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JP7697288B2 - 剥離可能な塗膜の形成方法 - Google Patents
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JP7697288B2 - 剥離可能な塗膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本開示は、剥離可能な塗膜の形成方法に関する。
自動車等の車両の表面に剥離可能な塗料を塗布して塗膜を形成することにより、工場からの輸送中及び/又はストック中において、車両の塗膜を保護する技術が存在する。保護塗膜は、ユーザーへの引き渡し前に、高圧洗浄機等で車両から除去可能である。
また、剥離可能な塗膜は、車両の外観の加飾にも利用されている。剥離可能な塗膜は、一般的な塗料に比べて剥がし易いため、車両の外観を容易に変更可能である。例えば、車両の外観表面に剥離可能な塗膜用の塗料を塗布し、その上にカラーベース塗料及び/又はクリア塗料を塗布することにより、車両の外観を加飾することができる。また、その加飾を変更又は削除したい場合は、高圧洗浄機や接着剤等により剥離可能な塗膜を除去することで容易に行うことができる。
例えば、特許文献1には、塗装完了後の自動車ボディの外観を組立工程からユーザーへの引き渡しまで継続的に保護する自動車ボディの外観保護方法であって、自動車ボディの塗膜表面に物理的に剥離可能な保護塗料を塗布することを特徴とする、自動車ボディの外観保護方法が開示されている。
特開平06-254488号公報
上述の通り、剥離可能な塗膜は、車両の外観表面の保護や加飾に利用されている。ここで、保護や加飾のための剥離可能な塗膜には、それを意図的に剥離する必要性が生じるまで、車両の表面に十分に接着している必要がある。例えば、剥離可能な塗膜の表面に付着した汚れや埃を洗浄する場合、高圧洗浄機が用いられるが、保護や加飾のための剥離可能な塗膜には、一般的な洗浄に用いられる水圧では剥がれず、業務用等の高性能な高圧洗浄機を用いてさらに高い水圧を付与した場合にのみ剥がすことができるというような特性が望まれる。すなわち、剥離可能な塗膜には、低い水圧では剥がれず、高い水圧で剥がれるような適度な耐久性を有することが望ましく、剥離可能な塗膜がそのような耐久性を有するように調整可能な、剥離可能な塗膜の形成方法の開発が望まれている。
そこで、本開示は、剥離可能な塗膜の耐久性を調整することができる、剥離可能な塗膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、車両の外観表面を構成する部品の意匠面上に剥離可能な塗膜を形成する際に、塗膜の外縁部の膜厚がその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように剥離可能な塗膜を形成することにより、高圧洗浄機による水圧等の圧力に対する耐久性を向上できることを見出し、本開示に至った。
そこで、本実施形態の態様例は以下の通りである。
(1) 車両の外観表面を構成する少なくとも1つの部品の意匠面上に剥離可能な塗膜を形成する方法であって、
剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚がその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように、剥離可能な塗膜を塗工する工程を含む、方法。
(2) 前記部品の表面が塗装されている、(1)に記載の方法。
(3) 前記部品の表面がカラーベース塗膜又はクリア塗膜である、(2)に記載の方法。
(4) 剥離可能な塗膜の外縁部が、前記部品の意匠面の端部付近に配置される、(1)~(3)のいずれか1つに記載の方法。
(5) さらに、剥離可能な塗膜を塗工する工程の後に、カラーベース塗膜を塗工する工程を含む、(1)~(4)のいずれか1つに記載の方法。
(6) さらに、カラーベース塗膜を塗工する工程の後に、クリア塗膜を塗工する工程を含む、(5)に記載の方法。
(7) さらに、剥離可能な塗膜を塗工する工程の後に、クリア塗膜を塗工する工程を含む、(1)~(4)のいずれか1つに記載の方法。
(8) 剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚が、50μm以上300μm以下である、(1)~(7)のいずれか1つに記載の方法。
(9) 剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚が、前記その他の部分の塗膜の膜厚よりも10μm以上大きい、(8)に記載の方法。
(10) 前記その他の部分の塗膜の膜厚が、10μm以上40μm以下である、(8)又は(9)に記載の方法。
(11) 剥離可能な塗膜が、車両の外観を加飾するために形成される、(1)~(10)のいずれか1つに記載の方法。
(12) 剥離可能な塗膜が、車両の外観表面を保護するために形成される、(1)~(10)のいずれか1つに記載の方法。
本開示により、剥離可能な塗膜の耐久性を調整することができる、剥離可能な塗膜の形成方法を提供することができる。
本実施形態の一形態を示す模式的斜視図である。 耐久性評価における基材1001及び剥離可能な塗膜1002からなるサンプルと高圧洗浄機のノズル1003の位置関係を説明するための模式図である。
本実施形態は、車両の外観表面を構成する少なくとも1つの部品の意匠面上に剥離可能な塗膜を形成する方法であって、剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚がその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように、剥離可能な塗膜を塗工する工程を含む、方法である。
本実施形態では、剥離可能な塗膜の外縁部における塗膜の膜厚がその他の部分における塗膜の膜厚よりも大きくなるように、剥離可能な塗膜を形成する。本実施形態において、外縁部の塗膜を厚くすることにより、高圧洗浄機による水圧等の圧力に対する剥離可能な塗膜の耐久性を向上できる。一般的に、高圧洗浄機により水又は溶剤を噴射して剥離可能な塗膜を剥がす場合、塗膜と部品表面との間の部分が現れる、塗膜の外縁から剥離され易い傾向がある。外縁に現れる塗膜と部品表面との間の界面に、高い圧力で噴射される水や溶剤が入り込みやすいため、塗膜の外縁から剥離され易い傾向があると考えられる。そこで、本発明者らは、鋭意検討したところ、外縁部の塗膜を厚くすることにより高圧洗浄機による水圧等の圧力に対する塗膜の耐久性を向上できることを知得した。塗膜の外縁部の膜厚を大きくすることにより水圧等の圧力に対する耐久性が向上する理由としては、以下の理由が推測として考えられる。剥離可能な塗膜は、上述の通り、塗膜の外縁に現れる塗膜と部品表面との間の界面に噴射された水や溶剤が入り込み、剥離される傾向がある。そして、塗膜の膜厚が薄い場合、塗膜の変形や破断等が起こり易くなり、上記界面に噴射水等が入り込み易い。そこで、外縁部の膜厚を大きくすると、外縁部の強度が向上し、外縁部における噴射水等による塗膜の変形や破断等が抑制され、その結果、上記界面への噴射水等の入り込みを抑制することができる。それゆえ、外縁部の膜厚を大きくすることにより、水圧等の圧力に対する耐久性を向上することができると考えられる。なお、当該推測は、本実施形態を制限するものではない。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る形成方法は、剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚がその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように、剥離可能な塗膜を塗工する工程を含む。換言すると、本実施形態に係る形成方法は、剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚がその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように、剥離可能な塗膜用の塗料を塗布する工程を含む。
剥離可能な塗膜は、保護や加飾のために、所定のタイミングまでは部品表面に接着され、必要に応じて剥離されることを目的として形成される。剥離可能な塗膜には、それを意図的に剥離する必要性が生じるまで、車両の表面に十分に接着していることが求められる。例えば、剥離可能な塗膜の表面に付着した汚れや埃を高圧洗浄機が用いて洗浄する場合でも、一般的な洗浄に用いられる水圧では剥がれないような耐久性を有することが望まれる。また一方では、剥離される場合は、例えば業務用等の高性能な高圧洗浄機を用いて得られるような、高い水圧によって剥がすことができることが望まれる。そこで、本実施形態では、剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚をその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように塗膜を形成する。これにより、剥離され易い傾向がある外縁部において塗膜の耐久性を向上させることができ、全体的な塗膜の剥がれ難さを向上することができる。
剥離可能な塗膜の「外縁部」とは、剥離可能な塗膜の外縁に沿った部分である。本実施形態において、本実施形態の耐久性向上効果が得られるという観点から、外縁部の少なくとも一部における塗膜が厚ければよい。本実施形態において、耐久性向上効果の観点から、剥離可能な塗膜の外縁の半分以上において、塗膜が厚くなった外縁部が配置されていることが好ましい。また、本実施形態において、耐久性向上効果の観点から、剥離可能な塗膜の外縁の全体において、塗膜が厚くなった外縁部が配置されていることが好ましい。換言すると、本実施形態において、耐久性向上効果の観点から、剥離可能な塗膜の外縁部全体において、塗膜が厚くなっていることが好ましい。換言すると、本実施形態において、剥離可能な塗膜の外縁の全てに亘って、塗膜が厚くなっていることが好ましい。
本実施形態において、剥離可能な塗膜は、車両の外観表面を構成する少なくとも1つの部品の意匠面上に形成される。意匠面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
本明細書において、「車両の外観表面」とは、自動車等の車両に存在するドア等の開口部を全て閉じた状態において外側に露出する車両表面を意味する。本明細書において、「車両の外観表面を構成する少なくとも1つの部品」とは、少なくともその一部が車両の外観表面に露出する部品を意味し、剥離可能な塗膜が形成される部品は、一つであってもよく、複数であってもよい。本明細書において「部品の意匠面」とは、部品の表面であって、車両の外側から視認できる面を意味し、部品の外観表面とも称し得る。
車両の外観表面を構成する部品は、少なくともその一部が車両の外観表面に露出する部品であれば、特に制限されるものではない。車両の外観表面を構成する部品としては、例えば、ボンネット、ルーフ、フェンダー、フロントピラー、リアピラー、センターピラー、フロントドア、リアドア、サイドパネル、ドアアウトサイドハンドル、フロントバンパー、リアバンパー、タイヤホイール、ドアミラー、トランク、クォータパネル、エンブレム等が挙げられる。一般的に、車両の外観表面を構成する部品の表面には、塗膜が塗工されている。また、車両の外観表面を構成する部品の表面は、ガラス部材であってもよく、ガラス部材としては、例えば、ウインドガラス又はライト用ガラス等が挙げられる。また、ウインドガラスとしては、フロントガラス、サイドガラス、又はリアガラス等が挙げられる。ライト用ガラスとしては、例えば、ヘッドライト用ガラス、スモールライト用ガラス、ウインカー用ガラス、テールライト用ガラス、ブレーキライト用ガラス、又はフォグライト用ガラス等が挙げられる。上述の通り、本実施形態において、剥離可能な塗膜が形成される部品は、一つであってもよく、複数であってもよい。
被塗装物としての部品としては、例えば、金属材料(鉄板、鋼鉄板、アルミニウム又はステンレス鋼等)又は樹脂材料に塗装が施されているものが挙げられる。例えば、塗装を施す場合、金属材料又は樹脂材料上にプライマー層を形成し、そのプライマー層の上にカラーベース塗料及び/又はクリア塗料が塗布される。プライマー層は、塗料や樹脂の膜であり、電着塗装により部品表面に形成することができる。プライマー層は、防食性や、カラーベース塗料又はクリア塗料との密着性を確保する役割を有する。これらの塗膜は、本実施形態において形成される剥離可能な塗膜とは異なり、将来的に剥離されることを意図されていない。塗料は、特に制限されるものではないが、通常、樹脂及び硬化剤を含む。塗膜の主要素となる樹脂は、特に制限されるものではないが、水性樹脂であることが好ましい。水性樹脂は、水に溶解可能な水溶性樹脂又は水に分散可能な水分散性樹脂であればよい。塗料に含まれる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、アクリルシリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ウレア系樹脂、スチレン-ブタジエン-ラテックス(SBR)、又はNBR等が挙げられる。水性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、塗装が施された部品の上に、剥離可能な塗膜を形成することが好ましい。剥離可能な塗膜は、部品の塗装を保護するために形成されてもよく、部品表面を加飾するために形成されてもよい。一実施形態では、カラーベース塗膜及び/又はクリア塗膜の上に、剥離可能な塗膜が形成される。また、一実施形態では、カラーベース塗膜の上に、剥離可能な塗膜が形成される。また、一実施形態では、クリア塗膜の上に、剥離可能な塗膜が形成される。クリア塗料に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、又はエポキシ樹脂等が挙げられる。樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、クリア塗料は、架橋剤を含み得る。架橋剤としては、ポリイソシアネート、メラミン樹脂、又は尿素樹脂等が挙げられる。架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。クリア塗料は、例えば、樹脂、架橋剤及び添加剤を、有機溶剤又は水に溶解又は分散させた塗料であり得る。また、クリア塗料は、透明性あるいは補強性等の点から、バインダー成分としてアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
本実施形態において、剥離可能な塗膜の外縁部は、部品の意匠面の端部付近に配置されることが好ましい。剥離可能な塗膜の外縁部を部品の意匠面の端部付近に配置することにより、部品の意匠面の保護範囲又は加飾範囲を広くすることができる。本実施形態において、剥離可能な塗膜の外縁部は、部品の意匠面の端部に接して配置されることが好ましい。
図1は、本実施形態の一形態を示す模式的斜視図である。図1に示す車両100は、塗装が施されたボンネット10を有し、ボンネット10の上に剥離可能な塗膜1が塗工されている。剥離可能な塗膜1は、外縁部1aと外縁部の内側に相当する内側部分1bとを有し、外縁部1aの膜厚が内側部分1bの膜厚よりも大きくなるように形成されている。また、外縁部1aは、ボンネット10の意匠面の端部付近に配置されており、具体的には、剥離可能な塗膜の外縁がボンネット10の意匠面の端部に沿うように形成されている。
図1においては、剥離可能な塗膜が塗工される部品として、塗装が施されたボンネット10を例に挙げたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ボンネット、ルーフ、フェンダー、フロントピラー、リアピラー、センターピラー、フロントドア、リアドア、サイドパネル、ドアアウトサイドハンドル、フロントバンパー、リアバンパー、タイヤホイール、ドアミラー、トランク、クォータパネル及びエンブレムから選択される少なくとも1つの部品に剥離可能な塗膜を塗工してもよい。
本実施形態において、耐久性を効果的に向上させる観点から、塗膜を厚くする外縁部は、外縁から5mm以上であることが好ましく、外縁から10mm以上であることが好ましい。また、塗膜の使用量や労力等のコストを低減させる観点から、塗膜を厚くする外縁部は、外縁から50mm以下であることが好ましく、外縁から40mm以下であることが好ましく、外縁から30mm以下であることが好ましい。これらの数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
外縁部の膜厚は、50μm以上であることが好ましく、55μm以上であることが好ましく、60μm以上であることが好ましく、65μm以上であることが好ましく、70μm以上であることが好ましく、75μm以上であることが好ましい。外縁部の膜厚を大きくすることにより、高圧洗浄機による水圧等の圧力に対する塗膜の耐久性を向上することができる。また、外縁部の膜厚は、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることが好ましい。これらの数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
外縁部の膜厚は、外縁部以外の部分の塗膜の膜厚よりも10μm以上大きいことが好ましく、20μm以上大きいことが好ましい。
外縁部以外の膜厚は、40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることが好ましく、30μm以下であることが好ましい。外縁部以外の膜厚をこの範囲とすることにより、外縁部の塗膜が剥がれた後の塗膜を剥離し易くすることができ、また、塗料の使用量や労力等のコストを効果的に低減させることができる。また、外縁部以外の膜厚は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることが好ましい。外縁部以外の膜厚をこの範囲とすることにより、外縁部以外の塗膜の耐久性を向上することができる。これらの数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
剥離可能な塗膜用の塗料は、特に制限されるものではなく、剥離されることを意図された塗膜の形成に用いられる塗料を用いることができる。剥離可能な塗膜用塗料は、例えば、少なくとも樹脂が溶剤中に溶解又は分散されて含有されている樹脂含有液である。溶剤としては、水や有機溶媒等が挙げられる。具体的には、剥離可能な塗膜用塗料は、例えば、少なくとも樹脂が有機溶媒中に溶解又は分散されて含有されている樹脂含有液である。また、剥離可能な塗膜用塗料は、例えば、少なくとも樹脂が水中に溶解又は分散されて含有されている水分散型樹脂組成物である。水分散型樹脂組成物としては、通常は、界面活性剤の存在下に樹脂が分散しているものが用いられるが、樹脂が水中に分散含有されているものであれば、自己分散性樹脂の自己分散によって水分散液になっているものを用いることができる。水分散型樹脂組成物は、エマルションであってもよく、乳化重合により得られたポリマーエマルションを用いたエマルション型樹脂組成物であることが好ましい。
有機溶剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられる。メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル等のアルコール系溶媒。ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒。ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クメン、プソイドクメン、テトラリン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒。酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸エチルヘキシル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、エトキシエチルプロピオネート、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒。塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒。1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶媒。ジメチルスルフォキサイド、スルフォラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、プロピオニトリル等の非プロトン性極性溶媒等の有機溶媒を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数種を組み合わせて用いてもよい。
樹脂としては、各種の樹脂を用いることができ、特に制限されるものではないが、例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂(ウレタン系樹脂)、ビニルアルキルエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、又はポリスチレン系樹脂が好ましい。樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂成分の樹脂含有液中の含有量は、好ましくは、5~95質量%であり、好ましくは10~90質量%であり、好ましくは15~80質量%であり、好ましくは20~70質量%であり、好ましくは25~60質量%である。
樹脂含有液は、剥離剤、成膜助剤、又は架橋剤を含んでいてもよい。
剥離剤とは、形成した塗膜の接着力を調整し、被着体からの剥離を助ける添加剤である。剥離剤を含むことにより、水分散型樹脂組成物により形成された塗膜と保護すべき部品表面(例えば塗膜)とが適度な密着性を有し易くなる。剥離剤としては、界面活性剤、多価アルコール、ワックスから選ばれる少なくとも1種以上の化合物が好適に使用できる。これらは水に溶解もしくは分散化されたもの、又は粉末状のいずれのものであっても使用できる。界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、カテコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、エリスリトール、グリセリンモノアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ワックスとしては、具体的には植物系;キャンデリワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油等、動物系;みつろう、ラノリン、鯨ろう等、鉱物系;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等、石油系;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等、合成炭化水素系;フィッシャー・トロブシュワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックス、アクリル-エチレン共重合体ワックス等、変性ワックス系;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等、水素系ワックス;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等、その他;12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、ビスアマイド、アマイド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、高級アルコール(C12以上、好ましくはC16以上)、高級脂肪酸(C12以上、好ましくはC16以上)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成膜助剤は、塗膜の形成を助ける添加剤である。成膜助剤は、塗膜が形成された後においては比較的速やかに蒸発して塗膜の強度を向上させる一時的な可塑化機能を担うものであり、沸点が110~200℃の有機溶剤が好適に用いられる。例えば、水分散型樹脂組成物が、樹脂成分を含むエマルションである場合、成膜助剤を配合することで、MFT(Minimum film forming temperature、最低造膜温度)が室温(15~35℃)以上の樹脂成分であっても室温環境下で成膜が可能となり、均一性の高い塗膜が得られる。具体的には、テキサノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、N-メチル-2-ピロリドン、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート又は、ベンジルアルコール等が挙げられる。中でも、テキサノール、エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテルは少量で高い成膜助剤効果を有するため特に好ましい。成膜助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、光硬化性モノマー、及び光硬化性オリゴマー等の光硬化剤、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は、ベースポリマー中に導入されたヒドロキシ基、カルボキシ基等の官能基と反応して架橋構造を形成する。ベースポリマーのヒドロキシ基やカルボキシ基との反応性が高く、架橋構造の導入が容易であることから、架橋剤としては、光硬化性モノマー、光硬化性オリゴマー、又はイソシアネート系架橋剤が好ましい。架橋剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂含有液は、オイルを含んでいてもよい。オイルとしては、例えば、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤、液状炭化水素、フッ化オイル、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸等が挙げられる。オイルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂含有液が、このようなオイルを含む場合、塗膜の防汚効果がより十分に発現できる場合があり、長期にわたって汚れの付着を効果的に防止できる場合がある。
樹脂含有液は、他の添加剤を含んでいてもよい。このような他の添加剤としては、例えば、増粘剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、酸化防止剤、消泡剤、生物忌避剤、フィラー等が挙げられる。
樹脂含有液には、強度を向上させるために、フィラー等を添加させることができる。フィラーとしては、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、カオリン、タルク、カーボンブラック、層状ケイ酸塩、粘度鉱物、珪藻土等が挙げられる。粒子の大きさを上記範囲内に調整することにより、塗膜に十分な強度を付与し得るとともに、塗膜中に該粒子が均一に分散し得、塗膜に衝撃が加わった際にクラックが生じにくくなり得る。
樹脂含有液は、部品表面に塗布して乾燥させることにより、塗膜を形成することができる。樹脂含有液を部品表面に塗布した後、必要に応じて塗布した塗料を加熱してもよい。加熱は、乾燥を目的としたものであってもよく、又は硬化を目的としたものであってもよい。
塗布方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップ、コーター等の公知の塗布方法により塗布することができる。
剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚をその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように塗工する方法としては、例えば、まず、部品の意匠面上に塗料を塗布して均一な塗膜を形成した後、マスクやガード等で塗料が他の部分に付着するのを防ぎながら、外縁部にさらに塗料を塗布する方法等が挙げられる。
剥離可能な塗膜の膜厚は、例えば、電磁膜厚計(メーカー:Fischer,品番:DELTA SCOPE FMP10)により測定することができる。膜厚は、例えば、複数箇所(例えば10箇所)の平均値であり得る。
本実施形態において、剥離可能な塗膜の上に、他の膜を設けてもよい。具体的には、剥離可能な塗膜の上に、さらに、カラーベース塗膜及び/又はクリア塗膜を形成してもよい。すなわち、本実施形態に係る形成方法は、剥離可能な塗膜を塗工する工程の後に、カラーベース塗膜を塗工する工程を含んでもよい。また、本実施形態に係る形成方法は、カラーベース塗膜を塗工する工程の後に、クリア塗膜(例えば上述のもの)を塗工する工程を含んでもよい。また、本実施形態に係る形成方法は、剥離可能な塗膜を塗工する工程の後に、クリア塗膜を塗工する工程を含んでもよい。カラーベース塗膜及び/又はクリア塗膜を形成することにより、更に保護強度を向上させることができ、又は更なる加飾を行うことができる。
以下に、本実施形態について実施例を用いて説明する。なお、以下の実施例は、本実施形態を制限するものではない。
(基材・材料)
基材には、ステンレス製の板(厚さ5mm、サイズ:300mm×300mm)の表面にクリア塗膜を塗工したものを用いた。
剥離可能な塗膜用塗料として、主な成分として、キシレン、エチルベンゼン、酸化防止剤、メチルエチルケトン、シリカ反応物、酸化チタン(ナノ粒子)を含むシリコーン系樹脂を用いた。
[実施例1]
上記基材上に、上記剥離可能な塗膜用塗料を均一に塗布し、さらに、基材の表面端部(外周から10mmの範囲)に剥離可能な塗膜用塗料を重ねて塗布することにより、基材の表面端部付近における膜厚がその他の表面部分における膜厚よりも大きくなるように、剥離可能な塗膜を形成し、サンプルE1を得た。塗布は、スプレー法により行い、塗料を所定部分に重ねて塗布する際は、他の部分に塗料が塗布されないようにガードしながらスプレーした。これにより、膜厚が大きい外縁部を有する塗膜を形成した。
得られた剥離可能な塗膜について、外縁部の膜厚(10点平均)は、60μmであり、それ以外の部分の膜厚(外縁部の内側部分の膜厚、10点平均)は、20μmであった。膜厚は、電磁膜厚計(メーカー:Fischer,品番:DELTA SCOPE FMP10)により測定した。
[比較例1]
上記基材のクリア塗膜上に、上記剥離可能な塗膜用塗料を均一に塗布することにより、剥離可能な塗膜を形成し、サンプルC1を得た。塗布は、スプレー法により行った。
得られた剥離可能な塗膜の膜厚(10点平均)は、20μmであった。
[評価]
サンプルE1及びC1について、高圧洗浄機による水圧に対する耐久性を以下の方法により評価した。
図2は、耐久性評価における基材1001及び剥離可能な塗膜1002からなるサンプルと高圧洗浄機のノズル1003の位置関係を説明するための模式図である。当該耐久性評価においては、基材1001上に形成された剥離可能な塗膜1002の高圧洗浄機による水圧に対する耐久性を、図2に示すように、斜め上方向からサンプル板の側面に所定のノズル圧で水圧を10秒間付与し、塗膜が剥離する際のノズル圧を調べた。ノズル圧は、7MPa又は9MPaに設定した。また、水圧付与毎に付与する箇所を変えた。噴射角度は、噴霧方向とサンプル板の平面との間の角度が約45℃となるように設定し、噴霧距離は、基材1001と剥離可能な塗膜1002の間の界面端からノズル1003の噴霧口までの距離が10cmとなるように設定した。結果を表1に示す。
Figure 0007697288000001
表1に示される通り、剥離可能な塗膜が20μmの均一な膜厚で形成された比較例1では、9MPaのノズル圧で剥離が生じた。一方、内側部分の膜厚が比較例1と同様に20μm、外縁部の膜厚が60μmとなるように剥離可能な塗膜が形成された実施例1では、9MPaのノズル圧でも剥離が生じなかった。これにより、外縁部の膜厚を大きくすることにより、剥離に必要なノズル圧を高くできることがわかる。なお、剥離可能な塗膜を全体に亘って厚く形成しても塗膜の耐久性は向上するかもしれないが、剥離可能な塗膜を全体に亘って厚く形成するには、塗布量の増加、労力・時間の増加等に繋がり、コストの増加を招くことになり、また、剥離可能な塗膜全体に亘って高圧力を付与する必要も生じる。一方で、本実施形態では、外縁部のみの膜厚を大きくするだけで剥離可能な塗膜の全体的な耐久性を向上することができるため、塗布量の増加や労力・時間の増加等を抑制することができ、また、一度外縁部を剥離してしまえば、残り部分の膜剥離は容易に行うことができる。
また、他の実施例・比較例として、上記サンプルE1及びC1の剥離可能な塗膜の上に、さらに、カラーベース塗料及びクリア塗料を塗布したサンプルを作製し、上記方法で耐久性を評価したところ、実施例1及び比較例1で得られた結果と同様に、剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚を大きくすることにより剥離に必要なノズル圧を高くできた結果が得られた。これにより、加飾を目的としてカラーベース塗料及び/又はクリア塗料を塗布する場合でも、外縁部の膜厚を大きくすることにより剥離可能な塗膜の耐久性を向上できることが確認された。
本明細書中に記載した数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。例えば、数値範囲の上限値及び下限値を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、数値範囲の上限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、また、数値範囲の下限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
この記載した開示に続く特許請求の範囲は、本明細書においてこの記載した開示に明示的に組み込まれ、各請求項は個別の実施形態として独立している。本開示は独立請求項をその従属請求項によって置き換えたもの全てを含む。さらに、独立請求項及びそれに続く従属請求項から誘導される追加的な実施形態も、この記載した明細書に明示的に組み込まれる。
当業者であれば本開示を最大限に利用するために上記の説明を用いることができる。本明細書に開示した特許請求の範囲及び実施形態は、単に説明的及び例示的なものであり、いかなる意味でも本開示の範囲を限定しないと解釈すべきである。本開示の助けを借りて、本開示の基本原理から逸脱することなく上記の実施形態の詳細に変更を加えることができる。換言すれば、上記の明細書に具体的に開示した実施形態の種々の改変及び改善は、本開示の範囲内である。
以上、本実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。
1 剥離可能な塗膜
1a 剥離可能な塗膜の外縁部
1b 剥離可能な塗膜の内側部分
10 ボンネット
100 車両
1001 基材
1002 剥離可能な塗膜
1003 高圧洗浄機のノズル

Claims (12)

  1. 車両の外観表面を構成する少なくとも1つの部品の意匠面上に、水又は溶剤を噴射して剥離可能な塗膜を形成する方法であって、
    前記剥離可能な塗膜の外縁部の膜厚がその他の部分の塗膜の膜厚よりも大きくなるように、前記剥離可能な塗膜を塗工する工程を含
    前記剥離可能な塗膜の前記外縁部が、前記塗膜の外縁から50mm以下である、方法。
  2. 前記部品の表面が塗装されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記部品の表面がカラーベース塗膜又はクリア塗膜である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記剥離可能な塗膜の前記外縁部が、前記部品の意匠面の端部付近に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. さらに、前記剥離可能な塗膜を塗工する工程の後に、カラーベース塗膜を塗工する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. さらに、カラーベース塗膜を塗工する工程の後に、クリア塗膜を塗工する工程を含む、請求項5に記載の方法。
  7. さらに、前記剥離可能な塗膜を塗工する工程の後に、クリア塗膜を塗工する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記剥離可能な塗膜の前記外縁部の膜厚が、50μm以上300μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記剥離可能な塗膜の前記外縁部の膜厚が、前記その他の部分の塗膜の膜厚よりも10μm以上大きい、請求項8に記載の方法。
  10. 前記その他の部分の塗膜の膜厚が、10μm以上40μm以下である、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記剥離可能な塗膜が、車両の外観を加飾するために形成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記剥離可能な塗膜が、車両の外観表面を保護するために形成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
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