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JP7699620B2 - モータ制御装置及び車両 - Google Patents
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Description

本発明は、モータ制御装置及び車両に関する。
近年、低炭素社会又は脱炭素社会の実現に向けた取り組みが活発化し、車両においてもCO排出量の削減やエネルギー効率の改善のために、電動化技術に関する研究開発が行われている。この電動化技術の1つとして、所定の電圧波形を有する駆動電圧を印加して車両に設けられたモータを駆動する技術が知られている。
特許文献1は、DCモータの回転速度がしきい値未満の場合に矩形波通電駆動を行い、DCモータの回転速度がしきい値以上の場合に正弦波通電駆動を行う技術が開示する。特許文献1に開示された技術により、モータ起動時における相切り換え時のブレーキ動作を回避し、起動トルクの低減を抑制することができる。
特許文献2は、ブラシレスモータに設けられた各ホールセンサで検出されるパルス状位置センサ信号の立ち上りあるいは立ち下りエッジ間の間隔である半周期または1周期の時間間隔に基づいて、ブラシレスモータに設けられた永久磁石回転子の回転数を計算する技術を開示する。特許文献2に開示された技術により、各ホールセンサの取付け位置のばらつきにより発生する回転数の計算誤差を小さくすることができ、滑らかな回転で騒音の低いブラシレスモータが実現できる。
特開2004-242432号公報 特開2003-264990号公報
ところで、電動化技術に関する技術の1つとしてモータの駆動技術では、低回転時のモータ出力が安定しない、という課題がある。
本願は上記課題解決のため、特に、急減速後の低回転時における再加速の際のモータ出力の安定化の達成を目的としたものである。そして、延いてはエネルギー効率の改善に寄与するものである。
上記目的を達成するための一態様は、モータに設けられた固定子巻線に矩形波電圧を印加して前記モータを駆動する矩形波電圧駆動と、前記固定子巻線に正弦波電圧を印加して前記モータを駆動するベクトル制御駆動とによって前記モータを選択的に駆動可能な駆動部と、前記モータのトルクを指示するトルク指令値を出力する指令部と、前記駆動部に対して前記モータの駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせる切替部と、を備え、前記切替部は、前記モータが前記ベクトル制御駆動によって制御されている場合において、前記モータの回転速度(ω)が閾値以下となったのち、前記指令部から入力される前記トルク指令値(τ)がトルク増加を指示する値に変化した場合に、前記モータの駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせ、前記トルク指令値の前記変化に基づいて切り替えた前記矩形波電圧駆動である低速時駆動によって前記モータを駆動させた後に、前記モータに設けられたロータの回転位置を示す位置信号の信号レベルが変化したことを条件に、前記低速時駆動による前記モータの駆動を終了させ、前記低速時駆動を終了させた時点での前記回転速度(ω)に応じて、前記モータの駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせるモータ制御装置である。
上記目的を達成するための他の態様は、モータに設けられた固定子巻線に矩形波電圧を印加して前記モータを駆動する矩形波電圧駆動と、前記固定子巻線に正弦波電圧を印加して前記モータを駆動するベクトル制御駆動とによって前記モータを選択的に駆動可能な駆動部と、前記モータのトルクを指示するトルク指令値を出力する指令部と、前記駆動部に対して前記モータの駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせる切替部と、を備え、前記切替部は、前記モータが前記ベクトル制御駆動によって制御されている場合において、前記モータの回転速度(ω)が閾値以下となったのち、前記指令部から入力される前記トルク指令値(τ )がトルク増加を指示する値に変化した場合に、前記モータの駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせ、前記トルク指令値の前記変化において指示されたトルク増加量が所定値以上の場合に前記モータの駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせるモータ制御装置である。
また、上記目的を達成するための更に他の態様は、上記一態様又は上記他の態様のモータ制御装置と、前記モータと、前記モータに設けられたロータの回転位置を示す位置信号を出力する位置検出部と、を備える車両である。
上記態様によれば、低回転時のモータ出力の安定化を達成できる。
本開示の一実施形態によるモータ制御装置及び車両の概略構成の一例を示すブロック図である。 本開示の一実施形態によるモータ制御装置に設けられたインバータ部の回路構成の一例を示す図である。 本開示の一実施形態によるモータ制御装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。 本開示の一実施形態によるモータ制御装置の動作タイミングの一例を示すタイミングチャートである。 本開示の一実施形態によるモータ制御装置におけるベクトル制御駆動での電圧波形及びホール検出信号の信号波形の一例を示す図である。 本開示の一実施形態によるモータ制御装置におけるロータの位置検出を説明する図である。 本開示の一実施形態によるモータ制御装置における矩形波電圧駆動での電圧波形及びホール検出信号の信号波形の一例を示す図である。
[1.モータ制御装置及び車両の構成]
図1は、本開示の一実施形態によるモータ制御装置10及び車両1の概略構成の一例を示すブロック図である。車両1は、モータ制御装置10と、モータ制御装置10によって制御されるモータ20と、モータ20に設けられたロータ23の回転位置を示すホール検出信号(位置信号の一例)Hu,Hv,Hwを出力する複数のホールセンサ(位置検出部の一例)22u,22v,22wと、を備えている。車両1として、自動車や原動機付自転車が挙げられる。
モータ20は、例えばブラシレスモータで構成されている。モータ20は、永久磁石(不図示)が設けられたロータ23と、U相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21w(いずれも固定子巻線の一例)が設けられたステータ(不図示)とを備えている。U相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wは、120°間隔で配置されている。ホールセンサ22u,22v,22wは、U相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wとは60°ずれた状態で120°間隔で配置されている。本実施形態では、ホールセンサ22uはU相巻線21uとW相巻線21wとの間に配置され、ホールセンサ22vはU相巻線21uとV相巻線21vとの間に配置され、ホールセンサ22wはV相巻線21vとW相巻線21wとの間に配置されている。
次に、モータ制御装置10の構成について図1及び図2を用いて説明する。
図1に示すように、モータ制御装置10は、モータ20に設けられたU相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wに接続された駆動部11を備えている。モータ制御装置10は、モータ20に設けられたホールセンサ22u,22v,22wに接続された検出部12と、ホールセンサ22uに接続された回転速度算出部13とを備えている。モータ制御装置10は、駆動部11及び回転速度算出部13に接続された切替部14と、駆動部11、検出部12、回転速度算出部13及び切替部14に接続された指令部15とを備えている。
駆動部11は、モータ20に設けられたU相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wに矩形波電圧を印加してモータ20を駆動する矩形波電圧駆動と、U相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wに正弦波電圧を印加してモータ20を駆動するベクトル制御駆動とによってモータ20を選択的に駆動可能に構成されている。駆動部11は、矩形波電圧駆動部111、ベクトル制御駆動部112及びインバータ部113を有している。矩形波電圧駆動部111は、切替部14から入力される駆動切替信号Scd1によって、出力がインバータ部113に電気的に接続される状態とインバータ部113から電気的に切断される状態とに切り替えられる。ベクトル制御駆動部112は、切替部14から入力される駆動切替信号Scd2によって、出力がインバータ部113に電気的に接続される状態とインバータ部113から電気的に切断される状態とに切り替えられる。矩形波電圧駆動部111及びベクトル制御駆動部112は、出力を例えばハイインピーダンス状態とすることにより、インバータ部113の入力から電気的に切断される。
駆動部11は、切替部14によって矩形波電圧駆動部111での動作に切り替えられた場合には、矩形波電圧駆動部111及びインバータ部113によって矩形波電圧駆動でモータ20を駆動する。一方、駆動部11は、切替部14によってベクトル制御駆動部112での動作に切り替えられた場合には、ベクトル制御駆動部112及びインバータ部113によってベクトル制御駆動でモータ20を駆動する。
矩形波電圧駆動部111は、指令部15から入力されるq軸電流指令値Iq、インバータ部113から入力されるU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iw並びに検出部12から入力されるモータ20の回転角信号Sθを用いて、インバータ部113を駆動するためのパルス信号Pau,Pav,Paw,Pax,Pay,Pazを生成する。以下、「パルス信号Pau,Pav,Paw,Pax,Pay,Paz」を「パルス信号Pau~Paz」と略記する場合がある。
ベクトル制御駆動部112は、指令部15から入力されるd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iq、インバータ部113から入力されるU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iw並びに検出部12から入力される回転角信号Sθを用いて、インバータ部113を駆動するためのパルス信号Pbu,Pbv,Pbw,Pbx,Pby,Pbzを生成する。以下、「パルス信号Pbu,Pbv,Pbw,Pbx,Pby,Pbz」を「パルス信号Pbu~Pbz」と略記する場合がある。
駆動部11は、切替部14によってモータ20の駆動を矩形波電圧駆動に切り替えられた場合には、パルス信号Pau,Pav,Paw,Pax,Pay,Pazをパルス信号Pu,Pv,Pw,Px,Py,Pzとしてインバータ部113に入力させる。また、駆動部11は、切替部14によってモータ20の駆動をベクトル制御駆動に切り替えられた場合には、パルス信号Pbu,Pbv,Pbw,Pbx,Pby,Pbzをパルス信号Pu,Pv,Pw,Px,Py,Pzとしてインバータ部113に入力させる。以下、「パルス信号Pu,Pv,Pw,Px,Py,Pz」を「パルス信号Pu~Pz」と略記する場合がある。
図2は、インバータ部113の回路構成の一例を示している。
図2に示すように、インバータ部113は、正極側の直流電圧が印加される正極側ラインLpと負極側の直流電圧が印加される負極側ラインLnとの間で、6個の半導体素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzをフルブリッジ接続して構成されている。以下、「半導体素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qz」を「半導体素子Qu~Qz」と略記する場合がある。半導体素子Qu,Qxは、正極側ラインLp及び負極側ラインLnの間で直列に接続され、U相アーム113uを構成する。半導体素子Qv,Qyは、正極側ラインLp及び負極側ラインLnの間で直列に接続され、V相アーム113vを構成する。半導体素子Qw,Qzは、正極側ラインLp及び負極側ラインLnの間で直列に接続され、W相アーム113wを構成する。半導体素子Qu~Qzは、パワー半導体素子と、当該パワー半導体素子に逆並列接続された還流ダイオードとを有している。
半導体素子Quに設けられたパワー半導体素子のゲートには、パルス信号Puが入力され、半導体素子Qxに設けられたパワー半導体素子のゲートには、パルス信号Pxが入力される。半導体素子Qvに設けられたパワー半導体素子のゲートには、パルス信号Pvが入力され、半導体素子Qyに設けられたパワー半導体素子のゲートには、パルス信号Pyが入力される。半導体素子Qwに設けられたパワー半導体素子のゲートには、パルス信号Pwが入力され、半導体素子Qzに設けられたパワー半導体素子のゲートには、パルス信号Pzが入力される。半導体素子Qu~Qzは、パルス信号Pu~Pzによって所定のタイミング且つ所定の順序でオン/オフ制御される。これにより、U相アーム113uは、モータ20(図1参照)に設けられたU相巻線21uに半導体素子Qu,Qxの接続部からU相交流電圧Vuを出力する。V相アーム113vは、モータ20に設けられたV相巻線21vに半導体素子Qv,Qyの接続部からV相交流電圧Vvを出力する。W相アーム113wは、モータ20に設けられたW相巻線21wに半導体素子Qw,Qzの接続部からW相交流電圧Vwを出力する。
インバータ部113が動作することによって、インバータ部113及びモータ20の間に流れる交流のU相電流IuがU相アーム113uから駆動部11に出力され、インバータ部113及びモータ20の間に流れる交流のV相電流IvがV相アーム113vから駆動部11に出力され、インバータ部113及びモータ20の間に流れる交流のW相電流IwがW相アーム113wから駆動部11に出力される。
図1に戻って、指令部15は、モータ20のトルクを指示するトルク指令値τ出力する。指令部15は、回転速度算出部13で算出されたモータ20の回転速度及び外部から入力される回転速度指令値並びに外部から入力されるアクセル開度に基づいて、トルク指令値τを生成する。また、指令部15は、生成したトルク指令値τ及び検出部12から入力されるロータ23の回転角に基づいて、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを生成する。指令部15は、生成したトルク指令値τを切替部14に出力する。指令部15は、生成したq軸電流指令値Iqを矩形波電圧駆動部111に出力する。指令部15は、生成したd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqをベクトル制御駆動部112に出力する。
検出部12は、モータ20に設けられたロータ23の回転位置(すなわち回転角)を検出する。検出部12には、モータ20に設けられたホールセンサ22uから出力されるホール検出信号Huと、モータ20に設けられたホールセンサ22vから出力されるホール検出信号Hvと、モータ20に設けられたホールセンサ22wから出力されるホール検出信号Hwとが入力される。詳細は後述するが、検出部12は、モータ20から入力されるホール検出信号Hu,Hv,Hwの電圧レベルの組合せに基づいて、モータ20での回転磁界の角度(電気角)を決定するとともに、決定した電気角に基づいて、ロータ23の回転角を検出する。モータ20の電気角をθeとし、ロータ23に設けられた永久磁石の磁極数をpとすると、検出部12は、ロータ23の回転角θを以下の式(1)によって検出する。
θ=θe×2/p ・・・(1)
検出部12は、式(1)に基づいて、ロータ23の回転角θを検出し、回転角θの情報を含む回転角信号Sθを駆動部11及び指令部15に出力する。
切替部14は、駆動部11に対してモータ20の駆動を矩形波電圧駆動又はベクトル制御駆動に切り替えさせる。詳細は後述するが、切替部14は、モータ20がベクトル制御駆動によって閾値以下の回転速度で駆動されている状態で指令部15から入力されるトルク指令値τが変化した場合に、モータ20の駆動をベクトル制御駆動から矩形波電圧駆動に切り替えさせる。切替部14がモータ20の駆動及び回転速度に基づいて駆動部11に対してモータ20の駆動を切替させることにより、モータ制御装置10は、低回転時のモータ20の出力の安定化を図ることができる。
切替部14は、矩形波電圧駆動部111に駆動切替信号Scd1を出力している場合には、モータ20の駆動が矩形波電圧駆動であると判定し、ベクトル制御駆動部112に駆動切替信号Scd2を出力している場合には、モータ20の駆動がベクトル制御駆動であると判定する。切替部14は、回転速度算出部13から入力される回転速度信号Sωからモータ20の回転速度ωを取得する。
切替部14には、モータ20に設けられたホールセンサ22uから出力されるホール検出信号Huが入力される。詳細は後述するが、切替部14は、低回転時のモータ20の出力の安定化のために駆動部11に対してモータ20の駆動を矩形波電圧駆動に切り替えた場合、当該矩形波電圧駆動を終了させるか否かをホール検出信号Huの信号レベルの変化に基づいて実行する。
切替部14は、モータ20を矩形波電圧駆動で駆動する場合には、矩形波電圧駆動部111の出力をインバータ部113に電気的に接続させ、かつベクトル制御駆動部112の出力をインバータ部113から電気的に切断させる。一方、切替部14は、モータ20をベクトル制御駆動で駆動する場合には、矩形波電圧駆動部111の出力をインバータ部113から電気的に切断させ、かつベクトル制御駆動部112の出力をインバータ部113に電気的に接続させる。このため、駆動部11は、矩形波電圧駆動部111の出力とベクトル制御駆動部112の出力とが接続されてインバータ部113の入力に接続される構成を有していても、パルス信号Pau~Pawとパルス信号Pbu~Pbwとを混信せずにいずれか一方のパルス信号のみをパルス信号Pu~Pwとしてインバータ部113に入力することができる。
回転速度算出部13は、複数のホール検出信号Hu,Hv,Hwのうちのいずれか1つに基づいてモータ20の回転速度ωを算出する。本実施形態では、回転速度算出部13は、例えばホール検出信号Huを用いてモータ20の回転速度ω(より具体的にはロータ23の回転角速度)を算出する。しかしながら、回転速度算出部13は、ホール検出信号Hv又はホール検出信号Hwを用いてモータ20の回転速度ωを算出してもよい。ロータ23に設けられた永久磁石の磁極数をpとし、ホール検出信号Huの周波数をfとすると、回転速度算出部13は、モータ20の回転速度ωを以下の式(2)によって算出する。回転速度算出部13は、算出した回転速度ωの情報を含む回転速度信号Sωを切替部14及び指令部15に出力する。
ω=2×π×f/(p/2)
=2×π×2×f/p ・・・(2)
[2.モータ制御装置の動作]
[2-1.モータ制御装置の動作の流れ]
本実施形態によるモータ制御装置10の動作について図1及び図2を参照しつつ図3から図7を用いて説明する。図3は、モータ制御装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示す処理は、例えばモータ制御装置10に電源が投入される(すなわち電源がオン状態にされる)ことによって開始される。
図3に示すように、モータ制御装置10(図1参照)がモータ20(図1参照)の制御を開始すると、ステップS11において、切替部14(図1参照)は、モータ20の駆動がベクトル制御駆動であるか否かを判定する。切替部14は、駆動切替信号Scd2をベクトル制御駆動部112に出力している場合(ステップS11:YES)にはモータ20の駆動がベクトル制御駆動であると判定し、ステップS12の処理に移行する。一方、切替部14は、駆動切替信号Scd1を矩形波電圧駆動部111に出力している場合(ステップS11:NO)にはモータ20の駆動が矩形波電圧駆動であると判定し、ステップS17の処理に移行する。
ステップS12において、切替部14は、回転速度算出部13(図1参照)から入力される回転速度信号Sωに含まれるモータ20の回転速度ωが閾値ωth以下であるか否かを判定する。切替部14は、モータ20の回転速度ωが閾値ωth以下であると判定した場合(ステップS12:YES)にはステップS13の処理に移行する。一方、切替部14は、モータ20の回転速度ωが閾値ωthよりも大きいと判定した場合(ステップS12:NO)にはステップS17の処理に移行する。閾値ωthは、極低回転領域の回転速度であって、後述する駆動切替閾値ωthcよりも高い値に設定される。閾値ωthは、実験やシミュレーションなどによって決定され、車両1(図1参照)の種別ごとに異なる値に設定されてもよい。
ステップS13において、切替部14は、指令部15から入力されるトルク指令値τが変化したか否かを判定する。切替部14は例えば、トルク指令値τを時間微分し、時間微分した結果が正の場合は、トルク指令値τが増加するように変化していると判定し(ステップS13:YES)、ステップS14の処理に移行する。一方、切替部14は例えば、当該結果が負又はゼロの場合は、トルク指令値τが増加するように変化していないと判定し(ステップS13:NO)、ステップS17の処理に移行する。トルク指令値の時間微分が正(すなわちトルク指令値τの増加)は、モータ20のトルクを増加させるための指令である。トルク指令値の時間微分が負(すなわちトルク指令値の減少)は、モータ20のトルクを減少させるための指令である。トルク指令値の時間微分がゼロ(すなわち現状のトルク指令値の維持)は、モータ20のトルクを現状の一定値に維持させるための指令である。
ステップS14において、切替部14は、モータ20の駆動を矩形波電圧駆動に切り替え、ステップS15の処理に移行する。このように、ステップS13及びステップS14の処理の流れにおいて、切替部14は、トルク指令値τがモータ20のトルクを減少又は一定値に維持させる値から当該トルクを増加させるための値に変化した場合に、駆動部11に対してモータ20の駆動をベクトル制御駆動から矩形波電圧駆動に切り替えさせる。以下、ステップS11からステップS13までの全ての処理で肯定する判定(すなわち「YES」の判定)がなされた場合に、モータ20の駆動として切り替えられた矩形波電圧駆動を「低速時駆動」と称する場合がある。
ステップS15において、切替部14は、モータ20に設けられたホールセンサ22uから入力されるホール検出信号Hu(図1参照)の信号レベルが変化したか否かを判定する。切替部14は、ホール検出信号Huの信号レベルが変化したと判定した場合(ステップS15:YES)には、ステップS16の処理に移行する。一方、切替部14は、ホール検出信号Huの信号レベルが変化していないと判定した場合(ステップS15:NO)には、ステップS17の処理に移行する。
ステップS16において、切替部14は、駆動部11に対して矩形波電圧駆動でのモータ20の駆動を終了させ、ステップS17の処理に移行する。
ステップS17において、切替部14は、回転速度算出部13から入力される回転速度信号Sωに含まれる回転速度ωが駆動切替閾値ωthcよりも小さいか否かを判定する。ステップS17の処理は、モータ20を低速時駆動で駆動する条件が成立していない状況下又は低速時駆動を終了させた状況下で、モータ20の駆動を矩形波電圧駆動及びベクトル制御駆動のいずれに切り替えるのかを判定するために実行される。駆動切替閾値ωthcは、モータ20の駆動を矩形波電圧駆動及びベクトル制御駆動のいずれに切り替えるのかを判定するための閾値であり、切替部14に設定されている。駆動切替閾値ωthcは、ステップS12の処理で用いられる閾値ωthよりも例えば小さい値に設定されている。切替部14は、回転速度ωが駆動切替閾値ωthcよりも低いと判定した場合(ステップS17:YES)には、ステップS18の処理に移行する。一方、切替部14は、回転速度ωが駆動切替閾値ωthc以上であると判定した場合(ステップS17:NO)には、ステップS19の処理に移行する。
ステップS18において、切替部14は、駆動部11に対してモータ20の駆動を矩形波電圧駆動に切り替えさせ、ステップS20の処理に移行する。
ステップS19において、切替部14は、駆動部11に対してモータ20の駆動をベクトル制御駆動に切り替えさせ、ステップS20の処理に移行する。
このように、切替部14は、トルク指令値τの変化に基づいて切り替えた矩形波電圧駆動である低速時駆動によってモータ20を駆動させた後(ステップS13からステップS14の流れ)に、モータ20に設けられたロータ23の回転位置を示すホール検出信号Huの信号レベルが変化したことを条件に、低速時駆動によるモータ20の駆動を終了させる(ステップS16)。切替部14は、低速時駆動を終了させた時点での回転速度ωに応じて、モータ20の駆動を矩形波電圧駆動又はベクトル制御駆動に切り替えさせる(ステップS17からステップS18又はステップS19の流れ)。
矩形波電圧駆動は、ホール検出信号の変化に基づいて、通電パターンを切り替える制御であるため、極低回転でのパルス間時間に基づいた回転数算出ができない領域でも、通電制御が可能であるという利点を有している。一方、矩形波電圧駆動は、高効率化を図ることが困難であるという欠点を有している。
ベクトル制御駆動は、モータのトルクの脈動が理論上なくなり、音、振動、効率、トルク精度及び過渡特性の面で矩形波電圧駆動よりも優れているという利点を有している。一方、ベクトル制御駆動は、パルス幅変調(PWM)制御によってひずみの少ない正弦波のU相電流、V相電流及びW相電流を生成するため、高い演算能力をもつコントローラが必要になるという欠点を有している。
このように、矩形波電圧駆動及びベクトル制御駆動のそれぞれは、利点及び欠点を有している。そこで、モータ制御装置10は、矩形波電圧駆動及びベクトル制御駆動のうち、低速時駆動を実行した後のモータ20の回転速度ωに適した方をモータ20の駆動として選択する。これにより、モータ制御装置10は、矩形波電圧駆動及びベクトル制御駆動のそれぞれの利点を利用して、低速時駆動を実行した後のモータ20を制御することができる。
ステップS20において、モータ制御装置10を動作させるための電源がオフ状態であるか否かを判定する。モータ制御装置10に入力される電源の電圧値が所定値よりも低い場合(ステップS20:YES)には、モータ制御装置10は、電源がオフ状態であると判定して動作を終了する。一方、モータ制御装置10に入力される電源の電圧値が所定値以上の場合(ステップS20:NO)には、モータ制御装置10は、電源がオフ状態でないと判定し、ステップS11の処理に戻る。
[モータ制御装置の動作タイミング]
図4は、モータ制御装置10の動作タイミングの一例を示すタイミングチャートである。図4では、左から右に向かって時の経過が表されている。
図4に示す期間P1では、モータ制御装置10は、モータ20のトルクを指令部15で生成されるトルク指令値τに追従させるために、駆動部11によるベクトル制御駆動によってモータ20を駆動している。このため、図4に示すように、モータ20の回転速度ωは、時の経過とともに減少する。モータ20の回転速度ωが減少するために、モータ20に設けられたホールセンサ22u,22v,22w(図1参照)によって検出されるホール検出信号Hu,Hv,Hwの周期も時の経過とともに長くなる。期間P1は、図3に示す「ステップS11のYES→ステップS12のYES→ステップS13のNO→ステップS17のNO→ステップS19」の流れに対応する。
ここで、駆動部11におけるベクトル制御駆動及び検出部12(図1参照)における位置検出について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、切替部14によってモータ20の駆動をベクトル制御駆動に切り替えられた駆動部11が、モータ20に出力するU相交流電圧Vu、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwの電圧波形の一例と、ホールセンサ22u,22v,22wから出力されるホール検出信号Hu,Hv,Hwの電圧波形の一例とを模式的に示す図である。図6は、図5に示すホール検出信号Hu,Hv,Hwの電圧波形と、6ステップ角度算出を用いる位置検出でのホール検出信号Hu,Hv,Hwの組合せとモータ20の回転角θとの関係の一例とを模式的に示す図である。
ベクトル制御駆動を実行するベクトル制御駆動部112(図1参照)は、インバータ部113(図1参照)から入力されるU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwが指令部15から入力されるd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに追従させるためのパルス信号Pbu~Pbz(図1参照)を生成してインバータ部113に出力する。d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqは、トルク指令値τに基づいて生成される。このため、ベクトル制御駆動部112がU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwをd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに追従させることにより、トルク指令値τにトルクが追従するようにモータ20が動作する。
ベクトル制御駆動では、ベクトル制御駆動部112から入力されるパルス信号Pbu~Pbzによって、インバータ部113に設けられた6個の半導体素子Qu~Qz(図2参照)のうち、一相はハイサイド側をオン状態、他の一相はローサイド側をオン状態、残りの相は両サイドともオフ状態という制御パターンでスイッチングが制御される。これにより、図5に示すように、U相交流電圧Vu、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwは、電気角θeが360°回転する期間(すなわち、電気角θeの1周期)と1周期が一致する正弦波信号となる。U相交流電圧Vuは、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwは、電気角θeが互いに120°ずれた信号となる。
インバータ部113から入力されるU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwが切替部14から入力されるd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに追従するように、駆動部11がベクトル制御駆動を繰り返し実行することにより、モータ20の回転速度ωやトルクは所望の値に近づいていく。
図5に示すように、ホールセンサ22uから出力されるホール検出信号Huは、U相交流電圧Vuの周期と一致する周期を有し、U相交流電圧Vuが正の場合に正の電圧となり、U相交流電圧Vuが負の場合に0Vとなる矩形波の信号となる。ホールセンサ22vから出力されるホール検出信号Hvは、V相交流電圧Vvの周期と一致する周期を有し、V相交流電圧Vvが正の場合に正の電圧となり、V相交流電圧Vvが負の場合に0Vとなる矩形波の信号となる。ホールセンサ22wから出力されるホール検出信号Hwは、W相交流電圧Vwの周期と一致する周期を有し、W相交流電圧Vwが正の場合に正の電圧となり、W相交流電圧Vwが負の場合に0Vとなる矩形波の信号となる。
モータ20に設けられたホールセンサ22u,22v,22wは、U相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wとは60°ずれた状態で120°間隔で配置されている(図1参照)。このため、図5及び図6に示すように、ホールセンサ22uから出力されるホール検出信号Hu、ホールセンサ22vから出力されるホール検出信号Hv及びホールセンサ22wから出力されるホール検出信号Hwは、位相が互いに120°ずれた信号波形を有する。また、ホール検出信号Hu,Hv,Hwの1周期は、モータ20の電気角θeの1周期と一致する。
図6に示すように、検出部12は、ホール検出信号Hu,Hv,Hwの電圧レベルの組合せに応じて電気角θeを例えばステージE1,E2,E3,E4,E5,E6として階段状に決定する。検出部12は例えば、ホール検出信号Huの電圧レベルがハイレベル、ホール検出信号Hvの電圧レベルがローレベル、かつホール検出信号Hwの電圧レベルがハイレベルの場合にステージE1として、電気角θeを0°(360°)と決定する。また、検出部12は例えば、ホール検出信号Huの電圧レベルがハイレベル、ホール検出信号Hvの電圧レベルがローレベル、かつホール検出信号Hwの電圧レベルがローレベルの場合にステージE2として、電気角θeを60°と決定する。なお、図4には、期間P1及び後述する期間P3の一部の期間に電気角θeのステージを表す符号「E1~E6」が図示されている。
検出部12は、このようにして決定した電気角θeに基づいてロータ23の回転角θを0°から360°(0°)まで階段状に検出する。検出部12は、上述の式(1)を用いて、モータ20における回転角θを検出する。
図4に戻って、期間P1において所定期間が経過した後の時刻t1において、切替部14に入力されるトルク指令値τ*が増加するように変化するので、切替部14は、駆動部11に対してモータ20の動作を矩形波電圧駆動に切り替えさせる。
ここで、駆動部11における矩形波電圧駆動について、図7を用いて説明する。図7は、切替部14によってモータ20の駆動を矩形波電圧駆動に切り替えられた駆動部11が、モータ20に出力するU相交流電圧Vu、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwの電圧波形の一例と、ホールセンサ22u,22v,22wから出力されるホール検出信号Hu,Hv,Hwの電圧波形の一例とを模式的に示す図である。
矩形波電圧駆動を実行する矩形波電圧駆動部111(図1参照)は、パルス信号Pu~Pzとしてインバータ部113に入力されるパルス信号Pau~Paz(図1参照)を生成する。パルス信号Pau~Pazは、モータ20の回転角θに対応するU相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wの励磁パターンに従うU相交流電圧Vu、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwをインバータ部113からモータ20に出力させるための信号である。矩形波電圧駆動では、インバータ部113に設けられた6個の半導体素子Qu~Qzは、パルス信号Pu~Pzとして矩形波電圧駆動部111から入力されるパルス信号Pau~Pazによってベクトル制御駆動と同様にスイッチングが制御される。これにより、図7に示すように、U相交流電圧Vu、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwは、電気角θeが360°回転する期間において、120°の期間では正のパルス信号となり、次の60°の期間では0V一定の信号となり、次の120°の期間では負のパルス信号となり、最後の60°の期間では0V一定の信号となる。U相交流電圧Vuは、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwは、電気角θeが互いに120°ずれた信号となる。
矩形波電圧駆動部111によって生成されるパルス信号Pau~Pazは、インバータ部113から入力されるU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwを指令部15から入力されるq軸電流指令値Iqに追従させるための信号でもある。q軸電流指令値Iqは、トルク指令値τに基づいて生成される。このため、矩形波電圧駆動部111がU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwをq軸電流指令値Iqに追従させることにより、トルク指令値τにトルクが追従するようにモータ20が動作する。このようなパルス信号Pau~Pazによってインバータ部113が繰り返し動作することにより、矩形パルス状のU相交流電圧Vu、V相交流電圧Vv及びW相交流電圧Vwのデューティ比が変化する。その結果、モータ20の回転速度ωやトルクは所望の値に近づいていく。
図6及び図7に示すように、矩形波電圧駆動におけるホール検出信号Hu,Hv,Hwは、ベクトル制御駆動におけるホール検出信号Hu,Hv,Hwと同じ信号波形を有している。このため、検出部12は、モータ20の駆動が矩形波電圧駆動であってもベクトル制御駆動の場合と同様の方法によって、ロータ23の回転位置(すなわち回転角)を検出することができる。
図4に戻って、時刻t1から、時刻t1の後に最初にホール検出信号Huが立ち上がる時刻t2までの期間P2は、図3に示す「ステップS11のYES→ステップS12のYES→ステップS13のYES→ステップS14→ステップS15」の流れに対応する。時刻t2において、ホール検出信号Huが立ち上がって信号レベルが変化するので、切替部14は、駆動部11に対して矩形波電圧駆動によるモータ20の動作を終了させる。
時刻t2の後の期間P3においてモータ制御装置10は、モータ20の回転速度ωと、閾値ωth及び駆動切替閾値ωthcとの大小関係に応じて、モータ20の駆動を矩形波電圧駆動及びベクトル制御駆動のいずれかに切り替えてモータ20を制御する。つまり、モータ20の回転速度ωが駆動切替閾値ωthcよりも小さい場合には、期間P3は、「ステップS11のNO→ステップS17のYES→ステップS18→ステップS20」の流れに対応する。また、モータ20の回転速度ωが駆動切替閾値ωthc以上の場合には、期間P3は、「ステップS11のNO→ステップS17のNO→ステップS19→ステップS20」の流れに対応する。
モータ制御装置10は、モータ20がベクトル制御駆動で駆動している場合に、モータ20の回転速度ωが閾値ωthよりも低くなった状態でトルク指令値τが変化すると、矩形波電圧駆動でモータ20を駆動することができる(図3に示すステップS11からステップS14の流れ)。これにより、モータ制御装置10は、矩形波電圧駆動によってモータ20を強制的に回転させてモータ20がロックすることを抑制できる。その結果、モータ制御装置10は、トルク指令値τの変化に対応する回転速度にモータ20の回転速度ωが追従するようにモータ20を制御できる。
車両1(図1参照)に備えられモータ制御装置10を制御するパワーコントロールユニット(不図示)がモータ20の制御を「急減速→停止→加速」のような処理順で認識しているとする。この場合、パワーコントロールユニットが認識した処理順におけるモータ20の回転速度(換言すると回転数)と、モータ20の実際の回転速度とがずれたとしても、モータ制御装置10は、期間P2においてモータ20を矩形波電圧駆動で駆動するため、モータ20のロックやモータ20の回転不良を防止することができる。さらに、モータ制御装置10は、期間P2においてモータ20を矩形波電圧駆動で駆動することにより、当該処理順における回転速度と実際の回転速度とのずれを減少させる方向にモータ20を制御することができる。
[4.他の実施形態]
駆動部11は、矩形波電圧駆動部111及びベクトル制御駆動部112のうちの非選択の方の動作を停止するように構成されていてもよい。これにより、モータ制御装置10は、処理負荷の低減を図ることができる。
図3に示すステップS13において、切替部14は、トルク指令値τが変化したか否かを判定基準としているが、トルク指令値τの変化量を判定基準としてもよい。トルク指令値τの変化量として、例えばトルク指令値τの変化率(すなわちトルク指令値τの時間微分値)を用いてよい。具体的には、切替部14は、トルク指令値τの変化量が所定値(所定の閾値)以上の場合にモータ20の駆動をベクトル制御駆動から矩形波電圧駆動に切り替えさせてもよい(図3に示すステップS13からステップS14の流れ)。これにより、ノイズなどによるホール検出信号Huの誤検知に起因してトルク指令値τが僅かに変化しても、切替部14は、ステップS13の処理において、トルク指令値τが変化していないと判定できる。このため、モータ制御装置10は、低回転時のモータ20の駆動の安定化を図ることができる。
図3に示すステップS15の処理において、切替部14は、低速時駆動を開始した後におけるホール検出信号の最初の変化を判定基準としているが、低速時駆動を開始してから所定期間が経過するまでホール検出信号の変化を判定しなくてもよい。これにより、モータ制御装置10は、低速時駆動でモータ20を駆動する期間を確実に確保できるので、モータ20のロックやモータ20の回転不良を防止することができる。
モータ制御装置10では、モータ20の回転速度ωの算出と、低速時駆動における信号レベルの変化の検出とで同一のホール検出信号が用いられているが、異なるホール検出信号が用いられてもよい。
[4.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
(構成1)モータに設けられた固定子巻線に矩形波電圧を印加して前記モータを駆動する矩形波電圧駆動と、前記固定子巻線に正弦波電圧を印加して前記モータを駆動するベクトル制御駆動とによって前記モータを選択的に駆動可能な駆動部と、前記モータのトルクを追随させるトルク指令値を指令する指令部と、前記駆動部に対して前記モータの駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせる切替部と、を備え、前記切替部は、前記モータが前記ベクトル制御駆動によって閾値以下の回転速度で駆動されている状態で前記指令部から入力される前記トルク指令値が変化した場合に、前記モータの駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせるモータ制御装置。
構成1のモータ制御装置によれば、モータの回転速度が急に低下した場合であっても、矩形波電圧駆動を行うことでモータを強制的に回転させ、モータの振動を抑制することができる。これにより、構成1のモータ制御装置によれば、低回転時のモータ出力の安定化を達成でき、延いてはエネルギー効率の改善に寄与することができる。
(構成2)前記切替部は、前記トルク指令値の変化に基づいて切り替えた前記矩形波電圧駆動である低速時駆動によって前記モータを駆動させた後に、前記モータに設けられたロータの回転位置を示す位置信号の信号レベルが変化したことを条件に、前記低速時駆動による前記モータの駆動を終了させ、前記低速時駆動を終了させた時点での前記回転速度に応じて、前記モータの駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせる構成1に記載のモータ制御装置。
構成2のモータ制御装置によれば、低速時駆動の実行後もモータの回転速度に応じて適切なモータの駆動方法が選択されるため、モータを再度回転させた後も効率のよい駆動を行うことができる。
(構成3)前記切替部は、前記トルク指令値の変化量が所定値以上の場合に前記モータの駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせる構成1又は2に記載のモータ制御装置。
構成3のモータ制御装置によれば、ノイズなどによる位置信号の誤検知に起因するトルク指令値の僅かな変化がトルク指令値の変化と判定されなくなるため、低回転時のモータの駆動の安定化を図ることができる。
(構成4)前記切替部は、前記トルク指令値が前記トルクを減少又は一定値に維持させる値から前記トルクを増加させるための値に変化した場合に、前記モータの駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせる構成1から3までのいずれか一項に記載のモータ制御装置。
構成4のモータ制御装置によれば、モータの低速回転時に矩形波電圧駆動によってモータを強制的に回転させてモータがロックすることを抑制できる。
(構成5)構成1から4までのいずれか一項に記載のモータ制御装置と、前記モータと、前記モータに設けられたロータの回転位置を示す位置信号を出力する位置検出部と、を備える車両。
構成5の車両によれば、構成1から4までのモータ制御装置と同様の効果が得られる。
1…車両、10…モータ制御装置、11…駆動部、12…検出部、13…回転速度算出部、14…切替部、15…指令部、20…モータ、21u…U相巻線、21v…V相巻線、21w…W相巻線、22u,22v,22w…ホールセンサ、23…ロータ、111…矩形波電圧駆動部、112…ベクトル制御駆動部、113…インバータ部、113u…U相アーム、113v…V相アーム、113w…W相アーム、E1~E6…ステージ、Hu,Hv,Hw…ホール検出信号、Id…d軸電流指令値、Iq…q軸電流指令値、Iu…U相電流、Iv…V相電流、Iw…W相電流、Ln…正極側ライン、Lp…負極側ライン、P1,P2,P3…期間、Pau~Paz,Pbu~Pbz,Pu~Pz…パルス信号、Qu~Qz…半導体素子、Scd1,Scd2…駆動切替信号、Sθ…回転角信号、Sω…回転速度信号、Vu…U相交流電圧、Vv…V相交流電圧、Vw…W相交流電圧、θ…回転角、τ…トルク指令値、ω…回転速度

Claims (5)

  1. モータ(20)に設けられた固定子巻線(21u,21v,21w)に矩形波電圧を印加して前記モータ(20)を駆動する矩形波電圧駆動と、前記固定子巻線(21u,21v,21w)に正弦波電圧を印加して前記モータ(20)を駆動するベクトル制御駆動とによって前記モータを選択的に駆動可能な駆動部(11)と、
    前記モータ(20)のトルクを指示するトルク指令値(τ )を出力する指令部(15)と、
    前記駆動部(11)に対して前記モータ(20)の駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせる切替部(14)と、
    を備え、
    前記切替部(14)は、
    前記モータ(20)が前記ベクトル制御駆動によって制御されている場合において、前記モータの回転速度(ω)が閾値(ωth)以下となったのち、前記指令部(15)から入力される前記トルク指令値(τ )がトルク増加を指示する値に変化した場合に、前記モータ(20)の駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせ、
    記トルク指令値(τ)の前記変化に基づいて切り替えた前記矩形波電圧駆動である低速時駆動によって前記モータ(20)を駆動させた後に、前記モータ(20)に設けられたロータ(23)の回転位置を示す位置信号の信号レベルが変化したことを条件に、前記低速時駆動による前記モータ(20)の駆動を終了させ、前記低速時駆動を終了させた時点での前記回転速度(ω)に応じて、前記モータ(20)の駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせる
    ータ制御装置(10)。
  2. モータ(20)に設けられた固定子巻線(21u,21v,21w)に矩形波電圧を印加して前記モータ(20)を駆動する矩形波電圧駆動と、前記固定子巻線(21u,21v,21w)に正弦波電圧を印加して前記モータ(20)を駆動するベクトル制御駆動とによって前記モータを選択的に駆動可能な駆動部(11)と、
    前記モータ(20)のトルクを指示するトルク指令値(τ )を出力する指令部(15)と、
    前記駆動部(11)に対して前記モータ(20)の駆動を前記矩形波電圧駆動又は前記ベクトル制御駆動に切り替えさせる切替部(14)と、
    を備え、
    前記切替部(14)は、
    前記モータ(20)が前記ベクトル制御駆動によって制御されている場合において、前記モータの回転速度(ω)が閾値(ωth)以下となったのち、前記指令部(15)から入力される前記トルク指令値(τ )がトルク増加を指示する値に変化した場合に、前記モータ(20)の駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせ、
    記トルク指令値(τ)の前記変化において指示されたトルク増加量が所定値以上の場合に前記モータ(20)の駆動を前記ベクトル制御駆動から前記矩形波電圧駆動に切り替えさせる
    ータ制御装置(10)。
  3. 記トルク指令値(τ)の前記変化は、トルクを減少又は一定値に維持させる値からトルクを増加させるための値への変化である、
    請求項1に記載のモータ制御装置(10)。
  4. 前記トルク指令値(τ )の前記変化は、トルクを減少又は一定値に維持させる値からトルクを増加させるための値への変化である、
    請求項2に記載のモータ制御装置(10)。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載のモータ制御装置(10)と、
    前記モータ(20)と、
    前記モータ(20)に設けられたロータ(23)の回転位置を示す位置信号(Hu,Hv,Hw)を出力する位置検出部(22u,22v,22w)と、
    を備える車両。
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