ筆記性試験の結果を図8に示す。表2の数値(分数)において、分母は10丸筆記の実施回数、分子はインキ漏れした回数を示す。例えば「1/20」は、10丸筆記を20回実施し、そのうちの1回でインキ漏れが起こったことを示す。漏れ率は、全試験回数に対するインキ漏れした回数の合計の割合(%)である。表2には各筆記具のばね荷重(3.8~20gf)も示している。
Figure 0007696159000002
表2に示すように、ばね荷重が3.8gf以上の範囲でペン先からのインキ漏れが良好に抑制されていた(漏れ率:0~5.8%)。特に、ばね荷重が7.5gf以上の範囲でペン先からのインキ漏れの抑制効果が顕著であった(漏れ率:0%)。一方、ばね無しの場合はペン先からのインキ漏れが多発した(漏れ率:17%)。
図8に示すように、ばね荷重が12.5gf以下の範囲で良好な筆記性が得られた(評価A、B)。ばね荷重が10.0gf以下の範囲で特に良好な筆記性が得られた(評価A)。一方、ばね荷重が20gfの場合は筆跡の途切れが多発した(評価C)。
(4)連続筆記時におけるインキの流出量
各筆記具について、連続筆記時におけるインキの流出量を測定した。詳細には、荷重100g、筆記角度65度、筆記速度7cm/秒、温度23℃、湿度50%の条件で、上質紙(紀州製紙製)に円周10cmの10丸筆記を連続して行い、10mの筆記を行った。その結果、いずれの筆記具とも、インキ流出量は100mg~200mg/10mの範囲であった。
以上より、ばね荷重(F1)を3.8gf~12.5gf(3.7×10-2N~1.2×10-1N)の範囲、かつ押圧力の差(ΔF)を0.64gf以下(6.3×10-3N以下)にすることで、ペン先からのインキ漏れ抑制とおむつ筆記性の両方に優れた紙おむつ用筆記具を提供することができた。
1 芯部材
2 インキ収納部
5 ペン先チップ
6 ばね
7 インキ
13 チップ本体
15 弁体
16 弁体収容空間(収容空間)
17 インキ導通孔
18 先端開口
22 座部
50 紙おむつ用筆記具
100 紙おむつ

Claims (1)

  1. インキが収納されたインキ収納部と、前記インキ収納部に接続されたペン先チップと、ばねを有する紙おむつ用筆記具であって、
    前記ペン先チップは、チップ本体と弁体を有し、前記チップ本体は、前記弁体を収容する収容空間と、先端開口と、インキ導通孔とを備え、
    前記先端開口は前記収容空間の先端側にあって前記収容空間の内外を連通するものであり、前記インキ導通孔は先端側が前記収容空間の後端側の内面に開口して前記収容空間の内外を連通するものであり、前記収容空間内には前記インキ導通孔の開口部を中心として座部があり、
    前記弁体は、直径が0.8mm以上1.2mm以下の球形であり、
    前記弁体は、前記収容空間内にあってその一部が前記先端開口から露出し、
    前記ばねは、前記弁体を前記先端開口側に向かって押圧し、
    前記弁体が前記先端開口を封鎖している状態における前記ばねの押圧力である第一押圧力が2.9×10-2N以上1.5×10-1N以下であり、
    前記弁体が前記座部に当接している状態における前記ばねの押圧力である第二押圧力から前記第一押圧力を減じた値が6.9×10-3N以下であり、
    連続筆記時におけるインキの流出量が、10mあたり100mg以上200mg以下であることを特徴とする紙おむつ用筆記具。
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