しかしながら、特許文献1の構造では、内針が外針に挿通された状態において外針の内腔が内針によって略塞がれることから、内針に外挿された外針が血管へ穿刺されても、外針ハブの内部における弁体よりも遠位の空間へ血液が導入され難く、当該空間に空気が残留し易い。それゆえ、内針を外針から引き抜いて、留置された外針及び外針ハブを通じて輸液や薬液などを血管内へ投与する際に、輸液や薬液に混入する空気の量が比較的に多くなることが考えられた。
また、特許文献1では、内針の外針からの抜去によって外針の内腔が開放されても、外針ハブの内部における弁体よりも遠位の空間は、外針の内腔以外において外部へ開放されておらず、外部への空気の排出は考慮されていない。それゆえ、弁体が閉じた状態では血液の外針ハブ内への導入が空気圧によって制限されて、外針ハブの内部における弁体よりも遠位の空間に空気が残留し易い。
本発明の解決課題は、外針ハブの内部における弁体よりも遠位に空気が残留し難くすることができる、新規な構造の留置針組立体を提供することにある。
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
第1の態様は、基端側に内針ハブを有する中空の内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針ハブの連通と遮断を切り替える弁体が該外針ハブの内部に配された留置針組立体であって、前記内針の周壁には流出用開口と還流用開口が貫通して形成されており、該流出用開口よりも近位に設けられた該還流用開口が、前記弁体よりも遠位において前記外針ハブの内部に開口しているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、内針の内部へ流れ込む血液を流出用開口において外針の内部へ導くことにより、外針ハブの内部における弁体よりも遠位の空間へ血液を導くことができる。また、内針の還流用開口が外針ハブの内部における弁体よりも遠位で開口していることから、外針ハブの内部の空気が血液によって押し出される際に、還流用開口から内針の内部へ空気が流れ込んで、空気が内針の基端開口から排出される。これにより、外針ハブの内部における弁体よりも遠位の空間から空気を排出して、当該空間に残留する空気の量を減らすことができる。その結果、外針ハブの内部を通じて輸液や薬液等を血管へ投与する際に、空気の混入が抑えられて、安全性の向上が図られる。
第2の態様は、第1の態様に記載された留置針組立体において、前記還流用開口と前記弁体の距離が、該還流用開口と前記外針ハブの遠位端の距離よりも近くされているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、還流用開口が弁体により近い位置に設けられることによって、外針ハブの内部へ遠位から血液が導入される際に還流用開口が血液で塞がれ難く、空気が還流用開口を通って内針の内部へ排出され易くなる。
第3の態様は、第1又は第2の態様に記載された留置針組立体において、前記流出用開口と前記還流用開口の間には、前記内針の内腔の断面積を部分的に小さくする狭窄部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、内針へ流入した血液が狭窄部によって堰き止められることから、流出用開口において外針へ流出し易くなる。それゆえ、外針ハブの内部へ血液を効率的に流入させることができる。また、狭窄部が流出用開口と還流用開口の間に設けられていることにより、狭窄部は還流用開口から内針へ入った空気の基端側への排出を妨げない。
第4の態様は、基端側に内針ハブを有する中空の内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針ハブの連通と遮断を切り替える弁体が該外針ハブの内部に配された留置針組立体であって、前記内針の周壁には流出用開口と還流用開口が貫通して形成されて、該還流用開口が該流出用開口よりも近位で前記弁体よりも遠位に位置しており、該流出用開口と該還流用開口の軸方向間において該内針が押し潰された潰し部が設けられて、該内針の前記外針からの引抜きによって該内針の針先を保護する針先プロテクタと係止されるプロテクタ係止部が、該潰し部における該内針の押潰しに伴う径方向の膨出によって該内針に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、内針へ流れ込む血液を流出用開口において外針又は外針ハブへ流出させることにより、外針ハブの内部における弁体よりも遠位の空間へ血液を導くことができる。また、外針ハブの内部の空気が血液によって押し出される際に、還流用開口から内針の内腔へ空気が流れ込んで、空気が内針の基端開口から排出される。これにより、外針ハブの内部における弁体よりも遠位の空間から空気を排出して、当該空間に残留する空気の量を減らすことができる。その結果、外針ハブの内部を通じて輸液や薬液等を血管へ投与する際に、空気の混入が抑えられて、安全性の向上が図られる。
流出用開口と還流用開口との間に潰し部が設けられており、潰し部において内針の内腔が狭窄されている。それゆえ、内針を流れる血液が潰し部によって堰き止められ、流出用開口を通じて外針又は外針ハブへ流出し易くなる。それゆえ、外針ハブの内部へ血液を効率的に流入させることができる。また、潰し部が流出用開口と還流用開口の間に設けられていることにより、潰し部は還流用開口から内針へ入った空気の基端側への排出を妨げない。
潰し部は内針を部分的に押し潰すことによって形成されることから、内針が潰し部において押潰し方向と直交する方向で膨出する。この膨出部分を内針の引抜き時に針先プロテクタに係止されるプロテクタ係止部として利用することにより、潰し部とプロテクタ係止部を同時に形成することができ、製造工程数を少なくすることができる。
第5の態様は、第1~第4の何れか1つの態様に記載された留置針組立体において、前記流出用開口と前記還流用開口は、前記内針の周方向の半周以上にわたって連続して開口しているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、流出用開口が内針の周方向の半周以上にわたって開口する広い開口とされていることにより、外針又は外針ハブ内へ流出する血液の量を確保することができる。還流用開口が内針の周方向の半周以上にわたって開口する広い開口とされていることにより、還流用開口へ空気が導かれ易くなって、外針ハブ内の空気をより効率的に排出することができる。
第6の態様は、基端側に内針ハブを有する中空の内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針ハブの連通と遮断を切り替える弁体が該外針ハブの内部に配された留置針組立体であって、前記弁体には前記内針が挿通される針挿通孔が形成されており、該内針が該針挿通孔へ挿通された状態において該内針と該針挿通孔の間には該弁体を貫通する排気孔が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、弁体に排気孔が形成されていることにより、外針ハブにおける弁体よりも遠位の内部領域と近位の内部領域が排気孔によって連通されている。それゆえ、外針ハブへ血液等が導入される際に、外針ハブにおける弁体よりも遠位の領域内の空気が、排気孔を通じて近位の領域へ排出されて、弁体よりも遠位の内部領域を血液等で満たすことが可能になる。その結果、外針ハブの内部を通じて輸液や薬液等を血管へ投与する際に、空気の混入が抑えられて、安全性の向上が図られる。
排気孔は、血液の通過を抑えるために、孔断面積や最小幅寸法が小さいことが望ましいが、弁体の成形時に形成される孔では、孔断面積や最小幅寸法を排気孔に要求されるほどに小さくすることができなかった。そこで、内針の挿通によって針挿通孔が狭窄されることに着目し、内針と針挿通孔の内面との間の狭窄領域を利用して排気孔を形成することにより、弁体の成形時には形成できないほどに小さな排気孔を実現することができる。
第7の態様は、第6の態様に記載された留置針組立体において、前記弁体には、前記内針が配される針配置部と該針配置部の内周面に開口して針軸方向に貫通する凹溝とを備えており、該凹溝の溝断面積が該針配置部の孔断面積よりも小さくされているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、針配置部の内周面に開口する凹溝を形成することにより、例えば内針の外周面が凹溝の開口を外れた部分で針配置部の内周面に接していても、凹溝の形成部分において排気孔が形成される。それゆえ、内針を針配置部の内面において弁体に接触させて、内針のがたつきを抑えつつ、針挿通孔を利用した排気孔を設けることができる。
第8の態様は、第7の態様に記載された留置針組立体において、前記針配置部の周方向に複数の前記凹溝が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、例えば複数の凹溝の周方向間において内針が弁体に接することにより、複数の凹溝によって複数の排気孔が独立して形成される。これにより、各排気孔の孔断面積や最小幅寸法を小さくして血液の通過を制限しながら、複数の排気孔の孔断面積の総和を大きく確保して、空気を効率的に排出することが可能になる。
第9の態様は、基端側に内針ハブを有する中空の内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針ハブの連通と遮断を切り替える弁体が該外針ハブの内部に配された留置針組立体であって、前記弁体には前記内針の針軸方向で貫通する開口部が形成されており、該弁体が前記外針ハブによって径方向に圧縮された状態で該外針ハブの内部に配され、該弁体の径方向の圧縮によって該開口部が縮小されて、縮小された該開口部によって該弁体を貫通する排気孔が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、弁体に排気孔が形成されていることにより、外針ハブにおける弁体よりも遠位の内部領域と近位の内部領域が排気孔によって連通されている。それゆえ、外針ハブへ血液等が導入される際に、外針ハブにおける弁体よりも遠位の領域内の空気が、排気孔を通じて近位の領域へ排出されて、弁体よりも遠位の内部領域を血液等で満たすことが可能になる。その結果、外針ハブの内部を通じて輸液や薬液等を血管へ投与する際に、空気の混入が抑えられて、安全性の向上が図られる。
排気孔は、弁体に形成された開口部が弁体の圧縮による変形によって縮小されて形成される。それゆえ、弁体に形成可能な最小の開口部よりも更に小さい排気孔を形成することが可能であり、排気孔を通じた血液の漏出を抑えることができる。しかも、開口部の縮小は、弁体の外針ハブへの装着に際して、弁体が径方向に圧縮されることにより実現される。それゆえ、開口部を縮小するための特別な部品を設けたり、開口部を縮小する作業を特別に行う必要がなく、排気孔を備えた弁体を簡単に得ることができる。
第10の態様は、第9の態様に記載された留置針組立体において、前記開口部は、主開口と、該主開口の内周面に開口して前記内針の針軸方向で前記弁体を貫通する溝状の副開口とを備えており、前記弁体の径方向の圧縮によって該主開口が閉じられて、前記排気孔が該副開口によって構成されるものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、開口部の主開口が弁体の外針ハブへの取付けによる径方向の圧縮によって閉じられることから、より小さな排気孔を得易い。主開口が閉じた状態であっても、主開口の内周面に開口する溝状の副開口によって連通状態の排気孔が確保されることから、排気孔を通じた空気の排出が有効に実現される。副開口が溝状とされていることによって、副開口は貫通孔に比してより小さな断面積で形成可能であり、副開口によって構成される排気孔の孔断面積をより小さくすることができる。
第11の態様は、第9又は第10の態様に記載された留置針組立体において、前記弁体が単体状態で楕円板形状とされており、該弁体が円形断面の前記外針ハブの内部に配されることによって長軸方向で圧縮されて、該弁体の前記開口部が縮小されるものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、弁体の外針ハブへの装着による圧縮方向を特定し易く、開口部の縮小変形態様の安定化が図られることから、一様な排気孔を得易くなる。
第12の態様は、基端側に内針ハブを有する中空の内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針ハブの連通と遮断を切り替える弁体が該外針ハブの内部に配された留置針組立体であって、前記弁体が前記内針の針軸方向で重ね合わされる第1弁部材と第2弁部材を備え、該第1弁部材に第1通孔が形成されていると共に、該第2弁部材に第2通孔が形成されて、それら第1通孔と第2通孔が軸方向視において相互に離れて位置しており、該第1弁部材と該第2弁部材の重ね合わせ面の少なくとも一方には、該第1通孔と該第2通孔にわたって延びる狭窄溝が形成されて、該第1通孔と該第2通孔と該狭窄溝とによって該弁体を貫通する排気孔が構成されていると共に、該狭窄溝の溝断面積が該第1通孔及び該第2通孔の孔断面積よりも小さくされているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、弁体に排気孔が形成されていることにより、外針ハブにおける弁体よりも遠位の内部領域と近位の内部領域が排気孔によって連通されている。それゆえ、外針ハブへ血液等が導入される際に、外針ハブにおける弁体よりも遠位の領域内の空気が、排気孔を通じて近位の領域へ排出されて、弁体よりも遠位の内部領域を血液等で満たすことが可能になる。その結果、外針ハブの内部を通じて輸液や薬液等を血管へ投与する際に、空気の混入が抑えられて、安全性の向上が図られる。
第1弁部材と第2弁部材の重ね合わせ面間を延びる狭窄溝の溝断面積や最小幅寸法によって、空気の通過を許容し、血液の通過を制限するように、排気孔の流動抵抗を調節することができる。
本発明によれば、外針ハブの内部における弁体よりも遠位に空気が残留し難くすることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明の第1実施形態としての留置針組立体10が示されている。留置針組立体10は、内針ユニット12を構成する内針14が、留置針16を構成する外針18に引抜可能に挿通されて、内針ユニット12と留置針16が組み合わされた構造を有している。以下の説明において、原則として、上下方向とは図1中の上下方向を、左右方向とは図1の紙面直交方向を、それぞれ言う。また、先端側とは遠位となる図1中の左方を、基端側とは近位となる図1中の右方を、それぞれ言う。
内針ユニット12は、内針14に内針ハブ20が固定された構造を備えている。内針14は、金属等によって形成された硬質の部材であって、本実施形態では内腔21を備える中空針とされている。内針14の先端は、先端面が傾斜形状に切削されており、図1,図2に示すように、鋭利な針先22が形成されている。
内針14の先端部分には、図1に示すように、内腔21を部分的に狭窄する狭窄部24が設けられている。本実施形態の狭窄部24は、中空とされた内針14が針軸方向で部分的に押し潰されて形成された潰し部とされている。また、本実施形態の狭窄部24は、内針14の内面が上下方向において押し当てられており、内針14の内腔21が狭窄部24によって血液が通過しないように塞がれている。しかし、狭窄部24は、内腔21を孔断面積が小さくするように狭窄して、血液の通過を制限すればよく、必ずしも内腔21を血液が通過しないように遮断する必要はない。狭窄部24は、内針14の内腔21を狭窄していれば構造が限定されるものではなく、例えば、内腔21に別体の栓部材を配することによって、栓部材で狭窄部を構成してもよい。
内針14の先端部分には、図2に示すように、外周面に突出する一対の係止突起26,26が形成されている。プロテクタ係止部としての係止突起26は、左右方向(図2中の上下方向)に突出している。本実施形態では、内針14を上下方向に押し潰して狭窄部24を形成する際に、押し潰された内針14が狭窄部24において左右方向の両側へ膨出することにより、係止突起26,26が形成されている。もっとも、係止突起26は、狭窄部24とは無関係に設けることも可能であり、例えば、内針14の中空部分の左右両端部を内針14の内腔21が狭窄されない程度に上下に押し潰すことによって形成することもできる。
内針14には、遠位の流出用開口28と近位の還流用開口30とが形成されている。流出用開口28と還流用開口30は、内針14の周壁を上部において貫通して形成されている。流出用開口28と還流用開口30は、内針14の内腔21と内腔21に対する外部とを連通している。本実施形態の流出用開口28と還流用開口30は、互いに略同じ開口形状や大きさを有しているが、例えば、流出用開口28と還流用開口30の形状や大きさを相互に異ならせることもできる。流出用開口28と還流用開口30は、好適には、それぞれ内針14の周方向の半周以上にわたって開口しており、本実施形態では内針14の半周にわたって上半部分に開口している。還流用開口30は、流出用開口28よりも近位に離れて配されている。流出用開口28は、内針14の狭窄部24よりも先端側に形成されており、本実施形態では狭窄部24からの距離が針先22からの距離よりも近くされている。還流用開口30は、内針14の狭窄部24よりも基端側に形成されていると共に、後述する内針14の外針18への挿通状態において、後述する弁体70よりも先端側に位置している。還流用開口30は、内針14の外針18への挿通状態において、弁体70からの距離が、外針ハブ42の先端からの距離よりも近くされている。
内針ハブ20は、図1に示すように、ハブ本体32を備えている。ハブ本体32は、先端部分が略矩形筒形状とされ、基端部分が略円筒形状とされている。ハブ本体32の先端部分は、外周面が軸方向に湾曲して軸方向の両端から中央に向けて小径となっており、手指で摘まんで軸方向に移動操作する際に指が軸方向へ滑り難くなっている。ハブ本体32は、先端部分の内周面から突出して基端へ向けて延びる略円筒状の内針保持部34を一体的に備えている。内針保持部34の内周面が内針14の外周面に対して固着されており、ハブ本体32が内針14に固定されている。ハブ本体32の先端には、外周へ向けて突出する鍔状部36が設けられて、ハブ本体32の先端面が後述する外針ハブ42の基端面よりも内径が小さく且つ外径が大きくされている。内針ユニット12において、内針14の流出用開口28と還流用開口30は、何れも内針ハブ20よりも先端側に位置しており、外部へ露出している。
ハブ本体32の基端開口部分には、キャップ部材38が取り付けられている。キャップ部材38は、全体として略円筒形状とされている。キャップ部材38は、小径の先端部分が先端に向けて縮径するテーパ状の外周面を有しており、当該先端部分がハブ本体32の基端開口部分に嵌合されることによって、ハブ本体32に取り付けられている。キャップ部材38の基端開口部分には、通気性フィルタ40が取り付けられており、キャップ部材38の内部の空気が通気性フィルタ40を通じて外部へ排出可能である一方、例えば穿刺時のフラッシュバックによって内針14を通じてキャップ部材38の内部に入った血液は、通気性フィルタ40を通過せず、キャップ部材38の内部から漏出しない。なお、キャップ部材38は、内針14の血管への穿刺時のフラッシュバックを視認し易くするために、透明又は半透明であることが望ましい。
留置針16は、外針18の基端に外針ハブ42が設けられた構造を有している。外針18は、樹脂や金属によって形成された中空針とされている。外針18は、先端部分の外周面が先端へ向けて小径となるテーパ面とされていることが望ましい。外針18の先端の内径寸法は、内針14の外径寸法よりも大きくてもよいし、同じでもよいが、好適には、内針14の外径寸法よりも小さくされ、内針14が外針18に挿通された状態で、外針18の先端が内針14に嵌め合わされて、内針14と外針18がある程度位置決めされる。
外針18の基端部は、筒状とされた外針ハブ42の内周へ挿入されて、外針ハブ42に固定されている。外針ハブ42は、例えば樹脂製の筒状体とされている。本実施形態の外針ハブ42は、先端部分を構成する針固着部材44と、基端部分を構成するルアー連結部材46とが、組み合わされた構造を有している。もっとも、外針ハブ42は、全体が1つの部品で構成されていてもよいし、3つ以上の部品を組み合わせて構成されていてもよい。また、複数の部品を組み合わせて外針ハブ42を構成する場合に、それら部品は非接着で嵌合される等して固定されていてもよいし、接着や溶着などの手段で固着されていてもよい。
針固着部材44は、全体として円筒状とされて、軸方向の途中に基端へ向けて大径となるテーパ部48を備えており、テーパ部48よりも基端側が先端側よりも大径とされている。針固着部材44には、上下方向に貫通する係合孔50,50が形成されており、係合孔50よりも基端側が基端へ向けて拡開するテーパ形状の内周面を備えている。そして、小径とされた針固着部材44の先端部分に外針18が挿入されて、外針18が筒状のピンによって針固着部材44に固定されている。
ルアー連結部材46は、全体として円筒状であって、軸方向の途中に段差が設けられており、当該段差よりも先端側が大径のハブ連結部54とされていると共に、基端側が小径のルアー挿入部56とされている。ハブ連結部54の外周面には、一対の係合爪58,58が設けられており、それら係合爪58,58が針固着部材44に設けられた係合孔50,50の内面に係合されることによって、針固着部材44とルアー連結部材46が連結されて外針ハブ42を構成している。ルアー挿入部56の内周面は、基端へ向けて拡径するルアーテーパーとされている。
外針ハブ42のルアー連結部材46には、押し子60が収容されている。押し子60は、全体として略段付き円筒形状とされており、軸方向に貫通するプロテクタ収容部62を内部に備えている。押し子60は、基端部分が小径の小筒部である入力部64とされ、先端部分が入力部64よりも大径の大筒部である作用部66とされている。入力部64と作用部66は、段差状をなして連続的に一体形成されている。押し子60の内周面形状は、入力部64において後述する針先プロテクタ78の針挿通部80に対応する四角形とされていると共に、作用部66において円形とされている。なお、入力部64の内周面形状は、四角形に限定されるものではないが、好適には、針先プロテクタ78の回転を阻止し得るように、楕円形や多角形など内径寸法が周方向で変化した形状とされる。押し子60は、周壁を貫通するスリット(孔)などが適宜に設けられていてもよい。また、作用部66の内周面形状を左右方向において扁平な形状とすることにより、上下方向の外法寸法が左右方向よりも大きい針先プロテクタ78を、作用部66の内周に形成されたプロテクタ収容部62へスペース効率よく収容することができる。
押し子60は、入力部64がルアー連結部材46のルアー挿入部56に収容され、作用部66がルアー連結部材46のハブ連結部54に収容されている。押し子60は、作用部66の外周面が外針ハブ42のハブ連結部54の内周面に重ね合わされることにより、外針ハブ42に対して軸直角方向で位置決めされている。また、押し子60は、作用部66の外径寸法がルアー挿入部56の内径寸法よりも大きくされており、作用部66の基端面がルアー連結部材46の段差に重ね合わされることにより、外針ハブ42に対して軸方向で位置決めされている。押し子60の基端は、外針ハブ42(ルアー連結部材46)の基端よりも先端側に位置しており、押し子60が外針ハブ42から基端へ突出することなく収容されている。
外針ハブ42の内部における押し子60の先端側には、弁体70が配されている。弁体70は、ゴム状弾性を有する樹脂エラストマーやゴムによって形成されている。弁体70は、略円板形状とされており、外周端部が外針ハブ42を構成する針固着部材44とルアー連結部材46との間で厚さ方向に挟持されることによって、外針ハブ42の内部を塞ぐように配されている。これにより、外針ハブ42の内部が、弁体70よりも先端側の第1領域72と、弁体70よりも基端側の第2領域74とに区分けされている。
弁体70は、図1に示すように、内周部分を貫通するスリット76を備えている。スリット76は、例えば弁体70の中心から放射状に延びており、弁体70を内針14の針軸方向である図1中の左右方向に貫通している。本実施形態のスリット76は、弁体70の中央から外周へ向けて放射状に3方向へ延び出す略Y字状とされているが、例えば、径方向の両側へ延びる直線状や、4方向へ延びる十字状などであってもよい。そして、外針ハブ42の内部は、弁体70のスリット76が開閉されることによって、第1領域72と第2領域74がスリット76を通じて相互に連通された連通状態と、第1領域72と第2領域74が弁体70によって隔てられた遮断状態とに切り替えられる。
押し子60の作用部66の先端外周縁は、図1に示すように、弁体70のスリット76の外周端よりも外周側に位置している。これにより、押し子60は、先端面の少なくとも外周端がスリット76よりも外周に位置している。より好適には、作用部66の先端内周縁がスリット76の外周端よりも外周側に位置しており、作用部66の先端面の全体がスリット76を外周に外れて位置している。押し子60の先端は、外針ハブ42に支持された弁体70に対して当接していてもよいが、本実施形態では弁体70に対して基端へ離れて位置している。
押し子60の内部に設けられたプロテクタ収容部62には、針先プロテクタ78が収容されている。針先プロテクタ78は、例えば、弾性変形可能な金属の板材によって形成されている。針先プロテクタ78は、内針14の針軸方向に対して略直交して広がる針挿通部80を基端に備えている。針挿通部80は、矩形板状とされており、中央には内針14の外形と対応する円形孔82が厚さ方向に貫通して形成されている。円形孔82の直径は、係止突起26,26を外れた部位における内針14の外径寸法よりも大きく、且つ係止突起26,26の形成部位における内針14の外径寸法よりも小さくされている。
針先プロテクタ78は、一対の針先保護部84a,84bを備えている。一対の針先保護部84a,84bは、上下に対向しており、針挿通部80の上下端部から先端へ向けて延び出している。
針先プロテクタ78は、押し子60の内部に収容されている。即ち、針挿通部80と、一対の針先保護部84a,84bの基端部分とが、押し子60の入力部64の先端部分へ挿入されている。また、一対の針先保護部84a,84bの先端部分が、押し子60の作用部66へ挿入されている。針先プロテクタ78の基端部分が四角形の内周断面形状を有して小径とされた入力部64に挿入されていることにより、針先プロテクタ78が押し子60に対して軸直角方向及び周方向で位置決めされており、がたつきや位置ずれが防止されている。また、針先プロテクタ78の先端部分が内部空間の広い作用部66に収容されていることにより、一対の針先保護部84a,84bが相互に離れた初期形状を保った状態で押し子60に収容されている。
内針ユニット12と留置針16は、相互に組み合わされて留置針組立体10を構成する。即ち、内針14は、留置針16に対して基端側から引抜可能に挿入されて、針先22が外針18の先端開口から突出するように留置針16を貫通する。内針ユニット12の内針ハブ20は、外針ハブ42の基端面に対して軸方向で基端側から突き当てられており、それによって内針14の外針18から先端への突出量が規定される。
内針14は、針先プロテクタ78を貫通している。即ち、留置針16に対して基端側から挿入された内針14は、針先プロテクタ78の針挿通部80の円形孔82に挿通され、一対の針先保護部84a,84bの先端部間を先端側へ向けて貫通する。一対の針先保護部84a,84bは内針14に対して上下方向に離れており、内針14の針先プロテクタ78に対する軸方向の移動に際して、内針14と一対の針先保護部84a,84bとの接触による摩擦抵抗を生じることなく、内針14がスムーズに移動可能とされている。また、一対の針先保護部84a,84bが初期形状において内針14の上下幅寸法よりも大きな離隔距離で配置されていることから、内針14を針先プロテクタ78に対して基端側から挿通する際に、一対の針先保護部84a,84b間を押し広げる必要がなく、内針14の挿通作業が容易とされる。
内針14は、弁体70のスリット76に挿通されており、弁体70を針軸方向に貫通している。そして、内針14の流出用開口28は、外針ハブ42よりも先端側で且つ外針18の先端よりも基端側に位置しており、外針18の内腔において開口している。流出用開口28の形成された軸方向位置では、外針18が内針14に対して外周に離れており、流出用開口28が密着した外針18によって塞がれないようになっている。流出用開口28よりも基端側では、外針18が内針14に対して外周に離れている。内針14の還流用開口30は、弁体70よりも遠位である先端側に位置して、外針ハブ42の内部において第1領域72に開口している。還流用開口30は、弁体70からの距離が外針ハブ42の先端からの距離よりも近くされている。本実施形態では、還流用開口30が外針ハブ42のテーパ部48よりも基端側に位置している。
かくの如き構造とされた留置針組立体10は、先ず、内針14と外針18が患者の血管へ穿刺される。内針14が血管へ穿刺されると、内針14の先端開口から内針14の内腔21へ血液が流入する。内腔21へ流入した血液は、内腔21を基端へ向けて流れるが、狭窄部24によって流れが制限されて堰き止められることから、流出用開口28を通じて内腔21から流出し、外針18の内腔へ流入する。外針18の内腔へ入った血液は、内針14と外針18の間を基端側へ向けて流れて、外針ハブ42の内部における第1領域72へ流入する。
血液が第1領域72へ流入するに従って、第1領域72内の空気は、血液によって押し出されて外部へ排出される。即ち、第1領域72内の空気は、還流用開口30を通じて内針14の内腔21へ流入し、内針14の基端開口からキャップ部材38の内部へ排出され、通気性フィルタ40を通過して外部へ排出される。還流用開口30は、空気だけでなく血液も通過可能であり、血液も内針14の内腔21を通じてキャップ部材38の内部へ流入するが、キャップ部材38の基端に設けられた通気性フィルタ40によって、血液の外部への漏出が防止され、空気が外部へ排出される。また、血液が内針14の内腔21へ流入する際に、第1領域72内の空気を巻き込んで内腔21へ導くことも期待できる。
このように、外針ハブ42の内部に設けられた第1領域72の空気が、流出用開口28による外針ハブ42内への血液の導入と、還流用開口30による基端側への排気とによって、外部へ排出されるようになっている。このように、第1領域72を血液で満たすプライミングが有効に実行されることにより、後述する留置針16の使用時に空気の混入が抑えられて、安全性の向上が図られる。
内針14と外針18を血管へ穿刺した後、内針14が外針18から引き抜かれることで、留置針16が血管へ穿刺された状態で留置される。図3に示すように内針14が外針18から抜去されることにより、外針18の先端開口が開放されて、外針ハブ42の第1領域72へ流入する血液の量が増えるが、第1領域72が予め血液で満たされており、第1領域72内の空気が排出されていることから、例えば流量の増加による乱流が発生しても、血液への空気の混入が抑えられる。
外針18から引き抜かれた内針14は、針先22が針先プロテクタ78の一対の針先保護部84a,84bの間まで移動する。そして、内針14の係止突起26,26が、針挿通部80に対して軸方向で係止される。内針14を基端へ向けて更に引き抜くと、針先プロテクタ78が内針14とともに基端側へ移動し、針先プロテクタ78が押し子60の入力部64を通過する。針先プロテクタ78が入力部64を通過する際に、一対の針先保護部84a,84bが押し子60の段差状部分に当接して、一対の針先保護部84a,84bが変形して相互に接近し、相互に係止される。相互に接近した針先保護部84a,84bは、図3に示すように、内針14の針先22の先端側を覆って保護するように位置しており、針先22の先端側への露出が針先プロテクタ78によって防止される。
なお、針先プロテクタ78における一対の針先保護部84a,84bは、相互に離隔した初期位置から押し子60の段差状部分への当接によって相互に接近して閉じた位置に変形することで針先22を覆うようになっていれば良く、例えば、初期位置へ弾性的に保持される一対の針先保護部84a,84bを閉じた位置で係止させることで、初期位置への弾性的な復元を阻止しても良い。好適には、例えば一対の針先保護部84a,84bの基端部分を湾曲断面形状などとしてばね特性を持たせることで、相互に離隔した初期位置と接近して閉じた保護位置との間の境界位置において、それら初期位置と保護位置とに択一的に弾性変形し、初期位置と保護位置との何れか一方に安定して形状保持されるように設定される。尤も、内針14の引抜きに際して閉じた針先プロテクタ78の一対の針先保護部84a,84bを故意に又は意図せずに広げることによる針先再露出を防止するために、一対の針先保護部84a,84bが保護位置へ形状保持される場合でも、一対の針先保護部84a,84bの相互離隔方向への変形を阻止するための係止機構などを設けることが望ましい。
針先プロテクタ78によって針先22を保護された内針14は、外針ハブ42に対して基端側へ引き抜かれて、外針ハブ42から分離する。針先プロテクタ78は、外針ハブ42から分離しても、針先保護部84a,84bが相互に接近した保護位置に保持されて、針先22を保護し続ける。
内針ユニット12から分離した留置針16は、外針18が患者の血管へ穿刺された状態で留置される。留置された留置針16は、例えば、図示しない輸液ラインやコネクタやシリンジなどが、外針ハブ42の基端部へ接続される。外針ハブ42に接続されたコネクタやシリンジの雄ルアーが、外針ハブ42のルアー挿入部56に挿入されて、押し子60の入力部64の基端に押し当てられることにより、入力部64に押し子60を先端側へ移動させる外力が及ぼされて、押し子60が先端へ向けて押し込まれる。そして、押し子60が先端側へ移動することにより、押し子60の作用部66が弁体70に押し当てられる。これにより、弁体70が弾性変形させられて、弁体70のスリット76が押し開かれ、患者の血管内と輸液ラインやシリンジ等とが開放されたスリット76を通じて相互に連通され、留置針16を通じた輸液や投薬が可能となる。
図4,図5には、本発明の第2実施形態としての留置針組立体を構成する弁体90が示されている。弁体90は、例えば、前記第1実施形態の留置針組立体10における弁体70に代えて採用することができる。以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。また、留置針組立体において図中に示されていない部分は、第1実施形態と同様である。
弁体90は、径方向の中央部分を厚さ方向である軸方向に貫通する針挿通孔92を備えている。針挿通孔92は、図5に示すように、内針14に対応する針配置部94と、針配置部94の内周面に開口する複数の凹溝96とによって構成されている。これにより、針挿通孔92は、凹溝96の形成部分において内針14の外径寸法よりも大きな内法寸法を有していると共に、凹溝96を周方向に外れた部分において内針14の外径寸法と略同じ内法寸法を有している。針挿通孔92を構成する凹溝96の形成数や周方向の配置は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、8つの凹溝96が周方向で略等間隔に並んで設けられている。
弁体90の針挿通孔92には、図5に示すように、内針14が挿通される。内針14が挿通されることにより針挿通孔92が内針14によって狭窄されて、針挿通孔92の内周面と内針14の外周面との間には、弁体90を軸方向に貫通する排気孔98が形成されている。排気孔98は、凹溝96の開口が内針14によって覆われることにより、弁体90の内周面と内針14の外周面との間を軸方向に延びて形成されている。凹溝96の溝断面積が針配置部94の孔断面積に対して十分に小さくされており、排気孔98は孔断面積が針挿通孔92に対して十分に小さくされている。排気孔98は、空気の通過が許容され、且つ血液の通過が流動抵抗によって制限されるように、孔形状や孔断面積が設定される。本実施形態では、排気孔98の周方向両側において、内針14の外周面が弁体90の内周面に接しており、針配置部94が内針14によって略塞がれているが、例えば、内針14と弁体90は、凹溝96の形成部分だけでなく、凹溝96を周方向に外れた部分において、相互に離れていてもよい。
このような本実施形態に従う構造とされた弁体90を備える留置針組立体によれば、外針ハブにおける弁体90よりも先端側の第1領域と、外針ハブにおける弁体90よりも基端側の第2領域とが、排気孔98を通じて連通されている。それゆえ、外針が血管に穿刺されて、血液が外針ハブの第1領域へ流入する際に、第1領域内の空気が排気孔98を通じて第2領域へ排出されて、外針ハブの基端開口等から外部へ排出される。これにより、第1領域への空気の残留が低減されて、外針ハブの内部を介して薬液等を血管内へ投与する際に、薬液等に空気が混入するのを抑えることができる。
なお、内針14が弁体90から引き抜かれると、弁体90の中央に形成された針挿通孔92の全体が開放状態とされて、針挿通孔92を通じた第1領域から第2領域への血液の流れが許容される。そこで、血液が外針ハブの基端開口から外部へ漏出する前に雄ルアーを外針ハブに接続すれば、血液の漏出を防ぐことができる。特に、外針を曲げる等して、外針ハブの基端開口が上向きになるようにすれば、外針ハブからの血液の漏出がより効果的に防止される。
本実施形態では、針挿通孔92が内周面に開口する凹溝96を備えており、凹溝96による針挿通孔92の拡径部分において排気孔98が形成される構造を例示したが、例えば、針挿通孔が内針14の外径よりも大径とされており、内針14が針挿通孔に隙間をもって挿通されることにより、当該隙間を利用して排気孔が形成されるようにしてもよい。この場合には、内針14が針挿通孔の中央部分に挿通されて、排気孔が全周にわたって連続的に設けられていてもよいし、内針14が針挿通孔の内周面に周上の一部で接しており、排気孔が内針と針挿通孔の内周面との当接箇所を除く部分に設けられていてもよい。
図6には、本発明の第3実施形態としての留置針組立体を構成する弁体100が示されている。弁体100は、例えば、前記第1実施形態の留置針組立体10における弁体70に代えて採用することができる。弁体100は、楕円板状とされており、図6中の上下方向が長軸方向とされている。弁体100は、中央部分を厚さ方向に貫通する開口部102を備えている。開口部102は、全体として上下方向において扁平とされた略楕円形孔とされており、左右方向が孔断面における長軸方向とされている。開口部102は、楕円形孔である主開口104と、主開口104の内周面に開口して弁体100の厚さ方向に延びる溝状の副開口106,106とを備えている。
副開口106は、略半円形断面を有している。上下方向で対応する位置には、対をなす副開口106,106が形成されており、後述する弁体100の弾性変形によって対をなす副開口106,106の開口同士が付き合わされる位置に配置されている。本実施形態では、図6中の左右方向で相互に離れた3箇所にそれぞれ対をなす副開口106,106が設けられている。
弁体100は、外針ハブ42に装着されている。上下方向が長軸とされた長円板状の弁体100は、円筒形状とされた外針ハブ42の内周面に嵌め合わされることによって、上下方向において大きく圧縮されて、図7に示すように、略円形に弾性変形した状態で外針ハブ42の内部に配される。
弁体100が外針ハブ42への装着によって上下方向で圧縮されることにより、開口部102の主開口104は、上下方向の開口幅寸法が小さくなる。本実施形態では、外針ハブ42へ装着された後の弁体100において、主開口104の内周面が上下方向において接しており、主開口104が閉じている。本実施形態の弁体100では、左右方向に直線的に延びるスリットが、内面が上下方向において接して閉じた主開口104を利用して形成されている。
主開口104の上下方向の開口幅寸法が略0とされることによって、上下方向で対をなす副開口106,106の開口縁部が相互に突き合わされて、それら副開口106,106によって略円形断面の排気孔108が構成される。本実施形態では、3つの排気孔108が左右方向に並んで形成されている。排気孔108は、孔断面積が開口部102の孔断面積よりも小さくされており、空気の通過を許容し、且つ血液の通過を制限するように、孔形状や孔断面積などが設定されている。なお、本実施形態において、中央の排気孔108は、内針の挿通状態において内針によって塞がれて、内針の外針からの引抜きによって開放される。もっとも、中央の排気孔108は、例えば、内針の外径よりも大径とされて、内針の挿通によって狭窄されることで、内針の外周面上において排気孔を形成するようにしてもよい。
このような本実施形態の弁体100によれば、外針ハブ42の内部における弁体100よりも先端側である第1領域内の空気が、弁体100よりも基端側である第2領域へ排気孔108を通じて排出される。それゆえ、第1領域内に空気が残留し難く、薬液等と共に血管へ注入される空気の量を減らすことができて、安全性の向上が図られる。
図6,図7には、弁体100の外周面に開口することなく中間部分に設けられた主開口104を有する開口部102を例示したが、例えば、主開口が弁体100の左右何れかにおいて外周面に開口する横転V字形の溝状とされていてもよい。この場合には、副開口106が主開口の内面に開口して形成され、弁体100の外針ハブへの装着に伴う圧縮によって主開口が閉じることにより、副開口106によって排気孔108が形成される。
図8には、本発明の第4実施形態としての留置針組立体を構成する弁体110が示されている。弁体110は、例えば、前記第1実施形態の留置針組立体10における弁体70に代えて採用することができる。弁体110は、楕円板状とされており、図8中の上下方向が長軸方向とされている。弁体110は、厚さ方向に貫通する一対の開口部112,112を備えている。開口部112は、略円形孔とされており、左右方向の中央において上下方向の両側に設けられている。なお、本実施形態では、左右方向に直線的に延びるスリット76が例示されているが、スリット76の形状や大きさ等は特に限定されない。
弁体110は、外針ハブ42に装着されている。上下方向が長軸とされた長円板状の弁体110は、円筒形状とされた外針ハブ42の内周面に嵌め合わされることによって、上下方向において大きく圧縮されて、図9に示すように、略円形に弾性変形した状態で外針ハブ42の内部に配される。
弁体110が外針ハブ42への装着によって上下方向で圧縮されることにより、開口部112,112は、上下方向の開口幅寸法が小さくなる。図9に示す外針ハブ42へ装着された状態の弁体110において、開口部112,112の内周面が上下方向において離隔しており、開口状態に保持されている。従って、外針ハブ42へ装着された状態の弁体110は、開口部112の上下方向の幅寸法が小さくなって、開口部112が上下に扁平な開口形状となっており、開口部112の孔断面積が小さくなっている。このように、弁体110の外針ハブ42への装着よる弾性変形に伴って縮小変形された開口部112によって、弁体110を貫通する排気孔114が構成されている。外針ハブ42に装着された弁体110において、排気孔114は、空気の通過を許容し、且つ血液の通過を制限するように、孔断面積や孔形状などが設定されている。
このような本実施形態の弁体110によれば、外針ハブ42の内部における弁体110よりも先端側である第1領域内の空気が、弁体110よりも基端側である第2領域へ排気孔114を通じて排出される。それゆえ、第1領域内に空気が残留し難く、薬液等と共に血管へ注入される空気の量を減らすことができて、安全性の向上が図られる。
図10,図11には、本発明の第5実施形態としての留置針組立体を構成する弁体120が示されている。弁体120は、例えば、前記第1実施形態の留置針組立体10における弁体70に代えて採用することができる。弁体120は、軸方向で重ね合わされた第1弁部材122と第2弁部材124によって構成されている。
第1弁部材122は、略円板形状を有する弾性体とされている。第1弁部材122は、上下一対の第1通孔126,126を備えている。第1通孔126は、略円形孔であって、第1弁部材122を厚さ方向に貫通している。第1弁部材122は、上下方向の中央部分において左右方向に延びる直線状の第1スリット128を備えている。
第2弁部材124は、略円板形状を有する弾性体とされている。第2弁部材124は、中央を厚さ方向に貫通する円形の第2通孔130を備えている。第2通孔130は、第1通孔126とは異なる形状や大きさで形成されていてもよいが、第1通孔126と同じ形状や大きさで形成されていてもよい。本実施形態では、第1通孔126と第2通孔130が第1弁部材122及び第2弁部材124の成形時に形成可能な最小の孔とされており、略同じ形状及び大きさとされている。
第2弁部材124には、狭窄溝132が形成されている。狭窄溝132は、第2通孔130の孔断面積よりも小さい溝断面積で上下方向に延びている。狭窄溝132は、第2弁部材124の一方の表面に開口して上下方向に延びている。狭窄溝132は、第2弁部材124の中央を通っており、第2弁部材124の中央を貫通する第2通孔130が狭窄溝132内に開口している。換言すれば、狭窄溝132は、第2弁部材124の一方の表面において、第2通孔130の開口から径方向両側へ直線的に延びるように形成されている。
第2弁部材124には、図11に示すように、第2スリット134が形成されている。第2スリット134は、第2弁部材124の中央を通って上下方向に延びる直線状とされている。第2スリット134の一方の開口は、第2弁部材124の一方の表面において狭窄溝132内に位置している。
第1弁部材122と第2弁部材124は、厚さ方向で重ね合わされて、弁体120を構成する。第1弁部材122と第2弁部材124は、互いに位置決めされていることが望ましく、相互に固着されていてもよいし、図示しない外針ハブ等の別部材によって相互に位置決めされていてもよい。
弁体120において、第1通孔126,126と第2通孔130は、軸方向視で相互に離れた位置に設けられており、軸方向(図11中の左右方向)で直列的に並ぶことがないように配置されている。本実施形態では、中央に位置する第2通孔130に対して、第1通孔126,126が上下に離れた位置に配されている。
第2弁部材124の狭窄溝132は、開口部が第1弁部材122によって覆われている。これにより、第1弁部材122と第2弁部材124の重ね合わせ面間には、上下方向に直線的に延びる狭窄流路136が形成されている。狭窄溝132は、第1通孔126,126と第2通孔130にわたって延びており、狭窄流路136は、上下方向の両端部において第1通孔126,126に連通されていると共に、上下方向の中央部において第2通孔130に連通されている。そして、第1通孔126,126と狭窄流路136と第2通孔130とによって、弁体120を貫通する排気孔138が構成されている。排気孔138は、第1通孔126,126及び第2通孔130によって構成された両端部に比して、狭窄流路136によって構成された中間部の流路断面積が小さくされており、排気孔138の流動抵抗が主として狭窄流路136によって設定されている。排気孔138の流動抵抗は、空気の通過を許容し、且つ血液の通過を制限するように設定されている。
このような本実施形態の弁体120によれば、第1弁部材122と第2弁部材124の間に狭窄溝132によって構成される狭窄流路136が設けられており、排気孔138が狭窄流路136を含んで構成されている。これにより、排気孔138において、第1通孔126や第2通孔130のような単なる貫通孔だけでは実現できない流動抵抗を設定することが可能となり、血液の漏出を抑えながら、外針ハブ内の空気を排出することができる。
なお、第1通孔126及び第2通孔130の形状、数、配置などは、特に限定されるものではなく、適宜に変更され得る。また、狭窄溝132は、第1通孔126と第2通孔130にわたって設けられて、第1弁部材122と第2弁部材124が組み合わされて弁体120を構成する際に、第1通孔126と第2通孔130をつなぐ狭窄流路136を構成すればよく、狭窄溝132の配置や形状なども変更され得る。また、例えば、第1通孔126と第2通孔130が各複数ある場合には、複数の狭窄溝132を設けることも可能であり、その場合には複数の独立した排気孔138が構成され得る。また、3つ以上の弁部材を重ね合わせて弁体を構成してもよく、その場合には、1つの弁部材の片面だけに狭窄溝が形成されていてもよいし、1つの弁部材の両面に狭窄溝が形成されていてもよいし、2つ以上の弁部材の片面又は両面に狭窄溝が形成されていてもよい。
なお、第2~第5実施形態に示された弁体90,100,110,120は、第1実施形態に示された流出用開口28及び還流用開口30による排気構造を備えた内針14と組み合わせて採用してもよいし、排気構造をもたない従来の内針と組み合わせて採用してもよい。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、針先プロテクタを備える留置針組立体を例示したが、針先プロテクタは必須ではない。また、針先プロテクタを設ける場合に、針先プロテクタの構造は特に限定されず、従来公知の構造を含む各種の構造を採用することができる。
前記実施形態に示した押し子60の具体的な形状や押し子60に針先プロテクタが収容される構造などは必須ではなく、例えば、押し子が先細筒形状とされていてもよいし、針先プロテクタが押し子よりも近位で外針ハブに収容されていてもよい。
第1実施形態に示すように、内針14に流出用開口28と還流用開口30とを設ける場合には、それら流出用開口28と還流用開口30との間に狭窄部24を設けることが望ましいが、狭窄部24は必須ではない。狭窄部24は、必ずしも係止突起26,26と同時に形成される潰し部である必要はなく、狭窄部24とは別に係止突起26,26を設けてもよいし、狭窄部24がない場合には係止突起26,26だけを設けることもできる。また、例えば、狭窄部24が設けられ、係止突起26,26が設けられない構造の内針を採用することもできる。