本発明は、赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤及びその使用に関するものであり、また、同肌質改善剤を含有する外用剤や化粧料、食品等についても提供するものである。
特に、本実施形態にかかる肌質改善剤は、ニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ、メラニン産生抑制から選ばれる少なくとも1つの作用の惹起成分として赤紫蘇抽出物を含有する点において特徴的である。
ニキビの発生防止とは、ニキビの原因となる菌の増殖を抑制することである。このような機能は、例えば後述するリパーゼ阻害活性試験および抗アクネ菌活性試験にて確認を行うことができる。つまり、本発明に係る赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤は、外用剤や化粧料の態様にて外用的に、及び/または食品の態様にて経口的に(以下、外用・経口使用態様と称する。)使用してリパーゼ阻害活性を高めたり、アクネ菌の増殖を抑制したりすれば、ニキビの発生防止作用を有すると言える。
抗アレルギーとは、アレルギー症状に伴う痒みや腫れを抑制することである。このような機能は、例えば後述する抗アレルギー活性試験の如くβ-ヘキソサミニダーゼ活性を測定することで確認を行うことができる。つまり、本発明に係る赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤は、外用・経口使用態様での使用でβ-ヘキソサミニダーゼ活性を抑制すれば、抗アレルギー作用を有すると言える。
抗しわとは、皮膚の乾燥を防いだり、真皮を構成する成分の減少を抑制したりすることである。このような機能は、例えば後述するコラーゲン産生評価試験、ヒアルロン酸産生評価試験にて確認を行うことができる。つまり、本発明に係る赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤は、外用・経口使用態様での使用でコラーゲンの産生又はヒアルロン酸の産生を促進させれば、抗しわ作用を有すると言える。
メラニン産生抑制とは、メラノサイトによるメラニンの過剰な産生を抑制することである。このような機能は、例えば後述するメラニン産生評価試験にて確認を行うことができる。つまり、本発明に係る赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤は、外用・経口使用態様での使用でメラニンの産生を抑制できれば、メラニン産生抑制作用を有すると言える。
赤紫蘇は、シソ科シソ属に属するPerilla frutescens var. frutescens form. purpureaとして知られる植物であり、本邦では広く一般的に栽培されている植物である。
本実施形態に係る肌質改善剤に含まれる赤紫蘇抽出物とは、 赤紫蘇の全草、または葉、花、実、茎、根のうち1又は2以上を素材として抽出したものである。
抽出とは、圧搾によってエキスを得る工程であったり、抽出溶媒に成分を浸出させる工程である。
抽出物を得るための抽出溶媒は特に限定されるものではないが、例えば水やエタノールを使用することができる。水抽出物は、所定温度の水を抽出溶媒として赤紫蘇の葉から抽出されたものである。また、エタノール抽出物は、所定温度のエタノールを抽出溶媒として赤紫蘇の葉から抽出されたものである。これらの抽出溶媒による抽出温度は特に限定されるものではないが、例えば4℃~100℃、限定的には10℃~50℃、更に限定的には15℃~30℃程度とすることができる。
水抽出物やエタノール抽出物を得る際の抽出処理の手法は特に限定されないが、一例としては所定の容器に抽出溶媒と赤紫蘇の葉の乾燥物とを収容して振盪抽出する方法が挙げられる。
また、抽出後の抽出液は、そのまま本実施形態にかかる肌質改善剤に含有させても良いが、乾燥させた上で赤紫蘇抽出物とすることもできる。
抽出液の乾燥方法は特に限定されるものではなく、抽出規模や精度に応じて適宜選択することが可能であるが、水抽出液の乾燥は、例えば凍結乾燥を採用することができ、また、エタノール抽出液の乾燥は、例えばロータリーエバポレータによる乾燥やデシケータでの乾燥を採用することもできる。なお、ロータリーエバポレータにて乾燥する場合、必要に応じて加温減圧下としたり、沸騰の有無など目的や状況に応じて乾燥条件を適宜調整しても良い。
このようにして抽出された赤紫蘇の水またはエタノール抽出物は、固体(粉体)や液体などの状態を問わず、そのまま本実施形態にかかる肌質改善剤として利用することができるが、必要に応じて補助成分を添加することもできる。
ここで補助成分とは、例えば、肌質を改善させる作用を惹起する成分の経時的な機能喪失を抑制するための成分や、剤形を整えるうえで必要な成分、香味を整えるための成分、その他必要な成分などが挙げられる。
さらに具体的には、肌質を改善させる作用を惹起する成分が酸化によって経時的にその機能を喪失してしまうならば、これを抑制するための酸化防止剤は補助成分に該当する。また、変性によってその機能を喪失するのであれば、所定の変性防止剤が補助成分に該当する。
その他、賦形剤や香料など、外用剤や化粧料、食品、試薬等に加工する上で必要に応じて補助成分を添加しても良い。
ここで外用剤は、皮膚や粘膜に塗ったり貼ったり噴霧したりして使うものであり、医薬品や医薬部外品を含むと共に、化粧料や食品に分類されない物も含む概念である。外用剤には軟膏・クリーム剤・外用液剤、点眼剤、点鼻剤、坐剤、貼付剤、吸入剤、舌下剤などが含まれる。
化粧料は、いわゆるメーキャップ化粧品の他、基礎化粧品やヘアトニック、香水、歯磨き、シャンプー、リンス、身体の洗浄等に用いられる石鹸や洗浄料、入浴剤などのトイレタリー製品を含むものであり、また、予防効果等を謳う薬用化粧品も含まれる。
また、メーキャップ化粧品としては、例えばファンデーションや眉墨(アイブロー)、マスカラ、アイシャドー、アイライン、口紅、グロス、頬紅(チーク)、白粉、マニュキアなどが挙げられ、基礎化粧品としては、例えば化粧水や乳液、洗顔料、クレンジング、美容液、クリームなどが挙げられる。なお化粧水には、リフレッシュミストの如く顔や手肌に対して噴霧する液剤(噴霧液)も含まれる。
また機能食品は、医薬品成分を含まない健康の保持増進に寄与するとされる食品全般を包含する概念であり、例えば、栄養補助食品や健康補助食品、栄養調性食品のほか、所謂サプリメントなどの一般食品であったり、特定保健用食品や栄養機能食品、機能性表示食品の如き保健機能食品も含まれる。
なお、上述した外用剤や化粧料、機能食品についての説明は、本発明の理解に供すべくこれらに相当する物品等の一例を列挙したものであり、各語句の解釈はこれら列挙された物品等に限定されるものではない。ただし、本出願人が本願を権利化するにあたり、本発明をこれら物品等に限定することを妨げない。
また、本実施形態にかかる肌質改善剤は、実験用の試薬や臨床検査薬として使用することも可能である。
このように、赤紫蘇抽出物を前述の各作用を惹起する成分として使用することで、日常の生活において摂取可能な肌質改善剤や、同改善剤を含む外用剤、化粧料、機能食品を提供することができる。
以下、本実施形態にかかる肌質改善剤に関し、ニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ又はメラニン産生抑制作用を惹起するかについて検討した過程を参照しつつ説明する。
〔1.評価サンプルの調製〕
福岡県遠賀郡芦屋町の赤紫蘇畑で栽培された赤紫蘇から葉を採取し、3種の評価サンプルを作成した。すなわち、評価サンプルは、赤紫蘇の葉を圧搾して得た赤紫蘇エキス、赤紫蘇エキスを抽出後の赤紫蘇の葉を真空乾燥させた赤紫蘇エキス残渣、および赤紫蘇の葉を60℃にて乾燥させた赤紫蘇乾燥物である。
さらに、赤紫蘇エキスはそのまま各試験に使用され、赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物はミルで粉砕した後に抽出処理を行って使用された。
赤紫蘇エキス残渣の抽出処理は、2つの三角フラスコにそれぞれ1gずつ粉砕葉を分取し、一方のフラスコには100mLの水を分注し、もう一方のフラスコには100mLのエタノールを分注した。
そして、密栓した上で両フラスコを振盪抽出器に装着し、室温にて200rpmで24時間に亘り振盪抽出処理を行った。
振盪抽出処理を終えた後、水抽出のフラスコ内容物を3000rpmで10分間の遠心分離に供し、上澄みを得て凍結乾燥処理を施した。得られた凍結乾燥物を、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物とした。
また振盪抽出処理後のエタノール抽出のフラスコは、内容物をNo.2のろ紙にて濾過し、ロータリーエバポレータを用いて濃縮・乾固させた。得られた乾燥物を、赤紫蘇エキス残渣のエタノール抽出物とした。
また、赤紫蘇乾燥物の抽出処理は、赤紫蘇エキス残渣の抽出物の調製方法と同じ処理を施して赤紫蘇乾燥物の水抽出物およびエタノール抽出物を得た。
〔2.HPLC分析、TLC分析〕
次に、赤紫蘇エキス、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物及びエタノール抽出物、並びに赤紫蘇乾燥物の水抽出物及びエタノール抽出物の含有成分プロファイルを得るため、高速液体クロマトフラフィー(HPLC)および薄層クロマトグラフィー(TCL)による成分分析を実施した。
本試験のおけるHPLC分析では、評価サンプルを前処理してHPLC試料を調製した。HPLC試料は、水抽出物を10mg/mLで初期溶離液(10%メタノール)に溶解し0.2μmフィルターを通したもの、エタノール抽出物を10μg/mLでメタノールに溶解し0.2μmフィルターを通したもの、および赤紫蘇エキスをそのまま0.2μmフィルターを通したものとした。
また、TLC分析については、TLCアルミプレートを用い、展開溶媒として3通り試験した(Hexane:Ethyl acetate=50:50、Ethyl acetate=100、Ethyl acetate:MeOH=50:50)。
HPLC分析の結果を図1から図4に基づいて説明する。なお、図1から図3は、HPLC分析のクロマトグラムを示している。図1は赤紫蘇エキスの結果を示し、図2(a)は赤紫蘇エキス残渣の水抽出物の結果を示し、図2(b)は赤紫蘇乾燥物の水抽出物の結果を示し、図3(a)は赤紫蘇エキス残渣のエタノール抽出物の結果を示し、図3(b)は赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物の結果を示している。そして、図4は水抽出物とエタノール抽出物においてELSDによって検出されたピークの面積値を示した表とグラフである。
図1に示すように、赤紫蘇エキスのクロマトグラムからは、UV(280nm)でRT=12.5分付近にピークが見られたが、ELSDではピークが見られず、本分析結果では詳細は不明であった。
次いで、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物と赤紫蘇乾燥物の水抽出物との結果を比較する。図2(a)および図2(b)に示すように、280nmにおいて、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物はRT=10分の付近までに複数のピークが確認されたのに対し、赤紫蘇乾燥物はピークが少なかった。また、図4に示すELSDの結果では、いずれもRT=1.5分の付近に単一のピークが認められた。
さらに、赤紫蘇エキス残渣のエタノール抽出物と赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物との結果を比較する。図3(a)および図3(b)に示すように、双方とも多数のピークが確認された。特に赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物は、ピークの高さが大きいことから含有成分の量が多いものと推測される。また、図4に示すELSDの結果では、RT=23~25分の付近に主要成分とみられる3つのピークを確認できた。
以上の結果より、赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物においては、エタノール抽出物が水抽出物よりも多種の成分を含むと共に、その成分の量が多いことが明らかとなった。
TLC分析の結果を図5に基づいて説明する。なお、図5(a)は展開溶媒としてHexane:Ethyl acetate=50:50を用いた結果を示し、図5(b)は展開溶媒としてEthyl acetate=100を用いた結果を示し、図5(c)は展開溶媒としてEthyl acetate:MeOH=70:30を用いた結果を示している。なお、図5中の符号3は赤紫蘇エキス残渣の水抽出物の結果であり、符号4は赤紫蘇エキス残渣のエタノール抽出物の結果であり、符号5は赤紫蘇乾燥物の水抽出物の結果であり、符号6は赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物の結果をそれぞれ示している。
図5に示すように、展開溶媒を変えて試験しても赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物におけるピークの出方には、濃淡の違いはあるもののピークの位置に大きな違いは見られなかった。
次に、TLC試験によって紫蘇乾燥物のエタノール抽出物に含まれる成分として、ロスマリン酸およびルテオリンが含有されているかも確認した。その結果について図6を参照して説明する。
なお、図6(a)は展開溶媒としてHexane:Ethyl acetate=50:50を用いた結果を示し、図6(b)は展開溶媒としてEthyl acetate=100を用いた結果を示し、図6(c)は展開溶媒としてEthyl acetate:MeOH=70:30を用いた結果を示している。なお、図6中の符号6は赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物の結果であり、符号Flavはルテオリンの検出限界濃度をポジティブコントロールとして展開した結果であり、符号Rosはロスマリン酸の検出限界濃度をポジティブコントロールとして展開した結果をそれぞれ示している。
図6(b)より、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物のルテオリンは、検出限界以下の濃度であることが明らかとなった。また、図6(c)より赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物のロスマリン酸は、検出限界以下の濃度であることが明らかとなった。
〔3.GC/MS分析〕
次に、赤紫蘇エキス、赤紫蘇エキス残渣又は赤紫蘇乾燥物がそれぞれ含有する揮発成分のプロファイルを得るため、固相マイクロ抽出(SPME)による揮発成分捕集およびガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC/MS)による成分分析を実施した。
本試験では、赤紫蘇エキスはそのままSPME用の20mLバイアルに5mL封入した。赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物は、ミルで粉砕したものをSPME用の20mLバイアルに5g封入した。それぞれのバイアルは、キャップをする前に窒素ガスで気相の置換を行った。
置換後、SPMEファイバー(100μm ポリジメチルシロキサン)を用いて、赤紫蘇エキスは室温で1分間に渡って、赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物は室温で30分間に渡って捕集を行った。
捕集後、各バイアルを表2の条件でGC/MSによる分析を行った。
GC/MS分析の結果を図7から図10に基づいて説明する。なお、図7(a)は赤紫蘇エキスのGC/MS分析による結果を示している。図7(b)は赤紫蘇エキス残渣のGC/MS分析による結果を示している。図7(c)は赤紫蘇乾燥物のGC/MS分析による結果を示している。図8は、図7(b)に示す赤紫蘇エキス残渣のGC/MS分析による結果の縦軸を図7(c)に示す赤紫蘇乾燥物の結果と同じ寸法に合わせたクロマトグラムである。また、図9はGC/MS分析によって同定された成分の一覧であり、図10はその同定された成分のピーク面積を示す棒グラフである。
図7(a)並びに図9および図10に示すように、赤紫蘇エキスは、ベンズアルデヒド(RT=7分付近)とペリルアルデヒド(RT=16分付近)を主要成分として含有することが明らかとなった。ペリルアルデヒドは、シソに含まれる香気成分であり、シソの精油の約50%を占める成分とされている。またその他に、赤紫蘇エキスにはD―リモネン、ユーカリプトール(シネオール)、リナロール、ペリルアルコールなども検出された。
図7(b)および図7(c)並びに図9および図10より、赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物には、赤紫蘇エキスと比較して多くのピーク数を確認することができた。すなわち、赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物には赤紫蘇エキスよりも多種の揮発性成分が含まれていることが明らかとなった。
また、図7(c)および図8並びに図9および図10より、赤紫蘇エキス残渣は多種の化合物を含有していることが分かる。一方で、赤紫蘇乾燥物は赤紫蘇エキス残渣と比較して成分の種類は少ないものの、それぞれの含有量は高い傾向にあることが明らかとなった。
〔4.リパーゼ阻害活性試験〕
リパーゼは脂肪を分解する酵素として知られている。このようなリパーゼは、ニキビの原因とされるアクネ菌も分泌することが知れられており、リパーゼによって皮脂を分解して自身の栄養としている。つまり、アクネ菌は皮脂を分解しつつ増殖するとともに、ニキビの原因となる炎症にかかわる成分を分泌している。換言すれば、リパーゼのはたらきを阻害すれば、アクネ菌の増殖および炎症成分の分泌を抑制するためにニキビの発生を防止することが可能となる。
本試験では、各サンプル25μL、0.1mM 4-methylumbeliferyl oleate(4-MUO)(/13mM Tris-HCl、150mM NaCl、1.3mM CaCl2緩衝液)溶液50μLと混合し、150μg/mL膵臓由来リパーゼ25μLを上記と同様の緩衝液に溶かし、25℃で30分間インキュベートした。
インキュベート後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH 4.2)100μLを加えて反応を停止させた。次いで、4-MUOにリパーゼが作用することで遊離した4-methylumbelliferone(4-MU)の蛍光強度(Em:355, Ex:460 nm)を測定し、リパーゼの活性に与える影響を評価した。
なお本試験におけるサンプルの終濃度として、赤紫蘇エキスは12.5、37.5、75、150ppmとし、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物及びエタノール抽出物、並びに赤紫蘇乾燥物の水抽出物及びエタノール抽出物は1.5625、12.5、25、100、400、800μg/mLとした。
また本試験はn=4で行い、ポジティブコントロールとしてオルリスタット(Orl)を使用した。
図11(a)は、赤紫蘇エキスのリパーゼ阻害活性を示したグラフである。また図11(b)は、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物及びエタノール抽出物のリパーゼ阻害活性を示したグラフである。また図11(c)は、赤紫蘇乾燥物の水抽出物及びエタノール抽出物のリパーゼ阻害活性を示したグラフである。
本試験では、図11(a)に示すように、赤紫蘇エキスに関し、12.5、37.5、75、150ppmのサンプル濃度で確認を行ったところ、全ての濃度において約5%から約10%のリパーゼ阻害活性が認められた。また赤紫蘇エキスでは、濃度依存的にリパーゼ阻害活性が高まることは確認できなかった。
図11(b)に示すように、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物に関し、1.5625、12.5、25、100、400、800μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、12.5μg/mL以上の濃度で濃度依存的に高いリパーゼ阻害活性が認められた。これに対し、1.5625μg/mLにおいてはリパーゼ阻害活性が認められなかった。
また、赤紫蘇エキス残渣のエタノール抽出物に関し、1.5625、12.5、25、100、400、800μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、12.5μg/mL以上の濃度で濃度依存的に高いリパーゼ阻害活性が認められた。これに対し、1.5625μg/mLにおいてリパーゼ阻害活性が認められなかった。
これらの結果より、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物とエタノール抽出物との実験結果を比較すると、共に濃度依存的にリパーゼ阻害活性作用を示すが、エタノール抽出物の方が特に高い作用を示すことが明らかとなった。
図11(c)に示すように、赤紫蘇乾燥物の水抽出物に関し、1.5625、12.5、25、100、400、800μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、全ての濃度でリパーゼ阻害活性が確認され、しかもその作用は濃度依存的に強くなることが認められた。
また、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物に関し、1.5625、12.5、25、100、400、800μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、12.5μg/mL以上の濃度で濃度依存的に高いリパーゼ阻害活性が認められた。これに対し、1.5625μg/mLにおいてリパーゼ阻害活性が認められなかった。
これらの結果より、赤紫蘇乾燥物の水抽出物とエタノール抽出物との実験結果を比較すると、共に濃度依存的にリパーゼ阻害活性作用を示すが、12.5μg/mL以上の濃度であればエタノール抽出物の方が水抽出物よりも高い作用を示すことが明らかとなった。
したがって、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物及びエタノール抽出物、並びに赤紫蘇乾燥物の水抽出物及びエタノール抽出物は12.5μg/mL以上の濃度で濃度依存的に高いリパーゼ阻害活性を示すことが明らかとなった。また、赤紫蘇エキス抽出物および赤紫蘇乾燥物について、IC50値(50%阻害濃度)を算出したところ、表3のように、いずれもエタノール抽出物が極めて強いリパーゼ阻害活性を有することが明らかとなった。
〔5.抗アレルギー試験〕
皮膚の痒み、赤み、丘疹、小水疱などの症状を引き起こす原因の一つにアレルギーがある。アレルギーは、好塩基球という免疫細胞がβ-ヘキソサミニダーゼを含有する顆粒を放出することによって発症する。つまり、β-ヘキソサミニダーゼを含有する顆粒の放出を抑制すれば、アレルギーによるこれらの症状を抑制することができる。
本試験では、好塩基球のモデル細胞としてラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3)にサンプルを添加し、細胞上清中のβ-ヘキソサミニダーゼの量を測定することによって顆粒の放出量、つまりアレルギー発症への影響を測定している。なお本試験では、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物及びエタノール抽出物、並びに赤紫蘇乾燥物の水抽出物及びエタノール抽出物をサンプルとして用いた。
具体的には、ラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3)を5×105cells/mLの濃度に調製し、96穴プレートに100μL播種した。このようなプレートを、β-ヘキソサミニダーゼ活性測定用とMTT試験用との2枚作製し、CO2インキュベーター(37℃、5% CO2)にて40時間に亘り前培養した。
前培養後、培地を除きTyrode’s bufferにてウェルを洗浄し、0.5μLの各希釈サンプルを含む100μLのTurode’s buffer(又はEMEM培地)を各ウェルに添加した。37℃、5%CO2で1時間培養後、β-ヘキソサミニダーゼ活性測定用のプレートは上清を捨てウェルを洗浄し、100μLのA23187(in Tyrode’s buffer)を添加した。インキュベーターで1時間培養後、各ウェルの上清から50μLを分取し、新しい96穴プレートに移した。
β-ヘキソサミニダーゼ活性の測定は、50μLずつ上清を分取した新たなプレートの各ウェルに、p-ニトロフェニル-N-アセチル-β-グルコサミニド(p-Nitrophenyl-N-acetyl-beta-glucosaminide)溶液を基質として50μL添加し、アルミ箔で遮光した上で室温にて1~3時間反応させた。反応後、全ウェルに100μLの反応停止液を添加して酵素反応を停止させ、プレートリーダーにて405nmの吸光度を測定し、β-ヘキソサミニダーゼ活性を測定した。
またMTT試験は、各希釈サンプルを添加して1時間が経過したプレートについて、まず、各ウェルの培地を除き、MTT染色液(5mg/ml in medium)を100μLずつ添加し、5%CO2、37℃で4時間静置培養した。次いで、培地を除去し、各ウェルに塩酸-イソプロパノール溶液を1mLずつ加え、遮光し、4時間室温で放置した。その後、マイクロプレートリーダーにて570nmにおける吸光度を測定し、細胞生存率の指標とした。
また、本試験はn=3で行い、ポジティブコントロールとしてケルセチン(Quercetin)を使用した。
図12は、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物及びエタノール抽出物、並びに赤紫蘇乾燥物の水抽出物及びエタノール抽出物の細胞生存率およびβ-ヘキソサミニダーゼ活性を示したグラフである。
図12に示すように、赤紫蘇エキス残渣の水抽出物に関し、10、100、400μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、濃度依存的にβ-ヘキソサミニダーゼ活性を促進することが明らかとなった。また、赤紫蘇エキス残渣のエタノール抽出物に関しても同じサンプル濃度で確認を行ったところ、100μg/mL以下の濃度では濃度依存的にβ-ヘキソサミニダーゼ活性を抑制するが、400μg/mLではβ-ヘキソサミニダーゼ活性を促進させることが明らかとなった。
このように、100μg/mL以下のサンプル濃度の赤紫蘇エキス残渣の水抽出物とエタノール抽出物とでは、β-ヘキソサミニダーゼ活性に対して「促進」と「抑制」という正反対の性質を示すことが明らかとなったこと、そして、エタノール抽出物は400μg/mLのサンプル濃度ではβ-ヘキソサミニダーゼ活性を転じて「促進」させる性質を示すことが明らかとなった。
また、赤紫蘇乾燥物の水抽出物に関し、10、100、400μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、全ての濃度においてβ-ヘキソサミニダーゼ活性を同程度に促進させることが明らかとなった。また、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物に関しても同じサンプル濃度で確認を行ったところ、濃度依存的にβ-ヘキソサミニダーゼ活性を抑制すると共に細胞生存率を増加させることが明らかとなった。
このように、赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物は、エタノール抽出物においてのみ、β-ヘキソサミニダーゼ活性の阻害が認められた。つまり、赤紫蘇の疎水性成分が抗アレルギー作用を惹起する成分として作用していると考えられる。
〔6.コラーゲン・ヒアルロン酸産生評価試験〕
コラーゲンは、動物の皮膚などの結合組織を形成する構造タンパク質である。コラーゲンは皮膚の構造維持に貢献しており、皮膚を若々しく保ち、シワを作らないために重要である。
コラーゲンは、皮膚の真皮に存在する繊維芽細胞により産生され、繊維芽細胞のコラーゲン産生を促進することができれば、若々しい皮膚を維持することができる。それゆえ、繊維芽細胞のコラーゲン産生促進成分は、抗老化の化粧品素材として有用であると考えられる。
またヒアルロン酸は、主に皮膚真皮の主要な細胞である繊維芽細胞やその他結合組織の細胞によって産生される。細胞外マトリックスの主成分となっており、様々な細胞間の相互作用に関与している。またその他、高濃度で滑液中に存在し、関節の正常な水分保持と潤滑を担っている。
本試験では、芽細胞培養系への本実施形態にかかる赤紫蘇乾燥物の水抽出物およびエタノール抽出物の添加によるコラーゲンやヒアルロン酸の産生能を測定し、赤紫蘇エキス残渣および赤紫蘇乾燥物の抽出物における肌の水分保持効果に関する評価を行う。
本試験方法としては、モデル細胞として成人皮膚繊維芽細胞(NHDF-Ad)を用いた。
マイクロウェルプレートに1.0×104cells/wellずつ播種し、CO2インキュベーター(37℃、5% CO2)にて24時間に亘り前培養した。
前培養の後、培地を除去し、新しい培地と所定の濃度に希釈された各希釈サンプルを添加し、再びCO2インキュベーターにて72時間培養を行い、培養液中に産生されたコラーゲン量とヒアルロン酸量を、市販のELISAキットを用いて測定した。同様に、同じ細胞を用いてMTT試験を行った。
図13は、コントロールに対する赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物によるヒアルロン酸産生比を示している。
本試験において赤紫蘇乾燥物の水抽出物に関しては、ヒアルロン酸産生効果が認められなかった。
一方で、図13に示すように、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物に関し、10、100μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、濃度依存的にヒアルロン酸産生の上昇が認められた。
図14は、コントロールに対する赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物によるコラーゲン産生比を示している。
本試験において赤紫蘇乾燥物の水抽出物に関しては、コラーゲン生成効果が認められなかった。
一方で、図14に示すように、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物に関し、100μg/mLのサンプル濃度で確認を行ったところ、100μg/mLのサンプル濃度でコラーゲン産生の上昇が認められた。
これらの結果から、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物にはヒアルロン酸およびコラーゲン産生の促進を惹起する成分がふくまれていることが示唆された。
〔7.メラニン産生評価試験〕
メラニンは、フェノール類物質が高分子化して色素になった物質の総称である。メラニンは、皮膚内部のメラニン色素細胞(メラノサイト)によって生成され、紫外線による細胞の損傷を防いでいる。ところが、過剰な紫外線はメラニンを過剰に生成し、シミを発生させる原因ともなっている。つまり、赤紫蘇抽出物がメラニンの生成を抑制することができれば、シミを改善する効果を有する肌質改善剤として利用できると言える。
本試験では、マウスメラノーマ細胞株(B16)を用いて、サンプル添加によるメラニン産生能への影響を評価した。また、評価サンプルは赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物(0.1、1、10ng/mL)を用いた。
マウスメラノーマ細胞株は、DMEM(低グルコース、含1 %ペニシリン-ストレプトマイシンおよび10 %ウシ胎児血清(FBS))を用いてコンフルエントになるまで75 cm2フラスコにて前培養した。その後、24ウェルプレートにそれぞれ1.0×105 cells/mLの濃度で播種しCO2インキュベーター(37℃、5% CO2)にてオーバーナイト培養した。
オーバーナイト培養の後、各評価サンプルを添加し、CO2インキュベーターにて48時間培養した。なお、コントロールとしてDMSO、ポジティブコントロールとしてメラニン合成を阻害する性質を備えることが知られているアルブチン(終濃度50μg/mL)を用いた。
48時間の培養後、細胞上清を除去した24ウェルプレートをPBSにて洗浄後、0.25%トリプシン-EDTA溶液にて細胞を剥離させ、それぞれのウェルから細胞を回収した。遠心、洗浄操作の後、細胞を1.5 mLチューブに移して再度遠心後、上清を取り除き、1M NaOH溶液を120μLずつ加え100℃で10分間反応させた。懸濁液100μLずつ96ウェルプレートに移し、プレートリーダーで405nmの吸光度を測定した。
図15は、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物のメラニン産生率を示したグラフである。図15に示すように、エタノール抽出物の濃度が1ng/mL又は10ng/mLであれば、メラニン産生率を低下させる傾向を示すことが明らかとなった。
〔8.抗アクネ菌活性試験〕
アクネ菌はニキビの原因として知られている。アクネ菌は皮脂を栄養源にして増殖し、増殖したアクネ菌に対抗するために皮膚が炎症を引き起こすことによってニキビを発生させている。つまり、つまり、赤紫蘇抽出物がアクネ菌の活性を抑制することができれば、ニキビ発生防止作用を有する肌質改善剤として利用できると言える。
本試験では、アクネ菌を用い、サンプル添加によるアクネ菌増殖を抑制させる効果の有無を検討した。また、評価サンプルは赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物およびエタノール抽出物を用いた。これら評価サンプルの終濃度は、それぞれ20、200、400、800μg/mLとなるように試験を行った。
供試菌株として、アクネ菌(Propionibacterium acnes)を使用した。-80℃ディープフリーザーで保存した菌液(10%グリセリン溶液)を、5mLのGAMブイヨン培地に加え、37℃のインキュベーターに静置し48時間嫌気培養した。得られた菌液をGAMブイヨンで希釈し、OD630=0.1になるよう調製した(105CFU/mL)。
希釈して調製したGAM培地を890μL、サンプル溶液を10μL混合させ、96wellプレートに135μLずつ分注した(n=3)。これに、菌液を15μLずつ添加したものと、ブランクとして菌液の代わりに培地を15μLずつ添加したものを37℃で24時間培養した。培養後、570nmにおける濁度を測定し、抗菌活性の指標とした。
図16は、抗アクネ菌活性試験の結果である。図16に示すように、水抽出物は20μg/mLでコントロール(水)と比較してアクネ菌生存率を有意に抑制する。また、エタノール抽出物は800μg/mLでコントロール(DMSO)と比較してアクネ菌生存率を有意に抑制する。
したがって、赤紫蘇抽出物は、アクネ菌の増殖を抑制するため、ニキビ発生防止作用を有する肌質改善剤として利用できると言える。
〔9.エラスターゼ阻害活性評価試験〕
皮膚は、外側から順に表皮、真皮、皮下組織を層状に形成している。表皮の内側にある真皮を構成する成分の1つとしてエラスチンが知られている。エラスチンは線維芽細胞によって生成され、肌の柔軟性と弾力性を保持する重要な役割を果たしている。また、エラスチン分解酵素であるエラスターゼは、加齢や紫外線、活性酸素、ストレスによる刺激によって誘導されることが知られている。エラスチンは、エラスターゼによって分解されることにより架橋構造が脆くなる。このようなエラスチンの分解は、肌の弾力を喪失させ、シワを発生させる原因となる。つまり、エラスターゼ活性を阻害することで、抗シワ作用が期待できる。
本試験では、ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF-Ad)由来エラスターゼを用い、N-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p-nitroanilideを基質として生成したnitroaniline量を測定することにより、エラスターゼ活性を評価した。また、エラスターゼ活性をもとに対象素材が有する肌弾力保持機能を評価した。
エラスターゼ阻害活性評価を行ったサンプルは、赤紫蘇乾燥物の水抽出物及びエタノール抽出物である。なお、それぞれのサンプル濃度は、0.04、0.4、4、40、400μg/mLとなるように試験を行った。
ヒト皮膚線維芽細胞は、Dulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)(高グルコース)(含1%ペニシリン-ストレプトマイシンおよび10%ウシ胎児血清(FBS))を用いて、コンフルエントになるまでφ10cmディッシュにてCO2インキュベーター(37℃, 5% CO2)内で前培養した。
前培養したヒト皮膚線維芽細胞はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、細胞溶解液(0.2 M Tris-HCl (pH8.0) containing 1mM PMSF and 0.5% Triton x-100)にて1.0×106cells/mlとなるように再懸濁した。懸濁液は、超音波処理を行い、遠心(13,000 rpm、4℃、15分間)した後、上清(cell lysate)を回収した。
回収した上清12.5μLに0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)35.5μLおよび各濃度のサンプルを2μL混合し、37℃、15分インキュベートした。その後、5mM 基質 (N-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p-nitroanilide)を50μL添加し、37℃、3時間インキュベートした。マイクロプレートリーダーで405nmにおける吸光度を測定し、エラスターゼ活性を算出した。
図17は、エラスターゼ阻害活性評価試験の結果である。図17に示すように、水抽出物およびエタノール抽出物は濃度依存的にエラスターゼの阻害活性を示している。特に、水抽出物は800mg/mLで約82%の阻害率を示し、エタノール抽出物は800mg/mLで約58%の阻害率を示した。
したがって、赤紫蘇抽出物は、エラスターゼ活性を阻害するため、抗シワ作用を有する肌質改善剤として利用できると言える。
上述してきたように、赤紫蘇抽出物には、ニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ、メラニン産生抑制する作用を備えている。つまり、ニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ、メラニン産生抑制から選ばれる少なくともいずれか1つの作用の惹起する成分として赤紫蘇抽出物を使用できると言える。
次に、このような赤紫蘇抽出物を含有した肌質改善剤を含有する外用剤、化粧料および食品を用いてヒトによる評価試験を行った。
〔10.外用剤のヒト評価試験〕
本試験では、20代、40代、60代の男女2名ずつ、計12名に対し、本発明にかかる肌質改善剤を含有する外用剤を所定期間に亘って使用してもらった(以下、「試験群」と称する。)。期間経過後の評価は、ニキビ(ニキビ発生防止作用)、赤み及び痒み(抗アレルギー作用)、シワ(抗しわ作用)並びにシミ(メラニン産生抑制作用)への影響をそれぞれ5段階で行った。
試験を行う外用剤は、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物を400μg/mL含有するボディミストとした。このボディミストを朝晩の1日2回、4週間に亘って使用してもらった。
また対照試験として、本発明にかかる肌質改善剤を含まないボディミストも同条件で使用して評価した(以下、「対照試験群」と称する。)。なお、この対照試験群が使用するボディミストは、美肌成分を含有しない市販のものを採用した。
外用剤のヒト評価試験の結果を示す。なお、表4は試験群の結果を示し、表5は対照試験群の結果を示している。
表4および表5より、赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤は、外用剤に含有させることにより、ニキビ発生防止作用、抗アレルギー作用、抗しわ作用、或いはメラニン産生抑制作用を惹起する成分として有効であることが明らかとなった。
〔11.化粧料のヒト評価試験〕
本試験では、20代、40代、60代の男女2名ずつ、計12名に対し、本発明にかかる肌質改善剤を含有する化粧料を所定期間に亘って使用してもらった(以下、「試験群」と称する。)。期間経過後の評価は、ニキビ(ニキビ発生防止作用)、赤み及び痒み(抗アレルギー作用)、シワ(抗しわ作用)並びにシミ(メラニン産生抑制作用)への影響をそれぞれ5段階で行った。
試験を行う化粧料は、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物を400μg/mL含有する乳液とした。この乳液を朝晩の1日2回、4週間に亘って使用してもらった。
また対照試験として、本発明にかかる肌質改善剤を含まない乳液も同条件で使用して評価した(以下、「対照試験群」と称する。)。なお、この対照試験群が使用する乳液は、美肌成分を含有しないように調製した乳液を採用した。
化粧料のヒト評価試験の結果を示す。なお、表6は試験群の結果を示し、表7は対照試験群の結果を示している。
表6および表7より、赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤は、化粧料に含有させることにより、ニキビ発生防止作用、抗アレルギー作用、抗しわ作用、或いはメラニン産生抑制作用を惹起する成分として有効であることが明らかとなった。
〔12.食品のヒト評価試験〕
本試験では、20代、40代、60代の男女2名ずつ、計12名に対し、本発明にかかる肌質改善剤を含有する食品を所定期間に亘って服用してもらった(以下、「試験群」と称する。)。期間経過後の評価は、ニキビ(ニキビ発生防止作用)、赤み及び痒み(抗アレルギー作用)、シワ(抗しわ作用)並びにシミ(メラニン産生抑制作用)への影響をそれぞれ5段階で行った。
試験を行う食品は、赤紫蘇乾燥物のエタノール抽出物を400μg/mg含有する錠剤とした。この錠剤を朝晩の食後の2回、4週間に亘って服用してもらった。
また対照試験として、本発明にかかる肌質改善剤を含まない錠剤も同条件で使用して評価した(以下、「対照試験群」と称する。)。なお、この対照試験群が使用する錠剤は、美肌成分を含有しない市販の偽薬を採用した。
食品のヒト評価試験の結果を示す。なお、表8は試験群の結果を示し、表9は対照試験群の結果を示している。
表8および表9より、赤紫蘇抽出物を含有する肌質改善剤は、食品に含有させることにより、ニキビ発生防止作用、抗アレルギー作用、抗しわ作用、或いはメラニン産生抑制作用を惹起する成分として有効であることが明らかとなった。
このようなヒト評価試験の結果より、赤紫蘇抽出物は、外用剤、化粧料あるいは食品に含有させれば、ニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ、メラニン産生抑制から選ばれる少なくともいずれか1つの作用を惹起する成分として有効であると言える。
また、上述したリパーゼ阻害活性試験、抗アレルギー試験、コラーゲン・ヒアルロン酸産生評価試験、メラニン産生評価試験、抗アクネ菌活性試験およびエラスターゼ阻害活性評価試験の結果より、特に赤紫蘇のエタノール抽出物がこれらに対して強く作用していることが明らかとなった。したがって、ニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ、メラニン産生抑制から選ばれる少なくともいずれか1つを目的とする外用剤、化粧料あるいは食品において、赤紫蘇のエタノール抽出物を有効成分として使用できるとも言える。
ところで、紫蘇に含まれているルテオリンを含有する外用剤をニキビの治療や予防に用いた報告がある。このような報告の例としては、特開2013-203703号公報が知られている。また、同じく紫蘇に含まれているロスマリン酸を含有する化粧料として特開2008-253256号公報が知られている。
しかしながら、今回のHPLC分析およびTLC分析によって明らかとしたように、本実施形態における赤紫蘇抽出物には、ルテオリンおよびロスマリン酸は含有されていない。換言すれば、本実施形態にて明らかにした赤紫蘇抽出物のニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ、メラニン産生抑制を作用において、ルテオリンおよびロスマリン酸は一切関与していない。
つまり、ルテオリンやロスマリン酸を有効成分として取り出した後の赤紫蘇の葉の残渣から得た赤紫蘇抽出物であっても、ニキビ発生防止、抗アレルギー、抗しわ、メラニン産生抑制から選ばれる少なくともいずれか1つを目的とした外用剤、化粧料又は食品における含有成分として使用することができると言える。