JP7707525B2 - マスターバッチ、芳香族ポリエステル樹脂組成物、成形体およびそれらの製造方法 - Google Patents
マスターバッチ、芳香族ポリエステル樹脂組成物、成形体およびそれらの製造方法Info
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Description
〔1〕固有粘度0.5以上から0.9未満のポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100質量部に対し、平均粒子径0.5~10μmの微粒子(b)を15質量部未満の範囲で含有することを特徴とするマスターバッチ(1)に関する。
〔1〕に記載のマスターバッチに対して、芳香族ポリエステルポリブチレンテレフタレート樹脂(c)を配合して溶融混錬する工程を有する芳香族ポリエステルポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法に関する。
本実施形態のマスターバッチは、固有粘度0.5以上から0.9未満のポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100質量部に対し、平均粒子径0.5~10μmの微粒子(b)を15質量部未満の範囲で含有することを特徴とする。
そして本実施形態のマスターバッチの製造方法は、固有粘度0.5以上から0.9未満のポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100質量部に対し、平均粒子径0.5~10μmの微粒子(b)を15質量部未満の範囲で配合して溶融混錬する工程を有することを特徴とする。
本発明に用いるPBT樹脂(a)は、フィルム欠点となる粒子凝集が解消され、フィルム作製時の製膜性悪化を引き起こす樹脂劣化の抑制ができることから、0.5以上、好ましくは0.6以上であり、そして、0.9未満、好ましくは0.8以下の範囲である固有粘度を有する。
本発明で用いる微粒子(b)は、その平均粒子径が0.5μm以上であり、滑り性の点から好ましくは1.0μm以上の範囲であり、そして、10μm以下であり、透明性の点から8.0μm以下の範囲である。
本発明に用いる微粒子としては、特に制限されないが、例えばワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどの無機微粒子が挙げられ、これらは中空であってもよい。これらのうちの一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、フィルムの滑り性を付与しつつ、かつ、より透明性に優れる観点から、シリカ、アルミナシリケートが好ましいものとして挙げられる。
マスターバッチは、その機能の主旨を逸脱しない範囲において、必須成分である上記PBT樹脂(a)及び上記微粒子(b)以外に、任意成分としてその他の成分が含まれてもよい。その他の成分としては、具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、滑剤、難燃剤、充填材等が挙げられる。その他の成分を任意成分として用いる場合、その配合割合は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではないが、前記PBT樹脂(a)100質量部に対して、50質量部以下の範囲で用いることが好ましく、さらに25質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。これら成分の種類と量を調整することにより、目的とする機能を自由に調整することができる。
本発明のマスターバッチの製造方法は、上記PBT樹脂(a)と、上記微粒子(b)とを配合して溶融混錬する工程(以下、「工程(1)」と称することがある)とを有する。
本発明の芳香族ポリエステル樹脂組成物および成形体(フィルム)の製造方法は、前記マスターバッチと、希釈用樹脂としての芳香族ポリエステル樹脂(c)とを配合して溶融混錬する工程(以下、「工程(2)」と称することがある。)を有する。芳香族ポリエステル樹脂組成物または成形体は、上記マスターバッチと、芳香族ポリエステル樹脂(c)とを配合させたものの硬化物(加熱により軟化流動した状態が冷却により固化したもの)である。芳香族ポリエステル樹脂組成物は、特に制限されないが、例えばマスターバッチからフィルムを得る際の中間成形体であり、ペレット状や粉末状等の所定形態を有する材料を意味する。
本発明で使用する芳香族ポリエステル樹脂(c)はマスターバッチに対して希釈用樹脂として用いるものである。本発明に用いる芳香族ポリエステル樹脂(c)としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキサンジメチルフタレート(PCN)、ポリトリメチレンナフタレート(PTN)、非晶性ポリエステル樹脂(PETG、PCTG)、ポリエチレン-1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボキシレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート等が挙げられる。また、これらのポリエステル樹脂のうちから選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[その他の成分]
芳香族ポリエステル樹脂組成物またはフィルムは、その機能の主旨を逸脱しない範囲において、必須成分であるマスターバッチ及び芳香族ポリエステル樹脂(c)以外に、任意成分としてその他の成分が含まれてもよい。
その他の成分としては、具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、滑剤、難燃剤、充填材等が挙げられる。
本実施形態に係る芳香族ポリエステル樹脂組成物またはフィルムの製造方法は、上記製造方法によって得られたマスターバッチ及び芳香族ポリエステル樹脂(c)の必須成分と、必要に応じて任意成分であるその他の成分とをバルク状、ペレット状、チップ状などの様々な形態で所定の配合割合となるよう配合し、次いで、必要に応じて予備混合した後に、溶融混練機に投入して、該PBT樹脂(a)または芳香族ポリエステル樹脂(c)のいずれか高い方の融点以上に加熱して、溶融混練する。これにより、直接、溶融成形して上記フィルムを得ることができるが、一旦、ペレット状または粉末状の芳香族ポリエステル樹脂組成物を得る工程を経てから、得られたペレット状または粉末状の芳香族ポリエステル樹脂組成物を溶融成形する工程を経て目的とするフィルムを得ることもできる。このようにマスターバッチを経由してフィルムを得ることで、フィルム中で微粒子をより安定的に均一分散することができ、微粒子による所望の機能、特性をフィルムに十分に付与することができる。また、上記マスターバッチを経てフィルムを成形することで、芳香族ポリエステル樹脂の加水分解が大幅に抑制され、成形性(加工性)、機械特性及び外観品質を向上することができる。
なお、本発明においてフィルムとは、フィルム状ないしシート状の熱可塑性樹脂成形体を指し、さらには、フィルムやシートなどの板状のものを厳密に区別することなく総称として表現するものである。本発明においてフィルムの厚みは、その用途に応じて異なり、任意の厚さとすることができるが、通常、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.5μm以上から、好ましくは1mm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下、最も好ましくは70μm以下までの範囲である。
PBT樹脂の固有粘度は、オクトクロロフェノール溶液を使用してPBT樹脂を溶解し、温度23℃にて測定した値である。
乾燥試料250mgを精秤し、これに50mlのN/500-ジ-n-ブチルアミン溶液(石油べンジン溶媒)を加え、20℃で約2時間放置する。この上澄液25mlにクロロホルム5ml、指示薬(クリスタルバイオレツト)を2~3滴を加え、紫色が青色に変るまでN/100-過塩素酸溶液(無水酢酸溶媒)で滴定し、この時の滴定値をAmlとする。 別にブランクを行ないBmlとし、次式によってDBA吸着量を算出した。
固有粘度の保持率を算出し、樹脂劣化状態を評価した。保持率が100%に近いほど、樹脂劣化を抑制し、良好であることを表す。
目開き20μmのフィルターを設置した単軸押出機にマスターバッチ1kgを通過させたときの差圧(ろ過圧上昇)を測定し、粒子の凝集性について以下の基準で評価付けを行った。なお、差圧が大きいほど凝集粒子の存在量が多いことを表す。
◎・・・0.5MPa未満
〇・・・0.5MPa以上2MPa未満
△・・・2MPa以上5MPa未満
×・・・5MPa以上
作製したフィルムを光学顕微鏡で観察し、100cm2あたりに存在する15μm以上の凝集粒子の存在量を下記基準で評価した。
◎・・・5個未満
〇・・・5個以上10個未満
△・・・10個以上20個未満
×・・・20個以上
製膜時の安定性について、下記基準で評価した。
〇・・・吐出物の状態は安定しており、問題なく製膜終了
△・・・吐出物の粘度低下、脈動現象、吐出幅の変動、発泡などが多少みられたが製膜終了
×・・・吐出物の粘度低下、脈動現象、吐出幅の変動、発泡などにより安定なフィルムが確保できず
表1に記載した配合比率で PBT樹脂と、微粒子を配合し、ドライブレンドした後、続いて、30mmφの二軸押出機 (設定温度260℃)で溶融混練し、得られた組成物をペレット化し、マスターバッチを得た。
PBT-1;ポリプラスチックス社製PBT樹脂「DURANEX 200FP」(固有粘度0.6dl/g)
PBT-2;ポリプラスチックス社製PBT樹脂「DURANEX 500FP」(固有粘度0.8dl/g)
PBT-c1;ポリプラスチックス社製PBT樹脂「DURANEX 600FP」(固有粘度1.0dl/g)
FP-1; シリカ微粒子(富士シリシア化学株式会社製『SYLYSIA(登録商標) 550』、平均粒子径3.9μm、DBA吸着量800meq/kg)
FP-2 アルミノケイ酸塩微粒子(水澤化学工業株式会社製『SILTON(登録商標) JC-50』、平均粒子径4.9μm)
FP-3; シリカ微粒子(富士シリシア化学株式会社製『SYLOPHOBIC(登録商標) 505』、平均粒子径3.9μm、DBA吸着量175meq/kg)
フィルム中の微粒子濃度が0.3wt%となるように、PBT樹脂(ポリプラスチックス社製「DURANEX 300FP』、極限粘度0.7)と、マスターバッチ(MB(1)~(4)、MB(c1)~(c2))を所定量混合し、120℃で12時間乾燥した。ついで100mm幅のTダイを接続した押出機を用いて、製膜温度260℃で製膜を行い、厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて各測定を行い表3、4に記載した。
一方、比較例1、2で製造されたマスターバッチを経由して得られた比較例3、4のフィルムは、当該マスターバッチ中の粒子凝集を解消できず、フィルム欠点の発生や製膜時のフィルター昇圧を起こし、また、樹脂劣化の進行により、フィルム作成時、製膜が低下することが明らかとなった。
Claims (8)
- 固有粘度0.5以上から0.9未満のポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100質量部に対し、親水性の表面を有し、400meq/kg以上のDBA吸着量である平均粒子径0.5~10μmの微粒子(b)を15質量部未満の範囲で配合して溶融混錬する工程を有することを特徴とするマスターバッチの製造方法。
- 前記微粒子(b)は、シリカであることを特徴とする請求項1に記載のマスターバッチの製造方法。
- フィルム用に専ら用いる芳香族ポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、
請求項1に記載の製造方法で得られたマスターバッチに対して、芳香族ポリエステル(c)を配合して溶融混錬する工程を有する芳香族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。 - 請求項3に記載の製造方法で得られた芳香族ポリエステル樹脂組成物を、溶融成形する工程を有するフィルムの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法で得られたマスターバッチに対して、芳香族ポリエステル樹脂(c)を配合して溶融混錬する工程と、溶融成形する工程とを有するフィルムの製造方法。
- 前記溶融混錬する工程の後に、顆粒状にすることを特徴とする請求項1に記載のマスターバッチの製造方法。
- 前記マスターバッチ及び前記芳香族ポリエステル樹脂(c)の合計の質量を100質量%としたときの、前記微粒子(b)の含有割合が、0.01質量%以上、3質量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の芳香族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(a)の全ジカルボン酸単位のうちテレフタル酸単位が95モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載のマスターバッチの製造方法。
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