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JP7707936B2 - ハイブリッド車両の制御方法 - Google Patents
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JP7707936B2 - ハイブリッド車両の制御方法 - Google Patents

ハイブリッド車両の制御方法

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Description

本発明はハイブリッド車両の制御方法に関し、特にエンジンと回転電機とを備えるハイブリッド車両の制御方法に関する。
走行中にエンジンを停止又は始動させて走行するハイブリッド車両が知られている。このようなハイブリッド車両では、エンジンの始動要求がある時に、駆動系に設けられたクラッチを係合状態にして回転電機を駆動することによりエンジンをクランキングする始動制御が行われる場合がある。
特許文献1には、エンジンとモータとの間にクラッチが設けられ、機械式ポンプが作動液を吐出するライン圧回路に設けられたコントロールバルブからクラッチの締結圧を供給するようにしたハイブリッド車両であって、モータの駆動によるEV走行時におけるエンジン始動要求時には、第1クラッチを締結させてモータからエンジンへのトルク入力を行ってエンジンを始動させる始動制御を実行する始動制御部と、始動制御部に含まれ、自動変速機への入力トルクである変速機入力トルクを演算し、この変速機入力トルクが、作動液圧に基づいて予め設定された設定入力トルクを越えると、始動制御を実行する始動判定部と、を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の始動制御装置が開示されている。
特許第5888429号公報
ハイブリッド車両の制御においては、エンジンを停止した状態で回転電機のみを駆動力源として走行するEV走行を行うことができるEV走行領域を拡大することが望まれている。例えば、EV走行時に回転電機から出力されるトルクには、停止状態のエンジンを始動できるだけのトルクをさらに出力できるように最大モータトルクが設定される場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、最大モータトルクとエンジンのクランキングに必要なクランキングトルクとが決まるとエンジン始動判定トルク(EV走行領域)が一意に定まってしまうため、最大モータトルクの設定によってはEV走行領域が狭くなってしまうという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、EV走行領域を拡大することが可能なハイブリッド車両の制御方法を提供することを目的とするものである。
一実施の形態にかかるハイブリッド車両の制御方法は、エンジンと回転電機とを備えるハイブリッド車両の制御方法であって、回転電機の回転数と回転電機を駆動するインバータの入力電圧によって定まる基本最大モータトルクを算出するステップと、回転電機の最大モータトルクを一時的に上昇可能な一時アップトルクをエンジンのクランキング前に算出するステップと、基本最大モータトルクに一時アップトルクを加算したモータトルクをエンジンのクランキング時の最大モータトルクに設定するステップと、設定されたクランキング時の最大モータトルクに基づいて、エンジンの始動判定に用いるエンジン始動判定トルクを算出するステップと、を有する。
本発明により、EV走行領域を拡大することが可能なハイブリッド車両の制御方法を提供することができる。
実施の形態1にかかるハイブリッド車両を示す構成図である。 実施の形態1にかかるハイブリッド車両の制御方法を示すフローチャートである。 MTb算出用マップを説明する図である。 対象部品の推定温度及び上限温度を説明するグラフである。 一時アップ可否判定の処理(ステップS20)について詳細を説明するフローチャートである。 MTup算出用テーブルを説明する図である。 実際の最大モータトルクMTmaxを算出する処理(ステップS80)について詳細を説明するフローチャートである。 ハイブリッド車両の他の形態を示す構成図である。
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。図中に示したものは、全体の一部であり、図示しないその他の構成が実際には多く含まれる。さらに、以下の説明において同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照して、本実施形態にかかるハイブリッド車両100のシステム構成を説明する。図1は、実施の形態1にかかるハイブリッド車両を示す構成図である。図1には、ハイブリッド車両100の要部の概略構成を示しており、左側にはEV走行時の状態を示し、右側にはEV走行からHEV走行へ移行する際におけるエンジン始動処理時(クランキング時)の状態を示している。なお、エンジン始動処理は、エンジン1の始動要求がなされてからエンジン1の始動が完了するまでの処理である。
図1に示すハイブリッド車両100は、駆動力源としてエンジン1と回転電機2とを備えたパラレルハイブリッド車両である。ハイブリッド車両100は、エンジン1、第1クラッチK0、回転電機2、第2クラッチWSC、変速機3、及び駆動輪4を備える。エンジン1は、第1クラッチK0を介して回転電機2、第2クラッチWSC、変速機3、及び駆動輪4と接続されている。また、回転電機2は、第2クラッチWSCを介して変速機3、及び駆動輪4と接続されている。
つまり、回転電機2は、エンジン1よりも駆動輪4側に配置されている。そして、第1クラッチK0は、エンジン1と回転電機2とを断接可能であり、第2クラッチWSCは回転電機2と変速機3とを断接可能である。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関により構成されている。エンジン1は、燃料の燃焼エネルギをクランクシャフト1aの回転運動に変換して出力する。エンジン1の出力トルクであるエンジントルクは、第1クラッチK0、回転電機2、第2クラッチWSC、変速機3、及び駆動軸4aを介して駆動輪4に伝達される。
第1クラッチK0は、エンジン1のクランクシャフト1aと回転電機2の回転軸2aとの間に介在しているクラッチである。第1クラッチK0は、例えば湿式多板クラッチであり、係合状態でエンジン1と回転電機2とを接続し、開放状態でエンジン1と回転電機2とを切り離す。
回転電機2は、モータ(電動機)としての機能と、発電機としての機能とを備えている。回転電機2は、ハイブリッド車両100に備えられたインバータを介してハイブリッド車両100に備えられたバッテリと接続されている。回転電機2は、エンジン1に替えて、或いはエンジン1に加えて、回転電機2を駆動するインバータを介してバッテリから供給される電力により走行用の動力を発生する。回転電機2は、エンジン1の動力や駆動輪4側から入力される被駆動力を回生により電力に変換し、インバータを介して電力をバッテリに蓄積する。本実施形態において、回転電機2は、ロータに永久磁石を埋設し、ステータにステータコイルを巻回した同期型のモータジェネレータである。
第2クラッチWSCは、回転電機2と駆動輪4との間に介在するクラッチである。図1に示す第2クラッチWSCは、変速機3の入力軸3a上に設けられ、回転電機2と変速機3との間に介在している。第2クラッチWSCは、例えば発進クラッチとしても機能する湿式多板クラッチであり、係合状態で回転電機2と変速機3とを接続し、開放状態で回転電機2と変速機3とを切り離す。
変速機3は、自動変速機であり、例えば、有段の自動変速機(A/T)である。なお、これに限らず、変速機3は、無段の自動変速機(CVT)等であってもよい。変速機3の出力軸3bは、駆動軸4aを介して駆動輪4と接続されている。なお、変速機3の出力軸3bと駆動軸4aとの間には、差動機構が設けられていることが好ましい。
ハイブリッド車両100には、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御方法を実行可能な電子制御装置(ECU)が搭載されている。ECUは、例えばCPU(Central Processing Unit)、記憶装置、及び入出力インターフェース等を備えたいわゆるマイクロコンピュータを含んで構成される。記憶装置は、作業用メモリとしてのRAM(Random Access Memory)、及び保存用ストレージとしてのROM(Read Only Memory)を含む。保存用ストレージは、書き換え可能な不揮発性メモリ等であってもよい。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行することによりECUが行う各種制御を実行する。
ECUは、エンジン1、第1クラッチK0、回転電機2、第2クラッチWSC、及び変速機3等と接続され、これらを制御することができる。例えば、ECUは、エンジン1の出力制御、回転電機2の駆動制御、変速機3の変速制御、第1クラッチK0及び第2クラッチWSCのトルク容量制御(係合及び開放制御)等を実行するようになっている。
上記のハイブリッド車両100は、駆動形態が異なるEV走行、HEV走行、及びWSC(Wet Start Clutch)走行を選択的に切り替えることができる。EV走行モード(電気自動車走行モード)は、第1クラッチK0の開放状態で回転電機2の動力のみを駆動力源としてハイブリッド車両100を走行させる走行である。HEV走行モード(エンジン使用走行モード)は、第1クラッチK0の係合状態でエンジン1を駆動力源に含みながらハイブリッド車両100を走行させる走行である。WSC走行モード(エンジン使用スリップ走行モード)は、第1クラッチK0の係合状態で第2クラッチWSCを半係合状態とし、エンジン1を駆動力源に含みながらハイブリッド車両100を走行させる走行である。
さらに、HEV走行には、エンジン1のみを駆動力源として用いる走行、エンジン1と回転電機2の双方を駆動力源として用いる走行、及び回転電機2に回生制御によって反力を発生させつつ、エンジン1を駆動力源として用いる走行が含まれる。
第1クラッチK0及び第2クラッチWSCがそれぞれ油圧式のアクチュエータを有するものである場合、ECUは、供給油圧を調節することにより、第1クラッチK0及び第2クラッチWSCのそれぞれについて係合度合い(トルク容量)を制御する。すなわち、第1クラッチK0及び第2クラッチWSCの各トルク容量を変化させることで、第1クラッチK0及び第2クラッチWSCのそれぞれを係合状態、半係合状態(スリップ状態)、及び開放状態のいずれかに制御することができる。
EV走行時、ECUは、第1クラッチK0を開放状態にするとともに、第2クラッチWSCを係合状態にし、この状態で回転電機2にEV走行に必要なモータトルクを出力させる制御を行なう。HEV走行時、ECUは、第1クラッチK0及び第2クラッチWSCを係合状態にし、エンジン1のエンジントルク及び回転電機2のモータトルクを制御して、エンジントルク及びモータトルクを出力させる制御を行う。
EV走行からHEV走行へ移行する際には、ECUによりエンジン1の始動制御が行われる。エンジン1の始動制御においてECUは、第1クラッチK0を介してエンジン1をクランキングするためのクランキングトルクMTcrを回転電機2が出力するようにインバータを制御する処理を行う。そして、第1クラッチK0を介したクランキングによりエンジン1の回転数(エンジン回転数)が所定の回転数に到達すると、ECUは、エンジン1の燃料噴射制御及び点火制御を開始する処理を行う。これにより、エンジン1の始動が完了する。EV走行からHEV走行へ移行する際には、第1クラッチK0を半係合状態としてエンジン1にクランキングトルクMTcrを伝達し、エンジン回転数を徐々に上昇させてエンジン1が始動される。
本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御方法では、エンジン1の始動処理時(クランキング時)に回転電機2から出力可能な最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させる。これにより、EV走行領域を拡大することが可能である。
また、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御方法では、エンジン1の始動に伴って最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させると過熱状態となり得る対象部品の推定温度が、予め設定された対象部品の上限温度を超えると想定される場合には、最大モータトルクMTmaxの一時的な上昇を禁止する。これにより、部品(対象部品)の過熱によって生じ得る部品へのダメージを抑制し、部品を保護することができる。
そこで、図2は、実施の形態1にかかるハイブリッド車両の制御方法を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御方法におけるステップS10~S80の処理がECUにより実行される。
まず、ステップS10において、ECUは、回転電機2の回転数(モータ回転数)と回転電機2を駆動するインバータの入力電圧によって定まる基本最大モータトルクMTbを算出する。基本最大モータトルクMTbは、予め定められたMTb算出用マップを参照して、モータ回転数と入力電圧とから算出することができる。
ここで、図3は、MTb算出用マップを説明する図である。図3に示すMTb算出用マップには、インバータの入力電圧に応じた3種類のMTbカーブを例示している。図3に示す実線は、入力電圧V1である時のモータ回転数と基本最大モータトルクMTbとの関係を示すMTbカーブである。図3に示す一点鎖線は、入力電圧V2である時のモータ回転数と基本最大モータトルクMTbとの関係を示すMTbカーブである。図3に示す二点鎖線は、入力電圧V3である時のモータ回転数と基本最大モータトルクMTbとの関係を示すMTbカーブである。なお、入力電圧V1、V2、V3は、V1<V2<V3である。
MTb算出用マップは、実験や解析等により予め作成される。MTb算出用マップには、任意の入力電圧毎にモータ回転数と基本最大モータトルクMTbとの関係が設定されている。MTb算出用マップに含まれる基本最大モータトルクMTbは、ある程度長い時間(例えば、概ね5分以上)に亘って回転電機2が連続的に出力可能なモータトルクを設定することが好ましい。
MTb算出用マップは。ECUのROM等の記憶手段に記憶されている。ステップS10では、エンジン1の始動要求がなされると、ECUがMTb算出用マップを参照して、現時点のモータ回転数と現時点の入力電圧とから対応する基本最大モータトルクMTbを導出する処理を行う。
ステップS20において、ECUは、エンジンのクランキングにより過熱状態となり得る対象部品について、クランキング中における対象部品の推定温度と予め設定された対象部品の上限温度とを比較することにより最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能であるか否かを判定する処理を行う。ここで、図4を参照して、推定温度及び上限温度について説明する。図4は、対象部品の推定温度及び上限温度を説明するグラフである。
本実施形態では、対象部品が回転電機2を駆動するインバータ及び回転電機2である場合を例に挙げて説明する。ここで、インバータの推定温度及び上限温度として、例えばインバータ冷却水温Twatの推定温度Twat0及び上限温度Twat1や、当該インバータに含まれるインバータ素子の温度(インバータ素子温度Tinv)の推定温度Tinv0及び上限温度Tinv1を用いることができる。回転電機2の推定温度及び上限温度として、例えばステータコイルの温度(ステータコイル温度Tco)の推定温度Tco0及び上限温度Tco1を用いることができる。
図4の上側のグラフは、昇温データの一例として、エンジン始動処理に伴うインバータ素子温度Tinvの経時変化を予測したものを示している。また、図4の下側のグラフは、エンジン始動処理に伴うモータトルクの経時変化を予測したものを示している。
インバータ素子温度Tinvの経時変化を示すグラフ中の実線はEV走行時の実測温度であり、点線はエンジン始動処理開始後の推定温度Tinv0である。モータトルクの経時変化を示すグラフ中の実線は、EV走行時の実測モータトルクであり、点線はエンジン始動処理中に最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させたと仮定した場合のモータトルクの推移を示している。
エンジン1の始動に必要な時間(エンジン始動処理の開始からエンジン1の始動が完了するまでの始動時間)が分かっている場合、エンジン始動中に最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させたと仮定して、EV走行時のインバータ素子温度Tinvの実測温度及びインバータ冷却水温Twatからエンジン始動処理の開始後(エンジン始動処理中及びHEV走行時)のインバータ素子温度Tinvの推移を予測することができる。
図4には、エンジン始動処理の開始時である時点P1からインバータ素子温度Tinvが上昇し、エンジン1の始動が完了することに伴ってHEV走行に切り替わる時点P2で推定温度Tinv0が上限温度Tinv1に到達する例を示している。
同様に、エンジン1の始動に必要な時間が分かっている場合、エンジン始動処理中に最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させたと仮定して、EV走行時のステータコイル温度Tcoの実測温度からエンジン始動処理の開始後のステータコイル温度Tcoの推移を予測することができ、EV走行時のインバータ冷却水温Twatの実測温度からエンジン始動処理の開始後のインバータ冷却水温Twatの推移を予測することができる。
一方、対象部品の上限温度は、例えば、当該対象部品を実装した際の耐熱温度等を考慮して、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させたとしても、エンジン始動処理中に対象部品が過熱状態とならない温度に設定するとよい。本実施形態では、インバータ冷却水温Twat、インバータ素子温度Tinv、及びステータコイル温度Tcoのそれぞれに対して上限温度Twat1、Tinv1、Tco1を設定し、対応する推定温度Twat0、Tinv0、Tco0と比較する場合を例に挙げて、一時アップ可否判定の処理フローを説明する。
そこで、図5は、一時アップ可否判定の処理(ステップS20)について詳細を説明するフローチャートである。図5に示すように、ステップS20において、ECUは、ステップS21~S25の処理を実行する。
ステップS21では、インバータ冷却水温Twatの推定温度Twat0とインバータ冷却水温Twatの上限温度Twat1とを比較し、推定温度Twat0が上限温度Twat1以下であるか否かを判定する。推定温度Twat0が上限温度Twat1以下(Twat0≦Twat1)である場合(ステップS21;YES)、ステップS22に進む。推定温度Twat0が上限温度Twat1を超える(Twat0>Twat1)場合(ステップS21;NO)、ステップS25に進む。
ステップS22では、インバータ素子温度Tinvの推定温度Tinv0とインバータ素子温度Tinvの上限温度Tinv1とを比較し、推定温度Tinv0が上限温度Tinv1以下であるか否かを判定する。推定温度Tinv0が上限温度Tinv1以下(Tinv0≦Tinv1)である場合(ステップS22;YES)、ステップS23に進む。推定温度Tinv0が上限温度Tinv1を超える(Tinv0>Tinv1)場合(ステップS22;NO)、ステップS25に進む。
ステップS23では、ステータコイル温度Tcoの推定温度Tco0とステータコイル温度Tcoの上限温度Tco1とを比較し、推定温度Tco0が上限温度Tco1以下であるか否かを判定する。推定温度Tco0が上限温度Tco1以下(Tco0≦Tco1)である場合(ステップS23;YES)、ステップS24に進む。推定温度Tco0が上限温度Tco1を超える(Tco0>Tco1)場合(ステップS23;NO)、ステップS25に進む。
ステップS21~S23で、各対象部品の推定温度がそれぞれの上限温度以下であることを確認すると、ステップS24では、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能であると判定し、ステップS30に進む。一方、ステップS21~S23で、少なくとも1つの対象部品の推定温度がその上限温度を超えることを確認すると、ステップS25では、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能ではないと判定し、ステップS30に進む。
続いて、ステップS30において、ECUは、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能であると判定した場合(ステップS30;YES)、ステップS40に進み、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能ではないと判定した場合(ステップS30;NO)、ステップS60に進む。
ステップS40において、ECUは、回転電機2の最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能な一時アップトルクMTupをエンジン1のクランキング前に算出する。一時アップトルクMTupは、予め定められたMTup算出用テーブルを参照して、少なくとも1つの対象部品の温度から算出することができる。
例えば、インバータ冷却水温Twatから一時アップトルクMTupを算出する場合を例に挙げて説明する。図6は、MTup算出用テーブルを説明する図である。MTup算出用テーブルは、実験や解析等により予め作成される。MTup算出用テーブルには、任意のインバータ冷却水温Twatと一時アップトルクMTupとの関係が設定されている。MTup算出用テーブルに含まれる一時アップトルクMTupは、エンジン始動処理が実行される間の短時間(例えば、概ね1分間程度)のみ回転電機2が出力可能なモータトルクを設定することが好ましい。
MTup算出用テーブルは、ECUのROM等の記憶手段に記憶されている。ステップS40では、ECUがMTup算出用テーブルを参照して、現時点のインバータ冷却水温Twatから対応する一時アップトルクMTupを導出する処理を行う。
ステップS50において、ECUは、下記式(1)に示す通り、基本最大モータトルクMTbに一時アップトルクMTupを加算したモータトルクをクランキング時の最大モータトルクMTmax1(エンジン始動判定トルクMTstを算出するための一時的に上昇させた最大モータトルクMTmax)として設定する。
MTmax1←MTb+MTup・・・式(1)
そして、ステップS70に進む。
一方、ステップS60において、ECUは、下記式(2)に示す通り、基本最大モータトルクMTbをクランキング時の最大モータトルクMTmax1(エンジン始動判定トルクMTstを算出するための一時的に上昇させていない最大モータトルクMTmax)として設定する。
MTmax1←MTb・・・式(2)
そして、ステップS70に進む。
なお、ステップS50、S60で設定される最大モータトルクMTmax1は、現時点がエンジン始動処理中であるか否かにかかわらず、エンジン始動処理中と仮定した場合の最大モータトルクMTmaxである。そして、ステップS70において、ECUは、ステップS50又はステップS60で設定された最大モータトルクMTmax1に基づいて、エンジン1の始動判定に用いるエンジン始動判定トルクMTstを算出する。
ここで、エンジン始動判定トルクMTstは、EV走行からHEV走行への移行を判定するための閾値である。また、エンジン始動判定トルクMTstは、下記式(3)に示す通り、最大モータトルクMTmax1からクランキングトルクMTcr及びマージントルクMTmarを減算することにより算出することができる。なお、マージントルクMTmarは、エンジン始動処理中に想定される駆動力の変化量等に応じて適宜設定される。
MTst←MTmax1-MTcr-MTmar・・・式(3)
このようにしてエンジン始動判定トルクMTstを定めることにより、エンジン始動時に生じ得る駆動力の落ち込みを抑制し得る。
ステップS80において、ECUは、実際の最大モータトルクMTmaxを算出する。図7は、実際の最大モータトルクMTmaxを算出する処理(ステップS80)について詳細を説明するフローチャートである。図7に示すように、ステップS80において、ECUは、ステップS81~S84の処理を実行する。
ステップS81では、エンジン始動処理中であるか否かを確認する。エンジン始動処理中である場合(ステップS81;YES)、ステップS82に進む。エンジン始動処理中ではない場合(ステップS81;NO)、ステップS84に進む。
ステップS82では、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能であるか否かを確認する。最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能である場合(ステップS82;YES)、ステップS83に進む。最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能ではない場合(ステップS82;NO)、ステップS84に進む。
ステップS83では、基本最大モータトルクMTbに一時アップトルクMTupを加算したモータトルクを実際の最大モータトルクMTmax(一時的に上昇させた実際の最大モータトルクMTmax)として求める。一方、ステップS84では、基本最大モータトルクMTbを実際の最大モータトルクMTmax(一時的に上昇させていない実際の最大モータトルクMTmax)として求める。
以上のステップS10~S80のフローにより、最大モータトルクMTmaxの一時的な上昇の可否をエンジン1のクランキング前に判断し、ハイブリッド車両100の状況に応じてクランキング時の適切な最大モータトルクMTmaxを設定することができる。
さらに、アクセル開度と車速とに基づいて駆動軸4aに出力されるべき要求トルクがエンジン始動判定トルクMTst以上となると、ECUによりエンジン1の始動判定が行われ、第1クラッチK0の係合状態で回転電機2を駆動力源に含むHEV走行に移行する。
以上説明したように、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御方法は、エンジン1と回転電機2とを備えるハイブリッド車両の制御方法であって、回転電機2の回転数と回転電機2を駆動するインバータの入力電圧によって定まる基本最大モータトルクMTbを算出するステップと、回転電機2の最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能な一時アップトルクMTupをエンジン1のクランキング前に算出するステップと、基本最大モータトルクMTbに一時アップトルクMTupを加算したモータトルクをエンジン1のクランキング時の最大モータトルクMTmax1に設定するステップと、設定されたクランキング時の最大モータトルクMTmax1に基づいて、エンジン1の始動判定に用いるエンジン始動判定トルクMTstを算出するステップと、を有する。
本実施形態によれば、クランキング時に、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させ、この一時的に上昇させた最大モータトルクMTmaxに基づいてエンジン始動判定トルクMTstが決定される。そのため、最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇させることなくエンジン始動判定トルクMTstが決定される場合と比べて、エンジン1の始動を遅らせることができる。したがって、エンジン1を停止したEV走行領域を拡大すること可能である。
また、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御方法は、一時アップトルクMTupを算出するステップの前に、エンジン1のクランキングにより過熱状態となり得る対象部品について、エンジン1のクランキング中における対象部品の推定温度と予め設定された対象部品の上限温度とを比較することにより最大モータトルクMTmaxを一時的に上昇可能であるか否かを判定するステップを有し、推定温度が上限温度を超える場合に、最大モータトルクを一時的に上昇可能ではないと判定し、基本最大モータトルクをエンジンのクランキング時の最大モータトルクMTmax1に設定するステップと、設定されたクランキング時の最大モータトルクMTmax1に基づいてエンジン始動判定トルクMTstを算出する。
本実施形態によれば、クランキング中における対象部品の温度の予測に基づいて最大モータトルクMTmaxの設定が決まるため、部品の過熱によって生じ得る部品へのダメージを抑制し、部品を適切に保護することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、第2クラッチWSCを変速機3の入力軸3a上に設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。図8に示すように、ハイブリッド車両100は、第2クラッチWSCが省略された形態であってもよい。図8は、ハイブリッド車両の他の形態を示す構成図である。図8に示すハイブリッド車両100の場合、EV走行及びHEV走行を選択的に切り替えることができる。
1 エンジン
1a クランクシャフト
2 回転電機
2a 回転軸
3 変速機
3a 入力軸
3b 出力軸
4 駆動輪
4a 駆動軸
100 ハイブリッド車両
K0 第1クラッチ
MTb 基本最大モータトルク
MTcr クランキングトルク
MTmar マージントルク
MTmax 最大モータトルク
MTst エンジン始動判定トルク
Mtup 一時アップトルク
WSC 第2クラッチ

Claims (1)

  1. エンジンと回転電機とを備えるハイブリッド車両の制御方法であって、
    前記回転電機の回転数と前記回転電機を駆動するインバータの入力電圧によって定まる基本最大モータトルクを算出するステップと、
    前記回転電機の最大モータトルクを一時的に上昇可能な一時アップトルクを前記エンジンのクランキング前に算出するステップと、
    前記基本最大モータトルクに前記一時アップトルクを加算したモータトルクを前記エンジンのクランキング時の最大モータトルクに設定するステップと、
    設定された前記クランキング時の最大モータトルクに基づいて、前記エンジンの始動判定に用いるエンジン始動判定トルクを算出するステップと、
    を有し、
    前記一時アップトルクを算出するステップの前に、
    前記エンジンのクランキングにより過熱状態となり得る対象部品について、前記エンジンのクランキング中における前記対象部品の推定温度と予め設定された前記対象部品の上限温度とを比較することにより前記最大モータトルクを一時的に上昇可能であるか否かを判定するステップを有し、
    前記推定温度が前記上限温度を超える場合に、前記最大モータトルクを一時的に上昇可能ではないと判定し、前記基本最大モータトルクを前記エンジンのクランキング時の最大モータトルクに設定するステップを有し、
    設定された前記クランキング時の最大モータトルクに基づいてエンジン始動判定トルクを算出する、
    ハイブリッド車両の制御方法。
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