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JP7704620B2 - キンク防止治具及びペールパック - Google Patents
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JP7704620B2 - キンク防止治具及びペールパック - Google Patents

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Description

本発明は、キンク防止治具及びペールパックに関する。
近年、溶接の自動化及びロボット化が進んでいる。このため、マグ溶接用ソリッドワイヤ及びマグ溶接用フラックス入りワイヤ等の溶接用ワイヤに対する長尺化の要求が大きく、溶接用ワイヤを積層して収容したペールパックの使用が増加している。しかしながら、ペールパックにおいては、連続的に溶接する際に、ペールパックの出口付近で溶接ワイヤが捩れることによりキンクが生じ、溶接ワイヤの引き出しが止まってしまう問題点がある。このキンクの発生は、ロボット溶接等においては稼働率の低下を招くため、キンクを防止することが求められる。
ここで特許文献1には、ペールパックの底板上に内筒と外筒とを同軸的に配置し、該内筒と外筒との間にコイル状に積層された溶接ワイヤを収容し、該コイル状の溶接ワイヤの上に、押さえ部材を載置したペールパックが開示されている。このペールパックでは、押さえ部材により溶接ワイヤ引き出し時における溶接ワイヤの絡み及びもつれの防止を図っている。
特許第5198424号公報
しかしながら、特許文献1に記載のペールパックを用いてもなお、キンクが発生する場合があり、更なるキンク防止対策が要求されている。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤを引き出す際にキンクの発生を防止することができるキンク防止治具及びペールパックを提供することにある。
本発明の上記目的は、キンク防止治具に係る下記(1)の構成により達成される。
(1) 底板部及び筒状の外筒部を有し、積層ワイヤを収容する筐体と、
上方にワイヤの引出口と、を備えたペールパックに用いられるキンク防止治具であって、
前記積層ワイヤの上方に設けられ、前記外筒部の径方向に向けて延出する外方延出部と、
前記外方延出部の上方に形成され、前記ワイヤが前記引出口から引き出される際、前記ワイヤと当接してキンクの発生を防止するワイヤ当接部と、
を備えることを特徴とするキンク防止治具。
この構成によれば、キンク防止治具をペールパックに用いた場合、ワイヤを引き出す際にキンクの発生を防止することができる。
また、キンク防止治具に係る本発明の好ましい実施形態は、以下の(2)~(4)に関する。
(2) 前記筐体の高さをH1、前記引出口の高さをH2としたとき、
前記ワイヤ当接部の頂部は、H1+1/2×(H2-H1)よりも高い位置にあることを特徴とする上記(1)に記載のキンク防止治具。
この構成によれば、ワイヤが通過する空間が狭まり、さらにワイヤが引出口の近傍まで案内されるため、より確実にキンクの発生を防止することができる。
(3) 前記ペールパックは、前記筐体内に、コイル状の前記積層ワイヤ内側に設けられる内筒を有し、
前記外方延出部の下方に延び前記内筒と係合する接続部を有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のキンク防止治具。
この構成によれば、ペールパック内の内筒とキンク防止治具とを接続し、内筒の上にキンク防止治具を配置することができる。
(4) 前記ワイヤ当接部は、略円錐形状に形成されることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか1つに記載のキンク防止治具。
この構成によれば、ワイヤをワイヤの引出口に向けて滑らかに案内することができる。
また、本発明の上記目的は、ペールパックに係る下記(5)の構成により達成される。
(5) 上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のキンク防止治具を備えることを特徴とするペールパック。
この構成によれば、ペールパックからワイヤを引き出す際にキンクの発生を防止することができる。
また、ペールパックに係る本発明の好ましい実施形態は、以下の(6)及び(7)に関する。
(6) 前記積層ワイヤを下方に向けて押圧する押さえ板を備え、
前記積層ワイヤは、内引き出し方式により引き出されることを特徴とする上記(5)に記載のペールパック。
この構成によれば、内引出し方式のペールパックにおいて、キンクの発生を防止することができる。
(7) 前記筐体における前記底板部に対向する開口部を覆うように設けられる蓋体を有し、
前記蓋体は、上方に向かって次第に外径が小さくなる略円錐形状を有することを特徴とする上記(5)又は(6)に記載のペールパック。
この構成によれば、略円錐形状のキンク防止治具との間の空間をワイヤが通過するので、ワイヤが通過する空間が狭くなり、キンクの発生を効果的に防止することができる。
本発明によれば、ワイヤを引き出す際にキンクの発生を防止することができるキンク防止治具及びペールパックを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るキンク防止治具の側面図である。 図2Aは、一の変形例に係るキンク防止治具の側面図である。 図2Bは、他の変形例に係るキンク防止治具の側面図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係るペールパックの断面図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係るペールパックの断面図である。 図5は、本発明の第3実施形態に係るペールパックの断面図である。 図6Aは、他の変形例に係るキンク防止治具の側面図である。 図6Bは、他の変形例に係るキンク防止治具の側面図である。 図6Cは、他の変形例に係るキンク防止治具の側面図である。 図6Dは、他の変形例に係るキンク防止治具の側面図である。 図6Eは、他の変形例に係るキンク防止治具の側面図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態に係るキンク防止治具を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態のキンク防止治具10は、後述する図3に示すペールパック30の内筒34に係合する円筒部11と、該円筒部11の上部に同軸で一体に形成された円錐部12とを備える。ここで、円筒部11は、内筒34と係合して、内筒34とキンク防止治具10を接続する接続部である。
円錐部12の底面13の直径D2は、円筒部11の直径D1より大きく、円錐部12の底面13には、円筒部11の外周上部から外径方向に延びる鍔状の外方延出部14を有する。外方延出部14の径方向長さL、直径D1、直径D2、円錐部12の高さは、使用されるペールパック30の大きさにより適宜設定される。なお、本実施形態では、外方延出部14は、円筒部11から外周縁15に向けて水平方向に延びているが、円筒部11から外周縁15に向けて斜め下方や斜め上方に延びていてもよい。
キンク防止治具10は、円錐部12の底面13の外周縁15、及びワイヤ当接部である円錐部12の円錐面16が、引き出される溶接ワイヤWに当接することで、ワイヤWにキンクが発生することを防止する。円錐面16を構成する母線の形状は、直線、凹状、凸状、曲線のいずれであってもよいが、直線又は凸状であることが好ましい。
キンク防止治具10の円筒部11と円錐部12とは、例えば、樹脂や金属などにより中実又は中空に一体成形されてもよく、円錐部12の底面13の外周縁15、及び円錐部12の円錐面16を構成する複数の母線が、線材などにより組合せ形成された骨組み部材であってもよい。
なお、円筒部11は、内筒34(図3、4参照)に係合する接続部であればよく、四角柱や三角柱のような形状であってもよい。また、内筒34とキンク防止治具10とが一体となっていてもよい。
図2Aに示すように、一の変形例に係るキンク防止治具10Aは、図1に示すキンク防止治具10の円錐部12の頂部が、底面13と平行に切断された平面21を有するように、上記円錐部12が円錐台22の形状となっている。その他の部分は、上記実施形態のキンク防止治具10と同様の形状を有するため、詳細な説明は省略する。なお、上記円錐部12の高さと同様、円錐台22の高さは、使用されるペールパック30の大きさに合わせて適宜設定される。例えば、図2Bに示す他の変形例に係るキンク防止治具10Bのように、円錐台22の高さが図2Aに示すものより高いものであってもよい。
続いて図3に示すように、ペールパック30は、外筒部35及び底板部33を有する筐体31と、蓋体32と、を備えている。蓋体32は、筐体31の上部にあり、底板部33に対向する開口部39を覆うように設けられている。筐体31は、底板部33上に同軸的に配置された内筒34及び外筒部35を有し、内筒34と外筒部35との間に、溶接ワイヤWがコイル状に巻回されてなる積層ワイヤ50が収容される。なお、本実施形態において内筒34及び外筒部35は、底板部33上に同軸的に配置されているが、必ずしも同軸的に配置される必要はない。また、蓋体32の形状は、本実施形態の形状に限られるものではなく、蓋体の斜面が凹状や凸状であってもよい。また、蓋体32及びキンク防止治具10は互いにペールパックとして使用可能なようにその形状を選択できる。
蓋体32は、上方に向かって次第に外径が小さくなる略円錐台形に形成され、その頂部36には、ワイヤWが引き出される引出口37を有する口金38が固定されている。そして、筐体31は、その内部に積層ワイヤ50を収容する収容空間S1を形成する。また、蓋体32は、後述するように、キンク防止治具10との間に通路空間S3を形成する。本実施形態において「上方」とは、ペールパック30における外筒部35の軸方向に沿って、鉛直上向きに向かう方向を意味し、後述する「下方」とは、ペールパック30における外筒部35の軸方向に沿って、鉛直下向きに向かう方向を意味する。
また、積層ワイヤ50上には、ワイヤ押さえ板40が載置され、ワイヤ押さえ板40の自重により、積層ワイヤ50を下方に向けて押圧している。ワイヤ押さえ板40の外径は、外筒部35の内径より僅かに小さくなっており、ワイヤ押さえ板40は外筒部35の内部を外筒部35の軸方向に移動可能になっている。
一方、ワイヤ押さえ板40の内径は、内筒34の外径よりも大きく、ワイヤ押さえ板40の内周端縁40aと内筒34の外周面との間には、溶接ワイヤWを引き出すための間隙C1が設けられている。間隙C1の大きさは、溶接ワイヤWの直径よりも大きく設定されていることで、ワイヤ押さえ板40と内筒34との間から溶接ワイヤWを引き出すことが可能となっている。すなわち、図3に示すペールパック30は、いわゆる「内引出し方式」のペールパックである。
キンク防止治具10は、図3に示すように、円筒部11をペールパック30の内筒34に係合させることでペールパック30に取り付けられる。すなわち、内筒34の上方となる、蓋体32で形成された略円錐台形の内部空間内に、円錐部12が配置される。これにより、蓋体32で形成された略円錐台形の内部空間は、円錐部12により狭められる。すなわち、積層ワイヤ50から引き出された溶接ワイヤWが通過可能な空間は、蓋体32の内部に形成された略円錐台形の内部空間から、円錐部12の体積S2を除いた部分である、略円環状の通路空間S3となる。なお、円錐部12の底面13の直径D2は、外筒部35の内径より小さく、円錐部12の外周縁15とペールパック30の外筒部35の内周面との間には、溶接ワイヤWの直径よりも大きく設定された所定の隙間C2が設けられている。
また、筐体31の高さをH1、筐体31の底板部33から引出口37までの高さをH2としたとき、筐体31の底板部33からワイヤ当接部である円錐面16の頂部17までの高さH3は、H1+1/2×(H2-H1)の位置よりも高いことが好ましい。すなわち、H3>H1+1/2×(H2-H1)を満足することが好ましく、より好ましくは、H3>H1+5/8×(H2-H1)、更に好ましくは、H3>H1+3/4×(H2-H1)、特に好ましくは、H3>H1+7/8×(H2-H1)、とするのがよい。筐体31の底板部33から円錐面16の頂部17までの高さH3が高いほど、溶接ワイヤWを引出口37の近くまで治具に沿って案内することができるため、キンク防止効果がより高くなる。
次に、キンク防止治具10を備えるペールパック30の作用について説明する。図3に示すように、ペールパック30内において積層ワイヤ50の内側(内筒34側)の一端から引き出された溶接ワイヤWは、ワイヤ押さえ板40の内周端縁40aと内筒34の外周面との間に設けられた間隙C1から、更に、蓋体32に設けられた口金38の引出口37からペールパック30の外部に導出される。
ワイヤ押さえ板40は、溶接ワイヤWが引き出されて積層ワイヤ50の高さが低くなるにつれて下方に移動する。
積層ワイヤ50から引き出された溶接ワイヤWは、円錐部12の外周縁15とペールパック30の外筒部35の内周面との間の隙間C2を通って、円錐部12の外周縁15に摺接し、円錐面16に沿って周方向に移動しながら上方に引き出され、通路空間S3に導出される。
本発明者らが鋭意検討した結果、本実施形態で示すような「内引出し方式」のペールパック30においては、溶接ワイヤWを長時間引き出していくうちに、溶接ワイヤWに捩れが蓄積されることで、リング状に積層されている溶接ワイヤWが、リング状のまま内筒34を超えるように上方に上がってくる場合があることがわかった。このとき、キンク防止治具がない従来のペールパックの場合、リング状の溶接ワイヤWが内筒34を乗り越えることによりキンクを引き起こしていることが確認された。一方、本実施形態においては、キンク防止治具10は、円錐部12の底面13が内筒34の上側を塞いでいることから、仮に、溶接ワイヤWがリング状のまま、ワイヤ押さえ板40の側部を回りこんでワイヤ押さえ板40の上方に出てきたとしても、円錐部12の底面13(外方延出部14)に当接するため、ワイヤ押さえ板40から上方に出てきた溶接ワイヤWが内筒34を乗り越えることが防止される。
溶接ワイヤWにさらに捩れが付与されると、溶接ワイヤWは外方延出部14を乗り越えてキンクを形成しようとするが、本実施形態においては、キンク防止治具10の円錐面16により、キンクの発生が防止される。ここで、溶接ワイヤWは、内筒34の上方においてキンクを形成しようとする場合、溶接ワイヤWはペールパックの外筒部35の中心軸に向かうように溶接ワイヤWの捩れが生じることが、本発明者らの検討で明らかになっている。このため、キンク防止治具10においては、溶接ワイヤWがキンクを形成できないように、溶接ワイヤWと当接する円錐面16を設けているのである。本実施形態において、蓋体32内の空間は、キンク防止治具10によって、50%以上埋められていることが好ましく、60%以上埋められていることがより好ましく、70%以上埋められていることがさらに好ましく、80%以上埋められていることが特に好ましい。
また、筐体31の底板部33からワイヤ当接部である円錐面16の頂部17までの高さH3は、筐体31の高さをH1、筐体31の底板部33から蓋体32の溶接ワイヤWの引出口37までの高さをH2とした場合に、H1+(H2-H1)×1/2の位置より高いため、蓋体32の内部に形成された通路空間S3は、キンク防止治具10により狭められている。通路空間S3は略円環状の狭い空間であるため、溶接ワイヤWが通路空間S3内で捩れても、溶接ワイヤWは、ワイヤ当接部である円錐部12の円錐面16に干渉し、溶接ワイヤWの自由な動きが規制されてキンクの形成が抑制される。そして、口金38の引出口37を通り、ペールパック30の外部に導出される。
このように、積層ワイヤ50から引き出された溶接ワイヤWは、積層ワイヤ50から見た上流部分が、ワイヤ押さえ板40の内周端縁40aと内筒34の外周面との間の間隙C1により動きが規制されている。また、積層ワイヤ50から見た中間部分が、摺接する円錐部12の外周縁15により隙間C2で規制されている。更に、積層ワイヤ50から見た下流部分が口金38の引出口37で規制されている。溶接ワイヤWは、上流部分、中間部分及び下流部分の3か所で自由な動きが規制されて、弛みの発生が効果的に抑制されているため、溶接ワイヤWにキンクが形成されることが防止される。
本実施形態において、円錐部12の外周縁15とペールパック30の外筒部35の内周面との間の隙間C2の大きさが、外筒部35の内径D3に対して、0.10倍以下であると、隙間C2による積層ワイヤ50を規制する効果をより一層向上させることができる。その結果、溶接ワイヤWは、弛みの発生が効果的に抑制され、溶接ワイヤWにキンクが形成されることを防止する効果を高めることができる。
一方、隙間C2の大きさが、内径D3に対して、0.05倍以上であると、隙間C2が狭くなりすぎることを防止することができ、ワイヤの送給性を確保することができる。
したがって、隙間C2の大きさは、外筒部35の内径D3に対して0.05倍以上であることが好ましく、0.10倍以下であることが好ましい。
なお、隙間C2の大きさと外筒部35の内径D3との関係を上記範囲にするためには、例えば、キンク防止治具10における円錐部12の外周縁15の直径D2を、外筒部35の内径D3に対して、0.80倍以上とし、0.90倍以下とすればよい。
本発明者らは鋭意検討した結果、長時間の溶接によりペールパック30内部の溶接ワイヤWに捩れが過剰に蓄積される場合があり、このとき特に円筒部11の上方において、溶接ワイヤWがキンクを生じやすくなることを見出した。このため、上述したキンク防止治具10によって、溶接ワイヤWがキンクを形成するために必要な空間をなくすことにより、キンクの防止を図っているのである。すなわち、キンク防止治具10を壁として作用させることによって、溶接ワイヤWの動きが規制されることにより、キンクの防止が図られているのである。
なお、ワイヤ押さえ板40の上方に、不図示の遊動錘を配置してもよい。遊動錘の形状は、例えば球形であり、遊動錘には溶接ワイヤWを挿通するための貫通孔が形成される。遊動錘の直径は、ワイヤ押さえ板40の内周端縁40aと内筒34との間の間隙C1よりも大きく、貫通孔の内径は溶接ワイヤWの外径よりも大きく設定される。そして、溶接ワイヤWが積層ワイヤ50から引き出されると、遊動錘は間隙C1の上方をワイヤ押さえ板40及び内筒34に接しながら、内筒34の外周面に沿って公転移動する。このとき溶接ワイヤWは遊動錘によりワイヤに弛みが生じることが抑制されることでキンクの発生を防止する。
また、図2Aや図2Bに示す変形例のキンク防止治具10Aを備えるペールパック30では、キンク防止治具10Aの円錐面16の上部が、底面13と平行に切断された平面21を有する円錐台22となっているため、円錐台22の高さを、図1に示す実施例のキンク防止治具10の円錐部12と同じ高さに設定した場合、キンク防止治具10Aの上下方向(鉛直方向)における断面視において、底面13と円錐面16とで挟まれる角度αが大きくなる。したがって、円錐面16の傾斜角度が大きい分、蓋体32の内部に形成される通路空間S3がより狭くなり、キンク防止の効果が高められる。なお、上記角度αの大きさには特に制限はないが、効果的にキンク防止を発揮させるためには、図1に示すキンク防止治具10、図2Aに示すキンク防止治具10A及び図2Bに示すキンク防止治具10Bのいずれも、好ましくは30°以上、より好ましくは40°以上、更に好ましくは45°以上、特に好ましくは55°以上とするのがよい。ここで、角度αは水平方向に対して上方に向かう角度である。角度αの上限は特にないが、例えば75°以下や65°以下などである。
<第2実施形態>
図4に示すように、第2実施形態のペールパック30は、いわゆる「外引出し方式」のペールパック30であり、第1実施形態のキンク防止治具10と同様に、筐体31と、筐体31の上部にある開口部39を覆うように設けられる蓋体32と、を備える。筐体31は、底板部33上に同軸的に配置された内筒34及び外筒部35を有し、内筒34と外筒部35との間に、溶接ワイヤWが巻回されてなる積層ワイヤ50が収容される。
蓋体32は、上方に向かって次第に外径が小さくなる略円錐台形に形成され、その頂部36には、溶接ワイヤWが引き出される引出口37を有する口金38が固定されている。すなわち、筐体31は、その内部に積層ワイヤ50を収容する収容空間S1を形成し、また、蓋体32は、その内部に略円錐台形の通路空間S3を形成する。
また、積層ワイヤ50上には、環状のワイヤ押さえ板40が載置され、ワイヤ押さえ板40の自重により積層ワイヤ50を下方に向けて押圧している。ワイヤ押さえ板40の外径は、外筒部35の内径よりも小さくなっており、ワイヤ押さえ板40の外周端縁40bと外筒部35の内周面との間には、溶接ワイヤWを引き出すための間隙C1が設けられている。間隙C1の大きさは、溶接ワイヤWの外径よりも大きく設定される。
キンク防止治具10は、第1実施形態と同様に、円筒部11をペールパック30の内筒34に係合させてペールパック30に取り付けられている。これにより、蓋体32で形成された略円錐台形の内部空間は、円錐部12により狭められ、積層ワイヤ50から引き出された溶接ワイヤWが通過可能な空間は、蓋体32の内部に形成された略円錐台形の内部空間から円錐部12の体積S2を除いた部分である通路空間S3となる。なお、円錐部12の底面13の直径D2は、外筒部35の内径より小さく、円錐部12の外周縁15とペールパック30の外筒部35の内周面との間には、隙間C2が設けられている。
また、本実施形態においても同様に、ワイヤ当接部である円錐面16の頂部17の高さH3は、筐体31の高さをH1、蓋体32の溶接ワイヤWの引出口37の高さをH2として、H1+(H2-H1)×1/2の位置より高く設定されている。
そして、積層ワイヤ50の外径側(すなわち、外筒部35側)の一端から引き出された溶接ワイヤWは、ワイヤ押さえ板40の外周端縁40b及び外筒部35の内周面間の間隙C1から上方に引き出され、更に、蓋体32に設けられた口金38の引出口37からペールパック30の外部に導出される。
ワイヤ押さえ板40は、溶接ワイヤWが引き出されて積層ワイヤ50の高さが低くなるにつれて下方に移動する。
積層ワイヤ50から引き出され、収容空間S1に引き出された溶接ワイヤWは、円錐部12の外周縁15とペールパック30の外筒部35の内周面との間の隙間C2を通って円錐部12の外周縁15に摺接し、外周縁15に沿って周方向に移動しながら上方に引き出され、通路空間S3に導出する。
また、筐体31の底板部33からワイヤ当接部である円錐面16の頂部17までの高さH3は、筐体31の高さをH1、筐体31の底板部33から蓋体32の溶接ワイヤWの引出口37までの高さをH2とした場合に、H1+(H2-H1)×1/2の位置より高いため、蓋体32の内部に形成された通路空間S3は、キンク防止治具10により狭められている。通路空間S3は略円環状の狭い空間であるため、溶接ワイヤWが通路空間S3内で捩れて絡まりそうになっても、溶接ワイヤWは、ワイヤ当接部である円錐部12の円錐面16に干渉し、溶接ワイヤWの自由な動きが規制されて絡まることが抑制される。そして、口金38の引出口37を通り、ペールパック30の外部に導出される。
このように、積層ワイヤ50から引き出された溶接ワイヤWは、積層ワイヤ50から見た上流部分がワイヤ押さえ板40の外周端縁40bと外筒部35の内周面との間の間隙C1により動きが規制され、また、積層ワイヤ50から見た中間部分が、摺接する円錐部12の外周縁15により隙間C2で規制され、更に、積層ワイヤ50から見た下流部分が口金38の引出口37で規制されている。溶接ワイヤWは、上流部分、中間部分及び下流部分の3か所で自由な動きが規制されて、弛みの発生が効果的に抑制されているため、第1実施形態と同様、溶接ワイヤWが絡まることが防止される。
第2実施形態においても同様に、円錐部12の外周縁15とペールパック30の外筒部35の内周面との間の隙間C2の大きさは、外筒部35の内径D3に対して、0.05倍以上であることが好ましく、0.10倍以下であることが好ましい。
また、隙間C2の大きさと外筒部35の内径D3との関係を上記範囲にするためには、キンク防止治具10における円錐部12の外周縁15の直径D2を、外筒部35の内径D3に対して、0.80倍以上とし、0.90倍以下とすればよい。
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係るペールパックの断面図である。図5に示すように、第3実施形態のペールパック30は、「内引出し方式」であり、第1実施形態の変形例であるため、図5において、図3に示す第1実施形態と同一又は同等部分については、その説明を省略又は簡略化する。
第3実施形態のペールパック30において、円錐部12の外方延出部14は、円筒部11から外周縁15に向けて斜め上方に延びた形状となっている。図5に示す角度βは、ペールパックの断面視における水平方向と外方延出部14の延在方向とがなす角度である。
このように、円錐部12の外方延出部14が、円筒部11から外周縁15に向けて斜め上方に延びた形状となっていると、ワイヤWの浮き上がりを防止する効果と、ワイヤ送給性を向上させる効果との両方を向上させることができる。特に、角度βが40°以下であると、外方延出部14によるワイヤWの浮き上がりを防止できるとともに、ワイヤ送給性が向上する。したがって、角度βは40°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましく、20°以下であることがさらに好ましい。
なお、上述のとおり、角度βがマイナス、すなわち、円錐部12の外方延出部14が、円筒部11から外周縁15に向けて斜め下方に延びた形状であってもよいが、良好なワイヤ送給性を確保するため、角度βは0°以上であることが好ましい。また、キンク防止治具10の製造が容易となるという理由から、角度βは0°以上10°以下であることがより好ましい。
また、第1実施形態と同様に、ペールパック30の蓋体32は、上方に向かって次第に外径が小さくなる略円錐台形に形成され、その頂部36には、ワイヤWが引き出される引出口37を有する口金38が固定されている。ただし、口金38におけるワイヤWが接触する内面側には、プラスティック製のパイプ41が配設されており、パイプ41には、通路空間S3に向けて放射状に広がったワイヤ導入口42が形成されている。
このように、口金38に配設されたパイプ41が、通路空間S3である下方に向けて放射状に広がっていると、ワイヤWを通路空間S3から導入しやすくなるとともに、線癖がつきにくく、送給性を向上させることができる。
パイプ41の材質は、パイプ41とワイヤWとの摺動による摩耗や金属くずの発生を抑制することができる材質であることが好ましく、例えば、プラスティック、セラミック等であることが好ましい。
ワイヤ導入口42を有するパイプ41が、ワイヤWとの摺動による摩耗等を抑制することができる材質であると、金属くずの発生を抑制できるため、金属くずの堆積による送給不良等の発生を抑制することができる。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、他の変形例に係るキンク防止治具10Cとして、図6Aに示すように、図1の円錐部12相当部分の形状を、円筒部23と円錐台22との組合せとして構成することもできる。
また、他の変形例に係るキンク防止治具10Dとして、図6Bに示すように、上方に向かって次第に外径が小さくなる複数の円筒部23の組合せとして構成することもできる。
また、他の変形例に係るキンク防止治具10E及び10Fとして、それぞれ図6C及び図6Dに示すように、ペールパック30の内筒34に係合する円筒部11の上方に突出して形成された支柱24に係合して固定された、複数の孔付き円盤25を有する構成することもできる。
この場合、各円盤25の外周縁が、溶接ワイヤWを案内するワイヤ当接部として作用し、溶接ワイヤWの絡まりを防止する。なお、図6C及び図6Dにおいては、支柱24は円錐形状となっているが、これに限定されるものではない。
さらに、他の変形例に係るキンク防止治具10Gとして、図6Eに示すように、円筒部11や円錐部12などに、複数の穴26を形成して軽量化した構成することもできる。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
10,10A~10G キンク防止治具
11 円筒部(接続部)
12 円錐部
13 底面
14 外方延出部
15 外周縁
16 円錐面(ワイヤ当接部)
17 (円錐面の)頂部
21 平面
22 円錐台
30 ペールパック
31 筐体
32 蓋体
33 底板部
34 内筒
35 外筒部
36 (蓋体の)頂部
37 引出口
39 開口部
40 ワイヤ押さえ板
50 積層ワイヤ
H1 筐体の高さ
H2 引出口の高さ
H3 ワイヤ当接部の頂部の高さ
S1 収容空間
S2 円錐部12の体積
S3 通路空間
W 溶接ワイヤ

Claims (5)

  1. 底板部及び筒状の外筒部を有し、積層ワイヤを収容する筐体と、前記筐体の上方に配置されたワイヤの引出口と、キンク防止治具と、を備えたペールパックであって、
    前記キンク防止治具は、前記積層ワイヤの上方に設けられ、前記外筒部の径方向に向けて延出する外方延出部と、
    前記外方延出部の上方に形成され、前記ワイヤが前記引出口から引き出される際、前記ワイヤと当接してキンクの発生を防止するワイヤ当接部と、を備え、
    前記ワイヤ当接部の頂部は、前記筐体の高さをH1、前記引出口の高さをH2としたとき、H1+5/8×(H2-H1)よりも高い位置にあり、
    前記ワイヤ当接部の外周縁と前記外筒部との間の隙間は、前記外筒部の内径に対して0.05倍以上0.10倍以下であることを特徴とするペールパック。
  2. 前記ペールパックは、前記筐体内に、コイル状の前記積層ワイヤ内側に設けられる内筒を有し、
    前記キンク防止治具は、前記外方延出部の下方に延び前記内筒と係合する接続部を有することを特徴とする請求項1に記載のペールパック。
  3. 前記ワイヤ当接部は、略円錐形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のペールパック。
  4. 前記積層ワイヤを下方に向けて押圧する押さえ板を備え、
    前記積層ワイヤは、内引き出し方式により引き出されることを特徴とする請求項1に記載のペールパック。
  5. 前記筐体における前記底板部に対向する開口部を覆うように設けられる蓋体を有し、
    前記蓋体は、上方に向かって次第に外径が小さくなる略円錐形状を有することを特徴とする請求項1に記載のペールパック。
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