JP7704040B2 - 蛍光ナノ粒子 - Google Patents
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Description
図1Aは本発明の実施の形態に係る蛍光ナノ粒子10を模式的に示す図である。蛍光ナノ粒子10は、樹脂20および樹脂20に内包された蛍光色素30を含むナノ粒子40と、ナノ粒子40に結合した、カルボキシル基またはその塩を有する糖50と、糖50を介してナノ粒子40に結合した、標的物質100(図1B参照)に結合する結合物質60とを有する。蛍光ナノ粒子10は、観察対象を蛍光染色(蛍光標識)するために用いられる。
ナノ粒子は蛍光ナノ粒子の母体である。ナノ粒子は、マトリックスとなる樹脂と、蛍光色素とを含む。
蛍光色素は、ナノ粒子に内包されている。蛍光色素は、蛍光色素を含む溶媒中で上記の樹脂のモノマーを重合させることでナノ粒子に内包される。
糖はナノ粒子の表面に結合している。図1Aに示されるように、糖50は水酸基(-OH)を有するので、これが良好な分散性を有する蛍光ナノ粒子が得られる一因と推定される。
図1Aに示されるように、本実施の形態に係る蛍光ナノ粒子10は、糖50を介してナノ粒子40に結合した結合物質60を有する。結合物質60の種類は、観察対象に直接または間接的に結合した標的物質100に結合することができれば特に制限されない。
蛍光ナノ粒子の平均粒子径は、汎用の蛍光顕微鏡でも好適に輝点の観察を可能とする観点から、好ましくは30~300nmであり、より好ましくは40nm~200nmである。平均粒子径が300nmを超える場合、染色後の観察の際に細胞1個当たりの輝点数が減って輝点観察がしにくくなり、逆に平均粒子径が30nm未満の場合、細胞1個当たりの輝点数が増えて輝点観察がしにくくなるからである。
本実施の形態に係る蛍光ナノ粒子は、ナノ粒子の表面に、カルボキシル基またはその塩を有する糖が結合しているため、分散性が高い。したがって、本実施の形態に係る蛍光ナノ粒子を用いることで高精度な蛍光染色(蛍光標識)を行うことが可能となり、観察対象を高精度に観察または定量することも可能となる。
図2は、実施例に係る蛍光ナノ粒子の製造方法を模式的に示す。図2を参照しつつ蛍光ナノ粒子の製造について説明する。
蛍光色素であるペリレンジイミド4.4mgを水20mLに溶解して得られた溶液に乳化重合用乳化剤である「エマルゲン(登録商標)430」(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王(株)製)の5質量%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料である「ニカラックMX-035」(日本カーバイド工業(株)製)を固形分量として0.14g加えた。さらに、この溶液に酸触媒であるドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学(株)製)の10質量%水溶液を0.70mL加え、70℃に加熱して50分間撹拌し、さらに90℃に昇温して20分間撹拌して、メラミン樹脂の合成を行った。
蛍光色素であるペリレンジイミド1.9mgを水20mLに加えて溶解して得られた溶液に乳化重合用乳化剤である「エマルゲン(登録商標)430」(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王(株)製)の5質量%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にシード粒子1を5.0×1014個加え、得られた分散液にメラミン樹脂原料である「ニカラックMX-035」(日本カーバイド工業(株)製)を固形分量として0.06g加えた。この分散液に、酸触媒であるスルファミン酸(関東化学(株)製)の2.47質量%水溶液と酸触媒であるドデシルベンゼンスルホン酸の10質量%水溶液とを1:3の比率で混合して得られた酸溶液を0.70mL加え、70℃に加熱して50分間攪拌し、さらに90℃に昇温して20分間撹拌して、メラミン樹脂の合成を行った。
蛍光ナノ粒子の分散液を基板上で室温にて一晩静置して乾燥させ、SEM(S-4800、日立ハイテク社製)を用いて観察および画像撮影を行った。得られた画像から任意の粒子1000個の粒子径を計測し、平均粒子径と粒子径の変動係数を算出した。上記のようにして得られたナノ粒子の粒子径は53.6nm、粒子径の変動係数は12%であった。
上記の「(50nm狙いの蛍光ナノ粒子の製造)」において、蛍光色素ペリレンジイミドの量を2.5mg、エマルゲン430の5質量%水溶液の量を2.6mL、ニカラックMX-035の量を0.08gにて使用したこと以外は同様にして蛍光ナノ粒子を作製した。また、上記と同様の方法にて測定したナノ粒子の平均粒子径は65.9nm、粒子径の変動係数は10%であった。
上記の「(50nm狙いの蛍光ナノ粒子の製造)」において、蛍光色素ペリレンジイミドの量を3.0mg、エマルゲン430の5質量%水溶液の量を3.2mL、ニカラックMX-035の量を0.1gにて使用したこと以外は同様にして蛍光ナノ粒子を作製した。上記と同様の方法にて測定したナノ粒子の平均粒子径は83nm、粒子径の変動係数は9%であった。
上記の「(50nm狙いの蛍光ナノ粒子の製造)」において、蛍光色素ペリレンジイミドの量を4.9mg、エマルゲン430の5質量%水溶液の量を5.2mL、ニカラックMX-035の量を0.16gにて使用したこと以外は同様にして蛍光ナノ粒子を作製した。上記と同様の方法にて測定したナノ粒子の平均粒子径は132.6nm、粒子径の変動係数は9%であった。
図2の中段は、ナノ粒子40の表面に糖50が結合し、さらに糖50が有するカルボキシル基が、N-ヒドロキシスクシイミド(NHS)によって活性化された様子を示す。このような状態のナノ粒子は以下のようにして得た。
図2の下段は、糖50を介してナノ粒子に結合した結合物質60を有する蛍光ナノ粒子10を示す。このような蛍光ナノ粒子は以下のようにして得た。
実施例1のデキストラン修飾ナノ粒子の製造において、CMDをカルボキシメチルセルロース(CMC、東京化成工業社製)1mgに変更した以外は同様の方法にて作製した。
実施例1のデキストラン修飾ナノ粒子の製造において、CMD結合後、MES緩衝液による洗浄操作の後に、5’末端をアミノ基で修飾した30merのPoly (dC)を2uMとなるように加えて室温にて1時間撹拌した。その後、1mLのTris-HCl緩衝液を加え、再度15000rpmで20分間、遠心分離を行い、上澄みを除去して沈降物のみを回収した。この操作を2回繰り返した後、1%BSAを含むPBS中に保存することで、実施例3の蛍光ナノ粒子を得た。
比較例1は、糖および結合物質が結合していない蛍光ナノ粒子とした。
比較例2の蛍光ナノ粒子は、糖50の代わりにポリエチレングリコールを有する点で、実施例1の蛍光ナノ粒子と異なる。このような比較例2の蛍光ナノ粒子は以下のようにして得た。
ナノ粒子1mgを純水1mL中に懸濁し、1,2-Bis(2-aminoethoxy)ethane(BAEE)20μLと混合し、70℃で1時間反応させた。
上記のようにして得た実施例および比較例の蛍光ナノ粒子の分散性を以下のよう評価した。
実施例および比較例の蛍光ナノ粒子のそれぞれについて、Malvern Panalytical社製のゼータサイザーナノを用いて動的光散乱法によりPdIを測定した。PdIは、以下の式で表される粒子径分布の広がりを示す無次元指標であり、分散性の評価に利用できる。
蛍光ナノ粒子の分散液を10mMりん酸緩衝液(pH7.2)にて希釈し、Malvern Panalytical社製のディスポーザブルセル(DTS1070)に750uL加えた。ディスポーザブルセルを同社製のゼータサイザーナノにセットし、測定角度を173°として測定を実施した。測定回数は3回とし、3回の平均値ならびに標準偏差を算出した。
実施例および比較例の蛍光ナノ粒子を用いて蛍光免疫染色を行い、蛍光ナノ粒子の分散性の評価を行った。
蛍光ナノ粒子と、以下のように作製したビオチン標識2次抗体とを有する抗体試薬(病理診断用の染色試薬)を調製し、この染色試薬を用いて免疫染色を行った。
比較例1、2、実施例1、2にて使用する2次抗体は以下のように作製した。
まず、50mmol/LのTris-HCl溶液(pH7.5)に抗ウサギIgG抗体50μgを溶解した。該溶液に、最終濃度3mmol/LとなるようにDTT(dithiothretol)溶液を混合した。その後、該溶液を37℃で30分間反応させた。その後、脱塩カラムを用いてDTTで還元化した2次抗体を精製した。精製した抗体全量のうち200μLを50mmol/LのTris-HCl溶液(pH7.5)に溶解して抗体溶液を得た。その一方で、スペーサーの長さが30オングストロームであるリンカー試薬「(+)-Biotin-PEG6-NH-Mal」(PurePEG社製、製品番号2461006-250)を、DMSOを用いて0.4mmol/Lとなるように調整した。この溶液8.5μLを前記抗体溶液に添加し、混和して37℃で30分間反応させた。
実施例3にて使用する2次抗体は以下のように作製した。
まず、50mmol/LのTris-HCl溶液(pH7.5)に抗ウサギIgG抗体50μgを溶解した。該溶液に、最終濃度3mmol/LとなるようにDTT(dithiothretol)溶液を混合した。その後、該溶液を37℃で30分間反応させた。その後、脱塩カラムを用いてDTTで還元化した2次抗体を精製した。精製した抗体全量のうち200μLを50mmol/LのTris-HCl溶液(pH7.5)に溶解して抗体溶液を得た。その一方で、5’末端をマレイミドにて標識した30merのPoly (dG)をDMSOを用いて0.4mmol/Lとなるように調整した。この溶液8.5μLを前記抗体溶液に添加し、混和して37℃で30分間反応させた。
(1)脱パラフィン処理工程
上記ビオチン標識2次抗体等を用いて、ヒト乳がん由来培養細胞ZR-75-1の免疫染色と形態観察染色とを以下のように行った。染色用のスライドとして、HER2 IHCポジコンスライド(パソロジー研究所社製、以下切片スライド)を用いた。この切片スライドを脱パラフィン処理した。
切片スライドを脱パラフィン処理した後、水に置換する洗浄を行った。洗浄した切片スライドを10mmol/Lクエン酸緩衝液中(pH6.0)で121℃、15分間オートクレーブ処理することで、抗原の賦活化処理を行った。賦活化処理後の切片スライドをPBSにより洗浄し、洗浄した切片スライドに対してBSAを1%含有するPBSを用いて1時間ブロッキング処理を行った。
(3-1)1次抗体反応
ロシュ社製「抗HER2ウサギモノクロナール抗体(4B5)」の溶液を上述のブロッキング処理した切片スライドに対して4℃で1晩反応させた。該反応後の切片スライドをPBSで洗浄した。
(3-2)2次抗体反応
1次抗体反応を行った切片スライドをPBSで洗浄した後、1%BSA含有のPBSで2μg/mLに希釈した上記ビオチン標識2次抗体もしくは核酸標識2次抗体と室温で30分間反応させた。該反応後の切片スライドをPBSで洗浄した。
(3-3)蛍光ナノ粒子との反応
2次抗体反応を行った切片スライドに対して、1%BSA含有のPBSで0.12nmol/Lに希釈した前述の蛍光ナノ粒子を、中性のpH環境(pH6.9~7.4)、室温の条件下で2時間反応させた。該反応後の切片スライドをPBSで洗浄した。
免疫染色後、ヘマトキシリン染色を行った。免疫染色した切片をマイヤーヘマトキシリン液で5分間染色してヘマトキシリン染色を行った。その後、切片スライドを流水で3分間洗浄した。
免疫染色工程および形態観察染色工程を終えた切片に対して、純エタノールに5分間浸漬する操作を4回行い、洗浄・脱水を行った。続いて、キシレンに5分間浸漬する操作を4回行い、透徹を行った。最後に、封入剤(武藤化学社製「マリノール」)を用いて、組織切片を封入して観察用のスライドとした。
封入処理工程を終えたスライドに対して所定の励起光を照射して、蛍光を発光させた。その状態のスライドを蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX53」)、顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP80」)により観察および撮像を行った。上記励起光の波長は、光学フィルターに通すことで575~600nmに設定した。また、観察する蛍光の波長についても、光学フィルターを通すことで612~692nmに設定した。顕微鏡観察、画像取得時の励起波長の条件は、580nmの励起では視野中心部付近の照射エネルギーが900W/cm2となるようにした。画像取得時の露光時間は、画像の輝度が飽和しないように任意に設定(例えば4000μ秒に設定)して撮像した。
20 樹脂
30 蛍光色素
40 ナノ粒子
50 糖
60 結合物質
70 細胞
80 一次抗体
90 二次抗体
100 標的物質
Claims (6)
- 樹脂および前記樹脂に内包された蛍光色素を含むナノ粒子と、
前記ナノ粒子に結合した、カルボキシル基またはその塩を有する糖と、
前記糖を介して前記ナノ粒子に結合した、標的物質に結合する結合物質と、
を有する、
蛍光ナノ粒子。 - 前記樹脂は、メラミン樹脂または尿素樹脂である、請求項1に記載の蛍光ナノ粒子。
- 前記糖は、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシメチルでんぷん、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、サクシニルキトサン、サクシニルカルボキシメチルキトサンまたはこれらの塩である、請求項1または2に記載の蛍光ナノ粒子。
- 前記結合物質は、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、抗体または核酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載の蛍光ナノ粒子。
- PdIが0.1以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の蛍光ナノ粒子。
- 平均粒子径が30nm以上300nm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光ナノ粒子。
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