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JP7700432B2 - 非水電解質蓄電素子及び蓄電装置 - Google Patents
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JP7700432B2 - 非水電解質蓄電素子及び蓄電装置 - Google Patents

非水電解質蓄電素子及び蓄電装置 Download PDF

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Description

本開示は、非水電解質蓄電素子及び蓄電装置に関する。
リチウムイオン非水電解質二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
非水電解質蓄電素子の電極は、充放電を繰り返すことにより膨張する。そのため、複数個の扁平形状の非水電解質蓄電素子を積層して蓄電装置を形成する場合、蓄電装置の寸法を維持するために、積層方向に非水電解質蓄電素子を圧迫した状態で組立てる方式が採用されている。上記非水電解質蓄電素子として、例えば、正極板及び負極板がセパレータを介して積層された構造を有する偏平形電極体と、非水電解液とを備えた偏平形非水電解質二次電池であって、上記偏平形非水電解質二次電池の偏平部が、外部より正極板、負極板及びセパレータの積層方向に圧力が加えられることで、上記電極体に8.83×10-2MPa以上の圧力が加わっている偏平形非水電解質二次電池が開示されている(特開2018-26352号公報参照)。
特開2018-26352号公報
近年、耐熱性等を付与する観点から、無機粒子層を有するセパレータが採用されており、正極活物質層とセパレータの無機粒子層とを対向させる場合がある。正極活物質層とセパレータの無機粒子層とが対向した非水電解質蓄電素子を備える蓄電装置において、非水電解質蓄電素子を圧迫した状態で充放電を繰り返すことにより正極が膨張すると、正極活物質と無機粒子との接触や摩擦が生じ、正極活物質の割れ等が発生する場合がある。このような正極活物質の割れは、非水電解質蓄電素子の低温での抵抗上昇につながるおそれがある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、圧迫された電極体を備える場合において、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる非水電解質蓄電素子及び充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる蓄電装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る非水電解質蓄電素子は、セパレータを介して負極及び正極が積層された電極体と、非水電解質と、上記電極体を収容する容器とを備え、上記容器が上記電極体の厚さ方向に圧迫されており、上記セパレータが無機粒子層を有し、上記正極が正極活物質を含む正極活物質層を有し、上記正極活物質層が上記無機粒子層に積層されており、上記正極活物質が遷移金属酸化物を含み、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面において、全元素に対する上記正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満である。
本発明の一態様に係る非水電解質蓄電素子によれば、圧迫された電極体を備える場合において、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す外観斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置をさらに複数個集合して構成したバッテリーパックの一実施形態を示す概略図である。 図3は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
初めに、本明細書によって開示される非水電解質蓄電素子及び蓄電装置の概要について説明する。
本発明の一態様に係る非水電解質蓄電素子は、セパレータを介して負極及び正極が積層された電極体と、非水電解質と、上記電極体を収容する容器とを備え、上記容器が上記電極体の厚さ方向に圧迫されており、上記セパレータが無機粒子層を有し、上記正極が正極活物質を含む正極活物質層を有し、上記正極活物質層が上記無機粒子層に積層されており、上記正極活物質が遷移金属酸化物を含み、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面において、全元素に対する上記正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満である。
上述したように、非水電解質蓄電素子の容器が圧迫されている状態において、正極活物質とセパレータの無機粒子層とを対向させると、両者が密に接触する。この状態で電極が膨張すると、正極活物質の割れ等の破損が生じ、非水電解質蓄電素子の抵抗上昇につながるおそれがある。これは、正極活物質が割れることで新生面が生じ、この新生面と非水電解質とが反応することによって正極活物質の表面に形成される被膜の量が増加するために、非水電解質蓄電素子の抵抗が増加すると推測される。
当該非水電解質蓄電素子によれば、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面において、全元素に対する上記正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満であることで、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における正極活物質の露出を効果的に抑制できる。その結果、正極活物質と無機粒子との接触や摩擦による破損を抑制できる。従って、当該非水電解質蓄電素子によれば、圧迫された電極体を備える場合において、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる。
上記正極活物質層が炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを含有し、上記正極活物質層における炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせの含有量が7質量%以上21質量%以下であることが好ましい。上記正極活物質層が、正極活物質及び無機粒子よりも柔らかい炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを含有し、これらの含有量が7質量%以上21質量%以下であることで、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における正極活物質の露出をより効果的に抑制できる。これにより、正極活物質と無機粒子との接触や摩擦による破損に対する抑制効果を高めることができる。
上記正極が正極活物質層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を有し、上記被覆層が上記正極活物質層と上記無機粒子層との間に介在しており、上記被覆層が炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを主成分とすることが好ましい。当該非水電解質蓄電素子においては、上記正極が正極活物質層と無機粒子層との間に介在する被覆層を有し、上記被覆層が正極活物質及び無機粒子よりも柔らかい炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを主成分とすることで、上記正極活物質層の無機粒子層との積層面における正極活物質の露出をより効果的に抑制できる。これにより、正極活物質と無機粒子との接触や摩擦による破損に対する抑制効果を高めることができる。ここで、「主成分」とは、構成する物質のうち最も含有率が高いものをいい、好ましくは含有率が30質量%以上であるものをいう。
上記圧迫による上記電極体にかかる圧力としては、0.4MPa以上であることが好ましい。上記圧力が0.4MPa以上であることで、正負極間の距離が均一となるため、充放電時の反応が不均一になることによって活物質が局所的に劣化することを抑制できる。
本発明の他の一態様に係る蓄電装置は、当該1又は複数の非水電解質蓄電素子と、圧迫部材とを備え、上記圧迫部材が、上記容器を圧迫することにより上記非水電解質蓄電素子の電極体を圧迫している。
当該蓄電装置によれば、上記圧迫部材によって電極体が圧迫された状態で当該非水電解質蓄電素子を備えているため、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の構成、蓄電装置の構成、非水電解質蓄電素子の製造方法、及び蓄電装置の製造方法並びにその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<非水電解質蓄電素子の構成>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、セパレータを介して負極及び正極が積層された電極体と、非水電解質と、上記電極体を収容する容器とを備える。電極体は、通常、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型、又は、正極及び負極がセパレータを介して積層された状態で巻回された巻回型である。上記非水電解質は、正極、負極及びセパレータに含浸された状態で存在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されないが、例えば、角型電池が好ましい。図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納されている。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
本実施形態の非水電解質蓄電素子1は、非水電解質蓄電素子1が使用される状況において容器3が電極体2の厚さ方向に圧迫されている。ここで、厚さ方向とは、正極、セパレータ及び負極が積層された方向を指す。すなわち、本実施形態の非水電解質蓄電素子1は、電極体2が圧迫された状態で使用される。例えば、後述するように容器3を圧迫部材6(図3参照)で圧迫することで、電極体2が厚さ方向に圧迫された状態にすることができる。容器3内の気体を吸引すること等により減圧(負圧)にすることで、電極体2が厚さ方向に圧迫された状態にしてもよい。電極体2に加えて、容器3にスペーサー(図示せず)を挿入することにより、電極体2が圧迫された状態としてもよい。一般に、電極体2は、非水電解質を含浸することにより、あるいは充放電することにより、製造直後よりも厚さが増大する。したがって、剛性の高い容器3を用いる場合、容器3の内寸と略同じ厚さの電極体2を容器3に収容し、非水電解質を注入して充放電を行うことにより、容器3によって電極体2が圧迫された状態とすることができる。
電極体2が圧迫された状態においては、電極体2にかかる圧力を0.4MPa以上とすることが好ましく、0.4MPa以上4MPa以下とすることがより好ましく、0.4MPa以上2MPa以下とすることがさらに好ましい。上記圧力を上記下限以上とすることで、充放電サイクルに伴う正極の膨張を抑制し、正極活物質の割れをより確実に抑制することができる。一方、上記圧力を上記上限以下とすることで、過度に電極体を圧迫することに起因する耐久性の低下を抑制することができる。電極体2にかかる圧力は、ひずみゲージ式ロードセルによって測定される値を意味する。
以下、当該非水電解質蓄電素子を構成する各部材について詳述する。
[セパレータ]
セパレータは無機粒子層を有する。セパレータは無機粒子層のみから構成されてもよいし、無機粒子層と基材層を有してもよい。セパレータが基材層を有する場合、無機粒子層は基材層の一方の面のみに形成されてもよいし、両方の面に形成されてもよい。無機粒子層が基材層の一方の面のみに形成される場合、無機粒子層と正極活物質層とが対向するように配置する。セパレータが無機粒子層を備えることで、高温で充放電サイクルしたときの非水電解質の分解を抑制することができる。上記無機粒子層は無機粒子を含み、必要に応じて、バインダ、樹脂基材等を含む。
無機粒子層は、基材層等の表面に無機粒子とバインダとを含むペーストを塗布することにより設けられてもよいし、熱可塑性樹脂からなる樹脂基材中に無機粒子を分散させることにより形成されてもよい。
無機粒子層に含まれる無機粒子としては、無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。無機粒子としては、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下である無機化合物が好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下である無機化合物がさらに好ましい。これらの無機化合物の中でも、非水電解質蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
無機粒子層に用いられるバインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
無機粒子層に用いられる樹脂基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
セパレータの無機粒子層の空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータの基材層の形態としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
セパレータの基材層の空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。
セパレータの基材層として、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
[正極]
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。正極はさらに正極活物質層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を有し、正極活物質層は、電極体の厚み方向において一方の表面が正極基材と接し、他方の表面が被覆層と接していてもよい。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。上記正極活物質層は、上記セパレータの無機粒子層に対向するように積層されている。
正極活物質層の無機粒子層との積層面において、全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率の上限としては、38原子%であり、35原子%が好ましく、30原子%がより好ましい。これにより、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における正極活物質の露出を効果的に抑制できる。その結果、正極活物質と無機粒子との接触や摩擦による破損を抑制できる。従って、圧迫された電極体を備える場合において、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる。
上記全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率は、以下の方法により算出する。走査型電子顕微鏡-エネルギー分散形X線分析装置(SEM-EDS)を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によって正極活物質を構成する元素(ただし、リチウム及び酸素を除く)、炭素、及びフッ素の各元素の元素比率を測定する。正極活物質を構成する元素(ただし、リチウム及び酸素を除く)、炭素、及びフッ素の各元素の元素比率の和に対する正極活物質を構成する元素(ただし、リチウム及び酸素を除く)の元素比率の和を、上記全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率とする。分析条件は下記の通りである。
撮影倍率:1000倍
EDS加速電圧:15kV
マッピング対象元素:C、F、正極活物質を構成する元素(ただし、リチウム及び酸素を除く)
解像度:128ピクセル
Pixel time:10ms
積算回数:1回
なお、正極活物質を構成する元素は、正極活物質中に1原子%以上含まれる元素であり、リチウム、酸素、炭素、及びフッ素を除くものとし、上記全元素には、正極活物質を構成する元素(ただし、リチウム及び酸素を除く)、炭素、及びフッ素以外の元素は含まないものとする。
したがって、例えば、正極活物質がLi[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]Oの組成式で表される場合、正極活物質を構成する元素の比率(原子%)は下記式により求めることができる。
元素の比率=((RNi+RMn+RCo)/(RNi+RMn+RCo+R+R))*100
上記式中、RNi、RMn、RCo、R及びRは、それぞれ元素マッピングから得られるニッケル、マンガン、コバルト、炭素及びフッ素の各元素の元素比率である。
上記正極活物質は、遷移金属酸化物を含む。遷移金属酸化物としては、遷移金属複合酸化物が好ましく、例えばα-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。これらの材料中の原子は、他の元素からなる原子で一部が置換されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上93質量%以下が好ましく、70質量%以上92質量%以下がより好ましく、80質量%以上91質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
上記正極活物質層は、炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを含有することが好ましい。上記正極活物質層が、正極活物質層の表面への正極活物質の露出を抑制する材料として、正極活物質及び無機粒子よりも柔らかい炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを含有することで、正極活物質と無機粒子との接触や摩擦による破損に対する抑制効果を高めることができる。なお、上記正極活物質層が炭素材料粒子を含有する場合、炭素材料粒子は導電剤としても機能する。また、下記に例示した樹脂粒子を含有する場合、樹脂粒子はバインダとして機能する。
上記炭素材料としては、例えば、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。黒鉛化炭素としては黒鉛(グラファイト)が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。炭素材料粒子の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。炭素材料としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び製造性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。また、上記樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
上記正極活物質層における炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせの含有量が7質量%以上21質量%以下であることが好ましい。上記含有量の下限としては、7質量%が好ましく、9質量%がより好ましい。一方、上記含有量の上限としては、21質量%が好ましく、17質量%がより好ましい。これらの含有量が上記範囲であることで、正極活物質層のエネルギー密度を維持しつつ、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における正極活物質の露出をより効果的に抑制し、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる。
正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、上記炭素材料として例示した構成から選択することができる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び製造性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量としては、5質量%以上15質量%以下が好ましく、7質量%以上12質量%以下がより好ましい。正極活物質層の表面への正極活物質の露出を抑制する材料として樹脂粒子を用いる場合、導電剤の含有量としては、2質量%以上15質量%以下が好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては特に限定されず、例えば、上記樹脂として例示した材料から選択することができる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
[負極]
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba、等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質は、箔状であってもよい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
[非水電解質]
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸基を有するリチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸基を有する塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又は充放電サイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質には、固体電解質を用いてもよく、非水電解液と固体電解質とを併用してもよい。
固体電解質としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム等のイオン伝導性を有し、常温(例えば15℃から25℃)において固体である任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び酸窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-P12等が挙げられる。
<蓄電装置>
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子1を集合して構成した蓄電装置として搭載することができる。この場合、蓄電装置に含まれる少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
本実施形態の蓄電装置は、上述した本実施形態の非水電解質蓄電素子と圧迫部材とを備え、上記圧迫部材は、上記容器を圧迫することにより上記電極体を圧迫している。図2に、電気的に接続された2以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電装置20をさらに集合したバッテリーパック30の一例を示す。バッテリーパック30は、2以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、2以上の蓄電装置20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電装置20又はバッテリーパック30は、1以上の非水電解質蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
図3では、蓄電装置20が図1に示すような角型電池である複数の非水電解質蓄電素子1を有する態様を示す。図3に示すように、蓄電装置20は、側面部同士が対向し、かつ互いに間隔を空けて並ぶよう配置された複数の非水電解質蓄電素子1と、圧迫部材6とを有する。
(圧迫部材)
図3に示すように、圧迫部材6は、複数の非水電解質蓄電素子1の配置方向における最も両外側に配置される2つの非水電解質蓄電素子1の外側面をそれぞれ圧迫する2つの(すなわち対をなす)圧迫部61と、複数の非水電解質蓄電素子1間に配置される1又は複数のスペーサ部62と、上記2つの圧迫部61の間に上記配置方向に沿って配置され、上記2つの圧迫部61を支持する2つの支持部63と、上記2つの圧迫部61と上記1以上の支持部63とを連結し、かつ複数の非水電解質蓄電素子1に対する上記2つの圧迫部61の圧迫力を調整することができるよう構成された複数の圧迫力調整部64とを有する。
[圧迫部]
2つの圧迫部61は、上記最も両外側の2つの非水電解質蓄電素子1の各外側面と接触し、これら非水電解質蓄電素子1を圧迫する。圧迫部61は、特に限定されず、このように非水電解質蓄電素子の側面と接触し、非水電解質蓄電素子1を圧迫することができるよう適宜設定される。圧迫部61としては、例えば金属製の板、樹脂製の板等が挙げられる。図3に示すように、圧迫部61の形状は、例えば矩形状とすることができる。図3に示す態様では、圧迫部61は、圧迫力調整部64がねじ込まれる1又は複数(図3では4)のネジ孔(図示せず)を有している。なお、図3では、2つの圧迫部61のうち一方(手前側)の圧迫部61に圧迫力調整部64がねじ込まれていることに加え、他方(奥側)の圧迫部61にも同様に圧迫力調整部64がねじ込まれている。
[支持部]
2つの支持部63は、2つの圧迫部61に連結されてこれら圧迫部61を支持する。支持部63は、特に限定されず、圧迫部61を支持することができるよう適宜設定することができる。支持部63としては、例えば金属製の板、樹脂製の板等が挙げられる。図3に示すように、支持部63の形状は、例えば矩形状とすることができる。支持部63は、例えば複数の非水電解質蓄電素子1における配置方向と垂直な側面と接触するよう配置することができる。支持部63は、圧迫力調整部64によって圧迫部61と連結される。支持部63の上記配置方向の長さは、圧迫部62からの圧迫力を所望の値に調整することができるような長さに適宜設定することができる。
支持部63の数量は、1以上であればよく、特に限定されない。図3に示すように、例えば支持部63の数量が2であり、この2つの支持部63をそれぞれ2つの圧迫部61と連結することができる。図3に示す態様では、支持部63は、上記配置方向における両端面に、圧迫力調整部64がねじ込まれる複数(図3では各端面に2ずつ)のねじ孔(図示せず)を有している。
[スペーサ部]
1又は複数のスペーサ部62は、複数の非水電解質蓄電素子1間にこれら複数の非水電解質蓄電素子1と接触するよう配置され、圧迫部61からの圧迫力を隣接する非水電解質蓄電素子1に伝える。スペーサ部62は、特に限定されず、上記圧迫力を隣接する非水電解質蓄電素子1に伝えることができるよう適宜設定される。スペーサ部62としては、例えば金属製の板、樹脂製の板等が挙げられる。図3に示すように、スペーサ部62の形状は、例えば矩形状とすることができる。図3に示すように、例えばスペーサ部62の非水電解質蓄電素子1と接触する側面の外周縁を、非水電解質蓄電素子1の側面の外周縁よりも小さく形成することができる。このように形成することにより、圧迫部61からの圧迫力を非水電解質蓄電素子1により効率的に伝えることができる。スペーサ部62の数量は、1以上であればよく、特に限定されない。例えばスペーサ部62の数量は、蓄電装置20が備える非水電解質蓄電素子1の数量に応じて適宜設定することができる。
[圧迫力調整部]
複数の圧迫力調整部64は、2つの圧迫部61を連結し、かつこれら圧迫部61による複数の非水電解質蓄電素子1に対する圧迫力を調整する。図3に示す態様では、圧迫力調整部64は、支持部63を介して2つの圧迫部61を連結する。圧迫力調整部64は、特に限定されず、このように2つの圧迫部61を連結し、かつこれら圧迫部61による圧迫力を調整することができるよう適宜設定することができる。
図3に示すように、例えば、圧迫力調整部64は、圧迫部61と支持部63とにねじ込まれるネジ部材によって形成されていてもよい。なお、上述の通り、図3では、2つの圧迫部61のうち一方(手前側)の圧迫部61に圧迫力調整部64がねじ込まれていることに加え、他方(奥側)の圧迫部61にも同様に圧迫力調整部64がねじ込まれている。この態様では、圧迫部61及び支持部63に対する圧迫力調整部64のねじ込み量を調整することで、圧迫部61による非水電解質蓄電素子1に対する圧迫力を調整することができる。例えば、2つの圧迫部61の間隔が小さくなる方向に圧迫力調整部64のねじ込み量を調整することで、これら圧迫部61による非水電解質蓄電素子1に対する圧迫力を大きくすることができる。一方、2つの圧迫部61の間隔が大きくなる方向に圧迫力調整部64のねじ込み量を調整することで、これら圧迫部61による非水電解質蓄電素子1に対する圧迫力を小さくすることができる。圧迫力調整部64の数量は、1以上であればよく、特に限定されない。図2に示すように、例えば圧迫力調整部64の数量を8(各圧迫部61に対して4ずつ)とすることができる。
このように、圧迫力調整部64がネジ部材によって形成されている場合には、ねじ込み量を調整するだけで圧迫力を調整することができるため、圧迫力の調整が容易となる。圧迫力は、上述したように、電極体2にかかる圧力が0.4MPa以上となるように設定することができる。
バッテリーパック30は、1又は複数の蓄電装置20を備えることができる。バッテリーパック30が1の蓄電装置20を備える場合、この蓄電装置20がバッテリーパック30に相当し得る。バッテリーパック30が図2に示すように複数の蓄電装置20を備える場合、この複数の蓄電装置20は連結部材(図示せず)によって連結されることができる。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、上述した本実施形態の非水電解質蓄電素子を製造する方法であって、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと、上記電極体を圧迫することとを備える。すなわち、当該製造方法は、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと、容器に電極体及び非水電解質が収容された状態で上記容器を圧迫することとを備える。
電極体を準備することは、正極活物質層を含む正極及び負極を準備することと、正極及び負極を、無機粒子層を有するセパレータを介して巻回又は積層することにより電極体を形成することとを備える。基材層の一方の表面のみに無機粒子層を有するセパレータを用いる場合は、無機粒子層が正極活物質層と対向するように正極、セパレータ及び負極を配置する。
正極の作製は、例えば正極基材に直接又は中間層を介して、正極合剤ペーストを塗布し、乾燥させることにより行うことができる。正極合剤ペーストには、正極活物質粒子及び任意成分である導電剤、バインダ等、正極活物質層を構成する各成分が含まれる。正極合剤ペーストは、炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを含有することが好ましい。正極合剤ペーストには、通常さらに分散媒が含まれる。分散媒としては、N-メチルピロリドン(NMP)、トルエン等が挙げられる。
上記正極活物質層が、正極活物質に加えて炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせをさらに含む場合、正極活物質の露出をより抑制できる観点から、上記正極合剤ペースト中の正極活物質の沈降が生じやすいように、低粘度の正極合剤ペーストを塗布することが好ましい。上記正極合剤ペーストの粘度を低くする手段としては、例えば正極合剤ペーストの固形分濃度を下げることや、正極合剤ペーストに分散剤を加えることが挙げられる。また、上記バインダの流動を生じさせるために、正極合剤ペーストを塗布した後に素早く乾燥させることも好ましい。上記塗布後の正極合剤ペーストを素早く乾燥する手段としては、例えば乾燥炉の温度を高くすることや、乾燥炉内の風量を多くすることが挙げられる。
非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
電極体を圧迫することとしては、例えば上述のように、容器を圧迫部材によって圧迫することを採用できる。この場合、上述したように、電極体にかかる圧力が0.4MPa以上であるように容器を圧迫部材によって圧迫することができる。または上述したように、剛性の高い容器及び充放電後に容器の内寸より厚さが大きくなる電極体を用い、非水電解質の注入及び充放電を行うことにより、電極体を圧迫することもできる。
<蓄電装置の製造方法>
本実施形態の蓄電装置の製造方法は、上述した1又は複数の非水電解質蓄電素子を並べることと、並べた非水電解質蓄電素子を圧迫部材によって圧迫された状態とすることとを備える。例えば、図2及び図3に示す態様の蓄電装置を製造する場合には、当該蓄電装置の製造方法は、複数の非水電解質蓄電素子と、この複数の非水電解質蓄電素子1間にこれら複数の非水電解質蓄電素子1と接触するよう配置されるスペーサ部62とを並べることと、複数の非水電解質蓄電素子1の配置方向における両外側に位置する2つの非水電解質蓄電素子1の各外側面に2つの圧迫部61をそれぞれ接触させることと、この2つの圧迫部61の間に2つの支持部63を配置することと、各圧迫部61と各支持部63とを複数の圧迫力調整部64で連結することとを備えることができる。当該製造方法は、複数の非水電解質蓄電素子1を圧迫部材6によって圧迫された状態とすることで蓄電装置20を作製することと、作製した複数の蓄電装置20を連結することとを備えていてもよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、正極活物質層が炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを含有することで、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における正極活物質の露出を抑制していたが、上記正極が上記正極活物質層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を有し、上記被覆層が上記正極活物質層と上記無機粒子層との間に介在していてもよい。また、上記被覆層としては、炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを主成分とすることが好ましい。当該非水電解質蓄電素子においては、上記正極が正極活物質層と無機粒子層との間に介在する被覆層を有し、上記被覆層が正極活物質及び無機粒子よりも柔らかい炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを主成分とすることで、上記正極活物質層の無機粒子層との積層面における正極活物質の露出をより効果的に抑制できる。また、正極活物質と無機粒子との接触や摩擦による破損に対する抑制効果を高めることができる。
上記被覆層は、上記正極活物質層の表面の少なくとも一部を被覆していればよいが、正極活物質層の表面の62%以上を被覆していることが好ましく、70%以上を被覆していることがより好ましい。被覆層は、上記炭素材料粒子、上記樹脂粒子又はこれらの組み合わせを主成分とすることが好ましい。被覆層が含有する炭素材料粒子及び樹脂粒子の含有量の和は、被覆層全体に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。これにより、上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における正極活物質の割れ等をより効果的に抑制し、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大を抑制できる。被覆層が含有する炭素材料粒子及び樹脂粒子の含有量の和は、正極活物質層及び被覆層に対して7質量%以上21質量%以下が好ましく、9質量%以上17質量%以下がより好ましい。これにより、正極のエネルギー密度を維持しつつ、正極活物質層の無機粒子層との積層面における正極活物質の露出をより効果的に抑制し、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大をより抑制することができる。
被覆層の厚さは、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上5μm以下がより好ましい。これにより、正極のエネルギー密度を維持しつつ、正極活物質層の無機粒子層との積層面における正極活物質の露出をより効果的に抑制し、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の増大をより抑制することができる。
被覆層は、例えば、炭素材料粒子、樹脂粒子及び分散媒を含む被覆層形成用ペーストを、正極活物質層の表面に塗布することにより設けられる。被覆層は、正極活物質層の表面に炭素材料粒子及び樹脂粒子を含有する塗工用粉末を塗工し、樹脂粒子の融点以上で加熱することにより形成してもよい。
上記正極が上記正極活物質層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を有し、上記被覆層が炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを主成分とすることにより、正極活物質層の上記無機粒子層との積層面において、全元素に対する上記正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満とすることができる。このとき、正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上12質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
上記実施形態の非水電解質蓄電素子及び蓄電装置では、複数の非水電解質蓄電素子が圧迫部材によって圧迫された状態とする態様について説明したが、その他、1の非水電解質蓄電素子が圧迫部材によって圧迫された状態とする態様を採用することもできる。
上記実施形態の蓄電装置では、圧迫部材が複数の支持部を有する態様について説明したが、その他、例えば圧迫部材が1の支持部を有する態様も採用することができる。この場合、例えば支持部を、複数の非水電解質蓄電素子の各底面と、この複数の非水電解質蓄電素子における上記配置方向に垂直な方向の両外側の各側面とに接触し、かつ上方が開放しているように屈曲している(すなわち、配置方向に視た断面形状がU字状である)1の屈曲した板によって形成することができる。
上記実施形態の蓄電装置では、圧迫力調整部がネジ部材によって形成された態様について説明したが、その他、圧迫力調整部として、2つの圧迫部の間隔を調整することができるよう2つの圧迫部と1又は複数の支持部とを連結するネジ部材以外の連結部材を採用することもできる。
上記実施形態の蓄電装置では、圧迫部材がスペーサ部及び支持部を有する態様について説明したが、その他、圧迫部材がスペーサ部及び支持部を備えない態様を採用することもできる。この場合、例えば1又は複数の圧迫力調整部によって2つの圧迫部を直接連結することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1から実施例3、実施例5及び比較例1から比較例5]
(正極板の作製)
正極活物質として、固形物換算で、カーボンブラック及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)の含有量を表1に記載の通りとし、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM111)からなる正極活物質の含有量を残部とし、NMPを分散媒とする正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストを正極活物質の片面の塗布量が0.96g/100cmとなるように、正極基材としてのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥及びプレスすることで、正極活物質層を形成し、正極を得た。
(負極板の作製)
負極活物質として、黒鉛を用いた。質量比で、負極活物質:SBR:CMC=98:1:1の割合(固形分換算)で含み、水を分散媒とする負極合剤ペーストを作製した。この負極合剤ペーストを負極活物質の片面の塗布量が0.58g/100cmとなるように、負極基材としての銅箔の両面に塗布し、乾燥及びプレスすることで、負極を得た。
(非水電解質の調製)
EC:EMC:DMCを30:35:35の体積比で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPFを1.2mol/dmの濃度で溶解させ、非水電解質を得た。
(非水電解質蓄電素子の作製)
セパレータとして、ポリオレフィン製微多孔膜からなる基材層の片面にアルミナを含む無機粒子層が形成されたものを用いた。このセパレータを介して、無機粒子層と正極が対向するように上記正極と上記負極とを積層し、巻回することにより巻回型の電極体を作製した。この電極体を、アルミニウム製の角型容器に収納し、内部に上記非水電解質を注入した後、封口した。
この封口の後、充放電を1回行い、その後、圧迫部材により容器の両側面部が圧迫された状態とすることで、実施例1の非水電解質蓄電素子を得た。このとき、電極体にかかる圧力が0.4MPaとなるように圧迫部材で容器を圧迫した。この非水電解質蓄電素子では、容器が圧迫された状態となることにより、容器内の電極体が圧迫された状態となった。充放電の条件は以下の通りとした。25℃環境下、0.2Cの電流値で4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vで定電圧充電した。充電の終了条件は充電電流が0.01Cとなるまでとした。10分間の休止を設けた後、0.2Cの電流値で、2.5Vまで定電流放電した。電極体にかかる圧力は、ひずみゲージ式ロードセルによって測定した。
圧迫部材として、容器の両側面に接触するよう互いに平行に配置される2枚の金属製の板状の圧迫部と、2枚の圧迫部にねじ込まれることでこれらの圧迫部を連結すると共にこれらの間隔(すなわち圧迫力)を調整することができる圧迫力調整部1つを備えるものを用いた。この圧迫力調整部により、1つの非水電解質蓄電素子が圧迫された状態とした。上記圧力の調整は、圧迫力調整部のねじ込み量を調整することで行った。
[実施例4及び実施例6]
固形分換算で、カーボンブラックとPVDFを4.5:2の質量比で含み、NMPを分散媒とするカーボンペーストを作製した。このカーボンペーストを正極活物質層の表面に片面の塗布量が0.02g/100cmとなるように塗布して被覆層を形成すること以外は、実施例2と同様の手順で実施例4の非水電解質蓄電素子を作製した。上記カーボンペーストを正極活物質層の表面に片面の塗布量が0.02g/100cmとなるように塗布して被覆層を形成すること以外は、比較例1と同様の手順で実施例6の非水電解質蓄電素子を作製した。
[比較例3]
無機粒子層と負極が対向するように、セパレータを介して上記正極と上記負極とを積層した以外は、実施例1と同様の手順で比較例3の非水電解質蓄電素子を作製した。
[比較例4]
無機粒子層を有さないセパレータを介して上記正極と上記負極とを積層した以外は、実施例1と同様の手順で比較例4の非水電解質蓄電素子を作製した。
[比較例5]
圧迫部材による圧迫を行わないこと以外は、実施例1と同様の手順で比較例5の非水電解質蓄電素子を作製した。
(全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率)
全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率(原子%)については、上述の方法により算出した。走査型電子顕微鏡-エネルギー分散形X線分析装置としては、Phenom-World社製「Phenom ProX」を用いた。
(充放電サイクル試験)
各非水電解質蓄電素子を、45℃の恒温槽内に3時間保管した後、それぞれ1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.01Cとなるまでとした。の後、1Cの電流値で2.5Vまで定電流放電を行い、10分間の休止を設けた。これら充電及び放電の工程を1サイクルとして、このサイクルを300サイクル繰り返した。充電、放電及び休止ともに、45℃の恒温槽内で行った。
(充放電サイクル試験後の低温直流抵抗(DCR)上昇率)
上記充放電サイクル試験後の非水電解質蓄電素子の低温直流抵抗(DCR)上昇率を評価した。充放電サイクル試験前及び300サイクルの充放電サイクル試験後の各非水電解質蓄電素子について、25℃の恒温槽内で、0.1Cの電流値で定電流充電し、SOC(State of Charge)を50%にした。各非水電解質蓄電素子を-10℃の恒温槽内に4時間保管した後、各々0.2C、0.5C、1Cの電流値で30秒間放電させ、放電開始10秒後の電圧を縦軸に、放電電流値を横軸にプロットし、直線の勾配に相当する値であるDCR値を求めた。次式により求めた低温DCR上昇率について、実施例1の値を100とした相対値を表1に示した。
低温DCR上昇率=(充放電サイクル試験後の低温DCR/充放電サイクル試験前の低温DCR)×100
評価結果を下記表1に示す。
Figure 0007700432000001
表1に示すように、電極体が圧迫された状態において、正極活物質層が無機粒子層に積層されており、正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満である実施例1から実施例6は、正極活物質の露出を抑制する材料の存在状態にかかわらず、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の上昇が抑制されていた。
一方、正極活物質層の上記無機粒子層との積層面における全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率が38原子%以上である比較例1及び比較例2、並びに負極活物質層が無機粒子層の表面に積層されている比較例3においては、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の上昇率が実施例と比較して高い値となった。
無機粒子層を有さないセパレータを備える比較例4は、充放電サイクル時に電解液の分解が抑制できなかったため、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の上昇率が非常に高い値となったと推測される。また、圧迫されていない比較例5においても、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の上昇率が高い値となった。これは、充放電によって非水電解質が分解し発生したガスが正負極間に存在することにより、低温での抵抗が上昇したと考えられる。これに対し、実施例1から実施例6においては、電極体が圧迫されていることにより、発生したガスを電極体内部から排出できた結果、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の上昇が抑制されたと考えられる。
以上の結果、当該非水電解質蓄電素子は、圧迫された電極体を備え、正極活物質層がセパレータの無機粒子層に積層され、正極活物質層の無機粒子層との積層面において全元素に対する正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満であることにより、充放電サイクルに伴う低温での抵抗の上昇を抑制できることが示された。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
6 圧迫部材
61 圧迫部
62 スペーサ部
63 支持部
64 圧迫力調整部
20 蓄電装置
30 バッテリーパック

Claims (5)

  1. セパレータを介して負極及び正極が積層された電極体と、
    非水電解質と、
    上記電極体を収容する容器と
    を備え、
    上記容器が上記電極体の厚さ方向に圧迫されており、
    上記セパレータが無機粒子層を有し、
    上記無機粒子層が無機粒子と、フッ素樹脂、エストラマー及び多糖類高分子からなる群
    から選択される少なくとも1種のバインダ、又は熱可塑性樹脂と、を含み、
    上記正極が正極活物質を含む正極活物質層を有し、
    上記正極活物質層が上記無機粒子層に積層されており、
    上記正極活物質が遷移金属酸化物を含み、
    上記正極活物質層の上記無機粒子層との積層面において、上記正極活物質層の上記積層
    面における全元素に対する上記正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満であり

    上記正極活物質層の上記積層面において、上記正極活物質の表面の少なくとも一部が露
    出しており、
    上記正極活物質層が炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせをさらに含有し、上記炭素材料粒子、上記樹脂粒子又はこれらの組み合わせが上記正極活物質層中に均一に存在する非水電解質蓄電素子。
  2. 上記正極活物質層における上記炭素材料粒子、上記樹脂粒子又はこれらの組み合わせの含有量が
    7質量%以上21質量%以下である請求項1に記載の非水電解質蓄電素子。
  3. セパレータを介して負極及び正極が積層された電極体と、
    非水電解質と、
    上記電極体を収容する容器と
    を備え、
    上記容器が上記電極体の厚さ方向に圧迫されており、
    上記セパレータが無機粒子層を有し、
    上記正極が正極活物質を含む正極活物質層を有し、
    上記正極活物質層が上記無機粒子層に積層されており、
    上記正極活物質が遷移金属酸化物を含み、
    上記正極が、上記正極活物質層の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を有し、
    上記被覆層が上記正極活物質層と上記無機粒子層との間に介在しており、
    上記被覆層が炭素材料粒子、樹脂粒子又はこれらの組み合わせを主成分とし、
    上記正極活物質層と上記被覆層との組み合わせ又は上記表面を全て被覆する上記被覆層
    によって形成される層の、上記無機粒子層との積層面において、上記層の積層面における
    全元素に対する上記正極活物質を構成する元素の比率が38原子%未満である非水電解質
    蓄電素子。
  4. 上記圧迫により上記電極体にかかる圧力が0.4MPa以上である請求項1、請求項2
    又は請求項3に記載の非水電解質蓄電素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の1又は複数の非水電解質蓄電素子と、
    圧迫部材とを備え、
    上記圧迫部材が、上記容器を圧迫することにより上記非水電解質蓄電素子の電極体を圧
    迫している蓄電装置。
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