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JP7702158B2 - 冷却用通路及び冷却用通路を有する射出成形用金型 - Google Patents
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JP7702158B2 - 冷却用通路及び冷却用通路を有する射出成形用金型 - Google Patents

冷却用通路及び冷却用通路を有する射出成形用金型 Download PDF

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本明細書における開示は、射出成形用金型に射出注入された熱可塑性材料を冷却する冷媒の流路を形成する冷却用通路及び前記冷却用通路から構成される冷却部を有する射出成形用金型に関するものである。
射出成形は、金型内に射出注入した高温の熱可塑性材料を冷却固化して成形品を形成する。金型内の熱可塑性材料に対して冷却が不均一な場合、金型から取り出された成形品が、不均一に収縮し、成形不良の原因になる。したがって、射出成形における冷却工程は、成形品の品質の良否を左右する重要な工程となる。
通常、射出成形用金型は、キャビティ空間の周囲に冷却用通路が配管されている。前記冷却工程では、かかる冷却用通路に冷媒を送出して前記熱可塑性材料を冷却する。射出注入する前記熱可塑性材料は、高温であるため、冷媒が、前記冷却用通路で滞留すると、短時間で熱平衡状態となり冷却効果が低下する。したがって、前記冷却工程では、前記冷却用通路に連続的に冷媒を送出して冷却する必要がある。
前記冷媒の冷却効果の持続性を高めるため、冷媒の流量を多くする、前記冷却用通路の管路径を太くする、などの工夫が考えられるが、いずれも、物理的な限界はある。
そこで、従来、たとえば、冷却用通路の内表面に凸状のリブを設けることにより、表面積(すなわち、伝熱面積)を拡げて冷却効果の向上を図る射出成形用金型が提案されていた(例えば、特許文献1参照。)
また、コア本体の冷却ブッシュ穴を形成する壁面に螺旋状冷却溝を設けた冷却ブッシュに流れる螺旋状の平行流により冷却する射出成形用金型が提案されていた(例えば、特許文献2参照。)
特開平2-106314号公報 特開平9―262870号公報
しかし、前記従来技術にように冷却用通路の表面積を拡げても、冷媒の流れが粘性による減衰効果の影響を受けて、内表面近傍に低速な境界層が形成されると、冷却用通路の軸方向中央の主流に比べて冷却効果が著しく低下するという問題が生じていた。
ところで、射出成形用金型の冷却方式は、冷媒として、水を使用する水冷式と、空気を使用する空冷式とがある。水冷式の場合、管内温度が100度超になると、内圧が上昇し、蒸気が外部にリークするおそれがある。また、型締めされた金型を成型後に分割する際に、管内に残存する水が、成形品や金型に付着すると、成形品を損傷し、金型の発錆原因になるおそれもある。かかる不都合を回避するためには、空冷式を採択することになるが、熱伝導率の観点からは、空冷式は、水冷式に比べて冷却効果が低い。したがって、空冷式の場合、水冷式より一層の冷却の効率化が求められる。
本明細書における開示は、上記課題を解消させるためのものであり、射出成形において、冷媒による熱可塑性素材の冷却効率を向上させる冷却用通路及びかかる冷却用通路を有する射出成形用金型を提供することを目的とする。
上記課題を解消させるために、本明細書において開示する冷却用通路の一態様は、例えば、射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する前記管体の断面形状を円形とし、前記流れ方向に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、前記円形の径方向に突出するように前記管体を屈曲させて形成された前記管体の内壁面の段差によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する。
この構成によれば、前記流路の下流に向かって発達する低速の境界層が、前記流れ方向に設けられた凸部によって、剥離と再付着を繰り返し、乱流が発生するため、流路中央の主流との熱交換が頻繁に行われる。
また、本明細書において開示する射出成形用金型の一態様は、熱可塑性素材を冷却する冷媒の冷却流路を形成する冷却用通路を有し、前記冷却流路は、前記射出成形用金型の成型エリアを包囲して中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の前記管体の断面形状をアスタリスク形とするとともに、前記流れ方向に前記管体を捻回させて、前記管体の内壁面に複数の螺旋状の施条を形成し、隣り合う前記施条の間に形成されたリブ状の段差によって、前記管体の内壁面に、冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する。
また、前記射出成形用金型は、前記冷却部が、前記冷媒として気相冷媒を流入させる空冷回路と、液相冷媒を流入させる水冷回路との2系統の回路から構成され、少なくとも、空冷回路が、前記冷却用通路で構成されるようにしてもよい。
本発明の冷却用通路は、射出成形において、冷媒による熱可塑性材料の冷却効率を向上させるという効果を奏する。
図1は本実施形態にかかる冷却用通路の部分側断面図であり、(A)は、凸部で逆流領域が発生した状態を示す図、(B)は、凸部の境界層剥離の状態を示す図(C)は、凸部で境界層剥離後に、再付着した状態を示す図である。 図2は、第1実施形態に係る冷却用通路を示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は、側断面図、(C)は、I-I’線で切断した垂直断面図である。 図3は、第2実施形態に係る冷却用通路を示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は、側断面図、(C)は、II-II’線で切断した垂直断面図である。 図4は、第3実施形態に係る冷却用通路を示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は、側断面図、(C)は、III-III’線で切断した垂直断面図である。 図5は、第4実施形態に係る冷却用通路を示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は、側断面図、(C)は、IV-IV’線で切断した垂直断面図である。 図6は、第5実施形態に係る冷却用通路を示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は、側断面図、(C)は、境界層の流線を示す概念図であり、(D)は、矢印Vから見た図である。 図7は、第6実施形態に係る冷却用通路を示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は、側断面図、(C)は、境界層の流線を示す概念図、(D)は、矢印VIから見た図である。 図8は、第7実施形態に係る冷却用通路を示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は、側断面図、(C)は、VII-VII’線で切断した垂直断面図である。 図9は、本実施形態にかかる射出成形用金型を示した説明図であり、(A)は、斜視図(B)は、可動側コアとスライドコアが接合された状態を示す上面図、(C)は、可動側コアからスライドコアが切り離された状態を示す上面図である。
以下、図面を参照しながら本明細書による開示を実施するための形態を説明する。先に説明した実施形態に対応する構成要素を後続の実施形態が有する場合には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、各実施形態において構成の一部のみを説明している場合、当該構成の他の部分については先行して説明した実施形態の参照符号を使用する場合がある。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示していない場合でも、特に当該組み合わせに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。また、図中の各部材、構成品の大きさは、説明を容易とするため適宜強調されており、実際の寸法、部材間及び構成品間の比率を示すものではない。
図1は、本実施形態にかかる射出成形用金型の冷却用通路11の部分側断面図である。冷却用通路11は、射出成形用金型の成型エリア(キャビティ近傍)を包囲して中空筒状の管体113から構成されている。すなわち、管体113は、高温の成型用樹脂(可塑性樹脂)が流入する前記成型エリア(図示せず)の周囲を並走するように配設される。管体113の中空の内部空間は、前記可塑性樹脂を冷却する冷媒の冷媒流路を形成する。
図1(A)で示すとおり、管体113の内壁面112で包囲された冷媒流路111に冷媒が流入する。流入した前記冷媒は、冷却の対象となる高温の熱可塑性樹脂との間で熱交換が行われ、冷媒の温度は上昇する。なお、本実施の形態において、冷媒は、特に限定しない限り、気相、液相いずれであってもよい。
冷媒流路111内では、前記冷媒の流れは、管体113の軸心を中心とした領域の主流層Mと内壁面112近傍の層流境界層Bとの流速が異なる2つの層が形成される。層流境界層Bは、前記冷媒の粘性によって、内壁面112との間で摩擦が生じ、運動エネルギーが失われる。したがって、層流境界層Bの境界層側流線F1の流速は、主流層Mの主流層側流線F2の流速よりも低下する。前記冷媒の流速が低下した層流境界層Bは、前記熱交換によって温度が上昇した冷媒が滞留するため次第に冷却効率が低下する。
本実施の形態では、冷却用通路11は、冷媒流路111の内壁面112に、境界層側流線F1の流れ方向に対して直交して形成された凸部114を有する。すなわち、凸部114は、前記冷媒の層流境界層Bの境界層側流線F1の流れを遮断する位置に設けられている。
凸部114は、前記のとおり、速度勾配の緩やかな層流境界層Bに形成されているため、前記冷媒が、凸部114に到達すると、摩擦抵抗が小さくなる。一方、前記冷媒を流入し続けることにより、凸部114で逆圧力勾配の作用を受け、逆流領域Aが形成される。逆流領域Aで前記冷媒は、内壁面112に沿って流れることができず、図1(B)で示すとおり、凸部114及び内壁面112で剥離空間Sを形成し、乱流を形成しながら、境界層流線F1の流れ方向に進む。
一方、前記冷媒を連続的に流入させることにより、剥離空間Sには、新たな冷媒が流入し、図1(C)で示すとおり、再付着領域Rが形成される。境界層側流線F1の流れ方向に、凸部114を複数箇所設けることにより、前記滞留状態は解消され、内壁面112の凸部114を設けた各所で前記冷媒の剥離、再付着が繰り返され、冷却効率が向上する。
複数の凸部114の配設間隔は特に限定しないが、少なくとも、射出成形用金型の速度分布が変化しなくなった流れ、すなわち、完全に発達した流れに到達する前の区間に形成すれば、効果的に前記冷媒の剥離と再付着が繰り返される。
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態にかかる冷却用通路12を示した図であり、図2(A)は、冷却用通路12の斜視図、図2(B)は、冷却用通路12の側断面図、図2(C)は、図2(B)のI-I’線で切断した垂直断面図である。
本実施形態において、冷却用通路12を構成する管体123は、前記冷媒の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に直交する方向の断面形状が円形である。第1凸部124、第2凸部125は、冷媒流路121の流れ方向に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、前記円形の径方向に突出するように屈曲させて形成された内壁面122の段差によって構成される。すなわち、第1凸部124、第2凸部125は、冷媒流路121の軸心Cが偏心するように、前記切出し片を形成すれば、内壁面122に段差が形成される。本実施の形態では、第1凸部124は、軸心Cが、第1偏心位置E1に偏心し、第2凸部125は、軸心Cが、第2偏心位置E2に偏心することにより、管体123の外観上は前記円形の径方向に突出するように屈曲された形状になり、内壁面122では、段差によって第1凸部124、第2凸部125が形成される。
なお、前記径方向について、複数個所で前記屈曲させる箇所を設ける場合は、少なくとも、隣接する凸部(本実施の形態では第1凸部124と第2凸部125)は、前記屈曲させる径方向を異なる方向(角度)とすることが好ましい。このように突出させれば、第1凸部124、第2凸部125が形成された各々の箇所によって、前記周方向の異なる位置を流れる境界層側流線F1で、前記剥離と再付着の作用が繰り返される。したがって、管体123の全周にわたり、第1凸部124、第2凸部125による冷却効果が均一に発揮され、ソリなど成形不良の発生を抑えることができる。もっとも、専ら前記周方向の所定の位置を流れる境界層側流線F1の冷却効率を上げる必要がある場合は、屈曲させる方向(角度)を同一とすることが好ましい。
図2(B)では、第1凸部124で逆圧力勾配の作用を受け、逆流領域Aが形成されている状態を示しているが、図1で説明したとおり、前記冷媒を連続的に流入させることにより、剥離空間Sの形成、再付着領域Rの形成が繰り返される。以下、各実施形態においても、逆流領域Aが形成されている状態のみを示し、剥離空間Sの形成、再付着領域Rの形成が繰り返される作用については第1実施形態と同様であるため説明を割愛する。
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態にかかる冷却用通路13を示した図であり、図3(A)は、冷却用通路13の斜視図、図3(B)は、冷却用通路13の側断面図、図3(C)は、図3(B)のII-II’線で切断した垂直断面図である。
本実施の形態にかかる冷却用通路13も、第1実施形態同様、内壁面132に形成された第1凸部134、第2凸部135は、前記冷媒の流れ方向に所定の厚さを有する切出し片状の壁部によって形成される。ただし、第1実施形態では、前記冷媒の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に直交する方向の断面形状が円形であるのに対して、第2実施形態では、管体133の断面形状が楕円形である。
第1凸部134、第2凸部135は、冷媒流路131の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、管体133の軸心を中心として前記楕円形の周方向に所定の角度で回転することにより突出するように屈曲させて形成された内壁面132の段差によって構成される。すなわち、第1凸部134、第2凸部135は、前記楕円形の短径方向の長さと長径方向の長さの違いにより、前記回転させることで、管体133の外観上は、第1実施形態同様、突出するように屈曲された形状になり、内壁面132では、段差によって第1凸部134、第2凸部135が形成される。
また、第1実施形態同様、複数箇所で前記屈曲させる箇所を設ける場合は、少なくとも、隣接する凸部(本実施の形態では第1凸部134と第2凸部135)は、異なる角度で回転させることが好ましい。
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態にかかる冷却用通路14を示した図であり、図4(A)は、冷却用通路14の斜視図、図4(B)は、冷却用通路14の側断面図、図4(C)は、図4(B)のIII-III’線で切断した垂直断面図である。
本実施の形態にかかる冷却用通路14は、第2実施形態の変形例であり、前記冷媒の流れ方向に直交する方向の管体143の断面形状を星型多角形とするものである。
第1凸部144、第2凸部145は、冷媒流路141の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、管体143の軸心を中心として前記星型多角形の周方向に所定の角度で回転することにより突出するように屈曲させて形成された内壁面142の段差によって構成される。すなわち、第1凸部144、第2凸部145は、前記星型多角形が周方向に放射状の凹凸が交互に形成されていることにより、前記回転させることで、管体143の外観上は、第1実施形態同様、突出するように屈曲された形状になり、内壁面142では、段差によって第1凸部144、第2凸部145が形成される。
また、第1実施形態同様、複数箇所で前記屈曲させる箇所を設ける場合は、少なくとも、隣接する凸部(本実施の形態では第1凸部144と第2凸部145)は、異なる角度で回転させることが好ましい。
本実施の形態にかかる形状は、円筒形の丸管に比べて、内壁面142の表面積が大きくなる。表面積が大きくなれば、冷却効果も向上する。したがって、前記表面積の拡張によって、第1凸部144、第2凸部145を設けたことと相乗的な冷却効果を奏する。
なお、図4では、頂部の数が4つの星型多角形を示したが、これに限定する趣旨ではない。本実施の形態では、星型多角形とは、多角形の平面幾何図形の各辺を延長して得られた交点を結んだ図形すべてを含み、いわゆる芒星図形を含む。
<第4実施形態>
図5は、第4実施形態にかかる冷却用通路15を示した図であり、図5(A)は、冷却用通路15の斜視図、図5(B)は、冷却用通路15の側断面図、図5(C)は、図5(B)のIV-IV’線で切断した垂直断面図である。
本実施の形態にかかる冷却用通路15は、第2実施形態及び第3実施形態の変形例であり、前記冷媒の流れ方向に直交する方向の管体153の断面形状を複数の矩形体を前記軸心で交差させて放射状のアスタリスク形とするものである。
第1凸部154、第2凸部155は、冷媒流路151の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、管体153の軸心を中心として前記アスタリスク形の周方向に所定の角度で回転することにより突出するように屈曲させて形成された内壁面152の段差によって構成される。すなわち、第1凸部154、第2凸部155は、前記アスタリスク形が周方向に放射状の凹凸が交互に形成されていることにより、前記回転させることで、管体153の外観上は、第1実施形態同様、突出するように屈曲された形状になり、内壁面152では、段差によって第1凸部154、第2凸部155が形成される。
前記アスタリスク形は、前記星型多角形同様、表面積の拡張による相乗的効果が得られる。特に、前記アスタリスク形は、放射状の先端部分が矩形になっているため、先端部分が尖端状の前記星型多角形よりも表面積の拡張効果が高い。
なお、図5では、放射状の頂部の数が8つのアスタリスク形を示したが、これに限定する趣旨ではない。
<第5実施形態>
図6は、第5実施形態にかかる冷却用通路16を示した図であり、図6(A)は、冷却用通路16の斜視図、図6(B)は、冷却用通路16の側断面図、図6(C)は、境界層の流線を示す概念図、図6(D)は、図6(B)のV方向から見た垂直断面図である。
本実施の形態にかかる冷却用通路15は、第3実施形態同様、前記冷媒の流れ方向に直交する方向の管体163の断面形状を星型多角形とするものである。
凸部164は、第3実施形態と異なり、冷媒流路161の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に管体163を捻回させて内壁面162に複数の螺旋状の施条を形成し、隣り合う前記施条の間に形成されたリブ状の段差によって構成される。すなわち、管体163の両端を相互に逆方向に回転させて捻じれた形状とすることにより、内壁面162は、前記捻じれた形状に沿って螺旋状の溝(ライフリング)が形成される。前記溝は、前記回転の角度に応じて単一の溝又は並走状の複数の溝が形成され、前記溝に隣接してリブ状の凸部164が形成される。
第1実施形態から第4実施形態で説明した隣接する凸部、すなわち、第1凸部124と第2凸部125、第1凸部134と第2凸部135、第1凸部144と第2凸部145、第1凸部154と第2凸部155は、前記流れ方向に対して離散的に配設された構造であるが、本実施形態における凸部164は、前記流れ方向に対して連続的に配設された構造になっている。したがって、本実施形態における境界層流線F1は、図6(C)で示すとおり、凸部164への到達距離が内壁面162の位置によって相違し、凸部164で発生する前記冷媒の剥離と再付着の作用が、内壁面162の位置によって異なる箇所で生じる。
層流境界層Bの流れ方向に直交する管体162の断面で、凸部164近傍の前記冷媒の挙動を見ると、凸部164に当接する境界層流線F1では、前記冷媒が動かない層を形成する。一方、この動かない層の境界層流線F1に隣接する凸部164に当接していない境界層流線F1では、前記冷媒が動く層を形成する。前記動く層を構成する冷媒が、前記動かない層の冷媒を剥離する作用を及ぼす。
なお、前記ライフリングが形成された管体163の内部空間は、冷媒流路161における前記冷媒の流れに対して旋回運動を与えるため、直進性を高めて安定的な流れを確保することができる。直進性が高く安定的な冷媒の流れを確保することにより、前記剥離と再付着の作用を加速させる。したがって、本実施形態における凸部164は、前記剥離と再付着の作用と前記冷媒の直進性を高める作用とが相俟って、より一層の冷却効率の向上を図ることができる。
<第6実施形態>
図7は、第6実施形態にかかる冷却用通路17を示した図であり、図7(A)は、冷却用通路17の斜視図、図7(B)は、冷却用通路17の側断面図、図7(C)は、境界層の流線を示す概念図、図7(D)は、図7(B)のVI方向から見た垂直断面図である。
本実施の形態にかかる冷却用通路17は、第4実施形態同様、前記冷媒の流れ方向に直交する方向の管体173の断面形状を複数の矩形体を前記軸心で交差させて放射状のアスタリスク形とするものである。
凸部174は、第4実施形態と異なり、冷媒流路171の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に管体173を捻回させて内壁面172に複数の螺旋状の施条を形成し、隣り合う前記施条の間に形成されたリブ状の段差によって構成される。すなわち、管体173の両端を相互に逆方向に回転させて捻じれた形状とすることにより、内壁面172は、前記捻じれた形状に沿って螺旋状の溝(ライフリング)が形成される。前記溝は、前記回転の角度に応じて単一の溝又は並走状の複数の溝が形成され、前記溝に隣接してリブ状の凸部164が形成される。
層流境界層Bの流れ方向に直交する管体172の断面で、凸部174近傍の前記冷媒の挙動は、実施形態5同様、凸部174に当接する境界層流線F1では、前記冷媒が動かない層を形成し、この動かない層の境界層流線F1に隣接する凸部174に当接していない境界層流線F1では、前記冷媒が動く層を形成する。前記動く層を構成する冷媒が、前記動かない層の冷媒を剥離する作用を及ぼす。
なお、前記ライフリングが形成された管体173の内部空間は、冷媒流路171における前記冷媒の流れに対して旋回運動を与えるため、直進性を高めて安定的な流れを確保することができる。直進性が高く安定的な冷媒の流れを確保することにより、前記剥離と再付着の作用を加速させる。さらに、前記断面形状をアスタリスク形とすることで、内壁面172の表面積も拡張する。したがって、本実施形態における凸部174は、前記剥離と再付着の作用と前記冷媒の直進性を高める作用、さらには前記表面積の拡張が相俟って、より一層の冷却効率の向上を図ることができる。
<第7実施形態>
図8は、第7実施形態にかかる冷却用通路18を示した図であり、図8(A)は、冷却用通路18の斜視図、図8(B)は、冷却用通路12の側断面8、図8(C)は、図8(B)のVII-VII’線で切断した垂直断面図である。
本実施形態にかかる冷却用通路18を構成する管体183は、前記冷媒の流れ方向(境界層流線F1及び主流層流線F2の流れ方向)に直交する方向の断面形状が円形である。第1凸部184、第2凸部185は、前記冷媒の流れ方向に直交する方向の冷媒流路181の断面の全体又は一部に形成された格子板によって構成される(図8では、前記格子板を前記断面の全体に形成した例を示しているが、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層Bの流れ方向に対して、内壁面182から直交する範囲でリング状に形成する形態であってもよい)。前記格子板の網目と網目との間は前記冷媒が通過するが、格子の部分は、前記冷媒の層流境界層Bの境界層側流線F1の流れを遮断する作用を奏する。したがって、格子の部分が、第1凸部184、第2凸部185の役割を果たし、前記剥離及び再付着を繰り返す。
なお、前記格子板のメッシュサイズは、特に限定しないが、例えば、層流境界層の流れ方向に対して、内壁面182から直交する範囲のメッシュサイズを小さく設定してもよい(図示せず)。かかる範囲でメッシュサイズを小さくすることで、前記剥離及び再付着がより効果的に促進される。
<射出成形用金型>
図9は、本実施形態にかかる射出成形用金型2を示した説明図であり、図9(A)は斜視図、図9(B)は可動側コアとスライドコアが接合された状態を示す上面図、図9(C)は、可動側コアからスライドコアが切り離された状態を示す上面図である。
本実施形態にかかる射出成形用金型2は、固定側コア21と可動側コア22とスライドコア23を備える。図9(B)で示すとおり、射出成形用金型2は、気相冷媒を流入させる空冷回路10aと液相冷媒を流入させる水冷回路10wを有する。空冷回路10a、水冷回路10wは、第1実施形態から第2実施形態で説明した冷却用通路11、冷却用通路12、冷却用通路13、冷却用通路14、冷却用通路15、冷却用通路16、冷却用通路17、冷却用通路18のいずれかが配設されている。空冷回路10aは、可動側コア22及びスライドコア23に配設され、水冷回路10wは、固定側コア21に配設されている。
図9(C)で示すとおり、スライドコア23を可動側コア22から切り離した状態では、スライドコア23に配設された空冷回路10aもスライドコア23とともに可動側コアから切り離される。このとき、可動側コア22の空冷回路10aの接続口10cは、開放状態になっている。射出成形を行う場合、スライドコア23を可動側コア22に組み込み、スライドコア23側の空冷回路10aは、接続口10cを介して、可動側コア22の空冷回路10aに連接される。一方、固定側コア21の水冷回路10wは、空冷回路10aとは独立して配設されている。したがって、本実施の形態では、固定側コア21の水冷回路10wと可動側コア22及びスライドコア23の空冷回路10aとの各々独立した2系統の回路を有する。
ところで、一般に、水は空気の約20倍熱伝導率が高いため、冷却効率の観点からは、水冷を選択する。一方、水冷の場合、冷媒が漏出すると射出成形用金型2に錆びが発生する。錆びが発生すると、射出成形時に錆びの混入によって成形不良の原因になる。また、水冷回路10wの管内の温度が100℃以上になると、沸騰状態となり、管内圧力が上がって損傷するおそれもある。
可動側コア22及びスライドコア23は、構造上、射出成形時に接続口10cを介して接続する工程が必要となる。したがって、水冷を選択した場合、管内に残存していた水(冷媒)が可動側コア22とスライドコア23の着脱時に漏出し、前記錆び発生の原因になる。そこで、可動側コア22及びスライドコア23は、空冷回路10aを選択することになる。ただし、冷却効率の観点から、固定側コア21で水冷を選択すると、固定側コア21と可動側コア22及びスライドコア23とで冷却むらが発生し、成形不良の原因となる。そこで、空冷回路10aと水冷回路10wの双方又はいずれか一方に、冷却用通路11、冷却用通路12、冷却用通路13、冷却用通路14、冷却用通路15、冷却用通路16、冷却用通路17、冷却用通路18のいずれかを配設すればよい。
以下の実験により、下記条件で各種形状を有するスチール製検体(冷却用通路)に冷媒(エアー)を流入し、冷却効率の違いを確認した。
<実験条件>
・検体の長さ:50mm
・検体の断面積:φ3
・検体の昇温温度:130℃
・エアー温度:35℃
・計測位置:検体の中心から13mm
検体の昇温は、(熱可塑性樹脂に代えて)安定的な温度を確保するため4本のカートリッジヒータを検体の外周から等距離の位置で、かつ、各カートリッジヒータ間を周方向に等間隔で配置した。実験は、ヒータ制御温度(熱電対を用いて各検体の中心から13mmの位置)で、130℃から125℃までの温度変化(5℃の温度降下)の所要時間を計測した。計測値は、上記実験を10回繰り返し、平均値とした。
検体の断面形状は、表1で示すとおり9種類とした。管路断面が、円形のストレート(φ3)、星型多角形のストレート(φ3-1)、アスタリスク形のストレート(φ3-6)は、いずれも、前記管体の内壁面に、冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有しない管体であり、比較データとして測定した。
管路断面が、星型多角形のねじり180°(No.418)及びねじり360°(No.419)は、図6で説明した形状である。No.418は、捻回の回転角度が180°であり、No.419は、捻回の回転角度が360°である。また、管路形状が、アスタリスク形のねじり180°(No.420)及びねじり360°(No.421)は、図7で説明した形状である。No.420は、捻回の回転角度が180°であり、No.421は、捻回の回転角度が360°である。管路形状が、アスタリスク形の形状変化3箇所(No.422)及び形状変化7箇所(No.423)は、図5で説明した形状である。No.422は、図5で説明した段差から構成される凸部の数が3箇所であり、No.423は、前記段差から構成される凸部の数が7箇所である。
表1縦軸は、130℃から125℃まで5℃の温度変化(冷却)に要した時間(秒)であり、横軸は、各検体の断面形状である。
表1によれば、各比較データの冷却に要した時間は、φ3が40.9秒、φ3-1が、32.4秒、φ3-6が23.4秒であった。各比較データ間の時間の違いは、表面積の違いに起因する。φ3に比べて、φ3-1は約21%、φ3-6は約43%の冷却時間の短縮効果が得られたことがわかる。
図6で説明した形状について冷却に要した時間は、No.418が25.9秒、No.419が26.1秒であった。したがって、φ3に比べて、No.418は約37%、No.419は約36%の短縮効果が得られたことがわかる。また、断面形状が同じ星型多角形で比較しても、φ3-1に比べて、No.418は約21%、No.419は約20%の短縮効果が得られたことがわかる。
図5で説明した形状について冷却に要した時間は、No.422は23.4秒、No.423は21.6秒であった。したがって、φ3に比べて、No.422は約43%、No.423は約47%の短縮効果が得られたことがわかる。また、断面形状が同じアスタリスク形で比較すると、φ3-6に比べて、No.422は同じ所要時間であったが、No.423については約8%の短縮効果が得られたことがわかる。
図7で説明した形状について冷却に要した時間は、No.420が22.5秒、No.421が21.1秒であった。したがって、φ3に比べて、No.420は約45%、No.421は約48%の短縮効果が得られたことがわかる。また、断面形状が同じアスタリスク形で比較しても、φ3-6に比べて、No.420は約4%、No.421は約10%の短縮効果が得られたことがわかる。
この明細書で開示された技術は、前記実施形態に制限されない。すなわち、例示的に示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。また、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。さらに、開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
2 射出成形用金型
21 固定側コア
22 可動側コア
23 スライドコア
10a 空冷回路
10c 接続口
10w 水冷回路
11、12、13、14、15、16、17、18 冷却用通路
111、121、131、141、151、161、171、181 冷媒流路
112、122、132、142、152、162、172、182 内壁面
113、123、133、143、153、163、173、183 管体
114、164、174 凸部
124、134、144、154、184 第1凸部
125、135、145、155、185 第2凸部
A 逆流領域
B 層流境界層
C 軸心
E1 第1偏心位置
E2 第2偏心位置
F1 境界層流線
F2 主流層流線
M 主流層
R 再付着領域
S 剥離空間

Claims (10)

  1. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する前記管体の断面形状を円形とし、前記流れ方向に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、前記円形の径方向に突出するように前記管体を屈曲させて形成された前記管体の内壁面の段差によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する冷却用通路。
  2. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の前記管体の断面形状を楕円形とし、前記流れ方向に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、前記管体の軸心を中心として前記楕円形の周方向に所定の角度で回転することにより突出するように屈曲させて形成された前記管体の内壁面の段差によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する冷却用通路。
  3. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の前記管体の断面形状を星形多角形とし、前記流れ方向に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、前記管体の軸心を中心として前記星形多角形の周方向に所定の角度で回転することにより突出するように屈曲させて形成された前記管体の内壁面の段差によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する冷却用通路。
  4. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の前記管体の断面形状を複数の矩形体を前記管体の軸心で交差させて放射状のアスタリスク形とし、前記流れ方向に所定の厚さを有する切出し片状の壁部を、前記管体の軸心を中心として前記アスタリスク形の周方向に所定の角度で回転することにより突出するように屈曲させて形成された前記管体の内壁面の段差によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する冷却用通路。
  5. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の前記管体の断面形状を星型多角形とするとともに、前記流れ方向に前記管体を捻回させて、前記管体の内壁面に複数の螺旋状の施条を形成し、隣り合う前記施条の間に形成されたリブ状の段差によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する冷却用通路。
  6. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の前記管体の断面形状をアスタリスク形とするとともに、前記流れ方向に前記管体を捻回させて、前記管体の内壁面に複数の螺旋状の施条を形成し、隣り合う前記施条の間に形成されたリブ状の段差によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する冷却用通路。
  7. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の冷媒流路の断面の全体又は断面の一部で前記管体の内壁面にリング状に形成された所定のメッシュサイズを有する格子板によって、前記内壁面に、前記冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交し、前記冷媒の流れを遮断する凸部を有する冷却用通路。
  8. 前記凸部は、前記冷媒流路の流れ方向に、所定の間隔で複数個所に形成された請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の冷却用通路。
  9. 射出成形用金型の成型エリアを包囲して冷媒流路を形成する中空筒状の管体で構成され、前記冷媒流路における冷媒の流れ方向に直交する方向の前記管体の断面形状をアスタリスク形とするとともに、前記流れ方向に前記管体を捻回させて、前記管体の内壁面に複数の螺旋状の施条を形成し、隣り合う前記施条の間に形成されたリブ状の段差によって、前記管体の内壁面に、冷媒の流入によって生じる層流境界層の流れ方向に対して直交して形成された凸部を有する冷却用通路が配設された射出成形用金型。
  10. 前記冷却用通路が、前記冷媒として気相冷媒を流入させる空冷回路と、液相冷媒を流入させる水冷回路との2系統の回路から構成された請求項記載の射出成形用金型。
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