図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
[第1実施形態]
(移動通信システムの構成)
図1は、第1実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。移動通信システム1は、3GPP規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。また、移動通信システムには第6世代(6G)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
移動通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。以下において、NG-RAN10を単にRAN10と呼ぶことがある。また、5GC20を単にコアネットワーク(CN)20と呼ぶことがある。
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わない。例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数(以下、単に「周波数」と呼ぶ)に属する。
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続することもできる。LTEの基地局が5GCに接続することもできる。LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されることもできる。
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100のモビリティを管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
図2は、第1実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。受信部110及び送信部120は、gNB200との無線通信を行う無線通信部を構成する。
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
制御部130は、UE100における各種の制御及び処理を行う。このような処理は、後述の各レイヤの処理を含む。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
図3は、第1実施形態に係るgNB200(基地局)の構成を示す図である。gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。送信部210及び受信部220は、UE100との無線通信を行う無線通信部を構成する。バックホール通信部240は、CN20との通信を行うネットワーク通信部を構成する。
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
制御部230は、gNB200における各種の制御及び処理を行う。このような処理は、後述の各レイヤの処理を含む。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNB200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がフロントホールインターフェイスであるF1インターフェイスで接続されてもよい。
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。なお、UE100のPHYレイヤは、gNB200から物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される下りリンク制御情報(DCI)を受信する。具体的には、UE100は、無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてPDCCHのブラインド復号を行い、復号に成功したDCIを自UE宛てのDCIとして取得する。gNB200から送信されるDCIには、RNTIによってスクランブルされたCRCパリティビットが付加されている。
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化等を行う。
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS(Quality of Service)制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間にコネクション(RRCコネクション)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間にコネクション(RRCコネクション)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間のコネクションがサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300AのNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。また、NASレイヤよりも下位のレイヤをASレイヤと呼ぶ。
(MBSの概要)
第1実施形態に係るMBSの概要について説明する。MBSは、NG-RAN10からUE100に対してブロードキャスト又はマルチキャスト、すなわち、1対多(PTM:Point To Multipoint)でのデータ送信を可能とするサービスである。MBSのユースケース(サービスタイプ)としては、公安通信、ミッションクリティカル通信、V2X(Vehicle to Everything)通信、IPv4又はIPv6マルチキャスト配信、IPTV(Internet protocol television)、グループ通信、及びソフトウェア配信等が想定される。
ブロードキャストサービスは、高信頼性のQoSを必要としないアプリケーションのために、特定のサービスエリア内のすべてのUE100に対してサービスを提供する。ブロードキャストサービスに用いるMBSセッションをブロードキャストセッションと呼ぶ。
マルチキャストサービスは、すべてのUE100に対してではなく、マルチキャストサービス(マルチキャストセッション)に参加しているUE100のグループに対してサービスを提供する。マルチキャストサービスに用いるMBSセッションをマルチキャストセッションと呼ぶ。マルチキャストサービスによれば、ブロードキャストサービスに比べて、無線効率の高い方法でUE100のグループに対して同じコンテンツを提供できる。
図6は、第1実施形態に係るMBSトラフィック配信の概要を示す図である。
MBSトラフィック(MBSデータ)は、単一のデータソース(アプリケーションサービスプロバイダ)から複数のUEに配信される。5Gコアネットワークである5G CN(5GC)20は、アプリケーションサービスプロバイダからMBSデータを受信し、MBSデータのコピーの作成(Replication)を行って配信する。
5GC20の観点からは、5GC共有MBSトラフィック配信(5GC Shared MBS Traffic delivery)及び5GC個別MBSトラフィック配信(5GC Individual MBS Traffic delivery)の2つのマルチキャスト配信方法が可能である。
5GC個別MBSトラフィック配信方法では、5GC20は、MBSデータパケットの単一コピーを受信し、UE100ごとのPDUセッションを介してそれらのMBSデータパケットの個別のコピーを個別のUE100に配信する。したがって、UE100ごとに1つのPDUセッションをマルチキャストセッションと関連付ける必要がある。
5GC共有MBSトラフィック配信方法では、5GC20は、MBSデータパケットの単一コピーを受信し、それらのMBSパケットの単一コピーをRANノード(すなわち、gNB200)に配信する。gNB200は、MBSトンネル接続を介してMBSデータパケットを受信し、それらを1つ又は複数のUE100に配信する。
RAN(5G RAN)10の観点からは、5GC共有MBSトラフィック配信方法における無線を介したMBSデータの送信には、PTP(Point-to-Point)及びPTM(Point-to-Multipoint)の2つの配信方法が可能である。PTPはユニキャストを意味し、PTMはマルチキャスト及びブロードキャストを意味する。
PTP配信方法では、gNB200は、MBSデータパケットの個別のコピーを無線で個々のUE100に配信する。他方、PTM配信方法では、gNB200は、MBSデータパケットの単一コピーを無線でUE100のグループに配信する。gNB200は、1つのUE100に対するMBSデータの配信方法としてPTM及びPTPのどちらを用いるかを動的に決定できる。
PTP配信方法及びPTM配信方法は主としてユーザプレーンに関するものである。MBSデータ配信の制御モードとしては、第1配信モード及び第2配信モードの2つの配信モードがある。
図7は、第1実施形態に係る配信モードを示す図である。
第1配信モード(Delivery mode 1:DM1)は、RRCコネクティッド状態のUE100が利用できる配信モードであって、高QoS要件のための配信モードである。第1配信モードは、MBSセッションのうちマルチキャストセッションに用いられる。但し、第1配信モードがブロードキャストセッションに用いられてもよい。第1配信モードは、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態のUE100も利用可能であってもよい。
第1配信モードにおけるMBS受信の設定は、UE固有(UE-dedicated)シグナリングにより行われる。例えば、第1配信モードにおけるMBS受信の設定は、gNB200からUE100にユニキャストで送信されるRRCメッセージであるRRC Reconfigurationメッセージ(又はRRC Releaseメッセージ)により行われる。
MBS受信の設定は、MBSデータを伝送するMBSトラフィックチャネルの設定に関するMBSトラフィックチャネル設定情報(以下、「MTCH設定情報」と呼ぶ)を含む。MTCH設定情報は、MBSセッションに関するMBSセッション情報(後述のMBSセッション識別子を含む)と、このMBSセッションに対応するMBSトラフィックチャネルのスケジューリング情報とを含む。MBSトラフィックチャネルのスケジューリング情報は、MBSトラフィックチャネルの間欠受信(DRX)設定を含んでもよい。間欠受信設定は、オン期間(On Duration:受信期間)を定義するタイマ値(On Duration Timer)、オン期間を延長するタイマ値(Inactivity Timer)、スケジューリング間隔もしくはDRXサイクル(Scheduling Period、DRX Cycle)、スケジューリングもしくはDRXサイクルの開始サブフレームのオフセット値(Start Offset、DRX Cycle Offset)、オン期間タイマの開始遅延スロット値(Slot Offset)、再送時までの最大時間を定義するタイマ値(Retransmission Timer)、HARQ再送のDL割り当てまでの最小間隔を定義するタイマ値(HARQ RTT Timer)のいずれか一つ以上のパラメータを含んでもよい。
なお、MBSトラフィックチャネルは論理チャネルの一種であって、MTCHと呼ばれることがある。MBSトラフィックチャネルは、トランスポートチャネルの一種である下りリンク共有チャネル(DL-SCH:Down Link―Shared CHannel)にマッピングされる。
第2配信モード(Delivery mode 2:DM2)は、RRCコネクティッド状態のUE100だけではなく、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態のUE100が利用できる配信モードであって、低QoS要件のための配信モードである。第2配信モードは、MBSセッションのうちブロードキャストセッションに用いられる。但し、第2配信モードは、マルチキャストセッションにも適用可能であってもよい。
第2配信モードにおけるMBS受信の設定は、ブロードキャストシグナリングにより行われる。例えば、第2配信モードにおけるMBS受信の設定は、gNB200からUE100にブロードキャストで送信される論理チャネル、例えば、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)及び/又はマルチキャスト制御チャネル(MCCH)により行われる。UE100は、例えば、技術仕様で予め規定された専用のRNTIを用いてBCCH及びMCCHを受信できる。BCCH受信用のRNTIがSI-RNTIであって、MCCH受信用のRNTIがMCCH-RNTIであってもよい。
第2配信モードにおいて、UE100は、次の3つの手順でMBSデータを受信してもよい。第1に、UE100は、gNB200からBCCH上で伝送されるSIB(MBS SIB)によりMCCH設定情報を受信する。第2に、UE100は、MCCH設定情報に基づいてgNB200からMCCHを受信する。MCCHは、MTCH設定情報を伝送する。第3に、UE100は、MTCH設定情報に基づいて、MTCH(MBSデータ)を受信する。以下において、MTCH設定情報及び/又はMCCH設定情報をMBS受信設定と呼ぶことがある。
第1配信モード及び第2配信モードにおいて、UE100は、gNB200から割り当てられるグループRNTI(G-RNTI)を用いてMTCHを受信してもよい。G-RNTIは、MTCH受信用RNTIに相当する。G-RNTIは、MBS受信設定(MTCH設定情報)に含まれていてもよい。
なお、ネットワークは、MBSセッションごとに異なるMBSサービスを提供できる。MBSセッションは、TMGI(Temporary Mobile Group Identity)、ソーススペシフィックIPマルチキャストアドレス(アプリケーション機能やアプリケーションサーバ等のソースユニキャストIPアドレスと、宛先アドレスを示すIPマルチキャストアドレスとから成る)、セッション識別子、及びG-RNTIのうち少なくとも1つにより識別される。TMGI、ソーススペシフィックIPマルチキャストアドレス、及びセッション識別子の少なくとも1つをMBSセッション識別子と呼ぶ。TMGI、ソーススペシフィックIPマルチキャストアドレス、セッション識別子、及びG-RNTIを総括してMBSセッション情報と呼ぶ。
図8は、第1実施形態に係るUE100のMBS受信に関する内部処理の一例を示す図である。図9は、第1実施形態に係るUE100のMBS受信に関する内部処理の他の例を示す図である。
1つのMBS無線ベアラ(MRB)は、マルチキャストセッション又はブロードキャストセッションを伝送する1つの無線ベアラである。すなわち、MRBにマルチキャストセッションが対応付けられる場合と、MRBにブロードキャストセッションが対応付けられる場合とがある。
MRB及び対応する論理チャネル(例えば、MTCH)は、RRCシグナリングによってgNB200からUE100に設定される。MRBの設定手順は、データ無線ベアラ(DRB)の設定手順と分離されていてもよい。RRCシグナリングでは、1つのMRBを、「PTMのみ(PTM only)」、「PTPのみ(PTP only)」、又は「PTM及びPTPの両方(both PTM and PTP)」で設定できる。このようなMRBのベアラタイプはRRCシグナリングにより変更できる。
図8において、MRB#1にはマルチキャストセッション及び専用トラフィックチャネル(DTCH)が対応付けられ、MRB#2にはマルチキャストセッション及びMTCH#1が対応付けられ、MRB#3にはブロードキャストセッション及びMTCH#2が対応付けられる一例を示している。すなわち、MRB#1はPTPのみ(PTP only)のMRBであり、MRB#2はPTMのみ(PTM only)のMRBであり、MRB#3はPTMのみ(PTM only)のMRBである。なお、DTCHは、セルRNTI(C-RNTI)を用いてスケジューリングされる。MTCHは、G-RNTIを用いてスケジューリングされる。
UE100のPHYレイヤは、物理チャネルの1つであるPDSCH上で受信したユーザデータ(受信データ)を処理し、トランスポートチャネルの1つである下りリンク共有チャネル(DL-SCH)に流す。UE100のMACレイヤ(MACエンティティ)は、DL-SCH上で受信したデータを処理し、受信データに含まれるヘッダ(MACヘッダ)に含まれる論理チャネル識別子(LCID)に基づいて、当該受信データを対応する論理チャネル(対応するRLCエンティティ)に流す。
図9において、マルチキャストセッションと対応付けられるMRBに、DTCH及びMTCHが対応付けられる一例を示している。具体的には、1つのMRBが2つのレグに分割(スプリット)され、一方のレグがDTCHと対応付けられ、他方のレグがMTCHと対応付けられている。当該2つのレグは、PDCPレイヤ(PDCPエンティティ)において結合される。すなわち、当該MRBは、PTM及びPTPの両方(both PTM and PTP)のMRBである。このようなMRBは、スプリットMRBと呼ばれることがある。
(PDCPレイヤの動作の概要)
図10は、第1実施形態に係る移動通信システム1におけるPDCPレイヤの動作を示す図である。
gNB200は、あるMBSセッションのMBSデータをPTM(マルチキャスト又はブロードキャスト)で複数のUE100(図10の例では、UE100a乃至UE100c)に送信する。各UE100のRRC状態はどのような状態(RRCコネクティッド状態、RRCアイドル状態、RRCインアクティブ状態)であってもよい。MBS配信のモードは、第1配信モード又は第2配信モードであってもよい。
gNB200は、PDCPレイヤにおいて、当該MBSセッションと対応付けられた送信側PDCPエンティティ201(具体的には、当該MBSセッションに属するマルチキャスト無線ベアラ(MRB)と対応付けられた送信側PDCPエンティティ)を有する。送信側PDCPエンティティ201は、MBSセッションの送信を開始すると、当該MBSセッションにおけるPDCPデータPDU(Protocol Data Unit)の送信に応じて更新されるPDCP状態変数を管理する。
各UE100は、PDCPレイヤにおいて、当該MBSセッションと対応付けられた受信側PDCPエンティティ101(具体的には、当該MBSセッションに属するMRBと対応付けられた受信側PDCPエンティティ)を有する。各受信側PDCPエンティティ101(図10の例では、受信側PDCPエンティティ101a乃至受信側PDCPエンティティ101c)は、MBSセッションの受信を開始すると、当該MBSセッションにおけるPDCPデータPDUの受信に応じて更新されるPDCP状態変数を管理する。
なお、gNB200は、RRCシグナリングを各UE100と送受信するRRCエンティティ202を有する。各UE100は、RRCシグナリングをgNB200と送受信するRRCエンティティ102(RRCエンティティ102a乃至RRCエンティティ102c)を有する。UE100のRRCエンティティ102は、gNB200のRRCエンティティ202から受信するRRCシグナリングに基づいて、UE100の受信側PDCPエンティティ101を制御する。
図11に示すように、PDCP状態変数は、PDCPシーケンス番号が一周する度にカウントアップされるハイパーフレーム番号(HFN)と、PDCPシーケンス番号(PDCP SN)と、からなるカウント値(COUNT値)であってもよい。例えば、COUNT値は32ビットのビット長を有し、PDCP SNは12ビット又は18ビットのビット長(SN_length)を有し、HFNはCOUNT値のビット長からPDCP SNのビット長を減じたビット長を有する。PDCP SNのビット長は、RRCシグナリングにより設定されてもよい。PDCP SNビット長は、デフォルト値(予め決められた固定値)であってもよい。なお、用語「PDCP状態変数」は、COUNT値を指す場合に限らず、PDCPレイヤで扱う各種の変数(HFN又はPDCP SN、或いはTX_NEXT、RX_NEXT、RX_DELIV及びRX_REORD等)を指す用語としても用いられる。
図12は、MBSデータを構成するPDCPデータPDUの一例を示す図である。図12に示すように、PDCPデータPDUは、PDCP SNと、データと、MAC-Iとを有する。PDCP SNは、PDCPデータPDUに順次付与されるシーケンス番号である。データは、PDCP SDU(Service Data Unit)に相当する。MAC-Iは、メッセージ認証コードに相当する。PDCPデータPDUは、MAC-Iを有していない場合がある。このように、PDCPデータPDUは、PDCP SNを有するものの、HFNを有していない。そのため、gNB200及びUE100のそれぞれは、PDCPデータPDUの送受信に応じてHFNを更新、具体的には、PDCPシーケンス番号が一周する度にカウントアップする必要がある。
図13は、UE100(受信側PDCPエンティティ101)において受信したPDCPデータPDUのCOUNT値であるRCVD_COUNTを特定する動作を示す図である。ここで、受信したPDCPデータPDUに含まれるPDCP SNをRCVD_SNと呼ぶ。
第1に、
RCVD_SN<SN(RX_DELIV)-Window_Size
である場合、
RCVD_HFN=HFN(RX_DELIV)+1
である。ここで、RX_DELIVは、受信待ちであって、未だ上位レイヤに提供していないPDCP SDUのうち最も古いものを表す変数である。RX_DELIVの初期値はゼロである。なお、PTM受信においては、RX_DELIVの初期値は、最初に受信したパケットのSNを用いてセットされてもよい。Window_Sizeは、リオーダリングウィンドウのサイズを示す定数である。
第2に、
RCVD_SN≧SN(RX_DELIV)+Window_Size
である場合、
RCVD_HFN=HFN(RX_DELIV)-1
である。
第3に、上記のいずれの条件も満たされない場合、
RCVD_HFN=HFN(RX_DELIV)
である。
そして、
RCVD_COUNT=[RCVD_HFN,RCVD_SN]
にセットされる。
(PDCPステータス報告の概要)
ここで、一般的なPDCPステータス報告について説明する。UE100は、PDCPレイヤにおけるデータ受信状況を示すPDCPステータス報告(Status Report)をgNB200に送信する。gNB200は、UE100からのPDCPステータス報告に基づいて、欠落したPDCPパケット(PDCP SDU)を特定し、特定したPDCPパケットをUE100に再送することができる。
図14は、PDCPステータス報告に関するUE100の受信側PDCPエンティティ101の動作を示す図である。なお、図14は、PDCPレイヤの3GPP技術仕様書「TS38.323」からの引用である。
UE100の受信側PDCPエンティティ101は、PDCPステータス報告を送信するように上位レイヤ(RRCレイヤ)により設定された確認モード(AM:Acknowledged Mode)のデータ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer)について、次のいずれかの条件が満たされた場合、PDCPステータス報告の送信をトリガする:
・上位レイヤがPDCPエンティティの再確立を要求した(upper layer requests a PDCP entity re-establishment);
・上位レイヤがPDCPデータリカバリを要求した(upper layer requests a PDCP data recovery);
・上位レイヤが上りリンクデータ切り替えを要求した(upper layer requests a uplink data switching);
・上位レイヤがDAPSを解放するようにPDCPエンティティを再設定した(upper layer reconfigures the PDCP entity to release DAPS)。
図15は、PDCPステータス報告に関するUE100のRRCエンティティ102の動作を示す図である。なお、図15は、RRCレイヤの3GPP技術仕様書「TS38.331」からの引用である。
UE100のRRCエンティティ102は、現在のUE設定の一部であるdrb-ToAddModListに含まれるDRB識別子(drb-Identity)ごとに、
・PDCP再確立(reestablishPDCP)がセットされている場合、そのDRBのPDCPエンティティを再確立する;
・PDCPリカバリ(recoverPDCP)がセットされている場合、そのDRBのPDCPエンティティがデータリカバリを行うことをトリガする。
このように、DRBについての既存の技術仕様の動作によれば、UE100は、gNB200からのRRCシグナリングによってPDCP再確立又はPDCPリカバリを指示されたことに応じて、PDCPステータス報告の送信をトリガする。なお、MRBについてPDCPステータス報告を適用するか否か、及び、MRBについてPDCPステータス報告を適用する場合にどのようにPDCPステータス報告をトリガするかは、既存の技術仕様では規定されていない。
図16は、PDCPステータス報告の構成例を示す図である。なお、PDCPステータス報告を構成するPDCP制御PDUの先頭に、当該PDUが制御PDUであることを示すD/Cフィールドと、当該PDUがPDCPステータス報告であることを示すPDUタイプフィールドとが設けられていてもよい。
図16に示す構成例1において、PDCPステータス報告は、FMC(First missing COUNT)及びビットマップの各フィールドを含む。FMCフィールドには、リオーダリングウィンドウ内で最初に欠落しているPDCP SDUのCOUNT値、すなわち、RX_DELIVがセットされる。ビットマップフィールドには、各PDCP PDUと対応付けられたビットがセットされ、正しく受信した場合は“1”がセットされ、欠落した場合は“0”がセットされる。
図16に示す構成例2において、PDCPステータス報告は、FMC及びLMC(Last missing COUNT)の各フィールドを含む。LMCフィールドには、欠落パケット群のうち最後のパケットのシーケンス番号(COUNT値)がセットされる。LMCフィールドには、最初に受信成功したパケットのCOUNT値(LMC+1、例えばFirst Successful COUNT: FSC)がセットされてもよい。上述の構成例1はビットマップフィールドのビット長が長くなり得る(例えば、200パケット分のビットマップは200ビットになる)が、ビットマップフィールドに代えてLMCフィールドを設けることにより、PDCPステータス報告のビット長を短縮できる。
(第1実施形態に係る動作)
上述のように、gNB200のRRCエンティティ202は、UE100のRRCエンティティ102に送信するRRCシグナリング、具体的には、RRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージによりMRBのベアラタイプを変更できる。ここで、UE100がRRC再設定メッセージを受信してからRRC再設定処理が完了するまでに処理遅延が生じる。この遅延時間の間はMBSデータの受信が不可になり、UE100においてMBSデータパケットの欠落、すなわち、パケットロスが生じるという問題がある。
上述のように、PDCPレイヤは、パケットロスを補償可能な仕組みとして、PDCPステータス報告を有する。具体的には、UE100は、PDCPレイヤにおけるデータ受信状況を示すPDCPステータス報告をgNB200に送信する。gNB200は、UE100からのPDCPステータス報告に基づいて、欠落したPDCPパケットを特定し、特定したPDCPパケットをUE100に再送することができる。
第1実施形態は、PDCPステータス報告の送信をUE100が自発的にトリガすることにより、MRBのベアラタイプ変更に起因するパケットロスをPDCPステータス報告により補償可能とする実施形態である。具体的には、PDCPステータス報告について、MBS受信に関する新たな送信トリガ条件を導入する。
図17は、第1実施形態に係るUE100の動作を示す図である。
ステップS1において、UE100は、MRBを介してgNB200からMBSデータを受信する。上述のように、MRBのベアラタイプには、「PTMのみ(PTM only)」、「PTPのみ(PTP only)」、又は「PTM及びPTPの両方(both PTM and PTP)」(すなわち、スプリットMRB)の3つのタイプがある。
ステップS2において、UE100は、当該MRBのベアラタイプ変更を指示するRRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージをgNB200から受信する。RRC再設定メッセージは、確立済みのMRBのベアラタイプ変更を行う設定を含む。例えば、RRC再設定メッセージは、当該MRBのベアラ識別子と、当該MRBの変更先のベアラタイプを示すベアラタイプ情報とを含んでもよい。
ステップS3において、UE100は、ステップS2で受信したRRC再設定メッセージにより指示されたベアラタイプ変更が所定のベアラタイプ変更であるか否かを判定する。
当該ベアラタイプ変更が所定のベアラタイプ変更である場合(ステップS3:YES)、ステップS4において、UE100は、当該MRBと対応付けられたPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)におけるデータ受信状況を示すPDCPステータス報告の送信を自発的にトリガする。
ステップS5において、UE100は、PDCPステータス報告をgNB200に送信する。
このように、UE100は、所定のベアラタイプ変更をgNB200から指示された場合、PDCPステータス報告の送信を自発的にトリガする。これにより、MRBのベアラタイプ変更に起因するパケットロスをPDCPステータス報告により補償可能になる。
ここで、「自発的にトリガする」とは、PDCPステータス報告の送信をトリガすることをgNB200から明示的に指示されなくても、UE100がPDCPステータス報告の送信をトリガすることをいう。例えば、UE100は、gNB200からのRRCシグナリングによってPDCP再確立又はPDCPリカバリを指示されなくても、所定のベアラタイプ変更に応じてPDCPステータス報告の送信をトリガする。
PDCPステータス報告の送信をトリガすることを目的としてPDCP再確立又はPDCPリカバリを行うことは非効率になり得るが、第1実施形態によれば、PDCP再確立又はPDCPリカバリを伴わずにPDCPステータス報告の送信をトリガ可能である。また、PDCPステータス報告の送信をトリガするベアラタイプ変更を、所定のベアラタイプ変更に限定することにより、例えばパケットロスが許容されるようなMBSサービスについては、PDCPステータス報告の送信をトリガしないことが可能である。
このような動作は、確立済みのMRBのベアラタイプ変更に適用され、新たなMRBを確立する場合には適用されない。すなわち、UE100は、新たなMRBを確立する場合は、PDCPステータス報告の自発的な送信トリガを行わない。
(第1実施形態の実施例)
上述の第1実施形態に係る動作を前提として、第1実施形態に係る第1実施例乃至第3実施例について説明する。
(1)第1実施例
本実施例において、所定のベアラタイプ変更は、PTP(Point-To-Point)のみのMRBタイプへの変更又はスプリットMRBへの変更である。すなわち、UE100は、PTPのみ又はスプリットMRBに変更された時に(のみ)、PDCPステータス報告の送信をトリガする。
ここで、PTPのみ又はスプリットMRBへのベアラタイプ変更は、次の4パターンがある:
1)PTMのみ→PTPのみ;
2)PTMのみ→スプリットMRB;
3)PTPのみ→スプリットMRB;
4)スプリットMRB→PTPのみ。
PTMのみのMRBは、上りリンクのパスが存在しないため、PDCPステータス報告を送信しようとしても、送信することはできない。また、PTMのみのMRBは、PTPのみのMRB及びスプリットMRBに比べて、高信頼性が要求されないと考えられる。そのため、本実施例では、PTPのみ又はスプリットMRBに変更された時に(のみ)、PDCPステータス報告の送信をトリガすることとしている。
図18は、本実施例に係るUE100の受信側PDCPエンティティ101の動作を示す図である。図18において、図14と異なる部分を下線で示している。但し、図18における「DRB」を「MRB」と読み替えてもよい。
UE100は、当該MRBのPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)にstatusReportRequiredが設定されており、且つ、PTPのみ又はスプリットMRBへのベアラタイプ変更を行うよう上位レイヤが当該PDCPエンティティを再設定した場合(upper layer reconfigures the PDCP entity to change bearer type to PTP-only MRB or Split MRB)、PDCPステータス報告をトリガする。
(2)第2実施例
本実施例において、所定のベアラタイプ変更は、AM(Acknowledged Mode)のMRBタイプへの変更である。すなわち、UE100は、AM MRBに変更された時に(のみ)、PDCPステータス報告の送信をトリガする。
PTMのみのMRBは、UM(Unacknowledged Mode)のMRBとして扱われると考えられる。また、PTM(特に、PTMのみ)はPTPに比べて無線リソースの使用効率が良いことから、gNB200は、出来るだけUE100をPTM(-only)にしたいという動機があると考えられる。
この場合、gNB200は、例えば、無線状態が良い場合はPTM(-only)(すなわち、UM MRB)とし、無線状態が悪くなってきたらPTPのみ又はスプリットMRB(すなわち、AM MRB)という使い分けをベアラタイプ変更により行うと考えられる。なお、無線状況は、例えば既存の測定報告により判断できる。
ここで、ある程度高い信頼性が要求されるサービスについて、ベアラタイプ変更時のパケットロス補償として、次のような方法がある:
・AMからUMへの変更;
AM(PTP)にて、UM(PTM)のSNよりも先のパケットを予め伝送しておく;
・UMからAMへの変更;
UM(PTM)で欠損したパケットを、後からAM(PTP)で伝送する。ここで、PDCPステータス報告が必要となる。
よって、本実施例では、UE100は、AM MRBへ変更された場合に、PDCPステータス報告の自発的な送信トリガを行う。AM MRBへの変更(MRB再設定)は、次の2パターンがある:
1)UM MRB→AM MRB;
2)AM MRB→AM MRB; 例えば、スプリットMRBからPTPのみのMRBの場合など。
図19は、本実施例に係るUE100の受信側PDCPエンティティ101の動作を示す図である。図19において、図14と異なる部分を下線で示している。但し、図19における「DRB」を「MRB」と読み替えてもよい。
UE100は、当該MRBのPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)にstatusReportRequiredが設定されており、且つ、AM MRBへのベアラタイプ変更を行うよう上位レイヤが当該PDCPエンティティを再設定した場合(upper layer reconfigures the PDCP entity to change bearer type to AM MRB)、PDCPステータス報告をトリガする。
(3)第3実施例
本実施例において、所定のベアラタイプ変更は、PTMのみのMRBタイプから他のMRBタイプへの変更である。すなわち、UE100は、PTMのみからPTMのみ以外に変更された時に(のみ)、PDCPステータス報告をトリガする。
スプリットMRBは、PTPレグを使ってパケットロス補償が可能であるが、PTMのみのMRBについてパケットロス補償を行う場合、必ずベアラタイプ変更が必要になる。そのため、PTMのみからPTMのみ以外に変更された時に(のみ)、PDCPステータス報告をトリガすることとしている。
図20は、本実施例に係るUE100の受信側PDCPエンティティ101の動作を示す図である。図20において、図14と異なる部分を下線で示している。但し、図20における「DRB」を「MRB」と読み替えてもよい。
UE100は、当該MRBのPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)にstatusReportRequiredが設定されており、且つ、PTPのみから他のタイプへのベアラタイプ変更を行うよう上位レイヤが当該PDCPエンティティを再設定した場合(upper layer reconfigures the PDCP entity to change bearer type from PTP-only to other type)、PDCPステータス報告をトリガする。
[第2実施形態]
第2実施形態について、上述の第1実施形態との相違点を主として説明する。
第2実施形態において、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態でMBS受信(PTM受信)を行うUE100がランダムアクセスプロシージャによりRRCコネクティッド状態に遷移するシナリオを主として想定する。このようなシナリオにおいて、ランダムアクセスプロシージャの実行中は、UE100がMBS受信を行うことができず、MBSデータのパケットロスが発生し得る。第2実施形態では、そのようなパケットロスを補償可能とする実施形態である。
例えば、UE100は、RRCコネクティッド状態に遷移した時に、PDCPステータス報告の送信を自発的にトリガする。UE100のRRCエンティティ102はRRCコネクティッド状態に遷移した旨を受信側PDCPエンティティ101に通知し、受信側PDCPエンティティ101は、当該通知に応じてPDCPステータス報告の送信を自発的にトリガしてもよい。但し、ランダムアクセスプロシージャを実行してもパケットロスが発生しない場合もある。そのため、UE100は、RLCでパケット破棄が発生した場合に、PDCPステータス報告を自発的にトリガしてもよい。具体的には、UE100の受信側PDCPエンティティ101は、RLCレイヤからパケット破棄を通知された場合に、PDCPステータス報告を自発的にトリガしてもよい。
図21は、第2実施形態に係るUE100の動作を示す図である。
ステップS11において、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100は、MRBを介してgNB200からMBSデータを受信する。
ステップS12において、UE100は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態からRRCコネクティッド状態に遷移したこと、及びRLCレイヤにおいてMBSデータパケットの破棄が発生したことの少なくとも一方の条件が満たされたか否かを判定する。
当該少なくとも一方の条件が満たされた場合(ステップS12:YES)、ステップS13において、UE100は、当該MRBと対応付けられたPDCPエンティティにおけるデータ受信状況を示すPDCPステータス報告の送信を自発的にトリガする。
ステップS14において、UE100は、PDCPステータス報告をgNB200に送信する。
[第3実施形態]
第3実施形態について、上述の第1実施形態及び第2実施形態との相違点を主として説明する。
第3実施形態は、gNB200がMRBについてベアラタイプ変更をUE100に指示する点は第1実施形態及び第2実施形態と同じであるが、当該指示の際に、gNB200がPDCPステータス報告をUE100にトリガさせる。具体的には、gNB200は、MRBのベアラタイプ変更を指示するRRCメッセージ(RRC再設定メッセージ)に、当該MRBと対応付けられたPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)の再確立を指示する第1情報要素(reestablishPDCP)を含める。
但し、このようなRRC再確立を指示する場合、当該PDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)におけるヘッダ圧縮プロトコル、具体的には、RoHC(Robust Header Compression)の動作がリセットされ、RoHCコンテキストもリセットされてしまう。RoHCコンテキストは、ヘッダにおける固定の値、及びヘッダにおける値を予測するための情報を含み、圧縮されたヘッダをUE100が復元するために必要な情報である。RoHCコンテキストもリセットされると、ベアラタイプ変更後において、圧縮されていない完全なヘッダを送受信する必要があり、オーバーヘッドが大きくなるという問題がある。
よって、第3実施形態では、gNB200は、MRBのベアラタイプ変更を指示するRRC再設定メッセージに第1情報要素(reestablishPDCP)を含める場合、UE100のPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)のヘッダ圧縮プロトコルの状態(例えば、RoHCコンテキスト)を維持することを指示する第2情報要素(drb-ContinueROHC)を当該RRC再設定メッセージに含める。これにより、UE100のPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)のヘッダ圧縮プロトコルの状態(例えば、RoHCコンテキスト)が維持されるため、ベアラタイプ変更後においても圧縮されたヘッダを送受信することが可能である。
図22は、第3実施形態に係る移動通信システム1の動作を示す図である。
ステップS101において、UE100は、gNB200からMRBを介してMBSデータを受信する。
ステップS102において、gNB200は、当該MRBについてベアラタイプ変更を決定する。具体的には、gNB200は、PTPのみ、PTMのみ、及びスプリットMRB(PTPレグ及びPTMレグ)の3つのタイプ間での変更を決定する。例えば、gNB200は、UE100からの無線品質の報告(measurement report)及び/又はgNB200の無線リソース状況などに応じてステップS102の決定を行う。
ステップS103において、gNB200は、ベアラタイプ変更用のRRC再設定メッセージをUE100に送信する。RRC再設定メッセージは、確立済みのMRBのベアラタイプ変更を行う設定を含む。例えば、RRC再設定メッセージは、当該MRBのベアラ識別子と、当該MRBの変更先のベアラタイプを示すベアラタイプ情報とを含んでもよい。ここで、gNB200は、当該MRB識別子と対応付けて「reestablishPDCP“true”」及び「drb-ContinueROHC“true”」をRRC再設定メッセージにセットする。
ステップS104において、RRC再設定メッセージを受信したUE100は、RRC再設定メッセージに含まれる「reestablishPDCP“true”」に応じてPDCPエンティティ(受信側PDCPエンティティ101)を再確立し、当該再確立に応じてPDCPステータス報告の送信をトリガする(図14のPDCP動作を参照)。ここで、UE100は、RRC再設定メッセージに含まれる「reestablishPDCP“true”」に応じて、RoHC処理を継続する(具体的には、直前まで使っていたRoHCコンテキストを使用継続し、RoHC状態も維持する)。
ステップS105において、UE100は、PDCPステータス報告をgNB200に送信する。gNB200は、PDCPステータス報告を受信する。
[その他の実施形態]
上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
上述の実施形態及び実施例において、基地局がNR基地局(gNB)である一例について説明したが基地局がLTE基地局(eNB)又は6G基地局であってもよい。また、基地局は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノード等の中継ノードであってもよい。基地局は、IABノードのDUであってもよい。また、ユーザ装置は、IABノードのMT(Mobile Termination)であってもよい。
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC:System on a chip)として構成してもよい。
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。また、「取得する(obtain/acquire)」は、記憶されている情報の中から情報を取得することを意味してもよく、他のノードから受信した情報の中から情報を取得することを意味してもよく、又は、情報を生成することにより当該情報を取得することを意味してもよい。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
本願は、米国仮出願第63/255579号(2021年10月14日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
(付記)
1.導入
RAN2#115eでは、NRマルチキャスト及びブロードキャストサービス(MBS)の作業項目が、マルチキャストサービスの継続性について次の合意を達成した。
RRCシグナリングでは、1つのMRBを、PTMのみ、PTPのみ、又はPTMとPTPとの両方で設定できる。PTM、PTM+PTP、又はPTPのみ、のいずれかをRRCシグナリングで変更できる。
RRC信号において、PTM用のUM RLC設定のみのDL、PTP用のDL及びUL AM RLC設定、PTP用のUM RLC設定のみのDLをサポートする。PTP用のDL及びUL UM RLC設定をサポートすることについては更なる検討が必要である。
RRC信号のベアラタイプ変更に伴うPDCP SRの発生可否と、発生した場合のPDCP SRの発生方法とについては更なる検討を行う。
上記の最初の合意に準拠したRRC再構成を超えるPTMのインアクティブ化/アクティブ化はサポートされない。
構成中のPTM PDCP状態変数のセットでは、これらの変数のCOUNT値のSN部分は、(UEによって)最初に受信されたパケットのSNと、必要に応じてgNBによって示されるHFNとに従ってセットされる。
MRB構成のPTM RLCエンティティを初期化し、SNを含む最初の受信パケットのSNに応じて、RX_Next_Highest及びRX_Next_Reassemblyの値をセットする。
MRB構成により、PTP RLC受信ウィンドウの0RLC状態変数を初期値(0)にセットすることができる。
本付記では、マルチキャストのサービス継続に関する残された課題について議論する。
2.議論
2.1.ベアラタイプ変更時のPDCPステータス報告
RAN2#115eでは、以下のオープンイシューが合意された。
RRC信号において、PTMのUM RLC構成のみのDL、PTPのDLとULのAM RLC構成、PTPのUM RLC構成のみのDLをサポートする。PTPのDL及びUL UM RLC構成をサポートすることについては、更なる検討が必要である。
RRC信号のベアラタイプ変更に伴うPDCP SRの発生可否と、発生した場合のPDCP SRの発生方法とについては更なる検討を行う。
現在のPDCP仕様によれば、PDCPステータス報告は、主にAM DRB(場合によってはUM DRB)に対して、以下のイベント発生時にRRCによってトリガされる。
上りリンクでPDCPステータス報告を送信するように上位層によって構成されたAM DRB(TS 38.331のstatusReportRequired)の場合、受信PDCPエンティティは、次の場合にPDCPステータス報告をトリガする必要がある。
-上位層はPDCPエンティティの再確立を要求する。
-上位層がPDCPデータ回復を要求する。
-上位レイヤが上りリンクデータスイッチングを要求する。
-上位層はPDCPエンティティを再構成してDAPSを解放し、daps-SourceReleaseはTS 38.331で構成される。
上りリンクでPDCPステータス報告(TS 38.331のstatusReportRequired)を送信するように上位層によって構成されたUM DRBの場合、受信PDCPエンティティは、次の場合にPDCPステータス報告をトリガする必要がある。
上位レイヤは、上りリンクデータ切替を要求する。
MBSでは、PTMのみのMRBはRLC UMでのみ構成されるが、PTPのみのMRBとスプリットMRBのPTPレグとはRLC UM又はRLC AMで構成される。これらは、それぞれUM MRB及びAM MRBと呼ばれる。
現在のRRC仕様によると、RRC再構成の処理遅延に関するUEのパフォーマンス要件は10msで規定されている。そのため、UEは、ベアラタイプ変更のためのRRC再構成中にMBS送信を見逃す可能性があり、欠落したパケットは、ベアラタイプ変更後に補償する必要がある。この意味で、PDCPステータス報告は、少なくとも特定のMBSサービスによって要求されるより高い信頼性を満たすためにサポートされるべきである。
また、どのような場合にPDCPステータス報告が必要であるかについても検討する価値がある。AM MRBの場合は、一般的に「高QoS」のMBSサービスを想定しているため、ベアラタイプ変更の際にも信頼性が求められることは明らかである。AM MRB間でベアラタイプを変更する場合、UM MRBからAM MRBへ変更する場合も含まれる。
提案1:RAN2は、少なくともAM MRB間、及びUM MRBからAM MRBへのロスレスベアラタイプの変更にPDCPステータス報告がサポートされることに合意すべきである。
一般に、UM MRBはベアラタイプ変更時の信頼性、すなわちロスレスを必要としないと考えられる。しかし、UM MRBを「高QoS」MBSサービスに使用するかどうかは、実際にはNWの実装に委ねることができる。無線状態が良好なUEに対してはPTMのみのMRBを使用し、無線状態が一定以上悪化した場合にはPTPのみのMRB(又は、スプリットMRB)に再構成することで、NWはリソースを効率的に運用することができる。現在の仕様では、ある場合にUM DRBがPDCPステータス報告をトリガすることが認められていることを考えると、NWがPDCPステータス報告を必要とするかどうかをUM MRBに設定できることは容易に明らかである。この場合、PTPのみのMRBとスプリットMRBのPTPレグには、DL/UL双方向UM、すなわちMBSデータ受信用のDL RLCエンティティ及びPDCPステータス報告送信用のUL RLCエンティティを設定する必要がある。
提案2:RAN2は、UM MRBのベアラタイプ変更時にPDCPステータス報告を使用するかどうかはNWの実装次第であることに合意すべきである。そのためにはDL/UL双方向RLC UMでPTPを構成できる仕様が必要である。
2.2.PTMのPDCP/RLC状態変数
2.2.1.初期値
RAN2#115eでは、以下の記述に合意した。
構成中のPTM PDCP状態変数のセットについては、これらの変数のCOUNT値のSN部は、(UEによる)最初の受信パケットのSNと、必要に応じてgNBによって示されるHFNとに従って設定される。
MRB構成のPTM RLCエンティティを初期化し、SNを含む最初の受信パケットのSNに応じて、RX_Next_Highest及びRX_Next_Reassemblyの値を設定する。
2つの契約における「according to」という言葉は、次のような3つの選択肢を意図している。
選択肢1:各状態変数の初期値は、単純に最初に受信したパケットのSNにセットされる。
選択肢2:Rel-16 V2X解決策が再利用される。
PDCP「RX_NEXT」の場合、「RX_NEXTのSN部の初期値は(x +1) modulo (2[sl-PDCP-SN-Size])、xは最初に受信したPDCPデータPDUのSNである」。
PDCP「RX_DELIV」の場合、「RX_DELIVのSN部の初期値は(x - 0.5 × 2[sl-PDCP-SN-Size-1]) modulo (2[sl-PDCP-SN-Size])、xは最初の受信PDCP Data PDUのSN」。
RLC UM「RX_Next_Reassembly」については、「SNを含む最初に受信したUMD PDUのSNに初期設定される」。
RLC UM「RX_Next_Highest」について、「SNを含む最初に受信したUMD PDUのSNに初期設定される」。
選択肢3:RLC UMのための新しいメカニズムが導入される。
PDCP状態変数については、選択肢1又は選択肢2のいずれかを適用することができる。
RLC UM「RX_Next_Reassembly」については、「RX_Next_Highest」よりも前の値に初期設定される。
RLC UM「RX_Next_Highest」については、上記選択肢2と同様に、「SNを含む最初に受信したUMD PDUのSNに初期設定される」。
PDCPの状態変数では、選択肢2の場合、次に受信するパケットであるRX_NEXTは、([最初に受信したパケットのSN]+1)に設定される。上位層に配信されない最初のパケットであるRX_DELIVは、([最初に受信したパケットのSN]-[SN長の1/4])に設定される。これは、最初に受信したパケットの後に古いパケットを受信しても、並べ替えを行うことができることを意味する。したがって、選択肢2は選択肢1よりも信頼性が高いと考えられる。
提案3:RAN2は、Rel-16 V2Xと同様に、RX_NEXTの初期値を([最初に受信したパケットのSN]+1)modulo(2^[PDCP SN length])とすることにPDCPに対して合意すべきである。
提案4:RAN2は、RX_DELIVの初期値を、Rel-16 V2Xと同様に、{[最初の受信パケットの SN]-2^([PDCP SN長]-2)}modulo(2^[PDCP SN 長])とすることにPDCPについて合意すべきである。
RLC状態変数については、選択肢1と選択肢2が全く同じである。また、選択肢2と選択肢3は、RX_Next_Highestの点でも同じである。したがって、RAN2は、RX_Next_Highestの初期値について、他の解がないことを確認すればよい。
提案5:RAN2は、Rel-16 V2Xと同様に、RX_Next_Highestの初期値が最初に受信したパケットのSNであるというRLC UMに合意すべきである。
RX_Next_Reassemblyに関して、選択肢2と選択肢3とは異なる。選択肢3の利点は、PDCP状態変数の選択肢2と似ている。つまり、最初に受信したパケットの後に受信した古いパケットを破棄することを回避できる。RLCセグメンテーションが実行された場合にのみこの問題が発生することも指摘されているが、パケット損失が最小限に抑えられれば常に良いことである。
提案6:RAN2はRLC UMについて、RX_Next_Reassemblyの初期値が最初に受信したパケットのSNであるか(Rel-16 V2Xと同じ)、又はRX_Next_Highestの前の値であるかについて議論すべきである。
2.2.2.HFNプロビジョニング
1)SA3がセキュリティのためにHFNを使用するかどうか、2)RAN2#115eで説明したように、COUNTがHFNパートを有するためPDCPステータス報告がサポートされるかどうか、などである。PDCPステータス報告は、ハンドオーバの場合にサポートされることが既に合意されており、2.1節のようにベアラタイプ変更の場合にもサポートされると思われる。そのため、RAN2が合意したように、HFNはgNBによって示される必要がある。
その上で、gNBがUEにどのようにHFNを提供するかを議論すべきである。HFNを提供する方法としては、以下の選択肢が考えられる。
Alt.1:RRC再構成
Alt.2:PDCP制御PDU
Alt.3:MCCH
Alt.4:SIB
Alt.5:PDCPデータPDUのヘッダ
Alt.1は、gNBがRRC再構成によってUEにマルチキャスト用のMRBを構成する必要があり、つまり、HFNはMRBと一緒に設定されるため、簡単だと考えられている。しかし、RRC再構成は特定のUEに対する専用のシグナリングであり、基本的に第1配信モード(Delivery mode 1:DM1)でのみ使用され、Alt.2と比較して処理が少し重いという欠点がある。また、RRC再構成の受信と最初の受信パケットとの間に一定のタイミングのギャップがあり、HFN非同期の原因となる可能性がある。さらに、HFNがどのMRBに適用されるかを示すための追加情報が必要な場合がある。
Alt.2は、gNBがPTM上でHFNを指示することができるため、より軽量で効率的なシグナリングであると考えられている。PDCPエンティティはMRBと関連付けられているため、追加情報であるHFNとMRBとのマッピングは不要である。つまり、このPDCP制御PDUを受信したPDCPエンティティは、HFNを初期値として適用すれば良い。これは、第1配信モードと第2配信モード(Delivery mode 2:DM2)とで一般的に使用されている。また、同じPDCPエンティティがこれらのPDCP PDUを処理するため、PDCP制御PDUと最初に受信したパケットとの間のタイミングのギャップを最小にすることができる可能性がある。ただし、PDCP制御PDUはセキュリティ保護されていないことが懸念される。
Alt.3は別の可能性であるが、MCCHは第2配信モードにのみ適用可能であり、第1配信モードを受信するUEにMCCHの取得という追加の負担を義務付けることは好ましくないと考えられる。また、MCCHの受信と最初の受信パケットとの間に一定のタイミングのギャップがある可能性がある。さらにAlt.1と同様にHFNとMRBとのマッピングという追加情報が必要になる可能性があるため、MCCHの取得を義務付けることは好ましくない。
Alt.4は通常のプロビジョニング方法として考えられている。SIBは基本的に第1配信モード1及び第2配信モードの両方に適用されるが、マルチキャスト受信のために接続されたUEがSIBを監視することが義務付けられているかどうかは、まだ不明である。懸念点としては、Alt.2と同様にSIBがセキュリティ保護されていないこと、Alt.1と同様にHFNとMRBとのマッピングという追加情報が発生すること、SIB受信と最初の受信パケットとの間に一定のタイミングのギャップが生じることなどが挙げられる。また、オンデマンドSIを適用する場合、UEはSIBを取得する前にオンデマンドSI要求メッセージを送信する必要があり、HFN初期化の遅延を引き起こす可能性がある。
Alt.5には、Alt.2と同様の利点が見られる。つまり、PTM方式で配信でき、追加情報は必要なく、第1配信モード及び第2配信モードの共通の解決策である。Alt.5が最初に受信したパケットがHFNを一緒に伝達するため、最も重要な利点は、理論的にはタイミングのギャップである。ただし、HFNが最初に受信したパケットのヘッダに含まれていると仮定すると、パケットがPTMを介して他のUEに送信され始めていることを考えると、gNBがUEの最初に受信したパケットをどのように知るかは疑問である。それ以外の場合、gNBは常に各データパケットにHFNを含める必要がある。懸念事項は、Alt.2と同様にPDCPヘッダがセキュリティ保護されていないことである。HFNプロビジョニングは、Alt.2を含む他の代替案と同様にCプレーンシグナリングと見なされるため、概念/原理の観点からは少し奇妙である。一方、Alt.5はUプレーンデータを使用する。
別の角度から見ると、第1配信モード(DM1)と第2配信モード(DM2)とでは、HFNの提供方法に違いがあることがわかる。一般に、DM1(又は、マルチキャスト)はDM2(又は、ブロードキャスト)よりも安全である。これは、構成が専用のシグナリングによって提供されるためである(また、NASではセッション参加手順が利用可能である)。この意味で、HFNもDM1で安全に提供する必要がある。この場合、最も簡単な解決策はAlt.1であるが、DM1とDM2との共通性を実現するには適していない。Alt.2は、PDCP制御PDUがC-RNTIで送信される場合、Alt.3、Alt.4、Alt.5よりもある程度のセキュリティを確保できると想定される。一方、DM2はUEにCONNECTEDへの移行を義務付けるべきではなく、HFNの取得のみを目的としている。DM2をサポートするために、HFNは定期的にブロードキャスト方式で(つまり、G-RNTI、MCCH-RNTI、又はSI-RNTIを使用して)提供される。
上記のとおり、(以下の表にも要約されているように)、HFNはPDCP制御PDU(つまり、Alt.2)を介して提供されることが、パフォーマンスとセキュリティのバランスが取れており、また、両方の配信モード(つまり、DM1及びDM2)に共通の解決策であるため、わずかに好ましいと言える。
提案7:RAN2は、HFNの初期値がPDCP制御PDUを介して提供されることに合意すべきである。
提案8:提案7が合意可能である場合、RAN2はさらに、PDCP制御PDU(HFNプロビジョニング用)をG-RNTI及びC-RNTIと共に送信できることに合意すべきである。
2.2.3.HFN初期化前のデータ受信
UEは、HFNを受信する前にデータを受信する可能性がある。これは、HFNと最初に受信したパケットの受信タイミングが、順序どおりでない配信(たとえば、悪い無線状態での再送信及び/又はハンドオーバ中の再送信など)により異なる可能性があるためである。及び/又は、セクション2.2.2のどの選択肢が選択されているかによって異なる。さらに、当該PTM送信は、他のUEへの送信が既に開始されているため、UEは、MRBをセットするとすぐにデータを受信することができる。
所見1:UEは、HFN初期化の前に、PTMを介してMBSデータを受信する場合がある。
現在のPDCP仕様では、RRCがPDCPエンティティの確立、PDCPエンティティの再確立、又はPDCPエンティティの一時停止を要求すると、RX_NEXTとRX_DELIVとは初期値に(再)設定される。当然、COUNT値の初期化はデータ受信前に行われる。したがって、PDCPの観点からは、たとえ下位層がデータ受信の準備を完了していても、データが受信されない場合がある。つまり、RLC層がRLC SDU(PDCP PDU)をPDCP層に送信したとしても、データが受信されない場合がある。PDCPがこれらのPDCP PDUを受け入れたとしても、HFNがまだアオリスティックであるため、これらのPDUは完全性検証の失敗により破棄される。
所見2:HFNの初期化の前に、現在の仕様によると、下位層からのPDCP PDUは受け入れられないか、PDCP層で破棄される可能性がある。
したがって、セクション2.2.1で説明されているSNの状態変数の初期化のすべての拡張機能(一部)と、セクション2.2.2で説明されているように、パケット損失を最小限に抑えることを目指している。簡単な方法の1つは、PDCPがこれらのPDUをPDCP処理の前に一時的にバッファリングし、HFNの初期化後にこれらのPDUの処理を開始することである。
提案9:RAN2は、HFNの初期化の前に、UEが受信したデータパケットをどのように処理するかについて議論すべきである。
2.2.4.HFNプロビジョニングのリクエスト
もう1つの考えられる問題は、UEがgNBに現在のHFNを問い合わせることが許可されているかどうかである。特にPTMのみのMRBの場合、たとえばカバレッジホールや干渉が原因で、UEが一定期間パケットを受信できなかった場合、HFNが非同期になる可能性がある。もう1つのケースは、(セクション2.2.2で簡単に説明したように)HFNがMBSセッションのアクティブ化時にのみ提供される場合、UEが既にアクティブ化されているMBSセッションに後で参加するときにHFNを必要とすることである。
そのため、UEがHFNプロビジョニングの必要性に気付いた場合、UEが現在のHFNを提供するようgNBに要求できるようにすると便利である。たとえば、RRCシグナリング又はPDCP制御PDUを介して、要求を送信する方法については更なる検討が必要である。同じ条件で、UEは、受信ウィンドウの外にある次のパケットを受信しない場合がある。この場合、UEは、すべての状態変数を初期値にリセットすることができる。
提案10:RAN2は、UEがgNBにMBSセッションの現在のHFNを提供するよう要求することを許可されているかどうかを議論すべきである。
提案11:RAN2は、UEが一定期間MBSセッションの受信に失敗した場合に状態変数をリセットできるかどうかについて議論すべきである。
2.3.ロスレスモビリティオペレーション
「RAN2は、これを必要とするサービスのためにMBS-MBSモビリティのロスレスハンドオーバをサポートすることを目指している(シナリオの詳細は未定だが、少なくともPTP-PTP)」及び「UE側からは、PDCPステータス報告もサポートされる可能性がある」。これらの合意は、MRBがPTPのみで構成されている場合、ユニキャストの既存のハンドオーバと非常によく似たメカニズムを意味する。
所見3:ロスレスハンドオーバをサポートするために、ユニキャスト用の既存のハンドオーバ機構をPTPのみで構成されたMRBに再利用することが可能である。
そこで、PTM(-leg)を含むハンドオーバの場合、すなわち、PTMのみで構成されたMRB及びPTPレグとPTMレグとを含むスプリットMRBについて検討する必要がある。
スプリットMRBは、PTMレグを使用しない場合は、PTPのみのMRBとみなすことができる。そのため、従来のユニキャストハンドオーバをベースに、ロスレスハンドオーバを容易にサポートすることができる。そこであるスプリットMRBの基本的な手順は、以下のように考えられる。
ステップ1:スプリットMRBのPTPレグは、必要に応じて、ソースセルでロスレス動的切替により使用される。
ステップ2:UEは、PTP-PTPハンドオーバ(又は、ユニキャストハンドオーバのように)、ロスレスハンドオーバを実行する。
ステップ3:スプリットMRBのPTMレグは、必要に応じて、ロスレス動的切替によってターゲットセルで使用される。
このとき、NWの実装によって確保されるロスレス動的切替が重要な役割を果たすことになる。
所見4:スプリットMRBのロスレスハンドオーバには、ロスレスの動的PTM/PTP切替が不可欠である。
PTMのみのMRBに関しては、以下のように非常に類似した手順が適用可能である。
ステップ1:ソースセルにおいて、ロスレスベアラタイプ変更により、PTM用のMRBをPTP用のMRB(又は、スプリットMRB)に再構成する。
ステップ2:UEは、PTP-PTPハンドオーバとして(又は、ユニキャストハンドオーバのように)、ロスレスハンドオーバを実行する。
ステップ3:ロスレスベアラタイプ変更により、必要に応じて、ターゲットセルにおいて、PTPのみのMRB(又は、スプリットMRB)をPTMのみのMRBに再構成することができる。
この場合、2.1節で述べたロスレスベアラタイプの変更もロスレスハンドオーバのために重要である。
所見5:PTMのみのMRBのロスレスハンドオーバには、ロスレスベアラタイプ変更が必須である。
以上のことから、ロスレスハンドオーバの基本手順のポイントは、PTPレグを使用するか、PTMのみのMRBを再構成する(=ステップ1)ことと、ハンドオーバ実行は既存のユニキャストハンドオーバと同じで、何の拡張もないことである。
提案12:RAN2は、MRBの基本的なロスレスハンドオーバが常にPTP(-leg)を含む必要があることに合意すべきである。つまり、スプリットMRBのPTPレグが使用されるか、PTMのみのMRBをPTPのみのMRB(又は、スプリットMRB)に再構成してからハンドオーバを実行する。
提案13:RAN2は、MRBのハンドオーバの実行はユニキャストのハンドオーバと同じであること、つまり、基本的なロスレスハンドオーバのための拡張は必要ないことに合意すべきである。
次に、最も興味深い高度な手順は、直接PTM-PTMハンドオーバである。つまり、PTM(-leg)を介してMBSを受信しているUEがロスレスハンドオーバを実行する。上記の基本的なハンドオーバ手順のシグナリングオーバーヘッドと複雑さを軽減できる。つまり、ステップ1とステップ3とをスキップできる。さらに、このような直接的なPTM-PTMロスレスハンドオーバは、特にPTPレグが設定されたスプリットMRBで予想されると考えられる。つまり、より高い信頼性を必要とするサービスに使用される。ただし、それはすでにリリース17タイムフレームの中間点を過ぎており、WIDは「サービス継続性を伴う基本的なモビリティのサポートを指定する」と述べているだけである。そのため、高度なロスレスハンドオーバは、将来のリリースまで延期する必要がある。
所見6:PTM(-leg)を介してMBSサービスを受けるUEの高度なロスレスハンドオーバ、つまり「直接PTM-PTMハンドオーバ」は、特定のサービスでは有用であると考えられるが、Rel17タイムフレームの残りの時間を考慮すると、将来のリリースに延期する必要がある場合がある。
2.4.マルチキャストのMBS Interest Indication
RAN2は現在、ブロードキャストセッションではMBS Interest Indicationがサポートされていると想定しているが、マルチキャストセッションではサポートされていない。RAN2#115eは、次のようにMBS Interest Indicationの基本的な内容に合意した。
CONNECTEDの場合
UEは以下のMBS Interest informationを(LTE SC-PTMとして)報告する。
MBS周波数リスト
リスト化されたすべてのMBMS周波数の受信と、任意のユニキャスト・ベアラの受信の間の優先順位
TMGIリスト
MBS周波数の報告が許可されている場合、UEが報告するMBS周波数は、LTE SC-PTMと同様に関心の高い順に並べ替えられる。
マルチキャストセッションの場合、マルチキャストセッションでは上位層にセッション参加手順があるため、コアネットワークがgNBにUEの関心を通知するというのが一般的な理解のようである。これはUEの興味のあるMBSサービスに当てはまる。また、gNBがMBS周波数と、UEの興味のあるMBSサービスを提供するセルを知っている可能性もある。ただし、MBS受信とユニキャストの間の優先順位は、純粋にAS関連の情報であるため、コアネットワークによって提供されない場合がある。
所見7:マルチキャストセッションでは、コアネットワークはUEの関心事であるMBSサービスをgNBに提供し、gNBはMBS周波数/セルを知っている可能性がある。しかし、コアネットワークとgNBとは、MBSとユニキャストとの間のUEのAS優先度を知らない可能性がある。
優先度情報は、LTE eMBMSと同様に、スケジューリングやハンドオーバの決定など、gNBにとっても有用であり、サービスの継続性にも関係すると考えられる。したがって、UEは、マルチキャストセッションについても、その優先度情報をgNBに通知する必要がある。この意味で、RAN2は、マルチキャストサービス/配信モード1についてもMBS Interest Indicationがサポートされるべきであると合意すべきである。
提案14:RAN2は、少なくともUEがMBS受信とユニキャスト受信との間の優先順位をgNBに通知するために、MBS Interest Indicationがマルチキャストセッション/第1配信モードでもサポートされることに合意すべきである。