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JP7709837B2 - ナノ複合体粒子、標識物質、免疫学的測定法、免疫学的測定用試薬、アナライトの測定方法、及び、アナライト測定用キット - Google Patents
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JP7709837B2 - ナノ複合体粒子、標識物質、免疫学的測定法、免疫学的測定用試薬、アナライトの測定方法、及び、アナライト測定用キット - Google Patents

ナノ複合体粒子、標識物質、免疫学的測定法、免疫学的測定用試薬、アナライトの測定方法、及び、アナライト測定用キット

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Description

本発明は、例えば免疫学的測定等の用途に好ましく使用可能な新規なナノ複合体粒子、それを利用した標識物質、免疫学的測定法、免疫学的測定用試薬、アナライトの測定方法、及び、アナライト測定用キットに関する。
免疫学的測定法(「イムノアッセイ」ともいう。)は、免疫反応の一つである、抗原-抗体間における特異的な反応を利用し、微量成分を定性的、定量的に分析する方法である。抗原-抗体間反応は感度や反応の選択性が高いため、上記分野で広く用いられている。イムノアッセイは、その測定原理により、様々な測定法がある。例えば、酵素免疫測定法(EIA)、放射性免疫測定法(RIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、ラテックス等の凝集法(LIA、PA)、イムノクロマトグラフィー法(ICA)、赤血球凝集法(HA)、赤血球凝集抑制法(HI)等が挙げられる。なお、イムノアッセイの他には、物理・化学的測定法、生物学的測定法等がある。
イムノアッセイは、抗原及び抗体が反応し複合体を形成した際の変化(抗原、抗体又は複合体の濃度変化)から、抗原又は抗体を定性的又は定量的に検出する。これらを検出する際に、抗体、抗原又は複合体に標識物質を結合させることで、検出感度が増大する。
そのため、標識物質の標識能力は、イムノアッセイにおける検出能力を左右する重要な要素であるといえる。上記に例示したイムノアッセイにおいても、標識物質として、赤血球(HAの場合)、ラテックス粒子(LIAの場合)、蛍光色素(FIAの場合)、放射性元素(RIAの場合)、酵素(EIAの場合)、化学発光物質(CLIAの場合)等が用いられている。
ところで、標識物質として着色した微粒子を用いた場合、特別な分析装置を用いることなく目視により検出を確認することができるため、より簡便な測定ができることが期待される。このような着色した微粒子としては、金属及び金属酸化物のコロイド状粒子、色素で着色したラテックス粒子等が挙げられる(特許文献1、特許文献2等)。しかし、上記コロイド状粒子は、粒子径及び調製条件によって色調が決定されてしまうため、所望の鮮明な濃い色調のものを得難い、つまり視認性が不十分であるという問題がある。
また、上記着色したラテックス粒子は、色素による着色の効果が低く、目視判定性が不十分であるという問題がある。なお、この問題を解消するために色素の着色量を増やそうとすると、色素がラテックスの表面を覆い、ラテックス粒子本来の表面状態が損なわれるため、抗原又は抗体を結合させるのが困難になるという問題があった。また、メンブレンフィルター等のクロマトグラフ媒体の細孔内に詰まったり、ラテックス粒子が非特異凝集を起こしたりして、色素の着色料を増やして濃く着色することが、必ずしも、性能の向上に結び付かない、という問題もあった。
上記標識物質の視認性を向上させるために、標識物質が結合した抗体(標識抗体)と抗原が反応し複合体を形成した後に、これらの標識物質に対しさらに他の金属を修飾させることで標識物質の検出感度を増幅させるイムノクロマトグラフ方法が開示されている。また、金コロイド及び着色ラテックスを併用した例も開示されている(特許文献3)。
しかし、これらの方法では、操作が煩雑であり、安定した増幅が難しい。また、特別な装置が必要である等、測定コストがかかることから、適用可能な用途及び使用環境は限定されると考えられる。
これらの従来技術における課題を解決するものとして、金属ナノ粒子が結合された樹脂粒子が開示されている。
例えば、ポリマー系ラテックス粒子の表面に結合した金ナノ粒子からなる着色ラテックスが開示されている(特許文献4)。
ポリマー系ラテックス粒子の表面に金ナノ粒子を結合させることにより、該金ナノ粒子
自身が着色剤として目視判定性や検出感度の向上に役立つ。また、金ナノ粒子自身が抗原
又は抗体に対する結合性にも優れることから、充分な濃色となる程度にまで金ナノ粒子を
結合させても充分な量の抗原又は抗体を結合させ得るとされている。
また、本出願人は、特定の割合の金属粒子が樹脂粒子の表層部に存在する樹脂-金属複合体を見出し、先に提案した(例えば、特許文献5)。この樹脂-金属複合体は、特に免疫学的測定材料の用途において、耐久性及び視認性に優れ、かつ、特別な装置や作業工程の追加を必要とせずに高感度な判定を可能とするものである。
特開平5-10950号公報 特開平3-206959号公報 特開2011-117906号公報 特開2009-168495号公報 国際公開WO2016/002742
以上より、金属ナノ粒子が結合された樹脂粒子は、視認性に優れ、特別な装置や作業工程の追加も必要としないことから、免疫学的測定用の試薬として期待されるものである。
しかながら、血液等の検体に極めて少ない量しか存在しないが、当該血液を保有する患者の健康に甚大な影響を及ぼすウイルス等の抗原を検出するためには、標識物質単独の視認性の向上に加え、別の技術的アプローチも必要である。
すなわち、発明の目的は、免疫学的測定において、視認性に優れるだけでなく、通常であれば検出限界以下の、血液、尿、唾液、環境水等の検体に極めて少ない量しか存在しない抗原や抗体などのアナライトに対しても、磁気的に濃縮をかけることで検出することが可能なナノ複合体粒子を提供することにあり、例えば免疫学的測定において、高感度な判定を可能とする免疫学的測定用ナノ複合体粒子を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、金属ナノ粒子及び磁性ナノ粒子が、樹脂ナノ粒子に固定化されたナノ複合体粒子によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のナノ複合体粒子は、
樹脂ナノ粒子と、
前記樹脂ナノ粒子よりも相対的に粒子径の小さな、平均粒子径が1~100nmの複数の金属ナノ粒子と、
前記樹脂ナノ粒子よりも相対的に粒子径の小さな、平均粒子径が1~50nmの複数の磁性ナノ粒子と、
を備え、
平均粒子径が50~1100nmであり、
前記金属ナノ粒子及び前記磁性ナノ粒子が、前記樹脂ナノ粒子に固定化されていることを特徴とする。
本発明のナノ複合体粒子は、前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、パラジウム、白金、スズ、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金の粒子であってもよい。
本発明のナノ複合体粒子は、前記磁性ナノ粒子が、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、Fe、Fe、AFe(ここで、AはMn、Co、Ni、Cu又はZnを意味する)、FePt、CoPt、FeNi、またはFeCoであってもよい。
本発明のナノ複合体粒子は、前記樹脂ナノ粒子が、金属イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有するポリマー粒子であってもよい。
本発明のナノ複合体粒子は、前記金属ナノ粒子の中の少なくとも一部の粒子が、前記樹脂ナノ粒子の表層部において三次元的に分布していてもよい。また、前記金属ナノ粒子の60wt%~100wt%が、前記表層部に存在していてもよい。また、前記磁性ナノ粒子が、前記樹脂ナノ粒子及び/又は前記金属ナノ粒子の表面に固定化されていてもよい。
本発明の標識物質は、上記いずれかに記載のナノ複合体粒子を備えたことを特徴とする。また、前記ナノ複合体粒子の表面に、抗原または抗体を吸着させて使用するものであってもよい。
本発明の免疫学的測定法及び免疫学的測定用試薬は、上記の標識物質を用いることを特徴とする。
本発明のアナライトの測定法は、試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するアナライトの測定方法であって、
メンブレン、及び当該メンブレンに前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用い、下記工程(I)~(IV);
工程(I):試料に含まれる前記アナライトと、該アナライトに特異的に結合する抗体を、上記いずれかのナノ複合体粒子で標識した標識抗体と、を接触させて、アナライトと標識抗体とを含む複合体を得る工程、
工程(II):アナライトと標識抗体とを含む複合体を、磁力により回収する工程、
工程(III):前記工程(II)において回収された、前記アナライトと標識抗体とを含む複合体を、前記ラテラルフロー型クロマト用テストストリップの前記判定部にて、捕捉リガンドに接触させる工程、
工程(IV):前記ナノ複合体粒子の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程、
を含む工程を行うことを特徴とする。
本発明のアナライト測定用キットは、ラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用いて、試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するためのアナライト測定用キットであって、
メンブレン、及び当該メンブレンに、前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップと、
前記アナライトに特異的に結合する抗体を、上記いずれかのナノ複合体粒子で標識した標識抗体を含む検出試薬と、を含む。
本発明のナノ複合体粒子は、金属ナノ粒子及び磁性ナノ粒子が、前記樹脂ナノ粒子に固定化しているため、特許文献4及び5に例示される、金属ナノ粒子が結合された樹脂粒子の特長である、視認性に優れ特別な装置や作業工程の追加も必要としない点に加え、通常であれば検出限界以下の、血液、尿、唾液、環境水等の検体に極めて少ない量しか存在しない抗原(抗体)に対しても、抗原-抗体反応を起こした後に磁気的に濃縮をかけることで、検出することが可能となる。そのため、例えば、EIA、RIA、CLIA、FIA、LIA、PA、ICA、HA、HI等の、高感度な判定を可能とする免疫学的測定用標識物質、免疫学的測定用試薬などの目的で好ましく適用できる。
本発明の一実施の形態に係るナノ複合体粒子の断面の構造を示す模式図である。 本発明の一実施の形態に係るラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用いたアナライトの測定方法の概要を示す説明図である。 実施例で用いたラテラルフロー型クロマト用テストストリップの説明図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るナノ複合体粒子の断面模式図である。ナノ複合体粒子100は、樹脂ナノ粒子(以下、単に「樹脂粒子」ともいう。)10と、金属ナノ粒子20と、磁性ナノ粒子70を備えている。ナノ複合体粒子100は、樹脂ナノ粒子10に金属ナノ粒子20が固定化されている。樹脂ナノ粒子10は、金属ナノ粒子20よりも相対的に大きな粒子である。つまり、ナノ複合体粒子100では、相対的に粒子径の大きな樹脂ナノ粒子10に、相対的に粒子径の小さな多数の金属ナノ粒子20が固定されている。図1に示すように、ナノ複合体粒子100全体の粒子径D1と、樹脂ナノ粒子10の粒子径D2と金属ナノ粒子20の粒子径D3との関係は、D1>D2>D3である。
また、ナノ複合体粒子100には、複数の磁性ナノ粒子70が固定化されている。つまり、ナノ複合体粒子100では、樹脂ナノ粒子10及び/又は金属ナノ粒子20に、多数の磁性ナノ粒子70が固定されている。図1に示すように、ナノ複合体粒子100全体の粒子径D1と、樹脂ナノ粒子10の粒子径D2と磁性ナノ粒子70の粒子径D4との関係は、D1>D2>D4である。
なお、図1では、磁性ナノ粒子70の形状を多角形で示し、また、金属ナノ粒子20よりも小さく示しているが、あくまでも説明の便宜のためであり、その形状や大きさは限定されるものではない。また、図1では、樹脂ナノ粒子10及び金属ナノ粒子20の表面に磁性ナノ粒子70が結合している態様を示しているが、あくまでも例示であり、磁性ナノ粒子70の存在状態は限定されるものではなく、例えば樹脂ナノ粒子10の内部に埋包されていてもよい。
ナノ複合体粒子100は、平均粒子径が50~1100nmであり、ナノ複合体粒子100を構成する金属ナノ粒子20は平均粒子径が1~100nmであり、磁性ナノ粒子70は平均粒子径が1~50nmである。ナノ複合体粒子100の平均粒子径が50nm未満の場合、金属ナノ粒子20の担持量が少なくなる傾向があるため、同サイズの金属ナノ粒子より着色が弱くなる傾向にあり、また、磁気濃縮効率が低下する傾向にある。ナノ複合体粒子100の平均粒子径が1100nmを超えると、標識物質又は試薬とした際に、メンブレンフィルター等のクロマトグラフ媒体の細孔内に詰まりやすい傾向や、分散安定性が低下する傾向がある。ナノ複合体粒子100の平均粒子径は、標識物質又は試薬とした際の分散安定性を向上させるとともに、ナノ複合体粒子100を免疫学的測定に用いる場合に高い検出感度を得る観点、さらには高い磁気濃縮効率を得る観点から、好ましい下限は100nm、より好ましくは250nm、さらに好ましくは300nmである。一方、好ましい上限は700nmであり、さらに好ましくは600nmである。ここで、ナノ複合体粒子100の粒子径は、樹脂ナノ粒子10の粒子径に、後述する一部露出粒子40又は表面吸着粒子50の突出部位の長さを加えた値を意味し、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)といった電子顕微鏡法、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法、又は遠心沈降法により測定することができる。
また、金属ナノ粒子20の平均粒子径(つまり、図1における粒子径D3の平均)は、1nm未満の場合や100nmを超える場合は、局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収が発現しにくくなるため感度が低下する傾向がある。
金属ナノ粒子20として金粒子を使用する場合、金粒子の平均粒子径は、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬として高い検出感度を得る観点から、好ましい下限は、1nmであり、より好ましくは3nmである。一方、好ましい上限は、70nmであり、より好ましくは50nmである。
金属ナノ粒子20として白金粒子を使用する場合、白金粒子の平均粒子径は、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬として高い検出感度を得る観点から、好ましい下限は、1nmであり、より好ましくは2nmであり、さらに好ましくは3nmである。一方、好ましい上限は、50nmであり、より好ましくは20nmであり、さらに好ましくは15nmである。
ここで、金属ナノ粒子20の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測長される。
また、磁性ナノ粒子70の平均粒子径は、1nm未満の場合、ナノ複合体粒子100に発現する磁力が弱いため、検体中でアナライト及びナノ複合体粒子100で標識した標識抗体(以下、「標識抗体粒子」という。)を接触し、アナライトと標識抗体粒子とを含む複合体(以下、「アナライト-標識抗体複合体」という。)を形成した後に、アナライト-標識抗体複合体を磁気により回収する効率、つまり磁気濃縮の効率が低下する傾向にある。一方、50nmを超える場合、ナノ複合体粒子100の比重が大きいため、検体中での運動性や拡散性が低く、検体中でのアナライトと標識抗体粒子との接触効率やアナライト-標識抗体複合体を磁気により回収する効率が低下する傾向にある。好ましい下限は、3nmであり、より好ましくは5nmであり、さらに好ましくは7nmである。一方、好ましい上限は、30nmであり、より好ましくは20nmであり、さらに好ましくは15nmである。
ここで、磁性ナノ粒子70の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測長される。
金属ナノ粒子20は、磁性元素(Mn、Fe、Co、Ni)を含有するナノ粒子を含まない(ただし、不可避不純物として粒子が磁性を帯びない程度に微量の磁性元素を含むことは許容される)。つまり、金属ナノ粒子20は、磁性材料を除く金属のナノ粒子である。また、金属ナノ粒子20は、金属ナノ粒子20と樹脂ナノ粒子10とのナノサイズでの複合化のしやすさの観点から、材質が金、銀、銅、パラジウム、白金、スズ、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金の粒子であることが好ましい。これらの金属は、単体もしくは合金等の複合体で使用することが可能である。ここで、例えば金合金としては、金と金以外の金属種からなり、金を10重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上含有する合金を意味する。また、例えば白金合金としては、白金と白金以外の金属種からなり、白金を1重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上含有する合金を意味する。免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬として用いる場合、より好ましくは、視認性に優れ、抗原又は抗体の固定化が容易な金、白金及びパラジウムである。これらは、局在型表面プラズモン共鳴に由来する吸収を発現するため、好ましい。更に好ましくは、金及び白金である。
例えば、金属ナノ粒子20として金粒子を使用した、金-樹脂複合体は、他の金属種の粒子を有する金属-樹脂複合体と比較して、抗体などのリガンドと結合させた状態で凝集を生じにくく、極めて分散性に優れている。さらに、視認性に優れ、抗原又は抗体の固定化が容易である。特に、金粒子の粒子径や金粒子同士の粒子間距離を制御することで、赤色、紫色、青色等、様々な発色を呈する。そのため、金-樹脂複合体をイムノク口マトグラフの標識物質として使用する場合に、様々な色の標識物質を得ることができる。
例えば、金属ナノ粒子20として白金粒子を使用した、白金-樹脂複合体は、他の金属種の粒子を有する金属-樹脂複合体と比較して、抗体などのリガンドと結合させた状態で凝集を生じにくく、極めて分散性に優れている。また、白金粒子は、酸化などの変質に強く、保存安定性にも優れている。さらに、白金粒子は、例えば250nm~900nmまでの範囲の幅広い波長で局在型表面プラズモン共鳴に由来する吸収を発現し、さらに電子遷移による光エネルギー吸収の発現により、黒色に近い強い発色を呈するので、白金-樹脂複合体を標識物質として用いることによって、免疫学的測定において、高い視認性が得られ、アナライトの検出感度も高めることができる。この場合、白金粒子を用いることによって、他の金属種の粒子に比べ、少ない担持量で優れた検出感度が得られる。従って、仮に平均粒子径が同等であれば、白金-樹脂複合体は、他の金属種の粒子を有する樹脂複合体に比べて有意に高い検出感度を示すので好ましい。
金属ナノ粒子20は、単一の金属種のみからなるものでもよいし、当該金属種と他の金属種との合金であってもよい。ここで、単一の金属種のみからなる金属ナノ粒子20の場合、当該金属種以外の不可避不純物が含まれていてもよい。また、他の金属との合金の場合、当該他の金属種は特に制限されないが、例えば、金との合金の場合は、銀、銅、パラジウム、白金、スズ、ロジウム、イリジウムが好ましい。また、白金との合金の場合は、金、銀、銅、パラジウム、スズ、ロジウム、イリジウムが好ましい。
また、磁性ナノ粒子70は、磁性ナノ粒子70と樹脂ナノ粒子10とのナノサイズでの複合化のしやすさ、及び、ナノ複合体粒子100としての磁力の強さの観点から、前記磁性ナノ粒子70が、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、Fe、Fe、AFe(ここで、AはMn、Co、Ni、Cu又はZnを意味する)、FePt、CoPt、FeNi、またはFeCoであることが好ましい。より好ましくは飽和磁束密度が高い軟磁性材料であるFe、FeCoであり、さらに好ましくはFeである。
なお、磁性ナノ粒子70としては、例えば、酸化鉄磁性ナノ粒子(Iron Oxide Nanoparticles、シグマアルドリッチジャパン合同会社)などの市販品を好ましく利用できる。
また、樹脂ナノ粒子10は、その構造や組成は限定しないが、金属イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有するポリマー粒子であることが好ましい。例えば、アニオン性イオンを吸着可能なポリマーが挙げられる。アニオン性イオンを吸着可能なポリマーとして、特に、含窒素ポリマーが好ましい。含窒素ポリマー中の窒素原子は、視認性に優れ、抗原又は抗体の固定化が容易な、金属ナノ粒子20の前駆体である[AuCl、[PtCl2-などのアニオン性イオンを化学吸着しやすいため、好ましい。本実施の形態では、含窒素ポリマー中に吸着した金属イオンを還元し、金属ナノ粒子20を形成する為、生成した金属ナノ粒子20の一部は、後述する内包粒子30又は一部露出粒子40となる。[AuClを使用した場合は金粒子を形成するし、[PtCl2-を使用した場合は白金粒子を形成する。その他、銀、銅、パラジウム、スズ、ロジウム、イリジウムなどアニオン性イオンも使用することができる。
また、アクリル酸重合体のようなカルボン酸基含有ポリマー及びポリスチレンスルホン酸のようなスルホン酸基含有ポリマー(以下、併せて「カチオン性イオンを吸着可能なポリマー」という。)は、含有するカルボン酸基及びスルホン酸基により、Au、Pt2+のようなカチオン性イオンを化学吸着することができるため、好ましい。例えば、化学吸着したAu、Pt2+を還元し、金属ナノ粒子20 (この場合、金粒子や白金粒子)を形成することで、上記含窒素ポリマー粒子と同様な構造を作製することが可能である。その他、銀、銅、パラジウム、スズ、ロジウム、イリジウムなどの金属の前駆体であるカチオン性イオンを使用することができる。
一方、金属イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有する含窒素ポリマー以外の樹脂ナノ粒子10として、例えばポリスチレン等も使用することができる。しかし、この場合、比較的前記金属イオンを樹脂内部に吸着しにくい。その結果、生成した金属ナノ粒子20の大部分は、表面吸着粒子50となる。表面吸着粒子50は、樹脂ナノ粒子10との接触面積が小さいため、樹脂と金属の接着力が小さく、樹脂ナノ粒子10から金属ナノ粒子20が脱離しやすい傾向にある。上記含窒素ポリマーは、主鎖又は側鎖に窒素原子を有する樹脂であり、例えば、ポリアミン、ポリアミド、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイミド、ポリイミダゾール、ポリオキサゾール、ポリピロール、ポリアニリン、メラミン樹脂等がある。好ましくは、ポリ-2-ビニルピリジン、ポリ-3-ビニルピリジン、ポリ-4-ビニルピリジン等のポリアミンである。また、側鎖に窒素原子を有する場合は、例えば、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等幅広く利用することが可能である。また、上記カチオン性イオンを吸着可能なポリマーは、主鎖又は側鎖に、カルボン酸基、スルホン酸基等を有する樹脂であり、例えば、ポリアクリル酸、カルボン酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、セルロース等幅広く利用することができる。
上記含窒素ポリマーなどのアニオン性イオンを吸着可能なポリマー及びカチオン性イオンを吸着可能なポリマーは、公知の重合性モノマーとの共重合体であっても良い。ここで、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、重合体同士が架橋したものが例示される。また、2種類以上のモノマーを共重合させて樹脂ナノ粒子10を形成しても良いし、樹脂ナノ粒子10の表面に存在する官能基にモノマーを反応させ、それを重合活性末端としてさらに重合させても良い。その共重合組成は限定しないが、前記金属イオンを吸着することが可能な置換基を含有するモノマーが10mol%以上であることが好ましい。より好ましくは50mol%以上である。
重合性モノマーとしては、ナノ複合体粒子100の用途に応じて制限なく選択することができる。例えば、樹脂ナノ粒子10の形状、サイズの均一性および分散安定性の向上の用途では、界面活性剤としての特性を有する重合性モノマーを使用することができる。このような重合性モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。また、樹脂ナノ粒子10の機械的強度や形状の安定性の向上の用途では、ジビニルベンゼン、スチレン等の疎水性の重合性モノマーを使用することができる。
また、上記樹脂ナノ粒子10が、エステル結合等の加水分解可能な基を有する場合、これを酸処理やアルカリ処理をすることで、部分的に加水分解を行っても良い。加水分解により、樹脂ナノ粒子10の表面にカルボキシル基等のカチオン性イオンを吸着可能な基が発生し、金属イオンを吸着する効果が得られるので、好ましい。酸としては、公知の酸を使用することができる。加水分解反応の促進の観点から、強酸性の塩酸、硫酸などが好ましい。アルカリとしては、公知のアルカリを使用することができる。加水分解反応の促進の観点から、強アルカリ性の水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などが好ましい。
また、ナノ複合体粒子100は、樹脂ナノ粒子10における金属ナノ粒子20の分散状態は限定しない。例えば、樹脂ナノ粒子10の表面に金属ナノ粒子20が二次元的に分布しても良いし、樹脂ナノ粒子10の内部に金属ナノ粒子20が内包されていても良い。前者の一形態として、樹脂ナノ粒子10の表面に、複数の金属ナノ粒子20が、相互に接触して連続的な膜を形成しても良い。また、後者の一形態として、樹脂ナノ粒子10をシェルとし、金属ナノ粒子20をコアとする、コア-シェル構造を形成しても良い。また、金属ナノ粒子20の一部が樹脂ナノ粒子10の表層部60において三次元的に分布していてもよい。この場合、三次元的に分布した金属ナノ粒子20の一部が部分的に樹脂ナノ粒子10外に露出していてもよく、残りの一部が樹脂ナノ粒子10に内包されていてもよい。具体的には、図1に示すように、金属ナノ粒子20には、樹脂ナノ粒子10に完全に内包された金属ナノ粒子(以下、「内包粒子」30ともいう。)、樹脂ナノ粒子10内に埋包された部位及び樹脂ナノ粒子10外に露出した部位を有する金属ナノ粒子(以下、「一部露出粒子」40ともいう。)及び樹脂ナノ粒子10の表面に吸着している金属ナノ粒子(以下、「表面吸着粒子」50ともいう。)が存在し得る。
例えば、ナノ複合体粒子100を免疫学的測定用標識物質又は免疫学的測定用試薬に使用する場合、樹脂ナノ粒子10の表面又は一部露出粒子40もしくは表面吸着粒子50の表面に、抗原、抗体又はブロッキング剤を固定化して使用する。その際、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50には、前記抗原、抗体又はブロッキング剤が固定化される一方で、内包粒子30には、固定化されにくいと考えられる。しかし、一部露出粒子40、表面吸着粒子50及び内包粒子30のいずれも局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収を発現することから、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50のみならず、内包粒子30も、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の視認性向上に寄与する。さらに、一部露出粒子40及び内包粒子30は、表面吸着粒子50と比較して樹脂ナノ粒子10との接触面積が大きいことに加え、埋包状態によるアンカー効果等が奏されるため、物理的吸着力が強く、樹脂ナノ粒子10から脱離しにくい。また、一部露出粒子40もしくは表面吸着粒子50に吸着した抗原、抗体又はブロッキング剤は、金属と配位結合するため、脱離しにくい。そのため、ナノ複合体粒子100を使用した免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の耐久性、安定性を優れたものにすることができる。
ナノ複合体粒子100において、内包粒子30は、その表面の全てが、樹脂ナノ粒子10を構成する樹脂に覆われているものである。また、一部露出粒子40は、その表面積の5%以上100%未満が、樹脂ナノ粒子10を構成する樹脂に覆われているものである。免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の耐久性の観点から、その下限は、表面積の20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。また、表面吸着粒子50は、その表面積の0%を超えて5%未満が、樹脂ナノ粒子10を構成する樹脂に覆われているものである。
また、ナノ複合体粒子100への金属ナノ粒子20(内包粒子30、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50の合計)の担持量は、ナノ複合体粒子100に対して、3~80wt%であることが好ましい。この範囲であれば、ナノ複合体粒子100は、標識物質としての視認性、目視判定性及び検出感度に優れる。金属ナノ粒子20の担持量が3wt%未満では、抗体又は抗原の固定化量が少なくなり、検出感度が低下する傾向がある。一方、金属ナノ粒子20の担持量が80wt%を超えると、金属ナノ粒子20の粒子径が著しく増大し、金属ナノ粒子20による光吸収特性が低下する傾向にある。金属ナノ粒子20の担持量は、より好ましい下限値は10wt%、さらに好ましくは15wt%である。一方、より好ましい上限値は70wt%、さらに好ましくは60wt%である。
また、ナノ複合体粒子100への磁性ナノ粒子70の担持量は、ナノ複合体粒子100に対して、1~50wt%であることが好ましい。この範囲であれば、ナノ複合体粒子100は、磁力の強さ及び検体中での運動性や拡散性のバランスに優れる。つまり、磁性ナノ粒子70の担持量が1wt%未満では、ナノ複合体粒子100の磁力が弱いため、アナライト-標識抗体複合体を形成した後に、アナライト-標識抗体複合体を磁気により回収する効率、つまり磁気濃縮の効率が低下する傾向にある。一方、50wt%を超える場合、ナノ複合体粒子100の比重が大きいため、検体中での運動性や拡散性が低く、検体中でのアナライトと標識抗体粒子との接触効率やアナライト-標識抗体複合体を磁気により回収する効率が低下する傾向にある。また、例えば、テストストリップを用いて行われるアナライトの測定において、アナライト-標識抗体複合体の展開速度が低下し測定の効率が悪くなる傾向にある。金属ナノ粒子20の担持量は、より好ましい下限値は5wt%、さらに好ましくは10wt%である。一方、より好ましい上限値は40wt%、さらに好ましくは30wt%である。
また、金属ナノ粒子20の10~90wt%が、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50であることが好ましい。この範囲であれば、金属ナノ粒子20上への抗体又は抗原の固定化量が充分確保できるため、標識物質としての感度が高い。一部露出粒子40及び表面吸着粒子50が占める割合のより好ましい下限値は20wt%であり、より好ましい上限値は80wt%である。
また、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の耐久性の観点から、表面吸着粒子50が20wt%以下であることが好ましい。
また、ナノ複合体粒子100を免疫学的測定に使用する場合に、優れた検出感度を得るためには、金属ナノ粒子20の60~100wt%が表層部60に存在することが好ましい。より好ましい下限は75wt%であり、さらに好ましくは85wt%である。
また、表層部60に存在する金属ナノ粒子20の5~90wt%が、一部露出粒子40又は表面吸着粒子50であることが、金属ナノ粒子20上への抗体又は抗原の固定化量が充分確保できるため、標識物質としての感度が高くなり好ましい。換言すれば、表層部60に存在する金属ナノ粒子20の10~95wt%が内包粒子30であることがよい。
ここで、前記「表層部」とは、ナノ複合体粒子100の最も外側の位置(つまり、一部露出粒子40又は表面吸着粒子50の突出端部)を基準にして、樹脂ナノ粒子10の表面から、深さ方向に粒子半径の50%の範囲、より好ましくは40%の範囲を意味する。また、前記「三次元的に分布」とは、金属ナノ粒子20が、樹脂ナノ粒子10の面方向だけでなく、深さ方向にも分散されていることを意味する。上記のとおり、内包粒子30も局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収を発現することから、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50のみならず、内包粒子30も、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の視認性向上に寄与する。このような視認性向上という観点では、ナノ複合体粒子100は、内包粒子30が、樹脂ナノ粒子10の表面から深さ方向に一定の範囲内に集中して分布し、樹脂ナノ粒子10の中心付近には内包粒子30が実質的に存在しないことが好ましい。より具体的には、内包粒子30による局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収を効果的に発現させるためには、例えば、樹脂ナノ粒子10の粒子径D2が800nmであるとき、樹脂ナノ粒子10の表面から深さ方向に例えば0~200nmの範囲内に内包粒子30の70wt%以上、好ましくは80wt%以上、より好ましくは90~100wt%が、存在していることがよい。特に、内包粒子30の全て(100wt%)が分布する領域(内包粒子分布領域)が、樹脂ナノ粒子10の表面から例えば0~100nmの範囲内である場合は、内包粒子30による局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収の発現を最大化できるので好ましい。また、ナノ複合体粒子100は、内包粒子30を有しなくもよい。例えば、ナノ複合体粒子100において、金属ナノ粒子20のすべてが、樹脂ナノ粒子10の径方向に重なり合うことなく、樹脂ナノ粒子10の表面に固定されていてもよい。この場合、金属ナノ粒子20は、一部露出粒子40と表面吸着粒子50とから構成される。
また、ナノ複合体粒子100は、樹脂ナノ粒子10における磁性ナノ粒子70の分散状態は限定しない。例えば、樹脂ナノ粒子10の表面に磁性ナノ粒子70が二次元的あるいは三次元的に分布しても良いし、樹脂ナノ粒子10の内部に磁性ナノ粒子70が内包されていても良い。
前者の一形態として、樹脂ナノ粒子10の表面に、複数の磁性ナノ粒子70が、相互に接触して連続的な膜を形成しても良い。
後者の一形態として、樹脂ナノ粒子10をシェルとし、磁性ナノ粒子70をコアとする、コア-シェル構造を形成しても良い。また、磁性ナノ粒子70の一部が樹脂ナノ粒子10の内部において三次元的に分布していてもよい。この場合、三次元的に分布した磁性ナノ粒子70の一部が部分的に樹脂ナノ粒子10外に露出していてもよく、残りの一部が樹脂ナノ粒子10に内包されていてもよい。
より好ましくは、保存安定性の観点で、磁性ナノ粒子70が、前記樹脂ナノ粒子10及び金属ナノ粒子20からなる金属-樹脂複合体(つまり、ナノ複合体粒子100から磁性ナノ粒子70を除いたもの)の表面に固定化されていることがよい。
また、樹脂ナノ粒子10の表面に磁性ナノ粒子70を固定化する場合、磁性ナノ粒子70と樹脂ナノ粒子10との接触状態は、特に制限はなく、静電相互作用などによる物理吸着でもよいし、水素結合、配位結合、共有結合等の化学吸着でもよい。好ましくは、結合安定性の観点から、樹脂ナノ粒子10又は金属ナノ粒子20と磁性ナノ粒子70とが公知のリンカー(Linker)との化学結合を介して接触していることがよい。
ここでリンカーは公知の物質又は結合が適用できる。例えば、アミド結合、エーテル結合、飽和又は不飽和の炭素-炭素結合が挙げられる。
[ナノ複合体粒子の製造方法]
ナノ複合体粒子100の製造方法は、特に限定されないが、以下、好ましい方法として、まず、樹脂ナノ粒子10及び金属ナノ粒子20からなる金属-樹脂複合体を作製し、次に、金属-樹脂複合体に磁性ナノ粒子70を固定する方法について説明する。
金属-樹脂複合体は、例えば、乳化重合法により製造した樹脂ナノ粒子10の分散液に、金属イオンを含有する溶液を加えて、金属イオンを樹脂ナノ粒子10に吸着させる(以下、「金属イオン吸着樹脂粒子」という。)。さらに、前記金属イオン吸着樹脂粒子を還元剤溶液中に加えることで、金属イオンを還元して金属ナノ粒子20を生成させ、金属-樹脂複合体を得ることができる。
例えば、金属ナノ粒子20として金粒子を生成させる場合は、金イオンを含有する溶液としては、塩化金酸(HAuCl)水溶液等が挙げられる。また、金イオンの代わりに金錯体を用いても良い。
また、金属ナノ粒子20として白金粒子を生成させる場合は、白金イオンを含有する溶液としては、塩化白金酸(HPtCl)水溶液、塩化白金(PtCl)溶液等が挙げられる。また、白金イオンの代わりに白金錯体を用いても良い。
また、金属イオンを含有する溶液の溶媒として、水の代わりに、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール等の含水アルコール又はアルコール、塩酸、硫酸、硝酸等の酸等を用いても良い。
また、前記溶液に、必要に応じて、例えば、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物、界面活性剤、アルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、これらのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテル、グリセリン等のポリオール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の各種水混和性有機溶媒等の添加剤を添加してもよい。
このような添加剤は、金属イオンの還元反応速度を促進し、また生成される金属ナノ粒子20の大きさを制御するのに有効となる。
また、還元剤は、公知の物を用いることができる。還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、クエン酸、次亜リン酸ナトリウム、抱水ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ホルムアルデヒド、ショ糖、ブドウ糖、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ホスフィン酸ナトリウム、ハイドロキノン、ロッシェル塩等が挙げられる。これらのうち、水素化ホウ素ナトリウム又は、ジメチルアミンボラン、クエン酸が好ましい。
還元剤溶液には、必要に応じて界面活性剤を添加したり、溶液のpHを調整したりすることができる。pH調整は、例えば、ホウ酸やリン酸等の緩衝剤、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを用いて行うことができる。
さらに、還元剤溶液の温度により、金属イオンの還元速度を調整することで、生成する金属ナノ粒子20の粒径をコントロールすることができる。
また、前記金属イオン吸着樹脂粒子中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子20を生成させる際、前記金属イオン吸着樹脂粒子を還元剤溶液に添加しても良いし、還元剤を前記金属イオン吸着樹脂粒子に添加しても良いが、内包粒子30及び一部露出粒子40の生成しやすさの観点から、前者が好ましい。
また、金属-樹脂複合体の、水への分散性を保持するために、例えば、クエン酸、ポリ-L-リシン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコール、DISPERBYK194、DISPERBYK180、DISPERBYK184 (ビッグケミージャパン社製)等の分散剤を添加してもよい。
さらに、ホウ酸やリン酸等の緩衝剤、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリによりpHを調整し、分散性を保持することができる。
次に、作製した金属-樹脂複合体に磁性ナノ粒子70を固定化することによって、ナノ複合体粒子100を作製する。上記の通り、磁性ナノ粒子70と樹脂ナノ粒子10との接触状態は、特に制限はない。以下に、樹脂ナノ粒子10又は金属ナノ粒子20と磁性ナノ粒子70とが公知のリンカー(Linker)との化学結合を介して接触させる方法を例示する。
リンカーとしてアミド結合を用いる場合、金属-樹脂複合体あるいは磁性ナノ粒子70の一方にアミノ基を付与し、他方にカルボキシル基を付与し、それらを反応させてアミド結合を形成させる。
例えば、金属-樹脂複合体をPoly-L-lysine、Poly-D-lysine、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等のカチオン性ポリマーでコーティングして表面にアミノ基を有する金属-樹脂複合体(以下、「アミノ基含有複合粒子」という。)を合成する。一方、磁性ナノ粒子70をクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等のヒドロキシ酸でキャッピングして表面にカルボキシル基を有する磁性ナノ粒子70(以下、「カルボキシル基含有磁性粒子」という。)を合成する。そして、アミノ基含有複合粒子及びカルボキシル基含有磁性粒子を反応させてアミド結合を形成する。ここで、アミド結合の形成は公知の方法を使用することができる。例えば、1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、N’,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドを架橋剤として使用してもよい。
また、磁性ナノ粒子70をアミノアルキルトリアルコキシシラン等の公知のアミノ基含有シランカップリング剤で処理をして、表面をアミノ基で修飾した磁性ナノ粒子70として用いてもよい。また、前記表面をアミノ基で修飾した磁性ナノ粒子70を公知の酸無水物で処理をしてカルボキシル基含有磁性粒子として用いてもよい。
以上の構成を有するナノ複合体粒子100は、例えば、金属ナノ粒子20の表面に抗原又は抗体を吸着させることにより、特に、低濃度域(高感度領域)での目視判定性に優れた免疫学的測定用標識物質又は免疫学的測定用試薬の材料として好ましく適用できる。さらに、磁性ナノ粒子70が、前記樹脂ナノ粒子10及び/又は金属ナノ粒子20に固定化されているため、通常であれば検出限界以下の、血液、尿、唾液、環境水等の検体に極めて少ない量しか存在しない抗原(抗体)に対しても、抗原-抗体反応を起こした後に磁気的に濃縮をかけることで、検出することが可能となる。そのため、例えば、EIA、RIA、CLIA、FIA、LIA、PA、ICA、HA、HI等の、高感度な判定を可能とする免疫学的測定用標識物質、免疫学的測定用試薬などの目的で好ましく適用できる。また、免疫学的測定用標識物質又は免疫学的測定用試薬の形態に特に限定はないが、例えば、ナノ複合体粒子100を水もしくは、pHを調整した緩衝液中に分散させた分散液として使用できる。
上記金属ナノ粒子20の表面に抗原又は抗体を吸着させる方法としては特に限定せず、公知の物理吸着及び化学吸着による方法を用いることができる。金属ナノ粒子20と抗原又は抗体との結合が強固になるため、化学吸着による方法が好ましい。物理吸着と化学吸着を併用しても良い。
物理吸着としては、例えば、抗原又は抗体を含む緩衝液中にナノ複合体粒子100を浸漬させ、インキュベートする方法、緩衝液中にナノ複合体粒子100を浸漬させ、更に抗原又は抗体を加える方法等が挙げられる。
化学吸着としては、抗原又は抗体にSH基を導入し、ナノ複合体粒子100と反応させて金属-SH結合を形成する方法、ナノ複合体粒子100の表面にカルボキシル基を導入した後、スクシンイミジル化し抗原又は抗体のアミノ基と反応させ化学結合を形成する方法等が挙げられる。ナノ複合体粒子100の表面にカルボキシル基を導入する化合物は、例えばアミノ基、SH基、カルボニル、アミド、イミドなどの金属と配位結合性のある官能基とカルボキシル基の両方を有する化合物が適している。金属との配位結合が強固であるという理由から、官能基としてはSH基が好ましく、SH基とカルボキシル基を両末端に持つ化合物としては、例えばメルカプトプロピオン酸、メルカプトウンデカン酸、メルカプトラウリン酸などが挙げられる。また、金属と配位結合性のある官能基とカルボキシル基を一分子内に複数有する高分子化合物は、ナノ複合体粒子100と安定した結合を得られやすい。例えばグルタミン酸やアスパラギン酸のポリペプチドであるポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸は、ナノ複合体粒子100の表面にカルボキシル基を導入するための高分子化合物としてより好ましい。
次に、ナノ複合体粒子100を標識物質として使用したアナライトの測定方法、ラテラルフロー型クロマト用テストストリップ及びアナライト検出・定量キットについて説明する。
[ラテラルフロー型クロマト用テストストリップ]
まず、図2を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るラテラルフロー型クロマト用テストストリップ(以下、単に「テストストリップ」と記すことがある)について説明する。このテストストリップ200は、後述するように、本発明の一実施の形態のアナライトの測定方法に好ましく使用できるものである。
テストストリップ200は、メンブレン110を備えている。メンブレン110には、試料の展開方向において順に、試料添加部120、判定部130及び吸液部140が設けられている。
<メンブレン>
テストストリップ200に使用されるメンブレン110としては、一般的なテストストリップにおいてメンブレン材料として使用されるものを適用可能である。メンブレン110は、例えば毛管現象を示し、試料を添加すると同時に、試料が展開するような微細多孔性物質からなる不活性物質(アナライト160、各種リガンドなどと反応しない物質)で形成されているものである。メンブレン110の具体例としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、セルロース誘導体等で構成される繊維状又は不織繊維状マトリクス、膜、濾紙、ガラス繊維濾紙、布、綿等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはセルロース誘導体やナイロンで構成される膜、濾紙、ガラス繊維濾紙等が用いられ、より好ましくはニトロセルロース膜、混合ニトロセルロースエステル(ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合物)膜、ナイロン膜、濾紙が用いられる。
テストストリップ200は、操作をより簡便にするため、メンブレン110を支持する支持体を備えていることが好ましい。支持体としては、例えばプラスチック等を用いることができる。
<試料添加部>
テストストリップ200は、アナライト160を含む試料を添加するための試料添加部120を有していてもよい。試料添加部120は、テストストリップ200に、アナライト160を含む試料を受け入れるための部位である。試料添加部120は、試料が展開する方向において、判定部130よりも上流側のメンブレン110に形成されていてもよいし、あるいは、例えばセルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、綿布などの材料で構成された試料添加パッドがメンブレン110に設けられて試料添加部120を構成していてもよい。
<判定部>
判定部130には、アナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131が固定されている。捕捉リガンド131は、アナライト160と特異的な結合を形成するものであれば特に制限なく使用でき、例えばアナライト160に対する抗体などを好ましく用いることができる。捕捉リガンド131は、テストストリップ200に試料を提供した場合においても、判定部130から移動することがないように不動化している。捕捉リガンド131は、物理的又は化学的な結合や吸着等によって、メンブレン110に直接的又は間接的に固定されていればよい。
また、判定部130は、標識抗体150とアナライト160とを含む複合体170が、アナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131に接触するような構成である限り特に限定されない。例えば、メンブレン110に、直接、捕捉リガンド131が固定されていてもよいし、あるいは、メンブレン110に固定されたセルロース濾紙、グラスファイバー、不織布等からなるパッドに捕捉リガンド131が固定されていてもよい。
<吸液部>
吸液部140は、例えば、セルロ-ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等の吸水性材料のパッドにより形成される。添加された試料の展開前線(フロントライン)が吸液部140に届いてからの試料の移動速度は、吸液部140の材質、大きさなどにより異なるものとなる。従って、吸液部140の材質、大きさなどの選定により、アナライト160の検出・定量に最適な速度を設定することができる。なお、吸液部140は任意の構成であり、省略してもよい。
テストストリップ200は、必要に応じて、さらに、コントロール部等の任意の部位を含んでいてもよい。
<コントロール部>
図示は省略するが、テストストリップ200は、メンブレン110に、試料が展開する方向において、判定部130よりも下流側に、標識抗体150と特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなるコントロール部が形成されていてもよい。判定部130とともに、コントロール部でも発色強度が測定されることにより、テストストリップ200に供した試料が展開して、反応部及び判定部130に到達し、検査が正常に行われたことを確認することができる。なお、コントロール部は、捕捉リガンド131の代わりに、標識抗体150と特異的に結合する別の種類の捕捉リガンドを用いることを除いては、上述の判定部130と同様にして作製され、同様の構成を採ることができる。
[アナライトの測定方法]
次に、テストストリップ200を用いて行われる本発明の一実施の形態のアナライト160の測定方法について説明する。
本実施の形態のアナライト160の測定方法は、試料中に含まれるアナライト160を検出又は定量するアナライト160の測定方法である。本実施の形態のアナライト160の測定方法は、メンブレン110、及び当該メンブレン110にアナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131が固定されてなる判定部130を含むテストストリップ200を用いる。そして、本実施の形態のアナライト160の測定方法は、下記工程(I)~(IV);
工程(I):試料に含まれる前記アナライト160と、該アナライト160に特異的に結合する抗体をナノ複合体粒子100で標識した標識抗体150と、を接触させる工程、
工程(II):アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を、磁力により回収する工程、
工程(III):工程(II)において回収された、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を、テストストリップ200の判定部130にて捕捉リガンド131に接触させる工程、
工程(IV):ナノ複合体粒子100の局在型表面プラズモン共鳴及び/又は電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程、
を含むことができる。
工程(I):
工程(I)は、試料に含まれるアナライト160を、標識抗体150に接触させる工程である。アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を形成する限り、接触の態様は特に限定されるものではない。例えば、テストストリップ200に試料を供する前に、試料中のアナライト160を標識抗体150に接触させてもよい。なお、前述の通り、本発明のナノ複合体粒子100は、特に通常であれば検出限界以下の、血液、尿、唾液、環境水等の検体に極めて少ない量しか存在しない抗原(抗体)に対しても、抗原-抗体反応を起こした後に磁気的に濃縮をかけることで、検出することが可能となることから、低濃度の抗原(抗体)を有する検体中で、試料中のアナライト160を標識抗体150に接触させることが、好ましい態様である。もちろん、中~高濃度の抗原(抗体)を有する検体中で接触させることができることは、言うまでもない。
工程(II):
工程(II)は、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を、磁力により回収する工程である。例えば、前記抗原(抗体)を有する検体中に公知の磁石を用いて磁力を加えることで、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を検体中で局所的に濃縮し、回収することができる。なお、回収の際に遠心分離法を併用してもよい。
工程(III):
工程(III)は、工程(II)において回収された、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を、テストストリップ200の試料添加部120に供し、テストストリップ200上で展開する。このようにして、テストストリップ200の判定部130において、複合体170を、捕捉リガンド131に接触させる。複合体170を、捕捉リガンド131に接触させると、捕捉リガンド131は、複合体170のアナライト160に特異的に結合する。その結果、複合体170が判定部130において捕捉される。
なお、捕捉リガンド131は、標識抗体150には特異的に結合しないために、アナライト160と未結合の標識抗体150が判定部130に到達した場合、当該アナライト160と未結合の標識抗体150は、判定部130を通過する。ここで、テストストリップ200に、標識抗体150に特異的に結合する別の捕捉リガンドが固定されたコントロール部(図示省略)が形成されている場合、判定部130を通過した標識抗体150は、展開を続け、コントロール部で当該別の捕捉リガンドと結合する。その結果、アナライト160と複合体170を形成していない標識抗体150は、コントロール部で捕捉される。
工程(III)の後、必要に応じて工程(IV)の前に、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝液等の生化学検査で汎用される緩衝液で、テストストリップ200を洗浄する洗浄工程を実施してもよい。洗浄工程によって、判定部130、又は、判定部130及びコントロール部に捕捉されなかった標識抗体150(アナライト160と結合しておらず、複合体170を形成していない標識抗体150)を除去することができる。
洗浄工程を実施することで、工程(IV)において、判定部130、又は、判定部130及びコントロール部におけるナノ複合体粒子100の局在型表面プラズモン共鳴及び/又は電子遷移による光エネルギー吸収による発色を測定する際に、バックグラウンドの発色強度を低減させることができ、シグナル/バックグラウンド比を高め、一層、検出感度や定量性を向上させることができる。
工程(IV):
工程(IV)は、ナノ複合体粒子100の局在型表面プラズモン共鳴及び/又は電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程である。上記工程(III)又は必要に応じて洗浄工程を実施した後、テストストリップ200において、ナノ複合体粒子100の局在型表面プラズモン共鳴及び/又は電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する。
なお、テストストリップ200にコントロール部が形成されている場合、工程(III)によって、コントロール部にて、標識抗体150が別の捕捉リガンドによって捕捉され複合体が形成される。そのため、工程(IV)では、テストストリップ200おいて、判定部130だけでなく、コントロール部においても局在型表面プラズモン共鳴及び/又は電子遷移による光エネルギー吸収による発色を生じさせることができる。このように、判定部130とともにコントロール部においても発色強度を測定することで、テストストリップ200に供した試料が正常に展開して、反応部及び判定部130に到達したか否かを確認できる。
<試料及びアナライト>
本実施の形態のアナライトの測定方法における試料は、アナライト160として、蛋白質などの抗原となり得る物質を含むものである限り特に限定されるものではない。例えば、目的のアナライト160を含む生体試料(すなわち、全血、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、鼻腔又は咽頭拭い液、髄液、羊水、乳頭分泌液、涙、汗、皮膚からの浸出液、組織や細胞及び便からの抽出液等)や食品の抽出液等が挙げられる。必要に応じて、標識抗体150及び捕捉リガンド131とアナライト160との特異的な結合反応が生じやすくするために、上記工程(I)に先立って、試料に含まれるアナライト160を前処理してもよい。ここで、前処理としては、酸、塩基、界面活性剤等の各種化学薬品等を用いた化学的処理や、加熱・撹拌・超音波等を用いた物理的処理が挙げられる。特に、アナライト160がインフルエンザウィルスNP抗原等の、通常は表面に露出していない物質である場合、界面活性剤等による処理を行うことが好ましい。この目的に使用される界面活性剤として、特異的な結合反応、例えば、抗原抗体反応等の捕捉リガンド131とアナライト160との結合反応性を考慮して、非イオン性界面活性剤を用いることができる。
また、前記試料は、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(水、生理食塩水、又は緩衝液等)や水混和有機溶媒で適宜希釈されていてもよい。
前記アナライト160としては、特に制限はなく公知のものが使用でき、アニオン性の性質が強いものや、カチオン性の性質が強いもの、それ以外のものも使用できる。アナライト160としては、例えば、腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモン等のタンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等を含む)、核酸(一本鎖又は二本鎖の、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等を含む)又は核酸を有する物質、糖(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等を含む)又は糖鎖を有する物質、脂質などその他の分子が挙げられ、標識抗体150及び捕捉リガンド131に特異的に結合するものである限り特に限定されないが、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、HER2タンパク、前立腺特異抗原(PSA)、CA19-9、α-フェトプロテイン(AFP)、免疫抑制酸性タンパク(IAP)、CA15-3、CA125、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、便潜血、トロポニンI、トロポニンT、CK-MB、CRP、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、梅毒抗体、インフルエンザウィルスヒトヘモグロビン、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、HBs抗体、HBs抗原、ロタウイルス、アデノウイルス、アルブミン、糖化アルブミン、コロナウイルス(SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、それらの変異株や、それらの構成成分を含む)等が挙げられる。これらの中でも非イオン性界面活性剤により可溶化される抗原が好ましく、ウイルスの核タンパク質のように自己集合体を形成する抗原がより好ましい。
<標識抗体>
標識抗体150は、工程(I)において、試料に含まれるアナライト160に接触させて、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を形成するために使用される。標識抗体150は、アナライト160に特異的に結合する抗体を、樹脂ナノ粒子10に複数の金属ナノ粒子20及び磁性ナノ粒子70が固定化された構造を有するナノ複合体粒子100で標識化してなるものである。ここで、「標識化」とは、工程(I)~(IV)において、標識抗体150からナノ複合体粒子100が脱離しない程度に、抗体にナノ複合体粒子100が直接的に又は間接的に、化学的又は物理的な結合や吸着等で固定されていることを意味する。例えば、標識抗体150は、抗体にナノ複合体粒子100が直接結合してなるものであってもよいし、ナノ複合体粒子100が、任意のリンカー分子を介して結合してなるものや、それぞれが不溶性粒子に固定されてなるものであってもよい。
また、本実施の形態において、「抗体」としては、特に制限はなく公知のものが使用でき、アニオン性の性質が強いものや、カチオン性の性質が強いもの、それ以外のものも使用できる。例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、遺伝子組み換えにより得られた抗体のほか、抗原と結合能を有する抗体断片[例えば、H鎖、L鎖、Fab、F(ab’)2等]などを用いることができる。また、免疫グロブリンとして、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでもよい。抗体の産生動物種としては、ヒトをはじめ、ヒト以外の動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)でもよい。抗体の具体例としては、抗PSA抗体、抗AFP抗体、抗CEA抗体、抗アデノウイルス抗体、抗インフルエンザウィルス抗体、抗HCV抗体、抗コロナウイルス抗体(ここで、コロナウイルスは、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、それらの変異株を含む)、抗IgG抗体、抗ヒトIgE抗体等が挙げられる。なお、抗ウイルス抗体は、その構成成分に対する抗体も含む。
<標識抗体の好ましい作製方法>
次に、標識抗体150の好ましい作製方法を挙げて説明する。標識抗体150の製造は、少なくとも、次の工程A;
工程A)ナノ複合体粒子100を第1のpH条件で抗体と混合して結合させることによって、標識抗体150を得る工程
を含み、好ましくは、さらに工程B;
工程B)標識抗体150を第2のpH条件で処理する工程
を含むことができる。
[工程A]
工程Aでは、ナノ複合体粒子100を第1のpH条件で抗体と混合して標識抗体150を得る。工程Aは、固体状のナノ複合体粒子100を液相中に分散させた状態で抗体と接触させることが好ましい。
第1のpH条件は、ナノ複合体粒子100の分散と抗体の活性を維持したままナノ複合体粒子100と抗体を均一に接触させる観点から、pH2~10の範囲内の条件が好ましく、さらに例えばpH5~9の範囲内がより好ましい。ナノ複合体粒子100と抗体とを結合させるときの条件が、pH2未満では強酸性により抗体が変質し失活する場合があり、pH10を超えるとナノ複合体粒子100と抗体を混合した際に凝集し分散が困難となる。ただし、強酸性により抗体が失活しない場合はpH2未満においても処理が可能である。
工程Aは、第1のpH条件に調整した結合用緩衝液(Binding Buffer)中で行うことが好ましい。例えば、上記pHに調整した結合用緩衝液に所定量のナノ複合体粒子100を混合し、十分に混和する。結合用緩衝液としては、例えば、所定濃度に調整したホウ酸溶液などを用いることができる。結合用緩衝液のpHの調整は、例えば塩酸、水酸化ナトリウムなどを用いて行うことができる。
次に、得られた混合液に、所定量の抗体を添加し、十分に撹拌、混合することによって、標識抗体含有液を得ることができる。このようにして得られた標識抗体含有液は、例えば遠心分離などの固液分離手段により、固形部分として標識抗体150のみを分取できる。
[工程B]
工程Bでは、工程Aで得られた標識抗体150を第2のpH条件で処理することによって、標識抗体150への非特異的な吸着を抑制するブロッキングを行う。この場合、固液分離手段によって分取しておいた標識抗体150を、第2のpH条件で液相中に分散させる。
第2のpH条件は、抗体の活性を保ちかつ標識抗体150の凝集を抑制する観点から、例えばpH2~10の範囲内が好ましく、標識抗体150の非特異的な吸着を抑制する観点から、pH5~9の範囲内がより好ましい。ブロッキングの条件が、pH2未満では強酸性により抗体が変質し失活する場合があり、pH10を超えると標識抗体150が凝集してしまい分散が困難となる。
工程Bは、ブロッキング剤を第2のpHの条件に調整したブロック用緩衝液(Blocking Buffer)を用いて行うことが好ましい。例えば、所定量の標識抗体150に上記pHに調整したブロック用緩衝液を添加し、ブロック用緩衝液中で標識抗体150を均一に分散させる。ブロック用緩衝液としては、例えば、被検出物と結合しない蛋白質の溶液を用いることが好ましい。ブロック用緩衝液に使用可能なブロッキング剤としては、特に制限はなく公知のものが使用でき、アニオン性の性質が強いものや、カチオン性の性質が強いもの、それ以外のものも使用できる。例えば、蛋白質であれば、牛血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、ゼラチン、乳清(ホエイ)などを挙げることができる。より具体的には、所定濃度に調整した牛血清アルブミン溶液などを用いることが好ましい。ブロック用緩衝液のpHの調整は、例えば塩酸、水酸化ナトリウムなどを用いて行うことができる。標識抗体150の分散には、例えば超音波処理などの分散手段を用いることが好ましい。このようにして標識抗体150が均一分散した分散液が得られる。
上記工程Aおよび工程Bにおいて、金属ナノ粒子20として白金ナノ粒子を有するナノ複合体粒子100は、pHによる凝集が起こりにくく、酸性~アルカリ性まで広い範囲のpHで処理が可能である。従って、白金ナノ粒子を用いた本発明のナノ複合体粒子100は、標識抗体の作製条件の制限を受けにくいという利点もある。
以上のようにして、標識抗体150の分散液が得られる。この分散液から、例えば遠心分離などの固液分離手段により、固形部分として標識抗体150のみを分取できる。また、必要に応じて、洗浄処理、保存処理などを実施することができる。以下、洗浄処理、保存処理について説明する。
(洗浄処理)
洗浄処理は、固液分離手段によって分取した標識抗体150に洗浄用緩衝液を添加し、洗浄用緩衝液中で標識抗体150を均一に分散させる。分散には、例えば超音波処理などの分散手段を用いることが好ましい。洗浄用緩衝液としては、特に限定されるものではないが、例えばpH8~9の範囲内に調整した所定濃度の、トリス(Tris)緩衝液、グリシンアミド緩衝液、アルギニン緩衝液などを用いることができる。洗浄用緩衝液のpHの調整は、例えば塩酸、水酸化ナトリウムなどを用いて行うことができる。標識抗体150の洗浄処理は、必要に応じて複数回を繰り返し行うことができる。
(保存処理)
保存処理は、固液分離手段によって分取した標識抗体150に保存用緩衝液を添加し、保存用緩衝液中で標識抗体150を均一に分散させる。分散には、例えば超音波処理などの分散手段を用いることが好ましい。保存用緩衝液としては、例えば、洗浄用緩衝液に、所定濃度の凝集防止剤及び/又は安定剤を添加した溶液などを用いることができる。凝集防止剤としては、例えば、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロースに代表される糖類や、グリセリン、ポリビニルアルコールに代表される多価アルコールなどを用いることができる。安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば牛血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質を用いることができる。このようにして標識抗体150の保存処理を行うことができる。
以上の各工程では、さらに必要に応じて、界面活性剤や、アジ化ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステルなどの防腐剤を用いることができる。
[アナライト測定用キット]
本発明の一実施の形態に係るアナライト測定用キットは、例えばテストストリップ200を用いて、本実施の形態のアナライトの測定方法に基づき、試料中に含まれるアナライト160の検出又は定量するためのキットである。
本実施の形態のアナライト測定用キットは、
メンブレン110と、
メンブレン110に、前記アナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131が固定されてなる判定部130を含むテストストリップ200と、
アナライト160に特異的に結合する抗体をナノ複合体粒子100で標識した標識抗体150を含む検出試薬と、
を含んでいる。本実施の形態のアナライト測定用キットは、必要に応じて、さらにその他の構成要素(例えば展開液など)を含むものであってもよい。
本実施の形態に係るアナライト測定用キットを使用するにあたっては、試料中のアナライト160と検出試薬中の標識抗体150とを接触させて工程(I)及び工程(II)を実施した後、テストストリップ200の試料添加部120に試料を供して、工程(III)、工程(IV)を順次実施してもよい。当然ながら、例えば中~高濃度の抗原(抗体)を有する検体中工程(I)を実施する場合、磁気的な濃縮をかけなくても、公知の遠心分離法等で、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を回収できる場合がある。その場合は、工程(II)を省略することができる。
また、ナノ複合体粒子100の免疫学的測定用標識物質又は免疫学的測定用試薬以外の用途としては、固体触媒、顔料、塗料、導電性材料、電極、センサー素子、記録材料、磁性流体としての特性を活かしたスピーカー及びシール材料、磁気ハイパーサーミア(磁気温熱療法)、MRIの造影剤、ドラッグデリバリーシステム、特定の物質(医薬品、抗原、抗体、レセプター、ハプテン、酵素、タンパク質、ペプチド、糖、核酸、ホルモン、病原体、毒素等)の選択的分離及び捕集、細胞の操作、血液の浄化(病原体の除去)として好ましく適用できる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例、比較例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
<金属-樹脂複合体の吸光度測定>
金属-樹脂複合体の吸光度は、石英ガラス製セル(光路長10mm)に0.01wt%に調製した金属-樹脂複合体分散液(分散媒:水)を入れ、分光光度計(島津製作所社製、UV3600)を用いて、金-樹脂複合体の場合570nm、白金-樹脂複合体の場合400nmの吸光度を測定した。
<固形分濃度測定及び金属担持量の測定>
磁製るつぼに濃度調整前の分散液1gを入れ、70℃、3時間乾燥を行った。乾燥前後の重量を測定し、下記式により固形分濃度を算出した。
固形分濃度(wt%)=[乾燥後の重量(g)/乾燥前の重量(g)]×100
また、上記乾燥処理後のサンプルを、さらに500℃、5時間熱処理を行い、熱処理前後の重量を測定し、下記式よりナノ複合体粒子中の金属および金属酸化物の担持量(M)、又は、金属-樹脂複合体中の金属担持量(M1)をそれぞれ算出した。
担持量M又はM1(wt%)=
[熱処理後の重量(g)/熱処理前の重量(g)]×100
磁性ナノ粒子の担持量(M2)は、上記M及びM1に基づき、下式により算出した。
M2(wt%)=[(M-M1)/(100-M1)]×100
<樹脂ナノ粒子、金属-樹脂複合体粒子又はナノ複合体粒子の平均粒子径の測定>
樹脂ナノ粒子、金属-樹脂複合体粒子又はナノ複合体粒子の分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作成した基板を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM;日立ハイテクノロジーズ社製、SU-9000)により観測した画像から、任意の100個の樹脂ナノ粒子、金属-樹脂複合体粒子又はナノ複合体粒子の面積平均径を測定した。
<金属ナノ粒子の平均粒子径の測定>
ナノ複合体粒子分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作成した基板を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM;日立ハイテクノロジーズ社製、SU-9000)により観測した画像から、任意の100個の金属ナノ粒子の面積平均径を測定し平均粒子径とした。
<磁性ナノ粒子の平均粒子径の測定>
ナノ複合体粒子分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作成した基板を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM;日立ハイテクノロジーズ社製、SU-9000)により観測した画像から、任意の100個の磁性ナノ粒子の面積平均径を測定し平均粒子径とした。
<ゼータ電位測定>
ゼータ電位は、測定装置として、Malvern社製 Zetasizer Nano-ZSを用い、電気泳動光散乱法により測定した。サンプルを純水で0.01wt%に希釈し、塩酸又はNaOH水溶液を用いてpH3~10における各pH値に調整したものを測定サンプルとする。pHメーター(HORIBA LAQUA twin)を用いてpH測定した後、ゼータ電位測定を行うことによって、pH3~10の複数点のpHにおけるゼータ電位の変化の挙動を測定した。pH3~6の酸性領域におけるゼータ電位の最大値とpH6~10のアルカリ性領域におけるゼータ電位の最小値からゼータ電位の変化幅を算出した。また、ゼータ電位が0mVに近い、0mVより大きい任意の1点のゼータ電位、及び、0mVより小さい任意の1点のゼータ電位を結ぶ1次関数を求め、ゼータ電位が0mVとなるpH、すなわちゼロ電荷点(zero point of charge)を算出した。
[作製例1]
<樹脂ナノ粒子の合成>
トリオクチルアンモニウムクロリド(1.50g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(10.00g)を300gの純水に溶解した後、2-ビニルピリジン(48.00g)及びジビニルベンゼン(2.00g)を加え、窒素気流下において30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(0.250g)を滴下し、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径359nmの樹脂ナノ粒子A-1を得た。遠心分離(9000rpm、40分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させた後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂ナノ粒子分散液B-1を得た。
[実施例1]
<白金-樹脂複合体粒子の合成>
B-1(91.5g)に純水54gを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(100g)を加え、30℃で3時間撹拌した。この混合液を24時間静置した後、遠心分離(3000rpm、30分)によりA-1を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度を調整して、5wt%の白金イオン吸着樹脂粒子分散液C-1を得た。
次に、純水1392gにC-1(20.6g)を加え、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(40g)を20分かけて滴下した後、3℃で1時間、室温で3時間撹拌することで、平均粒子径367nmの白金-樹脂複合体粒子D-1を得た。D-1を遠心分離により濃縮した後、透析処理により精製し、濃度を調整して、1wt%の白金-樹脂複合体粒子分散液E-1を得た。E-1中の白金-樹脂複合体粒子F-1の吸光度は1.86であった。また、F-1における白金ナノ粒子の平均粒子径は3.5nm、白金の担持量は35.5wt%であった。
走査型透過電子顕微鏡(STEM)によって観察したところ、この白金-樹脂複合体粒子F-1において、白金ナノ粒子は、樹脂ナノ粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂ナノ粒子内に埋包された部位及び樹脂ナノ粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金ナノ粒子が、樹脂ナノ粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金ナノ粒子は、樹脂ナノ粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲には97%存在した。
<ナノ複合体粒子の合成>
白金-樹脂複合体粒子F-1にε-Poly-L-lysine(PLL)をコーティングして、PLL被覆白金-樹脂複合体を得た。このPLL被覆白金-樹脂複合体は、表面にアミノ基を有する。一方、磁性ナノ粒子である超常磁性Feナノ粒子(平均粒子径約15nm)とクエン酸を反応させ、クエン酸キャップFeナノ粒子(SPIONs)を得た。このクエン酸キャップFeナノ粒子は、表面にカルボキシル基を有する。このPLL被覆白金-樹脂複合体及び、クエン酸キャップFeナノ粒子を、1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を用いたEDCカップリング反応を行い、白金-樹脂複合体粒子F-1にFeナノ粒子がアミド結合により接触し、固定化されたナノ複合体粒子G-1を合成した。ナノ複合体粒子G-1の平均粒子径は380nmであった。また、磁性ナノ粒子の担持量は、10wt%であった。
[実施例2]
<金-樹脂複合体粒子の合成>
B-1(91.5g)に純水255gを加えた後、400mM塩化金酸水溶液(147g)を加え、室温で3時間撹拌した。この混合液を遠心分離(3000rpm、30分)によりA-1を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度を調整して、2.5wt%の金イオン吸着樹脂粒子分散液C-2を得た。
次に、純水1580gにC-2(43.3g)を加え、3℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10.0g)を2分かけて滴下した後、3℃で1時間、室温で3時間撹拌することで、平均粒子径363nmの金-樹脂複合体粒子D-1を得た。D-1を遠心分離により濃縮した後、透析処理により精製し、濃度を調整して、1wt%の金-樹脂複合体粒子分散液E-2を得た。E-2中の金-樹脂複合体粒子F-2の吸光度は、1.51であった。また、F-2における金ナノ粒子の平均粒子径は30nm、金の担持量は48.1wt%であった。
走査型透過電子顕微鏡(STEM)によって観察したところ、この金-樹脂複合体粒子F-2において、金ナノ粒子は、樹脂ナノ粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂ナノ粒子内に埋包された部位及び樹脂ナノ粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金ナノ粒子が、樹脂ナノ粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、金ナノ粒子は、樹脂ナノ粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲には97%存在した。
<ナノ複合体粒子の合成>
金-樹脂複合体粒子F-2にε-Poly-L-lysine(PLL)をコーティングして、PLL被覆金-樹脂複合体を得た。このPLL被覆金-樹脂複合体は、表面にアミノ基を有する。一方、磁性ナノ粒子である超常磁性Feナノ粒子(平均粒子径約15nm)とクエン酸を反応させ、クエン酸キャップFeナノ粒子(SPIONs)を得た。このクエン酸キャップFeナノ粒子は、表面にカルボキシル基を有する。このPLL被覆金-樹脂複合体及び、クエン酸キャップFeナノ粒子を、1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を用いたEDCカップリング反応を行い、金-樹脂複合体粒子F-2にFeナノ粒子がアミド結合により接触し、固定化されたナノ複合体粒子G-2を合成した。ナノ複合体粒子G-2の平均粒子径は380nmであった。また、磁性ナノ粒子の担持量は、11wt%であった。
[試験例]
(標識抗体分散液の調製)
抗CRPモノクローナル抗体(CalBioReagents社 #M353)25μgと100mM ホウ酸水溶液(pH8.5)0.45mLを混合した後、500μgのナノ複合体粒子G-1を含む分散液を添加した。室温で30分間転倒撹拌を行い、ナノ複合体粒子G-1に抗CRPモノクローナル抗体を結合させた。
次に、3000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、沈降堆積物にブロックエース(DSバイオファーマ製)の1wt%水溶液0.5mLを添加し、10秒間超音波分散処理を行った。室温で30分間転倒撹拌を行い、ブロック処理を行った。
次に、3000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、沈降堆積物に0.1wt%未満の界面活性剤を含む50mMのTris水溶液(pH8)0.5mLを添加し、10秒間超音波分散処理を行った。この操作を3回繰り返し、洗浄処理を行った。
次に、3000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、沈降堆積物に0.1wt%未満の界面活性剤および、5wt%のスクロースを含む50mMのTris水溶液(pH8)0.5mLを添加し、10秒間超音波分散処理を行うことによって、抗CRPモノクローナル抗体をナノ複合体粒子G-1で標識した標識抗体分散液を得た。
(イムノクロマトストリップの作製)
幅25mmのニトロセルロース製のメンブレン3の中央に、抗CRPモノクローナル抗体(CalBioReagents社 #M354)を塗布し、判定部としてのテストライン(TL)4を描画した。さらに、テストライン4の3mm下流側に抗マウスIgG抗体を塗布してコントロール部としてのコントロールライン5を描画した。50℃で乾燥した後、図3に示すイムノクロマトストリップの断面図の通りに、支持体1(ラミネートフィルム)、試料添加部2(ガラスファイバー不織布)および吸液部6(コットン不織布)を積層した。最後に、3.5mm幅にカットしてイムノクロマトストリップを作製した。
(展開液の調製)
50mMのトリスヒドロキシメチルアミノメタン、150mMの塩化ナトリウム、1.0wt%のウシ血清アルブミンおよび2.0wt%のセテス20を含有する水溶液(pH7.1)を調製し、展開液とした。
[試験例1]
(イムノクロマト法による評価)
展開液を用いてCRP抗原(BIO-RAD CRP Ag HP抗原)を所定濃度に希釈することにより、CRP陽性コントロールの検体液を調製した。陰性コントロールの検体液には、抗原を非添加の展開液を使用した。検体液50μlに標識抗体分散液3μlを混合し、そのうち35μlをイムノクロマトストリップの試料添加部2に滴下し、試料を展開させた。検体液を滴下してから30分経過後のテストライン4の発色強度を、イムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)を用いて測定した。テストライン4の発色強度について、13mABS以上を陽性(+)、3mABS以上13mABS未満を擬陽性(±)、3mABS未満を陰性(-)と判定した。イムノクロマト法による評価結果を下表に示す。評価の結果、抗CRPモノクローナル抗体をナノ複合体粒子G-1で標識した標識抗体を用いたイムノクロマト法により、CRP抗原濃度1.2ng/mlまで陽性判定可能であった。
イムノクロマト法による評価結果を表1に示した。
[試験例2]
(磁気分離による10倍濃縮)
所定濃度に希釈したCRP陽性コントロールおよび陰性コントロールの検体液10mlに対して、標識抗体分散液60μlを混合して、検体液と標識抗体の混合液を調製した。磁気分離カラムおよびマグネットを用いて磁気分離濃縮を行い、検体液と標識抗体の10倍濃縮液1mlを調製した。
(イムノクロマト法による評価)
10倍濃縮液1mlのうち35μlをイムノクロマトストリップの試料添加部2に滴下し、上記の実施例と同様に評価を行った。磁気分離による10倍濃縮を併用したイムノクロマト法による評価結果を下表に示す。評価の結果、磁気分離による10倍濃縮を併用した場合、CRP抗原濃度0.3ng/mlまで陽性判定可能であった。
磁気分離による10倍濃縮を併用したイムノクロマト法による評価結果を表2に示した。
[試験例3]
(磁気分離による40倍濃縮)
所定濃度に希釈したCRP陽性コントロールおよび陰性コントロールの検体液40mlに対して、標識抗体分散液60μlを混合して、検体液と標識抗体の混合液を調製した。磁気分離カラムおよびマグネットを用いて磁気分離濃縮を行い、検体液と標識抗体の40倍濃縮液1mlを調製した。
(イムノクロマト法による評価)
40倍濃縮液1mlのうち35μlをイムノクロマトストリップの試料添加部2に滴下し、上記の実施例と同様に評価を行った。磁気分離による40倍濃縮を併用したイムノクロマト法による評価結果を下表に示す。評価の結果、磁気分離による40倍濃縮を併用した場合、CRP抗原濃度0.08ng/mlまで陽性判定可能であった。
磁気分離による40倍濃縮を併用したイムノクロマト法による評価結果を表3に示した。
以上の結果から、本発明の樹脂ナノ粒子を用い、抗原-抗体反応の後で磁気的に濃縮をかけることによって、通常であれば検出限界以下の、検体に極めて少ない量しか存在しないアナライトを高感度に検出することが可能となることが確認された。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
1 支持体
2 試料添加部
3 メンブレン
4 テストライン(TL)
5 コントロールライン
6 吸液部
10 樹脂ナノ粒子
20 金属ナノ粒子
30 内包粒子
40 一部露出粒子
50 表面吸着粒子
60 表層部
70 磁性ナノ粒子
100 ナノ複合体粒子
110 メンブレン
120 試料添加部
130 判定部
131 捕捉リガンド
140 吸液部
150 標識抗体
160 アナライト
170 複合体
200 テストストリップ

Claims (12)

  1. 樹脂ナノ粒子と、
    前記樹脂ナノ粒子よりも相対的に粒子径の小さな、平均粒子径が1~100nmの複数の金属ナノ粒子と、
    前記樹脂ナノ粒子よりも相対的に粒子径の小さな、平均粒子径が1~50nmの複数の磁性ナノ粒子と、
    を備え、
    平均粒子径が50~1100nmであり、
    前記金属ナノ粒子が、前記樹脂ナノ粒子に固定化されているとともに、前記磁性ナノ粒子が、前記樹脂ナノ粒子及び/又は前記金属ナノ粒子の表面に固定化されていることを特徴とする、ナノ複合体粒子。
  2. 前記金属ナノ粒子が、金、銀、銅、パラジウム、白金、スズ、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金の粒子である、請求項1に記載のナノ複合体粒子。
  3. 前記磁性ナノ粒子が、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、Fe、Fe、AFe(ここで、AはMn、Co、Ni、Cu又はZnを意味する)、FePt、CoPt、FeNi、またはFeCoである、請求項1または2に記載のナノ複合体粒子。
  4. 前記樹脂ナノ粒子が、金属イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有するポリマー粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載のナノ複合体粒子。
  5. 前記金属ナノ粒子の中の少なくとも一部の粒子が、前記樹脂ナノ粒子の表層部において三次元的に分布している、請求項1~4のいずれか1項に記載のナノ複合体粒子。
  6. 前記金属ナノ粒子の60wt%~100wt%が、前記表層部に存在する、請求項に記載のナノ複合体粒子。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のナノ複合体粒子を備えたことを特徴とする、標識物質。
  8. 前記ナノ複合体粒子の表面に、抗原または抗体を吸着させて使用するものである、請求項7に記載の標識物質。
  9. 請求項7又は8に記載の標識物質を用いることを特徴とする、免疫学的測定法。
  10. 請求項7又は8に記載の標識物質を用いることを特徴とする、免疫学的測定用試薬。
  11. 試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するアナライトの測定方法であって、
    メンブレン、及び当該メンブレンに前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用い、下記工程(I)~(IV);
    工程(I):試料に含まれる前記アナライトと、該アナライトに特異的に結合する抗体を、請求項1に記載のナノ複合体粒子で標識した標識抗体と、を接触させて、前記アナライトと前記標識抗体とを含む複合体を得る工程、
    工程(II):前記アナライトと前記標識抗体とを含む複合体を、磁力により回収する工程、
    工程(III):前記工程(II)において回収された、前記アナライトと前記標識抗体とを含む複合体を、前記ラテラルフロー型クロマト用テストストリップの前記判定部にて、前記捕捉リガンドに接触させる工程、
    工程(IV):前記ナノ複合体粒子の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程、
    を含む工程を行うことを特徴とするアナライトの測定方法。
  12. ラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用いて、試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するためのアナライト測定用キットであって、
    メンブレン、及び当該メンブレンに、前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップと、
    前記アナライトに特異的に結合する抗体を、請求項1に記載のナノ複合体粒子で標識
    した標識抗体を含む検出試薬と、
    を含むアナライトを検出又は定量するためのアナライト測定用キット。
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