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JP7699028B2 - 5-ブロモ-2-アダマンタノンの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、5-ブロモ-2-アダマンタノンの新規な製造方法に関する。
アダマンタン誘導体は、高い耐熱性や透明性などの特性から、各種の産業分野で用途が拡大している。例えば、半導体製造用フォトレジストなどの電子材料や、機能性材料、医農薬の原料として有用であることが知られている。
5-ブロモ-2-アダマンタノンの製法としては、例えば、臭化アルミニウムとtert-ブチルブロマイドの存在下、臭素を用いて2-アダマンタノンを臭素化する方法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。しかしながらこの製造方法では、高価な臭化アルミニウムやtert-ブチルブロマイドを必要とし、反応に2日を要するため、工業的に有利な方法とは言い難い。
また、第四級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いて四臭化炭素によって臭素化する方法(例えば非特許文献2参照)や、鉄触媒を用いて四臭化炭素によって臭素化する方法(例えば非特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら非特許文献2および非特許文献3のいずれにおいても有害な四臭化炭素を臭素化剤として使用している。また、非特許文献2に記載の製造方法では、5-ブロモ-2-アダマンタノンの収率が31%と低く、非特許文献3に記載の製造方法では、170℃という高温での反応が必要という課題もある。
Synthetic Communications,1979年,第9巻,825頁-830頁。 Chemistry-A European Journal,2001年,第7巻,4996頁-5003頁。 Runssian Journal of Organic Chemistry,2015年,第51巻,184頁-187頁。
本発明の目的は、これら従来技術を鑑み、5-ブロモ-2-アダマンタノンを、経済的かつ簡便に製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、5-ブロモ-2-アダマンタノンの安価かつ簡便な製造方法について鋭意検討した結果、ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、様々な不飽和脂肪族化合物の存在下、臭素を用いて2-アダマンタノンを容易に臭素化し、5-ブロモ-2-アダマンタノンが製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に係る。
[1]ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、不飽和脂肪族化合物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させることを特徴とする、5-ブロモ-2-アダマンタノンの製造方法。
[2]不飽和脂肪族化合物が、炭素数2~8の直鎖、分岐、若しくは環式の不飽和脂肪族化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、項[1]に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、安価なハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、様々な不飽和脂肪族化合物を使用して、5-ブロモ-2-アダマンタノンを経済的かつ簡便に製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、不飽和脂肪族化合物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させることを特徴とする、5-ブロモ-2-アダマンタノンの製造方法に係る。
本発明の方法に使用可能なハロゲン化アルミニウムとしては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムが挙げられる。
ここで本発明の方法において使用される、塩化アルミニウム又は金属アルミニウムの使用量、あるいは両者を併用した場合について、格別の限定はないが、通常、1モルの2-アダマンタノンに対し、0.5倍モル~10倍モルの範囲で使用し、反応性や後処理工程での煩雑さを考慮すると、1.0倍モル~5倍モルの範囲であることが好ましい。
本発明の方法において、金属アルミニウムを使用する場合、通常使用される公知の形状のアルミニウムをそのまま使用できる。具体的には、粉末、粒状、薄片、チップ、塊状などの形態を挙げることができる。
本発明の方法において使用される不飽和脂肪族化合物としては、炭素数2~8の直鎖、分岐、若しくは環式の不飽和脂肪族化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、分子内の炭素-炭素間に不飽和結合を含む、炭素数2~8の直鎖、分岐、若しくは環式の脂肪族化合物である。
その具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、3-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、2-メチル-2-ペンテン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、4-ヘプテン、2-メチル-1-ヘキセン、2-メチル-2-ヘキセン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、2-メチル-1-ヘプテン、2-メチル-2-ヘプテン等の分子内の炭素-炭素間に二重結合を含む化合物、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の分子内に環状構造を含む化合物、アセチレン、プロピン、1-ブチン、2-ブチン、1-ペンチン、2-ペンチン、1-ヘキシン、2-ヘキシン、3-ヘキシン、1-ヘプチン、2-ヘプチン、3-ヘプチン、1-オクチン、2-オクチン、3-オクチン、4-オクチン等の分子内の炭素-炭素間に三重結合を含む化合物などが挙げられ、これらを単独又はいずれかの任意の組み合わせの混合物として使用することができる。
本発明の方法において、不飽和脂肪族化合物の使用量については、格別の限定はないが、1モルの2-アダマンタノンに対し、0.1倍モル~10倍モルの範囲で使用し、反応性や経済性を考慮すると、0.5倍モル~3.0倍モルの範囲であることが好ましい。
本発明の方法における臭素の使用量については、格別の限定はないが、1モルの2-アダマンタノンに対し、1.0倍モル~50倍モルの範囲で使用し、反応性や後処理工程での煩雑さを考慮すると、3.0倍モル~20倍モルの範囲であることが好ましい。
本発明の方法において、臭素化剤として使用する臭素を溶剤として用いても良いが、必要に応じて、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤を用いても良い。ハロゲン化炭化水素系溶剤を使用する場合は、1重量部の2-アダマンタノンに対して、1重量部~20重量部使用する。
本発明の方法における反応温度については、20℃~65℃の範囲であり、好ましくは40℃~60℃の範囲である。反応時間は、使用する脂肪族ハロゲン化物により異なるが、通常、10時間~72時間反応を行うことにより、反応は完結する。
反応終了後は、常法に従い活性物質を失活させた後、生成物を抽出する。続いて、有機層を水洗処理し、溶媒を留去した後、通常の精製操作、例えば、再結晶などの操作により、目的とする5-ブロモ-2-アダマンタノンを得る。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されて解釈されるものではない。
なお、収率については、ガスクロマトグラフィー(GC)で下記条件により求めた値である。
<ガスクロマトグラフィー(GC)による測定>
・装置:GC7820A(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・カラム:キャピラリーカラムTC-1(ジーエルサイエンス株式会社製)
・内部標準:シクロドデカン
測定、定量はGC装置の操作法に従い、シクロドデカンによる内部標準法により行なった。
また、核磁気共鳴および質量分析の条件は以下の通りである。
<核磁気共鳴による測定>
・装置:アバンス400(ブルカー株式会社製)
・溶媒:重クロロホルム
<質量分析(GCMS)による測定>
・装置:GCMS-QP2010Plus(株式会社島津製作所製)
・カラム:キャピラリーカラムTC-1(ジーエルサイエンス株式会社製)
実施例1 5-ブロモ-2-アダマンタノンの調製
撹拌子を備えた100mLナスフラスコに、2-アダマンタノン(1.0g、6.66mmol)、塩化アルミニウム(1.78g、13.3mmol)、臭素(21.3g、133mmol)を加え、撹拌下に0℃まで冷却し、1-ペンテン(0.47g、6.66mmol)を同温にて滴下した。滴下後、50℃まで昇温し、24時間熟成した。
反応終了後、反応液に水(5mL)を加えて塩化アルミニウムを失活させた後、亜硫酸ナトリウム飽和水溶液(50mL)を加えて臭素を還元した。その後、ジクロロメタン(20mL)を加えて抽出し、有機層を分離した。得られた有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)で洗浄後、溶媒を減圧留去した。
上記の通り取得した化合物を核磁気共鳴、質量分析により分析し、その結果、当該化合物は5-ブロモ-2-アダマンタノンであることを確認した。また、ガスクロマトグラフィーにより定量した収率は93.8%であった。
実施例2~10 5-ブロモ-2-アダマンタノンの調製
実施例1と同じ反応装置を用いて、表1中に示した条件下、不飽和脂肪族化合物及びそのモル比を種々変更し、同様の反応を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例1 不飽和脂肪族化合物を使用しない場合
実施例1と同じ反応装置を用い、1-ペンテンを用いないこと以外は、実施例1と同様に行った。
上記の通り取得した化合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ほとんど未反応で、収率は0.1%未満であった。この結果を他の例と共に表1に示す。
比較例2 不飽和脂肪族化合物を使用しない場合
実施例1と同じ反応装置を用い、1-ペンテンを用いず、塩化アルミニウムの代わりに臭化アルミニウムを使用した以外は、実施例1と同様に行った。得られた結果を表1に示す。
参考例1
実施例1と同じ反応装置を用いて、下記非特許文献1に記載の下記反応式に示す反応を行なった。具体的には、2-アダマンタノンと臭化アルミニウムの入った反応装置にtert-ブチルブロミド(t-BuBr)を滴下し反応を行った。反応が完結するまでに48時間かかった。得られた結果を表1に示す。
Synthetic Communications,1979年,第9巻,825頁-830頁(非特許文献1)。
Figure 0007699028000001
なお、参考例1で用いた臭化アルミニウムは、現時点では高価で、吸湿性が高いため取り扱いづらくなることがあり、経済的あるいは簡便な5-ブロモ-2-アダマンタノンの製造方法という本発明とは区別できる。
以上の実施例1~10、比較例1~2、及び参考例1の結果を表1に示した。

Figure 0007699028000002
表1によれば次のことが分かる。
実施例1~実施例4の結果を見ると、反応における臭素やAl種の量に対し、不飽和脂肪族化合物の量に応じて反応速度が変動しているように見える。すなわち、反応時間が短い実施例2では1-ペンテンの量が多く、順に実施例3、実施例1、実施例4と続く。このことは、反応律速が臭素化反応における不飽和脂肪族化合物によることを示していると思われ、本発明において不飽和脂肪族化合物の存在が、効率的な反応に好適に作用していることを示している。
実施例1~10に用いられた各種不飽和脂肪族化合物については、反応速度、収率においていずれも良好な結果を得ることができ、試行された不飽和脂肪族化合物の種類について好適な化合物は試行された中では大きな差は認められなかった。
実施例2と実施例7とを比較すると、実施例2ではAl種としてAlClを、実施例7ではAl種としてAl粉末を用いた例である。これらの反応収率としては大きな差は認められなかったが、反応時間が実施例2では8時間、実施例7では36時間となっており、反応に係る形態としてAlClの方が作用しやすいものであったと思われる。
実施例2と比較例1とを比較すると、いずれもAl種としてAlClを用い、比較例1では不飽和脂肪族化合物を用いていないことを除き、概ね同じような反応条件となっている。また、実施例3と比較例2とを比較すると、いずれもAl種としてAlBrを用い、比較例2では不飽和脂肪族化合物を用いていないことを除き、概ね同じような反応条件となっている。その結果、比較例1および比較例2では反応収率が0.1%未満と、実質的に目的物が生成しない。このことから、不飽和脂肪族化合物の存在が、目的物の生成に必須であることが分かる。
ここで、参考例1では、実施例3および比較例2と同じく、Al種としてAlBrを用い、異なる点として不飽和脂肪族化合物の代わりにt-BuBrを用いている。参考例1では、表1に示す通り、反応収率は97.9%と比較的高い収率ではあるものの、反応時間は48時間と極めて長い時間反応させる必要がある。さらに表1には記載がないものの、非特許文献1の827頁の表(Table)では、3日(72時間)~10日(240時間)と、実用的とは言えない長期間の反応を要するものであった。
このため、実施例2の結果だけを見ても、本発明が実用的な5-ブロモ-2-アダマンタノンを製造する方法方法であることが分かる。
本発明の方法により、工業的かつ安価な5-ブロモ-2-アダマンタノンが製造でき、電子材料や機能性材料、並びに医農薬中間体等の原料として、産業上非常に有用である。

Claims (2)

  1. ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、不飽和脂肪族化合物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させることを特徴とする、5-ブロモ-2-アダマンタノンの製造方法。
  2. 不飽和脂肪族化合物が、炭素数2~8の直鎖、分岐、若しくは環式の不飽和脂肪族化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
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KLEIN, Harald et al.,Synthetic Communications,1979年,Vol. 9,No. 9,pp. 825-830
MOISEEV, Igor' K et al.,Russian Chemical Reviews,Vol. 68,No. 12,1999年,p. 1001-1020

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