●[内燃機関システム1の概略構成の例(図1)]
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。まず図1を用いて、内燃機関システム1の概略構成の例について説明する。本実施の形態の説明では、圧縮自己着火式燃機関の例として、車両に搭載された内燃機関10(例えばディーゼルエンジン)を用いて説明する。以降、内燃機関10は、圧縮自己着火式内燃機関を指す。
以下、システム全体について、吸気側から排気側に向かって順に説明する。吸気管11Aの流入側には、エアクリーナ(図示省略)、吸気流量検出装置21(例えば、吸気流量センサ)が設けられている。吸気流量検出装置21は、内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また吸気流量検出装置21には、吸気温度検出装置28A(例えば、吸気温度センサ)、大気圧検出装置23(例えば、大気圧センサ)が設けられている。吸気温度検出装置28Aは、吸気流量検出装置21を通過する吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。大気圧検出装置23は、周囲の大気圧に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
吸気管11Aの流出側はコンプレッサ35の流入側に接続され、コンプレッサ35の流出側は吸気管11Bの流入側に接続されている。ターボ過給機30のコンプレッサ35は、排気ガスのエネルギーによって回転駆動されるタービン36にて回転駆動され、吸気管11Aから流入された吸気を吸気管11Bに圧送することで過給する。
コンプレッサ35の上流側となる吸気管11Aには、コンプレッサ上流圧力検出装置24A(例えば圧力センサ)が設けられている。コンプレッサ上流圧力検出装置24Aは、吸気管11A内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。コンプレッサ35の下流側となる吸気管11B(吸気管11Bにおけるコンプレッサ35とインタークーラ16との間の位置)には、コンプレッサ下流圧力検出装置24B(例えば圧力センサ)が設けられている。コンプレッサ下流圧力検出装置24Bは、吸気管11B内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
吸気管11Bには、上流側にインタークーラ16が配置され、インタークーラ16よりも下流側にスロットル装置47が配置されている。インタークーラ16は、コンプレッサ下流圧力検出装置24Bよりも下流側に配置されている。インタークーラ16とスロットル装置47との間には、吸気温度検出装置28B(例えば、吸気温度センサ)が設けられている。吸気温度検出装置28Bは、インタークーラ16にて温度が低下された吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
スロットル装置47は、制御装置50からの制御信号に基づいて吸気管11Bの開度を調整するスロットルバルブ47Vを駆動し、吸気流量を調整可能である。制御装置50は、スロットル開度検出装置47S(例えば、スロットル開度センサ)からの検出信号と目標スロットル開度に基づいて、スロットル装置47に制御信号を出力してスロットルバルブ47Vの開度を調整可能である。例えば制御装置50は、アクセルペダル踏込量検出装置25からの検出信号に基づいて検出したアクセルペダルの踏込量と内燃機関10の運転状態等に基づいて目標スロットル開度を求める。
アクセルペダル踏込量検出装置25は、例えばアクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。制御装置50は、アクセルペダル踏込量検出装置25からの検出信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出することが可能である。
吸気管11Bにおけるスロットル装置47よりも下流側には、吸気マニホルド圧力検出装置24C(例えば圧力センサ)が設けられており、EGR配管13の流出側が接続されている。そして吸気管11Bの流出側は吸気マニホルド11Cの流入側に接続されており、吸気マニホルド11Cの流出側は内燃機関10の流入側に接続されている。吸気マニホルド圧力検出装置24Cは、吸気マニホルド11Cに流入する直前の吸気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。またEGR配管13の流出側(吸気管11Bとの接続部)からは、EGR配管13の流入側(排気管12Bとの接続部)から流入してきたEGRガスが、吸気管11B内に吐出される。
内燃機関10は複数のシリンダ45A~45Dを有しており、インジェクタ43A~43Dが、それぞれのシリンダに設けられている。インジェクタ43A~43Dには、コモンレール41と燃料配管42A~42Dを介して燃料が供給されており、インジェクタ43A~43Dは、制御装置50からの制御信号によって駆動され、それぞれのシリンダ45A~45D内に燃料を噴射する。
内燃機関10には、回転検出装置22、クーラント温度検出装置28C等が設けられている。回転検出装置22は、例えば回転センサであり、内燃機関10のクランクシャフトの回転数(すなわち、エンジン回転数)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。クーラント温度検出装置28Cは、例えば温度センサであり、内燃機関10内に循環されている冷却用クーラントの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
内燃機関10の排気側には排気マニホルド12Aの流入側が接続され、排気マニホルド12Aの流出側には排気管12Bの流入側が接続されている。排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。
排気管12Bには、EGR配管13の流入側が接続されている。EGR配管13は、排気管12Bと吸気管11Bとを連通し、排気管12B(排気経路に相当)の排気ガスの一部を吸気管11B(吸気経路に相当)に還流させることが可能である。またEGR配管13には、EGRクーラ15、EGR弁14が設けられている。EGR弁14は、制御装置50からの制御信号に基づいて、EGR配管13の開度を調整することで、EGR配管13内を流れるEGRガスの流量を調整する。
排気管12Bには、排気温度検出装置29が設けられている。排気温度検出装置29は、例えば排気温度センサであり、排気温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。タービン36には、タービン36へ導く排気ガスの流速を制御可能な(タービンへと排気ガスを導く流路の開度を調整可能な)可変ノズル33が設けられており、可変ノズル33は、ノズル駆動装置31によって開度が調整される。制御装置50は、ノズル開度検出装置32(例えば、ノズル開度センサ)からの検出信号と目標ノズル開度に基づいて、ノズル駆動装置31に制御信号を出力して可変ノズル33の開度を調整可能である。
タービン36の上流側となる排気管12Bには、タービン上流圧力検出装置26A(例えば圧力センサ)が設けられている。タービン上流圧力検出装置26Aは、排気管12B内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。タービン36の下流側となる排気管12Cには、タービン下流圧力検出装置26B(例えば圧力センサ)が設けられている。タービン下流圧力検出装置26Bは、排気管12C内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
排気管12Cの流出側には排気浄化装置61が接続されている。例えば内燃機関10がディーゼルエンジンの場合、排気浄化装置61には、酸化触媒、微粒子捕集フィルタ、選択式還元触媒等が含まれている。
車速検出装置27は、例えば車両速度検出センサであり、車両の車輪等に設けられている。車速検出装置27は、車両の車輪の回転速度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
制御装置50は、CPU51、RAM52、記憶装置53、タイマ54等を有している。制御装置50(CPU51)には、上述した種々の検出装置からの検出信号が入力され制御装置50(CPU51)は、上述した種々のアクチュエータへの制御信号を出力する。なお、制御装置50の入出力は、上記の検出装置やアクチュエータに限定されるものではない。また、各部の温度や圧力等はセンサを搭載せずに推定計算により算出しても良い。制御装置50は、上記の検出装置を含めた各種の検出装置からの検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出し、上記のアクチュエータを含む各種のアクチュエータを制御する。記憶装置53は、例えばFlash-ROM等の記憶装置であり、内燃機関の制御や自己診断等を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。また制御装置50(CPU51)は、運転状態検出部51A、燃料噴射算出部51B、燃料噴射調整部51C等を有しているが、これらの詳細については後述する。
制御装置50は、内燃機関10の運転状態に基づいて、1回の燃焼行程に対して、主となる燃料噴射であるメイン噴射と、メイン噴射の前段噴射となる単数または複数の燃料噴射であるパイロット噴射とを、空気を圧縮加熱した筒内に噴射する。なお本実施の形態の説明では、1回の燃焼行程においてメイン噴射よりも前の噴射を、すべてまとめて「パイロット噴射」と呼ぶ。またパイロット噴射の数及び噴射量、メイン噴射の噴射量等は、1回の燃焼行程での総燃料噴射量と内燃機関の運転状態等に基づいて適宜算出される。
●[パイロット噴射とメイン噴射、筒内での圧力発生率(図2)と、熱発生率(図3)]
次に、内燃機関10の気筒(例えば1番気筒)において、1回の燃焼行程でのパイロット噴射とメイン噴射に対して、クランク角度に応じた筒内の圧力発生率(図2)、筒内の熱発生率(図3)について説明する。図2及び図3の例では、制御装置50は、対象気筒の圧縮上死点(クランク角度=0[deg]の位置)の位置よりも少し前にて、3回のパイロット噴射を実施し、圧縮上死点の位置よりも少し後にて、1回のメイン噴射を実施した例を示している。
図2は、横軸をクランクシャフトの回転角度であるクランク角度、縦軸を筒内の圧力発生率、とした場合の実験またはシミュレーションの結果である。図2の例では、吸気(空気)をピストンにて圧縮加熱した燃焼室内に、3回のパイロット噴射で燃料を噴射して自己着火させ、メイン噴射で燃料を噴射して自己着火させている。3回のパイロット噴射によって1つの燃焼であるパイロット燃焼(第1燃焼に相当)が発生し、当該パイロット燃焼による筒内圧力は、図2中の点線にて示すパイロット燃焼圧力Ppに示すように変化する。また1回のメイン噴射によって1つの燃焼であるメイン燃焼(第2燃焼に相当)が発生し、当該メイン燃焼による筒内圧力はパイロット燃焼圧力Ppと重なり、図2中の一点鎖線にて示すメイン燃焼圧力Pmに示すように変化する。
図2中に実線にて示す圧力発生率f(θ)は、1回の燃焼行程において、クランク角度に応じて変化する筒内圧力のクランク角度微分値(パイロット燃焼圧力Ppとメイン燃焼圧力Pmの総合筒内圧力の変化の傾き)を示している。図2に示すように、1回の燃焼行程の圧力発生率f(θ)における複数のピーク位置の中でパイロット燃焼(第1燃焼に相当)に対応するピーク位置をパイロットピーク角度位置Pap(第1ピーク角度位置に相当)とする。同様に、1回の燃焼行程の圧力発生率f(θ)における複数のピーク位置の中でメイン燃焼(第2燃焼に相当)に対応するピーク位置をメインピーク角度位置Pam(第2ピーク角度位置に相当)とする。そして図2に示すように、パイロットピーク角度位置Papのクランク角度をθp、パイロットピーク角度位置Papの筒内圧力のクランク角度微分値をHp、とする。同様に、メインピーク角度位置Pamのクランク角度をθm、メインピーク角度位置Pamの筒内圧力のクランク角度微分値をHm、とする。そしてメインピーク角度位置Pamとパイロットピーク角度位置Papと、のクランク角度差Δθ(Δθ=θm-θp)を、クランク角度の差とクランクシャフトの回転数とに基づいて時間に換算した時間差(Δθに対応する時間差)をΔtとする。また、パイロットピーク角度位置Papにおける筒内圧力のクランク角度微分値(すなわち、圧力発生率の値)をHp、メインピーク角度位置Pamにおける筒内圧力のクランク角度微分値(すなわち、圧力発生率の値)をHm、として、さらにピーク高さ比をHp/Hmとする。
なお図示省略するが、図2に示す横軸をクランク角度[deg]から時間[sec]に変更し、縦軸を圧力発生率[MPa/deg]から圧力発生率[MPa/sec]に変更してもよい。この場合、圧力発生率(この場合、筒内圧力の時間微分値)は、図2の圧力発生率f(θ)と同様であり、圧力発生率における複数のピーク位置の中でパイロット燃焼、メイン燃焼のそれぞれに対応するピーク位置を、それぞれパイロットピーク時間位置PtP(第1ピーク時間位置に相当)、メインピーク時間位置Ptm(第2ピーク時間位置に相当)とする。そして、メインピーク時間位置Ptm(tm、Hm)、パイロットピーク時間位置Ptp(tp、Hp)とした場合、時間差Δt=tm-tpで表され、ピーク高さ比はHp/Hmと表される。
図3は、筒内の圧力に着目した図2に対して、筒内の熱に着目した場合を示している。図3は、図2と同じパイロット噴射、メイン噴射を実行した場合において、横軸は図2と同様にクランク角度であり、縦軸は熱発生率(筒内熱発生量のクランク角度微分値)である点が異なる。図3は、横軸をクランクシャフトの回転角度であるクランク角度、縦軸を筒内の熱発生率、とした場合の実験またはシミュレーションの結果である。
図3中に実線にて示す熱発生率g(θ)は、1回の燃焼行程において、クランク角度に応じて変化する筒内熱発生量のクランク角度微分値(パイロット燃焼熱Epとメイン燃焼熱Emの総合筒内熱発生量の変化の傾き)を示している。図3に示すように、1回の燃焼行程の熱発生率g(θ)における複数のピーク位置の中でパイロット燃焼(第1燃焼に相当)に対応するピーク位置をパイロットピーク角度位置Eap(第1ピーク角度位置に相当)とする。同様に、1回の燃焼行程の熱発生率g(θ)における複数のピーク位置の中でメイン燃焼(第2燃焼に相当)に対応するピーク位置をメインピーク角度位置Eam(第2ピーク角度位置に相当)とする。そして図3に示すように、パイロットピーク角度位置Eapのクランク角度をθp、パイロットピーク角度位置Eapの筒内熱発生量のクランク角度微分値をHp、とする。同様に、メインピーク角度位置Eamのクランク角度をθm、メインピーク角度位置Eamの筒内熱発生量のクランク角度微分値をHm、とする。そしてメインピーク角度位置Eamとパイロットピーク角度位置Eapと、のクランク角度差Δθ(Δθ=θm-θp)を、クランク角度の差とクランクシャフトの回転数とに基づいて時間に換算した時間差(Δθに対応する時間差)をΔtとする。また、パイロットピーク角度位置Eapにおける筒内熱発生量のクランク角度微分値(すなわち、熱発生率の値)をHp、メインピーク角度位置Eamにおける筒内熱発生量のクランク角度微分値(すなわち、熱発生率の値)をHm、として、さらにピーク高さ比をHp/Hmとする。
なお図示省略するが、図3に示す横軸をクランク角度[deg]から時間[sec]に変更し、縦軸を熱発生率[J/deg]から熱発生率[J/sec]に変更してもよい。この場合、熱発生率(この場合、筒内熱発生量の時間微分値)は、図3の熱発生率g(θ)と同様であり、熱発生率における複数のピーク位置の中でパイロット燃焼、メイン燃焼のそれぞれに対応するピーク位置を、それぞれパイロットピーク時間位置EtP(第1ピーク時間位置に相当)、メインピーク時間位置Etm(第2ピーク時間位置に相当)とする。そして、メインピーク時間位置Etm(tm、Hm)、パイロットピーク時間位置Etp(tp、Hp)とした場合、時間差Δt=tm-tpで表され、ピーク高さ比はHp/Hmと表される。
発明者は、種々の実験及びシミュレーションにて、内燃機関の運転状態に応じた、内燃機関の燃焼騒音を低減するための最適な時間差Δt及び最適なピーク高さ比Hp/Hmが有ることを見い出した。なお、時間差Δt、ピーク高さ比Hp/Hmは、図2に示すクランク角度・圧力発生率、図3に示すクランク角度・熱発生率、図示省略した時間・圧力発生率、図示省略した時間・熱発生率、のいずれを用いてもよいが、以降の本実施の形態の説明は、図2に示すクランク角度・圧力発生率に基づいて説明する。
●[各運転状態における、シミュレーション(または実験)の結果(図4~図7)]
次に図4~図7を用いて、内燃機関の各運転状態で、時間差Δt、ピーク高さ比Hp/Hmを、種々の値に変更した場合のシミュレーション(または実験)の結果を示す。なお、図4~図6に示す相殺中心周波数は、時間差Δtに基づいた時間差関連量であって、時間差Δtに基づいて算出した周波数であり、時間差Δt[sec]を1/2周期とする周波数であり、f=1/(2*Δt)となる。例えば時間差Δt=0.26[ms]の場合、周波数=1/(0.00026[sec]*2)≒1.923[KHz]となる。相殺中心周波数は、パイロット燃焼とメイン燃焼による燃焼騒音を相殺して低減する相殺周波数帯(f=0.3/Δtからf=0.7/Δt)の略中心となる周波数である。
図4は、内燃機関の回転数Ne=1600[rpm]、1回の燃焼行程にて噴射する噴射量(負荷)Qv=30[mm3/st]、の場合において、時間差Δtとピーク高さ比Hp/Hmを、種々の値に設定(図4中の丸印の位置)したシミュレーション(または実験)の結果を示している。なお、相殺中心周波数は、上述したとおり、時間差Δtから換算した周波数である。なお、この内燃機関のアイドリング状態では、回転数Ne=約700[rpm]、噴射量(負荷)Qv=約5[mm3/st]程度である。なお「噴射量(負荷)Qv」は、1回の燃焼行程に対して噴射されたパイロット噴射とメイン噴射による燃料量である「総噴射量」に相当している。
図4中において、一点鎖線で示す燃焼騒音レベルD1~D5の曲線は、シミュレーション(または実験)の結果、観測された燃焼騒音の0.9から5.6[KHz]の範囲で積算したオーバーオールの燃焼騒音レベルを示しており、燃焼騒音レベルD5>D4>D3>D2>D1である。なお、ピーク高さ比Hp/Hmが1.0を超える領域は、パイロット燃焼のピーク位置がメイン燃焼のピーク位置よりも高い領域であるので、現実的でない。またピーク高さ比Hp/Hmは、0.2未満はパイロット燃焼が小さ過ぎて現実的ではないので、0.2以上を考慮する。従って、ピーク高さ比Hp/Hmは、1.0以下かつ0.2以上について考慮する。また相殺中心周波数が2.2[KHz]を超える領域は、時間差Δtが約0.227[msec]よりも短くなる領域であってインジェクタと制御の限界に近い領域であり、現実的でない。また相殺中心周波数が0.6[KHz]未満の領域は、時間差Δtが約0.833[msec]よりも長くなる領域でありパイロット噴射とメイン噴射の間隔が長過ぎて相殺周波数帯の幅が短くなり相殺の効果が得られないので、0.6[KHz]以上を考慮する。従って、相殺中心周波数は、2.2[KHz]以下かつ0.6[KHz]以上について考慮する(図5、図6も同様)。
図4に示す場合の運転状態(回転数=1600[rpm]、燃料噴射量(負荷)=30[mm3/st])を、横軸を回転数、縦軸を燃料噴射量(負荷)とした運転状態を示す図7中にU1にて示す。この運転状態U1では、図4に表れているように、燃焼騒音レベルD1以下とするためには、相殺中心周波数を約1.9[KHz]~約2.2[KHz](つまり、時間差Δtを約0.227[msec]~約0.263[msec])、ピーク高さ比Hp/Hmを約0.85~約1.0にすればよいことがわかる。
図5は、内燃機関の回転数Ne=1600[rpm]、1回の燃焼行程にて噴射する噴射量(負荷)Qv=55[mm3/st]、の場合において、時間差Δtとピーク高さ比Hp/Hmを、種々の値に設定(図5中の丸印の位置)したシミュレーション(または実験)の結果を示している。なお、相殺中心周波数は、上述したとおり、時間差Δtから換算した周波数である。
図5中において、一点鎖線で示す燃焼騒音レベルD1~D5の曲線は、図4の場合と同様、観測されたオーバーオールの燃焼騒音のレベルを示しており、燃焼騒音レベルD5>D4>D3>D2>D1である。また、ピーク高さ比Hp/Hmについては、1.0以下かつ0.2以上について考慮し、相殺中心周波数については2.2[KHz]以下かつ0.6[KHz]以上について考慮する点も同様である。ただし、噴射量Qvが、図4の運転状態の燃料噴射量よりも増量されており、相殺中心周波数は、約0.9[KHz]以下について考慮することが現実的である。
図5に示す場合の運転状態(回転数=1600[rpm]、燃料噴射量(負荷)=55[mm3/st])を、横軸を回転数、縦軸を燃料噴射量(負荷)とした運転状態を示す図7中にU2にて示す。この運転状態U2では、図5及び現実的な相殺中心周波数=約0.9[KHz]以下の燃焼騒音レベルD2以下とするためには、相殺中心周波数を約0.9[KHz]以上(つまり、時間差Δtを約0.556[msec]以下)、ピーク高さ比Hp/Hmを約0.2~約0.5にすればよいことがわかる。
図6は、内燃機関の回転数Ne=2400[rpm]、1回の燃焼行程にて噴射する噴射量(負荷)Qv=30[mm3/st]、の場合において、時間差Δtとピーク高さ比Hp/Hmを、種々の値に設定(図6中の丸印の位置)したシミュレーション(または実験)の結果を示している。なお、相殺中心周波数は、上述したとおり、時間差Δtから換算した周波数である。
図6中において、一点鎖線で示す燃焼騒音レベルD2~D5の曲線は、図4の場合と同様、観測された燃焼騒音のレベルを示しており、燃焼騒音レベルD5>D4>D3>D2である。また、ピーク高さ比Hp/Hmについては、1.0以下かつ0.2以上について考慮し、相殺中心周波数については2.2[KHz]以下かつ0.6[KHz]以上について考慮する点も同様である。ただし、回転数Neが、図4の運転状態の回転数よりも増加されており、燃焼騒音レベルD1まで低下しなかった。
図6に示す場合の運転状態(回転数=2400[rpm]、燃料噴射量(負荷)=30[mm3/st])を、横軸を回転数、縦軸を燃料噴射量(負荷)とした運転状態を示す図7中にU3にて示す。この運転状態U3では、図6に表れているように、燃焼騒音レベルD2以下とするためには、相殺中心周波数を約1.22[KHz]~約2.2[KHz](つまり、時間差Δtを約0.227[msec]~約0.410[msec])、ピーク高さ比Hp/Hmを約0.75~約1.0にすればよいことがわかる。
以上、図7に示すように、回転数が略一定であって負荷(燃料噴射量)が低負荷から高負荷へと増量した場合、時間差Δtを長くするとともにピーク高さ比Hp/Hmを小さくすれば、燃焼騒音の低減に効果があることがわかる。また、負荷(燃料噴射量)が略一定であって回転数が低回転から高回転へと増加した場合、時間差Δtの許容範囲が長い方に拡大され、ピーク高さ比Hp/Hmの許容範囲が低い方に拡大されることがわかる。
以上に説明したように、時間差Δt(または、時間差Δtから換算した相殺中心周波数(時間差関連量))とピーク高さ比Hp/Hmは、燃焼騒音の低減に大きく影響し、運転状態に応じた、最適な時間差Δt、最適なピーク高さ比Hp/Hmが存在する。
●[各運転状態における、最適な時間差Δtと、最適なピーク高さ比Hp/Hm(図8~図11)]
図8は、図4中のデータS1(1.9[KHz]、0.88)の場合におけるクランク角度・圧力発生率であるfs1(θ)と、図4中のデータS2(1.9[KHz]、0.58)の場合におけるクランク角度・圧力発生率であるfs2(θ)を示している。時間差Δtから換算した周波数はどちらも1.9[KHz]であるので、クランク角度差Δθは同じである。またfs1(θ)のピーク高さ比Hp(H)/Hm(H)=0.88であり、fs2(θ)のピーク高さ比Hp(L)/Hm(L)=0.58である。この場合の周波数・燃焼騒音スペクトルの観測結果を図9に示す。
図9に示すように、同一の時間差Δt(換算周波数=1.9[KHz])であるが、ピーク高さ比Hp/Hm=0.58(fs2(θ)による燃焼騒音(図9中の点線グラフ))に対して、ピーク高さ比Hp/Hm=0.88(fs1(θ)による燃焼騒音(図9中の実線グラフ))のほうが、約1.2[KHz]~約2.5[KHz]の周波数帯において燃焼騒音が比較的大きく低減されていることがわかる。
図10は、図5中のデータS3(0.83[KHz]、0.75)の場合におけるクランク角度・圧力発生率であるfs3(θ)と、図5中のデータS4(0.83[KHz]、0.26)の場合におけるクランク角度・圧力発生率であるfs4(θ)を示している。時間差Δtから換算した周波数はどちらも0.83[KHz]であるので、クランク角度差Δθは同じである。またfs3(θ)のピーク高さ比Hp(H)/Hm(H)=0.75であり、fs4(θ)のピーク高さ比Hp(L)/Hm(L)=0.26である。図8の条件よりもメイン噴射量が多くなる条件であるため、メインの噴射開始からメインのピークまでの時間が長くなり、パイロットとメインの噴射インターバルの制約のため、パイロットのピークとの時間差Δt(クランク角度差Δθ)を短縮することが困難になる。この場合の周波数・燃焼騒音スペクトルの観測結果を図11に示す。
図11に示すように、同一の時間差Δt(換算周波数=0.83[KHz])であるが、ピーク高さ比Hp/Hm=0.75(fs3(θ)による燃焼騒音(図11中の点線グラフ))に対して、ピーク高さ比Hp/Hm=0.26(fs4(θ)による燃焼騒音(図11中の実線グラフ))のほうが、約0.5[KHz]~約1.2[KHz]の相殺周波数帯での騒音低減効果は少ないが、約1.7[KHz]を中心とする約1.2[KHz]~約2.2[KHz]の増幅周波数帯における騒音増大効果が抑えられており、オーバーオール燃焼騒音値の積算範囲の0.9[KHz]~5.6[KHz]でのスペクトルの最大値が低くなり、燃焼騒音が比較的大きく低減されていることがわかる。
●[目標時間・目標ピーク高さ比特性(図12、図13)の設定]
以上の結果から、内燃機関の運転状態(具体的には、回転数と負荷(噴射量))に応じて、最適な目標時間差(または最適な目標時間差関連量(目標相殺中心周波数))及び最適な目標ピーク高さ比を設定した、目標時間・目標ピーク高さ比特性(図12参照)を作成し、制御装置50の記憶装置53に記憶しておく。目標時間・目標ピーク高さ比特性は、目標時間差に基づいて求めた目標時間差関連量である目標相殺中心周波数(または目標時間差)と、目標ピーク高さ比と、の一方を縦軸、他方を横軸として、予め設定された複数の回転数のそれぞれに対応させて設定されている。
目標時間・目標ピーク高さ比特性は、図12の例に示すように、回転数毎のグラフ状の特性で表現されている。図12には、Ne=1600[rpm]の場合の特性がh(1600)で表現され、Ne=2000[rpm]の場合の特性がh(2000)で表現され、Ne=2400[rpm]の場合の特性がh(2400)で表現されている。
また、例えば図12中のh(1600)(Ne=1600[rpm])の特性において、噴射量(負荷)Qv=30[mm3/st]の場合の位置はM11(Ne1600、Qv30)の位置で表現され、噴射量(負荷)Qv=40[mm3/st]の場合の位置はM12(Ne1600、Qv40)の位置で表現され、噴射量(負荷)Qv=55[mm3/st]の位置はM13(Ne1600、Qv55)の位置で表現されている。同様に、図12中のh(2000)(Ne=2000[rpm])の特性において、噴射量(負荷)Qv=40[mm3/st]の位置はM22(Ne2000、Qv40)の位置で表現され、噴射量(負荷)Qv=55[mm3/st]の位置はM23(Ne2000、Qv55)の位置で表現されている。同様に、図12中のh(2400)(Ne=2400[rpm])の特性において、噴射量(負荷)Qv=30[mm3/st]の位置はM31(Ne2400、Qv30)の位置で表現され、噴射量(負荷)Qv=40[mm3/st]の位置はM32(Ne2400、Qv40)の位置で表現されている。なお図12中に記載した一点鎖線は、同一負荷の位置を通る等負荷線を示している。図12に示すように、内燃機関の回転数が略一定であって内燃機関の負荷が低負荷から高負荷へと増加した場合、時間差(Δt)が長くなるように目標時間差関連量が変更され(目標相殺中心周波数が低くなるように変更され)、ピーク高さ比(Hp/Hm)が小さくなるように目標ピーク高さ比が変更される。
例えば制御装置50は、検出した内燃機関の運転状態(回転数、負荷)と、記憶装置53に記憶している目標時間・目標ピーク高さ比特性(図12)を用いることで、内燃機関の運転状態(回転数、負荷)に応じた、目標時間差関連量(この場合、目標相殺中心周波数)と目標ピーク高さ比と、を求めることができる。
図13は、図12中のh(1600)の特性における許容上限(Max)h(1600)の例と、許容下限(Min)h(1600)の例を示している。図13においてM11の例では、図4のデータS1を基に、目標ピーク高さ比に対して±0.15、目標相殺中心周波数に対して±0.2[KHz]を達成すれば、ほぼ目標騒音レベル±1[dBA]内に収めることができる。なお、図13における許容上限(Max)h(1600)、許容下限(Min)h(1600)に示すように、M11の例では、目標ピーク高さ比に対して±0.15よりも若干大きな値であっても、目標相殺中心周波数に対して±0.2[KHz]よりも若干大きな値であっても、ほぼ目標騒音レベル±1[dBA]内に収めることができる。
また、図13においてM11より負荷の上がったM12の例では、目標ピーク高さ比に対して、±0.15、目標相殺中心周波数に対して±0.2[KHz]を達成すれば、ほぼ目標騒音レベル±1[dBA]内に収めることができる。また、図13においてM12よりさらに負荷の上がったM13の例では、図5のデータS4を基に、目標ピーク高さ比に対して±0.15よりも若干小さな値、目標相殺中心周波数に対して±0.1[KHz]を達成すれば、ほぼ目標騒音レベル±1[dBA]内に収めることができることを発明者は、種々のシミュレーションや実験の結果より確認した。図13における許容上限(Max)h(1600)、許容下限(Min)h(1600)に示すように、M13の例では、目標ピーク高さ比に対して±0.15よりも若干小さな値、目標相殺中心周波数に対して±0.2[KHz]よりも若干小さな±0.1[KHz]に設定することで、ほぼ目標騒音レベル±1[dBA]内に収めることができる。
つまり、Hp/Hmが、目標ピーク高さ比に対して、ずれ量が許容高さ比内に収まるように制御することが好ましい。そして「許容高さ比」は、負荷(Qv)が所定負荷の近傍(この場合、Qv=40[mm3/st]の近傍)である場合では0.15(許容高さ比基準値)に設定されている。また、負荷(Qv)が所定負荷(この場合、Qv=40[mm3/st])よりも小さくなるにしたがって許容高さ比は許容高さ比基準値よりも大きくなるように設定されている(0.15よりも若干大きな値に設定されている)。また、負荷(Qv)が所定負荷(この場合、Qv=40[mm3/st])よりも大きくなるにしたがって許容高さ比は許容高さ比基準値よりも小さくなるように設定されている(0.15よりも若干小さな値に設定されている)。このため、図13において、許容上限(Max)h(1600)と許容下限(Min)h(1600)における目標ピーク高さ比の方向の間隔は、負荷(Qv)が大きくなるにしたがって狭くなるように設定され、負荷(Qv)が小さくなるにしたがって広くなるように設定されている。
目標相殺中心周波数も同様に、実際の相殺中心周波数が、目標相殺中心周波数に対して、ずれ量が許容周波数内に収まるように制御することが好ましい。そして「許容周波数」は、負荷(Qv)が所定負荷の近傍(この場合、Qv=40[mm3/st]の近傍)である場合では0.2[KHz](許容周波数基準値)に設定されている。また、負荷(Qv)が所定負荷(この場合、Qv=40[mm3/st])よりも小さくなるにしたがって許容周波数は許容周波数基準値よりも大きくなるように設定されている(0.2[KHz]よりも若干大きな値に設定されている)。また、負荷(Qv)が所定負荷(この場合、Qv=40[mm3/st])よりも大きくなるにしたがって許容周波数は許容周波数基準値よりも小さくなるように設定されている(0.2[KHz]よりも若干小さな値に設定されている)。このため、図13において、許容上限(Max)h(1600)と許容下限(Min)h(1600)における目標相殺中心周波数の方向の間隔は、負荷(Qv)が大きくなるにしたがって狭くなるように設定され、負荷(Qv)が小さくなるにしたがって広くなるように設定されている。
以上の説明では、時間差Δtと、ピーク高さ比Hp/Hmと、に基づいて燃焼騒音をより低減させる点について説明した。以降では、上述した時間差Δtとピーク高さ比Hp/Hmの調整に加えて、さらに、上述したパイロット燃焼(第1燃焼に相当)よりも前に発生させるプレ燃焼を適切に制御することで、スモークの発生量をより低減させる点について説明する。
●[プレ燃焼の違いによる燃焼の違いの例(図14~図16)]
図14は、横軸をクランク角度[deg]、縦軸を熱発生率[J/deg](筒内熱発生量のクランク角度微分値)として、g1(θ)~g5(θ)の5種類の燃焼の実験結果の例を示している。g1(θ)~g5(θ)は、いずれも「P1、P2、P3」にて示す3つのパイロット噴射と、「M」にて示す1つのメイン噴射を実行して得られたものである。なお、g1(θ)~g5(θ)では、各パイロット噴射(P1、P2、P3)とメイン噴射(M)の、それぞれの噴射時期(噴射開始クランク角度位置)と噴射量は、図15に示す通りであり、メイン噴射Mの2つ前のパイロット噴射(第2パイロット噴射P2)の噴射量のみが異なる。なお、第2パイロット噴射P2の噴射量は、(Qb+β2)>(Qb+β1)>Qb>(Qb-α1)>(Qb-α2)である。
また図16は、図14に示すg1(θ)を模式図で表現した図である。図16に示すように、1回の燃焼行程に対して複数の燃焼(プレ燃焼、第1燃焼、第2燃焼)が発生している。また複数の燃焼(燃焼発生率)は、プレ燃焼発生率(第1、主プレ燃焼発生率)、第1燃焼発生率、第2燃焼発生率、を有している。図16において、第1プレ燃焼(図16中の第1プレ燃焼発生率)は主に第1パイロット噴射P1によって発生し、主プレ燃焼(図16中の主プレ燃焼発生率)は主に第2パイロット噴射P2によって発生している。また、第1燃焼(図16中の第1燃焼発生率)は主に第3パイロット噴射P3によって発生し、第2燃焼(図16中の第2燃焼発生率)は主にメイン噴射Mによって発生している。第1燃焼(第1燃焼発生率)は、プレ燃焼(この場合、主プレ燃焼発生率)の一部に重なるようにプレ燃焼(主プレ燃焼発生率)に続いて発生している。第2燃焼(第2燃焼発生率)は、第1燃焼(第1燃焼発生率)の一部に重なるように第1燃焼(第1燃焼発生率)に続いて発生している。なお図14及び図16では、縦軸を「熱発生率」(筒内熱発生量のクランク角度微分値(または時間微分値))としているが、縦軸を「圧力発生率」(筒内圧力のクランク角度微分値(または時間微分値))としてもよく、どちらの場合でも使える名称として、「燃焼発生率」としている。
図16において、第1燃焼発生率(この場合、クランク角度に応じて変化する筒内熱発生量のクランク角度微分値)の発生開始時期は、「θs1」にて示す時期(位置)である。また図14中のg1(θ)~g5(θ)は、第1燃焼発生率(図16参照)のピーク位置(第1ピーク角度位置)と、第2燃焼発生率(図16参照)のピーク位置(第2ピーク角度位置)との角度差と回転数から換算した時間差Δt、及び、第2ピーク角度位置の高さHmに対する第1ピーク角度位置の高さHpであるHp/Hm、は上述したように調整されて、燃焼騒音が低減されている。これに加えて、以降に説明するように、プレ燃焼(図16中の第1プレ燃焼発生率と主プレ燃焼発生率)を適切に調整することで、スモーク発生量を低減することができる。スモーク発生量を低減するためのプレ燃焼発生率の調整としては、プレ燃焼発生率の面積の調整と、プレ燃焼発生率の高さの調整とがあり、以下、順に説明する。
●[プレ燃焼発生率面積Qpの調整(図16、図17)]
図16において、プレ燃焼発生率面積Qpは、第1燃焼発生率の発生開始時期θs1よりも前における、プレ燃焼発生率(第1プレ燃焼発生率、主プレ燃焼発生率)で囲まれた面積であり、塗りつぶした領域である「Qp」にて示す面積である。なお、プレ燃焼発生率は、筒内熱発生量または筒内圧力の時間微分値、あるいは、筒内熱発生量または筒内圧力のクランク角度微分値である。
なお、プレ燃焼発生率面積Qp(発熱量)は、内燃機関の排気量の大小に応じた燃料噴射量の大小に応じて変動するので、これらの影響を排除して一般化するために、1回の燃焼行程に対して噴射したパイロット噴射とメイン噴射による燃料量である総噴射量Qvから換算した熱量である総投入熱量Qallにて除算した、Qp/Qallを算出する。なお、総投入熱量Qallは、例えば、総噴射量Qv[mm3]*燃料密度[g/mm3]*低位発熱量[MJ/Kg]にて算出することができる。
図17は、横軸をQp/Qall、縦軸をスモーク発生量に設定し、図14に示すg1(θ)~g5(θ)のそれぞれの(Qp/Qall、スモーク発生量)をプロットした図である。図17に示す例では、g1(θ)、g2(θ)、g3(θ)はスモーク発生量の許容上限以下であるが、g4(θ)、g5(θ)は許容上限を超えている。図17より、スモーク発生量を許容上限以下にするためには、Qp/Qallを約10.5[%]以下(目標プレ燃焼面積関連量上限以下)にする必要がある。なお、g1(θ)~g5(θ)は、第2パイロット噴射の噴射量が異なるのみであるので、少なくとも第2パイロット噴射の噴射量を調整することで、Qp/Qallを比較的容易に約10.5[%]以下(目標プレ燃焼面積関連量上限以下)に調整することができる。
また図14に示すように、g4(θ)、g5(θ)のプレ燃焼発生率面積Qpは、g1(θ)~g3(θ)のプレ燃焼発生率面積Qpよりも非常に大きく、g4(θ)の第1燃焼発生率の発生開始時期、及びg5(θ)の第1燃焼発生率の発生開始時期は、θs1よりも進角した位置となっている(第1燃焼が目標よりも早期に発生している)。このため、g4(θ)及びg5(θ)では、第1燃焼の発生開始時期が不安定になって進角しているので時間差Δtがやや長くなり、燃焼騒音の抑制の点においても、あまり好ましくない。
●[プレ燃焼発生率高さHpreの調整(図16、図18)]
図16において、プレ燃焼発生率高さHpreは、第1燃焼発生率の発生開始時期θs1における、プレ燃焼発生率(主プレ燃焼発生率)の高さであり、「Hpre」にて示す高さである。なお、プレ燃焼発生率は、筒内熱発生量または筒内圧力の時間微分値、あるいは、筒内熱発生量または筒内圧力のクランク角度微分値である。
なお、プレ燃焼発生率高さHpre(発熱量高さ)は、内燃機関の排気量の大小に応じた燃料噴射量の大小に応じて変動するので、これらの影響を排除して一般化するために、1回の燃焼行程に対して噴射したパイロット噴射とメイン噴射による燃料量である総噴射量Qvにて除算した、Hpre/Qvを算出する。
図18は、横軸をHpre/Qv、縦軸をスモーク発生量に設定し、図14に示すg1(θ)~g5(θ)のそれぞれの(Hpre/Qv、スモーク発生量)をプロットした図である。図18に示す例では、g1(θ)、g2(θ)、g3(θ)はスモーク発生量の許容上限以下であるが、g4(θ)、g5(θ)は許容上限を超えている。図17より、スモーク発生量を許容上限以下にするためには、Hpre/Qvを約1.3以下(目標プレ燃焼高さ関連量上限以下)にする必要がある。なお、g1(θ)~g5(θ)は、第2パイロット噴射の噴射量が異なるのみであるので、少なくとも第2パイロット噴射の噴射量を調整することで、Hpre/Qvを比較的容易に約1.3以下(目標プレ燃焼高さ関連量上限以下)に調整することができる。
また図14に示すように、g4(θ)、g5(θ)のプレ燃焼発生率高さHpreは、g1(θ)~g3(θ)のプレ燃焼発生率高さHpreよりも非常に高く、g4(θ)の第1燃焼発生率の発生開始時期、及びg5(θ)の第1燃焼発生率の発生開始時期は、θs1よりも進角した位置となっている(第1燃焼が目標よりも早期に発生している)。このため、g4(θ)及びg5(θ)では、第1燃焼の発生開始時期が不安定になって進角しているので時間差Δtがやや長くなり、燃焼騒音の抑制の点においても、あまり好ましくない。
●[制御装置50の処理手順(図19~図23)]
次に図19~図23に示すフローチャートを用いて、制御装置50による処理手順の例(第1、第2の実施の形態)について説明する。第1の実施の形態は、上記の「プレ燃焼発生率面積Qpの調整」を用いた制御であり、第2の実施の形態は、上記の「プレ燃焼発生率高さHpreの調整」を用いた制御である。
●[第1の実施の形態(図19~図21)]
まず図19~図21に示すフローチャートを用いて、「プレ燃焼発生率面積Qpの調整」を用いた第1の実施の形態における、制御装置50の処理手順を説明する。制御装置50(CPU51)は、例えば所定クランク角度毎(例えば4気筒の場合では180[°CA]毎)にて、図19に示す処理を起動し、ステップS010に処理を進める。
ステップS010にて制御装置50は、内燃機関の種々の運転状態を検出し、ステップS015に処理を進める。例えば制御装置50は、図1に示す各種の検出装置からの検出信号やインジェクタの制御量(前回の燃料噴射量)に基づいて、内燃機関回転数、吸気量、吸気マニホルド内圧力、可変ノズル開度量、アクセルペダル踏込量、燃料噴射量等を検出する。ステップS010の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部51A(図1参照)に相当している。
ステップS015にて制御装置50は、検出した運転状態に基づいて、運転者からの要求トルクを算出し、ステップS020に処理を進める。例えば制御装置50は、内燃機関回転数とアクセルペダル踏込量に基づいて、記憶装置に記憶されているマップや、計算式等に基づいて、要求トルクを算出する。
ステップS020にて制御装置50は、算出した要求トルクと内燃機関の運転状態と、に基づいて(次回の)総噴射量(Qv)を算出し、ステップS025に処理を進める。なお、総噴射量(Qv)の算出手順の詳細については説明を省略する。
ステップS025にて制御装置50は、内燃機関の運転状態(回転数、負荷(総噴射量))と、記憶装置に記憶されている目標時間・目標ピーク高さ比特性(図12参照)と、に基づいて、目標時間差関連量(目標相殺中心周波数)と目標ピーク高さ比を求め、ステップS030に処理を進める。例えば、制御装置50は、(回転数、負荷(噴射量))が(1600[rpm]、30[mm3/st])の場合、図12に示す目標時間・目標ピーク高さ比特性の中からh(1600)を選定し、選定したh(1600)における30[mm3/st]の位置に相当するM11(Ne1600、Qv30)の位置により、目標時間差関連量(目標相殺中心周波数)と目標ピーク高さ比を求める。
ステップS030にて制御装置50は、(次回の)総噴射量(Qv)、目標時間差関連量(目標相殺中心周波数)、目標ピーク高さ比、内燃機関の運転状態に基づいて、次回の燃料噴射における、パイロット噴射の仮の数、各パイロット噴射の仮噴射時期及び仮噴射量、メイン噴射の仮噴射時期及び仮噴射量を求め、ステップS040へ処理を進める。なお、1回の燃焼行程での噴射では、パイロット噴射の数は1回または複数回であり、メイン噴射の数は1回である。
このとき、メイン噴射の仮噴射時期と、メイン噴射の1つ前のパイロット噴射の仮噴射時期は、目標時間差関連量(目標相殺中心周波数)に基づいて設定される。例えば、記憶装置には、目標時間差関連量(目標相殺中心周波数)に応じた目標時間間隔が、マップ等の形式にて記憶されており、制御装置50は、目標時間差関連量と当該マップを用いて目標時間間隔となるように、メイン噴射の仮噴射時期と、メイン噴射の1つ前のパイロット噴射の仮噴射時期と、を求める。なお、上記のマップは、シミュレーションや実験等を用いて作成され、記憶装置に記憶されている。
また、複数のパイロット噴射の仮噴射量の合計となる仮総パイロット噴射量と、メイン噴射の仮噴射量は、目標ピーク高さ比に基づいて、所定の計算式やマップ等にて求められる。例えば、制御装置50は、(次回の)総噴射量(Qv)を、目標ピーク高さ比に応じて、仮総パイロット噴射量と仮メイン噴射量に分割することで、仮総パイロット噴射量と仮メイン噴射量とを求める。なお、上記の所定の計算式やマップは、シミュレーションや実験等を用いて作成され、記憶装置に記憶されている。
ステップS040にて制御装置50は、[プレ燃焼調整]を実行してステップS050へ処理を進める。なお[プレ燃焼調整]の詳細については後述する。
ステップS050にて制御装置50は、次回の燃料噴射における、パイロット噴射の最終数、各パイロット噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、メイン噴射の最終噴射時期及び最終噴射量を求め、図19に示す処理を終了する。なお、1回の燃焼行程での噴射では、パイロット噴射の数は複数回(プレ燃焼と第1燃焼のそれぞれを発生させるために複数回)であり、メイン噴射の数は1回である。
以上のように、パイロット噴射の最終数、各パイロット噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、メイン噴射の最終噴射時期及び最終噴射量を設定すれば、図示省略するが、制御装置50によって、既存のパイロット噴射のスケジューリング処理、既存のメイン噴射のスケジューリング処理にて、狙ったタイミングにて各噴射の処理が実行される。
なお、以上の説明における目標時間差関連量(目標相殺中心周波数)を、目標時間差に変更してもよい。目標時間差は、目標相殺中心周波数での1周期の半分(半波長)の時間である。例えば、図12に示す目標時間・目標ピーク高さ比特性の横軸を、目標相殺中心周波数(目標時間差関連量)から目標時間差に変更した目標時間・目標ピーク高さ比特性を記憶装置に記憶しておく。そしてステップS025にて、制御装置50は、内燃機関の運転状態(回転数、負荷(噴射量))と、記憶装置に記憶されている目標時間・目標ピーク高さ比特性と、に基づいて、目標時間差と目標ピーク高さ比を求める。そしてステップS030にて制御装置50は、メイン噴射の噴射時期と、メイン噴射の1つ前のパイロット噴射の噴射時期を、目標時間差に基づいて設定する。
以上に説明したステップS025、S030の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、内燃機関の運転状態に応じた目標時間差または目標時間差関連量と、目標ピーク高さ比と、を求め、時間差(Δt)が目標時間差に近づくように(または時間差(Δt)に基づいた時間差関連量が目標時間差関連量に近づくように)、かつ、ピーク高さ比(Hp/Hm)が目標ピーク高さ比に近づくように前段噴射における少なくともメイン噴射の1つ前のパイロット噴射の噴射時期及び噴射量と、メイン噴射の噴射時期及び噴射量を求める、燃料噴射算出部51B(図1参照)に相当している。
●[プレ燃焼調整の詳細1-1(図20)と詳細1-2(図21)]
次に図20を用いて、図19のステップS040の[プレ燃焼調整]の詳細(詳細1-1)について説明する。制御装置50は、図19に示すステップS040に処理を進めた場合、図20に示すステップS110へ処理を進める。
ステップS110にて制御装置50は、各プレ燃焼発生率(図16の第1プレ燃焼発生率、主プレ燃焼発生率)の状態を予測し、ステップS115へ処理を進める。例えば制御装置50は、内燃機関の運転状態と、パイロット噴射の仮の数、各パイロット噴射の仮噴射時期と仮噴射量に基づいて、図16に示すような第1プレ燃焼発生率の発生位置(クランク角度)と大きさ(高さ)、主プレ燃焼発生率の発生位置(クランク角度)と大きさ(高さ)、第1燃焼発生率の発生位置(クランク角度)と大きさ(高さ)、等を予測する。
ステップS115にて制御装置50は、第1燃焼発生率の発生開始時期θs1(図16参照)を予測し、ステップS120へ処理を進める。例えば制御装置50は、ステップS110にて実施した予測に基づいて、第1燃焼発生率の発生開始時期θs1を予測する。
ステップS120にて制御装置50は、発生開始時期θs1よりも前における、プレ燃焼発生率面積Qpを予測し、ステップS125へ処理を進める。例えば制御装置50は、ステップS110にて予測した第1プレ燃焼発生率の発生位置と大きさ(高さ)、主プレ燃焼発生率の発生位置と大きさ(高さ)、発生開始時期θs1、に基づいてプレ燃焼発生率面積Qpを算出する。
ステップS125にて制御装置50は、(次回の)総噴射量Qvから総投入熱量Qallを算出してステップS130へ処理を進める。上述したように、例えば制御装置50は、総噴射量Qv[mm3]*燃料密度[g/mm3]*低位発熱量[MJ/Kg]にて、総投入熱量Qallを算出する
ステップS130にて制御装置50は、Qp/Qallが目標プレ燃焼面積関連量上限以下であるか否かを判定する。制御装置50は、Qp/Qallが目標プレ燃焼面積関連量上限以下である場合(Yes)は図20に示す処理を終了し、図19に示すステップS050へ処理を戻し、Qp/Qallが目標プレ燃焼面積関連量上限よりも大きい場合(No)はステップS135へ処理を進める。
ステップS135へ処理を進めた場合、制御装置50は、例えばQp/Qallの値に応じて、メイン噴射の2つ前のパイロット噴射の仮噴射量を減量し、図20に示す処理を終了して図19に示すステップS050へ処理を戻す。例えば記憶装置53には、Qp/Qallに応じた減量値(または減量割合など)が設定された減量マップが記憶されており、制御装置50は、Qp/Qallと減量マップに基づいて、メイン噴射の2つ前のパイロット噴射の仮噴射量を減量する。なお減量マップは、種々の実験やシミュレーション等にて決定されている。なお減量した噴射量は、ピーク高さ比Hp/Hmに応じて、メイン噴射と、メイン噴射の1つ前のパイロット噴射に割り当てるようにしてもよい。
また図20に示す[プレ燃焼調整](詳細1-1)の代わりに、図21に示す[プレ燃焼調整](詳細1-2)としてもよい。制御装置50は、図19に示すステップS040に処理を進めた場合、図21に示すステップS110Aへ処理を進める。
ステップS110Aにて制御装置50は、内燃機関の運転状態、総噴射量Qv、パイロット噴射の仮の数、各パイロット噴射の仮噴射時期及び仮噴射量、メイン噴射の仮噴射時期及び仮噴射量、等に応じて、予め用意されたパターンの中から、適切なパターンを抽出して、パイロット噴射の最終数、各パイロット噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、メイン噴射の最終噴射時期及び最終噴射量を読み出し、図21に示す処理を終了して図19に示すステップS050へ処理を戻す。例えば記憶装置53には、運転状態と代表的な総噴射量Qvに応じて、パイロット噴射の最終数、各パイロット噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、メイン噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、が設定された複数のパターンが記憶されている。
また上記の例に限定されず、制御装置50は、[プレ燃焼調整]にて、プレ燃焼発生率面積Qpに基づいたプレ燃焼発生率面積関連量(上記の例では、Qp/Qall)が、予め設定された目標プレ燃焼面積関連量上限(上記の例では約10.5[%](図17参照))以下となるように、少なくとも1つのパイロット噴射における、噴射時期及び噴射量の少なくとも一方を調整すればよい。この[プレ燃焼調整]の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、燃料噴射調整部51C(図1参照)に相当している。
●[第2の実施の形態(図19、図22、図23)]
次に図19、図22、図23に示すフローチャートを用いて、「プレ燃焼発生率高さHpreの調整」を用いた第2の実施の形態における、制御装置50の処理手順を説明する。なお、図19に示すフローチャートは第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。第2の実施の形態は、図19に示すフローチャートにおけるステップS040の[プレ燃焼調整]の詳細が異なる。
●[プレ燃焼調整の詳細2-1(図22)と詳細2-2(図23)]
次に図22を用いて、図19のステップS040の[プレ燃焼調整]の詳細(詳細2-1)について説明する。制御装置50は、図19に示すステップS040に処理を進めた場合、図22に示すステップS210へ処理を進める。
ステップS210にて制御装置50は、主プレ燃焼発生率(図16の第1プレ燃焼発生率の1つ前のプレ燃焼発生率)の状態を予測し、ステップS215へ処理を進める。例えば制御装置50は、内燃機関の運転状態と、パイロット噴射の仮の数、各パイロット噴射の仮噴射時期と仮噴射量に基づいて、図16に示すような、主プレ燃焼発生率の発生位置(クランク角度)と大きさ(高さ)、第1燃焼発生率の発生位置(クランク角度)と大きさ(高さ)、等を予測する。
ステップS215にて制御装置50は、第1燃焼発生率の発生開始時期θs1(図16参照)を予測し、ステップS220へ処理を進める。例えば制御装置50は、ステップS210にて実施した予測に基づいて、第1燃焼発生率の発生開始時期θs1を予測する。
ステップS220にて制御装置50は、発生開始時期θs1における、プレ燃焼発生率高さHpreを予測し、ステップS230へ処理を進める。例えば制御装置50は、ステップS210にて予測した第1プレ燃焼発生率の発生位置と大きさ(高さ)、主プレ燃焼発生率の発生位置と大きさ(高さ)、発生開始時期θs1、に基づいてプレ燃焼発生率高さHpreを算出する。
ステップS230にて制御装置50は、Hpre/Qvが目標プレ燃焼高さ関連量上限以下であるか否かを判定する。なおQvは総噴射量である。制御装置50は、Hpre/Qvが目標プレ燃焼高さ関連量上限以下である場合(Yes)は図22に示す処理を終了し、図19に示すステップS050へ処理を戻し、Hpre/Qvが目標プレ燃焼高さ関連量上限よりも大きい場合(No)はステップS235へ処理を進める。
ステップS235へ処理を進めた場合、制御装置50は、例えばHpre/Qvの値に応じて、メイン噴射の2つ前のパイロット噴射の仮噴射量を減量し、図22に示す処理を終了して図19に示すステップS050へ処理を戻す。例えば記憶装置53には、Hpre/Qvに応じた減量値(または減量割合など)が設定された減量マップが記憶されており、制御装置50は、Hpre/Qvと減量マップに基づいて、メイン噴射の2つ前のパイロット噴射の仮噴射量を減量する。なお減量マップは、種々の実験やシミュレーション等にて決定されている。なお減量した噴射量は、ピーク高さ比Hp/Hmに応じて、メイン噴射と、メイン噴射の1つ前のパイロット噴射に割り当てるようにしてもよい。
また図22に示す[プレ燃焼調整](詳細2-1)の代わりに、図23に示す[プレ燃焼調整](詳細2-2)としてもよい。制御装置50は、図19に示すステップS040に処理を進めた場合、図23に示すステップS210Aへ処理を進める。
ステップS210Aにて制御装置50は、内燃機関の運転状態、総噴射量Qv、パイロット噴射の仮の数、各パイロット噴射の仮噴射時期及び仮噴射量、メイン噴射の仮噴射時期及び仮噴射量、等に応じて、予め用意されたパターンの中から、適切なパターンを抽出して、パイロット噴射の最終数、各パイロット噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、メイン噴射の最終噴射時期及び最終噴射量を読み出し、図23に示す処理を終了して図19に示すステップS050へ処理を戻す。例えば記憶装置53には、運転状態と代表的な総噴射量Qvに応じて、パイロット噴射の最終数、各パイロット噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、メイン噴射の最終噴射時期及び最終噴射量、が設定された複数のパターンが記憶されている。
また上記の例に限定されず、制御装置50は、[プレ燃焼調整]にて、プレ燃焼発生率高さHpreに基づいたプレ燃焼発生率高さ関連量(上記の例では、Hpre/Qv)が、予め設定された目標プレ燃焼高さ関連量上限(上記の例では約1.3(図18参照))以下となるように、少なくとも1つのパイロット噴射における、噴射時期及び噴射量の少なくとも一方を調整すればよい。この[プレ燃焼調整]の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、燃料噴射調整部51C(図1参照)に相当している。
なお本実施の形態の説明では、燃焼騒音を抑制するために時間差Δtとピーク高さ比Hp/Hmを調整し、スモーク発生量を抑制するためにプレ燃焼発生率面積Qpまたはプレ燃焼発生率高さHpreを調整したが、燃焼騒音の抑制については別の手法を用いてもよい。
本発明の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態の説明では、図2、図3、図8、図10において、横軸をクランク角度としてクランク角度差Δθを求める例を説明したが、横軸を時間として時間差Δtを求めるようにしてもよい。また、図4、図5、図6、図12、図13において、横軸を相殺中心周波数f(時間差関連量)とした例を説明したが、当該図の横軸を時間差Δt(f=1/(Δt*2))としてもよい。また図14、図16において、横軸をクランク角度とした例を説明したが、横軸を時間としてもよいし、縦軸を熱発生率としたが、縦軸を圧力発生率としてもよい。
また本実施の形態の説明では、プレ燃焼発生率面積関連量をQp/Qallとした例を説明したが、これに限定されるものではない。例えばQpや、Qp/Qv(Qv=総噴射量)をプレ燃焼発生率面積関連量としてもよい。同様に、本実施の形態の説明では、プレ燃焼発生率高さ関連量をHpre/Qvとした例を説明したが、これに限定されるものではない。例えばHpreや、Hpre/Qallをプレ燃焼発生率高さ関連量としてもよい。
また、本発明の圧縮自己着火式内燃機関の制御装置は、ディーゼルエンジンに限定されず、圧縮自己着火式のガソリンエンジンにも適用することが可能である。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(より小さい)(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。