JP7706687B2 - 「文脈ベース」、文関連装置 - Google Patents
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Description
色の無い緑色の考えたちは怒り狂って眠る。(原文:Colorless green ideas sleep furiously.)
本発明は、コンピューターによるシステム化が期待される。ここで、システム化とは、本発明を装置、方法、またプログラムとして開発することを指す。システム化で開発されたものをシステムと呼ぶこととする。
当システムにより、文書が単位文構造体として構成された場合、文書に対する文による検索が可能になる。語句ではなく、文による検索なので、主張の検索となる。つまり、検索の文が、文書内においてが、どのような文脈で主張されているのかが分かる。任意の主張が文脈に依存するという性質を、本発明は目に見えて示す。よって、検索の文は複数を連言や選言で行うことを可能とする。このような検索を、大きな文書に対して実行する。しかも、多数の文書に対して行うなら、その効果は大きい。主張の判定に関して、調査の時間が節約され、調査ミスも減少する。主張の類似性に関しては、ベクトルなどの数理処理を用いればよい。
産業上の効果に関していえば、本発明は、「文脈ベース」によって、生成AIに対する、いわば「知識リスク」への対策を提供する。生成AIは、文法の整った文を提供する。いうまでもなく、文法の整った文が、真なる知識を提供するとは限らない。
生成AIによるリスクとして、自説の同一性の認証が侵される危険があげられる。生成AIは諸説を容易に作り得るからである。自説を本発明の「文脈ベース」で、連言などからなる文脈の集合として構成することにより、論理的に、よって明確に、自説の同一性の認証を所持できる。このような「文脈ベース」で構成された自説は、他の説とは、文による比較となり、その差異がはっきりとする。このような自説を、例えば、ブロックチェーンなどの技術を利用することで、自説の作成時間や履歴などの属性も信頼できるものとなる。
製品の輸出は、すでに「よいものさえ作れば売れる」から、国際規格を満たすことも前提となっている。よいものを作っても、なぜ日本企業は負けるのか、という問題意識からなる戦略論もある(『国際規格を作ることで、世界市場で勝つルールメイキング戦略 技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか』(著作者、多摩大学ルール形成戦略研究所。出版、朝日新聞出版))。国際規格を作ることとマーケット戦略は同じくらいに考えるべきとする見解である。もっともと思われる。が、しかし、なぜ国際規格を作る発想を日本人は持ちがたいのかを少し問うべきであろう。
そもそも「論理」の起源はなにか。経済学者シュンペーターは、イノベーション理論の嚆矢として著名である。その彼が、人間はなぜ合理的にものを考えるかを内省している。日々の経済的必要性が人間の合理的態度の源泉という(Joseph A. Schumpeter (著)の書『Capitalism, Socialism, and Democracy』の「The civilization of Capitalism」の項)。そして、どの論理も経済的意思決定のパターンに由来すると言い切る。
詩人石川啄木は、国語の文法を嫌ったという。天才詩人には文法は発想の邪魔になるということでもあろうか。言語学者チョムスキーは人間には言語を理解するための生得的な構造があるといった。言語に関する生得的な構造があると同様、文脈を理解する構造も生得的にありはすまいか。なぜならば、チョムスキーの無意味な文を理解可能にしたのは、先のように「文脈」だからである。このような生得的な構造が啄木の嫌った文法を指すとも思えないが、といって、無関係ともいえまい。せめて、本発明のいう単位文とその連続、また分かれ目などからなる「文脈ベース」を理解してもらうことで、長い論理的な文章を書くことの基本にしてはくれまいか。この程度のことであれば、詩人の発想を抑制はすまい。
「必要は発明の母」ということわざを借りれば、本発明の出発点は困りにある。困りは、他者の文書をチェックする場合に不明点が多々あることである。本発案者は、このような困りの原因をひも解きつつ、そこに一般的な応用があることに気づいた。以下、文書に関する困りをあらためて取り上げつつ、これらの困りを解決するために中心的な役割を演じる諸概念を開発する。これを実施例1とする。
1.1.1.「文脈」の力:意味不明な文も文脈次第
先の文章例1の意味のよく分からない文は、文脈を加えることで、次のように理解可能になる。
そこは色の無い世界であったが、その世界は以前色を持っていた。その結果、いまはコトバだけが残っている。例えば、緑は、豊かな実りという意味である。したがって、「色の無い緑色の考えたち」というとき、その考えは、色の無い世界では、「豊かな考えたち」という意味である。しかし、その考えたちも「眠る」とすれば、それは、生かす場が無く、死んだような状態という意味である。しかも、その眠りが、「怒り狂っている」、となると、それは、その考えたちを持つ人は、眠りの静寂とはまったく逆の状態であって、目を閉じて一見眠っているように見えるが、実際には全く怒り覚醒している状態を指している。
文章例1ほど不明ではないが、首をかしげてしまう文章がときに見られる。観光パンフの例である。パンフの絵を見れば、意味が分かるが、文字だけではわからない。
太陽は朝に顔を出し、夜には去ってしまいます。でも、祭りの日だけは、太陽がたくさん現われ、夜を徹して踊り歌います。
01 <太陽>は{朝に顔を出し}、
02 <太陽>は{夜には去ってしまいます}
03 <太陽>が{たくさん現われ}、
04 <太陽>が{夜を徹して踊り歌います}
01 <太陽>は{朝に顔を出し}、
02 <太陽>は{夜には去ってしまいます}
03 でも、祭りの日だけは、
04 <太陽>が{たくさん現われ}、
05 <太陽>が{夜を徹して踊り歌います}
のちの議論のために、あらためて1つの概念を導入する。この概念は、本発明の中心的役割を演じる。本概念を活用することで、本発明の請求項が成り立つ。
本発明の諸概念をさらに説明する。そのために文章を構成すると考えられるいくつかの基本概念を述べる。文章例をあげ、文章を構成するカタチ、すなわち、基本要素を取り出す。その基本要素の1つが、次の「単位文」というものである。本発明による固有の語句である。この語句の説明には、先の文章例2-2を用いる。
先の文章例2-2の01行目の「<太陽>は{朝に顔を出し}」のように、<>と{}からなる文を単位文と命名する。<>で囲まれた語句を「対象語句」と命名する。{}で囲まれた語句を「属性語句」と命名する。単位文は、助詞を除くことができる、とする。
文章例2-2の03行目「でも、祭りの日だけは」と、前の文と後の文との違い、あるいは、境界を示すために、「だけは」と条件を付けている。このような表現を「条件関係語句」と命名する。「もし、、、ならば」は、典型的な条件関係語句である。
文を結ぶ表現がある。「文A、かつ、文B」である。ところで、文章例2-2の01と02行目の間にはどんな語句も無い。しかし、2つの行の文は論理推論によれば、連言でつながっている。語句で表現すれば、「かつ」である。「そして」、「さらに」なども、「かつ」と同じく文を結ぶ働きをする。このような文を結ぶ表現を「連言関係語句」と呼ぶこととする。記号で表せば、「∧」である。これを「連言関係記号」と呼ぶこととする。「かつ」も記号としても扱う場合がある。この扱い方は、「もし」などの場合と同じである。
ここで、「接続関係語句」という概念を導入する。本発明では、条件関係語句と連言関係語句、また文の否定である否定関係語句の3つを要素的な接続関係語句とする。文を接続する語句と定義する。そして、「if」や「∧」、また否定記号「¬」は「接続関係記号」である。
接続関係語句として、当然ながら、「または」という表現が存在する。これは、文のいずれかを選択する、という働きをする。論理推論において、選言といわれるものである。選言には両立的選言と排他的選言がある。これらの選言は、条件関係語句の「もし、、、ならば」を、論理推論の含意とすれば、含意、連言、否定により表現できる。そこで、選言を本発明の基本概念として用いない。
文章例2-2の全体は、単位文と接続関係語句からなる構造物といえる。ここで、接続関係語句は条件関係語句と連言関係語句からなる。構造物は、柱と壁からなる、あたかも建築物(アーキテクチャー)に譬えうる。もっとも、条件関係語句は柱のように上に垂直に伸びているわけではない。条件関係語句は文章中にあちこちで現われ、文の流れを制御する。条件関係語句は多数の支流を持つ大河や運河であり、水脈、山脈、あるいは、血脈と似る。また連言関係語句はこれら様々の「脈」の、条件関係語句の枝分かれと異なり、まっすぐなつなぎである。しかし、これら接続関係語句は、建築物の内部のような幾何学的構造をなしていないので、広く「構造体」と呼ぶこととする。すると、文章の全体は、文の「脈」からなる、すなわち、文脈からなる構造体である。そして、文脈は単位文からなることから、文章の全体は「単位文文脈構造体」と呼ぶことができる。
上の「単位文文脈構造体」と紛らわしいが、「構造体」ではない「単位文関係体」という概念を導入する。形式的構造はどちらも同じといってよい。ただし、生成工程からいえば、「単位文関係体」は「単位文文脈構造体」の前の工程に属する。「単位文関係体」は、与えられた元の文章を、忠実に単位文と接続関係語句で再構成したものである。他方、「単位文文脈構造体」は「単位文関係体」に人間が恣意的に手を入れて作ったものである。「単位文関係体」は元の文章と等価である。「等価」とは、ここでは元の文章の単文と単位文関係体の単位文とは、1対1で対応し、かつ、真理値が相互に等しいことを指す。
人は必ず死ぬ。当然だが、生命体として逃れられぬ掟である。いかに多くの所有を誇ろうと、いかに名声を得ようと、それをあの世に持ち去ることはできない。その時、我々の生きた軌跡が何かの暖かさを残して、人としての温もりと真実を伝えることの方が大切なのだ。
01 <人>は{必ず死ぬ}。
02 <>{当然}だが、
03 <>{生命体として逃れられぬ掟}である。
04 if<多くの所有>を{いかに誇ろう}と、
05 if<名声>を{いかに得よう}と、
06 <それ>を{あの世に持ち去ることはできない}。
07 else
08 <>{}
09 endif
10 <何かの暖かさ>を{その時、我々の生きた軌跡が残し}て、
11 <人としての温もりと真実を伝えることの方>が{大切}なのだ。
12 else
13 <>{}
14 endif
01 <人>は{必ず死ぬ}。
02 <死>は{当然}だが、
03 <死>は{生命体として逃れられぬ掟}である。
04 if <多くの所有>を{いかに誇ろう}と、
05 if <名声>を{いかに得よう}と、
06 <所有のすべて>を{あの世に持ち去ることはできない}。
07 else(注:<名声>を{一切得ようとしない}ケースである)
08 <所有のすべて>を{名を伏せて、社会に還元する}。
09 endif
10 <何かの暖かさ>を{その時、我々の生きた軌跡が残し}て、
11 <人としての温もりと真実を伝えることの方>が{大切}なのだ。
12 else(注:「多くの所有を誇ることを一切しない」ケースである)
13 <所有のすべて>を{ひっそりと保持することも許されるかもしれない}。
14 endif
01 U1
02 U2
03 U3
04 if A
05 if S
06 ⇒ T
07 else
08 ⇒ U
09 endif
10 B
11 B2
12 else
13 ⇒ C
14 endif
上の文章例3-3はすべて記号からなる。たとえば、01~03行目(U1~U3)の単位文は、推論規則でいえば、連言(記号「∧」)でつながっている。この構造は「U1∧U2∧U3」と表現される。語句「記号的単位文構造体」を、「記号」という「形式」に重きを置き、「構造形式体」と呼ぶこととする。
上に述べた構造形式を、文をたどる経路と見なすことができる。上の記述順に列挙すると、下記となる。下記の文章例3-4は、「構造形式」と注記されている。
(a)U1∧U2∧U3
(b)A∧S⇒T
(c)A∧¬S⇒U
(d)¬A⇒C
(e)B∧B2
(f)A∧S⇒T∧B∧B2
(g)A∧¬S⇒U∧B∧B2
ところで、文章の検査は、文章全体、いわば「全域」に対して行う必要がある。文章の一部だけでは不十分である。
図6は、文の経路のすべてを示している。上の、記号的単位文構造体である文章例3-3と構造形式である文章例3-4説明を図に示したものである。経路のすべてをたどることで、文章の全域がカバーされる。
(α)U1∧U2∧U3∧A∧S⇒T∧B∧B2
(β)U1∧U2∧U3∧A∧¬S⇒U∧B∧B2
(γ)U1∧U2∧U3∧¬A⇒∧C
深さ優先探索で行われる、文章の文頭から文末までの単位文のたどりは、文章全体に渡って行われる。文章全体に渡ってたどられた単位文の順序集合を「全域文脈」と称することとする。
全域文脈の構成要素を確認する。図6には、要素文脈(a)、(b)、(d)、(e)も図示している。(ただし、(c)、(f)、(g)はうまく図示できなかったので割愛させていただく。)すると、
(α)は、「(a)、(b)、(e)」、または、「(a)、(f)」から構成される。
(β)は、「(a)、(c)、(e)」、または、「(a)、(g)」から構成される。
(γ)は、「(a)、(d)」から構成される。
検査は、全域文脈に対して行う。例でいえば、文章例3-5の(α)、(β)、(γ)は全域文脈を構成する1つである。これら個別全域文脈のすべてに対して検査を行うとき、文章全体に対して検査を行うといえる。個別全域文脈のすべて、すなわち全域文脈が、文章の全経路を網羅しているからである。大きな文書の場合には、文書の章、節、項を超えて横断的な検査となる。ここでの例のような小さな文章とは異なる。すべての個別全域文脈が検査の対象となる。
意味の評価は、構造形式の検査を経てから行う。構造形式の検査工程は、意味評価の前工程として、構造形式を整え、意味評価を効果的に行うためのものである。評価は、認知し、思考し、判断するので、これらの認識行為を「人為的」と形容できる。
文章例3-5の3つの単位文脈に対して、意味内容を評価する。そのために、文章例3-5(α)、(β)、(γ)に従い、評価用の文を作った。それらに対応するのが、下記の文章例3-6の(A)、(B)、(C)である。
(A)人は必ず死ぬ。当然だが、生命体として逃れられぬ掟である。いかに多くの所有を誇ろうと、いかに名声を得ようと、それをあの世に持ち去ることはできない。その時、我々の生きた軌跡が何かの暖かさを残して、人としての温もりと真実を伝えることの方が大切なのだ。
(B)人は必ず死ぬ。当然だが、生命体として逃れられぬ掟である。いかに多くの所有を誇ろうと、もし名声を得ようと一切しないならば、そのすべてを、名を伏せて、社会に還元する。その時、我々の生きた軌跡が何かの暖かさを残して、人としての温もりと真実を伝えることの方が大切なのだ。
(C)人は必ず死ぬ。当然だが、生命体として逃れられぬ掟である。しかし、多くの所有を誇ることを一切しないならば、財産のすべてをひっそりと保持することも許されるかもしれない。
(A)は最初の原文(文章例3)のままである。文章例3-2の01~06行と10、11行目の単位文を(A)に反映している。文の続き方は、単位文構造体を経ても、原文に戻っており、問題はない。したがって、意味内容も原文と等しく問題はない。
01 <人>は{必ず死ぬ}。
02 <死>は{当然}だが、
03 <死>は{生命体として逃れられぬ掟}である。
04 if <多くの所有>を{いかに誇ろう}と、
05 if <名声>を{いかに得よう}と、
06 <それをあの世に持ち去ること>は{できない}。
10 <何かの暖かさ>を{その時、我々の生きた軌跡が残し}て、
11 <人としての温もりと真実を伝えることの方>が{大切}なのだ。
07 else(注:<名声>を{一切得ようとしない}ケースである)
08 <そのすべて>を{名を伏せて、社会に還元する}。
09 endif
12 else(注:「多くの所有を誇ることを一切しない」ケースである)
13 <財産のすべてをひっそりと保持すること>も{許されるかもしれない}。
14 endif
意味評価に異論が出ることは、単位文構造体の、単位文の語句の空欄や、また空の行に、恣意的に語句や文を盛り込むことからもあり得ることである。このことは、先に文章例3-2で行った。意味には、異論が出るが、他方、文の続き方、すなわち構造形式は変わらない。
文章の検査における文脈の働きの件に戻る。果たして、本当に「文脈を未整理のままに、意味を比較する無駄」を文脈の働きで回避できているか。これが次の議論である。
01 <人>は{必ず死ぬ}。
02 <死>は{当然}だが、
03 <死>は{生命体として逃れられぬ掟}である。
04 if <多くの所有>を{いかに誇ろう}と、
05 if <名声>を{いかに得よう}と、
06 <それをあの世に持ち去ること>は{できない}。
10 <何かの暖かさ>を{その時、我々の生きた軌跡が残し}て、
11 <人としての温もりと真実を伝えることの方>が{大切}なのだ。
07 else(注:<名声>を{一切得ようとしない}ケースである)
08 <そのすべて>を{名を伏せ社会に還元する}。
09 endif
12 else(注:「多くの所有を誇ることを一切しない」ケースである)
12a if <人>は{子孫に財産を残し}
12b if <子孫>は{無私無欲の救済活動を支援する}
12c <中村氏>は{半ばそのような財産の使い方を肯定する}
12d else(注:<子孫>は{無私無欲の救済活動を支援しない}ケースである)
12e <中村氏>は{¬半ばそのような財産の使い方を肯定する}
12f endif
12g else(注:<人>は{子孫に財産を残さない}ケースである)
13 <財産のすべてをひっそりと保持すること>も{許されるかもしれない}。
13a endif
14 endif
以下は、文章例3-2-2のように構造形式を記述することなく、議論を続ける。子孫の継承の保証に関し、反論が出たとしたなら、12b行目に、救済活動の社会制度化をするという構造形式の文脈を作る。死して後の私的財産の使用をその方向で使う、というのであれば、中村氏も大いに賛同するに相違ない。賛同と推量される理由は、中村氏は、様々の社会状況によって貧しさに追いやられる人々の救済を、氏自らの行動規範の最上位に置いている、そう本発明者は推量するからである。
全体の意味の整合性を取ることは、よき効果が様々にある。効果は、端的には、思考の無駄や時間の節約にある。意味の整合性を取るためには、構造形式を明確にする必要がある。このことを例証するために、文脈が錯綜する事例を再度取り上げる。その事例は、文章例1-1である。果たして、構造形式の明確化、すなわち、文脈の整理が意味解釈を整合的にさせたか。文章例1-1を構造形式化したものを、例証として、次に文章例1-2として示す。
if <その世界>は{色の無い世界}である。しかし、
if <その世界>は{以前は色を持った世界}であった。そして、
if <その世界>は{色に関するコトバを残していた}。その世界では、
if <その語>が{「緑」}であったなら
・<緑の語>は{豊かであることを指し}、よって、
・<「色の無い緑色の考えたち」という表現>は
{色の無い世界では豊かな考えたち}という意味となる。さらに、
if <その語>が{「考えたち」}であり
if <「考えたち」>が{「怒り狂う」に対して使われている}ならば、
・<「考えたちが怒り狂っている」という表現>は
{考えがまったく定まらない状態である}という意味である。また、
else
if <「考えたち」>が{「眠る」に対して使われている}ならば、
・<「考えが眠る」という表現>は
{考えが死んだ状態である}という意味となる。よって、、、
else
・--(注:未検討。思考余地ありの意。)
endif
endif
・<「考えたちが怒り狂って眠る」という表現>は
{考えがまったく定まらない状態で死んだ状態である}という意味である。
else
・--
endif
・<「色の無い緑色の考えたちが怒り狂って眠る」という表現>は
{色の無い世界では、豊かな考えは、まったく定まらない状態で死んだも同然である}
という意味である
(注:対象語句は、「色の無い緑色の考えたち」と「考えが怒り狂って眠る」の合成と、
属性語句は、「色の無い世界では豊かな考えたち」と
「考えたちがまったく定まらない状態で死んだ状態である」の合成である。
ただし、「死んだ状態」を「死んだも同然」と意訳した。)
else
・--
endif
else
・--
endif
else
・--
endif
else
・--
endif
ところで、中村氏の先の引用例において、意味を解釈するにあたり、else条件の形式は、ifの構造形式と同じであるにもかかわらず、else条件を、実質成立させていないということを見た。これは、意味解釈において、「いかに」という強調語句が、この意味の強さにより、他の条件、つまり他の文脈を実質成立させなかったからと解釈できる。すなわち、文章例3-2-1の04、05行目の「いかに」という表現が強く、07行目や12行目の条件の成立、すなわち文脈の成立を、完全には否定していないが、成立の根拠を薄めている。
類例がある。「常に優先して、、、」などの、これも強調語句といえる表現が、他の条件を見えにくくし、他の条件を成立させないために、矛盾を犯す場合がある。その事例を以下に示す。強調語句による、本当は必要な文脈に対する「無力化」、とでもいえる。本発明の構造形式による方法が、文章の文脈構造をひも解き、この無力化の原因を明らかにする。
要求1:水位がアラートレベル(40cm)を超えると、5秒間排出弁を開き、同時に15秒間(含む、5秒間)は新たな排出弁の開指示を受け付けない。
要求2:運転員の指示で、上記と同じ排出弁の開閉操作を行う。
要求3:運転員の指示は、常に優先する。(15秒間の禁止区間でも受け付け、自分自身の過去の指示に対しても優先する。)
(1)要求1(単位文構造体):
if <水位>が{アラートレベル(40cm)を越える}ならば
<排出弁>を{5秒間開}とせよ
<新たな開指示>を{同時に15秒間(含む5秒間)は受け付けない}とせよ
else
-?
endif
(2)要求2(単位文構造体):
if <運転員の指示>が{なされた}
<排出弁>を{5秒間開}とせよ
<新たな開指示>を{同時に15秒間(含む5秒間)は受け付けない}とせよ
else
-?
endif
(3)要求3(単位文構造体):
if <運転員の指示>が{常に優先}であるとき
if <新たな開指示>を{¬同時に15秒間(含む5秒間)は受け付けない}ならば、
(注釈)この条件文(2行目のif文)は、要求3の「常に優先」という指示に従い、「受け付ける」と、要求分析者は解釈していることになる。(注:否定記号「¬」の付いた属性語句は2重否定で、「受け付ける」となる。)
else
-?
endif
else
-?
endif
(4)上記3要求の組み合わせ(単位文構造体):
01 if <水位>が{アラートレベル(40cm)を越える}ならば
02 <排出弁>を{5秒間開}とせよ
03 <新たな開指示>を{同時に15秒間(含む5秒間)は受け付けない}とせよ
04 if <運転員の指示>が{なされた}
05 <排出弁>を{5秒間開}とせよ
06 <新たな開指示>を{同時に15秒間(含む5秒間)は受け付けない}とせよ
07 if <運転員の指示>が{常に優先}であるとき
08 if <新たな開指示>を{¬同時に15秒間(含む5秒間)は受け付けない}ならば、
09 (注)この08行目の条件文(if文)の属性語句は、2行上(06行目)の属性語句と矛盾する。
10 ・よって「常に優先」の場合の対応が不適切である。
11 else
12 endif
13 else
14 endif
15 else
16 endif
17 else
18 endif
「常に優先する」、あるいは、単に「優先する」という表現も、これらは条件関係語句の表現ではない。しかし、このような、優劣の選択を促す表現も、この例は、条件を新たに作る表現と見なすべきことを示す。それにより、語句のままに解釈したのでは陥るかもしれない矛盾の危険を防ぐことができる。条件を比較的簡単に設定できる形式的な方法が、意味矛盾のない文脈を作ることに寄与する。
本発明においては、既出の文章例にみるように、語や文の意味が文脈に応じて変わり得る特性をとらえることを特徴とする。この特性に基づいて、装置、方法、プログラム、すなわち、システムを作り、例えば、文書全体の検査に利用できる。本発明の特徴を、文脈を基礎にした(Context based)、すなわち、「文脈ベース」の考えと呼ぶことができる。例えば、この考えを文書検査に応用した場合には、「文脈ベース文書検査装置」と呼ぶことができる。また、検査ではなく、いろいろな文脈を重ね合わせることで、アイデア作りに応用する場合には、「文脈ベース発想システム」と呼ぶことができる。以下では、文書検査の例を取り上げる。
図2にあるように、文書地図作成部(200)は、単位文構成部(210)と単位文構造体構成部(220)からなる。
単位文構成部(210)は、言語解析部(211)で、文を、例えば、形態素解析、係り受け解析で言語解析をし、単位文要素抽出部(212)で、単文から対象語句、属性語句を抽出し、対象語句と属性語句からなる単位文を作り、さらに接続関係語句抽出部(213)で、文を結ぶ接続関係語句を抽出し、次に単位文関係構成部(214)で、単位文どうしを、接続関係語句の種類に応じた接続関係記号で結ぶ。接続された単位文らが、先に命名した「単位文関係体」である。
言語解析部(211)では言語解析を行う。言語解析では、図5に示すような、文章を形態素・係り受け解析する方法を用いる。図5では、下記の文章例5を入力文(テキストデータ)としている。図5の解析例5(文章例5の解析)では、入力文を形態素解析し、解析された各々の形態素に関して、文法上の属性(例えば、連体詞や名詞などの品詞名)を特定している。そして、形態素の出現順(0(ゼロ)オリジン)や、この形態素が何番目の形態素に係るかなどの係り受け関係が、「0 1D、、、」などと示されている。
この縦位置の誤差が大きいと、自動車が直線路からカーブ路に進入した場合、車両の速度が大きすぎるときでも、もし速度制御が適切であるならば、自動車はうまく曲がり切れ、カーブ路の走行車線内の走行を自動でできる。
単位文要素抽出部(212)では、単文抽出や単位文抽出を行う。単文抽出では、文章例5-1で示すように単文を「 」で囲んでいる。ここで、単文とは、通常の文法では、主語と述語からなる文をいう。単文は、図5の解析例5のデータを参照して特定する。
「この縦位置の誤差が大きい」と、「自動車が直線路からカーブ路に進入した」場合、「車両の速度が大きすぎる」ときでも、もし「速度制御が適切である」ならば、「自動車はうまく曲がり切れ」、「カーブ路の走行車線内の走行を自動でできる」。
<この縦位置の誤差>が{大きい}と、<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、もし<速度制御>が{適切である}ならば、<自動車>は{うまく曲がり切れ}、<カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}。
接続関係語句抽出部(213)では、単位文を結びつける接続関係語句を抽出する。文章例5-2には、「場合」、「ときでも」、「もし、、、ならば」などの、文を接続する語句がある。これらが接続関係語句である。当例の場合は、条件であるので接続関係語句の中でも条件関係語句といえる。接続関係語句の中の連言関係語句である「そして」、「かつ」なども抽出する。下記の文章例5-3がその結果である。
もし<この縦位置の誤差>が{大きい}と、
もし<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、
もし<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、
もし<速度制御>が{適切である}ならば、
そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}。
そこで、単位文関係体構成部(214)で、半分を補う。半分を補うために、「もし」の反対の「でないとき」を用い、さらに「もし」と「でないとき」のセットの終りを示すために語句「おわり」を用いる。また、左端に行番号を入れる。その結果が、文章例5-4である。
01 もし<この縦位置の誤差>が{大きい}と、
02 もし<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、
03 もし<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、
04 もし<速度制御>が{適切である}ならば、
05 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
06 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
07 でないとき
08 おわり
09 でないとき
10 おわり
11 でないとき
12 おわり
13 でないとき
14 おわり
そこで、単位文構造体構成部(220)では、単位文関係体に対して、その行間に有効な単位文を挿入する。ただし、これは人為による作業である。この作業の結果を最初に示せば、文章例5-5となる。反対の条件表現「でないとき」の次行にどの場合も、文(単位文)が挿入されている。
01 もし<この縦位置の誤差>が{大きい}と、
02 もし<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、
03 もし<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、
04 もし<速度制御>が{適切である}ならば、
05 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
06 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
07 でないとき
08 そのときには<自動車>は{¬うまく曲がり切れる}、
09 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{¬自動でできる}
10 おわり
11 でないとき
12 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
13 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
14 おわり
15 でないとき
16 そのときには<直線路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
17 おわり
18 でないとき
19 もし<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、
20 もし<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、
21 もし<速度制御>が{適切である}ならば、
22 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
23 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
24 でないとき
25 そのときには<自動車>は{¬うまく曲がり切れ}、
26 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{¬自動でできる}
27 おわり
28 でないとき
29 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
30 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
31 おわり
32 でないとき
33 そのときには <直線路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
34 おわり
35 おわり
単位文構造体構成部(220)では、単位文番地化部(221)で、上の文章例5-5でみるとおり、単位文に対して、行を採番している。これは、単位文をユニークに特定するためのものである。なお、単位文をユニークに特定できるのであれば、他の方法でもよい。
単位文構造体編集部(222)では、ユーザーによる単位文関係体の修正を行う。先に文章例3-1と3-2で単位文の対象語句への語句の補充、else文への補充と同じようなことを行った。これと同じようなことを単位文構造体編集部(222)で行う。
単位文脈抽出部(223)においては、単位文構造体から単位文脈を抽出することが行われる。単位文構造体の先頭から末尾まで連続的にたどるとき、たどられた単位文らは、個別全域文脈となる。
文書検査部(300)において、文書の検査を行う。検査は、単位文構造体に対して行う。検査は、元の文章は単位文構造体と等値であると想定している。検査は、単位文脈ごとに行う。本発明では、同じ文脈には矛盾があってはならない、という、語や文に関する、いわば「規律」に基づく。この規律に従えば、例えば、同じ文字からなる語句は、同じ文脈であれば、同じ意味に使われていなければならない、となる。そして、同じ文字からなる語句が異なる意味で使われているならば、これらの語句が、同じ文脈の中に存在してはならない、となる。つまり、同語句で異義の「多義語」は異なる文脈ならOKである。
検査選択部(310)は、検査領域選択部(311)と検査科目選択部(312)からなる。検査領域選択部(311)では、検査対象となる文書の章や節、あるいは、任意の文脈を検査領域として選ぶ。検査科目選択部(312)では、同じ文字からなる語句が同じ意味に使われているかどうか、または、文の間に矛盾がないかどうか、などを検査する検査科目を選ぶ。
検査領域選択部(311)では、文書のどの領域を検査するかを選ぶ。図7は、文書の一般的な構成を示す。表題に続いて、まえがき、各章、各節、各項、あとがきの項目がある。項目の後には、文章が続く。図8は実例の目次である。この実例の目次には、章と節しか書かれていないが、本文には項に相当する項目の見出しと文章がある。目次上の有無とは関係なく本文にも、項などの項目がある。項以下の項目も可能である。以上みるように、章、節などの項目には階層性がある、あるいは、目次は項目が階層的に並べられているということができる。なお、項目の見出しの後の数字はページ番号である。
A. (Δp)∧(Δ1)∧(Δ11)∧Δ111
B. 同上 ∧Δ112
C. 同上 ∧Δ113
D. (Δp)∧(Δ1)∧(Δ12)∧Δ121
E. 同上 ∧Δ122
F. (Δp)∧(Δ1)∧(Δ13)
G. (Δp)∧(Δ2)∧(Δ21)∧Δ211
H. 同上 ∧Δ212
I. 同上 ∧Δ213
J. (Δp)∧(Δ2)∧(Δ22)
K. (Δp)∧(Δ3)∧(Δ31)∧Δ311
L. 同上 ∧Δ312
M. (Δp)∧(Δ3)∧(Δ32)∧Δ321
N. 同上 ∧Δ322
O. 同上 ∧Δ323
P. A∧B∧C∧、、、、、∧N∧O∧Δa
P. (Δp)∧(Δ1)∧(Δ11)∧Δ111∧Δ112∧Δ113∧(Δ12)∧Δ121∧Δ122(Δ13)∧(Δ2)∧(Δ21)∧Δ211∧Δ212∧Δ213∧(Δ22)∧(Δ3)∧(Δ31)∧Δ311∧Δ312∧(Δ32)∧Δ321∧Δ322∧Δ323∧Δa
検査科目選択部(312)では、検査の科目を選択する。検査の科目とは、いわば検査のメニューである。検査は意味の検査をすることには間違いない。ただ、検査において「意味」という場合、語句に関する「意味」が正しいか、適切か、などの、問いがある。また、この場合、「意味」が正しいか、適切かという問いよりも、「表現」が正しいか、適切かと問うた方がよいかもしれない。「意味」は多様である。
文脈検査部(320)では、検査は文脈に対して行う。文脈検査部に至る前には、文脈をそろえるための処理がなされている。
検査実行部(321)では、選択された検査科目に従って検査を実行する。検査科目の1例が図10の表にある。また、検査の実行にあたり、検査支援データベースセット(322)を参照する。
検査支援データベース(DB)セット(322)は、語句や文に関するDBである。DBは、実際の検査をサポートする役割を持つ。DBの詳細に関しては、次項の「文書検査の実施例」にて述べる。
文書の作成規則の事例を1つ取り上げ、本発明の考えと比較する。このことをもって、本発明の実施例とする。
図10の表は、ソフトウェアの開発指示文書を記述する場合の順守事項の例である。ソフトウェアの開発指示文書は、一般に、「要求仕様書」と呼ばれる。特定分野の文書ではあるが、厳密さを要する文書には通じる点も多い。そこで、この順守事項を検査メニュー(科目)と考えて、本発明の提案が、この検査メニューに耐えうるか検証する。また、これを文脈検査部(320)の実現性の検証とする。
[曖昧さの分類]
(1)2つの文どうしにおいて(の曖昧さ)
(1.1)語句による(曖昧さ)
Q1:「一語一意」
Q2:「形式矛盾」
Q3:「経験矛盾」
(1.2)文による(曖昧さ)
Q4:「条件網羅性」
(1.2.1)文の前件・後件の関係(による曖昧さ)
Q5:「前件矛盾」
Q6:「後件矛盾」
Q7:「両件注意」
Q8:「事象順注意」
(2)1つの文において(の曖昧さ)
(2.1)語句による(曖昧さ)
Q9:「領域固有語」
Q10:「範囲境界語」
2つの文どうしにおいて起こる曖昧さは、語句による場合と、文による場合がある。
曖昧さが2つの文どうしにおいて起こる際、語句が起因する場合がある。
課題番号Q1の課題名「一語一意」は、図10の表に書かれている曖昧さの「原因」が、「同語異義」、または、「異語同義」によるというものである。これは、2つの文において、同じ語句がそれぞれの文で異なる意味に使われること、または、異なる語句が2つの文で同じ意味に使われることを指す。それらの結果、2つの文の表現を曖昧にするというものである。そして、表による「解決」策では、同じ文書の中では、同じ語句は同じ意味に使え、という順守策を取れ、ということになっている。つまり、同語異義や異語同義が、2つの文において使われているならば、紛らわしく、意味を誤解する、というものである。
「形式矛盾」は、2つの文において起こる。しかし、これも同じ文脈上で起こることである。表のQ2の解決策も単に2つの文どうしではなく、2つの文どうしが同じ文脈にあって、とあらためなくてはならない。本発明の方が明確である。
「経験矛盾」は、両事態が経験的事実として成り立たないことを示す。そして、その原因が、同じ対象が複数の属性を持つことにある、としている。先の文章例3の太陽の例がそれにあたる。そこでは、<太陽>は{朝に顔を出した}り、{夜を徹して踊り歌った}りした。
2つの文どうしで起こる曖昧さが、語句ではなく文に原因がある場合がある。
「条件網羅性」は、条件を書く場合、条件漏れの発生を危惧するものである。そこで、図10の表では、解決策として、条件の漏れがないように、逆の条件を問え、ということになっている。
2つの文どうしで起こる曖昧さが、文の中でも、文の前件や後件の関係に起因する場合がある。
「前件矛盾」は、図10の表の「原因」の項によれば、条件文の前件に矛盾がある場合を指す。そして、「解決策」では、前件の矛盾は、前件が形式矛盾か、経験矛盾か、を正すとある。
01 もし<この縦位置の誤差>が{大きい}と、
02 もし<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、
02α もし<自動車>が{¬直線路からカーブ路に進入した}場合、
03 もし<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、
04 もし<速度制御>が{適切である}ならば、
05 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
この縦位置の誤差が大きいと、自動車が直線路からカーブ路に進入した場合、また、もし自動車が直線路からカーブ路に進入しなかった場合、車両の速度が大きすぎるならば、自動車が曲がり切れなくなり、カーブ路の走行車線内の走行を自動でできなくなる。
01 もし<この縦位置の誤差>が{大きい}と、
02 もし<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、
02β もし<人>が{カーブ路に立っていた}場合、
03 もし<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、
04 もし<速度制御>が{適切である}ならば、
05 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
「後件矛盾」は、図10の表の「原因」の項によれば、後件に矛盾がある場合を指す。そして、「解決策」では、後件の矛盾は、後件が形式矛盾か、経験矛盾か、を正すとある。
この縦位置の誤差が大きいと、自動車が直線路からカーブ路に進入した場合、車両の速度が大きすぎるときでも、もし速度制御が適切であるならば、自動車はうまく曲がり切れ、しかし、うまく曲がり切れず、自動車はカーブ路の走行車線内の走行を自動でできる。
01 もし<この縦位置の誤差>が{大きい}と、
02 もし<自動車>が{直線路からカーブ路に進入した}場合、
03 もし<車両の速度>が{大きすぎる}ときでも、
04 もし<速度制御>が{適切である}ならば、
05 そのときには<自動車>は{うまく曲がり切れ}、
05α しかし、<自動車>は{¬うまく曲がり切れ}、
06 かつ <カーブ路の走行車線内の走行>を{自動でできる}
07 でないとき
08 おわり
09 でないとき
10 おわり
11 でないとき
12 おわり
13 でないとき
14 おわり
「両件注意」は、図10の表の「原因」の項によれば、2つの文の間で、前件が同じで、後件が異なる場合、また、前件が異なるのに、後件が同じである場合には、注意せよ、というものである。
「事象順注意」は、図10の表の「原因」の項によれば、記述が事象の発生順ではない文があるので、記述を事象の発生順に変えると「解決」するとある。
曖昧さが1つの文のみで起こる場合である。
1つの文のみで起こる曖昧さは、語句による。Q9の「領域固有語」とQ10の「範囲語限定」は、いずれも、1つの文において、その語句に起因する曖昧さである。2つ以上の文の関係から生じる課題ではない。以下、Q9の「領域固有語」とQ10の「範囲語限定」をみる。
「領域固有語」は、図10の表の「原因」の項によれば、「原因」は専門領域固有の語句が未定義とあり、「解決」は領域固有語をよく定義せよ、とある。この文書作成規則は、専門外の人たちへの理解の向上を狙ったものと思われる。ときに、理解不足は「曖昧」と評されるからである。
「範囲境界語」に関しては、図10の表の「原因」の項によれば、「原因」は範囲を表現する語句が、境界の記述を明示していないことにあり、その「解決」も範囲を示す境界を明示的に表現せよ、とある。
以上の議論から、図10の表の順守事項を評価する。当該の表は特定の分野(ソフトウェア開発の指示文書)で順守すべき事項が指摘されている。しかし、Q1~Q10の各事項で言及したように、どの事項でも、文や語句の曖昧さや正確性は、文脈に依存し判断すべきであることが、明らかになった。本発明の文脈ベースの考えが検証されたといえる。当然ながら、文書の検査も、文脈ベースの視点が必要とされる。
図10の文書作成の順守事項の評価は、文脈ベースで、という視点が強調された。よって、検査において用いられるデータベースにおいても、文脈ベースを支援する機能が必要である。文脈ベースは本発明の特徴点である。以下、文脈ベースの観点を含め、データベースの機能を説明する。
「接続関係語句候補表現DB」とは、代表的なものは、条件の接続関係を指す表現である。「ならば」は表記上明らかな条件の表現を示すが、それ以外の表現でも条件関係語句になる表現もある。それらは、条件関係語句の候補となる表現である。条件以外にも、連言、否定、選言の接続関係語句を示す表現がある。これらの表現を接続関係の候補として蓄え、自然文の中に類似の表現があった場合には、人手により任意の接続関係語句に相当するか判断する。
「語・文組み合せ適合DB」とは、語の組み合わせと文の組み合わせに関するものである。語の組み合わせとは単位文の要素である対象語句と属性語句の組み合わせを指す。文の組み合わせとは、単位文どうしの組み合わせを指す。適合とは、語どうし、または、文どうしの組み合わせが適合的か不適合かを指す。
「文矛盾DB」とは、矛盾する文のDBである。文は単位文である。ただし、対象語句が異なる、事象どうしの矛盾が、本DBの主な文である。先の「大雨が減水をもたらす」を矛盾として登録する場合には、一般化し、対象語句をxと置き「<x>が{大雨}である」と「<x>が{減水をもたらす}」という2つの文が、何らかの関係R(例えば、因果の関係)にあるとき、矛盾であるというようなDBのデータ構成となる。
「語のカテゴリーDB」は、任意の属性語句が、その属性の属するカテゴリー上の特性から、他の属性と相容れないことを収録したDBである。例えば「重く」て「軽い」は成り立たない。しかし、「重く」て「速い」とか「遅い」なら成り立つ。「重い軽い」のカテゴリーは「重さ」であるし、「速い遅い」のカテゴリーは「速さ」である。このように、同じカテゴリーに属する属性語句どうしは、両立しない。
「領域固有語DB」は、専門分野の特別な語を、どの分野の人にも分かるように説明する辞書的なDBである。この語は、文脈によって可変という語ではない。文書全体で不変であることが原則である。検査においては、領域固有語の類似性(語句の文字が少し異なる)の検査も有効である。
「範囲語DB」は、「以上」、「より」、「未満」など範囲を表す語句が登録されているDBである。検査では、文書中に存在する範囲語を(コンピューターが)ユーザーに知らせる。ユーザーはその知らせに応じて、文書が範囲を明確に表現しているかを目視チェックする。領域固有語と同じく、文書全体に適用される語である。
本発明においては、被検索文書が、既述の単位文構造体となっていることを前提に、被検索文書に対して、文による検索を行うこととする。すでにみたように、単位文構造体は、単位文の連言からなる文脈の集合となっている。したがって、被検索文書は、連言での検索が可能な構造となっている。以下では、文書検索のシステムを述べる。
Claims (4)
- 自然言語からなる文章を入力データとして、
前記入力データに対して、形態素解析を行い、解析された形態素から、形態素の係り受け解析を含む、言語解析機能と、
前記言語解析機能を用いて、
前記文章から、単文に相当する表現である単位文を抽出し、
さらに、前記単位文の中から、単位文の要素である、
ものごとの対象を指す表現である対象語句、および、
前記対象語句の指す対象の属性を表現する属性語句と、を抽出する、単位文と単位文要素抽出機能と、
および、前記単文どうしを接続する表現である接続関係語句を抽出する、接続関係語句抽出機能と、
さらに、前記単位文どうしを前記接続関係語句の指す論理結合属性により関係づけを行う、単位文関係体構成機能と、において、
前記言語解析機能、および、前記単位文と要素抽出機能、および、前記接続関係語句抽出機能、および、前記単位文関係体構成機能と、を含む、単位文構成手段と、
前記単位文を、1行ごとに1単位文として配置し、かつ、配置の際に、前記単位文と後続の単位文とを関係づけるために、前記接続関係語句の持つ論理結合属性を含む情報を、前記単位文または前記後続の単位文に持たせ、配置された前記単位文の複数を単位文構造体と呼び、
また、前記入力データの文章を、元の文章と呼び、
そして、前記元の文章の前記単文と、前記単位文構造体の前記単位文とを、前記単文の出現順と、前記単位文の配置された行の順とを、1対1の対応関係を持たせる、単位文番地化機能と、
また、前記単位文構造体に対して、ユーザーが前記単位文や前記接続関係語句の修正や追加を行い、また、前記元の文章に対しても、ユーザーが修正や追加を行うことを含む、単位文構造体編集機能と、
単位文の配置された、前記単位文構造体の先頭行から最終行にわたって各行の単位文を上の行から下の行へとたどり、同じ経路の単位文の論理結合をつくり、これを単位文脈と呼び、
さらに、前記単位文脈の経路をつくる方法は、
(1.1)単位文の論理結合属性が含意の場合において、
(注:本請求項の各文に階層的条項番号を挿入することで、各文の概念の階層関係を示すこととする。)
(1.1.1)P、Qを単位文とし、PとQが含意文「PならばQ」と含意の結合関係をもって配置されていたとき、
(1.1.1.1)該「PならばQ」以降に配置された行に、当該含意の前件Pの否定¬Pが配置されているとき(¬は否定記号で「Pでない」、を意味する。)、
(1.1.1.1.1)かつ、該¬Pが含意の前件をなすならば、
(1.1.1.1.1α)該¬Pを含意の前件となしている含意を、前件Pを持つ該「PならばQ」の「反対の含意」と呼び、
(注:「α」などのギリシャ文字の付く文は、補足的事項の記述を示し、同じ条項番号の文どうしは概念の階層が同じであることを示す。)
(1.1.1.1.1.1)該「反対の含意」が現れた行の該¬Pを分岐点として、分岐前の単位文脈とは異なる経路の単位文脈をつくり、
(1.2)他方、単位文の接続関係属性が含意以外の場合には、
(1.2.1)該単位文は前の行の単位文と連言で結ばれ、単位文脈をなし、
(1.2.2)ただし、単位文の接続関係属性が選言のときには、
(1.2.2.1)該単位文は前の行の単位文と、論理式による連言で結ばれ、単位文をなし、
(1.3)以上の含意による分岐の結合と、連言による結合を繰り返し、前記単位文構造体の最終行まで行い、1つの、同じ経路の単位文脈をつくり、
(1.3.1)前記同じ経路の単位文脈は、前記単位文構造体の先頭行から最終行まであるので、これは1つの全域文脈が抽出されたといえ、
(1.3.1α)「1つの」ゆえ、個別全域文脈と呼び、
(1.3.2)次に、もう一度先頭行にもどり、たどり残した前記分岐点における単位文を先頭に持つ単位文脈、または、たどり残した連言による単位文脈を、深さ優先探索で、たどり直し、また1つの、同じ経路からなる個別全域文脈を抽出し、
(1.3.2.1)この繰り返しをたどり残しが無くなるまで行う、
以上(1.1)~(1.3.2.1)の、前記単位文構造体の全域にわたる、単位文脈抽出処理と、
および、文書内に存在する含意の前件である単位文の真理値を真と見做し、すると含意と連言の真理値は等価となるので、全域文脈を抽出する際に、含意を連言に置換し、単位文脈を連言のみで結合する、含意の連言化処理と、において、
前記単位文脈抽出処理、および、前記含意の連言化処理と、を含む、単位文脈全域抽出機能と、において、
前記単位文番地化機能、および、前記単位文構造体編集機能、および、前記単位文脈全域抽出機能と、を含む、単位文構造体構成手段と、において、
前記単位文構成手段、および、前記単位文構造体構成手段と、を含む、文脈に基礎を置く、いわば「文脈ベース」の、文関連装置。 - 前記全域文脈のすべての個別全域文脈に対して、単位文の連言からなる前記個別全域文脈を、前記個別全域文脈ごとに、前記単位文どうしの比較、関連して単位文の要素である前記対象語句、および、前記属性語句を比較することで、検査し、
(2.1)もし、前記単位文の連言の中に、対象語句Oが属性語句Aを持つ単位文と、同じ対象語句Oが属性語句¬A(¬は否定記号で属性語句にも適用し、「Aでない」を意味する。)を持つ単位文が存在することを検知したなら、対象語句Oと属性語句Aを単位文P、また対象語句Oと属性語句¬Aを単位文¬Pと置き、検査した連言の列「、、、P、、、¬P、、、」の中に相互に背反する単位文Pと¬Pが連言として存在すると検知し、Pと¬Pとが矛盾する、と自動的に判断する、同一文脈矛盾判断処理と、
(2.2)また、他方、一見矛盾する単位文Pと、単位文¬Pが、異なる個別全域文脈に属しているのであれば、Pと¬Pの存在する単位文脈は異なると検知し、Pと¬Pは矛盾してはいない、と自動的に判断する、異文脈無矛盾判断処理と、
(2.3)また、同じ個別全域文脈上で、同じ対象語句Oを持つ単位文どうしが、それぞれ異なる属性語句AとBを持っている場合に、
(2.3.1)もし、AとBの属する語のカテゴリーが同じであるならば、AとBは両立できない属性語句の場合があることから、
(2.3.1α)もし、AとBが、同一の語のカテゴリーに属し、かつ相互に両立しえない属性であることが、ユーザーが収集した情報として、事前にデータベースに登録されていたならば、
(2.3.1.1)前記データベースを参照し、AとBは両立しえない属性語句であると自動的に判断する、同一文脈語のカテゴリー矛盾判断処理と、において、
前記同一文脈矛盾判断処理、および、前記異文脈無矛盾判断処理、および、前記同一文脈語のカテゴリー矛盾判断処理と、を含む、文脈依存個別全域文脈検査機能と、
また、前記同一文脈矛盾判断処理は、前記単位文と前記元の文章の前記単文とは、その存在場所が、前記単位文番地化機能により、1対1で対応することから、前記単位文の判断箇所と、前記元の文章の前記単文との対応箇所を特定できる、矛盾発生箇所特定機能と、において
前記文脈依存個別全域文脈検査機能、および、前記矛盾発生箇所特定機能と、を含む、
以上の本請求項2に記載の事項を含む、請求項1に記載の該装置。
- 新規文書の作成において、文脈の明確さを念頭に該文書を記述することを用途として含み、
前記元の文章とは無関係に、
前記単位文構造体編集機能の処理として、単位文構造体に対して単位文を新規に追加する、単位文新規追加処理を含み、
あらたに単独の単位文構造体をつくる、単位文構造体単独作成手段を含む、
以上の本請求項3に記載の事項を含む、請求項1または請求項2に記載の該装置。 - 任意の文書の内容が任意の主張に適合しているかの検査を用途として含み、
主張などの長い文章を、単位文に構成する前記単位文構成手段と、
さらに、前記単位文関係体構成機能により構成された単位文の含意を連言に換える、前記含意の連言化を含む、前記長い文章を検索用入力データとしてつくる、検索用入力データ作成手段と、
前記任意の文書を前記全域文脈につくる、前記単位文構成手段、および、前記単位文構造体構成手段と、
前記全域文脈のすべての個別全域文脈に対して、
前記検索用入力データにより、検索を実行し、
前記個別全域文脈の中に、前記検索用入力データと等価の単位文の連言があるか否かを検索する、全域文脈検索手段と、を含む、
以上の本請求項4に記載の事項を含む、請求項1または請求項2または請求項3に記載の該装置。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| 大村舞 他2名,複数の述語間関係を考慮した日本語述語項構造解析,言語処理学会第21回年次大会 発表論文集,日本,言語処理学会,2015年03月09日 |
| 石井裕志 他2名,SVO構造を用いた因果関係ネットワーク構築手法について,情報処理学会研究報告 2009 December [CD-ROM],2009年12月15日 |
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