以下、添付図面を参照しながら本開示の積層造形装置及び粉末床形成装置の一形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示す三次元回転積層造形物製造装置(以下「積層造形装置1」という)は、粉末P1から造形物PAを製造するいわゆる3Dプリンタである。積層造形装置1は、エネルギビームとして電子ビームを採用する。つまり、積層造形装置1は、いわゆる電子銃粉末床溶融方式を採用する。
粉末P1は、金属の粉末であり、例えばチタン系金属粉末、インコネル粉末又はアルミニウム粉末等である。また、粉末P1は、金属粉末に限定されない。粉末P1は、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)など、炭素繊維と樹脂とを含む粉末であってもよい。また、粉末P1は、導電性を有するその他の粉末でもよい。なお、本開示における粉末は、導電性を有するものには限定されない。例えばエネルギビームとしてレーザを用いる場合には、粉末P1は導電性を有しなくてもよい。
積層造形装置1は、粉末P1にエネルギを付与する。換言すると、積層造形装置1は、粉末P1の温度を上昇させる。その結果、粉末P1は溶融又は焼結する。そして、積層造形装置1がエネルギの付与を停止すると、粉末P1の温度が下がるので、凝固する。つまり、積層造形装置1は、エネルギの付与と停止とを複数回繰り返すことにより、造形物PAを製造する。なお、本実施形態で言う「粉末P1を固める」とは、融点より高い温度まで加熱されて液体となった粉末P1が凝固する態様と、融点より低い温度まで加熱されることにより焼結する態様と、を含む。造形物PAは、例えば機械部品である。造形物PAは、その他の構造物であってもよい。
積層造形装置1は、駆動ユニット2と、造形処理ユニット3Aと、コントローラ4(制御部)と、ハウジング5と、を有する。駆動ユニット2は、造形に要する種々の動作を実現する。造形処理ユニット3Aは、粉末P1を処理することによって、造形物PAを得る。具体的には、粉末P1の処理とは、粉末P1の供給処理と、粉末P1の予熱処理と、粉末P1の造形処理と、を含む。ハウジング5は、複数のコラムによって支持されている。ハウジング5は、造形空間Sを形成する。造形空間Sは、造形処理ユニット3による粉末P1の処理を行うための減圧可能な気密空間である。
造形空間Sには、スタートプレート51と造形タンク52とが配置されている。スタートプレート51は、造形処理が行われる処理台である。スタートプレート51は、例えば円板を呈し、造形物PAの原料である粉末P1が配置される。スタートプレート51は、その中心軸線がハウジング5の中心軸線と重複するように配置されてもよい。スタートプレート51には、駆動ユニット2が接続されている。従って、スタートプレート51は、駆動ユニット2によって、回転と、回転軸線に沿った直線移動と、を行う。
駆動ユニット2は、スタートプレート51を回転及び昇降させる。駆動ユニット2は、回転駆動機構21と、昇降駆動機構22と、を有する。回転駆動機構21は、スタートプレート51を回転させる。回転駆動機構21の上端は、スタートプレート51に連結されている。回転駆動機構21の下端は、駆動源に取り付けられている。昇降駆動機構22は、スタートプレート51を造形タンク52に対して相対的に昇降させる。この昇降は、回転駆動機構21の回転軸線に沿っている。なお、駆動ユニット2は、スタートプレート51を回転及び昇降させることができる機構であればよく、駆動ユニット2は、上記の機構に限定されない。
図2は、造形処理に用いられる主要な部品を拡大して示す。スタートプレート51上には、造形処理ユニット3A、3Bが配置されている。つまり、造形処理ユニット3A、3Bは、スタートプレート51のプレート主面51aに対面する。造形処理ユニット3A、3Bは、回転軸線のまわりに等間隔(180度)に配置されている。換言すると、造形処理ユニット3A、3Bは、例えば、円周方向に等配置である。この配置によれば、次の処理領域までの回転角度に応じて粉末P1の積層厚さを揃えることができる。なお、上述した造形処理ユニット3A、3Bの配置は、例示であって、当該構成に限定されない。例えば、造形処理ユニット3A、3Bの配置は、円周方向に異なる角度を持って配置されてもよい。
造形処理ユニット3A、3Bは、配置される位置が互いに異なるだけであり、具体的な構成要素は同じである。なお、造形処理ユニット3A、3Bの構成要素は互いに異なっていてもよい。例えば、造形処理ユニット3A、3Bは、それらの一方の構成要素のうち、他方がその一部を省略したものであってもよい。以下、造形処理ユニット3Aについて詳細に説明する。
造形処理ユニット3Aは、粉末床形成機構30(粉末床形成部、粉末床形成装置)と、ヒータ3aと、ビーム源3b(照射部)と、を含む。粉末床形成機構30は、粉末床PBを形成する。ヒータ3aは、粉末床PBの予熱処理を行う。ビーム源3bは、粉末床PBへエネルギビームを照射する造形処理を行う。
粉末床形成機構30は、粉末床PBをスタートプレート51に形成する。粉末床形成機構30は、粉末供給機構31と、粉末塗布機構32と、粉末量計測器33と、を有する。粉末供給機構31は、粉末P1を貯留すると共にスタートプレート51上に粉末P1を供給する。粉末塗布機構32は、スタートプレート51上の粉末P1の表面を均す。粉末量計測器33は、粉末塗布機構32によって敷き均される前の粉末P1の量を計測する。粉末床形成機構30は、後に詳細に説明する。
ヒータ3aは、放射熱によって粉末P1の温度を上昇させる。ヒータ3aとして、例えば赤外線ヒータを用いてもよいし、例えばガスヒータを用いてもよい。ここでいう予熱とは、予熱領域における粉末P1の温度が供給領域における粉末P1よりも高くなるように加熱する処理であることを意味する。このような加熱処理は、例えば、粉末P1を仮焼結する処理であってもよい。仮焼結とは、粉末P1同士が拡散現象によって最小点で拡散して接合した状態である。ヒータ3aは、一例として、粉末P1の融点の半分以上の温度まで粉末P1を加熱する。これは、焼結の拡散現象が活発になるのが、一般的に融点の半分以上であることに基づく。例えば、粉末P1がチタンである場合、仮焼結温度は、700℃以上800℃以下である。なお、チタン合金の融点は約1500℃以上1600℃以下である。また、粉末P1がアルミニウムである場合、仮焼結温度は、300℃である。なお、アルミニウムの融点は約660℃である。
ビーム源3bは、電子ビームを発生させる。電子ビームは、粉末P1に照射される。ビーム源3bは、例えば電子銃である。電子銃は、カソードとアノードとの間に生じる電位差に応じた電子ビームを発生させる。電子ビームが照射されるプレート主面51a上の領域は、粉末P1の温度を上昇させる領域である。当該温度は、ヒータ3aによって予熱された粉末P1の温度よりも高い。つまり、電子ビームが照射された粉末P1の温度は、造形物PAを形成可能な温度(焼結温度又は融解温度)である。ビーム源3bは、所望の部分に電子ビームを走査して照射する。
粉末床形成機構30、ヒータ3a及びビーム源3bは、スタートプレート51の回転方向(時計方向CW)に沿って、この順に配置されている。以下の説明において、「上流」及び「下流」とは、スタートプレート51の回転方向を基準とする。
スタートプレート51は、時計方向CWに回転する。そうすると、スタートプレート51において、ある点を仮定したとき、当該点は、スタートプレート51の回転に伴って、粉末床形成機構30と、ヒータ3aと、ビーム源3bと、をこの順に通過していく。
コントローラ4は、回転駆動機構21を制御する。その結果、スタートプレート51が時計方向CWに一定の回転速度をもって回転する。この回転速度は、予熱領域及び造形領域における温度上昇幅によって決定してよい。例えば、予熱前の粉末P1の温度を予熱後には所定の温度まで上昇させるために要するエネルギ量を得る。次に、当該エネルギ量を粉末P1に与えるために要する所要時間が決まる。そして、当該所要時間と、予熱領域を通過する際に通過する軌跡の長さと、によれば、回転速度が得られる。コントローラ4は、昇降駆動機構22を制御する。その結果、スタートプレート51が時間の経過とともに連続的に下方に移動する(離間動作)。スタートプレート51の移動速度は、スタートプレート51が一回転するごとに形成される層の厚み(つまり、粉末床PBの厚み)により決定してよい。コントローラ4は、粉末床形成機構30を制御する。コントローラ4が粉末床形成機構30を制御することによって、粉末床PBを形成する動作については、後に詳細に説明する。
以下、粉末床形成機構30について詳細に説明する。粉末床形成機構30は、粉末供給機構31(供給部)と、粉末塗布機構32(塗布部)と、粉末量計測器33(計測部)と、を有する。
図3の粉末供給機構31は、ローラ311の回転によって粉末P1を搬送する。粉末供給機構31は、ローラ311と、ホッパ312と、ケーシング313と、を有する。このような部品によって構成さたれた粉末供給機構31は、ローラフィーダと称される。なお、粉末供給機構31は、ローラフィーダとは異なる構成を採用してもよい。例えば、粉末供給機構31は、スクリューフィーダを採用してもよい。スクリューフィーダの場合には、スタートプレート51の径方向に沿って、複数の粉末の排出口を設ける。この排出口の配置によれば、疑似的に直線状の均一な粉末P1の供給が実現できる。
ホッパ312は、粉末P1を収容する容器である。ホッパ312は、ケーシング313に対して粉末P1を供給する。ホッパ312の出口は、ケーシング313の入口に繋がっている。なお、図3の例示では、ホッパ312とケーシング313とは一体の容器を構成する。ケーシング313は、ホッパ312から提供された粉末P1をローラ311に供給する。また、ケーシング313は、ローラ311を回転可能に支持する支持部と、ローラ311を回転させる駆動部とを含んでもよい。
ローラ311は、ケーシング313内に収容されており、その周面の一部が露出している。ローラ311は、駆動部である駆動モータによって回転駆動されて、回転軸線を中心に回転する。ローラ311の周面311aとケーシング313の下端との間には、隙間Gが形成されている。ローラ311の周面311aは、ざらついていることが好ましい。ローラ311は、周面311a上に粉末P1を堆積させた状態を維持できる形状および大きさ(すなわち直径)を有する。ローラ311は、その回転とともに、周面311aを周方向に移動させる。この場合の搬送方向は、円弧状である。搬送面の移動量は、ローラ311の周面311aの移動量であり、ローラ311の半径と回転角度により定まる。ローラ311は、コントローラ4によって駆動モータが制御されることにより所定の回転角度を回転する。この回転によって、前端部において周面311aを反転させる。このとき、隙間に相当する厚みをもって周面311a上に堆積した粉末P1は、前端部から落下する。
なお、ローラ式の搬送装置を備える粉末供給装置において、ローラ311の径を軸方向において変化させてもよい。そうすれば、スタートプレート51の径方向において隙間Gを変化させることができる。例えば311の径がスタートプレート51の径方向において中心から外周に向かうにつれて小さくなるように、ローラ311が構成されてもよい。この構成により、隙間Gの高さは、ローラ311の軸方向の端部よりも中央部において大きくなる。隙間Gの高さが、次第に変化しているので、適切な供給量をもって粉末を供給することができる。
図4に示す粉末塗布機構32は、粉末供給機構31からプレート主面51a上に落下した粉末P1を敷き均す。ここでいう「敷き均す」とは、造形面に対して所定の厚みを有する粉末P1の層を形成することをいう。そして、この粉末P1の層を粉末床PBと称する。
粉末塗布機構32は、レーキブレード321とボディ322とを有する。レーキブレード321は、粉末P1に接触する部分である。レーキブレード321は、薄い金属板であってもよい。ボディ322は、レーキブレード321のブレード基端321fを保持する。ボディ322は、造形空間Sに対して静止する。このボディ322がレーキブレード321を保持することによって、レーキブレード321も造形空間Sに対して静止できる。レーキブレード321は、押圧力の方向に移動することはない。
レーキブレード321のブレード先端321eは、被処理面PLから所定の高さだけ離間する。この被処理面PLとは、例えば、造形処理ユニット3Aにおいて部分的にエネルギビームの照射を受けた後に、下流側の造形処理ユニット3Bにおいて粉末供給機構31からの粉末P1の供給を受ける前の粉末床PBの表面を意味する。
被処理面PLに対して粉末P1が落下すると、被処理面PL上に粉末P1が堆積する。堆積した粉末P1の高さは、粉末床PBの厚みより大きい。そして、堆積した粉末P1に対して、レーキブレード321のブレード前面321aが押し当てられる。この押し当ては、静止しているレーキブレード321に対してスタートプレート51が回転することにより生じる。そうすると、堆積した粉末P1のうち、被処理面PLとブレード先端321eとの間に存在する粉末P1は、レーキブレード321の背面側に移動する。一方、レーキブレード321の背面側の粉末P1のうち、ブレード先端321eよりも上方に存在する粉末P1は、レーキブレード321に阻まれるので、ブレード背面321bの側に移動できない。従って、被処理面PLとブレード先端321eとの隙間と同じ厚みPBtを有する粉末P1の層である粉末床PBが形成される。
以下の説明において、レーキブレード321のブレード前面321aの側において、粉末床PBの表面よりも高くなるように堆積した部分を「粉だまりPD」と称する。つまり、粉だまりPDは、粉末P1によって形成されている。粉だまりを形成する粉末P1は、ブレード先端321eよりも上方に存在するので、ブレード背面321bの側に移動できない。さらに、粉だまりPDの量を、「粉だまり量」と定義する。粉だまり量は、体積又は重量であってもよい。
また、粉末供給機構31から単位時間あたりに供給される粉末P1の体積又は重量として、「供給量」を定義する。さらに、粉末床PBとして粉末塗布機構32の下流側に単位時間あたりに移動する粉末P1の体積又は重量を「粉末床量」と定義する。粉だまり量は、供給量と、粉末床量と、の差分によって決まる。例えば、供給量が粉末床量より多い場合には、粉だまり量は次第に増加する。逆に、供給量が粉末床量より少ない場合には、粉だまり量は次第に減少する。さらに、供給量が粉末床量と等しい場合には、粉だまり量は増減しない。
例えば、粉だまり量が時間の経過と共に減少して、堆積した粉末P1の高さが被処理面PLからブレード先端321eまでの高さよりも低くなったとする。この場合には、そもそも所望の厚みを有する粉末床PBを形成できなくなる。
逆に、粉だまり量が時間の経過と共に増加したとする。この場合には、塗布不良が生じる。塗布不良とは、粉末床PBの表面に無視できない凹凸が生じたことをいう。この塗布不良について、詳細に説明する。
図5には、スタートプレート51上に、幾つかの層が形成されている様子を示す断面図である。プレート主面51aには、未焼結の粉末P1からなる未焼結層P2が形成されている。未焼結層P2の上には、仮焼結された粉末P1からなる仮焼結層P3が形成されている。そして、この図5では、仮焼結層P3の表面が被処理面PLに対応する。いま、粉末供給機構31から未焼結の粉末P1が被処理面PLである仮焼結層P3の表面に供給されている。そして、供給量が粉末床量より多くなっており、粉だまり量が次第に増加しているとする。
図5に示すように、粉だまり量が増加すると、粉だまりPDに起因して被処理面PLに作用する押圧力が高まる。この押圧力は、被処理面PLと粉だまりPDとが接する接触面との間に作用する層間摩擦力R1に影響する。押圧力は、つまり垂直抗力であるから、押圧力が高まると、仮焼結層P3と粉だまりを形成する粉末P1との間の層間摩擦力R1も高まる。このような状態において、粉だまりPDがレーキブレード321から進行方向に沿う押圧力を受けると、仮焼結層P3と粉だまりPDとの間に大きい層間摩擦力R1が発生する。
一方、プレート主面51aと未焼結層P2との間にも壁面摩擦力R2は生じる。しかし、垂直抗力が同じであったとしても、仮焼結層P3と粉だまりPDとの間の状態と、プレート主面51aと未焼結層P2との間の状態とは、互いに相違する。従って、仮焼結層P3と粉だまりPDとの間に発生する層間摩擦力R1の大きさと、プレート主面51aと未焼結層P2との間に発生する壁面摩擦力R2の大きさとは異なる。以下の説明において、仮焼結層P3と粉だまりPDとの間に発生する摩擦力を、単に「層間摩擦力R1」と称する。同様に、プレート主面51aと未焼結層P2との間に発生する摩擦力を、単に「壁面摩擦力R2」と称する。
まず、層間摩擦力R1の大きさが、壁面摩擦力R2よりも小さい場合を仮定する。この仮定は、粉だまり量が少ないときに成り立つ。この場合には、粉だまりPDがレーキブレード321から押圧力を受けると、仮焼結層P3と粉だまりPDとの間で滑りが生じる。このとき、プレート主面51aと未焼結層P2との間では滑りは生じない。この場合には、塗布不良は生じない。
逆に、層間摩擦力R1の大きさが、壁面摩擦力R2よりも大きい場合を仮定する。この仮定は、粉だまり量が多いときに成り立つ。この場合には、粉だまりPDがレーキブレード321から押圧力を受けると、大きい層間摩擦力R1によって仮焼結層P3と粉だまりPDとの間で滑りが生じにくくなる。そうすると、仮焼結層P3と粉だまりPDとの間で滑りが生じない状態で、プレート主面51aと未焼結層P2との間で滑りが生じてしまう。この場合に、塗布不良が生じる。
従って、粉だまりPDの量(粉だまり量)は、所定の範囲を維持する必要がある。粉だまり量は、下限より少なくなることは許されないし、上限より多くなることも許されない。つまり、粉だまり量に応じて、粉末供給機構31からの供給量を増減させる必要が生じる。供給量の制御は、粉だまり量に基づくから、粉だまり量を計測する必要がある。そこで、粉末床形成機構30は、粉だまり量を計測する粉末量計測器33を有する。
図4に示す粉末量計測器33は、粉だまり量を計測する。粉だまり量は、堆積した粉末P1の体積として扱うこともできるし、堆積した粉末P1の重量として扱うこともできる。一方、粉末量計測器33は、粉末P1の体積又は重量を直接に計測しない。粉末量計測器33は、粉末P1の体積又は重量とは別の計測項目に関するデータを得る。そして、当該データを利用して、粉末P1の体積又は重量を得る。なお、粉末量計測器33は、粉末P1の体積又は重量とは別の計測項目に関するデータを取得するだけであってもよい。つまり、粉末量計測器33は、別の計測項目に関するデータを粉末P1の体積又は重量に換算する機能を備えていなくてもよい。この場合において、別の計測項目に関するデータを粉末P1の体積又は重量に換算する機能は、コントローラ4が担ってもよい。
粉末量計測器33が直接に計測する計測項目は、粉末高さH又は粉末幅Wである。粉末量計測器33は、粉末高さH又は粉末幅Wの少なくとも一方を計測する。本開示では、計測項目として、粉末高さHを例示する。粉末幅Wを計測項目とする態様については、変形例として説明する。
一例として、粉末高さHとは、粉末床表面PBsから粉だまりPDの表面(以下、「粉だまり表面PDs」と称する)までのプレート主面51aの法線方向に沿った距離である。粉だまり表面PDsとは、レーキブレード321の前方に位置する粉末P1において、任意の位置を選択してよい。例えば、レーキブレード321の直前に形成される斜面PDs1であってもよい。また、斜面PDs1のさらに前方に形成される平坦面PDs2であってもよい。また、粉末高さHの基準は、粉末床表面PBsとは別のものを用いてもよい。粉末高さHの基準は、レーキブレード321のブレード先端321eを採用することもできる。この場合には、粉末高さHは、ブレード先端321eから粉だまり表面PDsまでの法線方向Nに沿った距離である。
なお、法線方向Nにおいて、ブレード先端321eの位置は、粉末床PBの位置と実質的に同じである。従って、ブレード先端321eから粉だまり表面PDsまでの距離を粉末高さHとする定義は、粉末床表面PBsから粉だまり表面PDsまで距離を粉末高さHとする定義と実質的に同じである。また、例えば、粉末高さHの基準として、プレート主面51aを採用することもできる。この場合における粉末高さHとは、プレート主面51aから粉だまり表面PDsまでの距離である。
粉末量計測器33は、一例としてレーザ測距計を用いることができる。レーザ測距計によれば、レーザLの出射位置から、粉だまり表面PDsまでの距離を得ることができる。粉末塗布機構32に対する粉末量計測器33の相対的な位置は、一意に知ることができるから、出射位置からレーキブレード321のブレード先端321eまでの距離は知ることができる。従って、レーキブレード321のブレード先端321eまでの距離から、レーザLの出射位置から粉だまり表面PDsまでの距離を減算することによって、粉末高さHを得ることができる。
なお、粉末量計測器33の具体的な構成は、レーザ測距計に限定されない。粉末量計測器33は、レーザ測距計のように粉末P1に接触することなく粉末高さHを測定する非接触方式を採用してもよい。粉末量計測器33は、粉末P1に接触することによって粉末高さHを測定する接触方式を採用してもよい。そのほかの例示については、後述する変形例にて説明する。
次に、図6に示すフロー図を参照しながら、粉末床形成機構30による粉末床を形成する動作について説明する。
まず、コントローラ4は、設定値を取得する(工程S1)。この設定値とは、供給量を増やすべきか、減らすべきかを判定する値である。具体的には、粉だまり量の閾値である。工程S1では、予め準備した複数の設定値から、粉末床PBの厚みなどの製造条件に基づいて、適切な設定値を選択してもよい。また、工程S1では、別途入力された製造条件に基づいて設定値を算出してもよい。
次に、コントローラ4は、制御信号を出力することにより、粉末供給機構31に粉末P1を供給させる(工程S2)。また、コントローラ4は、制御信号を出力することにより、スタートプレート51の回転を開始する。
次に、コントローラ4は、粉だまり量を得る(工程S3)。まず、コントローラ4は、粉末量計測器33から粉だまり表面PDsまでの距離を得る。次に、コントローラ4は、当該距離を用いて粉末高さHを算出する。次に、コントローラ4は、粉末高さHを粉だまり量に換算する。
次に、コントローラ4は、塗布前の粉末量である粉だまり量と設定値とを比較する(工程S4)。具体的には、コントローラ4は、粉だまり量が設定値より大きいか否かを判定する。工程S4の比較の結果、粉だまり量が設定値より大きい場合(工程S4:YES)には、コントローラ4は、制御信号を出力することにより、粉末供給機構31からの供給量を減らす(工程S5)。工程S4の比較の結果、粉だまり量が設置値より小さい場合(工程S4:NO)には、コントローラ4は、制御信号を出力することにより、粉末供給機構31からの供給量を増やす(工程S6)。
なお、コントローラ4は、供給量を増やす又は減らすという2値の制御のほか、供給量を増やす、供給量を減らす及び供給量を維持する3値の制御を行ってもよい。
その後、スタートプレート51の回転によって、粉だまりPDがレーキブレード321に至る。その結果、所定の厚みを有する粉末床PBが形成される(工程S7)。
次に、コントローラ4は、造形処理が完了したか否かを判定する(工程S8)。造形処理が完了していない(工程S8:NO)場合には、再び工程S3からの処理を繰り返す。造形処理が完了した(工程S8:YES)場合には、全体の処理を終了する。
以下、本開示の積層造形装置1及び粉末床形成機構30の作用効果について説明する。
積層造形装置1は、少なくとも粉末P1が載置されるプレート主面51aを含むスタートプレート51と、プレート主面51aに敷き均された粉末P1である粉末床PBを形成する粉末床形成機構30と、粉末床PBにエネルギビームを照射するビーム源3bと、を備える。粉末床形成機構30は、粉末P1を供給する粉末供給機構31と、時計方向CWに向かってスタートプレート51に対して相対的に移動することによって、粉末供給機構31から供給された粉末P1をプレート主面51aに敷き均す粉末塗布機構32と、スタートプレート51に対する粉末塗布機構32の移動方向において粉末塗布機構32の前方に配置されて、粉末供給機構31から供給された後であって粉末塗布機構32によって敷き均される前の粉末P1の量を計測する粉末量計測器33と、を有する。
積層造形装置1の粉末床形成機構30は、粉末P1をプレート主面51aに敷き均す粉末塗布機構32の前方に粉末P1の量を計測する粉末量計測器33を配置している。この構成によると、粉末供給機構31から供給された後に粉末塗布機構32によって敷き均される前の粉末P1の量を計測することができる。敷き均す前の粉末P1の量に関する情報を得ることができるので、当該情報に基づいて粉末供給機構31からの粉末P1の供給量を制御することが可能になる。敷き均しに適した状態が実現されるので、粉末塗布機構32の敷き均し動作によって安定して所望の粉末床PBを形成することができる。従って、造形プロセスを安定して継続することができる。
積層造形装置1のスタートプレート51は、所定の回転軸線を中心として回転し、スタートプレート51の回転によって、スタートプレート51に対する粉末塗布機構32の相対的な移動が発生してもよい。この構成によれば、回転式の積層造形を行うことができる。
積層造形装置1は、スタートプレート51の回転方向における上流から下流に向かって、粉末供給機構31、粉末量計測器33、粉末塗布機構32及び照射部の順に配置されている。この構成によれば、スタートプレート51の回転によって、粉末供給機構31からの粉末P1の供給と、粉末量計測器33による粉末P1の量の計測と、粉末塗布機構32による粉末P1の敷き均しと、粉末床PBに対するエネルギビームの照射と、をこの順に連続して行うことができる。
例えば、図10に示す比較例のように、粉末量計測器133が粉末塗布機構32の下流側に配置されているとする。粉末量計測器133は、粉末床PBの厚みPBtを計測する。粉末量計測器133は、その全体が造形空間Sに晒されている。造形空間Sは、真空領域である。そうすると、粉末量計測器133は、周囲の物体、特に電子ビームを受けた粉末P1から電磁波として放射される熱を受け易くなる。一方、積層造形装置1の粉末量計測器33は、粉末供給機構31と粉末塗布機構32とに挟持されている。この構成によれば、粉末量計測器33は、粉末供給機構31と粉末塗布機構32に挟まれているから、放射熱を受ける露出面が少なくなる。つまり、粉末供給機構31と粉末塗布機構32とによって粉末量計測器33を周囲の熱から保護することができる。その結果、良好な計測値を得ることができる。
積層造形装置1の粉末供給機構31、粉末量計測器33及び粉末塗布機構32は、回転軸線からスタートプレート51の外周縁に向かって延びていてもよい。この構成によれば、円板状のスタートプレート51にまんべんなく粉末床PBを形成することができる。
積層造形装置1は、粉末量計測器33から計測信号を受けると共に、粉末供給機構31に制御信号を出力するコントローラ4をさらに備える。コントローラ4は、粉末量計測器33が出力する粉末P1の量に関する計測信号に基づいて、粉末供給機構31が供給する粉末P1の量を制御する制御信号を生成する。この構成によれば、粉末供給機構31は、敷き均し動作に適した量の粉末P1を供給することができる。
積層造形装置1及び粉末床形成機構30によれば、さらなる効果を奏することもできる。図7は、粉だまり量が増加した状態の一例を示す。図7の例示では、粉だまり量が増加しているが、塗布不良は発生していないものとする。粉だまり量が増加すると、レーキブレード321に作用する押圧力が増加する。レーキブレード321が受ける押圧力が高まると、レーキブレード321が下流側へ曲がる。レーキブレード321のブレード基端321fからブレード先端321eまでの距離は一定であるから、この曲がりによって、ブレード基端321fからブレード先端321eまでの法線方向に沿った長さが短くなる。その結果、短くなった分だけ(厚みDH)、粉末床PBの厚みが増してしまう。要するに、粉だまり量が多くなると、粉末床PBの厚みPDtが増す傾向がある。
これに対して、積層造形装置1は、粉だまり量を適正な範囲に維持することができる。その結果、粉末床PBの厚みに影響を及ぼすようなレーキブレード321の曲がりの発生が抑制される。従って、積層造形装置1は、粉末床PBの厚みを良好に維持することができる。
本開示の積層造形装置及び粉末床形成装置は、前述した実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
図8は、第1変形例の積層造形装置1Aの斜視図である。第1変形例の積層造形装置1Aは、粉末供給機構及び粉末量計測器の構成が、実施形態の積層造形装置1とは異なる。具体的には、第1変形例の積層造形装置1Aは、スタートプレート51の径方向に沿って配置された複数の粉末供給機構31A1、31A2、31A3を有する。さらに、第1変形例の積層造形装置1Aは、スタートプレート51の径方向に沿って配置された複数の粉末量計測器33Aを有する。1個の粉末供給機構31A3は、1個の粉末量計測器33Aに対応する。この構成によると、粉末供給機構31A1、31A2、31A3ごとに、供給量を調整することができる。最も中心側に配置された粉末供給機構31A1の供給量と、最も外周側に配置された粉末供給機構31A3の供給量と、を互いに異ならせることができる。例えば、積層造形装置1Aにおいて、スタートプレート51の回転中心側において粉末供給機構31A1が供給する粉末P1の量を、スタートプレート51の外周縁側において粉末供給機構31A3が供給する粉末P1の量よりも少なくすることができる。従って、粉末供給機構31Aは、円板状のスタートプレート51における半径方向に応じた量の粉末P1を供給することが可能になる。その結果、半径方向に均質な粉末床PBを形成することができる。
粉末床形成機構30の粉末量計測器33は、レーザ光を用いて、粉末の高さを計測する手法を採用していた。粉末量計測器33が採用する手法は、この手法に限定されない。以下、第2~第6変形例である粉末量計測器33を説明する。
図9(a)は、第2変形例の積層造形装置1Bが備える粉末床形成機構30Bを示す。粉末量計測器33Bは、粉末高さHを計測する。粉末量計測器33Bは、接触式である。具体的には、粉末量計測器33Bは、所定の高さに配置された電気プローブ33B1を有する。さらに、粉末量計測器33Bは、電源33B2と、電流計33B3と、を有する。電気プローブ33B1、電源33B2及び電流計33B3は、直列に接続されている。そして、電流計33B3は、レーキブレード321に接続されている。この構成によると、電気プローブ33B1、電源33B2、電流計33B3及びレーキブレード321によってひとつの接点検知回路が構成される。電気プローブ33B1は、レーキブレード321に直接に接触しないから、通常は、回路に電流は流れない。しかし、粉だまり量が増加した場合には、粉だまりPDは、レーキブレード321に接触すると共に電気プローブ33B1にも接触する。そうすると、電気プローブ33B1とレーキブレード321とが導通状態となる。その結果、回路に電流が流れる。この電流が流れたことをトリガとして、粉だまり量が閾値に達したことを知ることができる。
図9(b)は、第3変形例の積層造形装置1Cが備える粉末床形成機構30Cを示す。粉末量計測器33Cは、粉末高さHを計測する。粉末量計測器33Cは、接触式である。具体的には、粉末量計測器33Cは、温度プローブ33C1と、温度計33C2と、を有する。温度プローブ33C1は、第2変形例の電気プローブ33B1と同様の位置に配置される。粉だまり量が増加すると、粉だまりPDが温度プローブ33C1に接触する。この接触は、温度計33C2が出力する温度データに不連続な変化をもたらす。この不連続な変化をトリガとして、粉だまり量が閾値に達したことを知ることができる。
図9(c)は、第3変形例の積層造形装置1Dが備える粉末床形成機構30Dを示す。粉末量計測器33Dは、粉末幅Wを計測する。具体的には、粉末量計測器33Dは、箔板33D1と、レーザ測距計33D2と、を有する。箔板33D1は、レーキブレード321の前方に配置されている。箔板33D1は、粉末塗布機構32Dの筐体に取り付けられていてもよい。箔板33D1は、レーキブレード321よりも変形しやすい。また、箔板33D1の先端は、ブレード先端321eよりも高い位置にある。粉だまり量が増加すると、粉末幅Wが長くなる。粉末幅Wが長くなると、箔板33D1が粉末P1に押圧されるので、箔板33D1は、前方へ変形する。この変形は、レーザ測距計33D2によって検知する。このような構成によっても、粉末幅Wを得ることができる。
図9(d)は、第4変形例の積層造形装置1Eが備える粉末床形成機構30Eを示す。粉末量計測器33Eは、粉末幅Wを計測する。粉末量計測器33Eは、箔板33E1と、接点検知回路33E2と、を有する。箔板33E1は、第3変形例の箔板33D1と同様の構成を有する。第4変形例では、箔板33E1の変形を検知する構成が、第3変形例と相違する。第4変形例では、箔板33E1の変形を電気的に検知する。接点検知回路33E2は、接点33E3と、電源33E4と、電流計33E5とを含む。変形した箔板33E1が接点33E3に接すると、接点検知回路33E2が導通状態となり、回路に電流が流れる。この電流が流れたことをトリガとして、粉だまり量が閾値に達したことを知ることができる。
図9(e)及び図9(f)は、第5変形例の積層造形装置1Fが備える粉末床形成機構30Fを示す。粉末量計測器33Fは、粉末高さH又は粉末幅Wを計測する。第5変形例では、粉末幅Wが閾値に達したことをレーザによって検知する。具体的には、粉末量計測器33Fは、径方向に沿って中心側に配置されたレーザ光源33F1と、外周側に配置された受光センサ33F2と、を有する。図9(e)及び図9(f)の例示では、紙面奥側から、紙面手前側に向けてレーザLを照射しているとする。粉だまり量が少ない場合には、レーザLは、粉末P1に妨げられることがないので、受光センサ33F2によって検知できる(図9(e)参照)。一方、粉だまり量が多い場合には、レーザLは、粉末P1によって妨げられるので、受光センサ33F2で検知できない(図9(f)参照)。この受光センサ33F2において、検出されていたレーザが検出されなくなったことをトリガとして、粉だまり量が閾値に達したことを知ることができる。