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JP7702782B2 - フィルタ用基材 - Google Patents
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JP7702782B2 - フィルタ用基材 - Google Patents

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Description

本発明は、洗浄して再使用できるフィルタを構成する、繊維層を備えたフィルタ用基材に関するものである。
従来からエアフィルタやマスクには、圧力損失が低く通気性に優れ、大気塵やPM2.5などの塵埃ならびに花粉などの捕集性能に優れるという性能が求められている。そして、このような要望を満たすため、以下の従来技術が検討されている。
特開2014-114521(特許文献1)には、大気中の微小ダストを効率よく捕集するため、平均繊維径が50~400nmのナノファイバー不織布層を備えたエアフィルター又はマスク用不織布基材が検討されている。なお、その具体的な態様として、実施例1~2および実施例6~9には、平均繊維径が110nmあるいは126nmであるホモポリマーのポリフッ化ビニリデンからなるナノファイバー不織布層が開示されている。
特開2017-166106(特許文献2)には、微粒子を捕捉でき圧力損失を低減するフィルタを実現するため、単位体積当たりの表面積が大きい、フッ素系樹脂繊維を主体とする不織布などの繊維集合体が検討されている。なお、当該フッ素系樹脂繊維としてポリフッ化ビニリデン繊維を採用できること、更に、当該繊維集合体の平均繊維径の下限値は0.2μm程度であることが開示されている。また、当該繊維集合体は防水性に優れるフッ素系樹脂繊維で構成されているため、洗浄や蒸気または煮沸による滅菌が行えることが開示されている。
特開2014-114521(特許請求の範囲、0028-0033、0043-0052など) 特開2017-166106(特許請求の範囲、0039、0045、0068、0072など)
近年、空調機などに設けられたエアフィルタの寿命を長くするため、エアフィルタに付着した塵埃を除去して繰り返し使用できることが求められている。また、感染症対策などでマスクを日常的に着用する習慣が生まれており、マスクを衛生的に繰り返し使用できることが求められている。そして、このような要望に応え付着した塵埃を除去し衛生的に繰り返し使用できるように、エアフィルタやマスクには洗濯など洗浄できることが求められている。
本願出願人はこのような要望に応えるエアフィルタやマスクを提供する為、上述したような、従来技術にかかる繊維層を備えたフィルタ用基材を用いて、エアフィルタやマスクを調製することを検討した。しかし、調製したエアフィルタやマスクは、洗浄後に捕集効率が劣るという問題を有していた。
本願出願人は、洗浄後であっても捕集効率に富むフィルタを提供可能な、フィルタ用基材の提供を目的とする。
本発明は、
「洗浄して再使用できるフィルタを構成するための、繊維層と芯鞘型繊維からなる油剤が付与されているスパンボンド不織布とが積層してなるフィルタ用基材であって、
前記繊維層の構成繊維は連続繊維のみであり、
前記繊維層は構成繊維として、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した連続繊維を含んでおり、
前記繊維層を構成する連続繊維の平均繊維径が、130nmより大きく450nm未満であり、
前記芯鞘型繊維の鞘成分によって前記繊維層と前記スパンボンド不織布が溶融接着している、
フィルタ用基材(但し、前記繊維層の構成繊維がイオン性界面活性剤を含有しているものを除く)。」
である。
従来技術にかかるフィルタ用基材を用いて調製したエアフィルタやマスクは、洗浄後に捕集効率が劣るという問題の発生原因を明らかにするため、本願出願人は洗浄前後におけるフィルタ用基材の構造を確認した。確認の結果、洗浄後のフィルタ用基材では、フィルタ用基材を構成する繊維層に破断や亀裂が発生しており、捕集効率の低下を招く原因になっていると考えられた。
本願出願人は検討を続けた結果、本発明にかかる構成を満足する繊維層を備えたフィルタ用基材であることによって、課題を解決できることを見出した。
本発明に係るフィルタ用基材が備える繊維層は、構成繊維として強度に優れるポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した繊維を含んでいる。そのため、当該繊維が繊維層の骨格となり、洗浄時に繊維層の形状が維持され構成繊維が切断され難い。それに加え、繊維層の平均繊維径が130nmより大きいため、更に構成繊維が切断され難い。その結果、洗浄しても繊維層に破断や亀裂が発生し難い。
更に、繊維層の平均繊維径が450nm未満であることによって繊維層が緻密な構造を有している。そのため、例え洗浄中に繊維層に破断や亀裂が発生することで、当該繊維層を備えたフィルタ用基材の捕集効率が低下したとしても、当該繊維層を備えたフィルタ用基材はなおも高い捕集効率を有している。
以上から、本発明によって、洗浄後であっても捕集効率に富むフィルタを提供可能な、フィルタ用基材を提供できる。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載や規定のない限り、大気下である常圧25℃温度条件下で測定を行った。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載や規定のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該一桁小さな値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、小数第一位までが求める値である場合、測定によって小数第二位まで値を求め、得られた小数第二位の値を四捨五入することで小数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。また、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
本発明のフィルタ用基材は繊維層を備えている。当該繊維層はフィルタ用基材において粒子を捕集し保持する役割を担うと共に、フィルタ用基材の骨格を成す役割を担う。
本発明でいう繊維層とは繊維で構成された層を指し、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などのシート状の布帛由来の層であることができる。特に、繊維ウェブや不織布由来の繊維層など、繊維同士がランダムに絡合してなる繊維層であると、繊維同士がなす空隙の形状や大きさが均一なものとなることで、濾過性能に富むフィルタを提供可能なフィルタ用基材を実現でき好ましい。
本発明のフィルタ用基材は、繊維層の構成繊維(以降、構成繊維と略することがある)としてポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した繊維を含んでいる。ここでいうポリフッ化ビニリデンとは、構造中に-(CHCF)-構造を備えるポリマーを指す。また、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーとは、当該構造が連続して構成された分子構造を有していることを指す。
本発明に係るフィルタ用基材が備える繊維層は、構成繊維として強度に優れるポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した繊維を含んでいる。ポリフッ化ビニリデンのなかでもホモポリマーはポリフッ化ビニリデンの共重合体と比較して強度が高いことが知られている。そのため、当該繊維が繊維層の骨格となり、洗浄時でも繊維層の形状が維持され構成繊維が洗浄により切断され難い。
以降、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを「PVDFホモポリマー」と称し、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した繊維を「PVDFホモポリマー繊維」と略することがある。
PVDFホモポリマーの分子量は適宜選択できる。分子量は30万以上であってもよく、38万以上であってもよく、57万以上であってもよく、75万以上であってもよく、78万以上であってもよい。また、分子量が異なるPVDFホモポリマーが混合してなるPVDFホモポリマー繊維であってもよい。本発明でいう「分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づき測定した値である。なお、カタログや論文などに採用するPVDFホモポリマーの分子量が記載されている場合には、その分子量を当該PVDFホモポリマーの分子量とできる。
PVDFホモポリマーの強度は、適宜選択できる。しかし、PVDFホモポリマーの強度が高いほど、洗浄後であっても捕集効率に富むフィルタを提供可能な、フィルタ用基材を実現できる傾向がある。そのため、ASTM D638プラスチック引張試験方法の標準法に基づき測定される破断強度が、30MPa以上のフィルムを調製可能なPVDFホモポリマーを採用するのが好ましく、40MPa以上のフィルムを調製可能なPVDFホモポリマーを採用するのが好ましく、50MPa以上のフィルムを調製可能なPVDFホモポリマーを採用するのが好ましい。
構成繊維はPVDFホモポリマー以外にも、次に説明する他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂は適宜選択できるが、例えば、ポリエーテル系樹脂(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、アラミド樹脂などの芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホンなど)、ポリエーテルスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、PVDFの共重合体、パーフルオロスルホン酸樹脂など)、ビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなど)、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリビニルピロリドン、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂であることができ、一種類の樹脂のみであっても、混合樹脂など複数種類の樹脂であってもよい。
これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でもよい。また、樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。
しかし、構成繊維の強度がより高いことで、洗浄時でも繊維層の形状が変化するのを防止して、繊維層に破断や亀裂が発生し難いフィルタ用基材を実現できるように、構成繊維を構成するポリマーはPVDFホモポリマーのみであるのが好ましい。
構成繊維に含まれるPVDFホモポリマー繊維の平均繊維径が細いことによって、濾過性能に富むフィルタを提供可能なフィルタ用基材を実現することに寄与できる。この観点から、構成繊維に含まれるPVDFホモポリマー繊維の平均繊維径は450nm未満であり、400nm以下であるのが好ましい。一方、構成繊維に含まれるPVDFホモポリマー繊維の平均繊維径が細過ぎると、洗浄時に繊維層の構成繊維が切断され易く、多くの破断や亀裂が発生して、濾過性能に富むフィルタを提供可能なフィルタ用基材を実現し難くなる。この観点から、構成繊維に含まれるPVDFホモポリマー繊維の平均繊維径は130nmより大きく、150nm以上であるのが好ましい。本発明でいう「平均繊維径」は、測定対象物の断面や表面などを撮影した5000倍の電子顕微鏡写真をもとに測定した、50点の繊維における各繊維径の算術平均値をいう。また、繊維径が細過ぎて測定が困難である場合には、5000倍よりも高い倍率の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。なお、繊維の断面形状が非円形である場合には、断面積と同じ面積の円の直径を繊維径とみなす。
構成繊維の質量に占める、PVDFホモポリマー繊維の質量の百分率は適宜調整できる。構成繊維はPVDFホモポリマー繊維以外に、上述した他の樹脂で構成された繊維を含んでいても良い。しかし、構成繊維の質量に占める、PVDFホモポリマー繊維の質量の百分率が高いほど、洗浄時でも繊維層の形状が維持され構成繊維が洗浄により切断され難いフィルタ用基材を実現できることから、当該百分率は10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上であるのが好ましく、30質量%以上であるのが好ましく、40質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのが好ましく、繊維層の構成繊維がPVDFホモポリマー繊維のみであるのが最も好ましい。
構成繊維の繊維長は適宜選択するが、特定長を有する短繊維や長繊維、あるいは、実質的に繊維長を測定することが困難な程度の長さの繊維長を有する連続繊維であることができる。繊維層における繊維端部の数が少ないことで、表面が平滑で厚さが均一かつ機械的強度などの各種物性に優れる結果、より濾過性能に富むフィルタを提供可能なフィルタ用基材を実現できることから、構成繊維として連続長を有する繊維を含んでいるのが好ましく、構成繊維は連続繊維のみであるのがより好ましい。本発明でいう「繊維長」は、測定対象物の断面や表面などを撮影した5000倍の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。繊維の繊維長が長すぎて測定が困難である場合には、5000倍より低い倍率の電子顕微鏡写真をもとに測定できる。
構成繊維は単繊維以外にも、フィブリル状の繊維や複合繊維でもよい。複合繊維として、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの繊維であることができる。構成繊維は横断面の形状が、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維であってもよい。なお、異形断面繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維を例示できる。
構成繊維の調製方法は適宜選択できるが、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、紡糸液に電界を作用させ紡糸する方法である静電紡糸法、遠心力を用いて紡糸する方法、特開2011-012372号公報などに記載の随伴気流を用いて紡糸する方法、特開2005-264374号公報などに記載の静電紡糸法の一種である中和紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法など公知の方法を使用できる。
上述した方法を用いて調製した繊維を、例えば、乾式法、湿式法へ供することで繊維ウェブを調製でき、調製した繊維ウェブの構成繊維を絡合および/または一体化させて不織布を調製できる。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流あるいは水蒸気/気体などの流体流によって絡合する方法、繊維ウエブを加熱処理へ供するなどしてバインダあるいは接着繊維によって構成繊維同士を接着一体化あるいは溶融一体化させる方法などを挙げることができる。加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれているポリマーを加熱する方法などを用いることができる。
なお、繊維ウェブ以外にも不織布を、上述した構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法へ供しても良い。
また、直接紡糸法(特に、静電紡糸法)を用いて紡糸した繊維を捕集することで、連続繊維のみで構成された繊維ウェブや不織布を調製できる。なお、直接紡糸法を用いて調製される繊維ウェブや不織布には、その紡糸条件によっては主面上にショットと称されるフィルム様あるいは顆粒状の非繊維状物が付着していることがある。繊維層の主面に非繊維状物が存在するか否かは適宜調整できるものであり、主面に非繊維状物が存在する繊維層を備えたフィルタ用基材を調製しても、主面に非繊維状物が存在しない繊維層を備えたフィルタ用基材を調製してもよい。
なお、直接紡糸法(特に、静電紡糸法)を用いて紡糸した繊維を、スパンボンド不織布などの他の基材上に捕集することで、積層構造を有するフィルタ用基材を調製してもよい。このとき、他の基材(特に、スパンボンド不織布)が油剤(特に、ノニオン系界面活性剤)を含んでいると、直接紡糸(特に、静電紡糸)した繊維が均一的に分散した捕集効率に優れるフィルタ用基材を調製でき好ましい。なお、この際に使用する油剤を備える他の基材について、その主面の表面抵抗が5.0×1013Ω以下となるように、油剤の種類や油剤の存在量を調整するのが好ましい。また、表面抵抗は5.0×1013Ω以下 が好ましく、1.0×1013Ωが好ましく、5.0×1012Ω以下が更に好ましい。このような主面の表面抵抗を有する他の基材上に直接紡糸(特に、静電紡糸)することで、紡糸された繊維が当該他の基材上に均一的に分散して堆積できる。その結果、捕集効率に優れるフィルタ用基材を調製でき好ましい。
本発明にかかるフィルタ用基材が備える繊維層は、その平均繊維径が130nmより大きく450nm未満であることを特徴とする。
繊維層の平均繊維径が130nmより大きいため、構成繊維が洗浄により切断され難い。その結果、洗浄しても繊維層に破断や亀裂が発生し難い。繊維層の平均繊維径が大きいほど当該効果が効果的に発揮され易いことから、繊維層の平均繊維径は140nm以上であるのが好ましく、150nm以上であるのが好ましい。
そして、繊維層の平均繊維径が450nm未満であることによって繊維層が緻密な構造を有している。そのため、例え洗浄中に繊維層に破断や亀裂が発生することで、当該繊維層を備えたフィルタ用基材の捕集効率が低下したとしても、当該繊維層を備えたフィルタ用基材はなおも高い捕集効率を有している。繊維層の平均繊維径が小さいほど当該効果が効果的に発揮され易いことから、繊維層の平均繊維径は440nm以下であるのが好ましく、430nm以下であるのが好ましく、420nm以下であるのが好ましく、410nm以下であるのが好ましく、400nm以下であるのが好ましい。
繊維層の目付、厚さなど各種物性は、適宜選択できる。
まず、フィルタ用基材を構成する層(繊維層など)を容易に取得できる場合(例えば、フィルタ用基材から当該層を容易に剥離して取得できる場合)には、取得した層のうち、繊維ウェブや不織布の層といった繊維で構成された層を繊維層とし、当該繊維層の厚さや目付を直接測定し、フィルタ用基材を構成している繊維層の厚さや目付を求める。
例えば、厚さは0.1μm~200μmであることができ、0.2μm~150μmであることができ、0.2μm~100μmであることができ、0.2μm~50μmであることができる。なお、本発明でいう「厚さ」は、JIS B7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0~25mm)を用いて、JIS C2111 5.1(1)の測定法で、無作為に選んで測定した10点の平均値をいう。
例えば、目付は0.05~50g/mであることができ、0.1~30g/mであることができ、0.1~20g/mであることができ、0.1~10g/mであることができる。なお、本発明の「目付」は、JIS L1085に準じて10cm×10cmとして測定した値を意味する。
一方、フィルタ用基材を構成する各層(繊維層など)を容易に取得できない場合(例えば、フィルタ用基材から当該層を容易に剥離できない場合)、繊維層の厚さは以下の方法で求めることができる。
(1)フィルタ用基材を厚さ方向に切断した断面の、電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を撮影する。
(2)撮影された電子顕微鏡写真を目視で確認し、フィルタ用基材を構成する各層が有する厚さを測る。なお、ここでいう厚さとは、撮影された電子顕微鏡写真に写るフィルタ用基材の両主面を最短距離で結ぶ線分と、各層における一方の主面との交点(A)からもう一方の主面との交点(B)までの最短距離の長さを指す。
(3)各層のうち、繊維ウェブや不織布の層といった繊維で構成された層を繊維層とし、上述した(2)工程の方法を用いて当該繊維層の交点(A)と交点(B)間の最短距離の長さを求め、これを繊維層の厚さとする。
また、フィルタ用基材を構成する各層(繊維層など)を容易に取得できない場合、繊維層の目付は以下の方法で求めることができる。
(1)フィルタ用基材を厚さ方向に切断した断面の、電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を撮影する。
(2)撮影された電子顕微鏡写真を目視で確認し、フィルタ用基材が繊維層を有しているか否か確認する。
(3)フィルタ用基材が繊維層を有している場合には、当該繊維層や他の層を構成する成分を確認する。なお、繊維層を構成する成分(例えば、繊維層を構成している繊維の構成樹脂の種類や構成繊維同士を接着しているバインダの種類)や他の層を構成する成分は、フィルタ用基材から採取した繊維層や他の層をIR、DSC、NMR、MS、ラマン分光、元素分析、燃焼試験など公知の各種分析装置や分析方法へ供することで求めることができる。
(4)繊維層を溶解することなく繊維層以外の層(他の層)を溶解可能な溶媒(例えば、極性溶媒であるDMF、DMAc、NMPなどを使用し得る)を選出し、当該溶媒にフィルタ用基材を浸漬することで繊維層以外を当該溶媒に溶解させる。溶媒から残留物を取り出し、溶媒除去後における残留物の目付を繊維層の目付とする。なお、繊維層を溶解することなく繊維層以外の層(他の層)を溶解可能な溶媒が存在しない場合には、繊維層のみを溶解可能な溶媒を選出し、当該溶媒にフィルタ用基材を浸漬することで繊維層のみを当該溶媒に溶解させる。溶媒から残留物を取り出し、溶媒除去後における残留物の目付をフィルタ用基材の目付から引き、算出された値を繊維層の目付とする。
また、フィルタ用基材を調製するため用いる各材料のうち、繊維層を構成するため用いる材料以外の他材料が判明している場合には、当該他材料の厚さや目付を上述した「フィルタ用基材を構成する各層(繊維層など)を容易に剥離して取得できる場合」と同様に直接測定し、フィルタ用基材の厚さや目付から測定により得られた値を引くことで、繊維層を構成するため用いる材料の厚さや目付を算出する。そして、当該算出値を、フィルタ用基材を構成している繊維層の厚さや目付とみなしてもよい。
本発明にかかる繊維層は単体でフィルタ用基材として使用できるが、必要であれば、繊維層に別途用意した基材(例えば、スパンボンド不織布などシート状の布帛、多孔フィルムなど)を積層して、フィルタ用基材を調製してもよい。
繊維層と基材の積層方法は適宜選択できるが、ただ重ね合せる方法、繊維層および/または基材の構成成分を一部溶融接着させることによって、あるいは、バインダによって積層一体化する方法、基材の主面上に紡糸した繊維を集積させ基材上に繊維層を形成し積層体を調製する方法などを採用できる。
特に、基材が芯鞘型繊維を含んでいると、当該芯鞘型繊維の鞘成分によって繊維層と基材を強固に溶融接着でき好ましい。そして、繊維層と基材を備えるフィルタ用基材から基材が脱落し難いことから、繊維層を基材により効果的に保護できる。その結果、繊維層に破断や亀裂が発生するのを効果的に防止して、洗浄後であっても捕集効率に富むフィルタを提供でき好ましい。このような基材として、芯鞘型繊維からなるスパンボンド不織布や乾式不織布ほかにも湿式不織布を例示できる。
また、繊維層を基材により効果的に保護できるよう、基材の強度は高いのが好ましい。本発明の「強度」は、以下に述べる方法へ繊維集合体を供することで測定できる。具体的には、洗濯耐性を向上できるようMD方向とCD方向双方の強度が2N/50mm以上の基材であるのが好ましく、3N/50mm以上の基材であるのが好ましく、10N/50mm以上の基材であるのが好ましく、15N/50mm以上の基材であるのが好ましい。一方、その上限値は適宜調整できるが、強度が高過ぎる基材を備えている場合には、マスクの通気度が低下する恐れがある。そのため、強度が500N/50mm未満の基材を採用するのが好ましい。
なお、基材におけるMD方向とCD方向の強度は以下の方法で求めることができる。
(強度の測定方法)
(1)測定対象から長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。このとき、測定対象の生産方向が判明している場合には、当該生産方向と測定対象の長辺方向が平行を成すようにして、試料を採取した。なお、測定対象の生産方向が判明していない場合には、測定対象の主面と試料の長辺が平行をなすようにして、測定対象の様々な方向から複数の試料を採取し、次に説明する最大応力の測定へ各試料を供した結果、最も高い最大応力を示した試料における長辺と平行をなす測定対象の方向を、測定対象の生産方向とした。
(2)引張り試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロン(登録商標)、TM-111-100)を使用し、つかみ間隔100mm、引張り速度50mm/min.の条件で、試料に破断が生じるまで長辺方向へ引張った。
(3)試料が破断するまでに測定される最大応力を「強度」とした。このようにして、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(MD方向)の強度(N/50mm)を測定した。
(4)測定対象から、測定対象における前記試料の長辺方向と平行を成す方向に対し、短辺方向が平行を成すようにして新たに長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。このとき、測定対象の生産方向が判明している場合には、当該生産方向と測定対象の短辺方向が平行を成すようにして、試料を採取した。
(5)上述した(4)の工程で採取した試料を(2)~(3)の工程へ供することで、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(CD方向)の強度(N/50mm)を測定した。
以上のようにして製造した繊維層あるいは繊維層の積層体は、その用途や使用態様に合わせて、リライアントプレス処理などの加圧処理する工程へ供し厚さを調整する、スルホン化処理やプラズマ処理あるいはフッ素ガス処理などの親水化処理へ供する、形状を打ち抜く、成型するなどの各種二次工程へ供しても良い。
次いで、本発明にかかるフィルタ用基材の製造方法について、一製造例を挙げ説明する。なお、上述した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
(1)PVDFホモポリマーを溶媒へ溶解させて調製した紡糸液、あるいは、PVDFホモポリマーを分散媒へ分散させて調製した紡糸液を用意する工程、
(2)紡糸液を静電紡糸装置へ供し細径化することで紡糸し、捕集して繊維ウェブを調製する工程、
(3)繊維ウェブに残留する溶媒あるいは分散媒を除去して、PVDFホモポリマー繊維を含んだ平均繊維径が130nmよりも大きく450nm未満である繊維層を調製する工程、
を備えるフィルタ用基材の製造方法を用いることができる。
まず、工程(1)について説明する。
溶媒あるいは分散媒の種類は適宜選択するものであるが、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、ピリジン、ギ酸、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。なお、溶媒あるいは分散媒は一種類であっても、複数種類混合してなる混合溶媒あるいは混合分散媒であってもよい。
紡糸液中に含まれるPVDFホモポリマーの濃度やPVDFホモポリマーの種類は、本発明にかかるフィルタ用基材を調製できるよう適宜調整する。
紡糸液の温度や粘度は求める繊維層を調製できるよう、適宜選択する。紡糸液の温度は5~40℃であることができ、10~35℃であることができ、15~30℃であることができる。また、紡糸液の粘度は0.05~8Pa・sであることができ、0.1~6Pa・sであることができ、0.2~5Pa・sであることができる。なお、この「粘度」は粘度測定装置を用い、温度25℃で測定したシェアレート100s-1時の値をいう。
次いで、工程(2)について説明する。
紡糸液を細径化することで紡糸する方法は、求める繊維層を調製できるよう適宜選択するが、例えば、直接紡糸法を採用できる。静電紡糸法を採用する場合、紡糸液に電圧を付与すると共に、該紡糸液の吐出部分と離間させ設けた金属板などの対抗電極へ該電圧と反対の電圧を付与することで、紡糸液を対抗電極へ向け飛翔させ細径化させる。そして、細径化した紡糸液を捕集体へ捕集することで、捕集体上に繊維ウェブを形成する。なお、上述した金属板などの対向電極を捕集体としてもよいが、対向電極上に敷いたスパンボンド不織布などの基材上に繊維ウェブを形成することで、基材と繊維ウェブの積層体を調製できる。このようにして調製した基材と繊維ウェブの積層体を次の工程へ供することで、基材と繊維層の積層体からなるフィルタ用基材を容易に調製でき好ましい。
そして、工程(3)について説明する。
繊維ウェブに残留する溶媒あるいは分散媒を除去する方法は適宜選択できるが、一例として、繊維ウェブを加熱装置へ供する方法を採用できる。なお、加熱装置の種類は適宜選択でき、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する装置、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、赤外線を照射し加熱できる装置などを用いた方法を採用できる。加熱装置による加熱温度は適宜選択するが、残留している溶媒あるいは分散媒を揮発させ除去可能であると共に、構成繊維などの構成成分が意図せず分解や変性しない温度であるように適宜調整する。
なお、繊維ウェブの構成繊維中に接着成分や架橋可能な樹脂が存在する場合は、加熱装置へ供することで接着成分による繊維接着を行っても、当該架橋可能な樹脂を架橋させても良い。
また、上述したフィルタ用基材体の製造方法では、使用するPVDFホモポリマーの分子量、PVDFホモポリマーの配合(例えば、分子量の大きいPVDFホモポリマーと分子量の小さいPVDFホモポリマーを混合した紡糸液を用いる)、紡糸液の組成や粘度、紡糸液に含まれるPVDFホモポリマーの固形分濃度、紡糸条件、溶媒あるいは分散媒の除去方法や除去条件などを調整することで、繊維層を構成する繊維の平均繊維径を調整可能であり、本発明にかかる構成を満足するフィルタ用基材を製造できる。
調製した繊維層は単体でフィルタ用基材として使用できるが、必要であれば、繊維層に別途用意した基材(例えば、スパンボンド不織布などシート状の布帛、多孔フィルムなど)を積層して、フィルタ用基材を調製してもよい。
繊維層と基材の積層方法は適宜選択できるが、ただ重ね合せる方法、繊維層および/または基材の構成成分を一部溶融接着させることによって、あるいは、バインダによって積層一体化する方法、基材の主面上に紡糸した繊維を集積させ基材上に繊維層を形成し積層体を調製する方法などを採用できる。
なお、繊維層の両主面に基材を積層することで、洗浄後であっても捕集効率に富むフィルタを提供可能なフィルタ用基材を調製でき好ましい。
以上のようにして製造した繊維層あるいは繊維層の積層体は、その用途や使用態様に合わせて、リライアントプレス処理などの加圧処理する工程へ供し厚さを調整する、スルホン化処理やプラズマ処理あるいはフッ素ガス処理などの親水化処理へ供する、形状を打ち抜く、成型するなどの各種二次工程へ供しても良い。
以上のようにして製造したフィルタ用基材を用いて、洗浄して再使用できるフィルタを調製できる。具体的には、織物や編み物同士の間にフィルタ用基材を設けた3層構造のフィルタを調製し、当該3層構造のフィルタを面体に採用したマスクを調製できる。あるいは、フィルタ用基材を備えたフィルタを用いて、エアフィルタを調製できる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(紡糸液)
以下のポリマーをジメチルホルムアミド(沸点:153℃)に溶解させ、固形分濃度が14質量%の紡糸液A~Bを調製した。各紡糸液に含まれているポリマーの種類は以下の通りである。なお、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重体は、PVDFホモポリマーではない。
・紡糸液A:フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重体(ASTM D638プラスチック引張試験方法の標準法に基づき測定される破断強度が、25MPaのフィルムを調製可能な樹脂)
・紡糸液B:PVDFホモポリマー(ASTM D638プラスチック引張試験方法の標準法に基づき測定される破断強度が、45MPaのフィルムを調製可能な樹脂)
(比較例1)
紡糸液Aを以下の紡糸条件へ供することで静電紡糸し、基材上に捕集することで、連続繊維からなる繊維ウェブと基材が積層してなる積層ウェブを調製した。
・金属製ノズル(紡糸液吐出部分)における、紡糸液吐出部分の形状:内径0.44mmの円形状
・金属製ノズルの先端と、捕集体(金属板)との距離:10cm
・紡糸液へ印加した電圧:15kV
・金属製ノズルから吐出された紡糸液:1g/時間
・静電紡糸環境の雰囲気:温度25℃、湿度30%RH
・基材:芯部がポリエステル(融点:260℃)、鞘部がポリエチレン(融点:130℃)の芯鞘型繊維からなるスパンボンド不織布(目付:15g/m、MD方向の強度:38N/50mm、CD方向の強度:16N/50mm、油剤が付与されており繊維捕集面側の主面における表面抵抗は3.5×1012Ω)
そして、調製した積層ウェブを、表面温度を130℃に調整した加熱ロールと接触させ、積層ウェブに残留する溶媒を除去すると共に、スパンボンド不織布における芯鞘型繊維の鞘成分を融解させることで繊維ウェブと基材を接着一体化して、不織布を調製した。
(実施例1)
紡糸液Aの代わりに紡糸液Bを用いたこと以外は、比較例1と同様にして不織布を調製した。
調製した各不織布をフィルタ用基材として、その構成と、洗濯前後における初期圧力損失と捕集効率を、表1にまとめた。なお、表中ではフィルタ用基材における繊維ウェブ由来の部分(以降、繊維層と称することがある)の構成繊維を成すポリマーの種類について、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重体を「共重合体」、PVDFホモポリマーを「ホモ」と記載している。
また、洗濯前後における初期圧力損失と捕集効率は、以下の測定方法を用いて求めた。
(洗濯前の捕集効率と初期圧力損失の測定方法)
フィルタ用基材から試験片を採取した。そして、採取した試験片を柴田科学株式会社製の測定装置「AP-9000」に装着した。なお、フィルタ用基材における繊維層側の主面が上流側に面するようにして、試験片を測定装置に装着した。
まず、試験片の有効ろ過面積44cmあたり毎分40リットルとなるよう試験流量を調整(例えば、有効ろ過面積が4.4cmの試験片へ供給する試験流量は毎分4リットル)し、試験片における上流と下流との差圧を測定し、測定された差圧から試験片の初期圧力損失(単位:Pa)を求めた。なお、初期圧力損失の値が低いフィルタ用基材であるほど、通気性に優れるフィルタやマスクを提供できる。
次いで、試験片の有効ろ過面積44cmあたり毎分30リットルとなるよう試験流量を調整(例えば、有効ろ過面積が4.4cmの試験片へ供給する試験流量は毎分3リットル)すると共に、塩化ナトリウム粒子(粒径分布の中央値:0.06~0.10μm、幾何標準偏差:1.8以下)が、濃度50mg/m以下(濃度変動:±15%以下)含有されている試験気流を、試験片の上流側へ供給した。試験気流を1分間供給した後の、試験片における上流側と下流側に存在する当該塩化ナトリウム粒子の濃度を、光散乱式粉じん濃度計を用いて測定し、測定された両濃度から試験片に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度を算出した。
そして、試験片の上流側へ供給された塩化ナトリウム粒子の濃度に占める、試験片に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度の百分率を算出し、その値を試験片の捕集効率(単位:%)とした。なお、捕集効率の値が高いフィルタ用基材であるほど、塵埃の捕集性能に優れるフィルタやマスクを提供できる。
以上のようにして測定した初期圧力損失と捕集効率を、フィルタ用基材における洗濯前の初期圧力損失と捕集効率とした。
(洗濯後における捕集効率と初期圧力損失の測定方法)
フィルタ用基材から別の試験片を採取した。そして、採取した別の試験片をポリエステル製の吸水速乾ニットの間に挟み、周辺を溶着して3層構造のマスクを調製した。調製したマスクを、市販の衣類用洗濯洗剤と共に家庭用洗濯機へ投入し洗濯した後に脱水を行った。このようにしてマスクの洗浄を10回繰り返し、最後に脱水した後のマスクを自然乾燥した。
自然乾燥した後のマスクから前記別の試験片を取り出し、上述の(洗濯前の捕集効率と初期圧力損失の測定方法)へ供することで、同様にして初期圧力損失(単位:Pa)と捕集効率(単位:%)を求めた。
以上のようにして測定した初期圧力損失と捕集効率を、フィルタ用基材における洗濯後の初期圧力損失と捕集効率とした。
Figure 0007702782000001
実施例1のフィルタ用基材は、比較例1のフィルタ用基材よりも、洗濯後の捕集効率に優れていた。
なお、比較例1のフィルタ用基材では、洗濯後に捕集効率が大きく低下していた。この理由として、洗浄時に構成繊維(フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重体で構成された繊維)が切断され、繊維層に破断や亀裂が発生したためだと考えられた。それに比べ、実施例1のフィルタ用基材では、洗濯後に捕集効率がそれほど低下していなかった。この理由として、構成繊維として強度に優れるPVDFホモポリマー繊維を含んでいることで、当該繊維が繊維層の骨格となり、洗浄時に繊維層の形状が維持され構成繊維が切断され難く、繊維層に破断や亀裂が発生するのが防止されているためだと考えられた。
(比較例2、実施例2~3)
紡糸液BにおけるPVDFホモポリマーの固形分濃度を、比較例2では8質量%、実施例2では15質量%、実施例3では17質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして各不織布を調製した。
(比較例3~4)
紡糸液BにおけるPVDFホモポリマーの固形分濃度を、比較例3~4では17.5質量%に変更すると共に、基材上に捕集する繊維の量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして各不織布を調製した。
調製した各不織布をフィルタ用基材として、その構成と、洗濯前後における初期圧力損失と捕集効率を、表2にまとめた。なお、表中ではフィルタ用基材における繊維ウェブ由来の部分(以降、繊維層と称することがある)の構成繊維を成すポリマーの種類について、PVDFホモポリマーを「ホモ」と記載している。
Figure 0007702782000002
繊維層の平均繊維径が450nmであり目付が0.5g/mである比較例3のフィルタ用基材は、その洗濯後の捕集効率が64.9%であった。また、繊維層の平均繊維径が450nmであり目付が0.9g/mである比較例4のフィルタ用基材は、その洗濯後の捕集効率が72.0%であった。比較例3および比較例4の結果から、仮に、平均繊維径が450nmであり目付が0.8g/mである繊維層を備えたフィルタ用基材を調製した場合、その洗濯後の捕集効率は64.9%から72.0%の間の性能を有していると考えられた。つまり、その洗濯後の捕集効率は72.0%を超えられないと推測された。この理由として、繊維層の平均繊維径が450nmと大きく、繊維層が緻密な構造を有することができないためだと考えられた。
また、捕集性能に優れるフィルタ用基材を提供するためには、繊維層が緻密な構造を有していることが望ましい。そのため、フィルタ用基材を構成する繊維層の平均繊維径を小さくすることで、洗濯後の捕集効率にも優れるフィルタ用基材を提供できると考えられた。しかしながら、目付が0.8g/mであり平均繊維径が130nmである比較例2のフィルタ用基材は、その洗濯後の捕集効率が72.0%を超えるものではなかった。この理由として、繊維層の平均繊維径が130nmと小さく、構成繊維が切断され難いためだと考えられた。
一方、目付が0.8g/mであり平均繊維径が130nmよりも大きく450nm未満である実施例1~3のフィルタ用基材はいずれも、その洗濯後の捕集効率が72.0%を超えるものであった。
以上から、構成繊維として強度に優れるPVDFホモポリマー繊維を含んでいると共に、平均繊維径が130nmより大きく450nm未満である繊維層を備えるフィルタ用基材によって、洗浄後であっても捕集効率に富むフィルタを提供可能な、フィルタ用基材を提供できることが判明した。
本発明は、洗浄して再使用できるフィルタを構成する、繊維層を備えたフィルタ用基材に関するものである。当該フィルタ用基材を用いることで、洗浄して再使用できるマスク(例えば、二次元的なシート形状のマスク、三次元的なコルゲート形状やプリーツ形状のマスク、二つ折り形状のマスク、カップ型形状のマスク)や、洗浄して使用できる空気清浄用や空調機用のエアフィルタ(例えば、二次元的なシート形状のフィルタ、三次元的なコルゲート形状やプリーツ形状のフィルタ、デプス型フィルタ)などを提供できる。なお、本発明に係るフィルタ用基材を用いて、液体フィルタを調製してもよい。

Claims (1)

  1. 洗浄して再使用できるフィルタを構成するための、繊維層と芯鞘型繊維からなる油剤が付与されているスパンボンド不織布とが積層してなるフィルタ用基材であって、
    前記繊維層の構成繊維は連続繊維のみであり、
    前記繊維層は構成繊維として、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーを含有した連続繊維を含んでおり、
    前記繊維層を構成する連続繊維の平均繊維径が、130nmより大きく450nm未満であり、
    前記芯鞘型繊維の鞘成分によって前記繊維層と前記スパンボンド不織布が溶融接着している、
    フィルタ用基材(但し、前記繊維層の構成繊維がイオン性界面活性剤を含有しているものを除く)。
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