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JP7710028B2 - 不溶性粒子、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キット、標的抗原又は標的抗体の測定方法及び不溶性粒子を製造する方法 - Google Patents
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JP7710028B2 - 不溶性粒子、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キット、標的抗原又は標的抗体の測定方法及び不溶性粒子を製造する方法 - Google Patents

不溶性粒子、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キット、標的抗原又は標的抗体の測定方法及び不溶性粒子を製造する方法

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Description

本発明は、不溶性粒子、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キット、標的抗原又は標的抗体の測定方法及び不溶性粒子を製造する方法に関する。
免疫反応を利用した標的抗原の測定方法として、ラテックスなどの粒状担体を利用する方法がある(例えば特許文献1)。粒状担体と粒状担体に担持された標的抗原を認識する抗体とを有する不溶性粒子は、標的抗原が存在すると、抗原抗体反応を生じる。そして、その特異性及び親和力により、標的抗原を橋渡しにして互いに結合し、不溶性粒子は凝集する。生じた凝集塊の有無及び凝集の程度により、標的抗原の有無及び存在量が測定される。同様に、粒状担体と粒状担体に担持された標的抗体によって認識される抗原とを有する不溶性粒子を利用することで、標的抗体の有無及び存在量が測定される。
抗体又は抗原を粒状担体へ担持させる場合、抗体又は抗原のアミノ基と粒状担体表面のカルボキシ基との間で共有結合を形成させる手法が広く用いられている。抗体又は抗原のN末端アミノ酸残基のα位のアミノ基が、粒状担体表面のカルボキシ基と共有結合を形成するアミノ基となり得る。
特開2017-83440号公報
粒状担体と粒状担体に担持された標的抗原を認識する抗体とを有する不溶性粒子を用いて標的抗原を測定する場合、抗体の抗原結合部位はN末端側に配座しているため、抗体のN末端アミノ酸残基のα位のアミノ基を介して抗体が粒状担体に担持されていると、抗原結合部位と抗原との間の反応が立体的に阻害される場合があり得る。粒状担体と粒状担体に担持された標的抗体によって認識される抗原とを有する不溶性粒子を用いて標的抗体を測定する場合、粒状担体に担持される抗原の密度が高い場合にはその立体障害のために標的抗体との反応性が低くなる場合があり得る。
これらの立体障害の問題点を回避するための手段として、粒状担体に担持される抗体又は抗原の密度の低い不溶性粒子を使用することが考えられる。しかし、そのような不溶性粒子を使用すると、標的抗原又は抗体の測定感度(S/N比)が低下する。したがって、立体障害と測定感度はトレードオフの関係にある。
これらの立体障害の問題点を回避するための別の手段として、粒状担体のカルボキシ基と抗体又は抗原のN末端アミノ酸残基のα位のアミノ基との間にスペーサーを挿入することが考えられる。しかし、スペーサーに対して抗体又は抗原が非特異的に結合する可能性がある。また、抗体及び/又は抗原の種類に応じてスペーサー長の最適化を行う必要があるため汎用性に乏しいという欠点もある。
抗体又は抗原がリシン残基を有する場合は、リシン残基の側鎖(4-アミノブチル基)のアミノ基も、粒状担体表面のカルボキシ基と反応するアミノ基となり得る。N末端アミノ酸残基のα位のアミノ基及びリシン残基の側鎖のアミノ基の一方のアミノ基が保護されていない抗体又は抗原を粒状担体との担持反応に使用すると、粒状担体表面のカルボキシ基と共有結合を形成するアミノ基の位置を制御することができないという問題点が生じる。
本願発明の課題は、粒状担体上に担持されたタンパク質又はペプチドを有し、標的物質と反応する際に立体障害の問題が生じない不溶性粒子を提供することにある。また、本願発明の課題は、タンパク質又はペプチドを粒状担体に担持させる際に、粒状担体のカルボキシ基と共有結合を形成するタンパク質又はペプチドのアミノ基の位置を制御する方法を提供し、その方法により得られる不溶性粒子を提供することにある。
本発明者らは、タンパク質又はペプチドのN末端アミノ酸残基のアミノ基を選択的に保護し、保護されたタンパク質又はペプチドを粒状担体との反応に供することで、タンパク質又はペプチドと粒状担体との結合位置を制御できると考え、本発明を完成するに至った。また、かかる方法により得られる不溶性粒子は標的物質と反応する際に立体障害の問題が生じないと考えられる。
本発明の一側面は、粒状担体と、上記粒状担体に担持されたタンパク質又はペプチドと、を含有する不溶性粒子であって、上記タンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が、該α-アミノ基の求核性及び/又は電子供与性が消失するように保護されている、不溶性粒子である。
本発明の他の一側面は、上記不溶性粒子を含む標的抗原測定用又は標的抗体測定用キットである。
本発明の他の一側面は、上記不溶性粒子を調製するための粒状担体とタンパク質若しくはペプチドとを含む、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キットである。
本発明の他の一側面は、上記不溶性粒子を用いる標的抗原の測定方法である。
本発明の他の一側面は、上記不溶性粒子を用いる標的抗体の測定方法である。
本発明の他の一側面は、上記不溶性粒子を製造する方法である。
本発明によれば、タンパク質又はペプチドを粒状担体に担持させる際に、粒状担体のカルボキシ基と共有結合を形成するタンパク質又はペプチドのアミノ基の位置を制御することができる。また、本発明によれば、粒状担体上に担持されたタンパク質又はペプチドを有し、標的物質と反応する際に立体障害の問題が生じない不溶性粒子を提供することができる。
図1は、実施例1の結果を表すグラフを示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
一実施形態に係る不溶性粒子は、粒状担体と、上記粒状担体に担持されたタンパク質又はペプチドと、を含有し、上記タンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が、該α-アミノ基の求核性及び/又は電子供与性が消失するように保護されている。
粒状担体は、ラテックス粒子、セラミック粒子、アルミナ粒子、シリカ-アルミナ粒子、カーボンブラック粒子等の粒子が挙げられる。これらの粒子の中ではラテックス粒子が好ましい。ラテックスの材質は、例えば、ポリスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、ポリスチレンであることが好ましい。粒状担体の平均粒径は0.05~5μmとすることができる。なお、粒状担体の平均粒径は、動的光散乱法によって測定することができる。本明細書において「平均粒径」とは、動的光散乱法によって得られた体積基準の粒径の分布曲線において、小粒径からの積算値が全体の50%に達した時の粒径(メディアン径)を意味する。
タンパク質又はペプチドは複数のアミノ酸が鎖状に連結した高分子化合物であり、一般的に、構成アミノ酸の数がおよそ50を超える物質はタンパク質と理解され、50個以下である物質はペプチドと理解される。タンパク質又はペプチドを構成するアミノ酸は、アラニン(Ala)、システイン(Cys)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、フェニルアラニン(Phe)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、バリン(Val)、トリプトファン(Trp)及びチロシン(Tyr)の20種類である。アミノ酸はL-アミノ酸でもD-アミノ酸でもよい。
粒状担体に担持されるタンパク質又はペプチドは特に制限されず、不溶性粒子により検出したい標的物質と特異的に結合し得る物質であればよい。例えば、抗原、エピトープを含む抗原断片又はハプテンを担持した粒状担体を含有する不溶性粒子は、抗体又は抗体断片を検出するための試薬として利用することができる。また、例えば、抗体又はパラトープを有する抗体断片を担持した粒状担体を含有する不溶性粒子は、抗原、エピトープを含む抗原断片又はハプテンを検出するための試薬として利用することができる。
粒状担体に担持される抗原又は粒状担体に担持される抗体により認識される抗原は、例えば、CRP(C反応性蛋白質)、前立腺特異抗原、フェリチン、β-2マイクログロブリン、ミオグロビン、ヘモグロビン、アルブミン、クレアチニン等のタンパク質マーカー、IgG、IgE、IgA、IgM等の免疫グロブリン、各種腫瘍マーカー、LDL、HDL、TG等のリポ蛋白、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、RSウイルス(RSV)、ライノウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、アストロウイルス、HAV、HBs、HCV、HIV、EBV等のウイルス抗原、クラミジア・トラコマティス、溶連菌、百日咳菌、ヘリコバクター・ピロリ、レプトスピラ、トレポネーマ・パリダム、トキソプラズマ・ゴンディ、ボレリア、レジオネラ属菌、炭疽菌、MRSA等の細菌抗原、細菌等が産生する毒素、マイコプラズマ脂質抗原、ヒト絨毛製ゴナドトロピン等のペプチドホルモン、ステロイドホルモン等のステロイド、エピネフリンやモルヒネ等の生理活性アミン類、ビタミンB類等のビタミン類、プロスタグランジン類、テトラサイクリン等の抗生物質、農薬、環境ホルモン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
エピトープとは、抗体が認識して結合する抗原の特定の構造単位をいい、ハプテンとは、抗体との結合能を有するが単独では免疫原性を示さない物質をいう。また、パラトープとは、抗原を認識して結合する抗体の一部をいう。
抗体は、抗原に特異的に結合し得るものであれば特に制限されず、例えば、IgGとすることができる。IgGは2本の重鎖(H鎖)及び2本の軽鎖(L鎖)から構成される。重鎖はN末端から順に、可変領域(VH)、第一定常領域(CH1)、第二定常領域(CH2)及び第三定常領域(CH3)から構成されている。軽鎖はN末端から順に、可変領域(VL)及び定常領域(CL)から構成されている。CH2及びCH3から構成される部分がFc領域である。1本の重鎖と1本の軽鎖は、CH1に存在するシステイン残基及びCLに存在するシステイン残基のジスルフィド結合により結合している。また、重鎖同士は、CH1とCH2の間に位置するヒンジ領域に存在するシステイン残基同士のジスルフィド結合により結合している。抗体は、重鎖が存在するIgGの断片であってもよく、1本の重鎖及び1本の軽鎖から構成されるrIgG(還元型IgG)であってもよく、2本の重鎖から構成される断片であってもよく、1本の重鎖から構成される断片であってよい。
上記タンパク質又はペプチドと上記粒状担体と担持の様式は、共有結合であって、アミド結合、ジスルフィド結合などが挙げられる。アミド結合は、好ましくは、上記タンパク質又はペプチドがリシン残基を有し、リシン残基の側鎖のアミノ基と上記粒状担体の表面上のカルボキシ基との間に形成される。
上記タンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が、該α-アミノ基の求核性及び/又は電子供与性が消失するように保護されている。N末端アミノ酸残基のα-アミノ基は求核性及び/又は電子供与性がある、すなわち反応性が高いため、タンパク質又はペプチドを粒状担体に担持させる際に、N末端アミノ酸残基のα-アミノ基が反応点となり得る。そのため、タンパク質又はペプチドがそのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基を介して粒状担体上に担持された不溶性粒子が得られる可能性がある。本実施形態の不溶性粒子では、N末端アミノ酸残基のα-アミノ基が、該α-アミノ基の求核性及び/又は電子供与性が消失するように保護されているため、担持反応の際に反応点とならない。そのため、タンパク質又はペプチドを所望の位置で粒状担体上に担持した不溶性粒子が得られる。
上記タンパク質又はペプチドのN末端から2番目のアミノ酸残基は、プロリン以外のアミノ酸、すなわち、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる群から選択されるアミノ酸とすることができる。
タンパク質又はペプチドが多量体を形成するなどして、複数のN末端アミノ酸残基が存在する場合、少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されていればよいが、標的物質との高い結合効率という観点からは、すべてのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されていることが好ましい。例えば、粒状担体に担持されるタンパク質がIgGである場合、IgGは4つのN末端アミノ酸残基が存在する。IgGの4つのN末端アミノ酸残基のうち少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されていればよいが、2つ又は3つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されていてもよく、4つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されていることが好ましい。
N末端アミノ酸残基のα-アミノ基が、該α-アミノ基の求核性及び/又は電子供与性が消失するように保護するための保護基は、アミノ基の保護基として一般的に使用されている保護基が挙げられる。そのような保護基は当業者にとって周知であり、Wuts and Greene, “Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”, Wiley-Interscience, 2006 April.などを参照して、適切な保護基を選択することができる。
一実施形態において、上記保護されたタンパク質又はペプチドは、式(1):
で表される化合物である。式(1)中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、Rは、上記タンパク質又はペプチドから上記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が除かれた基を示す。
一実施形態において、上記保護されたタンパク質又はペプチドは、式(2):
で表される化合物である。式(2)中、R及びRは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、Rは上記タンパク質又はペプチドから上記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基及びそれに隣接する-NH-が除かれた基を示し、Rは上記タンパク質又はペプチドの上記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基の側鎖を示す。
一実施形態において、保護されたタンパク質又はペプチドが、式(3):
で表される化合物である。式(3)中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、R及びRのうち、一方は-N(-R)-(Rは水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、他方は=N-を示し、Rは、上記タンパク質又はペプチドから上記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基及びそれに隣接する-NH-が除かれた基を示し、Rは上記タンパク質又はペプチドの上記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基の側鎖を示す。
式(3)で表される化合物は、式(3a)で表される化合物及び式(3b)で表される化合物のいずれであってもよく、好ましくは式(3a)で表される化合物である。
、R、R及びRにおける有機基は、有機分子又は有機分子複合体由来の基、例えば有機分子又は有機分子複合体から1つの原子又は複数の原子が除かれてなる基である限り、特に制限されない。有機分子は、特に制限されず、天然のものであっても、合成・人工のものであってもよい。有機分子複合体としては、特に制限されないが、例えば有機分子を含む複数の分子が連結してなる複合体(或いは生命体)が挙げられる。該連結の態様は、特に制限されないが、例えば水素結合、静電気力、ファンデルワールス力、疎水結合、共有結合、配位結合等が挙げられる。これらの結合は、リンカー(具体例としては後述のリンカー参照)を介して行われていてもよい。有機分子又は有機分子複合体は、機能性物質であることが好ましく、その具体例としては、医薬化合物、発光分子、高分子化合物、リガンド、リガンド結合対象分子、抗原タンパク質、抗体、タンパク質、核酸、糖類、脂質、細胞、ウイルス、標識(例えば放射性同位元素標識)、カーボン電極、カーボンナノ材料、リンカー、スペーサー分子(例えば、ポリエチレングリコール又はその誘導体、ペプチド(一例として細胞内で酵素により切断されるアミノ酸配列を含むペプチド)等)、これらの複合体、連結分子等が挙げられる。
、R、R及びRにおける無機材料としては、金属原子を含む又は含まない材料であって、特に制限されるものではない。無機材料としては、例えば電極材料、金属微粒子、金属酸化微粒子、半導体粒子、磁性粒子等が挙げられる。無機材料は、有機分子又は有機分子複合体を保持するものであってもよい。
、R、R及びRにおける有機基は、置換基群Aから選択される1以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基又は置換基群Bから選択される1以上の置換基を有していてもよい6-10員アリール基とすることができ、ここで、置換基群Aは、ハロゲン原子及び6-10員アリール基からなり、置換基群Bは、ハロゲン原子、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、カルボキシ基及びジ(C1-6アルキル)アミノ基からなる。
、R、R及びRにおける有機基は、好ましくは、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、カルボキシフェニル基、ジカルボキシフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基又はナフチルメチル基である。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
1-6アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2,-トリメチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基又は1-エチル-2-メチルプロピル基等の直鎖又は分枝鎖のものを挙げることができる。C1-6アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基又はt-ブチルであり、より好ましくは、メチル基又はエチル基である。
1-6アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、2-メチルブトキシ基、ネオペントキシ基、ヘキシルオキシ基、4-メチルペントキシ基、3-メチルペントキシ基、2-メチルペントキシ基、3,3-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、1,3-ジメチルブトキシ基又は2,3-ジメチルブトキシ基等の直鎖又は分枝鎖のものを挙げることができる。C1-6アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はイソプロポキシ基であり、より好ましくはメトキシ又はエトキシ基である。
6-10員アリール基は、炭素数6~10の芳香族性の炭化水素環式基(縮環の場合、少なくとも環の1つが芳香族性を示せばよい)であることを意味する。6-10員アリール基として、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、インデニル基、インダニル基、アズレニルまたはヘプタレニル基等が挙げられる。6-10員アリール基は、好ましくは、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、より好ましくは、フェニル基である。
上記保護されたタンパク質又はペプチドは、好ましくは、式(3a)で表される化合物である。
式(3a)で表される化合物における、R及びRの好ましい組み合わせは、以下の表1のとおりである。
式(2)で表される化合物における、R及びRの好ましい組み合わせは、以下の表2のとおりである。
式(1):
で表される化合物は、上記タンパク質又はペプチドと、式(4):
で表される化合物とを反応させることで製造することができる。例えば、式(4)で表される化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、それを上記タンパク質又はペプチドを含む水溶液に加えることで両者を反応させ、式(1)で表される化合物を製造することができる。水溶液は、1級又は2級アミンを含有しない緩衝液であればよく、緩衝液のpHは4.5から9.0、好ましくは7.0から8.0である。式(4)で表される化合物は、上記タンパク質又はペプチドのモル数に対して等モル量以上用いることができる。反応温度は4℃から37℃であればよく、反応時間は30分以上であればよい。
式(2):
で表される化合物は、上記タンパク質又はペプチドと、式(5):
で表される化合物とを反応させることで製造することができる。反応条件は、例えば、Onoda et al., “Triazolecarbaldehyde Reagents for One‐Step N‐Terminal Protein Modification”, Chembiochem. 2020 May 4;21(9):1274-1278.及び国際公開第2020/175680号に記載された反応条件にて反応させることができる。
式(3):
で表される化合物は、上記タンパク質又はペプチドと、式(6):
で表される化合物とを反応させることで製造することができる。反応条件は、例えば、Onoda et al., “Triazolecarbaldehyde Reagents for One‐Step N‐Terminal Protein Modification”, Chembiochem. 2020 May 4;21(9):1274-1278.及び国際公開第2020/175680号に記載された反応条件にて反応させることができる。
一実施形態において、上記不溶性粒子は、上記タンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が脱保護されている。N末端アミノ酸残基のα-アミノ基が脱保護された上記タンパク質又はペプチドは、本来の機能及び構造を保持する可能性が高い。そのため、かかる不溶性粒子は、N末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されたタンパク質又はペプチドを粒状担体上へ担持した不溶性粒子である為、従来の技術と比較して、標的物質との結合効率がより高くなる。かかる不溶性粒子は、N末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されたタンパク質又はペプチドを粒状担体上へ担持した不溶性粒子に含有されるタンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基を脱保護することで、製造することができる。脱保護の反応条件は、保護されたアミノ基の脱保護として一般的に使用されている反応条件でよい。そのような反応条件は当業者にとって周知であり、Wuts and Greene, “Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”, Wiley-Interscience, 2006 April.などを参照して、適切な反応条件を選択することができる。
一実施形態において、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キットは、上記不溶性粒子を含む。標的抗原測定用又は標的抗体測定用キットは、被験試料中の標的抗原又は標的抗体の有無を定性的に評価するため、又は被検試料中の標的抗原又は標的抗体の濃度を定量的に評価するために用いることができ、より具体的には、下記の標的抗原又は標的抗体の測定方法に用いることができる。
一実施形態において、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キットは、不溶性粒子を調製するための粒状担体とタンパク質若しくはペプチドとを含む。本実施形態にかかる標的抗原測定用又は標的抗体測定用キットは、測定に際して上記タンパク質若しくはペプチド及び上記粒状担体を結合させて上記不溶性粒子を調製する。
標的抗原測定用又は標的抗体測定用キットは、さらに、陽性対照又は検量線作成に用いるための標的抗原又は標的抗体を含んでいてもよく、被験試料を希釈する緩衝液、不溶性粒子と被検試料とを混合するための緩衝液、タンパク質若しくはペプチドと粒状担体とを結合させるための緩衝液などを含んでいてもよい。
一実施形態において、標的抗原の測定方法は、上記不溶性粒子を用いる。かかる測定方法は、被験試料中の標的抗原の有無を定性的に評価するために、又は被検試料中の標的抗原の濃度を定量的に評価するために行うことができる。
一実施形態において、標的抗原の測定方法は、上記不溶性粒子と標的抗原を含有し得る被験試料を接触させる工程、並びに上記不溶性粒子に含有される抗体又は抗体断片と上記標的抗原との抗原抗体反応による上記不溶性粒子の凝集反応を測定する工程、を含む。上記不溶性粒子は、調製済みのものを用いてもよく、測定に際して、粒状担体と抗体又は抗体断片とを結合させることにより調製してもよい。
上記不溶性粒子を含む懸濁液と被検試料とを混合することで、上記不溶性粒子と標的抗原を含有し得る上記被験試料を接触させることができる。両者を接触させると、上記被検試料中に含まれる標的抗原と上記不溶性粒子に含まれる抗体又は抗体断片との間の相互作用によって上記不溶性粒子が凝集し、懸濁液の吸光度が変化する。この吸光度の変化量(エンドポイント法)又は変化率(レート法)を測定する。測定は、比濁法又は比色法が好適に用いられる。例えば、セル外部より可視光から近赤外域の光、通常300nm~1000nm、好ましくは500nm~900nmの光を照射し、吸光度変化又は散乱光の強度変化を検出することにより、上記不溶性粒子の凝集反応が測定される。
凝集反応を行う時間は、1分~30分とすることができ、好ましくは1分~10分であるが、これらに限られない。凝集反応を行う温度は、35℃~40℃とすることができ、36~38℃とすることもできるが、これらに限られない。
測定すべき標的抗原を種々の既知濃度で含む複数の標準試料を準備し、それらについて上記方法により吸光度の変化量又は変化率を測定する。標準試料中の測定すべき抗原の濃度を横軸、測定された吸光度の変化量又は変化率を縦軸にプロットして検量線を描く。未知の被検試料についても同じ方法により吸光度の変化量又は変化率を測定し、測定結果を上記検量線に当てはめることにより、被検試料中の標的抗原を定量的に評価することができる。また、あらかじめ吸光度の変化量又は変化率の閾値を設定しておき、閾値を超えた場合に被験試料中に標的抗原が存在すると定性的に評価することができる。
被験試料は、標的抗原を含有し得るものであれば特に限定されないが、血液、血清、血漿、尿、便、唾液、組織液、髄液、ぬぐい液等の体液等又はその希釈物が挙げられ、血液、血清、血漿、尿、便、髄液又はこれらの希釈物が好ましい。
一実施形態において、標的抗体の測定方法は、上記不溶性粒子を用いる。かかる測定方法は、被験試料中の標的抗体の有無を定性的に評価するために、又は被検試料中の標的抗体の濃度を定量的に評価するために行うことができる。
一実施形態において、標的抗体の測定方法は、上記不溶性粒子と標的抗体を含有し得る被験試料を接触させる工程、並びに上記不溶性粒子に含有される抗原、抗原断片又はハプテンと上記標的抗体との抗原抗体反応による上記不溶性粒子の凝集反応を測定する工程、を含む。上記不溶性粒子は、調製済みのものを用いてもよく、測定に際して、粒状担体と抗原、抗原断片又はハプテンとを結合させることにより調製してもよい。
標的抗体の測定方法における、不溶性粒子の凝集反応の測定、凝集反応を行う条件、標的抗体の定量的又は定性的な評価方法及び被験試料は、標的抗原の測定方法における説明と同様である。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1:ラテックス凝集法によるインフルエンザウイルス検査試薬の作製
(1-1)抗A型インフルエンザウイルス抗体のN末端保護
1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボアルデヒド:
のジメチルスルホキシド(DMSO)水溶液(200mM)を終濃度20mMとなるようにリン酸緩衝液(10mM、pH7.5)で希釈し、ここに抗A型インフルエンザウイルス抗体を終濃度2mg/mLとなるように加え、37℃で16時間振とうした。反応後の溶液は、遠心限外濾過により5mM 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝液(pH5.0)に置換した。得られた抗体を、以下、N末端保護抗A型抗体と呼ぶ。
(1-2)抗体結合ラテックス粒子の調製
1-1で調製したN末端保護抗A型抗体を0.5mg/mLとなるようにMES緩衝液(pH5.0)で希釈し、ここにラテックス粒子を0.25%(w/v)となるように加え、撹拌後、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を1%(w/v)となるように加え、さらに撹拌した。遠心操作により上清を除き、5mM トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)緩衝液(pH8.8)、0.01%(w/v)カゼインに再浮遊し、N末端保護抗A型インフルエンザウイルス抗体結合ラテックス粒子(以下、N末端保護抗A型抗体結合ラテックスと呼ぶ)を得た。
(1-3)A型インフルエンザウイルス抗原の検出
1-2で調製したN末端保護抗A型抗体結合ラテックス又は抗体未結合ラテックスを終濃度0.01%(w/v)となるように反応液(50mM Tris緩衝液(pH8.0)、2%Triton(登録商標)X-100)で希釈し、A型インフルエンザウイルス抗原を濃度113.4pfu/mLで含有する反応液と等量混合した。反応液に635nmの波長の光を照射し、散乱光を1分おきに15分間測定することでラテックスの凝集性を評価した。散乱光のシグナルがプラトーに達した6分時点までのプロットの傾きを算出することで試料間の比較を行った。上記散乱光の測定は比濁測定リーダーNEPHELOstar Plus(BMG LABTECH社)を用いて行った。結果を図1に示す。

Claims (22)

  1. 粒状担体に担持されたタンパク質又はペプチドより構成される不溶性粒子であって、前記タンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されており、
    保護されたタンパク質又はペプチドが、式(2):

    で表される化合物[式(2)中、R及びRは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、Rは前記タンパク質又はペプチドから前記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基及びそれに隣接する-NH-が除かれた基を示し、Rは前記タンパク質又はペプチドの前記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基の側鎖を示す。]である、不溶性粒子。
  2. 粒状担体に担持されたタンパク質又はペプチドより構成される不溶性粒子であって、前記タンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されており、
    保護されたタンパク質又はペプチドが、式(3):

    で表される化合物[式(3)中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、R及びRのうち、一方は-N(-R)-(Rは水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、他方は=N-を示し、Rは、前記タンパク質又はペプチドから前記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基及びそれに隣接する-NH-が除かれた基を示し、Rは前記タンパク質又はペプチドの前記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基の側鎖を示す。]である、不溶性粒子。
  3. 前記タンパク質又はペプチドのN末端から2番目のアミノ酸残基がプロリン以外のアミノ酸である、請求項1又は2に記載の不溶性粒子。
  4. 前記タンパク質又はペプチドが、共有結合により前記粒状担体に担持されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の不溶性粒子。
  5. 前記タンパク質又はペプチドのすべてのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の不溶性粒子。
  6. 前記粒状担体がラテックス粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の不溶性粒子。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の不溶性粒子に含有されるタンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が脱保護されている、不溶性粒子。
  8. 前記タンパク質又はペプチドが、抗原、エピトープを含む抗原断片又はハプテンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の不溶性粒子。
  9. 前記タンパク質又はペプチドが、抗体又はパラトープを有する抗体断片である、請求項1~7のいずれか一項に記載の不溶性粒子。
  10. 前記抗体又は抗体断片がIgG又はその断片である、請求項9に記載の不溶性粒子。
  11. 請求項8~10のいずれか一項に記載の不溶性粒子を含む、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キット。
  12. 請求項8~10のいずれか一項に記載の不溶性粒子を調製するための粒状担体とタンパク質若しくはペプチドとを含み、標的抗原又は標的抗体の測定に際して前記不溶性粒子を調製する、標的抗原測定用又は標的抗体測定用キット。
  13. 請求項9又は10に記載の不溶性粒子を用いる、標的抗原の測定方法。
  14. 請求項8に記載の不溶性粒子を用いる、標的抗体の測定方法。
  15. 請求項9又は10に記載の不溶性粒子と標的抗原を含有し得る被験試料を接触させる工程、並びに前記不溶性粒子に含有される抗体又は抗体断片と前記標的抗原との抗原抗体反応による前記不溶性粒子の凝集反応を測定する工程、を含む、標的抗原の測定方法。
  16. 請求項8に記載の不溶性粒子と標的抗体を含有し得る被験試料を接触させる工程、並びに前記不溶性粒子に含有される抗原、抗原断片又はハプテンと前記標的抗体との抗原抗体反応による前記不溶性粒子の凝集反応を測定する工程、を含む、標的抗体の測定方法。
  17. 被験試料中の標的抗原の有無を定性的に評価するための、又は被検試料中の標的抗原の濃度を定量的に評価するための、請求項13又は15に記載の方法。
  18. 被験試料中の標的抗体の有無を定性的に評価するための、又は被検試料中の標的抗体の濃度を定量的に評価するための、請求項14又は16に記載の方法。
  19. 不溶性粒子を製造する方法であって、
    前記不溶性粒子は粒状担体に担持されたタンパク質又はペプチドより構成される不溶性粒子であり、前記タンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が保護されており、
    保護されたタンパク質又はペプチドが、式(1):

    で表される化合物[式(1)中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示し、Rは、前記タンパク質又はペプチドから前記少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基が除かれた基を示す。]であり、
    前記タンパク質又はペプチドと、式(4):

    で表される化合物[式(4)中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示す。]とを反応させる工程を含む、不溶性粒子を製造する方法。
  20. タンパク質又はペプチドと、式(5):

    で表される化合物[式(5)中、RならびにRは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示す。]とを反応させる工程を含む、請求項1に記載の不溶性粒子を製造する方法。
  21. タンパク質又はペプチドと、式(6):

    で表される化合物[式(6)式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基の何れかを示し、R及びRのうち、一方は-N(-R)-(Rは水素原子、ヒドロキシ基、有機基又は無機材料由来の基を示す。)を示し、他方は=N-を示す。]とを反応させる工程を含む、請求項2に記載の不溶性粒子を製造する方法。
  22. 請求項1~9のいずれか一項に記載の不溶性粒子に含有されるタンパク質又はペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基のα-アミノ基を脱保護する工程を含む、請求項7に記載の不溶性粒子を製造する方法。

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