JP7706980B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
例えば、土木建築分野ではあと施工アンカー用接着剤等に用いられており、コンクリート構造物に穿孔してアンカーボルト等を定着する際に使用される。現場施工されるため、降雨等で接着面が湿潤した状態で接着剤が使用されるケースがある。しかしながら、エポキシ樹脂と被着体との界面に水が存在した場合、エポキシ樹脂の被着体表面への濡れが阻害され付着力が著しく低下する問題がある。
湿潤面への接着力を向上させる技術として、液状エポキシ樹脂とアミン硬化剤からなるエポキシ樹脂混合物にセメントを配合して水濡れ面への接着性を向上させる方法(特許文献1)やエポキシ樹脂、エポキシ硬化剤、無機充填材に芳香族アルコールを添加させる方法(特許文献2)やシランカップリング剤を添加する方法(特許文献3)が知られている。
しかしながら、セメントや芳香族アルコールを添加する方法では、被着体との接着力が十分でない問題がある。また、シランカップリング剤を添加する方法では、硬化時の収縮により接着剤と被着体の間に隙間が生じると接着力が十分に発現しない問題がある。
すなわち、本発明は、ポリエポキシド(A)、N原子に直結する活性水素を2~50個有するポリアミン(B)、膨張剤(C)、水(D)及びシランカップリング剤(E)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記膨張剤(C)が酸化カルシウムを含み、前記シランカップリング剤(E)がケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基と、アミノ基、メルカプト基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を少なくとも1つとを有する化合物であり、前記膨張剤(C)中の酸化カルシウムと前記シランカップリング剤(E)中のケイ素原子に結合したアルコキシ基とのモル比率(CaO/アルコキシ基)が1~40であるエポキシ樹脂組成物;該エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物である。
(1)該組成物は硬化時の体積収縮が極めて小さいか、あるいは硬化時に適度に膨張するため、体積収縮の抑制に優れる。なお、これらは後述の硬化前後の体積変化率(%)で評価できる。
(2)湿潤面への接着性に優れる。
(3)シランカップリングの配合による物性低下の影響が小さく、機械的強度に優れた硬化物を与える。
本発明におけるポリエポキシド(A)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであり、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を有しないものであり、硬化物の物性(機械的強度等)及びエポキシ樹脂組成物のハンドリング性の観点から、エポキシ基の個数は好ましくは2~10個、さらに好ましくは2~6個である。
ポリエポキシド(A)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(A)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、硬化物の物性(機械的強度等)及びエポキシ樹脂組成物のハンドリング性の観点から、好ましくは50~1,000、さらに好ましくは80~500である。
(A11)2価フェノール[炭素数(以下Cと略記)6~30]のジグリシジルエーテル
ビスフェノール(ビスフェノール-F、-A、-B、-AD又はS等)ジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールA(テトラクロロビスフェノールA等)ジグリシジルエーテル、単環2価フェノール(カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等)ジグリシジルエーテル、縮合多環2価フェノール[1,5-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、オクタクロロ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン等]ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル等;
多価フェノール(C6以上かつMn5,000以下)のポリグリシジルエーテル、例えば3価フェノール[ピロガロール、ジヒドロキシナフチルクレゾール、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、ジナフチルトリオール、p-グリシジルフェニルジメチルトリール
ビスフェノールA等]トリグリシジルエーテル、4価フェノール[テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’-オキシビス(1,4-フェニルエチル)テトラクレゾール、ビス(ジヒドロキシナフタレン)等]テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂(Mn400~5,000)のポリグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂(Mn400~5,000)のポリグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタルアルデヒド、又はホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるポリフェノール(Mn400~5,000)のポリグリシジルエーテル、及びレゾルシンとアセトンとの縮合反応によって得られるポリフェノール(Mn400~5,000)のポリグリシジルエーテル;
脂肪族ジオール〔2価アルコール[例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール(以下それぞれEG、PG、TMG、NPG、1,6-HDと略記)、ポリアルキレングリコール[例えばポリエチレングリコール(以下PEGと略記。分子量106以上かつMn4,000以下。)、ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記。分子量134以上かつMn5,000以下。)、ポリテトラメチレングリコール(以下PTMGと略記。分子量162以上かつMn5,000以下。)]等〕のジグリシジルエーテル;
脂肪族ポリオール〔多価(3~6価)アルコール[トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(以下それぞれTMP、GR、PE、SOと略記)等]、多価アルコールの分子内もしくは分子間脱水物[ポリ(n=2~5)GR]、及びこれら多価アルコールのアルキレンオキシド[以下AOと略記。C2~6、例えばエチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド(以下それぞれEO、POと略記)]付加物等〕のポリグリシジルエーテル等;
C3以上かつMn5,000以下のもの、例えば1,2-シクロプロパンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、1,2,3-シクロプロパントリオール、1,3,5-シクロヘキサントリオール、スクロース及びこれらのAO(1~20モル)付加物等のポリグリシジルエーテル;
C8以上かつMn5,000以下のもの、ビスフェノールAのAO(1~20モル)付加物、m-又はp-キシリレングリコール、ベンゼンジエタノール、1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジオール、1,1,2,2,-テトラフェニルエタン-1,2-ジオール及びこれらのAO(1~20モル)付加物等のポリグリシジルエーテル;
(A21)芳香族多価(2価~6価又はそれ以上)カルボン酸のグリシジルエステル
芳香族多価カルボン酸(C6~C20又はそれ以上)のポリグリシジルエステル、例えば芳香族ジカルボン酸(オルト-、イソ-又はテレフタル酸等)ジグリシジルエステル、芳香族トリカルボン酸(トリメリット酸等)トリグリシジルエステル;
(A22)脂肪族もしくは脂環含有多価カルボン酸(C6~C20又はそれ以上)のポリグリシジルエステル
例えば脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸等)ジグリシジルエステル、脂肪族トリカルボン酸(トリカルバリル酸等)トリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体(重合度は2~10)、脂環含有多価カルボン酸(ダイマー酸等)のポリグリシジルエステル、前記(A21)の核水添物;
(A31)芳香族アミンのポリグリシジルアミン
例えばN,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノエチルフェニルメタン、N,N,O-トリグリシジルアミノフェノール;
(A32)脂肪族アミンのポリグリシジルアミン
例えばN,N,N’,N’-テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン;
(A33)脂環含有もしくは複素環含有アミン(C6~C20又はそれ以上で、かつ窒素原子に直結する活性水素を2個~10個又はそれ以上有するもの)のポリグリシジルアミン
脂環含有アミンのポリグリシジルアミン(例えばN,N,N’,N’-テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添物)、複素環含有アミンのポリグリシジルアミン(例えばトリスグリシジルメラミン);
(A41)脂肪族ポリ(2価~6価又はそれ以上)エポキシド
C6以上かつMn2,500以下のもの、例えばエポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油;
(A42)脂環式ポリ(2価~4価又はそれ以上)エポキシド
C6以上かつMn2,500以下のもの、例えばビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン。
本発明におけるポリアミン(B)は、N原子に直結する活性水素を2~50個、好ましくは2~10個、さらに好ましくは3~8個有する。該個数が2個未満では硬化物の物性(機械的強度等)が劣るものとなり、50個を超えるとエポキシ樹脂組成物のハンドリング性が悪くなる。
ポリアミン(B)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
C2以上かつMn500以下のもの、例えばC2~10のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(C2~10)ポリ(3価~6価又はそれ以上)アミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等]、並びに、それらのアルキル(C1~4)又はヒドロキシアルキル(C2~4)置換体、例えばジアルキル(C1~3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、N,N’-ジ-n-ブチル-1,6-ヘキサンジアミン;
C4~15のもの、例えば1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン);
C4~15のもの、例えばピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、1,4-ジアミノエチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジン;
C8~15のもの、例えばキシリレンジアミン、テトラクロル-p-キシリレンジアミン;
分子量200以上かつMn1,000以下のもの、例えばジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の[カルボキシル基1当量当り2当量以上の前記(B1)等]との縮合により得られるポリアミドポリアミン;
分子量100以上かつMn1,000以下のもの、例えばポリエーテルポリオール[前記ポリアルキレングリコール等]のシアノエチル化物の水添物;
分子量100以上かつMn1,000以下のもの、例えばエポキシ化合物1モルと前記(B1)1~30モルの反応物〔エポキシ化合物[前記ポリエポキシド(A)及びモノエポキシド(ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等)等]1モルと前記脂肪族ポリアミン(B1)1~30モルの反応物(分子量100以上かつMn1,000以下)等〕;
分子量100以上かつMn500以下のもの、例えばアクリロニトリルと前記(B1)
の反応物(ビスシアノエチルジエチレントリアミン等);
(B91)ヒドラジン化合物(分子量32以上かつMn500以下のもの、例えばヒドラジン、モノアルキルヒドラジン)
(B92)ジヒドラジッド化合物[分子量74以上かつMn1,000以下のもの、例えば酸(コハク酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)ジヒドラジッド]
(B93)グアニジン化合物(分子量59以上かつMn500以下のもの、例えばブチルグアニジン、1-シアノグアニジン)。
本発明における膨張剤(C)は、水との反応により膨張するものであり、酸化カルシウムを含む。
(C)の体積平均粒子径は、エポキシ樹脂組成物の粘度及び作業性の観点から、好ましくは0.1~800μmであり、さらに好ましくは0.5~250μmである。
本発明における水(D)は、例えばイオン交換水、超純水、蒸留水、水道水、市水、工業用水及びこれらの2種以上の混合物が挙げられ、硬化物の物性(機械的強度等)及び工業上の観点から、好ましいのはイオン交換水、超純水及び蒸留水であり、さらに好ましいのはイオン交換水である。
本発明におけるシランカップリング剤(E)は、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基と、アミノ基、メルカプト基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を少なくとも1つとを有する化合物である。
シランカップリング剤(E)は、アミノ基、メルカプト基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することで、エポキシ樹脂組成物中の(A)又は(B)と反応することができ、エポキシ樹脂組成物の湿潤面に対する接着性を付与することができる。
また、シランカップリング剤(E)におけるケイ素に結合したアルコキシ基は、エポキシ樹脂組成物中の水(D)や湿潤状態にある接着面に付着した水により加水分解し、アルコールを生成する。このアルコールは、エポキシ樹脂組成物の硬化物中で可塑剤として作用し、機械的強度を低くしてしまう問題があるが、本発明においては、膨張剤(C)として、酸化カルシウムを含むことにより、生成したアルコールが酸化カルシウムと反応することで、機械的強度を損なうことなく、湿潤面に対する接着性に優れる硬化物を得られるエポキシ樹脂組成物とすることができると推察される。
これらのうち、膨張剤(C)との反応性及び接着性の観点から、アルコキシ基の炭素数1~5が好ましく、さらに好ましくはアルコキシ基の炭素数1~3である。
また、体積変化率の観点から、アミノ基を有するものが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有してなり、前記膨張剤(C)中の酸化カルシウムと前記シランカップリング剤(E)中のケイ素原子に結合したアルコキシ基とのモル比率(CaO/アルコキシ基)は1~40である。モル比率(CaO/アルコキシ基)が1未満であると、機械的強度が劣る傾向があり、40を超えると、接着強度が低下する傾向がある。
モル比率(CaO/アルコキシ基)は、機械的強度及び接着性の観点から、2~30が好ましく、さらに好ましくは4~15である。
(A)は、組成物のハンドリング性及び硬化物の物性(機械的強度等)の観点から、好ましくは40~80重量%、さらに好ましくは45~70重量%、とくに好ましくは50~65重量%である。
(B)は、組成物のハンドリング性及び硬化物の物性(機械的強度等)の観点から、好ましくは10~50重量%、さらに好ましくは15~45重量%、とくに好ましくは20~40重量%である。
(C)は、体積変化率及びハンドリング性の観点から、好ましくは3~40重量%、さらに好ましくは5~30重量%、とくに好ましくは7~20重量%である。
(D)は、体積変化率及び物性(機械的強度等)の観点から、好ましくは0.5~7重量%、さらに好ましくは1~6重量%、とくに好ましくは1.5~5重量%である。
(E)は、接着強度(特に湿潤面の接着強度)の観点から、好ましくは0.5~5重量%であり、さらに好ましくは1~4重量%であり、とくに好ましくは2~3重量%である。
(C)と(D)の重量比(C/D)は、体積変化率の観点から、好ましくは30/70~98/2、より好ましくは75/25~95/5、さらに好ましくは80/20~92/8、とくに好ましくは85/15~90/10である。
エポキシ樹脂組成物中の酸化カルシウムと水(D)とのモル比率(CaO/水)は、体積変化率及び物性(機械的強度)の観点から、0.1~5が好ましく、更に好ましくは1~4である。
(C)と(E)との重量比率(C/E)は、接着強度(特に湿潤面の接着強度)と機械的強度の観点から、1~50が好ましく、さらに好ましくは2~30であり、とくに好ましくは6~15である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらにポリオールのエチレンオキサイド(以下EOと略記する)及び/又は炭素数3~6のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)付加物(F)を含有させることができる。(F)を含有させることで、エポキシ樹脂組成物のチクソトロピー性を高めることができる。さらに、ポリエポキシド(A)に対する水(D)の分散安定性を高めることができ、エポキシ樹脂組成物の経日安定性が良好になる傾向がある。
該ポリオールとしては、2価~8価又はそれ以上の多価アルコール(C2~30)、2価~8価又はそれ以上の多価フェノール(C6~40)、及びこれらの混合物が挙げられる。
該多価フェノールとしては、2価のもの[例えばヒドロキノン、カテコール、ビスフェノール-A、-F及びS、ナフタレンジオール、アントラセンジオール]、3価~8価又はそれ以上のもの〔例えばヒドロキシキノール、ピロガロール、トリスヒドロキシフェニルイソプロピルベンゼン[商品名「トリスフェノールPA」、三井石油化学(株)製]、フェノールノボラック、クレゾールノボラック〕等が挙げられる。
前記AOとしては、1,2-プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、1,3-プロピレンオキサイド、1,2-、2,3-又は1,3-ブチレンオキシド、1,2-ヘキシレンオキシド等が挙げられ、エポキシ樹脂組成物のチクソトロピー性の観点から好ましいのはPOである。
ポリオールに対するEO及びAO(C3~6)の合計の平均付加モル数は、エポキシ樹脂組成物のチクソトロピー性及びハンドリング性の観点から、好ましくは3~150、さらに好ましくは15~130である。
EOとAO(C3~6)の付加モル数比(EO/AO)は、組成物のチクソトロピー性及び硬化物の耐水性の観点から好ましくは0.2~10、さらに好ましくは0.3~8、とくに好ましくは0.5~7である。
該(F)のMnは、エポキシ樹脂組成物のチクソトロピー性及びハンドリング性の観点から好ましくは200~10,000、さらに好ましくは1,000~8,000である。
装置:東ソー(株)製 HLC-802A
カラム:TSK gel GMH6 2本
測定温度:40℃
試料溶液:0.5重量%のTHF溶液
溶液注入量:200μl
検出装置:屈折率検出器
標準:ポリスチレン
(D)と(F)との重量比率(D/F)は、後述する2液の形態で別々に保管しておく場合のA液の経日安定性の観点から、0.5~14が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、硬化物の物性を調整(圧縮降伏強さ、圧縮弾性係数等の向上)するため、必要により無機充填剤(G)を含有してもよい。該(G)としては、前記(C)以外のものであり、下記の(G1)~(G7)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(G1)ケイ酸塩(例えばタルク、クレー、マイカ、ガラス);
(G2)(C)以外の酸化物[例えば酸化チタン、アルミナ、シリカ];
(G3)炭酸塩(例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト);
(G4)水酸化物(例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム);
(G5)(亜)硫酸塩(例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム);
(G6)ホウ酸塩(例えばホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム);
(G7)窒化物(例えば窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素)。
(1)(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び必要により(F)、(G)、(H)を使用する直前に一括混合して組成物とする。
(2)2液[(A)を含有してなるA液、(B)を含有してなるB液]の形態で別々に製造しておき、使用時に混合して組成物とする。(C)、(D)及び(E)は、あらかじめA液又はB液に混合することが好ましく、(C)及び(E)をB液に、(D)をA液に混合することがさらに好ましい。また、必要により含有させる(F)は、あらかじめA液及び/又はB液に混合しても、使用時に混合してもよいが、チクソトロピー性及びハンドリング性の観点から、A液及び/又はB液に混合することが好ましく、水(D)の分散安定性及びA液の経日安定性の観点から、あらかじめA液に混合することが好ましい。必要により含有させる(G)、(H)も同様の観点から、あらかじめA液及び/又はB液に混合することが好ましい。
これらの組成物の形態のうち、工業上の観点から好ましいのは(2)の形態である。
これら(1)、(2)のいずれの場合も、(A)と(B)、(C)と(D)、(D)と(E)はそれぞれ混合後は反応が進行するため、速やかに使用するのが望ましい。(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)混合後の可使時間(ポットライフ)は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)各温度が15~35℃の場合、好ましくは5~180分、さらに好ましくは10~90分である。
なお、ここにおいて、可使時間(ポットライフ)とは、25℃に温度調整した各成分[合計量120g]を混合し、混合開始から均一混合後の25℃の恒温槽中での粘度が100(Pa・s)に到達するまでの時間を意味するものとする。
また、エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度(Pa・s)は、たれ防止及びハンドリング性の観点から、好ましくは20~90、さらに好ましくは30~85、とくに好ましくは40~80である。
装置:BH型粘度計[型番「TVB-22H」、東機産業(株)製]
回転数:20rpm
スピンドルNo:7号
また、特に寸法安定性が望まれる用途においては、該体積変化率は、好ましくは99~101%である。
「あと施工アンカー」とは、土木、建築、機械分野等で、既に製造されたコンクリート製の構造物(以下、母材という)に対し、後から、アンカーボルトや差筋等のアンカー部材を埋設する施工方法である。本発明のエポキシ樹脂組成物は、金属製のアンカー部材を母材に埋設する際に、母材とアンカー部材との接着剤として使用することができる。具体的には、アンカー部材を母材に穿った孔の内部に装入し、さらに孔の内部に本発明のエポキシ樹脂組成物を流し込むことにより、孔壁部とアンカー部材を強固に接着することができる。
「GIR工法」とは、木材に穴をあけ、そこに挿入された棒状の接合金具との空隙に接着剤を注入・充填する施工方法である。
製造例1
オートクレーブにプロピレングリコール30部、触媒として水酸化カリウム0.15部を仕込み、EO693部とPO277部を混合したものを吹き込み、110℃で反応させた。130℃で熟成後、酸化マグネシウム系吸着剤[商品名「キョーワード600」、協和化学工業(株)製]による吸着処理で触媒を除去してプロピレングリコールのEOおよびPO付加物(F-1)(Mn3,000、EOおよびPOの平均付加モル数52、EO/PO付加モル比=3.3)992部を得た。
万能混合機[商品名「万能混合機 5DMV-01-r」、ダルトン(株)製]を用いて、表1に従って配合し、A液を得た。得られたA液のうち30gを遠沈管(50mL)に入れ、遠心分離機(2000rpm×30分×4回、計2時間)で加速試験を行った。遠心分離後の液の状態を目視で確認し、下記の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
○:2時間経過しても分離しない
△:1時間経過時には分離していなかったが、2時間経過時には分離していた
×:30分又は1時間経過時に分離していた
万能混合機[商品名「万能混合機 5DMV-01-r」、ダルトン(株)製]を用いて表2に従ってそれぞれA液およびB液を配合し、減圧下で脱泡しながら混合(温度25℃、撹拌時間5分間、圧力4kPa)し、A液およびB液を得た。さらに、遠心脱泡機[商品名「あわとり練太郎 ARV930TWIN」、シンキー(株)製]を用い、A液およびB液を表2に記載の重量比で混合(温度25℃、撹拌時間3分間、回転数1400rpm)し、エポキシ樹脂組成物を得た。該組成物について下記の試験方法で性能評価を行った。結果を表2に示す。
A-1:ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル
[商品名「JER807」、三菱化学(株)製、エポキシ当量175]
A-2:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
[商品名:「Ex-211」、ナガセケムテックス(株)製、
エポキシ当量138]
B-1:キシリレンジアミン
[商品名「アンカミン2422」、エアープロダクツジャパン(株)製、
活性水素当量34、N原子に直結する活性水素数4個]
B-2:1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン
[商品名「1-3BAC」、三菱ガス化学(株)製、
活性水素当量36、N原子に直結する活性水素数4個]
C-1:酸化カルシウム
[商品名「太平洋ハイパーエクスパン(構造用)」、
太平洋マテリアル(株)製、酸化カルシウムの含有率70重量%、
体積平均粒子径50μm]
C-2:カルシウムサルフォアルミネート
[商品名「デンカパワーCSAタイプS」、電気化学工業(株)製、
酸化カルシウムの含有率50重量%、体積平均粒子径60μm]
D-1:イオン交換水
E-1:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
[商品名「KBM-603」、信越化学工業(株)製]
E-2:3-アミノプロピルトリメトキシシラン
[商品名「KBM-903」、信越化学工業(株)製]
E-3:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
[商品名「KBM-403」、信越化学工業(株)製]
E-4:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[商品名「KBM-803」、信越化学工業(株)製]
F-1:プロピレングリコールEO・POランダム付加物
[製造例1で得たもの、Mn3,000、EO及びPOの平均付加モル数52、
EO/PO付加モル比=3.3]
G-1:炭酸カルシウム
[商品名「ソフトン1500」、白石カルシウム(株)製、
体積平均粒子径1.5μm]
G-2:シリカ
[商品名:HS-106、マイクロン(株)製、体積平均粒子径20μm]
[硬化前後の体積変化率](単位:%)
(1)25℃に温度調整したエポキシ樹脂組成物を高精度電子比重計[型番「SD-200L」、アルファーミラージュ(株)製]により、JIS K0061に準じて比重瓶法で比重を測定し、硬化前の比重(d1)とした。
(2)得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ約10mmの板状に成形し、25℃で5日間養生した後、約10×10×30mmの直方体の試験片を切り出した。25℃に温度調整した試験片を高精度電子比重計[型番「SD-200L」、アルファーミラージュ(株)製]により、JIS K0061に準じて天びん法で比重を測定し、硬化後の比重(d2)とした。
(3)硬化前の比重(d1)、硬化後の比重(d2)から次式(1)により体積変化率を算出した。体積変化率が100%より小さければ組成物は収縮しており、大きければ膨張していることを示す。
[硬化前後の体積変化率(%)]=(1/d2)×100/(1/d1) (1)
d1:硬化前の比重
d2:硬化後の比重
混練したエポキシ樹脂組成物を厚さ約10mmの板状に成形し、25℃で5日間養生して硬化させた。厚さ約10mm×幅約10mm×長さ約30mmの直方体の試験片を切り出し、試験速度を2mm/minに変更する以外はJIS K7181に準じて測定した。
JIS G3141に規定された厚さ約1.6mm×幅約25mm×長さ約100mmの冷間圧延鋼板をアセトンで洗浄し、重ね長さが12.5mm、接着層の厚さが0.2mmとなるように、2枚の冷間圧延鋼板を混練したエポキシ樹脂組成物で接着することにより試験片を得た。試験片を25℃で5日間養生した後、10mm/minの試験速度でJIS K6850に準じて常態面の接着強度(重ね合せせん断接着強さ)を測定した。
また、湿潤面の接着強度(重ね合せせん断接着強さ)は、アセトンで洗浄した後の2枚の冷間圧延鋼板を高温高湿器(75℃、95%)に一晩置いていたものを用いて、高温高湿器から出してすぐに混錬したエポキシ樹脂組成物で接着することにより試験片を得る以外は常態面と同様にして測定した。なお、表2に示した重ね合せせん断接着強さの値は、5回試験した結果の平均値である。
<常態試験>
25mm×30mm×厚さ15mmのホワイトウッドを被着材とし、接着層の厚さが0.2mmとなるように、2枚の被着材の25mm×30mmの面同士を混練したエポキシ樹脂組成物で接着することにより試験片を得た。25℃で5日間養生した後、2mm/minの試験速度でJIS K6852に準じて圧縮せん断接着強さを測定した。また、試験片が破壊した際の被着材における破壊の状態を調べ、破壊した面積のせん断面積に対する百分率を読み取って木部破断率(単位:%)を求め、括弧内に示した。なお、表2に示した圧縮せん断接着強さ及び木部破断率の値は、5回試験した結果の平均値である。
<耐温水試験>
常態試験と同様にして試験片を得て25℃で5日間養生した。試験片を60℃の温水中に3時間浸せきした後、室温の水中に冷めるまで浸し、ぬれたままの状態で試験した。
<煮沸繰り返し試験>
常態試験と同様にして試験片を得て25℃で5日間養生した。試験片を沸騰水中に4時間浸せきした後、60℃の空気中で20時間乾燥し、再び沸騰水中に4時間浸せきする。この処理後、室温の水中に冷めるまで浸し、ぬれたままの状態で試験した。
一方、膨張剤(C)を用いていない以外は同じ比較例1と実施例1とを比較すると、硬化による体積変化が大きく、接着性も低く、特に湿潤条件下での接着性が極めて劣ることが分かる。また、シランカップリング剤(E)を用いていない以外は同じ比較例2と実施例1とを比較すると、硬化による体積変化が大きく、接着性も低く、特に湿潤条件下での接着性が極めて劣ることが分かる。また、シランカップリング剤(E)を大量に用いた比較例3は、膨張剤(C)を用いている以外は同じ実施例7と比較して、接着性は同等以上であるものの、硬化による体積変化が大きく、機械的強度(圧縮降伏強さ、圧縮弾性率)が極めて低くなることがわかる。また、モル比率(CaO/アルコキシ基)が1未満である比較例4は、実施例1と比較して、体積収縮は同等であるものの、接着性が劣り、機械的強度が極めて劣ることが分かる。また、モル比率(CaO/アルコキシ基)が40を超える比較例5は、実施例6と比較して、機械的強度は同等であるものの、体積変化が大きく、接着性も極めて低いことがわかる。
Claims (6)
- ポリエポキシド(A)、N原子に直結する活性水素を2~50個有するポリアミン(B)、膨張剤(C)、水(D)及びシランカップリング剤(E)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記膨張剤(C)が酸化カルシウムを含み、前記シランカップリング剤(E)がケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基と、アミノ基、メルカプト基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を少なくとも1つとを有する化合物であり、前記膨張剤(C)中の酸化カルシウムと前記シランカップリング剤(E)中のケイ素原子に結合したアルコキシ基とのモル比率(CaO/アルコキシ基)が1~40であり、土木建築用接着剤であるエポキシ樹脂組成物。
- 前記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の合計重量に基づいて、前記シランカップリング剤(E)の含有量が0.5~5重量%である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- ポリオールのエチレンオキサイド及び/又は炭素数3~6のアルキレンオキサイド付加物(F)を含有する請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記水(D)と前記アルキレンオキサイド付加物(F)との重量比率(D/F)が0.5~14である請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂組成物中の酸化カルシウムと水(D)とのモル比率(CaO/水)が0.1~5である請求項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
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