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JP7706094B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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JP7706094B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質層を備える電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
電解コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子と電気的に接続された電極端子と、コンデンサ素子を封止する外装体とを備える。コンデンサ素子は、例えば、陽極体と、陽極体を覆う誘電体層と、誘電体層を覆う固体電解質層とを備える。
固体電解質層は導電性高分子を含む。導電性高分子として、例えば、ポリピロールが用いられる(例えば、特許文献1)。
特開2008-118060号公報
近年、電解コンデンサの静電容量の向上および漏れ電流の低減が求められている。
本発明の一側面は、陽極体と、前記陽極体を覆う誘電体層と、前記誘導体層を覆う第1固体電解質層と、前記第1固体電解質層を覆う第2固体電解質層と、を備え、前記第1固体電解質層は、ポリピロールを基本骨格とする第1導電性高分子を含み、前記第2固体電解質層は、ポリチオフェンを基本骨格とする第2導電性高分子を含み、前記第2固体電解質層の厚みは、1μm以上である、電解コンデンサに関する。
本発明の他の側面は、誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、前記誘電体層上でポリピロールを基本骨格とする第1導電性高分子の前駆体を電解重合させて、前記第1導電性高分子を含む第1固体電解質層を形成する第2工程と、前記第1固体電解質層にポリチオフェンを基本骨格とする第2導電性高分子を含む処理液を付着させて、前記第2導電性高分子を含む第2固体電解質層を形成する第3工程と、を含み、前記第2固体電解質層の厚みは、1μm以上である、電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明によれば、電解コンデンサについて、静電容量の向上および漏れ電流の低減を実現することができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。 図1の領域IIを模式的に示す拡大断面図である。
以下、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値、材料等を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値、材料等を適用してもよい。なお、本開示に特徴的な部分以外の構成要素には、公知の電解コンデンサの構成要素を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値Bの範囲」という場合、当該範囲には数値Aおよび数値Bが含まれる。複数の材料が例示される場合、その中から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサは、陽極体と、陽極体を覆う誘電体層と、誘導体層を覆う第1固体電解質層と、第1固体電解質層を覆う第2固体電解質層と、を備える。第1固体電解質層(以下、第1層とも称する。)は、ポリピロールを基本骨格とする第1導電性高分子(以下、ポリピロール系高分子とも称する。)を含む。第2固体電解質層(以下、第2層とも称する。)は、ポリチオフェンを基本骨格とする第2導電性高分子(以下、ポリチオフェン系高分子とも称する。)を含む。第2固体電解質層の厚みは、1μm以上である。第1層の90質量%以上は、陽極体の細孔内に侵入している。第2層の90質量%以上は、陽極体の細孔外に存在する。第2層は、陽極体の細孔を無視した外形に沿って形成される表皮層の態様を有してもよい。
上記構成を満たす場合、静電容量の向上および漏れ電流の低減を両立することができる。
第1層はポリピロール系高分子を含み、漏れ電流を低減し易い反面、静電容量を向上させにくい。これに対して、導電率が高い第2層を第1層の上に配置することにより、静電容量を向上させることができる。
また、第2層はポリチオフェン系高分子を含み、導電率を高めやすい反面、漏れ電流を増大させやすい傾向がある。これに対して、第2層の厚みを1μm以上に大きくすることにより、漏れ電流の増大が顕著に抑制される。
陽極体は、誘電体層および固体電解質層を形成するのに大きな表面積を有することが有利であるため、通常、少なくとも表面(表層)に多孔質部を有する。多孔質部は、多くの孔(ピット)を含む。誘電体層は、多孔質部の外表面および孔の内壁面を覆っている。第1層は、少なくとも、誘電体層を介して多孔質部の孔の内壁面を覆っていればよい。第1層は、誘電体層を介して多孔質部の外表面を覆っていてもよく、その場合、多孔質部の外表面を覆っている第1層の厚みは、多孔質部の孔の内壁面を覆っている第1層の厚みよりも小さくてもよい。第2層は、誘電体層(もしくは誘電体層および第1層)を介して、多孔質部の外表面を覆っている。第2層は、さらに、誘電体層および第1層を介して、多孔質部の孔の内壁面を覆っていてもよい。
後述の第2処理液がポリチオフェン系高分子の粒子を多く含む場合、および/または、後述の第2処理液に含まれるポリチオフェン系高分子の粒子が大きい場合、第2層の厚みを1μm以上に大きくし易い。この場合、第2層は多孔質部の孔内に形成されにくい。第2層は、多孔質部の孔の開口を覆うように多孔質部の外表面に形成されていてもよい。この場合、第2層は、多孔質部の孔内の開口部側に少し入り込む程度に形成されていてもよい。第2層は第1層と部分的に(多孔質部の孔の開口部付近において)直に接していてもよい。多孔質部の孔の内壁面を覆う第1層と、多孔質部の外表面(孔の開口)を覆う第2層との間に空隙が形成されていてもよい。
第2層の厚み(図2の第2層9bの厚みT2)が1μm以上の場合、漏れ電流を低減できる。漏れ電流の低減の観点から、第2層の厚みは5μm以上であることが好ましい。第2層の厚みは、1μm以上、20μm以下であってもよく、5μm以上、20μm以下であってもよい。第2層の厚みが20μm以下の場合、ESRを低減し易い。
なお、第2層の厚みとは、誘電体層および第1層を介して、陽極体の多孔質部の外表面を覆う第2層の厚み(図2の厚みT2)を意味する。第2層の厚みは、以下の方法により求めることができる。まず、電解コンデンサを分解して、コンデンサ素子を取り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてコンデンサ素子の断面の画像を得る。当該画像を用いて、誘電体層(もしくは誘電体層および第1層)を介して、多孔質部の外表面(陽極体の外形を規定するラインの外側)を覆う第2層の任意の10点の厚みを測定する。当該厚みの測定値の平均値を算出する。なお、第1層および第2層は、SEM-EDX(エネルギー分散型X線分光法)の分析により確認することができる。
第1層の厚み(図2の第1層9aの厚みT1)は、50nm以上であってもよく、50nm以上、100nm以下であってもよい。第1層の厚みが50nm以上である場合、漏れ電流を低減し易い。第1層の厚みが100nm以下である場合、誘電体層を介して多孔質部の孔の内壁面を第1層で覆い易い。なお、第1層の厚みとは、誘電体層を介して多孔質部の内壁面を覆う第1層の厚み(図2の厚みT1)を意味する。第1層の厚みは、第2層の厚みと同様の方法により求めることができる。すなわち、SEMによる断面画像において、誘電体層を介して多孔質部の孔の内壁面を覆う第2層の任意の10点の厚みを測定し、平均値を算出する。
第1層は第2層よりも導電率が低いことが好ましい。導電率が高い第2層は、静電容量の向上に有利である反面、漏れ電流が増大し易い。第2層よりも導電率が低く、漏れ電流の低減に有利な第1層を介して、誘電体層の表面を第2層で覆うことにより、漏れ電流の低減および静電容量の向上の両立を図り易い。
漏れ電流の低減の観点から、第1層の導電率は、200S/cm以下であることが好ましく、60S/cm以上、150S/cm以下であることがより好ましい。
第1層の導電率は、以下の方法により求めることができる。
電解コンデンサを分解して、コンデンサ素子を取り出し、第1層の成分(ポリピロール系高分子および第1ドーパント)の分析を行う。後述の第2工程の第1処理液を用いて第1層を形成する場合、第1処理液について分析を行ってもよい。分析法としては、TEM-EELS法(電子エネルギー損失分光法)、NMR法(核磁気共鳴分光法)、ラマン分光法などを用いることができる。分析結果に基づいて、第1層と同じ成分を含む試料膜(例えば、厚み20~40μm)を形成し、試料膜の導電率を第1層の導電率として求める。
第1層は、通常、第1ドーパントの存在下でポリピロール系高分子の前駆体を電解重合させることにより形成される。よって、第1層と同じ成分を含む試料膜は、ポリピロール系高分子の前駆体および第1ドーパントを含む試料液を調製し、試料液に金属基板を浸漬し、金属基板に電流を流し、前駆体を電解重合させて形成することができる。第1処理液を用いて試料膜を形成してもよい。試料膜の導電率の測定には、日東精工アナリテック社製のロレスタ-GXおよびPSPプローブを用いることができる。
静電容量の向上の観点から、第2層の導電率は、350S/cm以上であることが好ましく、350S/cm以上、800S/cm以下であることがより好ましい。第2層の導電率は、第1層と同様の方法により求めることができる。分析結果に基づいて、第2層と同じ成分を含む試料膜(例えば、厚み20~40μm)を形成し、試料膜の導電率を第2層の導電率として求めればよい。第2層と同じ成分(ポリチオフェン系高分子および第2ドーパント)を含む試料膜は、ポリチオフェン系高分子および第2ドーパントを含む試料液を調製し、試料液を基板に塗布し、乾燥させて、形成することができる。後述の第3工程の第2処理液を用いて第2層を形成する場合、第2処理液について分析を行ってもよく、第2処理液を用いて試料膜を形成してもよい。
以下、電解コンデンサおよびその製造方法について、より具体的に説明する。
[電解コンデンサ]
(陽極体)
陽極体は、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。これらの材料は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましく使用される。陽極体は、表層に多孔質部を備えてもよい。このような陽極体は、例えば、エッチングなどにより弁作用金属を含む基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化することで得られる。また、陽極体は、弁作用金属を含む粒子の成形体またはその焼結体でもよい。焼結体は、多孔質構造を有するため、陽極体の全体が多孔質部となり得る。
(誘電体層)
誘電体層は、陽極体表面の弁作用金属を、化成処理などにより陽極酸化することで形成される。誘電体層は、陽極体の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。誘電体層は、通常、陽極体の表面に形成される。誘電体層は、陽極体の多孔質部の表面に形成されるため、陽極体の表面の孔および窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
誘電体層は弁作用金属の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能するものであればよい。
(固体電解質層)
固体電解質層は、誘電体層を覆うように形成される。固体電解質層は、必ずしも誘電体層の全体(表面全体)を覆う必要はなく、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。固体電解質層には、ポリピロール系高分子を含む第1層と、第1層上に形成されたポリチオフェン系高分子を含む第2層とが含まれる。誘電体層上に、第1層が形成されていない領域が存在する場合には、この領域において、誘電体層上に第2層が形成されていてもよい。
(第1層)
第1層は、ポリピロール系高分子を含む。ポリピロール系高分子は、ポリピロールおよびその誘導体を含む。ポリピロール系高分子の重量平均分子量は、例えば、100以上、100000以下である。なお、本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン基準の重量平均分子量である。
第1層は、通常、非自己ドープ型のポリピロール系高分子を含む。この場合、第1層は、ポリピロール系高分子(非自己ドープ型)と、第1ドーパントとを含む。この場合、第1ドーパントに応じて第1層の導電率を調節することができる。
なお、非自己ドープ型のポリピロール系高分子としては、例えば、導電性高分子のポリピロール骨格に共有結合で直接的または間接的に結合したアニオン性基(具体的には、スルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、およびこれらの塩)を有さない導電性高分子が挙げられる。
第1ドーパントは低分子ドーパントであってもよい。低分子ドーパントは、例えば、アニオンを形成し得るドーパントである。低分子ドーパントの具体例としては、硫酸、硝酸、燐酸、硼酸、有機スルホン酸などが挙げられる。有機スルホン酸としては、芳香族スルホン酸などが挙げられる。芳香族スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、パラトルエンスルホン酸)、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
第1層において、第1ドーパントはポリピロール系高分子とポリピロール系高分子複合体を形成していてもよい。第1層において、第1ドーパントは、アニオンの形態で含まれていてもよく、塩の形態で含まれていてもよい。
第1層中の第1ドーパントの含有量は、ポリピロール系高分子100質量部に対して、例えば、10質量部以上、70質量部以下である。
第1層は、ポリピロール系高分子以外の導電性高分子を含んでいてもよいが、ポリピロール系高分子の含有量が多いことが好ましい。第1層に含まれる導電性高分子全体に占めるポリピロール系高分子の比率は、例えば、90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
第1層は、単層であってもよく、複数の層で構成してもよい。第1層が複数層で構成される場合、各層に含まれるポリピロール系高分子は同じであってもよく、異なっていてもよい。第1層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更に他の成分を含んでもよい。
(第2層)
第2層は、ポリチオフェン系高分子を含む。ポリチオフェン系高分子は、ポリチオフェンおよびその誘導体を含む。ポリチオフェン系高分子としては、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が挙げられる。この場合、第2層の導電性が高く、高い静電容量が得られ易い。ポリチオフェン系高分子の重量平均分子量は、例えば、100以上、100000以下である。
第2層は、非自己ドープ型のポリチオフェン系高分子を含んでもよい。この場合、第2層は、ポリチオフェン系高分子(非自己ドープ型)と、第2ドーパントとを含む。この場合、第2ドーパントに応じて第2層の導電率を調節することができる。ポリチオフェン系高分子が非自己ドープ型の場合、後述の第3工程(第2層の形成)で用いる第2処理液中にポリチオフェン系高分子の粒子を分散させ易く、厚みが大きい第2層を形成し易い。
なお、非自己ドープ型のポリチオフェン系高分子としては、例えば、導電性高分子のポリチオフェン骨格に共有結合で直接的または間接的に結合したアニオン性基(具体的には、スルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、およびこれらの塩)を有さない導電性高分子が挙げられる。
第2ドーパントは、高分子ドーパントであってもよい。高分子ドーパントは、例えば、ポリアニオンを形成し得るドーパントである。高分子ドーパントの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸などが挙げられる。
第2層において、第2ドーパントはポリチオフェン系高分子とポリチオフェン系高分子複合体を形成していてもよい。第2層において、第2ドーパントは、ポリアニオンの形態で含まれていてもよく、塩の形態で含まれていてもよい。
第2層中の第2ドーパントの含有量は、ポリチオフェン系高分子100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、50質量部以下である。
第2層は、ポリチオフェン系高分子以外の導電性高分子を含んでいてもよいが、ポリチオフェン系高分子の含有量が多いことが好ましい。第2層に含まれる導電性高分子全体に占めるポリチオフェン系高分子の比率は、例えば、90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
第2層は、単層であってもよく、複数の層で構成されていてもよい。第2層が複数層で構成される場合、各層に含まれるポリチオフェン系高分子は同じであってもよく、異なっていてもよい。第2層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更に他の成分を含んでもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。図2は、図1の領域IIを模式的に示す拡大断面図である。電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する樹脂封止材(外装体)3と、樹脂封止材3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極端子4および陰極端子5と、を備えている。陽極端子4および陰極端子5は、例えば金属(銅または銅合金など)で構成することができる。樹脂封止材3は、ほぼ直方体の外形を有しており、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。樹脂封止材3の素材としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
コンデンサ素子2は、陽極体6と、陽極体6を覆う誘電体層7と、誘電体層7を覆う陰極部8とを備える。陰極部8は、誘電体層7を覆う固体電解質層9と、固体電解質層9を覆う陰極引出層10とを備える。陰極引出層10は、カーボン層11および銀ペースト層12を有する。
陽極体6は、多孔質部6aを有するとともに、陰極部8と対向する領域と、対向しない領域とを含む。多孔質部6aは、多数の孔Pを含む。孔Pは、スポンジ状ピットでもよく、トンネル状ピットでもよい。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、陰極部8に隣接する部分には、陽極体6の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離層13が形成され、陰極部8と陽極体6との接触が規制されている。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、他の一部は、陽極端子4と、溶接により電気的に接続されている。陰極端子5は、導電性接着剤により形成される接着層14を介して、陰極部8と電気的に接続している。
陽極端子4および陰極端子5の主面4Sおよび5Sは、樹脂封止材3の同じ面から露出している。この露出面は、電解コンデンサ1を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続などに用いられる。
カーボン層11は、導電性を有していればよく、例えば、導電性炭素材料(黒鉛など)を用いて構成することができる。銀ペースト層12には、例えば、銀粉末とバインダ樹脂(エポキシ樹脂など)を含む組成物を用いることができる。なお、陰極引出層10の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
固体電解質層9は、誘電体層7を覆うように形成されている。誘電体層7は、陽極体6の表面(多孔質部6aの孔Pの内壁面および外表面S)に沿って形成される。誘電体層7の表面は、陽極体6の表面の形状に応じた凹凸形状が形成されている。固体電解質層9は、このような誘電体層7の凹凸を埋めるように形成されていることが好ましい。
固体電解質層9は、第1層9aおよび第2層9bを備える。第1層9aは、誘電体層7を介して、多孔質部6aの孔Pの内壁面を覆うように形成されている。図2に示すように、第1層9aは、多孔質部6aの外表面Sを覆っていなくてもよい。第2層9bは、誘電体層7を介して、多孔質部6aの外表面Sを覆うように形成されている。図2に示すように、第2層9bは、多孔質部6aの孔P内に入り込んでいなくてもよく、多孔質部6aの孔Pの開口を覆うように形成されていてもよい。この場合、孔P内において、第1層9aと第2層9bの間に空隙が存在していてもよい。第1層9aはポリピロール系高分子を含み、第2層9bはポリチオフェン系高分子を含む。第1層9aおよび第2層9bは、それぞれ厚みT1および厚みT2を有する。第2層9bの厚みT2は、1μm以上である。
第1層は、さらに、誘電体層7を介して、多孔質部6aの外表面Sを覆うように形成されていてもよい。この場合、第2層は、誘電体層および第1層を介して、多孔質部6aの外表面Sを覆うように形成される。
本実施形態に係る電解コンデンサは、上記構造の電解コンデンサに限定されず、様々な構造の電解コンデンサに適用することができる。具体的に、金属粉末の焼結体を陽極体として用いる電解コンデンサ、巻回型の電解コンデンサなどにも、本発明を適用できる。
[電解コンデンサの製造方法]
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法は、誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、誘電体層上に第1層を形成する第2工程と、第1層上に第2層を形成する第3工程とを含む。第1層はポリピロール系高分子を含み、第2層はポリチオフェン系高分子を含む。また、第2層は1μm以上の厚みを有する。第2工程および第3工程により、第1層と第2層とを備える固体電解質層を形成する。また、電解コンデンサの製造方法は、第1工程に先立って、陽極体を準備する工程を含んでもよい。製造方法は、さらに陰極引出層を形成する工程、および/またはコンデンサ素子を封止する工程を含んでもよい。
以下に、各工程についてより詳細に説明する。
(陽極体を準備する工程)
この工程では、陽極体の種類に応じて、公知の方法により陽極体を形成する。
陽極体は、例えば、弁作用金属を含む箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化により、陽極体の表層に多孔質部が形成される。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよい。
また、弁作用金属(例えば、タンタル)の粉末を用意し、この粉末の中に、棒状体の陽極リードの長手方向の一端側を埋め込んだ状態で、所望の形状(例えば、ブロック状)に成形された成形体を得る。この成形体を焼結することで、陽極リードの一端が埋め込まれた多孔質構造の陽極体を形成してもよい。
(第1工程)
第1工程では、陽極体上に誘電体層を形成する。誘電体層は、陽極体を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体を化成液中に浸漬することにより、陽極体の表面に化成液を含浸させ、陽極体をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液などを用いることが好ましい。
(第2工程)
第2工程では、誘電体層上でポリピロール系高分子の前駆体を電解重合させて、ポリピロール系高分子を含む第1層を形成することが好ましい。電解重合の場合には、電解重合に先立って導電性のプレコート層を形成してもよい。この場合、第1層は、誘電体層上に直接形成されていてもよく、プレコート層を介して形成されていてもよい。
電解重合の場合、例えば、ポリピロール系高分子の前駆体と、第1ドーパントと、分散媒(または溶媒)とを含む第1処理液を用いて第1層が形成される。第1層は、例えば、誘電体層およびプレコート層が形成された陽極体を第1処理液に浸漬し、プレコート層を電極として供給電極から給電することにより形成してもよい。プレコート層は、例えば、導電性材料(導電性高分子、無機導電性材料など)で形成される。プレコート層を構成する導電性材料としては特に制限されず、例えば公知のものが使用できる。
また、第2工程では、ポリピロール系高分子の前駆体を化学重合させて第1層を形成してもよい。化学重合の場合、例えば、ポリピロール系高分子の前駆体と、第1ドーパントと、酸化剤と、分散媒(または溶媒)とを含む処理液を用いて第1層が形成される。誘電体層に処理液を付着させた後、加熱してもよい。
また、第2工程では、ポリピロール系高分子と、第1ドーパントと、分散媒(または溶媒)とを含む処理液を、誘電体層に付着させて第1層を形成してもよい。
ポリピロール系高分子および第1ドーパントとしては、それぞれ、上記で例示したものを使用することができる。ポリピロール系高分子の前駆体としては、ポリピロール系高分子を構成するモノマー、および/またはモノマーがいくつか連なったオリゴマーなどが例示できる。分散媒(または溶媒)としては、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、1価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、多価アルコール(エチレングリコール、グリセリンなど)、または非プロトン性極性溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、ベンゾニトリルなど)が挙げられる。処理液(第1処理液)は、さらに、他の成分を含んでもよい。
(第3工程)
第3工程では、例えば、第1層にポリチオフェン系高分子を含む第2処理液を付着させて、ポリチオフェン系高分子を含む第2層を形成する。例えば、第1層が誘電体層上に形成された陽極体を第2処理液に浸漬した後、乾燥し、第2層を形成してもよい。第1層が誘電体層上に形成された陽極体に第2処理液を塗布または滴下した後、乾燥し、第2層を形成してもよい。
第2処理液は、ポリチオフェン系高分子と、分散媒(または溶媒)と、必要により、第2ドーパントとを含む。ポリチオフェン系高分子および第2ドーパントとしては、上記で例示したものを使用することができる。分散媒(または溶媒)としては、第2工程で例示したものを用いることができる。第2処理液は、さらに、他の成分を含んでもよい。
第2処理液としては、例えば、ポリチオフェン系高分子の分散液(または溶液)、ポリチオフェン系高分子と第2ドーパントとのポリチオフェン系高分子複合体の分散液(または溶液)を用いてもよい。第2処理液は、例えば、分散媒(または溶媒)中、ポリチオフェン系高分子の前駆体を酸化重合させることにより得ることができる。この前駆体としては、ポリチオフェン系高分子を構成するモノマー、および/またはモノマーがいくつか連なったオリゴマーなどが例示できる。ポリチオフェン系高分子複合体を含む第2処理液は、分散媒(または溶媒)中、第2ドーパントの存在下、ポリチオフェン系高分子の前駆体を酸化重合させることにより得ることができる。ポリチオフェン系高分子複合体としては、PSSがドープされたPEDOT(PEDOT/PSS)が挙げられる。
厚みが大きい第2層を形成する観点から、第2処理液はポリチオフェン系高分子(またはポリチオフェン系高分子複合体)の分散液であってもよい。自己ドープ型のポリチオフェン系高分子よりも非自己ドープ型のポリチオフェン系高分子の方が、水に溶けにくく、水を含む第2処理液中にポリチオフェン系高分子(またはポリチオフェン系高分子複合体)の粒子を多く分散させることができ、厚みが大きい第2層を形成し易い。
厚みが大きい第2層を形成し易い観点から、第2処理液中に分散するポリチオフェン系高分子(またはポリチオフェン系高分子複合体)の粒子の平均粒子径は、20nm以上であってもよく、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよい。平均粒子径の上限は、特に制限されないが、例えば、1000nm以下である。なお、ここでいう平均粒子径は、体積基準の粒度分布におけるメジアン径(D50)を意味する。
ポリチオフェン系高分子(またはポリチオフェン系高分子複合体)の平均粒子径は、動的光散乱法(DLS)による粒径分布から求めることができる。具体的には、粒子を水中で(水を含む第2処理液中で)超音波により分散させ、動的光散乱法式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LB-550)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメジアン径(D50)を平均粒子径とする。
(陰極引出層を形成する工程)
この工程では、第3工程で形成された第2層上に、カーボン層と銀ペースト層とを順次積層することにより陰極引出層を形成する。陰極引出層を形成することにより、コンデンサ素子を得ることができる。
なお、陰極引出層の表面に導電性の接着層を配置し、この接着層を介して陰極端子の一端部をコンデンサ素子に電気的に接続させる。陰極端子としては、電解コンデンサで使用される電極端子が特に制限なく利用でき、例えば、リードフレームと呼ばれるものを用いてもよい。
(樹脂封止材でコンデンサ素子を封止する工程)
形成されたコンデンサ素子は、例えば、陽極端子および陰極端子のそれぞれの一部とともに樹脂材料で封止される。この封止により、樹脂封止材が形成される。樹脂材料としては、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)または樹脂組成物が好ましい。なお、樹脂封止材は、熱硬化性樹脂または樹脂組成物の硬化物を含む。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(陽極体の表面に誘電体層を形成する工程)
陽極体として、陽極リードの一部が埋設されたタンタル焼結体(多孔質体)を準備した。タンタル焼結体は直方体であり、陽極リードが直方体の一端面より植立されている。陽極体についてリン酸水溶液中で陽極酸化を行い、陽極体の表面に酸化タンタル(Ta25)を含む誘電体層を形成した。
(第1層を形成する工程)
ピロールと、第1ドーパント(ナフタレン骨格を有するスルホン酸塩)とを含む水分散液(第1処理液)を調製した。なお、第1処理液中のピロールの濃度は、例えば、1~6質量%の範囲で適宜選択することができ、第1処理液中の第1ドーパントの濃度は、例えば、3~12質量%の範囲で適宜選択することができる。
誘電体層が形成された陽極体を、導電性材料を含む処理液に浸漬し、プレコート層を形成した。誘電体層およびプレコート層が形成された陽極体を、第1処理液に浸漬し、プレコート層を電極として、ピロールの電解重合を進行させて、ポリピロールおよび第1ドーパントを含む第1層(導電率:80S/cm)を形成した。
(第2層を形成する工程)
PEDOT(ポリチオフェン系高分子)と第2ドーパント(PSS)との高分子複合体(PEDOT/PSS)を含む水分散液(第2処理液)を準備した。第2処理液中のPEDOT/PSSの濃度は、例えば、1~2質量%の範囲で適宜選択することができる。PEDOT/PSSの平均粒子径は200nmであった。
第1層が形成された陽極体を、第2処理液に浸漬した後、150℃で10~30分間乾燥する工程を1回行い、第2層(導電率:400S/cm)を形成した。このようにして、第1層と第2層とで構成される固体電解質層を形成した。第1層の厚みT1は100nmであった。第2層の厚みT2は1μmであった。
(陰極引出層を形成する工程)
固体電解質層の表面に、黒鉛粒子を水に分散した分散液を塗布した後、乾燥することによりカーボン層を形成した。次いで、カーボン層の表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布した後、加熱してバインダ樹脂を硬化させ、銀ペースト層を形成した。このようにして、カーボン層と銀ペースト層とで構成される陰極引出層を形成した。このようにして、コンデンサ素子を得た。
(コンデンサ素子を封止する工程)
陽極リードに陽極端子(陽極リードフレーム)を溶接し、陰極引出層に陰極端子(陰極リードフレーム)を導電性接着剤により接続し、コンデンサ素子を樹脂封止材で封止した。このようにして、実施例1の電解コンデンサA1を作製した。
《実施例2》
第2層を形成する工程において、第1層が形成された陽極体を第2処理液に浸漬する工程を2回繰り返し行い、第2層の厚みT2を5μmとした以外、実施例1と同様にして、実施例2の電解コンデンサA2を作製した。
《実施例3》
第2層を形成する工程において、第1層が形成された陽極体を第2処理液に浸漬する工程を4回繰り返し行い、第2層の厚みT2を20μmとした以外、実施例1と同様にして、実施例3の電解コンデンサA3を作製した。
《実施例4》
第2層を形成する工程において、第1層が形成された陽極体を第2処理液に浸漬する工程を6回繰り返し行い、第2層の厚みT2を30μmとした以外、実施例1と同様にして、実施例4の電解コンデンサA4を作製した。
《比較例1》
第2層として第1層と同じ成分(ポリピロールおよび第1ドーパント)を含む層(導電率:80S/cm)を形成した以外、実施例1と同様にして、比較例1の電解コンデンサB1を作製した。
《比較例2》
第2層を形成する工程において、第2処理液中の水の含有量を増やして(第2処理液の粘度を低くして)、第2層の厚みT2を0.6μmとした以外、実施例1と同様にして、比較例2の電解コンデンサB2を作製した。
[評価]
上記で作製した実施例および比較例の電解コンデンサについて、以下の評価を行った。
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、周波数120Hzにおける初期の静電容量(μF)を測定した。また、25℃の環境下、所定電圧下で40秒後に流れる電流値を漏れ電流として測定した。漏れ電流は、機種に応じた電圧(例えば、2.5V、16V、35Vなど)で測定される。
評価結果を表1に示す。なお、表1中、静電容量および漏れ電流は、それぞれ、比較例1の電解コンデンサB1の静電容量および漏れ電流を100としたときの相対値として表した。
Figure 0007706094000001
電解コンデンサA1~A4では、電解コンデンサB1~B2よりも高い静電容量および小さい漏れ電流が得られた。
さらに、電解コンデンサA1~A4について、20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、周波数100kHzにおける初期のESR(mΩ)を測定した。その結果、電解コンデンサA1~A4のいずれも、良好なESRを示した。中でも、第2層の厚みT2が1~20μmである電解コンデンサA1~A3では、より低いESRが得られた。
本発明に係る電解コンデンサは、電解コンデンサに対して、高い静電容量、小さい漏れ電流が要求される用途に好適に用いられる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
1:電解コンデンサ、2:コンデンサ素子、3:樹脂封止材、4:陽極端子、4S:陽極端子の主面、5:陰極端子、5S:陰極端子の主面、6:陽極体、7:誘電体層、8:陰極部、9:固体電解質層、9a:第1層、9b:第2層、10:陰極引出層、11:カーボン層、12:銀ペースト層、13:分離層、14:接着層

Claims (4)

  1. 多孔質部と、前記多孔質部の内壁面および外表面を覆う誘電体層と、を有する陽極体を準備する第1工程と、
    前記誘電体層上でポリピロールを基本骨格とする第1導電性高分子の前駆体を電解重合させて、前記誘電体層を、前記第1導電性高分子を含む第1固体電解質層で覆う第2工程と、
    前記誘電体層を介して前記外表面を覆う前記第1固体電解質層にポリチオフェンを基本骨格とする第2導電性高分子を含む処理液を付着させて、前記第2導電性高分子を含む第2固体電解質層を形成する第3工程と、を含み、
    前記第2工程において、前記第1固体電解質層の、前記誘電体層を介して前記内壁面を覆う部分の厚みを、50nm以上100nm以下とし、
    前記第3工程において、前記第2固体電解質層の、前記第1固体電解質層および前記誘電体層を介して前記外表面を覆う部分の厚み、1μm以上20μm以下とし、
    前記誘電体層上に、前記第1固体電解質層が形成されていない領域が存在し、この領域において、前記誘電体層上に第2固体電解質層が形成されている、電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記第1固体電解質層は、非自己ドープ型の前記第1導電性高分子を含む、請求項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記第2固体電解質層は、非自己ドープ型の前記第2導電性高分子を含む、請求項またはに記載の電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記第2固体電解質層の、前記第1固体電解質層および前記誘電体層を介して前記外表面を覆う部分の厚み、5μm以上とする、請求項のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
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