JP7702782B2 - フィルタ用基材 - Google Patents
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Description
「洗浄して再使用できるフィルタを構成するための、繊維層と芯鞘型繊維からなる油剤が付与されているスパンボンド不織布とが積層してなるフィルタ用基材であって、
前記繊維層の構成繊維は連続繊維のみであり、
前記繊維層は構成繊維として、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した連続繊維を含んでおり、
前記繊維層を構成する連続繊維の平均繊維径が、130nmより大きく450nm未満であり、
前記芯鞘型繊維の鞘成分によって前記繊維層と前記スパンボンド不織布が溶融接着している、
フィルタ用基材(但し、前記繊維層の構成繊維がイオン性界面活性剤を含有しているものを除く)。」
である。
例えば、厚さは0.1μm~200μmであることができ、0.2μm~150μmであることができ、0.2μm~100μmであることができ、0.2μm~50μmであることができる。なお、本発明でいう「厚さ」は、JIS B7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0~25mm)を用いて、JIS C2111 5.1(1)の測定法で、無作為に選んで測定した10点の平均値をいう。
例えば、目付は0.05~50g/m2であることができ、0.1~30g/m2であることができ、0.1~20g/m2であることができ、0.1~10g/m2であることができる。なお、本発明の「目付」は、JIS L1085に準じて10cm×10cmとして測定した値を意味する。
(1)フィルタ用基材を厚さ方向に切断した断面の、電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を撮影する。
(2)撮影された電子顕微鏡写真を目視で確認し、フィルタ用基材を構成する各層が有する厚さを測る。なお、ここでいう厚さとは、撮影された電子顕微鏡写真に写るフィルタ用基材の両主面を最短距離で結ぶ線分と、各層における一方の主面との交点(A)からもう一方の主面との交点(B)までの最短距離の長さを指す。
(3)各層のうち、繊維ウェブや不織布の層といった繊維で構成された層を繊維層とし、上述した(2)工程の方法を用いて当該繊維層の交点(A)と交点(B)間の最短距離の長さを求め、これを繊維層の厚さとする。
(1)フィルタ用基材を厚さ方向に切断した断面の、電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を撮影する。
(2)撮影された電子顕微鏡写真を目視で確認し、フィルタ用基材が繊維層を有しているか否か確認する。
(3)フィルタ用基材が繊維層を有している場合には、当該繊維層や他の層を構成する成分を確認する。なお、繊維層を構成する成分(例えば、繊維層を構成している繊維の構成樹脂の種類や構成繊維同士を接着しているバインダの種類)や他の層を構成する成分は、フィルタ用基材から採取した繊維層や他の層をIR、DSC、NMR、MS、ラマン分光、元素分析、燃焼試験など公知の各種分析装置や分析方法へ供することで求めることができる。
(4)繊維層を溶解することなく繊維層以外の層(他の層)を溶解可能な溶媒(例えば、極性溶媒であるDMF、DMAc、NMPなどを使用し得る)を選出し、当該溶媒にフィルタ用基材を浸漬することで繊維層以外を当該溶媒に溶解させる。溶媒から残留物を取り出し、溶媒除去後における残留物の目付を繊維層の目付とする。なお、繊維層を溶解することなく繊維層以外の層(他の層)を溶解可能な溶媒が存在しない場合には、繊維層のみを溶解可能な溶媒を選出し、当該溶媒にフィルタ用基材を浸漬することで繊維層のみを当該溶媒に溶解させる。溶媒から残留物を取り出し、溶媒除去後における残留物の目付をフィルタ用基材の目付から引き、算出された値を繊維層の目付とする。
(強度の測定方法)
(1)測定対象から長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。このとき、測定対象の生産方向が判明している場合には、当該生産方向と測定対象の長辺方向が平行を成すようにして、試料を採取した。なお、測定対象の生産方向が判明していない場合には、測定対象の主面と試料の長辺が平行をなすようにして、測定対象の様々な方向から複数の試料を採取し、次に説明する最大応力の測定へ各試料を供した結果、最も高い最大応力を示した試料における長辺と平行をなす測定対象の方向を、測定対象の生産方向とした。
(2)引張り試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロン(登録商標)、TM-111-100)を使用し、つかみ間隔100mm、引張り速度50mm/min.の条件で、試料に破断が生じるまで長辺方向へ引張った。
(3)試料が破断するまでに測定される最大応力を「強度」とした。このようにして、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(MD方向)の強度(N/50mm)を測定した。
(4)測定対象から、測定対象における前記試料の長辺方向と平行を成す方向に対し、短辺方向が平行を成すようにして新たに長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。このとき、測定対象の生産方向が判明している場合には、当該生産方向と測定対象の短辺方向が平行を成すようにして、試料を採取した。
(5)上述した(4)の工程で採取した試料を(2)~(3)の工程へ供することで、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(CD方向)の強度(N/50mm)を測定した。
(1)PVDFホモポリマーを溶媒へ溶解させて調製した紡糸液、あるいは、PVDFホモポリマーを分散媒へ分散させて調製した紡糸液を用意する工程、
(2)紡糸液を静電紡糸装置へ供し細径化することで紡糸し、捕集して繊維ウェブを調製する工程、
(3)繊維ウェブに残留する溶媒あるいは分散媒を除去して、PVDFホモポリマー繊維を含んだ平均繊維径が130nmよりも大きく450nm未満である繊維層を調製する工程、
を備えるフィルタ用基材の製造方法を用いることができる。
溶媒あるいは分散媒の種類は適宜選択するものであるが、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、ピリジン、ギ酸、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。なお、溶媒あるいは分散媒は一種類であっても、複数種類混合してなる混合溶媒あるいは混合分散媒であってもよい。
紡糸液を細径化することで紡糸する方法は、求める繊維層を調製できるよう適宜選択するが、例えば、直接紡糸法を採用できる。静電紡糸法を採用する場合、紡糸液に電圧を付与すると共に、該紡糸液の吐出部分と離間させ設けた金属板などの対抗電極へ該電圧と反対の電圧を付与することで、紡糸液を対抗電極へ向け飛翔させ細径化させる。そして、細径化した紡糸液を捕集体へ捕集することで、捕集体上に繊維ウェブを形成する。なお、上述した金属板などの対向電極を捕集体としてもよいが、対向電極上に敷いたスパンボンド不織布などの基材上に繊維ウェブを形成することで、基材と繊維ウェブの積層体を調製できる。このようにして調製した基材と繊維ウェブの積層体を次の工程へ供することで、基材と繊維層の積層体からなるフィルタ用基材を容易に調製でき好ましい。
繊維ウェブに残留する溶媒あるいは分散媒を除去する方法は適宜選択できるが、一例として、繊維ウェブを加熱装置へ供する方法を採用できる。なお、加熱装置の種類は適宜選択でき、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する装置、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、赤外線を照射し加熱できる装置などを用いた方法を採用できる。加熱装置による加熱温度は適宜選択するが、残留している溶媒あるいは分散媒を揮発させ除去可能であると共に、構成繊維などの構成成分が意図せず分解や変性しない温度であるように適宜調整する。
以下のポリマーをジメチルホルムアミド(沸点:153℃)に溶解させ、固形分濃度が14質量%の紡糸液A~Bを調製した。各紡糸液に含まれているポリマーの種類は以下の通りである。なお、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重体は、PVDFホモポリマーではない。
・紡糸液A:フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重体(ASTM D638プラスチック引張試験方法の標準法に基づき測定される破断強度が、25MPaのフィルムを調製可能な樹脂)
・紡糸液B:PVDFホモポリマー(ASTM D638プラスチック引張試験方法の標準法に基づき測定される破断強度が、45MPaのフィルムを調製可能な樹脂)
紡糸液Aを以下の紡糸条件へ供することで静電紡糸し、基材上に捕集することで、連続繊維からなる繊維ウェブと基材が積層してなる積層ウェブを調製した。
・金属製ノズル(紡糸液吐出部分)における、紡糸液吐出部分の形状:内径0.44mmの円形状
・金属製ノズルの先端と、捕集体(金属板)との距離:10cm
・紡糸液へ印加した電圧:15kV
・金属製ノズルから吐出された紡糸液:1g/時間
・静電紡糸環境の雰囲気:温度25℃、湿度30%RH
・基材:芯部がポリエステル(融点:260℃)、鞘部がポリエチレン(融点:130℃)の芯鞘型繊維からなるスパンボンド不織布(目付:15g/m2、MD方向の強度:38N/50mm、CD方向の強度:16N/50mm、油剤が付与されており繊維捕集面側の主面における表面抵抗は3.5×1012Ω)
そして、調製した積層ウェブを、表面温度を130℃に調整した加熱ロールと接触させ、積層ウェブに残留する溶媒を除去すると共に、スパンボンド不織布における芯鞘型繊維の鞘成分を融解させることで繊維ウェブと基材を接着一体化して、不織布を調製した。
紡糸液Aの代わりに紡糸液Bを用いたこと以外は、比較例1と同様にして不織布を調製した。
フィルタ用基材から試験片を採取した。そして、採取した試験片を柴田科学株式会社製の測定装置「AP-9000」に装着した。なお、フィルタ用基材における繊維層側の主面が上流側に面するようにして、試験片を測定装置に装着した。
まず、試験片の有効ろ過面積44cm2あたり毎分40リットルとなるよう試験流量を調整(例えば、有効ろ過面積が4.4cm2の試験片へ供給する試験流量は毎分4リットル)し、試験片における上流と下流との差圧を測定し、測定された差圧から試験片の初期圧力損失(単位:Pa)を求めた。なお、初期圧力損失の値が低いフィルタ用基材であるほど、通気性に優れるフィルタやマスクを提供できる。
次いで、試験片の有効ろ過面積44cm2あたり毎分30リットルとなるよう試験流量を調整(例えば、有効ろ過面積が4.4cm2の試験片へ供給する試験流量は毎分3リットル)すると共に、塩化ナトリウム粒子(粒径分布の中央値:0.06~0.10μm、幾何標準偏差:1.8以下)が、濃度50mg/m3以下(濃度変動:±15%以下)含有されている試験気流を、試験片の上流側へ供給した。試験気流を1分間供給した後の、試験片における上流側と下流側に存在する当該塩化ナトリウム粒子の濃度を、光散乱式粉じん濃度計を用いて測定し、測定された両濃度から試験片に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度を算出した。
そして、試験片の上流側へ供給された塩化ナトリウム粒子の濃度に占める、試験片に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度の百分率を算出し、その値を試験片の捕集効率(単位:%)とした。なお、捕集効率の値が高いフィルタ用基材であるほど、塵埃の捕集性能に優れるフィルタやマスクを提供できる。
以上のようにして測定した初期圧力損失と捕集効率を、フィルタ用基材における洗濯前の初期圧力損失と捕集効率とした。
フィルタ用基材から別の試験片を採取した。そして、採取した別の試験片をポリエステル製の吸水速乾ニットの間に挟み、周辺を溶着して3層構造のマスクを調製した。調製したマスクを、市販の衣類用洗濯洗剤と共に家庭用洗濯機へ投入し洗濯した後に脱水を行った。このようにしてマスクの洗浄を10回繰り返し、最後に脱水した後のマスクを自然乾燥した。
自然乾燥した後のマスクから前記別の試験片を取り出し、上述の(洗濯前の捕集効率と初期圧力損失の測定方法)へ供することで、同様にして初期圧力損失(単位:Pa)と捕集効率(単位:%)を求めた。
なお、比較例1のフィルタ用基材では、洗濯後に捕集効率が大きく低下していた。この理由として、洗浄時に構成繊維(フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重体で構成された繊維)が切断され、繊維層に破断や亀裂が発生したためだと考えられた。それに比べ、実施例1のフィルタ用基材では、洗濯後に捕集効率がそれほど低下していなかった。この理由として、構成繊維として強度に優れるPVDFホモポリマー繊維を含んでいることで、当該繊維が繊維層の骨格となり、洗浄時に繊維層の形状が維持され構成繊維が切断され難く、繊維層に破断や亀裂が発生するのが防止されているためだと考えられた。
紡糸液BにおけるPVDFホモポリマーの固形分濃度を、比較例2では8質量%、実施例2では15質量%、実施例3では17質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして各不織布を調製した。
紡糸液BにおけるPVDFホモポリマーの固形分濃度を、比較例3~4では17.5質量%に変更すると共に、基材上に捕集する繊維の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして各不織布を調製した。
Claims (1)
- 洗浄して再使用できるフィルタを構成するための、繊維層と芯鞘型繊維からなる油剤が付与されているスパンボンド不織布とが積層してなるフィルタ用基材であって、
前記繊維層の構成繊維は連続繊維のみであり、
前記繊維層は構成繊維として、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した連続繊維を含んでおり、
前記繊維層を構成する連続繊維の平均繊維径が、130nmより大きく450nm未満であり、
前記芯鞘型繊維の鞘成分によって前記繊維層と前記スパンボンド不織布が溶融接着している、
フィルタ用基材(但し、前記繊維層の構成繊維がイオン性界面活性剤を含有しているものを除く)。
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