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JP7699508B2 - 希土類フェライト分散樹脂液、製品、及び塗料 - Google Patents
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希土類フェライト分散樹脂液、製品、及び塗料 Download PDF

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Description

本発明は、希土類フェライト分散樹脂液、当該希土類フェライト分散樹脂液から形成された層を備える製品、及び当該希土類フェライト分散樹脂液を含む塗料に関する。
近年、環境汚染度が低く、安全性にも優れた防藻剤として、フェライト化合物が提案されている。例えば、特許文献1には、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、及びイットリウム(Y)から選択される希土類元素、鉄、及び酸素を含むオルソフェライトを主成分とする防藻用添加剤、これを用いた防藻性塗料、及び該塗料を基材表面に塗布した防藻製品が開示されている。
特許文献1においては、防藻効果を材料の磁性と関連付けて考えており、保磁力が小さく、植物の固有磁場に近い磁力を示す、希土類酸化物:Fe=1:1(モル比)のオルソフェライトが、防藻用添加剤として最も好ましいと説明されている。
特開2005-272320号公報
一般的に、建材や船底等に適用される希土類フェライトは、塗料に配合され、該塗料を基材表面に塗布することで、希土類フェライト含有層を基材に形成する。このため、塗料において希土類フェライトは、均一に分散していることが好ましい。
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、希土類フェライトの分散性の高い希土類フェライト分散樹脂液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。そして、特定の組成を有する希土類フェライトを、水系ウレタン樹脂に配合した分散樹脂液とすれば、希土類フェライトの分散性の高い分散樹脂液が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
《態様1》
下記式(1)で表される希土類フェライトと、
水系ウレタン樹脂と、
を含む、希土類フェライト分散樹脂液:
Ln2xFe2(1-x) (1)
(式(1)中、Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、及びイットリウムからなる群より選択される希土類元素であり、xは、0.45以上1.00未満の数である。)。
《態様2》
前記式(1)中のxは、0.55以上1.00未満の数である、態様1に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
《態様3》
前記式(1)中のxは、0.55以上0.75以下の数である、態様1に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
《態様4》
前記式(1)中のLnが、ランタンである、態様1又は2に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
《態様5》
前記希土類フェライトは、防藻剤、防カビ剤、及び抗菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、態様1~4のいずれか一態様に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
《態様6》
基体、及び前記基体に積層又は含浸されている希土類フェライト含有層を備える、製品であって、
前記希土類フェライト含有層は、態様1~5のいずれか一態様に記載の希土類フェライト分散樹脂液を含む処理液から形成された層である、
製品。
《態様7》
船舶、護岸、建材、漁網、養殖網、水槽、プール、プール用コースロープ、ブイ、及びタイルからなる群より選択される、態様6に記載の製品。
《態様8》
外壁、内壁、建材、エアフィルター、パッキン、及び貯水用又は通水用の槽又は管からなる群より選択される、態様6に記載の製品。
《態様9》
内壁、建材、目地材、シーリング材、家具、エアフィルター、インソール、衣料品、衛生用品、医療用資材又は器具、バスマット、タオル、及び寝具からなる群より選択される、態様6に記載の製品。
《態様10》
態様1~4のいずれか一態様に記載の希土類フェライト分散樹脂液を含む、塗料。
本発明によると、希土類フェライトの分散性の高い希土類フェライト分散樹脂液が提供される。
本発明の希土類フェライト分散樹脂液を適用した塗工液や含浸液等の処理液は、希土類フェライトの分散性の高い処理液となり、当該処理液から形成された希土類フェライト含有層を備える製品は、希土類フェライトに起因する、防藻、防カビ、及び抗菌等の効果を、均一に発現することができる。
《希土類フェライト分散樹脂液》
本発明の希土類フェライト分散樹脂液は、下記式(1)で表される希土類フェライトと、水系ウレタン樹脂と、を含む:
Ln2xFe2(1-x) (1)
(式(1)中、Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、及びイットリウムからなる群より選択される希土類元素であり、xは、0.45以上1.00未満の数である。)。
本発明によれば、希土類フェライトの分散性の高い希土類フェライト分散樹脂液が提供される。理論に限定されるものではないが、これは、水系ウレタン樹脂、すなわちウレタン結合を有する重合体が分散している水系樹脂液では、重合体のウレタン基が希土類フェライトの粒子に付着等して、希土類フェライトの粒子の分散を促進していることによると考えられる。
以下に、本発明の希土類フェライト分散樹脂液の構成成分について説明する。
《希土類フェライト》
本発明の希土類フェライト分散樹脂液に用いられる希土類フェライトは、特定の組成を有する希土類フェライト化合物であり、下記式(1)で表される:
Ln2xFe2(1-x) (1)
(式(1)中、Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、及びイットリウムからなる群より選択される希土類元素であり、xは、0.45以上1.00未満の数である。)。
希土類フェライト中の希土類(Ln):Fe比が上記の範囲であれば、高い防カビ効果を得ることができる。
希土類フェライトは、上記式(1)中のxが、0.45以上1.00未満の数である限り、どのような形態であってもよい。例えば、全体が均一な組成である固溶体を形成していてもよいし、LnFeO相とLn相との混合物であってもよいし、均一組成の固溶体とLnFeO相とLn相との混合物であってもよい。また、これら以外の相を含んでいてもよい。
式(1)中のxは、0.50以上、0.55以上、0.56以上、0.57以上、0.58以上、0.59以上、0.60以上、0.65以上、0.70以上、又は0.75以上であってもよく、0.95以下、0.90以下、0.85以下、0.80以下、0.75以下、0.70以下、0.65以下、又は0.60以下であってもよい。
上記式(1)中のxは、例えば、0.55以上1.00未満の数であってよく、更には、0.55以上0.75以下の数であってよい。これに関して、希土類フェライトの組成と、その防藻効果について詳細に検討した結果、本発明者らは、希土類フェライト中のLn:Fe比を、1:1(モル比)よりも希土類リッチな領域に設定することにより、(1)水系ウレタン樹脂中における希土類フェライト化合物の分散性が改良されること、及び(2)防藻効果が向上し、かつその効果が継続する期間も長くなることを見出した。
なお、式(1)中の希土類(Ln)は、得られる希土類フェライトの優れた防カビ性、防藻性、及びコストの観点から、特に、ランタンであってよい。したがって、本発明の希土類フェライト分散樹脂液に用いられる希土類フェライトは、ランタンフェライトであってよい。
<希土類フェライトの含有量>
本発明の希土類フェライト分散樹脂液における希土類フェライトの含有量は、希土類フェライトの分散性を十分に確保する観点から、水系ウレタン樹脂の固形分に対して、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、良好な塗布性を得る観点から、例えば、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってもよい。
<希土類フェライトの製造方法>
本発明に用いられる希土類フェライトの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、希土類源と鉄源とを所定の割合で含有する混合物に、適当な応力を印加して粉砕混合した後、焼成することにより、製造されてよい。
ここで印加される応力としては、例えば、摩擦力、せん断力、ずり応力、衝撃力であってよい。希土類源と鉄源との混合物に、このような応力を印加する方法としては、例えば、ボールミル中で湿式粉砕する方法が挙げられる。
希土類源としては、例えば、所望の希土類元素の酸化物を使用してよい他、バストネサイト、モナザイト、ゼノタイム等を使用してよい。
希土類元素としては、得られる希土類フェライトの優れた防藻性、防カビ性、抗菌性、及びコストの観点から、ランタンを用いることが好ましい。中でも、Laを用いれば、効果が高く、比較的コストが安価なランタンフェライトを製造することができる。
鉄源としては、FeO、Fe、Fe等の酸化物;FeOOH、フェリヒドライト、シュベルマンライト等のオキシ酸化物;Fe(OH)、Fe(OH)等の水酸化物;等を使用してよい。
これらの中で、鉄源としてFeOOHを用いれば、Fe等と比較して反応性が高いため、低温での焼成が可能となり、また、Fe等と比較して粒経の小さい希土類フェライトを製造することができる。
希土類源と鉄源との混合物の粉砕混合を、湿式粉砕にて実施する場合には、液状媒体として、例えば、水、アルコール等を使用してよい。希土類源と鉄源との混合物を粉砕混合した後は、必要に応じて、加熱乾燥等の適宜の方法によって液状媒体を除去し、その後に焼成を実施してもよい。
焼成温度は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。例えば、700℃以上、800℃以上、900℃以上、又は1,000℃以上、かつ、例えば、1,300℃以下、1,200℃以下、1,100℃以下、又は1,000℃以下の温度において、実施してよい。
例えば、800℃以上1000℃以下の範囲であれば、更に優れた防藻効果、防カビ効果、及び抗菌効果を有する希土類フェライトを得ることができる。
焼成時間についても、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。例えば、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、12時間以上、又は15時間以上、かつ、72時間以下、48時間以下、36時間以下、24時間以下、18時間以下、又は15時間以下の時間で、実施してよい。
焼成時の周囲雰囲気は、酸化性雰囲気であってよく、例えば、空気中で焼成してよい。
焼成後、必要に応じて、適宜の方法で粉砕、分級等を行うことにより、本発明に用い得る希土類フェライトを得ることができる。
<希土類フェライトの用途>
希土類フェライトは、環境汚染度が低く、安全性にも優れることから、様々の用途に用いることができる。
希土類フェライトは、例えば、防藻剤、防カビ剤、及び抗菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の用途で用いることができ、特に、防藻剤又は防カビ剤として、優れた性能を示す。
例えば、防藻剤として用いた場合には、時間の経過に伴う防藻効果の低下を抑制することができ、防カビ剤として用いた場合には、その周囲についても防カビ効果を発現させることができる。
《水系ウレタン樹脂》
本発明の希土類フェライト分散樹脂液に用いられる水系ウレタン樹脂は、特に限定されるものではなく、ウレタン結合を有する重合体が、媒体となる水に分散しているものであればよい。
したがって、水系ウレタン樹脂としては、乳化型ウレタン樹脂であっても、親水基(アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれでもよい)又は親水性セグメントが付与された水溶性型ウレタン樹脂であってもよい。
ここで、乳化型ウレタン樹脂とは、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、界面活性剤を用いて強制的に乳化させたものであっても、親水基(アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれでもよい)又は親水性セグメントを付与したウレタン樹脂を乳化させたものであってもよい。
なお、より高分子量化したウレタン樹脂を得るために、鎖延長剤が用いられていてもよい。
ウレタン樹脂の原料となるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
水系ウレタン樹脂を構成する溶媒としては、主成分として水が用いられていれば、その他の溶媒が配合されていてもよい。その他の溶媒としては、例えば、イソプロパノール等のアルコールや、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル等が挙げられる。
水系ウレタン樹脂としては、市販品を用いることもでき、市販品としては、例えば、水性ウレタン複合アクリル樹脂エマルジョンである、ボンコート(登録商標)HY-364(DIC社)、水系ポリウレタンディスパージョンである、ハイドラン(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
《その他の成分》
本発明の希土類フェライト分散樹脂液は、上記した希土類フェライトと、水系ウレタン樹脂の他に、任意の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、水系ウレタン樹脂の成分以外の樹脂や溶剤、添加剤等が挙げられる。
<水系ウレタン樹脂の成分以外の樹脂>
本発明の希土類フェライト分散樹脂液に任意に含まれる、水系ウレタン樹脂の成分以外の樹脂は、特に限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等であってよい。
<溶剤>
本発明の希土類フェライト分散樹脂液に含まれる溶剤は、特に限定されるものではなく、例えば、アルコール、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル等から選択されてもよい。
《希土類フェライト分散樹脂液の製造方法》
本発明の土類フェライト分散樹脂液の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、水系ウレタン樹脂と、希土類フェライトと、その他の任意成分とを、所定の割合で混合することにより、調製されてよい。
《製品》
また別の本発明は、基体、及び基体に積層又は含浸されている希土類フェライト含有層を備える製品である。そして、希土類フェライト含有層が、本発明の希土類フェライト分散樹脂液を含む塗工液や含浸液等の処理液から形成された層となっている。
<基体>
本発明の製品における基体は、希土類フェライトを適用したいあらゆる物品であってよい。あらゆる材料からなる、あらゆる形状を有する物品であって、希土類フェライトが有する性能を適用したいあらゆる物品であってよい。
希土類フェライト含有層を基体に含浸させた態様とする場合には、基体は、例えば、繊維から形成された織布又は不織布であってもよいし、多孔質のフィルム等であってもよい。
<希土類フェライト含有層>
本発明の製品における希土類フェライト含有層は、本発明の希土類フェライト分散樹脂液を含む塗工液や含浸液等の処理液から形成された層であれば、特に限定されるものではない。希土類フェライト含有層は、基体に積層又は含浸されている。
本発明の希土類フェライト分散樹脂液を含む処理液から形成される希土類フェライト含有層は、希土類フェライトとウレタン樹脂とを必須の成分として含むが、希土類フェライト含有層には、これら以外の任意の成分が含まれていてもよい。任意の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂、結着剤、添加剤等が挙げられる。
希土類フェライト含有層を形成するための、本発明の希土類フェライト分散樹脂液を含む処理液は、例えば、本発明の希土類フェライト分散樹脂液と、その他の樹脂や添加剤を含む溶液や分散液等を混合した混合物であってもよいし、本発明の希土類フェライト分散樹脂液に、他の樹脂や添加剤等を添加した混合物であってもよい。
希土類フェライト含有層を形成するための、本発明の希土類フェライト分散樹脂液を含む処理液において、希土類フェライトの含有量は、希土類フェライトの性能を十分に発現させる観点から、処理液の全固形分量に対する希土類フェライトの割合として、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、良好な塗布性を得る観点から、例えば、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であってもよい。
希土類フェライト含有層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、希土類フェライト分散樹脂液を含む処理液を基体に塗工し、乾燥させて硬化物とする方法、あるいは、希土類フェライト分散樹脂液を含む処理液に基体を浸漬し、基体に処理液を含浸させた後に乾燥させる方法が挙げられる。
希土類フェライト含有層の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、1μm以上1mm以下程度であってよい。
希土類フェライト含有層を形成するための処理液の塗工量は、単位面積当たりの溶剤除去後の乾燥質量として、例えば、5g/m以上、10g/m以上、15g/m以上、20g/m以上、又は25g/m以上であってよく、例えば、200g/m以下、150g/m以下、120g/m以下、100g/m以下、80g/m以下、又は70g/m以下であってよい。
<その他の構成>
本発明の製品は、基体、及び基体に積層又は含浸されている希土類フェライト含有層を必須の構成として含んでいればよく、その他の構成を含んでいてもよい。その他の構成としては、例えば、その他の層が挙げられ、その他の層は、基体の外側、基体と希土類フェライト含有層の間、希土類フェライト含有層の外側のいずれであってもよい。
その他の層としては、例えば、基体に形成するプライマー層が挙げられる。プライマー層上に希土類フェライト含有層を形成することで、密着性を向上させることができる。
また、希土類フェライト含有層の外側に、更に樹脂等を積層して被覆することで、長期使用による希土類フェライトの脱落や漏出による、希土類フェライトに起因する効果の低下を抑制してもよい。
更に、希土類フェライト含有層の外側に、色相顔料層等を積層することで、製品の色デザインの自由度を増加させてもよく、また、他の機能性層を積層したり複合化したりして、希土類フェライトの性能とは別の性能を備えさせてもよい。
<用途>
本発明の製品の用途は、特に限定されるものではないが、希土類フェライトを防藻剤として用いる場合には、例えば、外壁、船舶、護岸、建材、漁網、養殖網、水槽、プール、プール用コースロープ、ブイ、及びタイルからなる群より選択される製品であってよい。
希土類フェライトを防カビ剤として用いる場合には、例えば、外壁、内壁、建材、エアフィルター、パッキン、及び貯水用又は通水用の槽又は管からなる群より選択される製品であってよい。
希土類フェライトを抗菌剤として用いる場合には、例えば、内壁、建材、目地材、シーリング材、家具、エアフィルター、インソール、衣料品、衛生用品、医療用資材又は器具、バスマット、タオル、及び寝具からなる群より選択される製品であってよい。
《塗料》
また別の本発明は、本発明の希土類フェライト分散樹脂液を含む塗料であってよい。
塗料には、本発明の希土類フェライト分散樹脂液の他に、樹脂及び溶剤等の他の成分を含んでいてもよい。
塗料に任意に含まれる樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等であってよい。
塗料に含まれる溶剤は、特に限定されるものではなく、例えば、水、アルコール、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル等から選択されてもよい。
塗料において、希土類フェライトの含有量は、希土類フェライトの性能を十分に発現させる観点から、塗料の全固形分量に対する希土類フェライトの割合として、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、良好な塗布性を得る観点から、例えば80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であってもよい。
塗料の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、市販の合成樹脂塗料と、本発明の希土類フェライト分散樹脂液とを、所定の割合で混合することにより、調製してもよい。
<用途>
本発明の塗料は、上記した本発明の製品における希土類フェライト含有層の形成に用いることができる。また、例えば、目地材(タイル、コンリート、煉瓦等の隙間の充填材)、シーリング材、コーキング材、接着剤等として用いてもよい。
《実施例1》
<ランタンフェライトの作製>
粉砕メディアとして10mmΦのアルミナ球を使用するボールミル中に、0.25モル部のLa、0.5モル部のFeOOH、及び水を仕込み、5時間粉砕混合した。得られた粉砕物を、300℃にて15時間乾燥した後、回転式粉砕機で解砕した。得られた解砕物を、1,000℃にて15時間焼成した後、ハンマーミルで粉砕することにより、La:Fe=50:50(モル比)のランタンフェライト(式LaFeO)を得た。
<ランタンフェライト分散樹脂液の作製>
水性ウレタン複合アクリル樹脂エマルジョン(商品名:ボンコート(登録商標)HY-364、DIC社)に、上記で作製したランタンフェライトを、固形分濃度が30%となる組成で添加した。更に、3mmφのジルコニアビーズ20gを添加し、ペイントシェイカーにて30分間の撹拌を実施し、ランタンフェライト分散樹脂液を得た。
<分散性評価>
作製したランタンフェライト分散樹脂液を4日間静置し、4日後のランタンフェライトの分散状態を、目視にて、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:ランタンフェライトの沈降が無く、均一に分散していた
〇:ランタンフェライトの沈降が始まっていたが、沈殿と分散樹脂液との境界は無かった。
△:ランタンフェライトが沈降し、沈殿と分散樹脂液との境界があり、2層に分離していた。
《実施例2》
分散樹脂液を構成するための樹脂を、表1に示す商品に変更した以外は、実施例1と同様にしてランタンフェライト分散樹脂液を作製した。得られたランタンフェライト分散樹脂液について、実施例1と同様にして分散性評価を実施した。評価結果を表1に示す。
《実施例3~4、比較例1~2》
表1に示す組成比とした以外は、実施例1と同様にしてランタンフェライトを合成した。得られたランタンフェライトと、樹脂として表1に示す商品を用いて、実施例1と同様にしてランタンフェライト分散樹脂液を作製した。得られたランタンフェライト分散樹脂液について、実施例1と同様にして分散性評価を実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 0007699508000001
上記の実施例及び比較例からは、希土類フェライトを、水系ウレタン樹脂、すなわちウレタン結合を有する重合体が分散している水系樹脂液に分散させた場合、希土類(La)と鉄(Fe)とのモル比について、希土類が鉄よりも少ない場合(La:Fe(モル比)=40:60)よりも、希土類が鉄と同等な場合(La:Fe(モル比)=50:50)、特に希土類が鉄よりも多い場合(La:Fe(モル比)=60:40)に、希土類フェライトの分散が促進されることが理解される。
《参考実施例及び参考比較例》
以下の参考実施例及び参考比較例では、希土類フェライト中のLn:Fe比を、1:1(モル比)よりも希土類リッチな領域に設定することにより、防藻効果が向上し、かつその効果が継続する期間も長くなることを示す。
《参考実施例1》
(1)ランタンフェライトの合成
粉砕メディアとして10mmΦのアルミナ球を使用するボールミル中に、0.3モル部のLa、0.4モル部のFeOOH、及び水を仕込み、5時間粉砕混合した。得られた粉砕物を、300℃にて15時間乾燥した後、回転式粉砕機で解砕した。得られた解砕物を、1,000℃にて15時間焼成した後、ハンマーミルで粉砕することにより、La:Fe=60:40(モル比)のランタンフェライト(組成式La1.2Fe0.8)を得た。
(2)防藻性塗工液の調製
得られたランタンフェライトを、市販の合成樹脂塗料(コンクリート池用、塩化ビニル系樹脂含有)中に配合し、ペイントシェイカーにて振とう混合することにより、防藻性塗工液を調製した。この防藻性塗工液の組成は、合成樹脂塗料に含まれる樹脂90質量部に対して、ランタンフェライトの配合量が10質量%となるように調整した。
(3)防藻製品の製造
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム(厚み50μm)を用い、その片面上に、ワイヤーバー#32を用いて上記の防藻性塗工液を塗工した後、60℃にて2日間(48時間)乾燥することにより、PETフィルムの片面に防藻層を有する、防藻製品を作製した。防藻層の塗工量は、36.8g/mであった。
(4)防藻製品の評価
得られた防藻製品を5cm×5cmの正方形にカットした評価試料を、底面積25cm×20cmの直方体状の水槽中にひもで吊るした。この水槽に、海から採取した海水を、水深10cmとなるように注入し、評価試料を海水中に完全に水没させた。この状態の水槽を、屋外の太陽光が当たる環境下に静置して、所定期間が経過するごとに、塗工面への藻の付着状態を目視で調べ、以下の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
塗工面に藻の付着が全く見られなかった場合:「-」
藻の付着面積が、塗工面の面積の10%以下であった場合:「+」
藻の付着面積が、塗工面の面積の10%超50%以下であった場合:「++」
藻の付着面積が、塗工面の面積の50%を超えた場合:「+++」
《参考実施例2》
La及びFeOOHの仕込み量を、それぞれ、0.4モル部及び0.2モル部に変更した他は、参考実施例1と同様にして、La:Fe=80:20(モル比)ランタンフェライト(組成式La1.6Fe0.4)を合成し、これを用いて防藻性塗工液を調製し、防藻製品を作製した。得られた防藻製品について、参考実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
《参考比較例1》
防藻性塗工液が塗工されていない状態のPETフィルムを5cm×5cmの正方形にカットしたものを評価試料とした他は、参考実施例1と同様にして、防藻製品の評価を行った。評価結果を表2に示す。
《参考比較例2》
塗工液にランタンフェライトを配合しなかった他は、参考実施例1と同様にして、評価試料を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
《参考比較例3~5》
La及びFeOOHの仕込み量を、表2に記載のとおりに変更した他は、参考実施例1と同様にして、La:Fe比の異なるランタンフェライトを合成し、これを用いて防藻性塗工液を調製し、防藻製品を作製した。得られた防藻製品について、参考実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0007699508000002
表2の結果から、ランタンフェライトを用いなかった参考比較例1及び2に比べて、ランタンフェライトを用いた参考比較例3~5及び参考実施例1では、防藻性が発現していることが確認された。しかしながら、La:Fe比が50:50(モル比)、又はこれよりもLa比が少ないランタンフェライトを用いた防藻製品では、防藻性を長期間維持することはできなかった(参考比較例3~5)。
これに対して、La:Fe比を60:40(モル比)とした参考実施例1、及び80:20(モル比)とした参考実施例2の防藻製品では、8週間後でも塗工面に藻の発生は見られず、優れた防藻効果を示すことが確認された。
《参考実施例3~5、及び参考比較例6~12》
La及びFeOOHの仕込み量を、それぞれ、表3に記載のとおりに変更した他は、参考実施例1と同様にして、La:Fe比の異なるランタンフェライトを合成した。得られたランタンフェライトを用い、ランタンフェライト及び樹脂の配合量を、それぞれ、表3に記載のように変更した他は、参考実施例1と同様にして、防藻性塗工液を調製し、これを用いて防藻製品を作製した。得られた防藻製品について、参考実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を、参考実施例1及び2、並びに参考比較例1~5の結果とともに、表3に示す。
Figure 0007699508000003
表3によると、La:Fe比が42:58(モル比)である、参考比較例6の防藻製品では、ランタンフェライトを用いなかった参考比較例1及び2と同様に、防藻効果が発現しないことが分かった。また、La:Fe比が46:54(モル比)である、参考比較例3、7、及び8の防藻製品では、若干の防藻効果が発現するが、その効果は低かった。
一方、La:Fe比が50:50(モル比)である、参考比較例5、11、及び12の防藻製品は、一定の防藻効果が発現した。しかしながら、このLa:Fe比では、ランタンフェライトの配合量を多くしても、防藻製品の防藻性の維持期間が延長されることはなかった。
これらに対して、La:Fe比を60:40(モル比)とした参考実施例1、3、及び4の防藻製品では、優れた防藻効果が発現された。塗工液中のランタンフェライト配合量が2質量%である、参考実施例2の場合でも、ランタンフェライトを用いなかった参考比較例1及び2に比べて、優れた防藻効果が発現することが確認された。また、参考実施例1及び4と、参考実施例3との比較により、ランタンフェライトの配合量を多くすると、防藻製品の防藻性の維持期間が延長されることが分かった。
同様に、La:Fe比を80:20(モル比)とした参考実施例2及び5の防藻製品においても、優れた防藻効果を発現することが確認された。
以上の結果から、所定のランタンフェライトから成る防藻剤は、少量の使用で優れた防藻効果が発現し、ランタンフェライトの配合量を増やすことにより、防藻効果の維持される期間を延長できることが確認された。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される希土類フェライトと、
    水系ウレタン樹脂と、
    を含む、希土類フェライト分散樹脂液:
    Ln2xFe2(1-x) (1)
    (式(1)中、Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、及びイットリウムからなる群より選択される希土類元素であり、xは、0.50以上1.00未満の数である。)。
  2. 前記式(1)中のxは、0.55以上1.00未満の数である、請求項1に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
  3. 前記式(1)中のxは、0.55以上0.75以下の数である、請求項1に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
  4. 前記式(1)中のLnが、ランタンである、請求項1又は2に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
  5. 前記希土類フェライトは、防藻剤、防カビ剤、及び抗菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の希土類フェライト分散樹脂液。
  6. 基体、及び前記基体に積層又は含浸されている希土類フェライト含有層を備える、製品であって、
    前記希土類フェライト含有層は、請求項1~5のいずれか一項に記載の希土類フェライト分散樹脂液を含む処理液から形成された層である、
    製品。
  7. 船舶、護岸、建材、漁網、養殖網、水槽、プール、プール用コースロープ、ブイ、及びタイルからなる群より選択される、請求項6に記載の製品。
  8. 外壁、内壁、建材、エアフィルター、パッキン、及び貯水用又は通水用の槽又は管からなる群より選択される、請求項6に記載の製品。
  9. 内壁、建材、目地材、シーリング材、家具、エアフィルター、インソール、衣料品、衛生用品、医療用資材又は器具、バスマット、タオル、及び寝具からなる群より選択される、請求項6に記載の製品。
  10. 請求項1~4のいずれか一項に記載の希土類フェライト分散樹脂液を含む、塗料。
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