JP7702239B2 - アルカリ水電解用隔膜、及び、その製造方法 - Google Patents
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Description
また近年、水電解装置において、電解効率が良好な構造として、電極間の距離を小さくするために隔膜と電極が接したセル構造である、ゼロギャップ構造が知られている。ゼロギャップ構造では、電極や隔膜の表面に気泡がより一層滞留しやすくなり、隔膜由来による電解効率の低下がより顕著となる。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、少なくとも一方の隔膜表面において、陥没部位の平均面積が7μm2以下であり、かつ、上記隔膜表面における陥没部位の面積割合が20%以下であることを特徴とする。本発明のアルカリ水電解用隔膜は、少なくとも一方の隔膜表面の状態を特定範囲とすることにより、電解時に発生する酸素ガス及び水素ガスの気泡の隔膜での滞留が良好に抑制されるため、上記隔膜を用いた電解装置の電解効率を高めることができる。本発明のアルカリ水電解用隔膜が気泡の滞留抑制に優れるのは、本発明のアルカリ水電解用隔膜の表面状態を上記の特定範囲にすることで、隔膜表面は比較的平滑になり、アルカリ水電解で発生する気泡サイズが滞留する空間が少なくなるため、酸素ガスや水素ガスの気泡の滞留抑制が良好になると考えられる。
また、上記基準面に対して隆起部位がある場合、Z方向高さが+1.5μm以上の隆起部位に囲まれて形成される窪み部分は電極と接した場合、上記基準面との空間を有することから、当該窪み部分もまた、陥没部位と見なすことができ、これを「陥没部位B」とする。本発明における「陥没部位」は、上記「陥没部位A」と「陥没部位B」の両方を含む。
上記基準面は、レーザー顕微鏡の観察視野における計測解析より決定することができる。具体的には、レーザー顕微鏡VK9700(キーエンス社製)の対物150倍にて取得した観察像について、解析ソフトVK Analyzer VK-H1A1(キーエンス社製)を用いて、15000μm2を計測領域として指定し、最小2乗法の解析を実行することで求められる。
上記陥没部位の平均面積は、気泡の滞留をより一層抑制することができる点で、5μm2以下であることが好ましく、4μm2以下であることが更に好ましい。
上記陥没部位の平均面積は、レーザー顕微鏡(例えば、VK9700、キーエンス社製)によって得られた観察像(対物150倍)を、解析ソフト(例えば、VK Analyzer VK-H1A1、キーエンス社製)を用いて画像解析することにより求めることができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定して求めることができる。
上述のとおり、上記陥没部位には、「陥没部位A」と「陥没部位B」が含まれる。従って、上記陥没部位の面積割合とは、陥没部位Aの面積割合と陥没部位Bの面積割合の合計となる。
上記陥没部位の面積割合は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
上記陥没部位の面積割合は、レーザー顕微鏡(例えば、VK9700、キーエンス社製)によって得られた観察像(対物150倍)を、解析ソフト(例えば、VK Analyzer VK-H1A1、キーエンス社製)を用いて画像解析することにより、隔膜表面の観察視野全体の面積に対する、上記観察視野に存在する陥没部位(A及びB)の合計面積の割合(%)を算出して求めることができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定して求めることができる。
上記隔膜表面の算術平均粗さRaは、JIS B0601:2001に準拠した方法で、レーザー顕微鏡等を用いて測定して求めることができる値であり、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定して求めることができる。
上記有機高分子樹脂としては、アルカリ水電解用隔膜に通常使用される有機高分子樹脂であれば特に制限されず、例えば、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂等が挙げられる。上記有機高分子樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上を組み合わせたものであってもよい。なかでも、上記有機高分子樹脂は、耐熱性や耐アルカリ性に優れる点で、芳香族炭化水素系樹脂を含むことが好ましい。
上記アルカリ水電解用隔膜が無機粒子を含むことにより、隔膜が親水化され、酸素ガスや水素ガスの気泡の隔膜表面への付着を抑制することができる。
上記無機粒子としては、例えば、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、タンタル等の金属水酸化物又は金属酸化物;カルシウム、バリウム、鉛、ストロンチウム等の硫酸塩;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の窒化物;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の炭化物等が挙げられる。上記無機粒子は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでもよい。
なかでも、隔膜を親水化させることで、イオン透過性に優れ、ガスの付着を抑制することができる点で、金属水酸化物又は金属酸化物が好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化チタンがより好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、酸化チタンが更に好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化チタンがより更に好ましく、水酸化マグネシウムが特に好ましい。
上記平均粒子径は、レーザー回折法による粒度分布測定から求められる体積平均粒子径(D50)である。具体的には、平均粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「型番LA-920」)を用いて粒度分布を測定し、体積基準の粒度分布におけるメジアン径(D50)を平均粒子径とする。なお、粒子をエタノールに混合し超音波照射して分散させたものを測定試料とする。
上記アスペクト比とは、最長径(a)と最短径(b)との比[(a)/(b)]を意味し、水酸化マグネシウムの粒子をSEMで観察し、得られた画像の任意の10粒子において、解析ソフト等を使用して、各粒子の最長径(a)と最短径(b)との比[(a)/(b)]を測定し、それらの比の単純平均値をその粒子のアスペクト比として求めることができる。通常、最長径(a)の中点を通って最長径と直交する径のうちの最も短い径を最短径(b)とすることが好ましい。
上記最長径(a)としては、例えば、粒子の形状が薄片状や六角板状等の板状の場合、粒子の板面の長径を採用し、繊維状である場合は、繊維の長さを採用する。
上記最短径(b)としては、例えば、粒子の形状が薄片状や六角板状等の板状の場合は、粒子の厚みを採用し、繊維状である場合は、繊維の太さを採用する。粒子の厚み及び繊維の太さとしては、最長径aの中点における厚み、太さをそれぞれ採用することが好ましい。
上記(110)面に垂直な方向の結晶子径は、40nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることが更に好ましく、65nm以上であることが特に好ましい。
上記(110)面に垂直な方向の結晶子径は、その上限値は特に限定されないが、通常は例えば400nm以下であり、好ましくは350nm以下、更に好ましくは300nm以下である。
上記(001)面に垂直な方向の結晶子径は、18nm以上であることがより好ましく、21nm以上であることが更に好ましく、24nm以上であることが特に好ましい。
上記(001)面に垂直な方向の結晶子径は、その上限値は特に限定されないが、通常は例えば300nm以下であり、好ましくは250nm以下、更に好ましくは200nm以下である。
マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム等)の水溶液、又は、従来公知の方法で得られた酸化マグネシウムの水分散液を原料とし、アルカリ性物質(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水等)の添加により、水和反応を行うことで水酸化マグネシウムを調製する。この際に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、硝酸、硫酸等の多塩基酸、又は、これらの混合物の添加により、生成した水酸化マグネシウムの溶解度を調整したり、水熱反応の温度(例えば150℃から270℃)や時間(例えば30分~10時間)を適宜調整したりすることにより、結晶子径の異なる粒子を調製できる。酸の添加量が多い方が結晶成長は進み、結晶子径が大きくなる。また、水熱反応の温度は高い方が、時間は長い方が、結晶成長が進み、結晶子径は大きくなる。
上記アルカリ水電解用隔膜は、更に、多孔性支持体を含んでいてもよい。上記多孔性支持体は、多孔質であり、イオン透過性を有し、アルカリ水電解用隔膜の支持体となりうる。上記多孔性支持体を更に含むことにより、上記多孔膜の強度が向上し、アルカリ水電解用隔膜の強度を向上させることができ、電解中のイオン透過膜の破損等を抑制することができる。上記多孔性支持体は、シート状の部材であることが好ましい。
上記多孔性支持体は、塗膜との密着性を向上させる点で、ガス処理や繊維油剤等で親水化処理されているものが好ましい。
上記気孔率は、アルカリ水電解用隔膜を終夜で電解液に浸漬させ、吸液前後の隔膜の質量によって求めることができる。具体的には、下記の式によって求めることができる。
気孔率(体積%)=(浸漬後の隔膜の質量-浸漬前の隔膜の質量)/電解液の密度/隔膜の体積×100
上記空孔の大きさは、アルカリ水電解用隔膜のFE-SEM測定による表面観察画像(倍率×25000)から測定して求めることができる。具体的には、上記アルカリ水電解用隔膜のFE-SEM画像における任意の空隙10点について、解析ソフト(Image-Pro Premier、日本ローパー社製)を使用して、選択した各空隙の重心を通るような直径を空孔の大きさとして測定し、平均値を算出して求める。
本発明のアルカリ水電解用隔膜を製造する方法について説明する。
本発明のアルカリ水電解用隔膜を製造する方法としては、特に制限されず、公知の方法を適用することができるが、上述した表面状態を有する隔膜を効率良く製造することができる点で、非溶媒誘起相分離法が好ましく、具体的には、下記の工程(1)~(4)を含む製造方法が好ましい。
(1)有機高分子樹脂、無機粒子、及び、溶媒を含む分散溶液を調製する工程
(2)上記分散溶液を用いて塗膜を形成する工程
(3)上記塗膜を、上記有機高分子樹脂に対する非溶媒に接触させて上記塗膜を凝固させる工程
(4)上記凝固した塗膜を乾燥させて多孔膜を得る工程
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法の各工程について、以下に説明する。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法は、有機高分子樹脂、無機粒子、及び、溶媒を含む分散溶液を調製する工程(1)を含む。上記分散溶液は、上述した有機高分子樹脂と無機粒子を含む多孔膜を形成するための溶液である。上記有機高分子樹脂、及び、無機粒子は、「1.アルカリ水電解用隔膜」において記載した有機高分子樹脂及び無機粒子とそれぞれ同様のものである。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法は、次いで、上記工程(1)で得られた分散溶液を用いて塗膜を形成する工程(2)を含む。
上記塗膜を形成する方法としては、例えば、上記分散溶液を基材上に塗布する方法等が挙げられる。
上記塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、ダイコーティング、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スプレー、アプリケーター、コーター等を用いる方法等の公知の塗布手段が挙げられる。
上記絶対湿度の下限値は、特に制限されず、0g/m3であっても構わないが、経済性に優れる観点から、通常、0.5g/m3以上であることが好ましく、1.0g/m3以上であることがより好ましい。
上記絶対湿度は、塗膜を形成する作業雰囲気温度における相対湿度と飽和水蒸気量を掛けることにより求めることができる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法は、上記工程(2)で形成した塗膜を、上記有機高分子樹脂に対する非溶媒に接触させて塗膜を凝固させる工程(3)を含む。
上記塗膜を、上記有機高分子樹脂に対する非溶媒と接触させることにより、上記塗膜中に上記非溶媒が拡散し、上記非溶媒に溶解しない有機高分子樹脂は凝固する。一方で、上記非溶媒に溶解しうる塗膜中の溶媒は、塗膜から溶出する。このような相分離が生じることにより、有機高分子樹脂が凝固し、孔を有する膜(多孔膜)が形成される。
上記非溶媒としては、例えば、純水、蒸留水、イオン交換水等の水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール等の低級アルコール;又はこれらの混合溶媒等が挙げられ、なかでも経済性と排液処理の観点から水が好ましく、イオン交換水がより好ましい。また上記塗膜を浸漬させる非溶媒中には、上述した成分以外に、塗膜中に含まれる溶媒と同様の溶媒が少量含まれていてもよい。
上記接触速度は、上記塗膜を搬送するローラーの周速等により設定することができる。
上記絶対湿度の下限値は、特に制限されず、0g/m3であっても構わないが、経済性に優れる観点から、通常、0.5g/m3以上であることが好ましく、1.0g/m3以上であることがより好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法は、更に、上記工程(3)で凝固した塗膜を乾燥させて多孔膜を得る工程(4)を含む。工程(3)で凝固した塗膜を乾燥させて、上記非溶媒を除去することにより、多孔膜を得ることができる。
乾燥温度としては、60~120℃が好ましく、70~100℃がより好ましい。
乾燥時間としては、2~120分が好ましく、5~60分がより好ましく、10~30分が更に好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、電解時に発生する気泡の滞留が好適に抑制される。また、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、イオン透過性、ガスバリア性、耐アルカリ性にも優れるものである。本発明のアルカリ水電解用隔膜は、アルカリ性水溶液を電解液とした水の電気分解用の隔膜として好適に使用することができる。
以下に、本発明のアルカリ水電解用隔膜を使用した電解装置と電解方法について説明する。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、アルカリ水電解装置の部材として用いられる。上記アルカリ水電解装置としては、例えば、陽極、陰極、及び、陽極と陰極の間に配置された上記アルカリ水電解用隔膜を含むものが挙げられる。より具体的には、上記アルカリ水電解装置は、上記アルカリ水電解用隔膜によって隔てられた、陽極が存在する陽極室と、陰極が存在する陰極室とを備えた電解槽を有する。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、気泡の滞留が良好に抑制されるので、気泡サイズが小さくなる高圧型システムにおいても好適に使用することができる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置を用いて行う水の電気分解の方法は、特に制限されず、公知の方法で行うことができる。例えば、上述した本発明のアルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置に、電解液を充填し、電解液中で電流を印加することにより行うことができる。
電解電圧は、約2Vとなるように、例えば1.5~2.5Vを越えない範囲で、電流密度が高くなるように調整されることが好ましい。
(膜厚の測定方法)
得られたアルカリ水電解用隔膜の厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定した。隔膜サンプル5cm□の任意10点を測定し、その平均値を膜厚とした。
レーザー顕微鏡VK9700(キーエンス社製)を用いて、隔膜サンプル5cm□の任意の10視野について、対物150倍にて隔膜表面の観察像を取得した。それぞれの取得像について解析ソフトVK Analyzer VK-H1A1(キーエンス社製)を用いて、観察視野の対角線上に対して線粗さ計測の高さ解析を行い、得られた断面プロファイルから基準面からZ方向(高さ方向)に-1.5μmである地点を基準点Aと定めた。この基準点Aは3点以上あることが解析上好ましい。その後、取得像について画像解析ソフト(Image-Pro Premier、日本ローパー社製)を使用して、上記基準面から、上記基準点Aよりも離れた地点(Z方向に≦-1.5μmである地点)を暗色で示し、上記で定めた基準点Aよりも暗色である箇所を自動抽出で2値化を行った。暗色箇所のそれぞれの陥没部位の面積を求め、その単純平均(数平均)から「1視野における陥没部位Aの平均面積」を算出し、またそれぞれの陥没部位Aの面積の合計について観察視野全体の面積に対する割合、すなわち、「1視野における陥没部位Aの面積割合」を算出した。合計10視野について同様の画像解析を行い、各視野における陥没部位Aの平均面積及び面積割合について、それぞれの単純平均値(数平均)を求め、これを隔膜サンプルの「陥没部位Aの平均面積」、「陥没部位Aの面積割合」とした。
VK9700(キーエンス社製)を用いて、隔膜サンプル5cm□の任意の10視野について対物150倍にて隔膜表面の観察像を取得した。それぞれの取得像について解析ソフトVK Analyzer VK-H1A1(キーエンス社製)を用いて、観察視野全体を指定し、JIS B0601:2001に準拠した方法で計測を行った。合計10視野計測し、その単純平均値をその隔膜の表面粗さの代表値とした。
得られたアルカリ水電解用隔膜のアルカリ水電解評価を以下のように行った。アノード電極には3cm×3cmに切り出した白金メッシュ(ニラコ社製、品番PT-358056/55メッシュ)を使用した。カソード電極には、3cm×3cmに切り出したニッケルメッシュ(ニラコ社製、品番NI-318040/40メッシュ)を使用した。上記白金メッシュを、得られたアルカリ水電解用隔膜に接するように当て(ゼロギャップ構造)、電解槽を組み立てる際にずれないように固定した。上記隔膜によってカソード電極室とアノード電極室が仕切られるように、電解槽を組み立てた。電解液として、濃度30重量%の水酸化カリウム水溶液を用いた。まず、電解液で電解槽を満たした後、循環と加温を行って、電解槽に流入する直前に設置した温度計による液温が40℃になるように調整を行った。電解液が40℃に達し、30分以上経過した後に電流密度を0.3A/cm2、定電流密度にて10分間連続して印加した。その後、電流密度を0.5A/cm2に増加させ、1分ごとの電圧を記録し、収集した連続する5点の電圧が、5点の平均値の±3%以内に安定するまで保持した。電圧の安定が確認できた後、1分ごとに10点の電圧測定を行い、測定値10点の平均値を算出した。
(1.水酸化マグネシウム分散液の調製)
水酸化マグネシウム(平均粒子径0.20μm、板状、アスペクト比6.21)とN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)を質量比1:1となるよう混合し、ジルコニアメディアボールを入れたポットミルにて、室温で6時間分散処理を行うことにより水酸化マグネシウム分散液を調製した。
ポリスルホン樹脂(BASF社製、品番ウルトラゾーンS3010)を30質量%の濃度でN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)に溶解させた。
上記で得られた水酸化マグネシウム分散液とポリスルホン樹脂溶解液とを、固形分が48質量%かつ水酸化マグネシウム100質量部に対してポリスルホン樹脂(PSU)が25質量部になるように計量し、自転公転ミキサー(シンキー社製、品番あわとり練太郎ARE-500)にて室温で、1000rpmで約10分間混合した。得られた混合液を、SUSの200メッシュで濾過することで塗液を得た。
絶対湿度12.7g/m3の雰囲気下において、ポリフェニレンサルファイド不織布(東レ社製、トルコンペーパー#100)を、ライン速度3.0m/分になるように自動搬送ローラーの周速を設定し、得られた塗液を、乾燥後の隔膜の厚みが全体で250μmになるように走行シート上に直接塗布し、不織布に塗液を含浸させた。塗液を含浸させた不織布を、水槽の水面に対して垂直に侵入させ、その後5分間水浴させ、塗液を凝固させて膜を形成した。水浴後、得られた膜を、乾燥機にて80℃で、10分間乾燥し、不織布と水酸化マグネシウム及びポリスルホン樹脂を含む膜との複合体からなるアルカリ水電解用隔膜を得た。
得られた隔膜の陥没部位Aの平均面積は3.3μm2であり、陥没部位Aの面積割合は9.0%であり、陥没部位Bの平均面積は0.8μm2であり、陥没部位Bの面積割合は0.7%であり、算術平均粗さRaは0.47μmであった。電気特性評価を行い、0.5A/cm2におけるセル電圧は1.81Vであった。
また、図1に、得られたアルカリ水電解用隔膜の、レーザー顕微鏡(対物150倍)による隔膜表面の観察像を示す。
実施例1(3.塗液の調製)において、水酸化マグネシウム100質量部に対してPSUが50質量部になるようにした以外は、実施例1と同様にアルカリ水電解用隔膜を作製した。得られた隔膜の陥没部位Aの平均面積は2.1μm2であり、陥没部位Aの面積割合は12.4%であり、陥没部位Bの平均面積は0.9μm2であり、陥没部位Bの面積割合は0.5%であり、算術平均粗さRaは0.39μmであった。電気特性評価を行い、0.5A/cm2におけるセル電圧は1.88Vであった。
実施例1(4.塗膜の形成)において、絶対湿度を3.5g/m3に変更した以外は実施例1と同様にアルカリ水電解用隔膜を作製した。得られた隔膜の陥没部位Aの平均面積は0.9μm2であり、陥没部位Aの面積割合は8.5%であり、陥没部位Bはなく、算術平均粗さRaは0.34μmであった。電気特性評価を行い、0.5A/cm2におけるセル電圧は1.80Vであった。
実施例1(4.塗膜の形成)において、ライン速度を0.3m/分、絶対湿度を19.5g/m3に変更した以外は実施例1と同様にアルカリ水電解用隔膜を作製した。得られた隔膜の陥没部位Aの平均面積は5.9μm2であり、陥没部位Aの面積割合は12.7%であり、陥没部位Bの平均面積は0.9μm2であり、陥没部位Bの面積割合は6.8%であり、算術平均粗さRaは0.77μmであった。電気特性評価を行い、0.5A/cm2におけるセル電圧は1.89Vであった。
実施例1(4.塗膜の形成)において、絶対湿度を20.9g/m3に変更した以外は実施例1と同様にアルカリ水電解用隔膜を作製した。得られた隔膜の陥没部位Aの平均面積は10.1μm2であり、陥没部位Aの面積割合は23.8%であり、陥没部位Bの平均面積は3.1μm2であり、陥没部位Bの面積割合は1.2%であり、算術平均粗さRaは0.82μmであった。電気特性評価を行い、0.5A/cm2におけるセル電圧は2.03Vであった。
実施例1(4.塗膜の形成)において、ライン速度を0.2m/分に変更した以外は実施例1と同様にアルカリ水電解用隔膜を作製した。得られた隔膜の陥没部位Aの平均面積は8.2μm2であり、陥没部位Aの面積割合は21.4%であり、陥没部位Bの平均面積は2.7μm2であり、陥没部位Bの面積割合は2.8%であり、算術平均粗さRaは0.96μmであった。電気特性評価を行い、0.5A/cm2におけるセル電圧は2.08Vであった。
比較例1において、ライン速度を0.2m/分に変更した以外は比較例1と同様にアルカリ水電解用隔膜を作製した。得られた隔膜の陥没部位Aの平均面積は8.6μm2であり、陥没部位Aの面積割合は21.4%であり、陥没部位Bの平均面積は5.0μm2であり、陥没部位Bの面積割合は3.7%であり、算術平均粗さRaは1.25μmであった。電気特性評価を行い、0.5A/cm2におけるセル電圧は2.08Vであった。
Claims (6)
- 少なくとも一方の隔膜表面において、陥没部位の平均面積が7μm2以下であり、かつ、該隔膜表面における陥没部位の面積割合が20%以下であるアルカリ水電解用隔膜を、陽極及び陰極を有する電解装置に設置するアルカリ水電解用隔膜の使用方法であって、
該アルカリ水電解用隔膜は、有機高分子樹脂、及び、無機粒子を含む多孔膜と、多孔性支持体とを有し、該多孔膜が該多孔性支持体の片面のみに積層されているものであり、
該陽極及び該陰極と接するように設置することを特徴とするアルカリ水電解用隔膜の使用方法。 - 隔膜表面の算術平均粗さRaが0.8μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ水電解用隔膜の使用方法。
- 前記アルカリ水電解用隔膜は、有機高分子樹脂、及び、無機粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ水電解用隔膜の使用方法。
- 前記無機粒子は、金属水酸化物粒子、及び/又は、金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項3に記載のアルカリ水電解用隔膜の使用方法。
- 前記有機高分子樹脂は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及び、ポリフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項3又は4に記載のアルカリ水電解用隔膜の使用方法。
- 陽極、陰極、及び、該陽極と該陰極の間に配置されたアルカリ水電解用隔膜を含むアルカリ水電解装置であって、
該アルカリ水電解用隔膜は、有機高分子樹脂、及び、無機粒子を含む多孔膜と、多孔性支持体とを有し、該多孔膜が該多孔性支持体の片面のみに積層されているものであるとともに、少なくとも一方の隔膜表面において、陥没部位の平均面積が7μm2以下であり、かつ、該隔膜表面における陥没部位の面積割合が20%以下であり、該陽極及び該陰極と接するように設置されることを特徴とするアルカリ水電解装置。
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